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DISC REVIEW

Overseas

Trademarks01

V.A.

Trademarks01

最新で最旬の新世代インディ・アーティストを詰め込んだ好企画盤。NEON INDIAN、WASHED OUT、YES GIANTESS、DUCKTAILS、TORO Y MOIなど、これからが楽しみなアーティストばかり。エレクトロ、インディ・ロック、ポップまで実験的なメロディとリズムを満喫できる1枚。個人的には、NY出身4人組THE AMPLIFETESの「It's My Life」のベースとエレクトロの挑戦的なリズムサウンドがクセになりそう。そしてスペインはマドリードを拠点とする4人組DELOREANの爽快感溢れるポップ・ナンバー「Deli」はなんとも清々しい。全体的に様々な音が沢山詰まっていて、おもちゃ箱をひっくり返したような感じだ。

Yes Giantess EP

YES GIANTESS

Yes Giantess EP

来日公演も大盛況だったPASSION PITを輩出したインディ・レーベルNeon Goldが送り出すボストン出身期待の新人バンド。PASSION PITのメンバーであるAyad Aladahamyがプロデュースを務める曲もあり、路線としては80'sシンセ・サウンドを全面に押し出したハッピーなエレクトロ・ポップ。今まさに旬の音にさらにエネルギーを注入したような元気の出るナンバーが並ぶ。特に今作のリード・トラックである「The Ruins」は突き抜けたファルセット・ボイスとエモーション溢れるメロディが印象的なアンセム・チューン。まだまだアメリカからは元気なバンドが登場しそうだ。SUMMER SONIC 2010にも出演が決定し夏にはフル・アルバムのリリースも予定されている。

4

THE BAMBOOS

4

ディープ・ファンク・オーストラリア代表THE BAMBOOS。2004年に「Tighten Up」の熱すぎるカヴァーで世界中を熱狂させた彼ら。正直、ロックを聴いている人の中には、ファンクを古臭いものと思っている人がいる気がする。そんなわきゃないんだけど。地味なのかな。難しそう?まあ、そう言わずに、このグッド・ヴァイヴなアルバムを聴いてくださいよ。サイケとか取り入れていてビックリしたけど、今回もいいですね。ファンクは何も難しくないのです。ただそのグルーヴに身体を委ねさえすれば分かるのです。これはえらくかっこいいぞと。そして、このTHE BAMBOOSも所属するTru thoughtは新しいアイデアを取り入れたファンクをたくさんリリースしているレーベルなので、要チェックです。

Late Night Tales

THE CINEMATIC ORCHESTRA

Late Night Tales

人気アーティストが監修を務めるコンピレーション・シリーズの最新作。ARCTIC MONKEYSのドラマーであるMatt HeldersにSNOW PATROLと人気ロック・バンドに続いての登場は即興ジャズと電子音楽を組み合わせ、映像化の高い音楽性で人気を集めるTHE CINEMATIC ORCHESTRA。"深い夜の物語"をテーマとするシリーズなだけに、彼らはまさにピッタリの人選だろう。共演した事もあるFLYING LOTUSのスローなナンバーから始まる今作は、ジャジーな前半からThom Yorke、Bjorkの代表曲を経てハウス・オリエンテッドな後半へと流れ、ラストは自身の新曲で幕を閉じる。まるで一つの美しい映画のように隙がなく、ため息が出るほどだ。ミックスもお見事。

Cosmogramma

FLYING LOTUS

Cosmogramma

名実共に現代のトップのビート・メイカーとなったFLYING LOTUSの新作が遂に到着。Thom Yorkeが参加するなど話題も集めているが、そんな個別のトピックは抜きにして、ここでは、既存の枠組みが解体され、あらゆる音とビートが弾けては消え、また新たな音像が現れる。ジャンルやスタイルの超越自体にはもう意味などなくなった時代に、何を提示するのか。ここには、ただ革新的なビート・ミュージックを創りあげようとする飽くなき探究心だけで描き出されたコズミックなサウンドが詰まっている。ダブステップもJAZZもヒップホップもエレクトロニカも、あらゆる音を取り入れるというよりは、あらゆる音がもう何年もそうだったかのようにひとつに溶け合いながら紡がれる美しいビート・ミュージック集。

