DISC REVIEW
Z
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ZA!
Megaflow
スペイン・ヴァルセロナを拠点に活動する注目ユニット。ギターとドラムの構成だけれど時にはギターの彼がドラムを叩いたり、トランペットを吹いたり!? とにかく自由すぎる。ギターカッティングがキレキレ、声もひとつの楽器のように扱い、奇想天外な音を作り出していく。ノイズまじりのごりごりなロックが来た! と思ったら次なる曲ではムーディにと思ったら急な展開があったり、ラジオ番組風なトラックもあったり……。なんじゃコレ!? と思っているうちに気付くと虜になっている、なんともいえない中毒性。ポストBATTLESと呼び声の高い彼ら。とんでもない人達、出てきちゃった、そんな雰囲気がムンムン。ライヴはもっとカオスティック!! この人達、面白すぎるやろ!
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Zaien Lily
ずいのそこ
開いた扉の先に広がるのは、未だ重苦しい現実と孤独感だった。前作『蠅ト百合』で鳴らされた、開放感とメランコリーが入り混じるギター・サウンドからさらにヘヴィに、且つキャッチーに、そのスケール感とポップネスを何倍にも増した楽曲たち。1曲の中で見せるドラマティックな曲展開も、夜空に映える三日月のように切々と輝くメロディも、そのすべてに"先へ進む"ための意志がたぎっている。前作が、道を歩み始めたZaien Lilyの、その先を照らし出すヘッドライトだとしたら、この本作は、未だ消えない闇を、そのぬかるんだままの地面を駆け抜けるための獰猛なエンジン音。仮初の希望を見せるのでも、絶望に寄り添うのでもなく、ただあるがままに"自分"であることを突き詰めようとするバンドだからこそ、2作目のこの重さは必然である。
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Zaien Lily
蝿ト百合
喜びの歌も悲しみの歌も巷に溢れている。でも、そのほとんどがどうでもいい。だって俺には関係ないから。ハリボテの感情表現に共感なんてするか。今、俺が抱える喜びと悲しみは俺だけのものだ。誰にも渡すか。だから俺はZaien Lilyを聴く。窒息しそうなほどの嘘と苦悩と混沌に満ちたこの現実を、たとえ未来なんか見えなくても突き進んで、その先に自分の手で掴みとるもの、それこそが感情だ。Zaien Lilyはそれを鳴らしている。だから聴く。2011年に結成。渋谷La.mamaを中心としたライヴハウスや各地の路上を舞台に、"伝えること"に対する貪欲な嗅覚を尖らせてきた、その粗暴さと繊細さを同居させたサウンドは、聴き手の生傷だらけの魂を白日の下に曝け出す。2014年、最も純潔な感情表現としてのロック。聴け。
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ZEPPET STORE
REVERB
2011年に起こった東日本大震災をきっかけに再結成したZEPPET STORE。デビュー20周年を記念して今年7月より3ヶ月連続リリースを掲げ、そのシリーズ第3弾となる最後の作品が、約2年ぶりのニュー・アルバムとしてリリースされる。今作は、デビュー20周年にして全編英語詞で歌いきった原点回帰作となっており、UKロック譲りの爽やかでありながらも、どこか曇り空が見え隠れする憂いを帯びたエモさ抜群の楽曲が並んでいる。トリプル・ギターならではのアンサンブルや重厚感、音と音の駆け引きを楽しめるほか、心地よいシューゲイズ・サウンドで浮遊感もあり、聴きどころ満載。酸いも甘いも味わってきた彼らだからこそ、すべてを包んでくれる優しい1枚となった。
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ZEPPET STORE
SPICE
東日本大震災を機に再結成され、トリプル・ギター編成の5人組となってから2作目となるフル・アルバム。英語詞と日本語詞が混在した歌詞と緻密なサウンド・プロダクション。耳に飛び込んでくる楽曲は厚みがあり、轟音でありながらも繊細さも感じさせる。1曲の中で次々と飛び出す文句なしにかっこいいギターのフレーズは多様で、この編成ならでは。冒頭の英詞曲「DELIGHT」から次曲「夜に這う」のイントロに続く流れはライヴ感満点だし、ロック・ミュージックの興奮を体現しているバンドらしい硬派な楽曲が並んでいるアルバムだ。そんな中にあってロマンティックでナイーヴな感性が歌われる「星くずと少年」がより際立って耳に残る。
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ZIGZO
FOREVER YOUNG
今年7月1日でメジャー・デビューから15周年となるバンド、ZIGZO。途中、解散後しばらくのブランクを経ているだけに実質的な活動期間は短いが、ここにきて改めてその存在感を示すフレッシュなアルバムとなっている。LEDZEPPELIN、RAGE AGAINST THE MACHINEを思わせるイントロに身を乗り出してしまう「渦」、「少年の足跡」、アルバム表題曲「FOREVER YOUNG」など、ギター・ロックでありながら無駄にやかましくなく、しっかり地に足がついた大人のロックが並ぶ。高野哲がうつみようこ、佐藤タイジとのアコースティック・ユニット"インディーズ電力"の活動で得た包容力がフィードバックされているようだ。2ndシングル「ひまわり」を新録音しているのもファンには嬉しい。
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ZOLA JESUS
Taiga
これまでダーク・ウェイヴやゴシックの文脈で語られてきた彼女のイメージからすれば、現代の広義なエレクトロポップに寄った今作の質感は大きな変化かもしれない。アメリカ生まれながらロシアの血を引き、学年を飛び級した才女も今年で25歳。リード・トラックの「Dangerous Days」のビート感を耳にすると、かなりポピュラー路線にハンドルを切った印象だが、ロシア語で"針葉樹"を意味するタイトル・トラックなど他のトラックでは、ミニマルに削ぎ落としたSF映画のサントラ、例えばSteven Priceの音楽に、Zolaのどこまでも人を射抜くような意志的なヴォーカルにフォーカスした、ジャンルレスな楽曲が大半を占める。アクは減退したけれど、ヴォーカリストとしてはLORDEらと並ぶ存在感を本作で打ちたてるのでは。
