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DISC REVIEW

Oh Yeah, All Right

はいからさん

Oh Yeah, All Right

2006年結成、幾度のメンバー・チェンジを経て、サポート・ベーシストを加えた3ピースで活動中の“はいからさん”。60~70年代のロック、ソウルを基盤にしたバンド・サウンドと、単純明快な日本語詞が特徴だ。彼らが歌っていることは実にシンプルで“ギターを弾いてると楽しい”なんて、思っても口にしないような当たり前の感情を一言一言しっかりとリスナーに投げかける。でもその言葉に偽りなし。彼らの躍動感のあるソウルフルなサウンドは、本当に隅から隅まで音楽を楽しんでいることが感じられる。ノー天気かと思えば一転、とってもセンチメンタルな側面を出したりと、なかなかニクい。ぬくもり溢れる歌心と明快なバンド・サウンドは、優しさをふんだんに吸い込んだブランケットのように柔らかい。

想像と都市の子供

ハイスイノナサ

想像と都市の子供

都会の景色と、そこで生きる人々を映した、説明なきドキュメンタリーのような作品。現代社会を生きるうえで、身体感覚を失わないように生きていこうとする意志を表現したという「mass」や、平均化していく現代文化を表現したという「均質化する風景」に代表されるように、描く対象を音というパーツでもって冷静に組み立てた、まるで精密機械のように作り込まれたナイーヴな世界が広がっている。具体的にイメージされるのは、都会のビル群。あの殺風景で無機質な光景は、そこに行き交う人々のあらゆる感情を飲み込み、喜怒哀楽の一切をあやふやにしてしまう。そんな都会の喧騒の血の気のなさを忠実に形にしていく姿には、完全現実主義ともいえる厳しさも感じるが、淡々と描いているからこその美しさがある。これは音楽による写実主義という美学なのかもしれない。

若者日記

ハク。

若者日記

大阪からジワジワ知名度を上げている平均年齢19歳のガールズ・バンドの初ミニ・アルバム。甘酸っぱい恋心を歌うデビュー音源「アップルパイ」や、バンドが初めて作ったまっすぐなロック・チューン「ワタシ」から、オルタナ色の強いメランコリーなリード曲「カランコエ」、タイトなサウンドにメッセージを乗せた「ふたり基地」まで、1枚の中で末恐ろしいほどの成長が感じられる。どの曲も軽やかに透明感を纏いながらも、内側には確かに滾る想いが滲む。そんな心の内を赤裸々に、だけどどこか達観したように綴った全8曲に自ら"若者日記"と名付けるということは、"これは今だからこそ綴れること"と自覚しているのかもと思うと、いっそう輝きを増して届いた。リスナーそれぞれにお気に入りのナンバーが見つかりそうだ。

真打

白昼堂々踊レ人類

真打

落語×ファンク×ソウルフルな"イッツKENZENエンターテインメント"! ファンク・サウンドをベースに、古今東西のジャパニーズ・カルチャーをオルタナティヴにミックスする、白昼堂々踊レ人類。キャリア初の全国流通盤となる今作は、色物バンドでは? という予想を見事に裏切る、本格オルタナ・ファンク・サウンドで聴く者を魅了。高い演奏力で聴かせるグルーヴィなサウンドも、ゴリ(Vo)のパワフルなヴォーカルも極上。よっ、真打ち! 落語を題材とした「まんじゅうこわい」や「死神」のファンク解釈は斬新すぎるし、ステージに立つ覚悟を込めた「真打 in the House」は楽しくも緊迫感ある歌と演奏にドキドキが止まらない。寄席に見立てた、笑いあり切なさあり、ダンスありというライヴもぜひ観たい!!

