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DISC REVIEW

Q

光福論

クアイフ

光福論

"絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド"を掲げる男女3人組の3rdシングルは、愛をテーマにした表題曲とカップリングの「アイノウ」の2曲を収録。森 彩乃(Vo/Key)が"何をするにも結局は「愛」だよなあ!"と感じているなか、愛する中華料理をテーマにしたTVアニメ"真・中華一番!"のオープニング主題歌のタイアップが決定。そして、書き下ろしたのがポジティヴな意志を歌い上げる表題曲なんだそう。疾走感溢れる音数を削ぎ落した演奏の中で、クアイフらしいアクロバティックなプログレ感覚が炸裂する。そして、バンドの地元である愛知をテーマとタイトルにした「アイノウ」は、ストリングスもフィーチャーした王道のバラードと思わせ、最後はシンガロングとともにアンセミックに盛り上がる。

URAUE

クアイフ

URAUE

"URAUE"="裏表"という言葉の背景には、本当は隠しておきたい感情をも曝してしまおうという想いがあったらしく、かなり大胆な本作。例えば、「いたいよ」のヴォーカルは一瞬森 彩乃ではないみたいに聴こえるし、「クレオパトラ」はテーマからして斬新だ。新機軸を打ち出す作品ではあるが、これまでを捨てたわけではないというのも特筆すべきポイントだ。「Parasite」の音像はギターレス編成を生かしたものだし、メジャー・デビュー以降の"誰にでも届くポップ・ソングを"という姿勢は、「桜通り」の美しさに反映されている。一通り聴いたあと「337km」に戻るのもおすすめ。新東名を疾走し、朝焼けを迎えにいく描写は、変わらずに変わることを選んだバンドの姿そのものだ。

POP is YOURS

クアイフ

POP is YOURS

2017年11月にメジャー・デビューをした愛知県出身の"絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド"が2枚のシングルを経てリリースするメジャー1stアルバム。公式コメントで"「あなたの一部になる」ということにすべてを捧げた作品"と語っているとおり、現代を生きる人々のささやかな日常や、胸に湧き起こった感情を鮮やかに色づける楽曲が揃った。様々なアレンジャーと手を組んだことにより、ホーンやストリングスを用いたアレンジや、バラードからアップ・チューンまで幅広いサウンド・アプローチに成功している。特に「こだまして」の各楽器のリズムを生かした細やかなアンサンブルは秀逸だ。感傷的な楽曲をほのかな湿度を残したうえで爽やか且つ力強く歌い上げるヴォーカルに、バンドの持つ優しさが滲む。

ワタシフルデイズ

クアイフ

ワタシフルデイズ

表題曲の「ワタシフルデイズ」もカップリングの「未来emotion」もいわゆる応援ソングであり華やかなアッパー・チューン。よくよく聴くと歪なコード進行をしている箇所があるのが面白い前者と、シーンを切り替えるように転調を重ねる展開が疾走感を演出する後者。聴いたときの感触は両者で大きく異なるが、どちらも歌詞で描かれている"これまでの自分自身を信じて未来を切り拓いていこう"というメッセージとリンクするような、サウンド面での工夫がなされている点は共通だ。昨年11月にリリースしたメジャー・デビュー・シングルに表れていた"誰にでも届くポップ・ソングを"という姿勢は2ndシングルである本作でも健在。この路線で戦っていくことが、彼らの選んだ道なのだろう。

愛を教えてくれた君へ

クアイフ

愛を教えてくれた君へ

名古屋発の3ピースが本作でメジャー・デビュー。表題曲は、煌びやかだが音の隙間を際立たせたアレンジで凛と張り詰めた空気を演出。"大切な人に本当に伝えたいこと"という奥の深いテーマに挑戦した内田旭彦(Ba/Cho/Prog)と森 彩乃(Vo/Key)共作の歌詞も注目の1曲だ。そしてカップリングの「セツナロマンチック」は造語の語感とリズムを活かした疾走感溢れるナンバー。前作収録の「snow traveler」同様の冬ソングだが、その印象は大きく異なる。メジャー進出を機に"絶対的、鍵盤系ドラマチック・ポップ・バンド"と名乗っているが、いい意味で鍵盤にこだわりすぎている印象は薄く、アプローチの幅広さは健在。ピアノを含めた各楽器が互いの歌心を引き立てるために働いているような印象だ。

snow traveler

クアイフ

snow traveler

今年4月にリリースした2ndミニ・アルバムで音楽的アプローチを広げたQaijffが、さらに新境地を開拓した。表題曲となるTrack.1は切ない冬を彩る、Qaijff初の具体的なストーリーが綴られた失恋ソング。チャペルやウインドチャイム、ソフトなコーラスなど、クリスマスを彷彿させるサウンドと、ピアノというウワモノが煌びやかで、白い吐息の温もりのような包容力のある女性らしいヴォーカルも耳心地がいい。Track.2は前作の延長とも言える、力強くスケールのある楽曲。バンド史上初のツイン・ペダルが導入されるなど、前作以上に各メンバーの個性が反映されたものになった。ドラムのヘッドが揺れる音やペダルを踏む音なども聞こえる録音も、楽曲の持つ温もりを増幅させている。

