DISC REVIEW
Overseas
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ICEAGE
You're Nothing
不穏で、不機嫌で、鬱屈したこのモヤモヤをどうしてくれようか?答えのない、どうしようもない怒りに翻弄されるような激しさ、思春期性を思わせるもの。しかし、少年たちの蒼き瞳はとても澄んでいるのだ。磨きがかった刃物で切り裂くようなサウンド、言葉、そのひとつひとつはまるで低温火傷のような痛みを与えるポスト・パンク。デンマークはコペンハーゲンから世界を震撼させたアンファンテリブル、ICEAGEが帰ってきた。アメリカの名門レーベルMATADORに移籍しての2枚目だが、彼らの本質は潔くブレることはない、冷徹なまでの知性が切り開くコンセプチュアル・アート。ありがちな、仰々しいアレンジに手を染めてないことも嬉しい。とにかく刺激的な「Ecstasy」を求めているあなた、必聴!
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Stephan Mathieu And David Sylvian
Wandermüde
David Sylvianが2003 年に発表した、高い評価を獲得した作品、『Blemish』を、エレクトロニカなどのシーンでは、『Endless Summer』で一躍ポピュラー・シーンでも名を馳せたChristian FenneszやFOUR TETと等しく注目すべきエレクトロ・アコースティック・ミュージシャン、Stephan Mathieuが再構築した作品。重厚なドローンで神秘的に作り上げた同作品は、決してどの音楽リスナーにも好まれるような、良い意味で敷居の低い作品ではないが、その圧倒的な音の存在感、たるや圧巻である。Track4.「The Farther Away I Am (Minus 30 Degree)」が顕著だが、たまには優しいノイズの波に身を任せてはいかがだろうか?
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VILLAGERS
{Awayland}
デビュー・アルバムがUKインディー・チャート及びアイルランドで1位を獲得し、海外メディアで絶賛されたアイルランド出身のConor J. O'Brienを中心としたバンド、VILLAGERSの2ndアルバムが完成。ギター・サウンドを中心としたシンガー・ソングライター風のサウンドが主体にはなっているが、本作は彼が影響を受けたというエレクトロニック・サウンドが要になっており、曲のダイナミズムが前作よりも増している。パーカッションの使い方が巧みで、ストリングスのアレンジと共に壮大なサウンド・スケープを描いている。シンプルでナチュラルなサウンドとリズミカルなビートを打つエレクトロニックなサウンドがどちらも主張しすぎず自然に融合しており、美しくも悲しげなこのアルバムの素晴らしさを物語っている。
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GOLDEN GRRRLS
Golden Grrrls
7インチでリリースしていたシングルが耳の早いインディー・ミュージック好きには話題になっていたグラスゴーのギター・ポップ・トリオ・バンド。甘酸っぱさ全開のメロディにちょっとローファイな男女ヴォーカルの掛け合いが最高に気持ちいい良盤!Track.1の「New Pop」は“まんまやんけ!”と思わずツッコミを入れてしまいたくなるくらいのスィートネスとポップネスが凝縮した疾走感のある青春ポップ・チューン。個人的にはCLAP YOUR HANDS SAY YEAHの1stを聴いたときか、それ以上のインディー・ポップのヒット。全曲シングル・カットできるくらいのキャッチーさがつまった、WEEZERのブルー・アルバムを彷彿とさせるデビュー盤。これは洋楽リスナーならずとも聴いていただきたい。
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COHEED AND CAMBRIA
The Afterman:Descension
ビルボード5位を獲得した『The Afterman:Ascension』の第2章となる本作。Track.1「Pretelthal」から宇宙的ともいえるような壮大なアルバムがスタートする。彼らの持ち味であるテクニカルでプログレッシヴな展開と、それをマニアックに落とし込まないポップ・センスは相変わらずだが、今作は今までの作品と比較してもそれが素直に、ストレートにアウト・プットされていると感じる。ハードなロック・ナンバーのTrack3.「The Hard Sell」からファンクなポップ・ナンバーTrack4.「Number City」への流れは驚かせるが、彼らにしか成し得ない振り幅の広さだろう。2013年はフェスでの来日も予定されているという噂もチラホラ。是非ライヴで体感したい。
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TINY TELEPHONES
The Heavenly Child
Patrick HeaneyとAaron Blombergの2人によって結成されたポスト・ロック・バンド。レコーディングにTHE ALBUM LEAFのJimmy Lavalleが参加していることから、彼らがエクスペリメンタルな音を奏でることは想像が容易であろう。Track.1「A Dream In Death」は冷たいドローンなイントロから徐々に神秘的なポスト・ロック・サウンドに展開していき、Track.2「Unfortunately We're Here」はミニマルなドラムと緻密に敷き詰められた音色が実に気持ちよく、Track.3「February 29, 1996」では淡いヴォーカルがSIGUR ROSを彷彿とさせる。冷たさと暖かさが同居したこの季節にハマる優しい作品。
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HADOUKEN!
