DISC REVIEW
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THIS IS JAPAN
WEEKENDER
前作『FROM ALTERNATIVE』でタイトルに掲げた"オルタナティヴ"なロックの系譜に連なるスタイルではあるが、今作『WEEKENDER』は、そのクリエイティヴィティが大きく飛躍した作品となっている。ギターを主体にラウドに走るロックンロール然としたワイルドな魅力だけでなく、そのギターを置いてリズムにフォーカスし、ベースやドラムの音色にも遊び心を加えたり、ダンス・ミュージックのミニマルな要素を採り入れたりと、メリハリやダイナミクスに特化したアレンジにシフトすることで、フロントマン 杉森ジャックの放つ歌と言葉もさらに躍動。これを聴いてライヴに行けば、あなたの"WEEKENDER"ライフはより豊かになること間違いなし。
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Bamboo
月光
学生時代に様々なコンテストでグランプリを獲得し、"マイナビ未確認フェスティバル2019"のファイナリストにも選ばれた、男女混成のポップ・ロック・バンドの2ndシングル。タイトル曲の「月光」は、センチメンタルな空気をエモさもあるバンド・サウンドで描いた、Bambooにとって初のラヴ・ソングだ。けだるさのある「Äthanol」も、ヴォーカルのちなみが自身の父親へ向けて書いた「19歳」も、心地よいメロディや聴き手を選ばないキャッチーさを持ちつつ、楽器隊が要所で主張してくるバンド・アンサンブルが楽しく、現場で体感するとまた違った響き方をしそうなものばかり。ポップであること、ポップだからこそできることを模索しながら進もうとする姿勢に期待大!
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dps
ごめんなんて言葉
"ごめんなんて言葉"というタイトルから、歌謡的なエッセンスを感じる人もいるかもしれないが、今作はひと言では言い表せない。ダイナミックな「Get Up」があったかと思えば、緩さもある「昼過ぎのコーヒー」が現れ、さらには、フォークなのにハードな新感覚の「戦うこと」、和の世界へといざなう「清水の舞台から飛び降りて」、美しいバラードの「7月の雨」......と、様々な楽曲が並んでいるのだ。そんなバラエティに富んだ曲と、色とりどりの物語やメッセージを描く歌詞に筋を通しているのは、ロックからブレない森丘直樹(Gt)のアレンジと、どんな世界観も歌いこなす堂々たる木村涼介の歌声だと思う。8曲という収録曲数を生かした、dpsの8つの顔が見られる1枚。
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BBHF
Family
エレクトロやR&B、ヒップホップの影響を感じさせる配信限定EP『Mirror Mirror』と対になる、バンドのフィジカル面を打ち出した作品とも言えるが、完全に対照的でもないところが面白い。9月に先行配信した「なにもしらない」で窺えた、震えるような表現する自由や音楽に懸けて生きるしぶといほどの痛快さが、BBHFならではのジャンルのハイブリッドを生んでいることに感動する。アフリカン・リズムに乗せ生楽器のフレージングを研ぎ澄ました「花のように」にしろ、静謐且つ力強いサウンドスケープを描くなかで"水面を叩け 骨が砕けるくらい"と歌う「水面を叩け」にしろ、生きている細胞が躍動する歓喜に満ちている。しかも彼ららしい透徹した音像は世界でも無二だ。
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BiS
DEAD or A LiME
何かと話題に事欠かない破天荒アイドル 第3期BiSが、メジャー・デビュー・アルバムに続きメジャー1stシングルをドロップ。アグレッシヴなロック・チューン「DEAD or A LiME」では、ジャケット写真から伝わってくる獰猛で攻撃的なイメージの通り、強烈に歪ませたギター・サウンドが洪水のように襲ってくる。そんな音像に負けない、燃え滾るようなエネルギーの感じられるリリックと、それを吐き捨てるように歌い上げるメンバーのヴォーカル・ワークによる凶悪な三位一体は、デビューしたばかりとはいえ、すでにシーンにおいて唯一無二と言える。c/wは、疾走感のあるバンド・サウンドの「テレフォン」。フロアが揉みくちゃになっている画が容易に想像できるライヴ映え間違いなしの1曲だ。
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ArtTheaterGuild
