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DISC REVIEW

J

Everything Is New

JACK PENATE

Everything Is New

先行シングルであるバレアレックなダンストラック「Tonight's Today」をあるクラブで聴いた時、これがまさかJACK PENATEの新曲だとは思いもよらなかった。本人曰く「前作と同じインディっぽいレコードを作ることも出来たけど、そのシーンはもはや無いし、とにかく同じものを作っても意味ないと感じたんだ」と、まさにタイトルもその通り。プロデューサーにPaul Epworthを迎え、華麗に変身を遂げた新作は、バレアレックもサルサもカプリソも取り入れた、まさに大人のダンス・レコード。ADELEと共演している「So Near」では憂いある歌声でヴォーカリストとしての彼も堪能できる。ラストナンバーである「Body Down」が秀逸。THE HORORRSと並ぶ今年最高の2ndアルバム。

Glow

JACKSON AND HIS COMPUTERBAND

Glow

各種音楽メディアで高い評価を得た、前作『Smash』から約8年という月日を経て、満を持して今回、発表される『Glow』。DAFT PUNKやPHOENIXなどを擁するフレンチ・エレクトロ・シーンの肥沃な音楽的地表に育てられた、JACKSON AND HIS COMPUTERBANDは、そのシーンの全世界的な盛り上がりとは距離を置くかの様に沈黙を守ってきた。確かに、昨今のEDMともディスコ・リヴァイバルとも絶妙に異なる彼の音楽性を鑑みると、シーンの活況が一段落するまでは黙っておこうという気になったとしてもおかしくはない。基本的には前作までのスタイルを踏襲し、クラシック、ヒップ・ホップ、テクノ、レイヴ・ミュージックを咀嚼した、ハイブリッドなダンス・ミュージックになっているものの、サウンドの精度は前作を遥かに凌ぐものになっている。

Entering Heaven Alive

Jack White

Entering Heaven Alive

"FUJI ROCK FESTIVAL '22"にヘッドライナーとして出演したJack White。今年は、すでにアルバム『Fear Of The Dawn』を発表しており、今作は2022年2作目のアルバムになる。前作とは本来同時リリース予定だったらしいが、生産事情により発売時期がずれたようだ。それにしても、2作のギャップがすごい。ラップを入れたり、ポスト・パンク的なちょっと尖った90年代インディー、オルタナ臭を放っていたりした前作とは打って変わって、今作はブルース、ジャズの香りを残した古き良きロックを展開。それでいてどちらもJack Whiteらしさ全開なのだから脱帽だ。器用なソングライターの面と、自己プロデュース力のハンパなさが為せる業。本当に楽しませてくれるアーティストだ。

Boarding House Reach

Jack White

Boarding House Reach

Jack Whiteの新たな覚醒をアピールする3作目のソロ・アルバム。BeyoncéやA TRIBE CALLED QUESTとの共演がその前兆だったのか、大胆にヒップホップ、ファンク、ジャズに接近。そのうえでゴスペル、ジプシー・ジャズ、フォーク、クラウト・ロックといった多彩な要素を散りばめ、これまでで一番自由に楽曲を作り上げている。それでもJack Whiteという個性がこれっぽっちもブレないのは、アルバム全体をブルースとLED ZEPPELIN愛が貫いているからだろう。ジャム・セッション風のフリーキーな楽曲が大半を占めるなか、ラウンジ風のピアノ・バラードにアレンジしたドヴォルザークの「Humoresque」でラストを締めくくり、味わい深い歌の魅力を印象づける。

Lazaretto

Jack White

Lazaretto

ジャズ、ブルース、R&B、フォーク、カントリーといったアメリカの大衆音楽をネタに思いっきり楽しんでいるという意味では全米No.1になった前作と同路線と言えよう。しかし、2年2ヶ月ぶりとなるソロ第2弾は、より自由に楽しんでいるという印象。Jack流のラップやレゲエのリズムの導入など、さらなるアイディアの閃きも感じられる。ソロ・アーティストとして自覚が芽生えたことも大きいようだ。THE WHITE STRIPESの影は、ほとんど感じられない。前作発表後、ツアーを共にしてきたメンバーとライヴ・レコーディングを行い、その後、時間をかけて編集し、曲を練り上げたそうだ。ルーツに根ざしながら、決して型にはまらないブロークンな表現は、何が飛び出すかわからない面白さでいっぱいだ。

