DISC REVIEW
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Mrs. GREEN APPLE
Soranji
"我らは尊い。"という言葉は非常に危うい側面も持つと思うが、それが生死の境目にいる人を生の側に繋ぎ止める言葉だとしたら、と想像する。目の前の人にも遠くにいる人にも伝わるか確信がないとき、魂を振り絞って"そらんじる"ことを、壮大なようでいて勘違いをさせない控えめな品性も伴ったアレンジで仕上げたことが、「Soranji」最大の留意点だったのではないだろうか。映画"ラーゲリより愛を込めて"のどんな場面で響くのか期待が募る。2曲目は"フェーズ2"のキックオフに作られたという、Adoに提供した「私は最強」のセルフ・カバー。自身を鼓舞するニュアンスも含まれたまさにアンセムだ。3曲目はミセスがプロデュースするフレグランスが持つ"香階"にあたる音階から誕生。ポップ且つ幻想的な新たな仕上がりだ。
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キタニタツヤ
スカー
新EP『スカー』は、とにかくコンセプチュアルな作品だ。"週刊少年ジャンプ"で15年間連載された人気漫画"BLEACH"の生誕20周年を記念して開催された原画展"BLEACH EX."のテーマ・ソングとして書き下ろした「Rapport」、展示イメージ・ソングの「タナトフォビア」。"BLEACH 千年血戦篇"OPテーマのために作った「スカー」、同時期に作った「永遠」。どれもが"BLEACH"の世界観を巧みに表現し、そこにキタニ自身の人間愛、死生観、哲学も見事に反映している。さらにインスト曲「Insel」では「Rapport」の特徴的なリフが盛り込まれており、楽曲への解釈をより深めてくれる。類稀なソングライティング力、作品全体のプロデュース力が遺憾なく発揮された1枚。
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majiko
愛編む
その歌声とピュアでいて遊びも毒も含んだ世界観で、アジアで高い人気を得ているmajikoの新作。1曲目は「Princess」。majikoの脳内のディープな部分に踏み込んだような、美しくもカオスな音楽世界に彷徨う曲だ。恍惚的でメルヘンな音とゴシックなインダストリアル・サウンドとが表裏一体になり、究極的な愛と狂気が強いコントラストで描かれ、一気にアルバムの世界に引き込んでいく。中華風な「TENGIC」、和的チル・ポップ「いろはにほへと」など音を通じて旅する感覚を味わい、いつかの記憶に触れる爽やかな歌心や感情のジェットコースターに乗り続けるような、時を超える体感にも酔う。"愛"や"救い"に出会えればと語る今作。終曲の「アイアム」を迎えたときの気持ち、一曲一曲の感触も堪能してほしい。
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KALMA(ex- -KARMA-)
NO BORDER
ストリングスなどアレンジの幅を広げたアルバム『ミレニアム・ヒーロー』とパッと聴きは逆を行くような、ザラッとした手触りの気迫のアナログ・レコーディングで完成したミニ・アルバム。ザ・クロマニヨンズやTHE BAWDIESなどを手掛けるエンジニア、川口 聡を迎えたことが大正解に感じられる、音で泣き笑いできるほど剥き出しのR&Rが鳴っている。スタジオでバーンと音を出せば成立するような最強の8ビート「隣」に始まり、本作表題にも由来していそうな「ボーダー」では、限界じゃなく新しい境界線を越えていくタフさが感じられるし、相変わらず天性のメロディ・センスでTHE BEATLES並の普遍的なサビに唸る「24/7」や、地元をあとにする心境が綴られた「マイシティ」があり、湯気が立つほどリアルな"今"が充満している。
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SAKANAMON
HAKKOH