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ZOLA JESUS
Conatus
鬼才と呼び声の高いZOLA JESUSの日本デビュー・アルバム。このアルバムを聴いた途端、ある風景が1枚の写真のように頭の中に閃いた。雪雲に覆われた重たい夜空と冷たい風が吹きすさぶ大地。行ったことはないのだが、北欧を彷彿とさせる風景である。ポストBjörkと言われれば、なるほどと言わざるを得ない。そしてオペラ経験で培った声量と技術力のある彼女の歌が持つ圧倒的な存在感は、寒くて暗い世界の中で空に向かって輝く光の柱のようである。その静かな風景を切り裂くのは独特なビートであり、唯一無二の彼女の世界を創り出している。それはアートと言うに相応しく、その高い芸術性は今のミュージック・シーンでも一際異彩を放つ。寒い冬の夜に是非1人でじっくりと堪能して頂きたい。
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THE ZOOT16
Z16
TOKYO No.1 SOUL SETの渡辺俊美のソロ・ユニットTHE ZOOT16の初のベスト・アルバム。ロックが好きという人だって、レゲエを聴くこともあるだろうし、フォークを歌うこともあるだろうし、ラテンで踊ることもあるかもしれない。そして何かしら耳に留まる好きなフレーズだったりリズムだったりを見つけるだろう。人が好きな音楽というのはジャンルに縛られているわけではないのだ。このアルバムはそんな様々な音楽のいいとこ取りなのである。もちろん全部突っ込んだだけではバラバラになってしまうサウンドを、渡辺氏の歌う哀愁漂うメロディがしっとりと、けれど情熱的にまとめている。"気分はずっと16才"で作られた曲達だけれど、16才ではこんな深みは出せません!
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THE ZOOT16
ヒズミカル
TOKYO No.1 SOUL SET渡辺俊美のソロ・ユニットTHE ZOOT16による4枚目のアルバム。スパニッシュ、アイリッシュ・トラッドにスカ、レゲエにラテンとボーダーレスに様々な音楽をミックスするTHE ZOOT16。その音はあくまでダンサブルでスタイリッシュ。何でも呑み込み、独自の解釈を加えながら成長してきた日本という国、東京という街。東京の一面は、確実に自身の土着性を排除したところに成り立っているわけで、その姿はきっとこんな風に自由でどこか寂しげな摩天楼なのだろう。他者が持つ音楽的ルーツに対する憧れも都会の孤独も曝け出し、それでも口笛を吹きながら軽やかに踊る「ガスティアの夜」に到達した時、このアルバムのメッセージはピークに達する。もう言葉はいらない。さあ、踊ろう。
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ZOOT WOMAN
Things Are What They Used To Be
ここ最近では、「memory」が某有名恋愛シュミレーション・ゲームの動画にオマージュされ、話題を呼んだZOOT WOMAN。その繊細で抒情的なメロディと歌詞が、あまりにも切な過ぎるのだ。流麗なサウンドの中にも、ポップ・センス爆発な80年代レトロな電子音が連なる。アップ・テンポな勢いがパンチとなって美しく淡い世界観に刺激を与え、ダンス・ロックへと昇華していく。1st、2ndの流れをきちんと継承しながらも音の作りに幅が広がり、巷に広がるエレクトロ・ポップ・バンドとは一線を画している。さらにはNEW ORDERや、なぜかバックの音にオペラなどをごたまぜにしたKLAUS NOMIを一瞬彷彿とさせるものを感じにやりとしてしまう。非常に多彩な音が組み合わされたアダルトな音が溢れているのだ。
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zo-sun park
MAL FROM
"ワン!チャン!!2019"でグランプリを獲得した札幌の3ピース・バンドによる初の全国流通盤。THE LIBERTINESやOASISといったUKの成分を感じさせるサウンド・アプローチ、サイケ、ギター・ポップ、ニュー・ミュージック的なムード漂うメロディやギターの音色などを用いて、ゆるさとロマンを交錯させたり、バンドの一体感で硬派に攻めたりなど、掴みどころのないシュールな世界が広がる。インパクトのあるワードのリフレインとシンプルなメロディ、それらを引き立てるコーラス・ワークから生まれるポップでキャッチーな空気感の中で、それと相反するような人間の陰を描写した歌詞がいいアクセントに。ルーツを感じさせながら新しい音楽を生もうとする気概と、ひねくれたフレッシュさが瑞々しい。
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ZULU WINTER
Language
朝と夜の境目に漂う空気、群青の向こう側で少し空が白み始める時間。ロンドンで結成され昨年11月にDouble Denimからデビューを飾ったばかりの5ピース、ZULU WINTER(ズールー・ウィンター)のデビュー・アルバムは、そんな景色から滲み出したような幽玄な音像だ。Track.2「We Should Be Swimming」からも分かる通り、シンセサイザーやキーボード、ノイズを織り交ぜながらサイケな世界観を構築しつつ、小気味いいギター・リフとダンス・ビートが絡まる。“新人なんて嘘だぁ……”と思えるほど洗練されていながら、全編で貫かれているのは歌謡的で豊潤なメロディ。たおやかにしなってサウンドに沿うヴォーカルが、表情をわざと押し殺すように、ヒリヒリとしたサウンドの海を泳いでいく。その先で出会えるカタルシス、是非召しませ。
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