UNERU

Jake stone garage

UNERU

前作のフル・アルバムから1年を経て完成した新作はライヴ会場と配信限定リリースのミニ・アルバム。6曲中4曲が英語詞で歌われている。バラードはなく、冒頭の「freak me out」から、とにかくテンションが高い曲が続いて文句なしにカッコいい。"もしやインスト?"と思いながら聴き始めてしばらく経つと歌が出てくる「ゴールデンヒル」は、普段バンドがスタジオでセッションをしながら曲作りを行っていく様が目に浮かぶ。真骨頂のガレージ・ダンス・ロック「Liberal Arts」はスケールの大きなサウンドがライヴで映えること間違いなし。初期衝動のひと言では片づけられないバンドの結束力、演奏の熱、3人のバンドライフが自然に生み出してきた"うねり"がここにある。

Jake stone garage

Jake stone garage

Jake stone garage

心機一転、札幌から東京に拠点を移した3ピース・ロック・バンド、Jake stone garageが放つ2ndフル・アルバムは、新作リリースとしては約3年半ぶりという、タメの効いた珠玉のロック・ナンバーが並ぶテンションの高い作品。Track.1「Alice on edge」、Track.7「陽炎の夜」に代表されるソリッドなバンド・サウンドは、理屈抜きにカッコいい。観客の興奮と熱狂ぶりが浮かんでくるようなTrack.3「GOD LOVES YOU」やTrack.4「リビドー」の振り切ったダイナミズムにも、聴いているうちに身体が疼いて思わずライヴハウスに足を運んでみたくなるのではないだろうか。そうした破壊的にすら感じる激しい楽曲とは対照的に、包み込むように悲しくも優しいメロディを熱唱するバラードTrack.5「幻」が心を震わせる。

La Petite Mort

JAMES

La Petite Mort

6年の活動休止を経て、2007年に復活してからも精力的に活動を続けている6人組、JAMESによる11作目のアルバム。U2、THE SMITHSに続くバンドとして、90年代に一時代を築いた彼らだが、ここではその頃を彷彿とさせるニュー・ウェイヴ風味のロック・サウンドを基本路線としながらアコースティック・ナンバーからストリングスやホーンも使ったチェンバー・ポップまで、多彩な楽曲作りに挑んでいる。中でも彼らなりに現在のトレンドにアプローチしたとも言えるエレポップ・ナンバーは復活後の活動が決して懐古的なものではないことをアピールするものだ。もっとも、不世出のヴォーカリスト、Tim Boothが歌えば、どんな曲でもJAMES印になるのだろう。朗々と歌い上げるBoothの歌声が実に心地いい。

Back From The Edge

James Arthur

Back From The Edge

幼少期に両親の離婚を経験したというJames Arthurが荒んだ10代のエピソードと共にイギリス版"The X Factor"で優勝したのが2012年。1stアルバム『James Arthur』は全英2位を獲得するも、自身のSNS上での発言をきっかけにレーベル契約が切られ、一時はアーティスト活動休止に追い込まれていた。そんな彼が"Back From The Edge=崖っぷちからの帰還"と名づけたアルバムで再び音楽シーンへと戻ってきた。表題曲「Back From The Edge」を始め、決して幸福ではなかったバックボーンを象徴するように、陰りを帯びたダークなメロディが全編に漂うが、過去を悔い、救済を求め、再起を誓う自身のリアルを込めた13曲(国内盤は19曲)は、アーシーなサウンドに彩られて未来へ希望を託す本編のラスト・ソング「Finally」へと向かう。

Chaos & The Calm

James Bay

Chaos & The Calm

第58回グラミー賞の"最優秀新人賞"にノミネートされるなど、期待を集めるイギリス出身の新鋭シンガー・ソングライターの日本デビュー・アルバム。同作もすでに全英チャート1位を獲得、"最優秀ロック・アルバム"にもノミネートされているだけあって、さすがにクオリティが高く録音の良さも際立っている。微妙にハスキーな歌声はどこか儚げで、なお且つ情熱的に胸に迫ってくる。Track.2「Hold Back The River」は思わずグッと身を乗り出して聴きたくなるくらい惹きつけられてしまった。アコースティック・ギター中心のサウンドだが、これだけ歌の表現力があれば今後の作品でいろんなアレンジが試せるのではないだろうか。3月に控える初来日公演が楽しみだ。