明日からがんばる

はこモーフ

明日からがんばる

“女子3ピース・バンド”というと、(現在の体制は異なるが)チャットモンチー、日本マドンナなど、メジャー、インディーを問わず活躍しているバンドは数多い。かく言うはこモーフも3ピースなのだが、他にはない味がある。懐かしい情景が浮かぶサウンドに、気まぐれな女心のようにコロコロと変わる世界。しかし、繊細な危うさや可憐さといった“女の子らしさ”ではなく、古典でいう“をかしさ”を含んだ魅力なのだ。3ピースでも物足りなさはなく、どっしりしつつも弾力のある楽曲から、予想のつかないサウンドまで、実に表情豊かだ。民謡や歌謡曲を彷彿とさせるメロディでつむぐ、奇妙に日本的なポップさは、今までにない中毒性をはらんでいる。まさに大人になりきれない大人に向けた“みんなのうた”だ。

その名はハシグチカナデリヤ

ハシグチカナデリヤ

その名はハシグチカナデリヤ

ループ・マシンを駆使し疾走感のあるギター・リフやフレーズが折り重なった、直線的でスピードに乗った前半から、中盤には一挙に空へと駆け上がって宇宙遊泳のような浮遊感のあるアンサンブルを聴かせ、再び重力のある空間をハイスピードで走り抜く。Track.1「ニュートリノシンドローム」から、1曲の中で大きく変化するドラマ性に富んだサウンドでインパクトを与えるアルバム。ファンキーなビートや、ソリッドなバンド・サウンドの曲、またスペクタクルな展開の曲でも、キャッチーなメロディやコーラスが乗る。ループによってめまいやトランス感を引き起こし、耳に飛び込んでくる勢いや心地にこだわった歌でポップに響かせるなど、細部まで作り手の采配が活きた内容になっている。Track.12の「名前はまだ無い」のスペイシーなサイケデリック・サウンドもまた圧巻。

チェ

ハシリコミーズ

チェ

3人編成のバンド、ハシリコミーズの2ndアルバムが到着した。トップバッターを担う「限度がわからない」ではわずか30文字の歌詞とアグレッシヴな8ビート・サウンドが耳になだれ込んできて、オープニングからインパクト大。さらに甘酸っぱくもシニカルな表題曲「チェ」、男女ツイン・ヴォーカルで歌い上げる「恥をかくより汗をかこう」、ラップっぽい歌い方がクセになる「友達のラップバトルに付き合わされたのさ」など、ニヒリズムを含んだ素直な感情を散りばめた全15曲を収録。盛りだくさんながらもトータル30分以下の疾走感溢れる1枚に仕上げられているのは、若さゆえの勢いがあってこそか。彼らが今後バンド・シーンにどのような旋風を巻き起こすのか、しっかりと目に焼きつけておきたい。

ダイアローグ・モノローグ

秦 基博

ダイアローグ・モノローグ

2014年第1弾シングル。表題曲「ダイアローグ・モノローグ」はタイトルの通り、過去の自分を振り返りながら己と向き合い明日をみつめる内容となっている。2004年のインディーズ時代から数えると今年で活動10年目を迎える秦基博。これまでの自身の足跡に想いを馳せながら歌っているのだろうか。これ以上ないシンプルで素直なアレンジが実直な歌声を際立たせており、新生活に踏み出した人々の心に共感を生みそうな1曲だ。離れて暮らす人との短くも大切な時間が歌われているカップリングの「五月の天の河」も同様に、新天地に赴き歩み出した人にとっては恋人や家族、仲間が浮かんできそうな描写が胸に迫る。きっとこの季節のリリースに合わせての曲なのだろう、切なくも優しいメッセージに彼のパーソナリティが伺える作品だ。