今年2022年11月11日で結成15周年を迎えるSAKANAMONが、2年半ぶりとなるフル・アルバム『HAKKOH』をリリース。本作には、NHK「みんなのうた」名曲カバーにて参加した「南の島のハメハメハ大王」や、たかはしほのか(リーガルリリー)をゲスト・ヴォーカルに迎えた「1988」、宮崎市の魅力を発信する"宮崎食堂"へ書き下ろした楽曲「つつうららか」、インディーズ時代からファンの間で高い人気を誇る「妄想DRIVER」の2022年バージョンなど、結成15周年に掛けて全15曲が収められている。バンドの真骨頂とも言える洗練されたギター・ロック・サウンドを主軸としながら、初めてストリング編成に挑んだ楽曲も収録されるなど、3ピース・バンドとしての表現を拡張し続ける彼らの意欲作となった。
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黒子首
ペンシルロケット
今年2月にメジャー・デビューを果たした黒子首が、待望のメジャー1stアルバムをリリース。新世代SSW、泣き虫 とのコラボ曲「やさしい怪物 feat. 泣き虫 」を筆頭に、バンド初となるタイアップ・ソング「おぼえたて」など、彼女たちにとって名刺代わりとなるであろう話題性の高い楽曲が収められている。生活感の滲む描写が散りばめられた「インスタントダイアリー」、コインランドリーにフィーチャーした「ランドリーランド」などに見られる、日常風景をユーモラスに描く堀胃あげは(Vo/Gt)の言葉選びが斬新で楽しい。トロピカルで瑞々しいサウンド満載の最新デジタルEP『ぼやぁ~じゅ』の4曲も収録。アコースティック・サウンドを基調としつつも表現の幅をさらに拡大した、全15曲のフル・ボリュームな1枚だ。
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633
SIX HUNDRED THIRTY THREE
2022年8月にTikTokやTwitterなどSNS上に突如現れた正体不明の4ピース・エモ/ポップ・パンク・バンド"633"から、早くもセルフ・タイトルを冠した1stアルバム『SIX HUNDRED THIRTY THREE』が到着した。先行配信曲「Drink Up」をはじめ、甘酸っぱい夏のひとコマを切り取ったサマー・チューン「One Summer Day」や「Rooftop Party」など、バンドとバーベキューをこよなく愛するという彼らのパーティー感溢れる全9曲が収録されている。2000年代のギター・ロック、エモを彷彿とさせるストレートなアンサンブル&英語詞満載の快作で、アルバムを聴き終えた頃には、誰もが充実感に包まれながら"633"の正体に想像を巡らすことだろう。
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底なしの青
ナミダの栞
旅立ちへの期待と不安とをないまぜにしたキラキラとした青い景色を描き、エモーショナルなメロディと疾走感のあるギター・サウンドで勢い良く放つ「征く」で幕を開けるミニ・アルバム。"底なしの青"というバンド名のままに、青春期ならではの心情を、憂いを帯びた下田陽太の歌声で綴るギター・ロックだが、そのサウンドはままならない気持ちを抱え突っ走るだけでないドラマに満ちている。ブリティッシュ・ロックのポップさや、またイマジネイティヴに思いを馳せていくスケール感のあるロック、時には渋いギター・リフが狼煙を上げる70年代ハード・ロックをヘヴィに奏でるなど、踏み入れたらずぶりと深い作品になった。今作が初の全国流通盤となった仙台発の4ピース。多彩な青の色彩を持つバンドだ。
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CODE OF ZERO
Storage of Solutions
"渋谷最恐POP"を掲げるCODE OF ZEROの最新作は、"Storage of Solutions=解決策の倉庫"がテーマ。ガールズ・パワー全開のメッセージをラウドなサウンドに乗せた「S/O/G」や、挑発的な歌詞で焚きつけるヘヴィ且つダンサブルな「BAN=DA RANDOM」、弱音を吐く自分も受け入れ前に進むポジティヴなデジタル・ポップ「L.I.F.E. (SOS ver.)」、呪縛からの解放と新たなスタートを歌う爽快なナンバー「Periodicity」など、メッセージ性の強い6曲が収録された。ロックからEDMまでを独自のポップ・サウンドに落とし込み、ライヴで鍛え上げられた歌声はより表情豊かに。悩み多き時代に悲鳴を上げる心の"SOS"に応え、6曲それぞれのアプローチで解決へ導く1枚。
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MyGO!!!!!