Movement In A Storm

James Yuill

Movement In A Storm

昨年末の来日では素晴らしいライヴを観せてくれたJames Yuillから2ndアルバムが到着。胸を打つアコースティク・サウンドとエレクロ・ビートの融合は更なる進化をみせ、リード・トラックである「Crying For Hollywood」で見せるバレアリックなサウンドの展開はJames Yuillの新たな挑戦を象徴している。傑作の1stと変わらぬメロディ・センスは健在で、高揚感は今作の方が上。エレクトロ色は多少強くなった気もするが、サウンドは尖った所がなくはっきりしていてむしろ優しくなった印象。Tシャツ姿だったアート・ワークも今作はフォーマルになっている事から大人になったアルバムとも言えるかも。進化がはっきりと現れた素敵な2ndアルバム。

DANCING IN SWEET ADVERSITY

Jam Fuzz Kid

DANCING IN SWEET ADVERSITY

メンバー・チェンジを経てリリースされる2nd EP。一貫してUKギター・ロックへのリスペクトを感じさせる、彼らのこれまでの楽曲の中でも異色なオルタナ・テイストの強い「KABUKI」を、1曲目にバーンと出してくるのが逆にJam Fuzz Kidっぽいと言えるのかもしれない。挑戦的な歌詞とクロスオーバーなグルーヴが勢いのあるメロディに乗って、なんだかワクワクさせてくれる1曲だ。そのあとに続く「anomie」が期待通りのブリットポップ・サウンドに落ち着くのも、緩急があっていい。リード曲という扱いなのはテクニカルなギターが際立つ「Shimmer」だが、ミドル・テンポの「Wheels」も含め、どの曲がリード曲でもおかしくない、盛りだくさんな内容だ。

GOAT

Jam Fuzz Kid

GOAT

平均年齢21.8歳の東京の5人組が結成から2年でリリースする堂々の1stフル・アルバム。OASISをはじめとする90年代のUKロックをバックボーンに大音量で鳴らすロックンロールという意味では、前作(1st EP『Chased by the sun』)と変わらないものの、全13曲収録ということでストリングスやピアノも使った王道のバラード、エクスペリメンタルなインスト、アコースティック・ギターの弾き語りといったある意味、変化球も交え、今回はバンドが持つスケールのデカさをアピールしている。ギターの音色も轟音だけにとどまらない広がりが出てきた。緩急自在に直球勝負を挑みながら、歌メロやリード・ギターのフレーズに滲む泣きの要素がナチュラル・シュートのように効き始めたところも聴きどころだ。

Chased by the sun

Jam Fuzz Kid

Chased by the sun

現在のシーンに窮屈さを感じているのか、ここ数年の間に生まれたトレンドとは別のサウンドを求めるバンドが、増え始めた。この平均年齢20歳の5人組も、そのひと組。彼らが結成からわずか1年で大きな存在感をアピールし始めたのは、90年代のUKロックをバックボーンに大音量で鳴らす、ロックンロールのスケールのデカさもさることながら、少なくない人が、"こいつらならシーンにどデカい風穴を空けるに違いない"と期待しているからだ。堂々の全国デビューを印象づける全6曲収録の1st EP。OASISからSEX PISTOLSに遡ることもできる、大音量のギター・ロック・サウンドとキャッチーなポップ・メロディに乗せ、彼らは苛立ちと共に"俺たちの時代を取り戻すんだ"、"革命を始めるんだ"と歌う。

Pursuit

JAMIE CULLUM

Pursuit

UKジャズで最も売れたアーティストとしても有名なJAIMIE CULLUMが4年振りに新作をリリース。ジャズという括りではまったく収まらない彼の魅力は今作でも溢れており、JEFF BECKとのライヴでの共演もあったようにアグレッシヴな側面も、また踊り出したくなる様なポップな路線の曲も健在でバラエティに富んでいる。しかし今作の基本的なトーンであるのはRIHANNAのカヴァー「Don't Stop The Music」で魅せるロマンティックな世界観である。ピアノを爆破させているジャケットから路線変更を予想したが、彼の根底に流れるものは変わっていないようだ。センスの良い彼だからこそ作り得た安心の1枚。