Life is Wonderful

クアイフ

Life is Wonderful

2012年、音大クラシック・ピアノ科出身の森 彩乃を中心に結成された愛知県出身の3ピースによる2ndミニ・アルバム。前作『organism』から格段に情感やギミック豊かになった、ふくよかさを感じさせる作品だ。テクニカルで迫力あるリズム隊と優雅なピアノ、しなやかなヴォーカルと煌びやかなプログラミングで力強く突き抜けるQaijff印の楽曲を、さらに進化させたTrack.2はバンドの遊び心が加速した新機軸。柔らかい印象の上モノと緊迫感のあるドラムのコントラストが効果的なTrack.3、ライヴのシンガロングも想像できるコーラス・パートも壮大なTrack.4、美しい海の中を漂うような浮遊感が心地いいTrack.5と、どの曲にも母性に近い温もりがある。バンドの武器を最大限に磨いた意欲作。

Warrior Soundsystem

THE QEMISTS

Warrior Soundsystem

今年2月にアルバム『Warrior Sound』をリリースし、日本でヘッドライン・ツアーを敢行したイギリス・ブライトン出身のTHE QEMISTS。このニューEPはアルバムの延長線上にある作品で、バキバキにラウドなビートで攻め立てる「Stepping Stones」に始まり、共にツアーを回ったKORNのカバー曲「Blind」やリミックスなど全6曲を収録。インダストリアルでブルータルなビートを軸に、ノイジーなエレクトロ・サウンドが展開する1枚だ。アッパーな攻撃性はもちろん、KORNの持つ陰鬱とした、地の底から揺るがすパワーをTHE QEMISTSとして表現した「Blind」での、殺伐としたムードがハマッている。個人的にはこのダークネスや、彼らならではのひんやりとした鋭さをさらにエレガントに突き詰めてほしいところがある。そして、その気配も感じるEPでもある。

Warrior Sound

THE QEMISTS

Warrior Sound

2009年にデビューするやいなや、THE PRODIGY直系の大型新人として脚光を浴びたイギリスはブライトン出身のダンス・ロック・アクト、THE QEMISTS。その彼らがライヴ・メンバーだったMCとヴォーカリストを正式メンバーに迎え、前作から6年ぶりにアルバムをリリース。ミクスチャー・ロックをベースにドラムンベースなど、最新のダンス・ミュージックにアプローチしながら、彼らが作り出してきた暴れることもできるダンス・ロック・サウンドにEDM由来の高速ビートを取り入れ、さらに進化を遂げている。映画"ターミネーター:新起動/ジェニシス"のワールドワイド版トレーラーに使われた「Run You」に加え、2013年にシングルとしてリリースした「No More」も収録。6年待った甲斐があると言える充実作だ。

Join The Q

THE QEMISTS

Join The Q

ここ数年の新人バンド中で、一番といっていいほどの衝撃を与えてくれたのはこのバンドだった。イギリス出身の3人組、THE QEMISTS。ドラムンベースを基調に、ダブ/レゲエなどの要素を加えつつ、ロックバンドらしい生々しさをそこかしこに漂わせている。音数が多く、全体的にハードなので、ガツンとしたラウドロックが好きな人にはもちろん、近年のラウドロックが好きでなくても、RAGE AGAINST THE MACHINEやASIAN DUB FOUNDATIONは好き!というインディーロックリスナーにも間違いなく受け入れられる力のある作品。オリジナルのヴォーカルメンバーはおらず、多数のゲストヴォーカルを迎えているが、特に元FAITH NO MOREのMike Pattonが参加した『Lost Weekend』、Wileyが参加した「Dem Na Like Me」はずば抜けて完成度が高い。