The Logic of Chance

DAN LE SAC VS SCROOBIUS PIP

The Logic of Chance

前作『汝、つねにキメるべし~ Thou Shalt Always Kill ~』で数々の超有名大物バンド達を「ただのバンド!」と言い放ったUK 問題児2人組から、2年ぶりの新作『The Logic Of Chance』が届いた。今作のアルバムのコンセプトについて「新しいことを試して自分の表現の幅を広げること」を目標に挙げたそうだ。前作の『Thou Shalt Always Kill』も斬新過ぎて思わず笑ったけど、同時に「こんな手法があったのか!」と気付かされ作品だった。そして今作は、社会・政治的なメッセージがさらにレベルアップし、エレクトロでヒップ・ホップでありながら、ポップとオルタナティヴが融合したサウンドのバランス感覚はお見事と言いたい。

One Good Thing

Lou Rhodes

One Good Thing

90年代から活動するマンチェスター出身の女性アーティスト、Lou Rhodes。最近ではTHE CINEMATIC ORCHESTRAの作品やライヴにゲストとして参加し、話題を集めていた彼女の3作目は、そのTHE CINEMATIC ORCHESTRA の新レーベル「MOTION AUDIO」からリリースされる初めてのアルバム作品となる。生々しいアコースティック・ギターとLouの力強くも温かみのある歌声の組み合わせを基本に、ストリングスが空間的な奥行きを与える。オーヴァー・ダブやエディットもほとんど施されていないという本作は、素朴でありながらも生命力に満ち溢れたフォーク・ミュージックだ。2児の母という彼女が、生活の中で産み落とした、しっかりとした芯を持った歌の力強さには恐れ入る。

Under Great White Northern Lights

THE WHITE STRIPES

Under Great White Northern Lights

THE WHITE STRIPES本体の活動は止まったままで、Jack Whiteだけがやたらと精力的に動き続けているが、やはりこういう音源を聴くとTHE WHITE STRIPESの新譜を聴きたくなる。カナダ・ツアー・ファイナルの模様を収録したライヴ音源とドキュメンタリー映像がセットとなった本作。目玉となるのはツアーのドキュメンタリーを収録したDVDだろうが、一音だけの演奏からオフ・ショットまで、その内容はここでは書ききれないほど濃密。そして、ライヴ音源ももちろん、荒々しいエネルギーに満ちた彼らのライヴが堪能できる。JackとMeg二人だけというのは、今さらながら信じられない。それにしても、2007年って『Icky Thump』からもうすぐ3年も経つんだな。早く動き出してください。

A-Z Vol .1

ASH

A-Z Vol .1

ASHが取り組んできたA-Zシリーズから13曲をコンパイルした『A-Z Vol.1』。2週間ごとに一曲発表するというリリース形態自体、大きなチャレンジだったわけだが、様々なスタイルに挑んだ各曲のクオリティの高さはさすがASH。常にフレッシュな状態で活動を続けていなければ絶対に停滞してしまうだろうが、このコンピレーションのどこを切っても瑞々しくエネルギッシュな彼らの様子が伝わってくる。しかも、まだこれがシリーズの全貌ではなく、残り13曲もあるわけだから恐れ入る。正直、これほどASH の活動にワクワクするのは久しぶりだ。ベテラン・バンドが陥りがちなマンネリズムに堕することなく、これほどのポップ・ソング集を届けてくれたこと。どんな能書きよりも、このことこそが何よりも大切な事実だ。

Buy The Ticket,Take The Ride

THE BLACK RYDER

Buy The Ticket,Take The Ride

オーストラリア発の男女デュオ。BLACK RABEL MOTORCYCLE CLUBからTHE BRIAN JONESTOWN MASSACRE、SWERVEDRIVERまで、一癖あるアーティストがゲスト参加している(現時点では、クレジット詳細は不明)。プリミティヴなフィードバック・ギターと、Aimee Nashのアンニュイなウィスパー・ヴォイス。基本的には、これぞシューゲイザーという音なのだが、そこにブルースの薫りが漂うところがこのバンドの面白いところ。先に書いたゲスト・バンドを全部足した感じと言えば、分かりやすいかも。何か新しさを感じさせるわけではなく、かなりオリジナル・シューゲイザーに忠実なその音楽性には、はっきりとあの時代の音への憧憬と初期衝動が滲み出ている。