凍狂

八十八ヶ所巡礼

凍狂

八十八ヶ所巡礼の3年ぶりのニュー・アルバムは、一度見たら夢に出てきそうなバンドお馴染みのキャラクターと、東京("凍狂"?)の町並みがインパクトを放つジャケット写真で表現されたとおりの、前衛的で怪奇的な作品に仕上がっている。どろどろした怪しさが漂う和テイストの「虚夢虚夢」、サイケデリックなサウンドが刺激的な「脳の王国」、都会の夜空に月が不気味に光るような情景が浮かぶタイトル・トラックの「凍狂」など、いずれもいい意味で癖の強い極上のプログレ・ロック・ナンバーが揃う。全体を通して、彼らの持ち味である技巧派サウンドが効いているのも聴きどころと言えるだろう。ミドル・チューン「永・凹・阿阿瑠」でじっくりとテクニックを堪能するのもまた一興だ。

恋は神聖ローマ

ハナエ

恋は神聖ローマ

19歳の女性ポップス・シンガー、ハナエの5枚目のシングル。前作同様、いまやキュートな歌声を料理させたら業界随一の辣腕プロデューサー、真部脩一を迎えて制作。ホーン・セクションを担当した大谷能生をはじめ、千住宗臣、西浦謙助ら実力者揃いのゲスト・ミュージシャンも加わったリード曲「恋は神聖ローマ」は、昭和歌謡テイストも感じさせる、スウィング・ジャズ調の正統的ポップス。正直楽曲自体に目新しさはないものの、それが逆に感情を抑え気味に歌うハナエのヴォーカリストとしての魅力とシュールな歌の世界を際立たせている。“変幻自在”“天地創造”など四文字熟語の言葉遊びが面白いカップリング曲「変幻ジーザス」は一聴すると牧歌的な脱力ソングだが、ダンス・ロックなギター・カッティングに乗せられるサビは中毒性有り。

欲望

東京スカパラダイスオーケストラ

欲望

EGO-WRAPPIN'の中納良恵とハナレグミが参加した東京スカパラダイスオーケストラ通算17枚目のアルバム。ヨーロッパ・ツアーの合間を縫って1週間という短期間でレコーディングされたというエピソードからも分かるとおり、衝動がそのまま切り取られてパッケージされている。Track.1の「黄昏を遊ぶ猫」を聴いた瞬間から、顔面に熱風を吹きかけられたような熱さと勢いに呑み込まれそうになる。もちろんそこには長くに渡って音楽シーンを牽引してきた彼らだからこその楽曲の深みと質の高さがしっかり存在しているのだが、それよりも音楽への歓喜の叫びが聴こえてきそうな作品に仕上がっているのが印象的だ。誰よりも音楽を楽しみ、音楽への欲を追求する、衰え知らずの攻めの姿勢は、最高にロックなのではないだろうか。

あいのわ

ハナレグミ

あいのわ

ハナレグミの4枚目のフル・アルバムが届けられた。温かく力強い永積タカシの声は、まるですぐ側で彼が歌っているかのように響いてくる。「People Get Ready」「光と影」での柔らかで哀愁漂うソウルフルな歌唱は相変わらず素晴らしい。そして、マダムギターをフィーチャーした「・・・がしかしの女」での騒々しくも笑顔に満ちた掛け合い、BOSEとAFRAを迎えた「Peace Tree」のオーガニックなグルーヴからは、人と音楽を奏でることを思い切り楽しんでいる彼の様子が伝わってくる。この作品には、音楽と共にある喜びが目一杯に表現されている。音楽は楽しい。そして、優しい。この素晴らしいソウル・アルバムはそんな言葉さえも信じさせてくれる。ただ甘ったるいだけのポップ・ソングじゃこうはいかない。

BEST 2012-2019

ハルカトミユキ

BEST 2012-2019

初のベスト盤は、曲のテイストにより、比較的メジャー・キー、しかし前を向くなり答えを出すまでの葛藤が色濃いDisc-1"Honesty"と、マイナー・キー且つ慟哭が表現された曲が多めのDisc-2"Madness"という振り分けがなされている。新録は3曲。YouTubeで公開され未完だった「どうせ価値無き命なら」での、生きる意味がわからなくても生き方や命は他人に売り渡すなという強い意志や、ライヴで披露されていたものに加筆した「LIFE 2」での、ないものとあるもの――例えば"本当の居場所などない"、"まだ欲しいものがある"と真実を積み重ねていく表現、変わらない/変われない部分が浮き彫りになる「二十歳の僕らは澄みきっていた」のいずれもが、ふたりの肝と言えそうな作品であることが嬉しい。