NO MARBLE
前作『HAUGA』に続いて、the pillowsの山中さわお(Vo/Gt)がプロデュースを手掛けた2ndミニ・アルバム。本人たちも公言している通り、the pillowsをはじめとする国内外のオルタナティヴ・ロックからの影響を、良質なメロディとともにてらいなく届けるスタイルは健在だが、今作はタイトル"NO MARBLE"や1曲目の「Marbles」に用いた"マーブル"という言葉通り、その個性がより際立つ作品となった。リズム隊がどっしりと存在する不動の液体だとすれば、メロディや歌詞にある心象や、ギター・サウンドはそこに垂らされる絵の具。美しく絡み合いながらもそれぞれの色がはっきりと立った、極上のギター・ロックを、じっくりと堪能してもらいたい。
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WOMCADOLE
黎明プルメリア
"今宵零時"から"黎明"へ――メジャー・デビュー作品であり約1年8ヶ月ぶりのフル・アルバムは、名実ともに"滋賀のスーパー・ロック・バンド"を証明する作品と言っていい。信念をより堂々と強固に打ち立てた「FLAG」を筆頭に、鋭利なギター・ロックからダークなオルタナ、フォーク・ソング、ストリングスの効いたバラード、ダンス・ナンバーなど、音楽性はさらにバラエティ豊かに。これまで持っていた純粋性、叙情性、鮮烈さ、洒落っ気が、枠にとらわれない表現に落とし込まれることで、彼らの人間性や精神性をより明確に示すことに成功している。バンドの資質を余すところなく詰め込んだ全13曲。今後も続く彼らの歴史と人生の中でも、故郷のような意味を持つ作品になるのではないだろうか。
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そこに鳴る
complicated system
これまで以上に男女ツイン・ヴォーカルのスタイルを前面に出しながら、さらなる可能性を追求した3曲を収録。イントロのギター・リフがちょっとフラメンコにも聴こえる表題曲、ベースがジャズっぽいウォーキング・フレーズを奏でる「枷の先で」、キャッチーなギター・リフが、曲が持つ哀愁を際立たせる「孤高」――どの曲も爆裂するそこに鳴るサウンドを、これでもかと鳴らしながら、新境地をアピールしている。通常盤にはライヴDVD付きの初回限定盤に収録されないボーナス・トラック2曲を追加。どちらも初期に制作された曲の新録だそうだが、シンプルなアレンジで疾走感を追求したオルタナ・ロックの「善略」、メタルの影響が窺える「迷い子」ともに、彼らの王道からちょっと外れる魅力が聴きどころになっている。
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BLUE ENCOUNT
ポラリス
嵐や暴風の中を突っ切って進むような体感もあり、物理的にはアップテンポだが、大きな意味で"バラード"と呼びたくなる、大きなグルーヴを醸し出している新境地。"あの日「守る」と決めた/約束はこの胸に"という印象的な歌い出しから、Aメロはむしろ抑制の効いた歌唱が決意を滲ませる効果を発揮し、ラストの"消えそうな希望(ヒカリ)だとしても行け"が、実際に大会場のオーディエンスに届くイメージが湧く。世界的にも人気のアニメ"僕のヒーローアカデミア"第4期のオープニング・テーマとしても、さらに新たなファンを獲得するであろうスケール感だ。カップリングの「girl」は一転、モダン・ロックのマナーにアレンジされた淡々とした叙情を描いたスウィートなナンバー。聴くほどに愛着が増しそうな1曲だ。
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シイナナルミ
すきぴホリック
シイナナルミが、作詞者としても、歌手としても、飛び抜けた才能を持っているということが伝わってくる2ndシングル。頭の中でエンドレス・リピートしそうな、小気味いいリフと軽やかなコーラスから始まったかと思いきや、"「恋は盲目なんてバカらしくない?」/そんな言葉だけで 片付けないで"とピシャリと宣戦布告する。時には"友達は辞めました"など過激な言葉も交えながら、純粋な恋愛をポップに歌う。すべてのバランスが絶妙で、それこそシイナナルミに盲目な恋をしてしまうリスナーも出てきそうな、彼女にしか表現できない楽曲だと思った。2曲目の「好きな人の好きな人になりたい人生」も、爽やかなストリングスと切ないメロディ、女の子の本音を言語化した歌詞が起こす化学変化が見事だ。
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This is LAST
aizou