Compass

JAMIE LIDELL

Compass

前作『Jim』のポップでソウルフルな作風からまた一歩先へと踏み込んだ意欲作。特に今作はプロデューサーを務めたBECK とのコラボレーションを含めアコースティックな側面や実験的な側面を持つとてもパーソナルな作品だ。しかし、前作同様彼のエンターテイナーとしての魅力も満載で緻密なプロダクションから繰り出されるエレクトロ・ファンク・サウンドと変幻自在のヴォーカリゼーションの組み合わせは至福の心地良さ。Michael Jacksonを意識したと語るアップ・ビートなナンバー「Enough' s Enough」は今作のハイライトの一つ。1ヶ月で一気に作り上げたという事もこの作品に勢いとダイナミズムを与えた要因だろう。進化を恐れない2010年のサウンド・ジャーニー。

Kings & Queens

JAMIE T

Kings & Queens

UK版BECKとも謳われるJAMIE Tのセカンド・アルバムがいよいよ日本発売となる。2007年に発表されたファースト・アルバムは天才誕生を予感させる傑作で、本国では賞賛を持って迎えられたが、残念ながら日本ではほとんど相手にされなかった。JAMIE Tは、日本とUKの温度差がかなり大きいアーティストの一人だ。サンプリングも駆使した遊び心満載のドリーミーなトラックや、ヒップホップからテムズビートまで自由に行来するビート、ラップと語りと歌の間を行き来するような独特のメロディ・ライン。このセカンド・アルバムではそのしなやかなセンスにさらに磨きがかかり、ファースト以上に風通しのよいポップネスを獲得している。ようやく、JAMIE Tという天才が日本に本格上陸する。

YUMEMINA PARADE

Jano

YUMEMINA PARADE

京都発3ピース・バンドの2ndミニ・アルバム。間にシングル、EPもリリースしているものの、ミニ・アルバムとしては前作『細胞ディスコリウム』からおよそ5年ぶり。「メランコリックサバイバー」を聴くと、昨今の四つ打ちダンス・ロック的なバンドがまた出てきたと思われてしまいそうだが、彼らは前作でも同様のダンス・ミュージックを実践しており、時代が彼らの周りで移り変わったと言っても過言ではない。同曲冒頭でのEDMを思わせるシンセのリフレインは、そんな時代とバンドの変化も表しているようで興味深い。タイトルと裏腹にオールドスクールなピアノとグルーヴィなベースがクールな「Hi-Fi Monster」や疾走感溢れる「コエルエイジ」など、鍵盤の使い方で曲の表情を変えているのが面白い作品。

Psychopomp

JAPANESE BREAKFAST

Psychopomp

フィラデルフィアを拠点として活動するインディー・ロック・バンド LITTLE BIG LEAGUEの紅一点にしてフロントウーマンであるMichelle Zaunerによるソロ・プロジェクト、JAPANESE BREAKFASTがUSレーベル"Dead Oceans"よりデビュー・アルバムをリリース。アメリカではすでにリリースされており、Pitchforkなど数々の音楽メディアからの高い評価も獲得している。Track.3「Rugged Country」で聴ける気怠いヴォーカルをローファイなギター・サウンドに乗せて歌う雰囲気は、初期のBECKを彷彿とさせる。表題曲でインストのTrack.5「Psychopomp」は、"霊魂を死後の世界に運ぶ者"の意。オリエンタルなTrack.6「Jane Cum」、Track.7「Heft」など、どんどん深い世界に入り込んでいくような本作は、アルバム・ジャケットに登場している亡き母を想って作られたそうだ。

Mystical Magical Rhythmical Radical Ride

Jason Mraz

Mystical Magical Rhythmical Radical Ride

Jason Mrazが3年ぶり通算8作目となるアルバムを発売した。前作ではレゲエという分野も開拓し、自身の新たな可能性を引き出した彼だが、今作は純粋なポップ・アルバムとして、ポップ・センスに磨きをかけた形だ。ファンキーなビートの効いたダンサブルな楽曲、甘い歌声にとろけそうなスロー・ナンバーなど、カラフルに彩られた収録曲はどれも粒揃いで魅力的。特にTrack.2は、早口に刻むヴォーカルがひとつの楽器のように曲に馴染み、自然と身体が動くようなグルーヴが印象的なナンバー。この作品はマジカルでミステリアスで過激な人生を乗りこなすためのサウンドトラックだ。自身の変化に富んだ人生をポジティヴなポップ・ソングに昇華させた本作で、彼はソングライターとしてさらなる成長と、衰えない創造性を感じさせてくれた。