17才

ハルカトミユキ

17才

ハルカトミユキがこんなにまっすぐに明るい曲を書くとは。ふたりがデビュー記念日にリリースする初のシングル表題曲は、TVアニメ"色づく世界の明日から"のOPテーマ。ハルカ(Vo/Gt)が丁寧に紡いだ色彩豊かな歌詞は、アニメの世界観とリンクしながらも、"ひとり"に寄り添い、"ひとり"を肯定してきた彼女たちの信念が貫かれている。コーラス・ワークや鐘の音が楽曲をいっそう華やかに色づけているのも印象的だ。そして、今作でひと際強いインパクトを放つのが、「そんな海はどこにもない」。ハルカが敬愛する歌人、穂村 弘に作詞を託したこの歌は無伴奏で届けられる。表現力を増したハルカの歌声と強烈な歌詞世界にどっぷり浸ってほしい。同じ場所には留まらず前進と進化を続けるふたりの意欲作。

溜息の断面図

ハルカトミユキ

溜息の断面図

本作の"攻め"のモードを象徴する「わらべうた」から「Sunny, Cloudy」までの冒頭3曲、ミユキの音楽家としてのさらなる成長を印象づける「終わりの始まり」や「WILL(Ending Note)」といった中盤の曲もいいが、本作のキーとなっているのは生ピアノを基調としたバラード「宝物」だろう。本作には"Confessions of a sigh"というサブ・タイトルがついていて、"溜息"とはつまり、心の奥に隠していた想いの告白であることを意味しているわけだが、「宝物」は27歳という表現者にとって鬼門となる年齢を迎えたハルカが想いを告白する1曲。この曲があるからこそ、本作に込められた"怒り"にリアリティが宿り、ラストを締めくくる感動的な希望の歌「種を蒔く人」へと繋がっていくのだと思う。

LOVELESS/ARTLESS

ハルカトミユキ

LOVELESS/ARTLESS

ソングライターとしての覚醒を感じさせるスケールの大きな「奇跡を祈ることはもうしない」を筆頭に、シンセ・ベースを活かしたお得意の80年代風ポップ・ナンバーから、UNDERWORLDのようなトランシーなダンス・ナンバーまで、ミユキの音楽的な冒険心が、本作の完成に大きく寄与していることは間違いない。一方、ハルカはオルタナ感のあるミドル・ナンバーやフォーキーな「you」によって、"ハルカトミユキ"というブランドを保持しつつ、シンガーとしての確かな成長を刻んでいる。"太陽になれないそんな僕だけど/君の足元を照らす月になろう"と歌い、本作の"飾らなさ"を象徴するラスト・ナンバー「夜明けの月」からは、ひとつのフェーズが終わりを告げる安堵感と、新たな始まりに向けた解放感が同時に感じられ、胸を締めつけられる。

LIFE

ハルカトミユキ

LIFE

今年始めに公開された"年内にミニ1枚とフル1枚"というマニフェストに急遽付け足された今年2枚目のミニ・アルバム。"変わらなければいけない"という強い意志によって生み出されたのが前作ミニ・アルバム『世界』だったのなら、本作『LIFE』は、もはや自分たちの中から溢れ出る新しい何かを抑えることができない――そんな野性的な衝動によって成り立っている。特に、"ただ、このひと言を伝えなければいけない"というハルカの剥き出しの情熱が、無垢なほどダイレクトな言葉とメロディを産み出したTrack.1「肯定する」、そして80'sポップを入口に快楽と狂気の入り混じる音楽探究を続けるミユキが、モダンEDMの煌びやかさと90年代ビッグ・ビートの重量感を融合させた壮大なサイケ&ダンス絵巻であるTrack.7「火の鳥」は、この先を占う2曲だろう。