迷星叫
"BanG Dream!(バンドリ!)"プロジェクトから生まれた、"現実(リアル)"と"仮想(キャラクター)"が同期する新バンド、MyGO!!!!!(読み:マイゴ)の1stシングル。初のオリジナル曲である表題曲は、ストレートなロック・ナンバーに仕上がっていて、そこへヴォーカルの燈が乗せるのは"孤独"や"迷い"の感情だ。現実世界のどこにでもいそうな"独り"の人間をイメージさせる歌詞は、この時代を生きる人にとって共感性が高いだろう。カップリングの「名無声」は、MyGO!!!!!の世界観に共感した人の背中を優しく押すような1曲。メンバーのコーラスも聴き手の心を鼓舞させるのに一役買っている。まだまだ謎の多いバンドなので、今後の展開が楽しみ。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
xYZ
元EMPiREメンバーにより結成されたExWHYZの1stアルバム。本作では、ライヴのSEに使用される「xYZ」から繋がる「D.Y.D」(いずれもyahyelのMiru ShinodaとKento Yamadaによるプロデュース)で、ExWHYZとはなんたるかをまずは見せつける。そこからEDMの「STAY WITH Me」でブチ上げたり、アシッド・ハウスの「Obsession」で攻めたり、バラードの「あいしてる」を挟んだりと、とにかく隙がない。全体的に大人びたメンバーの歌唱も聴きどころだ。ダンス・ミュージックをさらに特化していった本作からは、EMPiREからの進化も、ExWHYZとしての新生も同時に感じさせる。全A面アルバムと言っても過言ではない名盤だ。
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フィルフリーク
STORY STORE
ピアノとヴォーカルで始まり、すぐさま躍動感溢れるバンド・サウンドへとなだれ込む「ロクドロクブ」。この曲ができあがった瞬間このミニ・アルバムは産声を上げた。"4つの恋のはなし。"から始まったフィルフリークの8つの話は、どれもリアルで、凄まじい生命力を持っている。バンドの存在を確立させたという「スレチガイ」では、広瀬とうきとゆっこの交差する歌声が不安定な景色を見事に表し、胸を締めつける。「KOIがハジマル」ではポップに恋のドキドキを描き、最後は「NAMI」。ここに描かれるのは広瀬自身の話であり、そしてそれはバンドの話へと繋がっていく。ドラマチックで人間臭くて、不器用だけど何かをずっと信じていて、そんな正直すぎる彼らの8つのストーリーは、今現在の彼らのようにどれもが力強く輝いている。
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THE SPELLBOUND
すべてがそこにありますように。
アニメ"ゴールデンカムイ"第4期EDテーマとしても話題の新曲。セルフ・ネームの1stアルバムで確立されたモノローグ調の地メロとリフレインされるサビや、ラップ的な小林祐介のヴォーカル表現は今回もさらに研ぎ澄まされている。ワイドな音像と突き進むビートがどこか最果てに向かう体感を聴き手に自然と共有させるのも、スペルバならではの手法だ。c/wの「約束の場所」は、AIが自動生成するポエトリー・リーディングのような言葉の羅列と、イノセントでロマンチックな内容が齟齬なく、むしろ真っ直ぐ飛び込んでくるユニークな仕上がり。シンセ・ストリングスなど、どこまでも飛翔するような空間作りも世界観を決定づける。地の果ての荒涼と、そこにさす一条の光。2曲は対になっているのかもしれない。
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ASIAN KUNG-FU GENERATION
出町柳パラレルユニバース
すでに後藤正文(Vo/Gt)がポッドキャストなどで開陳しているのでサブテキストとして書くが、このシングルの4曲目「柳小路パラレルユニバース」は、『サーフ ブンガク カマクラ』の"続きの駅"として作られていた曲だ。アジカンの青春を想起させる力みのないパワー・ポップが、森見登美彦作品の舞台である京都に移植されたのが、今回の表題曲「出町柳パラレルユニバース」というわけだ。こちらにはアウトロにサイケデリックなギター・フレーズが追加され、アニメ"四畳半タイムマシンブルース"の世界観も。WEEZERのカバーにはAAAMYYY(Tempalay)が参加、喜多建介(Gt/Vo)とのツイン・ヴォーカル(!)の「追浜フィーリンダウン」と、肩の力が抜けたアジカンの素が楽しい。
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夜の本気ダンス
armadillo
夜の本気ダンスから1年8ヶ月ぶりのCDリリースとなるミニ・アルバムが到着。本作には、イントロからエッジの効いたギターのモンスター・リフで畳み掛ける「審美眼」をはじめ、疾走感のあるアンサンブルで駆け抜ける「STARLET」、ソリッドな質感のサウンドが癖になる「エトランゼ」など、"夜ダン流"ダンス・ロックを惜しげもなく詰め込んだ全6曲が収録されており、ミニ・アルバムと言えど聴き応えは抜群だ。昨年2021年1月にリリースされたミニ・アルバム『PHYSICAL』は初めてホーン・セクションを導入するなど自由度の高い作品となったが、本作では打ち込みが随所に散りばめられており、前作に引き続き自由度の高いモードでありながら、より深化を遂げた夜ダンのクリエイティヴに驚愕することだろう。
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好芻
Gakkari.