何度も浮気をされた実体験をもとに書いた「殺文句」や「愛憎」が、SNSを中心に注目を集める千葉県柏発の3ピース・バンド、初の全国流通盤。"誰かの代わりなんて知ってるから"と拭いきれない未練が滲む「愛憎」や、"両思いのはずなのに/片思いをしてるみたいね"と悲しい恋愛を描いた「バランス」など、痛ましい恋愛経験と向き合うことで生み出されるキラー・フレーズの数々が胸に刺さる。赤裸々なまでに等身大な失恋を綴るギター・ロック・バンド。というのが、現在のインディーズ・シーンのトレンドではあるが、その枠だけに収まらないのがこのバンドの面白いところ。青春時代に想いを馳せ、前向きに日々を乗り越えるサラリーマンの歌「帰り道、放課後と残業」など、新機軸となる楽曲に無限の可能性を感じる。
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Brian the Sun
パラダイムシフト
5thシングルとなる本作はTVアニメ"真・中華一番!"ED主題歌。チャイニーズ感のあるイントロのギター・リフ、Aメロのファンク感を保ちつつ、シンコペーションのリズムで進む、サビで開放的になる展開はキャッチーだ。それでいて、バンド・サウンドの真骨頂を表現したアルバム『MEME』の延長線上にある、存在感の大きな音像が2019年の彼ららしい。c/wの「still fish」は、より自由に暴れている印象で、森 良太(Vo/Gt)と小川真司(Gt/Cho)の異なる個性のギターが堪能できる。なお、DVD付初回生産限定盤にはアメリカダラスでのライヴのドキュメント映像も付帯。ライヴの模様はもちろん積極的に海外のリスナーとコミュニケーションをとるシーンなど、短くも濃い内容だ。
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EARNIE FROGs
Orange glitter
作品をリリースするごとに、バンドの嗜好を貪欲に取り込んだ新しいアプローチに挑戦し続けているEARNIE FROGs。アダルトで都会的な前作ミニ・アルバム『イエロウ・イン・ザ・シティ』から6ヶ月ぶりとなる今作は、再びバンドの原点にあるロックなアプローチになった。生きる意味はなんなのかという答えのない葛藤に自問自答する「36.7℃」にはじまり、「バタフライ」や「Ring Tone」という自分らしさの在り処を模索するナンバーのあと、ダイナミックなロック・サウンドに乗せて、"美しいと思う日々が続きますように"と歌い上げる「Rock Radio」へ辿り着く。人間の内面へと深く潜り込んでいくような歌詞をはじめ、絶妙な男女コーラス・ワークなど、アーニーの個性が強く打ち出された1枚。
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Rei
SEVEN
ギターと歌があれば戦えるReiが音楽的なレンジを拡張したひとつの頂点が前作『REI』だとしたら、本作は基本的に彼女とリズム隊のみのミニマルな編成が逆にスリリングな瞬間をいくつも切り取っている。ブルージーでハードなギター・リフから始まる「Territory Blues」に改めて彼女のルーツを感じつつ、リード曲の「Connection」ではモダンな生音と打ち込みのビートやラップ・ヴァースが新鮮。また、思わず息を止めて聴き入ってしまうアコギのリフ~ソロの熱量とタップ・ダンサーのパーカッシヴな靴音のみで構成された「DANCE DANCE」、ギター・サウンドのニュアンスでイメージを際限なく広げるほぼインストの「Tourbillon」など、まさに七変化。プレイヤーとしてもプロデューサーとしても音楽の自由さを表現している。
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AZKi
without U
VTuber/Vsingerとして、2018年11月に活動開始したAZKi。AZKi WHiTEとしてポップ・チューンを、AZKi BLaCKとしてロック・チューンを発表し、バーチャル音楽ユニットや新世代クリエイターが曲提供&プロデュースをし、AZKi BLaCKではBiSH等の曲を手掛けてきたSCRAMBLES内のユニット、T.S.Iが担うなど、幅広い楽曲を歌ってきた。今作では、さらにバラエティに富んだ曲が並ぶ。シンガーとしての挑戦があり、クリエイター側も音楽的な可能性を広げるようにして、ポップスとしてもゴリゴリのロック且つオルタナティヴな曲でも、いいものを作ろうという相乗効果がある作品。歌唱力の高さプラス、初の作詞作曲に挑戦もした意欲的なアルバムだ。
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緑黄色社会