いきたくない

QLIP

いきたくない

近畿を中心に活動する5人組、QLIPの2ndミニ・アルバム『いきたくない』。この作品名にしてこのジャケット。強烈である。いざ聴いてみると、Track.1「リプレイ」にあるのは"祝祭感"さえ感じるポジティヴで開放的なサウンド、"今までも いつまでも 音楽が大好きさ"という歌詞。これには少し戸惑った。やはり一方で、ネガティヴな歌詞を綴ってもいるのだが、作品全体を通してポジティヴなムードが占めているのは、ポップなメロディと小椋一親(Vo/Gt)の自信に満ちた歌声、そしてシンセ・サウンドが大きな要因のように思える。個人的にはフジファブリックの『CHRONICLE』を想起させる今作が、志村正彦の命日である12月24日にリリースされたことにただならぬ因果を感じる。

Night Groovin'

QoN

Night Groovin'

メンバー全員が22歳なんだから当たり前と言えば当たり前だが、横浜の5人組 QoNの挑戦はまだまだ止まらない。それどころか、前作から8ヶ月というペースでリリースするこのシングルでは、UVERworld他のプロデュースで知られる平出 悟と再び組み、前作以上に大胆にナイーヴなギター・ロック・バンドという殻を打ち破る。表題曲と「Men's」の、ファンキーなサウンドと男の欲望をセクシー且つシニカルに歌った歌詞は、まさにその成果。ホーンとパーカッションも使ってラテン風味も加えた表題曲では、歌謡ロックのけれんも自家薬籠中の物に。さらに逞しくなった演奏も聴きどころだが、ウェルメイドな表題曲に対して、セルフ・プロデュースした「Men's」では持ち前のやんちゃさもアピールしている。

MOMENT

QoN

MOMENT

横浜に拠点を置く5人組の2ndミニ・アルバム。まだメンバー全員20歳という若さ漲るフレッシュな音像を詰め込んだ今作。透明度の高いハイトーン・ヴォーカルを武器に、パンク、ギター・ロック、ポップスを消化した煌びやかなロックが実に眩しい。ポジティヴなエネルギーに満ち、聴く者に向かって、まっすぐ訴えてくるサウンドが痛快だ。また、ハード・ロック/メタル調の華やかなギター・プレイも大きな聴きどころで、楽曲のキャッチー度を底上げしている。さらに同期を用いた柔軟なアプローチを備え、1曲1曲バラエティに富みながら、バンドの強固な芯が窺える楽曲が揃っている。全5曲、いい意味でツルッと聴ける爽快な勢いを真空パックした1枚。ラスト曲「Message」の童謡風の美メロは老若男女に刺さりそう。

本気で演りたい

QOOLAND

本気で演りたい

QOOLAND、いよいよメジャー・フィールドへ! このデビュー盤には、彼らが満身創痍になりながらも高みを目指し戦ってきた、バンドの生々しい歴史が刻み込まれている。かつてニヒルな態度が前面に出ていた歌は、前作『COME TOGETHER』で"伝えたい"という想いから一気に外へ開けたものとなったが、今作はさらに心を刺すキラー・フレーズが満載。"できる理由の百倍できない理由を聞かされたけど"と幾多の厳しい現実を連ねながら、それでも"本気で生きたいなら 傷ついていこう"と言い切る「凛として平気」は、バンドの覚悟表明の1曲だ。楽曲はどれもキャッチーだが、相変わらずの超絶タッピングが頭から炸裂していて安心したし、「All About」のパンキッシュなアレンジも痛快で、総じて凡庸性は皆無。アルバム・タイトルそのままの想いが全曲で溢れている。

COME TOGETHER

QOOLAND

COME TOGETHER

2011年の結成以来、年間100本以上のライヴを行いながら精力的にリリースを重ねてきた4人組、QOOLAND。彼らがクラウドファンディングで制作費を募り、完成させた2ndフル・アルバム。ファンとひとつになりたい、もっと伝えたいというメンバーたちの想いからバンド・サウンドも若干変化してきた。歌モノのロックでありながらハードコア、メタル、ポスト・ロックを通過してきたことを思わせるプログレ風のアンサンブルは今回、より研ぎ澄まされたことによって、歌と同時に幅広いバックグラウンドが窺えるそれぞれのプレイを際立たせている。歌の魅力をこれまで以上に伝えながら、奇抜な展開で驚かせるところはこれまでと変わらない。いや、これまで以上に聴き応えがあるものになっている。