Pumps

GROWING

Pumps

数多の才能が闊歩するブルックリンを拠点に、様々なアーティストとの交流を繰り返し、昨年は2度の来日公演も行ったGROWINGの最新作。エレクトロニカやアンビエント、ドローン・ミュージックなのだが、クラウト・ロックのような剥き出しのリズムが躍動する。ギター/エフェクター/シーケンサーのみで繰り広げられるミニマルなサイケデリアは、クールでありながらも生命力で満ち溢れている。ゆらぎながら徐々に変化していく、不思議な存在感が魅力的。強烈なフックがあるわけではない展開の少なさゆえに、最初は捉えどころがないようにも思えるが、この質感は面白い。「全編トンネルの中で撮影されたロード・ムービー」みたいな感じです。ジャケットのアート・ワークもアルバムの世界観を見事に捉えている。

The Violent Blue

ELECTRIC PRESIDENT

The Violent Blue

2004年よりフロリダ州で活動を開始したエレクトロ・ユニットELECTRIC PRESIDENTの3rdアルバム。メンバーであるBen Cooperのソロ・ユニットRADICAL FACEで2008年の朝霧JAMに出演を果たした事も記憶に新しく、日本でもかなり人気が高い2人。フォークトロニカやあるいはフリー・フォークとも言われるサウンドの中にロック的ダイナミズムを足しまとめ上げられた楽曲の数々はとてもクオリティが高く心地いい。そして時折顔を見せる遊び心や、ポップなメロディも人気を支える要因の一つだろう。「海」をテーマとした今作はより親密になったサウンド・スケープと楽曲の一つ一つのクオリティの高さに驚かされる。エレクトロニカの新たな傑作。

Believe

Morgan Page

Believe

アメリカ・バーモント出身のMorgan Pageは、2008年にリリースされた『Elevate』が2009年のグラミー賞にノミネートされるなど、実力を兼ね備えた話題のマルチ・アーティスト。リミキサーとしての手腕も高く、多くのアーティストが彼にリミックスを依頼。Madonna、Katy Perry、Stevie Nicks、B-52’s、COLD PLAY、オノ・ヨーコなどのリミックスも手がけている。そして日本デビュー盤となる『Believe』は全体的に包み込まれるような暖かみのあるサウンドとリズムで、じわじわとまったりとした高揚感が心地いい。ハウス・トランス初心者にオススメしたい1枚。夜一人でゆっくりしたい時に聴いてみるのもいいかも。

The Magician's Private Library

HOLLY MIRANDA

The Magician's Private Library

昨年末にシングル・デビューを果たしたばかりのブルックリン出身の大型新人。キュートなルックスと呟くようなハイトーン・ヴォイス。昨年末から各メディアに絶賛されて来た彼女がいよいよアルバム・デビュー。NYで出会ったという売れっ子プロデューサーであるTV ON THE RADIOのDavid Sitekを迎えて制作された今作はサイケデリックなFLORENCE & THE MACHINEとでも言いたくなる様なミステリアスで官能的な楽曲があったり、リズムミックなポップ・ソングがあったりと独創的ながらとても風通しのいい作品となっている。そして音の広がりや一つ一つの音のクオリティも素晴らしい。フォーク・シーンにとどまらない新たな才能の誕生だろう。

Tonight Is The Ghost

HURRICANE BELLS

Tonight Is The Ghost

2009年のFUJI ROCK FESTIVALに出演した事も記憶に新しい、LONGWAVEのフロントマンSteve Schiltsによる新プロジェクトHURRICANE BELLS。大ヒット映画「ニュー・ムーン」のサウンド・トラックに収録されている事で話題を集めた彼の期待のデビュー・アルバムだ。LONGWAVEの持つ幻想的な美しいメロディは受け継がれているがこの新プロジェクトではもう少しラフに心地よく演奏される。新機軸を取り入れるというよりは、削ぎ落とされたシンプルなプロダクションの曲が目立ち、よりSteve Schiltsが作る曲の良さが引き出され、口笛もあったりよりパーソナルで彼の存在をより近くに感じられる作品になっている。