No Más

JAVELIN

No Más

2005年、ヒップホップ・エレクトロをベースとして結成された従兄弟ユニット、JAVELIN。現在はブルックリンを拠点に活動する彼らの初となるフル・アルバム。本作はヒップホップ、エレクトロ、インディー・ポップなどなど様々な要素が詰まった、音のコラージュ・アートのような作品だ。鍵盤やギターなどは勿論、ターンテーブル、バイオリンのような弦楽器、フルートのような吹奏楽器など、楽器の種類も多種多様。だが全体的にUSインディーを彷彿させるようなローファイ・テイストに仕上がっているため、不思議な統一感がある。ファルセットの効いたヴォーカルがまた音とよく溶け合い、インストでも歌モノでもない曖昧で心地良い気だるさを醸し出す。理屈不要の音楽。これぞポップスの織り成す醍醐味だろう。

epsilon

JAWEYE

epsilon

エレクトロ・サウンドとロック・サウンドを掛け合わせたスタイルを確立し、それを歌詞やライヴなどから溢れ出る"人間味"と組み合わせた"ヒューマナイズ・エレクトロ・ロック"を標榜する5人組が、およそ2年半ぶりの新作となる5thミニ・アルバムをリリース。オープニング・チューンの「selfolic」をはじめ、パワーアップしたヘヴィでバキバキな楽曲が続く中で、新たな始まりを告げるかのような、ピュアに突き抜けた楽曲「On the ice」も顔を出す。ジャケットは盟友SEPTALUCKのJunichi Uchino(Dr/Cho)が担当し、トライアンパサンディのG-YUN(Vo/Gt)が「FIREWORKS」に参加するなど、仲間たちと作り上げた1枚には、バンドが一歩一歩積み重ねてきた歴史も封じ込められている。

Humanizer

JAWEYE

Humanizer

前作『ALTERNATIVE WORLD』から2年を経た。この間にメンバー交代やレーベルを離れるといったことがあったが、音楽性を磨き上げていくことは継続しながら、新たに自身のレーベルを立ち上げて、今作のリリースに至っている。エレクトロなサウンドとロックでへヴィなバンド・サウンド、そのミックスの比重を変えるのではなく、いずれの濃度も量も増量する方法で、JAWEYEは進化を遂げている。フロントマン上田浩平(Vo/Gt)のキャッチーなメロディと、過ぎ行く時へのセンチメンタルがありながらもしっかり前を向いているエモさ満点の歌詞も磨きがかって、バキバキのEDMサウンドとともに爆走していく。キャリアを推し進めながらも、音やバンドに対するピュアな衝動感をエンジンにしていることだけはどうやら不変のようだ。

ALTERNATIVE WORLD

JAWEYE

ALTERNATIVE WORLD

前作『PULSE』のリリースから約1年、JAWEYEが3rdミニ・アルバムをリリース。近頃は、大型イベントへの出演やSiMのツアー・サポートが決定していたりとジャンルを超えた活動が目立つ彼らだが、今作はそのサウンド面での意欲が全面に表現された密の濃い作品に仕上がっている。なかでもタイトル・トラックである「Alternative World」は、ラウドロック・テイストの重厚なサウンドがプラスされつつも、JAWEYEらしいシャープなデジタル・サウンドがなんとも爽やかに交錯したダンサンブルなナンバーだ。進化した彼らの最新のサウンドを感じずにはいられない7曲。ライヴでどのように化けるのかも気になるところである。

PULSE

JAWEYE

PULSE

結成から2年、マニュピレーターを擁する5人組ロック・バンドJAWEYEの1stフル・アルバム。これまで培ってきたJAWEYE流エレクトロ・ロックは瞬発力を増し、バンド・サウンドとデジタル・サウンドはより強く花火を撒き散らすようにぶつかり合う。ボーカロイドの手法を取り入れたヴォーカル・アプローチが衝撃的な「Lost Control」、JAWEYE流バラード「ASPIRIN」、サンバ調のリズムが新鮮な「MINUS」、等身大の歌詞が光る「オートメーター」と、バンドの新たな側面を多角的に見せる。メンバー自身が体を動かして作ったというだけあり、踊れるという要素もより強くなっている。“自分たちがやるべき音楽”が追求された、非常に素直で頼もしい作品だ。