Out Of Order

ADVENTURE MAN

Out Of Order

SawagiやQUATTROとのツアーで日本でも人気が広がりつつある南アフリカのポップ・ロック・バンドSHORTSTR AW。そのキーボード担当のGad Da Combesを中心とした5人組による初作。底抜けに晴れ渡る常夏感満載のポップ・チューンが並んでいる点は本体と同様だが、ウクレレやバンジョーをフィーチャーし、さらにトロピカルな面をブースト。必要以上に新機軸を追い求めず、一緒にやりたい人とやる気負いのないサウンドはホフディランの小宮山雄飛における"THE YOU・HE・S"のような質感で楽しい。DESMOND & THE TUTUSやSHORTSTRAW、そして彼らと、ワールド・ミュージック的文脈ではない南アフリカ・シーンの概観が日本でも容易に描けるようになってきている。

PARADOX

QUADRANGLE

PARADOX

フォルムこそ変わらないにせよ、その時々により見せ方を変えていくバンド。QUADRANGLEは、それだけのことができる技術や手腕というものを持っている存在だ。今作の表題曲はTVアニメ"RErideD-刻越えのデリダ-"OP曲として起用されているというのだが、TVなどで流れているものとCDに収録されているフル・バージョンでは細かく違う別ミックスになっているというあたりが実に興味深い。また、歌詞には物語の行方を示唆する暗喩表現が暗号的に織り込んであるところも実に巧妙。さらには、カップリングの「TWILIGHT DREAMS」が、「PARADOX」のスピンオフ的な内容の歌詞になっている点にも注目したい。プロ中のプロがやっているバンドならではの、鮮やかな仕事ぶりに脱帽。

Mole City

QUASI

Mole City

90年代からUSインディー・シーンで活動している男女2人組(元夫婦)による、結成20周年目の新作。Elliott Smithとの交流やドラマーのJanetのSLEATER-KINNEYでの活動も知られていたQUASIだが、彼らの音楽性は言わばオルタナ世代のTHE BEATLES(特に中期の)。ロックンロール、パンク、サイケ、鍵盤ポップ、フォーク、ノイズなど様々な音楽を網羅しながらも、その根底にある素晴らしく美しいソングライティングによって、数多くの普遍的な力の宿る楽曲をリリースしてきた。そして本作は、24曲という大容量。前半は2ピースの衝動溢れる演奏によってQUASIらしい極上のポップ・ソングが次々と奏でられ、後半は1分に満たないインスト曲を挟みながら、その音楽的深淵に聴く者を誘う。流石の傑作。

4

QUATTRO

4

前作から約2年、QUATTROから待望のニュー・アルバムが届けられた。ベース、キーボードの脱退を経て元メンバーである潮田雄一が戻り、元RIDDIM SAUNTERの濱田将充の加入が発表された。昨年何度か観たライヴではメンバー変更の影響は全く感じさせず、彼ららしい軽やかで豊かな演奏を聴かせてくれ、とてもバンドの状態が良いことを感じさせてくれた。今作は前作にあった疾走感とポップさをより全面にグレード・アップさせた素晴らしい出来。メロディアスで、ハーモニーも心地いい。新メンバーが加入し、今までのQUATTROの持ち味が新たな形で際立ったと言えるだろう。今のQUATTRO 5人の魅力が詰 まったキラキラしたアルバムだ。

WHERE IS THE COCONUTS?...HA?

QUATTRO

WHERE IS THE COCONUTS?...HA?

OASISやFEEDERの前座として抜擢された日本のバンドとの紹介はもはや必要ないほど成長を果たしたQUATTROから満を持してのニュ-・アルバムが届いた。昨年秋に発表されたEPからの楽曲「Question#7」にあった軽快なサザン・ロック・サウンドをよりグルーヴィにタイトにまとめ上げた今作は突き抜けるような青空が似合う。“ココナッツ” というテーマが掲げられVAMPIRE WEEKENDのトロピカルなサウンドと共鳴する部分もあるが、彼らはよりロックンロールで腰にくるサウンドを作り上げて来た。一曲目のスタートからとにかく爽快で軽やか。新世代ジャパニーズ・インディ・シーンのさらに一歩先を提示したアルバムと言っていいだろう。

Nightfall

[.que]

Nightfall

『Daylight』と対をなす『Nightfall』。こちらはギターやフルート、ヴァイオリン奏者をゲストに迎え、歌のない、美しい音世界で綴られた作品だ。あの日、あのときに見た景色、記憶の中に眠っている香りや音など、懐かしさの琴線に触れるような曲であり、日常のふとしたシーンも色づけてくれる音楽となっている。心に響く曲でありつつ、音そのものは広いランドスケープを描いてもいる。鳥のさえずりや子供たちの声などの環境音、奥行きのあるピアノの音、心地よい気配を感じさせるエレクトロニカや様々なビート、ソフトな風のように肌に当たるヴァイオリンの音色など、それぞれの音の配置や構成がとても密にデザインされた。とても"見える"音だ。

