DISC REVIEW
Overseas
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THE GET UP KIDS
There Are Rules
"エモ"シーン、その全てのファンがこの名前を見れば心ときめくはず!あまりにも甘酸っぱいメロディとともに疾走する彼らの楽曲は、"感情"を刺激するまさしく"エモ"の代名詞的存在だった。一度は解散したもののシーンにカムバックしてくれた彼らの復帰作は、往年のファンには大きな驚きを与えるかもしれない。まず、音割れしそうなヴォルテージで響き渡る1曲目「Tithe」。"青春"な香りが漂うかつての彼らの音色から打って変わった攻撃性で幕を開け、続くエレクトリック・サウンドをフィーチャーした楽曲が二重三重のインパクトをぶつけてくる。過去の遺産にしがみつくことなく、現在の自分が信じるものを表現しようとする彼らの気概が表れているような作品だ。
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THE BOXER REBELLION
The Cold Still
Drew Barrymore 主演映画『遠距離恋愛 彼女の決断』に楽曲を書き下ろし、その劇中にメンバーが重要な役どころで出演も果たすなど、最近は活動のフィールドを新たな分野へ広げているのが印象的なTHE BOXER REBELLION。その活動がきっかけとなって、今作であらためての彼らの作品に触れる人は多いかもしれない。そんな重要作は、幕開けからこのバンドならではの世界観に引き込まれる。ピアノと弦楽を背に、厳かなムードに包まれながら響いていく「No Harm」。重厚、かつ壮大な音色でアルバムの世界観にいきなり引き込まれ、「Step Out Of The Car」で一気に疾走を開始!スピード感豊かに疾走するかと思えば、繊細なファルセット・ヴォイスが心の琴線を揺らす……。バンドの持ち味を十二分に発揮しながら、新たな広がりも感じさせるアルバムだ。
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FRANKIE & THE HEARTSTRINGS
Hunger
両手を高く上げ、背筋を伸ばし、口を大きく開けて満面の笑みで「イェーイ!」と叫ぶ。そんな空気を纏う英・サンダーランド出身の5人組、FRANKIE & THE HEARTSTRINGSのデビュー・アルバム。フランキー・フランシスのダイナミックで情熱的なヴォーカルは、聴き手の心をバウンドさせるように揺さぶる。シンプルで思わず口ずさんでしまうキャッチーなメロディと、いい意味でちょっと垢抜けない雰囲気が漂う手作り感漂うサウンドに、妙に親近感と安心感。現代に生きる彼らならではの伝統的なブリティッシュ・ロックに対する敬意を随所に感じられる。おだやかな曲はじっくり聴かせて、激しい曲では元気にさせる。そんなストレートな潔さに、高らかにピース・サインをしたくなった。
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AUTOMATIC LOVELETTER
Truth Or Dare
2007年フロリダ州にて結成されたAUTOMATIC LOVELETTERのデビュー・アルバム。ライヴの度にその注目度を高めている彼ら、ヴォーカルJulietはその圧倒的な存在感から、既に多くのバンドからの熱いラヴ・コールを受けているという。日本ではPUNKSPRING 2011への出演も決定するなど、勢いづいているこのバンドは、やはり紅一点のJulietにつきる。強くも伸びやかな声には迫力と女性的なしなやかさがあり、彼女が歌うその先には広く壮大な景色が広がっていく。そして、少しかすれるハスキーヴォイスが最高にセクシー。正面きってロックする潔さと風格はCourtney Loveのようでもあり、現在のガールズ・ロック・アイコンの中にはいない新たなヒロインの誕生だ。
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TORO Y MOI
Underneath The Pine
コロンビア出身のChaz Bundickによるソロ・プロジェクト、TORO Y MOI。彼の描く音はチル・アウトでありながらもアンビエントという枠では収まりきらない。極めて純度が高いにも関わらず、光が水面を通過した瞬間に屈折して見えるように、TOROY MOIの音像を正確につかむことは難しい。交わることのない音像を重ね合わせ、それぞれに意識が分断されてしまう居心地の悪さを生み出しているのだ。しかし、ふわふわとした浮遊感の空気の中、伸縮し破裂する音が誘発剤となり、不思議と中毒性の高い音楽に引き込まれていく。まるで、夢を体験している自分を観察する自分自身として認識しているあの奇妙な感覚のように、音楽の中に飲み込まれている自分を見ることになるだろう。THE MORNING BENDERSやVAMPIRE WEEKENDが快活な"昼"の音楽であるのに対し、TORO Y MOIのそれは夢に落ちる瞬間の無秩序で混沌とした"夜"の音楽だ。