sabotage
表題曲「sabotage」は、主演は波瑠、原作はいくえみ綾、しかもヴァイオリン教室が舞台という音楽が絡んだドラマ"G線上のあなたと私"の主題歌。どう考えてもプレッシャーになりそうな要素が満載だが......それを悠々と乗り越え、ドラマの立ち位置や物語も、自分たちの進化も、すべて詰め込んだ楽曲になっている。聴かれる機会が増えるというだけではなく、バンドの才能やキャラクターが色濃く見えるという意味でも、"緑黄色社会って何者!? すごいバンドなんじゃない!?"という声が、これから続々と聞こえてきそうだ。2曲目の「Alright!!」も、表題曲にしてもいいと思うくらい、オープンでブライトでパワフルな一撃を食らわせてくれる。なんとも贅沢な1枚。
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KEYTALK
DON'T STOP THE MUSIC
移籍第1弾アルバムを幕開けるのは「DE'DEVIL DANCER」。この曲で思い起こすのは、最強のライヴ・チューンとしてバンドのスケールを大きくした「MONSTER DANCE」。あの曲のリリースから5年を経て、タフに進化をした今のKEYTALKが爆裂なダンス・チューンを描いたらどうなるかというのが冒頭の曲だ。同曲を筆頭にスマートなアレンジ力に磨きをかけて、EDMからロカビリー、彼らならではの躁的でカオスなサウンドからグッド・メロディのキャッチーさまで、多彩なエッセンスをKEYTALK節として昇華した12曲。4人のキャラクターを生かして曲を書き、曲の物語や力を最大限にするアイディアを重ね、テクニカルな面でも緻密なこだわりを感じる。ライヴでどう化けていくか楽しみ。
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zo-sun park
MAL FROM
"ワン!チャン!!2019"でグランプリを獲得した札幌の3ピース・バンドによる初の全国流通盤。THE LIBERTINESやOASISといったUKの成分を感じさせるサウンド・アプローチ、サイケ、ギター・ポップ、ニュー・ミュージック的なムード漂うメロディやギターの音色などを用いて、ゆるさとロマンを交錯させたり、バンドの一体感で硬派に攻めたりなど、掴みどころのないシュールな世界が広がる。インパクトのあるワードのリフレインとシンプルなメロディ、それらを引き立てるコーラス・ワークから生まれるポップでキャッチーな空気感の中で、それと相反するような人間の陰を描写した歌詞がいいアクセントに。ルーツを感じさせながら新しい音楽を生もうとする気概と、ひねくれたフレッシュさが瑞々しい。
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ASCA
百歌繚乱
液体、気体、個体、はたまたシャーベット状と温度や環境によって様々な形態となっていく水のように。歌う楽曲によって次々と表情を変えてゆくASCAというヴォーカリストの持つポテンシャルが、この1stアルバムではよりいっそうの鮮やかさをもって花開くこととなったようだ。超ビッグ・タイトル・アニメ"ソードアート・オンライン アリシゼーション"のOPとして名を馳せた「RESISTER」など、いわゆる代表曲たちが一挙集結しているという点でも今作はマストバイとなるが、一方ではアルバムならではと言える趣向が凝らされた新曲群が、実に興味深い仕上がりとなっている点にもぜひご注目をいただきたいところ。1stアルバムにして、もはやベスト盤かのようなこの充実ぶりはある意味で末恐ろしい。
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Negative Campaign
Negative Campaign Ⅱ
前作からわずか10ヶ月のスパンでリリースとなった2ndフル・アルバム。さらに3rdフル・アルバムもすでに計画中だという。まさに、その溢れんばかりのアイディアが詰め込まれた作品。前作のリード曲「スーパーカブに乗って」に負けないキラーチューン「Primitive」と「Empty Lamp」で幕を開け、60年代のソフト・ロックを思わせる「スイカ」やモータウン・ビートを大胆に採り入れた「サンドウィッチガール」など、総じて90年代以降の"パワー・ポップ"という印象が強かった魅力はそのままに、さらに音楽的な幅を広げサウンド・アレンジも豊かに。様々な時代感を自由に往来し、切り貼りするてらいのない抜群のポップ・センスを、ぜひ味わってもらいたい。
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