Daylight

[.que]

Daylight

晴れやかな高揚感に満ちたヴァイオリンの音色に導かれて、悲しみを浄化していくようなあたたかで眩しいバンド・サウンドと歌とで包んでいく「Farewell」。この曲を録ったとき、曲ができあがったときの手応えから、このミニ・アルバムへと繋がったという。岩田真知(aquarifa)の、朗らかさの中に憂いや悲しみのニュアンスを含んだヴォーカルと、躍動的なバンド感を活かしながら、[.que]として培ってきた細やかに情景を描写しそこにある空気を音で再現していくようなエレクトロニカ・サウンドとを混ぜ合わせて、密度の濃い曲を生み出している。アルバムのタイトルどおり、陽の光の気持ちの良い温度を感じる、ポップで歌心のある7曲が収録された。[.que]の新たな窓を開けた1枚に。

冠波心掴

QUEENS

冠波心掴

QUEENSの冠を掲げ、新たな波を起こし、ファンの心を動かして、未来をがっちり掴む。そんな意味を含む、グループの決意表明となる造語をタイトルに掲げ、"次のステージに進むための挑戦"をテーマに完成させた、アイドル・グループ QUEENSの1年3ヶ月ぶりとなるシングル。不穏なイントロSEから始まる新曲「WAVE」は、"踊れるロックアイドル"の原点を思わせるストレートなロック・チューンに、ヒップホップ調のラップ・パート、さらにEDM調のエレクトロ・サウンドへと展開。QUEENSの魅力てんこ盛りといった感のある、独創的活動を展開するグループの最新型を具現化した楽曲だ。勢いと壮大さを併せ持つ「Bullet」、パリピ感ある「ANNIVERSARY」と、クセ強な楽曲たちが、次のステージへの無限の可能性を感じさせてくれる。

Villains

QUEENS OF THE STONE AGE

Villains

全米No.1ヒットになった『...Like Clockwork』以来、4年ぶりとなる7thアルバムは、プロデューサーにMark Ronsonを迎えた話題作。自分たちのサウンドを再定義するというテーマがあったという。なるほど。たしかに前作は洗練を極めた印象があったが、洗練がグラマラスな作風に結実したその前作から一転、今回、ギターによるハード・ロッキンなリフを剥き出しにした彼ららしいロック・ナンバーが再び聴けることはポイントのひとつかもしれない。とはいえ、安易に原点に回帰せず、ディスコ・サウンドとして打ち出したり、ファンキーな味つけを加えたりしていることを考えると、Ronsonの起用も頷ける。一方で、グラマラスな円熟味は「Hideaway」のBryan Ferryばりのダンディズムに実っている。

We Are All Where We Belong

QUIET COMPANY

We Are All Where We Belong

アメリカの無料音楽ストリーミング・サイト“grooveshark”を発火点に爆発的人気を獲得したテキサス出身の4人組インディ・ロック・バンドQUIET COMPANYの日本デビュー作。音楽性はBEIRUTやTHE NATIONALにもつながるアコースティックを基調としたチェンバー・ポップであり、情緒的に聴かせるヴォーカルは時に厚みのあるコーラスも手伝ってか、かなりホロリとさせられるナンバーが多数。かと思えば、日本でいうところの疾走感あるメロコアもアリ。ネットでバズった事ことが結果的に彼らの名を広く知らしめる契機となったとはいえ、結成以来、精力的なライヴ活動を続けてきたからこそのエモーションがこの音楽にはある。アルバム・タイトルは彼らからのそういったメッセージの表れのようでもある。

lovers

Quint

lovers

繊細なヴォーカルでいて、陰りのない、ソフトな優しさがある。小田内志徳(Vo/Gt)の声色やトーンもあって、ポップで切なさを持った曲も、キラキラと爽やかに響いてくる。この歌の武器と、リリカルなピアノを基軸にしたナイーヴな曲から、パワフルなバンド・サウンドによるエモさダダ漏れの曲まで、幾重にも広がっていくのがQuintの音楽。初のフル・アルバムはタイトルどおり、誰かを想う11編の物語となっている。何気ない日常で流れてきたとき、すっとピントが合うように、様々なアングルから綴ったフレンドリーな歌であり、そんな物語が揃う。つい口ずさんでしまう歌謡曲やJ-POPを親しみ、またエヴァーグリーンなピアノ・エモやロック・サウンドも自ずと消化してきたからこその聴き応えや、遊び心があるアルバムだ。