STARGAZER

JAWEYE

STARGAZER

全国各地で精力的なライヴ活動を続ける5人組ロック・バンドJAWEYE。2010年の結成以来、2枚のミニ・アルバムを経てリリースされるシングルは、3曲入りミニ・アルバムと言っていい充実のボリューム感。瞬発力のあるデジタル・サウンドと、パンクやエモ、メロコア、ギター・ロックを取り込んだ生々しいバンド・サウンドが交錯する。そして、どの曲にも共通するのは華やかでキャッチーなメロディ。上田浩平(Vo&Gt)のハイトーン・ヴォイスが、そのラインを美しくなぞる。巧妙でドラマティックな展開はよりメロディを際立て、そのスケール感は謎多き宇宙に解き放たれるようにスリリングだ。膨らみのある鋭さが特徴的なTrack.3「MURAKUMO」は、詞曲共に日本のバンドならではの感性で彩られている。

Feel Something

Jaymes Young

Feel Something

Ed Sheeran、Andrew McMahon、Austin Mahone......世界で活躍する存在はひと握りで、特に男性ソロ・アーティストは非常にニッチな存在だったりする。そしてその大半は地道な下積みを経てブレイクしていくのだ。シアトルの若き男性SSWのJaymes Youngも2013年のデビューから、途中David Guettaとの邂逅を挟むも、今年ようやくこのフル・アルバムに辿り着いた苦労人である。その苦節は実を結び、エレクトロなサウンドを基調に丁寧なR&Bマナーとメジャーな響きを掛け合わせたニュー・ミュージックとして実に画期的。次にブレイクする可能性は誰にでもあるが、Track.1終盤で訪れるベッドルームとビルボードが繋がるその瞬間、スタジアムで歌う彼の姿を想像した自分を裏切らない結果を今後見せてほしい。

革命エントランス

Jeepta

革命エントランス

今年の4月にリリースされたメジャー・デビュー・シングル『日進月歩』で“絶えず進み続ける”と高らかに歌い上げたJeeptaが、その言葉通り早くもファースト・アルバムをリリースする。セカンド・シングル「理想郷」に代表される、非常に立体的で、疾走感ときらめきを感じられるスマートで躍動的なギター・ロックが炸裂。「 革命エントランス」というタイトルは単なるビッグ・マウスではない。彼らが自分達の音楽に確固たる信念と自信を持ち、それを武器に次々と道を切り開いていく。自分の身を守ることで生き延びる者が多いこの世の中で、その勇者さながらの攻めの姿勢を崩さない果敢さは非常に痛快だ。“革命の入口”の扉を開けた彼らがこの先作り出す“未来”に期待をせずにはいられない。

理想郷

Jeepta

理想郷

2004年千葉県にて結成し、勢力的にライヴ活動を行い自主制作盤やインディーズ・レーベルから数々の作品を発表してきた4人組ロック・バンドJeepta。 2010年4月シングル『日進月歩』でメジャー・デビューを果たした。今作のシングル『理想郷』は力強くて爽快感が感じられるギターのサウンドに、それぞれ の理想郷を探し求めている人達への応援歌となっている。迫力あるヴォーカル石井の歌声にも注目だ。ちなみに今回「理想郷」のビデオクリップは、メンバー4人とエキストラ・バンド12名の総勢16名が出演。全方位ミラーをカメラのレンズ前に装着して撮影されており、11 テイク分の撮影を一つに繋いで、まるで 360 度回転しているように見える。ちょっと不思議で斬新な仕上がりだ。

日進月歩

Jeepta

日進月歩

千葉で2004年に結成、関東を中心にライヴ活動を行い、昨年には初のフル・アルバム『傾向と対策』をリリースし、主要フェスや数多くのイベントにも出演するなど、一気に活躍の場を広げつつあるJeeptaがメジャー・デビュー・シングルをリリース。ポスト・パンク的な鋭角性とエモーショナルな歌が特徴的な彼ら。ソリッドかつダイナミックなギターと直線的なリズムが引っ張る疾走感に溢れたエネルギッシュな表題曲「日進月歩」は、映画『最高でダメな男 築地編』の主題歌としても取り上げられている。また、カップリングには叙情的なナンバー「向こう」と、これまでのJeepta となっている「リコール」「フレグランス」など代表曲を含む全8曲、35分にも及ぶライヴ音源も収録されている。