Every Weekend
2007年、"ニュー・レイヴ"と呼ばれたブームの火付け役として彗星のごとく登場したHADOUKEN!。若さ故の勢いをそのままパンキッシュなダンス・ミュージックに落とし込み、デビュー当時は異端の存在感を放っていたが、2ndアルバム『For The Masses』ではTHE PRODIGYからの影響を伺わせる本格派のエレクトロ•アルバムに。今作もその流れの延長線にあるが、計算し尽くされた曲構築の完成度は圧倒的にパワー・アップ。全ての曲に、今をときめく様々なDJ/トラック・メイカーにプロデュースを依頼したのも勝因だろう。突き抜けたパーティー・チューンだけでなく、イギリス特有のシニカルで緊迫感を感じさせるダーク・チューンもあり、更にダブステップの要素も積極的に捉えた結果、バラエティに富みながらも不思議な統一性のある仕上がりとなった。Jamesのシンガーとしての成長も目覚ましい進化を遂げ、2013年の幕開けに相応しい、エレクトロ•アルバムの誕生だ。
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BIFFY CLYRO
Opposites
UKを代表するモンスター・バンドは世界のモダン・ロックを代表するバンドになった。約3年ぶりの新作は、タイトルから察するに"対"になる世界観を持ったキャリア初のダブル・アルバム。作品全体を貫く物語の詳細は不明だが、深遠なムードのイントロダクションにタフなビートや力強いオーケストレーションが重なり、怒涛のスケール感へと昇華するカタルシスはさすがBIFFY節。加えて単にラテン的と括りがたい独特の変拍子や、バイオリンと聴き間違えそうなユニークな音色のギター、コードで塗りつぶすことなくスリリングに展開するアンサンブルなど、シンプルだが聴くほどに発見が。the HIATUSや9mm好きにもお勧めする。
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UNKNOWN MORTAL ORCHESTRA
II
2010年に米ポートランドで結成されたサイケデリック・ポップ・バンド。昨年セルフ・タイトルのデビュー・アルバムをリリースし欧米のメディアで高評価を得たが、GRIZZLY BEARやGIRLS等とツアーを回った後、人気レーベルJagjaguwarと世界契約を結び2ndアルバムのリリースが決定した。様々な音が入り混じったサイケデリック且つポップでソウルフルな楽曲を中心に、レトロな楽器の音が不思議な歌声と相まって強烈な個性を放っている。中盤のハイライトで7分超の「Monki」から1分の短曲「Dawn」への流れも素晴らしく、静かに幕を閉じるエンディングの「Secret Xiants」までまとまりがある。前作よりグルーヴ感も増しており、とても中毒性の高いアルバムに仕上がった。Hostess Club Weekenderでの日本初ライヴにも期待がかかる。
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FIDLAR
Fidlar
2009年に結成されたLA出身の4人組ガレージ・パンク・バンド。メンバー全員がLAのスケートボード・シーンに所属しており、歌詞の内容もほとんどがドラッグやアルコール、スケートボードのことについて書かれている。今までに2枚のEPをリリースしており、満を持してのデビュー・アルバムが完成した。ピッチフォークでベスト・ニュー・トラックを獲得した先行シングル「Cheap Beer」のような勢いのある楽曲から、「Gimme Something」のような美しいメロディのミッド・テンポの楽曲まで幅が広くとても聴きやすい。アメリカン・ハードコア好きはもちろん、THE HIVESのようなガレージ・パンク等が好きなリスナーにもオススメしたい。
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...AND YOU WILL KNOW US BY THE TRAIL OF DEAD