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CLOUD NOTHINGS
Cloud Nothings
米オハイオ州クリーブランド出身のDylan Baldiのソロ・プロジェクトであるCLOUD NOTHINGSのデビュー・アルバムは、"等身大"という言葉が申し分なくしっくりくる作品に仕上がった。2009年、当時18歳の彼が自宅の地下室でレコーディングした楽曲がネットで話題を呼び、昨年はSXSWにも出演を果たした。軽やかなギターのカッティングが特徴的なローファイ・テイストのサウンドと、どこまでもキャッチーなメロディに隅々まで宿る躍動感。若者が内包する有り余るエネルギーが、全て音と歌にぶつけられたようなピュアネス。良い意味で軽いノリで始まったような、頑張りすぎないラフな空気が生々しくリアルだ。音楽を心の底から楽しんでいるポジティヴな意識と、甘酸っぱく瑞々しい青春がぎっしり詰まっている。
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CRYSTAL FIGHTERS
Star Of Love
インディ・エレクトロ界の開拓者、KITSUNEの耳にも止まったCRYSTAL FIGHTERSのサウンド。スペインはバスク地方の民族楽器とラテン特有の身体を火照らせるビートを、エレクトロという切り口でハイ・テンションに融合している。彼らのエスニック色は、GOLD PANDAのエッセンスとは異なった昇華スタイルだ。“昇華”というより、“消化”といった方が近いかもしれない。CRYSTAL FIGHTERSは“エスニック”をエッセンスとして取り入れているのではなく、根底にあるべきものとして存在させている。民族衣装がえてして極彩色豊かなように、本作の11曲は異なった温度と色彩を内包している。単一的なビートに偏ることなく自由で開放感に溢れ、時に無邪気に「I Love London」なんて言ってのける。エレクトロ、ポップ、ラテン。エキソドスさながら大量のキーワードとメロディが溢れ出す。
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ESBEN AND THE WITCH
Violet Cries
ひっそりと、真夜中に繰り広げられる魔女たちの舞踏会。その優美な舞いに魅せられたら最後、深く、冷たく、艶やかな闇に包まれ、どこまでも沈んでいく……そんなスリルが堪らない。“聴く”というより、“浸る”という表現がピッタリのナイトメア・ポップだ。英ブライトン出身、BBC Sound Of 2011にも選出された期待の3ピース、ESBEN & THE WITCHのデビュー・アルバム。ネーミングはデンマークの昔話から取ったそうだが、ミステリアスでダークな世界観には納得の由来だ。まるでBEACH HOUSEの官能的な歌声とTHE XXの呪術的なビートの邂逅、あるいはメランコリックなWARPAINTとTHESE NEW PURITANSのディープな交配なんて想像してしまうが、かつての4ADが醸したゴシック・ロマンな美意識、そのモダンな解釈とも呼べそうだ。いやはや、末恐ろしい新鋭が現れた。
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V.A.
Kitsune Parisien
こんなに安心して聴けるコンピレーション・アルバムって他に存在するのだろうか?それほどまでに、揺るぎない地位を確立した『Kitsuné Maison』。そして早くもキツネから新しいコンピレーション『Kitsuné Parisien』が登場!キツネ・レーベルのボス、Gildasとパーティ番長のAndreが地元パリのニュー・カマーを厳選して収録。中でもTrack.8のBEATAUCUEというまだ若干20歳のテクノ・デュオの存在感には圧倒されてしまう。既に昨年キツネからデビュー・シングル(デジタル配信)も発売されており、今回収録された「Behold」は所謂現代のテクノなのだが、20歳でこのサウンドを生み出せるとは末恐ろしい。パリの音楽シーンの新時代到来の予感がする。
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Gruff Rhys
Hotel Shampoo
Gruff Rhys旅行記第一日目は、海辺の宿での目覚めから始まる。カモメの歌声と、海辺特有の生暖かさを含んだ波の音が心地よく広がる。Gruff Rhysといえば、言わずもがなSUPER FURRY ANIMALSのフロント・マンであり、SIMIAN MOBILE DISCOやGORILLAZへも参加をしている売れっ子ヴォーカリストでもある。そんな彼自身のホテル行脚の記憶を、アメニティ・コレクションとリンクした音楽として留めたという本作は、時にハイ・テンションで、時にチル・アウトなゆるいポップ・サウンドで充実している。こじんまりとした、それでいて開放感のある甘いメロディが甘美だ。そして、親しみやすい軽やかなサウンドに、時折織り込まれるエッジの利いたファズ・ギターが、どこか非現実的な高揚感を生む。見知らぬ街を散歩しているかのような、無防備で、明け透けな好奇心に刺激され、今すぐにでも旅支度を始めたくなってしまう。