Beat The Devil's Tattoo

BLACK REBEL MOTORCYCLE CLUB

Beat The Devil's Tattoo

ドラマーが変わって最初となる5枚目のアルバムだが、サード・アルバム『Howl』以降の土着的でブルースを感じさせるアメリカン・ロックンロールが、BRMCの個性と最高の形ではまったアルバムとなった。これまで個人的にはファーストの印象が強すぎて、『Howl』以降の変化に「いいんだけど、何かしっくり来ない」という自分勝手な思いもあったのだが、このバンドとしての成熟には一安心。彼らが得意とするミドル・テンポの楽曲を主体に、耽美的でサイケデリックなフィードバック・ギターとブルージーなロックンロールを融合させるバンドの本質が絶妙なバランスで表現されている、これぞBRMCというアルバム。新ドラマーのLeah ShapiroがTHE REVONETTSのツアー・ドラマーだったっていうのもいいですね。

A Good Time Was Has By All

THE GOLDEN BUBBLES

A Good Time Was Has By All

生涯で大好きな曲を5曲挙げろと言われたら絶対は入るのがBUGGLESの「ラジオスターの悲劇」である。THE GOLDEN BUBBLESというチャーミングなバンド名の彼らはこの曲みたいな曲を作りたいと遊んでいたら(遊んでいたわけじゃないと思うけど)、今のサウンドが生まれたとの事。このエピソードは個人的に非常に好感が持てる。BUGGLESのようなキラキラとした世界観を持ちつつも、BEN FOLDSを彷彿とさせるピアノ・バラッドまでこなす彼らには正直非の打ち所がない。MIKA好きをもすぐに虜にするであろう抜群のピアノ・ポップとエレ・ポップと遊び心が詰まった力作。大の親日家という事だし、早く来日してほしい所。

Eggegrund & Aurora

THE DEER TRACKS

Eggegrund & Aurora

SIGUR ROS、MUMやMEWあたりを連想させるスウェーデンの男女デュオTHE DEER TRUCKS。本作は彼らのデビュー・アルバムと新作、さらに未発表曲も加えた2枚組となる。エレクトロニカやフォークトロニカからポストロックまでを内包した美しいサウンドスケープと女性Vo、Elinのウィスパー・ヴォイス。そして、巧みに強弱をつけた展開力が彼女の感情表現の幅広さを際立たせている。常に振り切れた感情を走らせるのではなく、感情をコントロールし、その頂に到達した瞬間のカタルシスを生み出す彼ら。その分彼らの美しいサウンドスケープやビートにははっきりとした輪郭があって、幽玄を彷徨うというよりは、幽玄の中でも目指す場所までしっかりとガイドしてくれているような安心感を与えてくれる。

Weak4

65DAYSOFSTATIC

Weak4

まるで怪物のような存在感を示すパフォーマンスで世界中を魅了し続けるライヴ・アクト、65DAYSOFSTATICのニュー・シングル。来月リリース予定のアルバムを占う意味でも注目の1枚なのだが、やはり「MOGWAI meets APHEX TWIN」との形容はダテじゃない!壮大なスケール感を湛えた轟音に繊細で鋭利なブレイクビーツと、さらなる飛躍をみせた世界観を示している。新たな変化として特筆すべきはエレクトロの比重を上げ、ダンサブルでありアブストラクトな空間処理のアプローチだ。緻密且つ奔放、まさにカットアップ・マジックとも言うべき構築力は素晴らしく、このバンドを唯一無二に高める知性と野生の同居を感じる。その鮮やかな刺激にイマジネーションは膨らむばかり!直前となった来日公演の予習にもどうぞ!

Dear God, I Hate Myself

XIU XIU

Dear God, I Hate Myself

えっと、心臓が弱い人は聴かない方がいいです。タイトルで分かると思うけれど、こいつら本気だ。ティンパニ、コンガ、ムーグに任天堂DS、何だかよく分からない機械音、機械音か生楽器かさえ不明な音、ハンドクラップ、強烈なビート、ノイズその他いろいろ。多様で異様な音が絡みに絡まり、押し寄せては、引いて・・・くれない。押し寄せて、さらに押し寄せてくる。そして、このユニットの中心人物Jamie Stewartのこれまた過剰な歌声。これらが互いに侵食し、ぶつかり合いながら紡がれる、過剰過ぎるクレイジー・ゴシップ・ポップ。生半可な変態ポップじゃない分、スリルと中毒性は尋常ではない。この音世界に心を掴まれたら最後、しばらくあなたのCD棚にあるCD達の出番はなくなるだろう。僕は圧倒的に支持する。