We Are The Champions

JEFF THE BROTHERHOOD

We Are The Champions

元BE YOUR OWN PETのメンバーである兄弟が結成したサイケ・ガレージ・ロック・デュオの日本デビュー盤。THE WHITE STRIPESのJack Whiteのレーベルからライヴ盤をリリースしたり、BEST COASTとスプリット・シングルを発表するなど話題に事欠かない二人だが、そんな前情報も吹き飛ばす豪快で力技なガレージ・パンクがこのアルバムでは展開される。見た目はJETを彷彿とさせる様なハード・ロックな出で立ちながら、キャッチーなフックと耳に残るポップなメロディが満載。サウンドもロー・ファイを基本としながらパンキッシュでジャンク感のある仕上がりで、とにかくパワフルな一枚だ。轟音ライヴも好評とのことなのでぜひ来日を実現させて欲しいところだ。

JELEE BOX

JELEE

JELEE BOX

オリジナルTVアニメーション"夜のクラゲは泳げない"に登場する匿名アーティスト JELEEの楽曲を収録したミニ・アルバム『JELEE BOX』がリリースされた。本作では山ノ内花音役の高橋李依が歌唱、人気ボカロPの40mPが作詞作曲を担当。JELEEが初めて創り上げた楽曲「最強ガール」をオープナーに据え、物語の舞台である渋谷をテーマにした「渋谷アクアリウム」や、ED主題歌「1日は25時間。」のカバーなどが収められている。また、花音がかつて所属していたアイドル・グループの楽曲であり、物語が動き出すきっかけになる1曲「カラフルムーンライト」の弾き語りver.が、(インストを除けば)実質的な本作の最終トラックとして収録されているのも"ヨルクラ"ファンには堪らないだろう。

JELLYFiSH FLOWER'S II

JELLYFiSH FLOWER'S

JELLYFiSH FLOWER'S II

エモーショナルなロック・サウンドと深い表現を追求した日本語の歌詞が支持されていたGENERAL HEAD MOUNTAINの元フロントマン、松尾昭彦が率いる宮崎在住トリオ、JELLYFiSH FLOWER'Sによる1stフル・アルバム。ノスタルジックなところもある日本人情緒と骨太かつモダンなロック・サウンドが1つに溶け合い、不思議な魅力を放っている。ギターは福岡のWEEZERと謳われたHOLIDAYS OF SEVENTEENの元メンバーと聞き、思わず納得。パンクからフォークまで幅広いバンドと対バンできるに違いない(っていうか、実際対バンしている)シンプルな演奏が際立たせる歌の力が見事。一聴しただけで耳に残る個性的な声質も彼らの大きな武器だろう。中島みゆきの「糸」のカヴァーもハマッている。

I Know What Love Isn't

Jens Lekman

I Know What Love Isn't

音楽が資本主義から解き放たれていく昨今、もはやポップ・ミュージックの“ポップ”という言葉をセールスやチャートのみで定義づけることはできない。今や音楽の価値は貨幣価値だけでなく、アーティストとリスナーの間で自由に形作られていく(まぁ、本来音楽とはそういうものだと思うが)。そんなことを考えていた最中、スウェーデンの天才SSWから届いた5年ぶりの新作は、何にも変えがたい音楽の価値を私に見出させてくれた。アコギやピアノを主体としたアコースティックなサウンドは芳醇なワインのように味わい深く、その歌声は大切な友人から届くメールのような親密さに溢れている。1音1音が語りかけてきて、この作品を聴いている間、自分が音楽と結ばれるのを実感する。個人的には年間ベスト級の大傑作。

Fractured Holy Symmetry

Jesse Ruins

Fractured Holy Symmetry

UK、USでのリリース、さらにはフランスのDesire Recordsからヨーロッパ・リリースも果たし、海外メディアからも絶賛されている逆輸入バンド、Jesse Ruinsの新作。「Ⅰ」「Ⅱ」......「Ⅵ」とタイトルが付けられた僅か1分強の短編曲の狭間に、海外のSOFT METALSから、日本で活動するDiane Halls、Naliza Moo、Radio Friendsと幅広いアーティストたちが手掛けたリミックス音源を収録。MY BLOODY VALENTINEを彷彿とさせる淡いヴォーカルと、もやっとした音像に、浮遊感のあるビート、アンビエントなサウンドを組み合わせたような印象。WASHED OUTやNEON INDIANといったチルウェイヴ好きには堪らない作品。