Lost Songs
昨年は実に11年振りの来日を果たしその存在を知らしめた...AND YOU WILL KNOW US BY THE TRAIL OF DEADの新作が待望の国内盤化である。スタジオ作としては通算8枚目、プログレ、ポスト・ロック、ハードにサイケと持ち前のジャンルレスな感性そのままに、強靭なアート・ロックとして貫かれた世界観。本作は政府の圧力やメイン・ストリーム・カルチャーに蔓延した情熱に対する無関心という抑圧に、クリエイティヴィティで抵抗しているあらゆるアーティストたちに贈るものとして、PUSSY RIOTに捧げられている。漲る緊張感と力強さの理由も納得、インディペンデントな歩みこその重みもある。『Madonna』『Source Tags & Codes』と並ぶ重要作だ。
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BAND OF HORSES
Mirage Rock
前作では飛躍、そして覚醒を遂げたなら、本作はその貫禄を示す充実作と言える。おや?早くもキャリア最高傑作との呼び声も。アメリカの雄大な荒野を駆け巡る、気高く、美しい白馬のような男たちが帰ってきた。BAND OF HORSES、約2年振りの4thアルバム『Mirage Rock』である。本作最大のトピックはGlyn Johnsをプロデューサーに迎えたこと。この人、往年のロック・ファンなら避けては通れない存在であり、THE ROLLING STONESやLED ZEPPELIN、そしてEAGLESを成功に導いたことは有名だ。そんな背景から察すると、まさにHORSESは新たなEAGLESになるのではないか。繊細で時に大胆な、壮大なスケールで描くアメリカン・ロックを堪能あれ!
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UNIVERSAL INDICATOR
Innovation In The Dynamics Of Acid
これぞ、社会と常識を逸脱するための音楽。90年代初頭、Aphex TwinやMike Dredなどによって結成されたアシッド・ハウス・クルー、UNIVERSAL INDICATORの、01年にリリースされたミックス・アルバムがボートラ付きで再発。セカンド・サマー・オブ・ラブ以降、商業主義にひた走るシカゴ・ハウス勢へのアンチテーゼとして結成されたという彼らの音楽は、90年代初頭のクラブ・シーンの猥雑さや刹那的な恍惚、無垢な喜びを見事に表現している。スピーディに、ハードコアに、過去と未来を切り落としながら打ち鳴らされるアシッド・サウンドは、今聴いても圧巻。この再発盤は当事者たちが昔を懐かしみながら聴くのではなく、tofubeatsやMaltine Records系の音楽を聴いている今の若者たちに、是非聴いてもらいたい。
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Maya Vik
Bummer Gun
ノルウェー出身のマルチ・アーティスト、MAYA VIKのソロ2ndアルバム。元々はノルウェーで国民的人気を誇るバンド、MONTEEにベーシストとして在籍し、そのルックスからモデルとしても活動するという才色兼備な彼女。前作から短いスパンでリリースされる本作は、とても煌びやかなシンセポップ・アルバムに仕上がっている。ディスコ、ファンク、ジャズやフュージョンも消化しながら、時に弾けるようなキュートネスを、時にしっとりと絡みつくようなメロウネスを醸し出すその楽曲は、全体的にキラキラしつつも、奥ゆかしさも感じさせて、実に味わい深い。スレンダーな身体つきとは裏腹に、表情には子供のようなあどけなさを残す本人のヴィジュアルがそのまま音になったような、魅力溢れる1枚だ。いい女はいいね。
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V.A.
THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION vs ギターウルフ
アリストテレスの言葉を引用する――友情とは2つの肉体に宿れる1つの魂である。THE JON SPENCER BLUES EXPLOSIONとギターウルフとは、まさにそんな関係に思える。ルーツに対する憧憬または純粋な愛情、そして先鋭性を持ってモダナイズしたロックンロールを描き続けてきた両者は、ブルースとガレージの相違はあっても根幹は同じなのだ。"それぞれに影響を受けたバンドのカヴァー曲とここぞの勝負曲"をテーマに選曲された4曲は、1つの魂を追求する上で最良のアイテムと言えるだろう。さらにボーナスDVDには昨年11月下北沢SHELTERで行われた対バンを完全収録。チケット即完でプレミア化しただけに泣く泣く見逃したファンは必見だ。あの伝説の夜が蘇る......。
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LOCAL NATIVES
Hummingbird
ロサンゼルスのシルヴァー・レイクを拠点に活動する5人組インディー・バンドLOCAL NATIVESの2ndアルバム。THE NATIONALのAaron Dessnerをプロデューサーに迎え、彼のスタジオでレコーディングされたという今作は、DIY精神をそのままに作り上げたデビュー作である前作『Gorilla Manor』よりも格段にその楽曲の持つ空気を研ぎ澄ましている。音に対して自由に何でもトライしたということもあり、サウンドの開放感と深みは増し、繊細なヴォーカルはよりその淡いラインを美しく映し出す。カラフルな印象が強かった前作に比べるとひとつひとつの色味は弱いかもしれないが、引き算により浮き彫りになった音像には大きな豊かさを感じることが出来る。まさしく"洗練"の1枚。
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FAKE BLOOD
Cells
SINDEN、HERVEらとともにフィジェット・ハウス・シーンで頭角を表したグループ、MACHINES DON’T CAREとしても活動。2007年以降はUNDERWORLD、Calvin Harrisらのリミックスを手がけたことでも知られるFAKE BLOODことTheo Keating待望のデビュー・アルバム。太く重いブリーピーなベース・ラインはフロア仕様だが、音作りはどこかダークでシニカル、時に恐怖さえ感じさせる要素が盛りだくさんで、それを物語的に聴きこんでいく楽しみも。サックスやバルカン・ブラスなど管楽器の使い方がリフ的で面白いのだが、どれもひび割れたようなサウンドが不穏。それでいて唐突に「I Feel Love」っぽいラインが登場したり、「Sideshow」で日本の子ども?の声による合いの手が入ったり「Phantom Power」はホラーな中にもユーモアが覗くあたりも心憎い。
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LA VAMPIRES WITH MARIA MINERVA
Integration
かつて自身が在籍したPOCAHAUNTEDを“SADEがP・ファンクに出会った新しいTALKING HEADSのようなもの”と言っていただけあって、サウンドはパッと聴きはどこまでも逃避的かつ神秘的でありつつ、ただ流れずにオルタナティヴな筋が通っている。今回はもう1人の女性アーティスト、Maria Minervaの声が重なり、ここ最近、レーベル“100%SILK”で表現してきたサンプリング、シンセ、ピアノ、4/4ビートなど、かなり90’sハウスを彷彿させるエロティックなニュアンスが前面に出ているのがこの時代にあってユニーク。だが、USのインディー・ダンス界で活躍してきた彼女が、カリフォルニアあたりのムーヴメントと呼応しているのもSNS円熟期の2012年っぽいところ。変な表現だが、引きの美学を持った肉食系というか、強引じゃない分、妙に引っ掛かりがある。
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DESMOND & THE TUTUS
Mnusic
フランスのTIGERSUSHIからリリースされた『KISS YOU ON THE CHEEK』と日本のEVERY CONVERSATIONからリリースされたアナログが話題になり、FLAKE SOUNDSでリリースの『TUCK SHOP』が大ヒットしたDESMOND & THE TUTUSの2ndアルバムが遂にリリース!全編を通じてローファイでハッピーでピースフルな極上のインディー・ポップが詰まった前作を凌ぐ快作。track.1の「Tatoo」から、アレンジで特異なギミックは使わないで跳ねるリズムと丸くうねるベース・ライン、そして子気味よく刻まれたギターになにやら楽しげなヴォーカルと、緩さを持ちつつソリッドなグルーヴが超心地良い!個人的にはTrack.4の「The Future」のちょっと物憂げなヴォーカルと浮遊感のあるメロディと4つ打ちビート、track.6「More It」のちょっとバルカンっぽさも感じるギター・サウンドがツボです。
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DELPHIC
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デビュー作『Acolyte』で、既にエレクトロ・ロックの寵児というか、10年代ロックのど真ん中に躍り出た感のある彼ら。約3年ぶりの新作では、なんとも大人っぽく、さらにヴォーカル・オリエンテッドなバンドに変化した印象だ。ANIMAL COLLECTIVEやMASSIVE ATTACKを手がける複数のプロデューサーが関わっている遠因は、プリミティヴなビートやスケール感に伺えるが、彼らはもうダンス・ロックの狭義の枠にいないし、エレクトロは楽曲をさらにエモーショナルに届ける楽器のひとつでしかないんじゃないだろうか。どこかCOLDPLAYを想起させるピアノ・サウンドのTrack.3、ソウルフルといっても過言じゃないTrack.9や、RADIOHEADの不穏さとラップが遭遇したようなTrack.10など、独特でありつつキャッチーというある意味、現代の王道。これを大味ととるか成長ととるかは聽き手の嗜好次第。
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Skream! 2024年09月号