中嶋イッキュウ(tricot/ジェニーハイ etc.)と、くるりのサポートなどでもお馴染みの山本幹宗(The Cigavettes/sunsite etc.)からなる音楽プロジェクトの1stミニ・アルバム。中嶋のあどけなさを残した甘く儚いVo、シンセや打ち込みのビートを軸にしたドリーム・ポップ、サイケ・ポップの味わいが恋愛の渦中の危うさや夢見心地をグッと立体化。90年代の香港ヌーベル・ヴァーグ映画のようなロマンチックな世界がイメージできる。ドリーミーなアジアのインディー・ミュージックやシティ・ポップにも近いサウンドだが、山本のルーティなスライド・ギターや素のギター・サウンドに彼ららしさも。ラストの"Night Market"=夜市で迷子になるような儚く切ないラヴ・ソング集でもある。
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植田真梨恵
Euphoria
他アーティストからの多彩な提供曲を含むシンガーとして振り切れた前作『ハートブレイカー』とは真逆な手触りとテーマを持つ本作。何しろ2011年から作りため、死ぬまでに完成したかった作品なのだという。たしかに。日々の暮らし、歳月の経過、それでも変わらないもの、そこで得たからこそ今自分の足で歩いていること、忘れているようでしっかり記憶していること。それらを瑞々しいまま、もしくはしっかり消化したうえで、素に近い歌とアコギ、風通しのいいバンド・サウンドに着地させた植田真梨恵の超スタンダードだ。印象として、『The Bends』の頃までのRADIOHEADのような必然的なオルタナティヴなギター・サウンドやアンサンブルに共通する潔癖さ、高度に洗練されたDIY感も風通しがいい。ぜひ多くの人に聴かれるべき。
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MANAKO
Back in the Past
毎年1億回超えの再生回数を誇る"YouTube Rewind"への出演歴を持ち、女優やタレント業も行うまなこを中心に始動したMANAKO。KO-01(Ba/GLORY HILL/MIRA)を迎えて新体制となってから初のリリースとなる2nd EPが到着した。前作ではピアノとストリングスを主軸としたセンチなアレンジが光ったが、今作はグロッケンを取り入れるなどアレンジの幅が拡大。加えて「バッドエンド」の"幸せになる為 望んだこの絶望"など、過去の記憶と現在を繋ぐようなフレーズがまなこの甘美な歌声で表現され、よりドラマチックで泣ける楽曲が多く揃った印象だ。「旅人の詩」から始まり"旅した記録/ゆっくり1から聞かせてよね"と歌う「END」で幕を下ろす、まるで映画のような構成は秀逸。
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nano.RIPE
不眠症のネコと夜
nano.RIPEにとって再スタートの狼煙となった6thフル・アルバム『ピッパラの樹の下で』から約4年、7枚目のオリジナル・フル・アルバム『不眠症のネコと夜』が完成。メジャー・デビュー12周年を迎えてリリースとなる本作は、"nano.RIPEらしさ"に立ち戻って制作されたとのことで、原点回帰とバンドの進化が見事に同居した作品となっている。本作には、TVアニメ"食戟のソーマ 豪ノ皿"OP主題歌「ラストチャプター」などのタイアップ楽曲に加え、初のCD化となる2曲と録り下ろしの新曲8曲を収録。これら収録楽曲の根底にあるのは一貫して、前向きに生きることへの肯定感だ。それを高らかに歌い上げるきみコの芯の通った歌声とストレートなバンド・サウンドがどこまでも勇敢で頼もしい。
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ドラマチックアラスカ
悪者
"100%の正義なんて存在しない"。そうヒジカタナオト(Vo/Gt)が語る通り、それぞれの正義と正義がぶつかり合うなか、各々が大切なものを守り抜いてきたこの2年半。音楽は不要不急と言われ、ライヴハウスに行く人が"悪者"とされていたようなときでもステージに立とうとし続けたバンドマンは、我々ロック・ファンにとっては"ヒーロー"だった。そんな誰かの"悪者"になってでも大切なものを守りたいという強さや覚悟を歌った本作。音楽を続ける苦悩や葛藤を描きながらも、ロック・スターとして生きていく決意表明がここに刻まれている。そして痛快なギター・ロック・サウンドとキャッチーなメロディに乗せた、正しさも間違いも肯定する包容力溢れる歌詞は、正しく生きようと戦っているすべての人の心をスッと軽くしてくれるはず。
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