Shaka Rock

JET

Shaka Rock

冒頭を飾る「K. I. A. ( Killed In Action)」、「She’ s A Genius」と序盤から、セカンド・アルバム『Shine On』のセンチメンタリズムから離れたことを告げる、ファースト・アルバム以上に骨太なロックンロール。その後も、重心を落としたヘヴィなグルーヴが唸る「Black Hearts(On Fire)」や美しいピアノをフィーチャーしたバラードがパーカッシヴなロック・チューンに変貌していく「Walk」、AC / DC が現代に蘇ったような「Start The Show」、美しいバラード「She Holds A Grudge」と、ヴァラエティに富んだ楽曲が並ぶが、そのどれもが圧倒的なエネルギーを放っている。まさに今のJET にしか作りえない、王道ロックンロール・アルバムだ。

Prisoner

THE JEZABELS

Prisoner

わずかEP3枚しかリリースしていなかったにも関わらず、SXSW(US)、The Great Escape Festival(UK)、BIGSOUND(AUS)などを筆頭に数々の有名フェスに出演し、今話題のシドニー出身の男女4人組ロック・バンド。母国のiTunesチャートで1位を獲得した「Dark Storm」を含む待望のデビュー・アルバムを遂にリリース!特筆すべきはヴォーカリスト、Hairy Maryの歌声である。PJ Harvey、Kate Bush、Bjorkなどの名だたる歌姫を引き合いに出される彼女の声はとてもピュアで驚くほど表現豊かだ。特に「Dark Storm」と「Easy To Love」は聴いた瞬間、思わずハッとするほど彼女の持つ魅力が存分に発揮されている。

Surviving

JIMMY EAT WORLD

Surviving

エモの代名詞としてシーンを牽引してきたJIMMY EAT WORLDが、ついに今年デビュー25周年を迎えた。四半世紀という年月は、デビュー当時に生まれた赤ちゃんが、もう立派に社会人していて、なんなら子供がいてもおかしくないほどの長い年月だが、このJIMMY EAT WORLDというバンドの瑞々しさはどうだろう!? ほとんど奇跡に近いんじゃないか。10枚目となる今作は、様々なチャレンジを見せた前作と比べ、ストレートなロック・ソングが多く、ファンを驚喜させるJEW節のキャッチーでピュアなメロディが満載。さらに、人生経験を積んだ彼らにしか描けないメッセージや、音楽的ギミックも伴って、変わらぬスタンスで輝き続けるバンドの実力を再確認させられる作品となった。

Integrity Blues

JIMMY EAT WORLD

Integrity Blues

前作から3年ぶりにリリースした9作目のアルバム。シンセ・ベースを使った1曲目の「You With Me」を聴いただけで、新たなサウンドを求めたチャレンジングなアルバムだということはわかる。彼らを彼らたらしめている、切ないとも美しいとも言えるメロディは健在だが、彼らの代名詞とも言える「Sweetness」のようなエモーショナル且つストレートなギター・ロック・ナンバーは全11曲の中で、Track.9の「Through」しか収録されていない。その他の曲の、空間というか、音響を意識したポスト・ロック的なアプローチをどう受け止めるかが本作に対する評価を決めるポイントだ。中にはポスト・パンク/ニュー・ウェーヴ的なアプローチもある。結成から20余年。彼らが挑んだ新境地は刺激的且つ新鮮だ。

Damage

JIMMY EAT WORLD

Damage

エモの第一人者とも言えるJIMMY EAT WORLDが8thフル・アルバムをリリース。前作『Invented』から3年振りとなる本作は、Jim Adkins(Vo/Gt)いわく"大人の失恋"をテーマにしているとのこと。そのテーマ通り、大人の落ち着きがありながらも非常に甘酸っぱいナンバーが並ぶ。エモい音色にアコースティック・ギターを大胆に取り入れることで楽曲は更に膨らみを増し、煌びやかに。そして何より、軽やかだが涙腺をくすぐる泣きメロも、ひとつひとつに丁寧に熱が込められた音も、ひたすらにフレッシュだ。まさか活動20周年を迎える節目である2013年に、こんな作品を届けてくれるとは!リアルタイムで彼らを追い続けているリスナーにもそうでない世代にも、優しく、新鮮に響く1枚だ。