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IRON & WINE
Kiss Each Other Clean
前作は全米チャート24位を記録する大ヒットとなったが、「Flightless BIRD,American Mouth」が映画「トワイライト」の挿入歌として起用された影響はあるだろう。しかしこれは、単にタイアップ効果がもたらした結果ではなく、IRON & WINEことSamuel Beamの音作りに対する真摯で誠実な姿勢が実を結んだ、必然的な動きなのではないか。オリジナル・アルバムとしては3年振り通算4枚目、SUB POPから4AD移籍後初となる最新作。曲毎に表情を変えるバラエティ豊かな作風には、フォーク、カントリー、AOR、ブルース、ワールド・ミュージックなどジャンルレスな歩みの洗練があり、また成熟の貫禄を感じさせる風通しの良さもある。もちろん、コーラスとの美しいヴォーカル・ハーモニーも健在。“雄大なアメリカ”を想起するエモーショナルが満ち溢れている。
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ASOBI SEKSU
Fluorescence
『Fluorescence』=蛍光。目を劈くような刺激の強い奇抜な蛍光色と言うよりは、漢字をそのまま訓読みにした“ホタルビカリ”の方がこのアルバムのイメージによく合致する。メンバーも自分達の音楽を“シューゲイザーというよりスカイゲイザー”と語っている通り、晴れやかな光を感じさせる空から煌びやかな音の滴が降り注ぐようである。浮遊感と力強さのあるYuki Chikudateの歌声と美しいメロディは、聴く者の意識を夢の世界へ颯爽と連れ去っていく。気持ち良いのにそこはかとなく狂気的。川の流れのように心地の良い英語詞と躍動感のある日本語詞のコントラストは他では味わえないインパクトに溢れている。極上のひねくれドリーム・ポップ・ワールドに酔いしれて溺れるのも悪くない。
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MOGWAI
Hardcore Will Never Die, But You Will
MOGWAI約2年半振り7枚目のオリジナル・アルバム。アルコールの購入を拒否されたティーンエイジャーが言い放った台詞をそのまま使ったという過去最高にハードで攻撃的なアルバム・タイトルとは裏腹に、過去最高に柔らかく美しい作品に仕上がっている。心地良いメジャー・コードが奏でる、凍てつくような鋭さは、広大な大地一面に広がる白雪のようだ。極限にまで削られた言葉。だが彼らは言葉では表し切れない淡い感情を、音だけで繊細かつ明確に表現する。彼らの音は、5人全員が同じ気持ちと言うより、5人全員の気持ちが重なった時、5人だからこそ創り出すことが出来る“新たなる形”なのではないだろうか。滑らかに鮮やかな刺繍を施す細い針のようだ。心に様々な模様を打ち付けられてゆくのを感じた。
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MUMFORD & SONS
Sigh No More
ロンドンを拠点に活動する4ピース・バンドMUMFORD & SONSのデビュー作。発売から丸1年間全英トップ・チャートのトップ40に君臨したという超話題作である本作は、自然の造形美のごとき壮大な美しさと、わずかな哀調を帯びた、温かな作品だ。そして、ふと浮かび上がるように始まり、気付かぬうちに終わっていた...そんな手触りが印象的。それは、浮かび上がったものが、徐々に空気と馴染んでいき、やがては消えてなくなっていくような...。何度も心は荒れ、何度も泣いたはずなのに、朝日が昇るとなんだか全てが嘘のような気持ちになる...まるで一夜の間に起きた、ひとつのドラマを見たような出来事だった。幾度も押しよせる音による激情という波、バンジョーを筆頭としたストリングスは、嵐のように吹き荒れたが、終わってみれば、全てが夢だったように穏やかだ。
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MEW
Eggs Are Funny
FLAMING LIPSとの来日公演も記憶に新しいMEWからクリスマス・プレゼントが。結成から14年、バンドの歴史を網羅したベスト盤『Eggs Are Funny』である。代表曲はもちろん、メジャー・デビュー以前のレア音源や先日の公演で披露され話題となった新曲「Do You Love It?」も収録。さらには歴代のビデオ・クリップをコンパイルしたDVD付きというから、もう最強盤である。愛らしくも透徹な歌声、壮大な構築美、北欧の冷気漂う叙情性、アーティスティックな映像と、オリジナリティ溢れる世界観はいかにして描き出したのか?そんな進化/深化の過程を辿るように聴くとおもしろい。「Repeaterbeater」を音源では収めなかったのは彼ららしいひねくれセンスだろう。そろそろ“デンマークの至宝”という枕詞から、“デンマークの世界遺産”に認定しては?
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MAGNETIC MAN
Magnetic Man
南ロンドンのクロイドンが発祥地とされるダブステップは、ダブやドラムンベースなどの重低音が響くサウンドに、2ステップやグライムを変容させたようなビートが特徴で攻撃的なものからムーディーなものまで、その音楽性は実に幅広い。今回ダブステップ界の立役者のSKREAMと創始者であるBENGA。さらにBENGAのプロデューサーのARTWORKの3人でMAGNETIC MANを結成。本国イギリスで、デビューアルバムがUKチャート初登場5位を記録。日本盤はデジタルのみでのリリースとなるが、硬派なダブステップにキャッチーなサウンドや重低音のベースのバランスに頼もしさを感じた。Trackの流れも非常に自然で最後まで退屈させない仕上がりだ。
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LITTLE BARRIE
King Of The Waves
待ってました、LITTELE BARRIE!"帰ってきたロックンロール"などと有触れた言葉を吐きたくはないが、穏やかながらも確かなサウンドで彼らが再びそのエンジンに点火したことは一目瞭然だ。疾走感あふれるドラムに、曲を牽引するギターと土台を支えるベース。そして、シンセやオルガンの音が彩りを添える。ブルージーでUKロック全開なサウンドを全面に感じさせながらも、都会的な表情も失ってはいない。無論、この4年間の間にライヴを重ねてきた彼らにとってもはやジャンルなど無意味だ。古くはTHE BEATLESからTHE DOORS、さらにはBLACK REBEL MOTORCYCLE CLUBなどが入り乱れたようなサウンドが方々から押し寄せる。そして、あらゆるサウンドを"ロック"という熱い思いに回帰させ、生々しい熱さを閉じ込めることに成功している。『King Of The Waves』--サウンドの中、満ち溢れた熱に溺れてしまってもいい。
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ROVO
Ravo
日本のダンス・ミュージックを奏でるジャム・バンドとしてもはや最高峰といっていいROVOの2年5ヶ月振りのニュー・アルバム。FUJI ROCKを始めとするフェスでも欠かせない存在である彼らのライヴは素晴らしいのはもちろんだが、今作はポスト・プロダクションに時間をかけたと語っているようにライヴと同様とても完成度の高いアルバムになっている。今までよりもスケールは大きいのにしっかりと近くにいるようなそんな聴きやすさが今作にはある。全曲11分〜14分という長さに収められてる事もこのアルバムの聴きやすさを表しているかも知れない。よりシンプルに練り上げられたこのビートとサウンドには日常と非日常の間行き来する様な不思議な心地よさがある。
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HOLY FUCK
Latin
車を運転し、さらにはバンド活動を行う猫たち。そんなファニーな動画が話題を呼んでいるHOLY FUCK。『Latin』は、囁くように何かを語る声が不穏な予感を招くところから始まる。ほとんど沈黙に近い状況が、私たちの不安感を煽る。そして、激しいノイズの中、突然のスクラッチからトライバルなバンド・サウンドが姿を見せる。一気に引き込むように加速するノイズに、重ねられる予測不能な展開。4人ともが自由に音を鳴らし、神経を刺激するような不安定なサウンドを好き勝手に重ねていく。それは、怖いもの見たさの好奇心を痛いほどに刺激する。目隠しをされて嵐の中放り出されるような不安と異様な気分の高まりの中、息苦しいほどの恍惚感、倒錯感を覚える。
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BEST COAST
Crazy For You
BEST COAST!そう、西海岸最高なのである。ANIMAL COLLECTIVEのブレイク以降続々と個性的なアーティストが登場しているNYブルックリン・シーン同様、こちらはNO AGE以降だろうか、青い海と真っ赤な太陽を浴び自由に育ったアーティストで活況を呈しているL.A.シーン。なかでも今年のサマー・チューンとして刺激的な季節を彩ったのはこの1枚だったのでは?SONIC YOUTHのThurston MooreやBill Murrayまでもファンを公言している要注目デュオ、待望の日本デビューです。BEACH BOYSを夢見た女の子がひとり自室にこもり安い機材で作ってしまった、みたいなローファイ感覚が印象的だが、気だるいエコーを纏った甘いメロディから滴るノスタルジーが心を惹きつける。ジャケもご覧の通り、猫萌えユルユルさでファニー。でもこの飾らなさはバンドの魅力を象徴しているかもね。
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Skream! 2024年09月号