世界

ハルカトミユキ

世界

それでも、生きなきゃいけない――この『世界』というミニ・アルバムでハルカトミユキが鳴らすのは、そんな屈強な覚悟である。覚醒感のあるシューゲイズ・ロック「世界」、マッシヴなダンス・チューン「嘘ツキ」、冴えない日常に寄り添う情景描写が素晴らしい「ヨーグルト・ホリック」など、新たな話法を駆使しながら、彼女たちはこの"世界"を、自らを傷つける場所ではなく、大事なものを守るための、大事なものを賭けて戦うための場所として見据えた。純潔さで身を守り、嘘と汚れを嫌悪したか弱い少女の姿はもはやここにはない。生まれてしまった。愛してしまった。この薄汚れた世界で。なら、生きるしかない。その覚悟を鳴らすからこそ、この作品には、朝と夜が、涙と笑顔が、嘘と本音が混じり合う。光と闇が、渦を巻いて溶け合う。

そんなことどうだっていい、この歌を君が好きだと言ってくれたら。

ハルカトミユキ

そんなことどうだっていい、この歌を君が好きだと言ってくれたら。

傑作1stアルバム『シアノタイプ』から約半年ぶりに放たれる3rd EP。インディーズ時代のEP作品に引き続き冠せられた短歌タイトルが、あまりにストレートに今のハルカトミユキの気持ちを代弁している。『シアノタイプ』以降の音楽的レンジの広さと抜けのいいポップネスを持った全5曲中前半3曲の新曲群は、今まで大きなモチーフになっていた怒りや哀しみだけではない、様々な感情の入り組んだストーリーを展開しながらも、"歌を伝える"というその命題に対する確信と祈りを強く響かせている。後半2曲には「385」と「青い夜更け」という音源化が待たれていた過去の名曲を収録。未だ消えることのない痛みと他者を求めるピュアな想いが剥き出しで描かれている。変化の真っ只中にいる現在進行形のハルカトミユキを捉えた作品と言える。

シアノタイプ

ハルカトミユキ

シアノタイプ

世界に向かって怒りと疑いの眼差しを向けながらも、そんな自分自身の叫び声すらも信じ切ることができず、おのずと自嘲すら孕んだ内面探求へと向かっていく......インディーズ時代のハルカトミユキは、そんな"外側と内側"を極端に往復していくような存在だった。だが、このメジャー・デビュー作には、その1歩奥にある彼女たちの本質、本音が深く刻まれている。怒りの言葉はより幅広くポップに展開される楽曲との相乗効果で攻撃性を増したが、同時に「シアノタイプ」、「長い待ち合わせ」、「ナイフ」といった楽曲には、傷だらけになりながらも他者に手を差し出すことを諦め切れない無垢なまでのコミュニケーション欲求が描かれている。ここには愛することを、求めることを止めない裸のままの想いがある。そこに何より感動する。

真夜中の言葉は青い毒になり、鈍る世界にヒヤリと刺さる。

ハルカトミユキ

真夜中の言葉は青い毒になり、鈍る世界にヒヤリと刺さる。

ニッチな音楽ファンが思わずニヤリとしてしまうであろう世界観を持つハルカトミユキが吐きだす2ndミニ・アルバム。立教大学の音楽サークルで出会った詩人のハルカと奇人(HPのまま)のミユキによるフォーク・デュオ。1stミニ・アルバム『虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな』を発表してから各方面で話題の存在だ。あるときは抒情的、あるときは疾走感のあるさまざまなサウンドに乗せて、まるでこちらの心を見透かしたかのような言葉の数々を繊細で危うい歌声で生々しく投げかけてくる。"何を考えているか分からない世代"と言われがちな20代が抱える繊細でシリアスな部分を鮮やかに、時に絶望的に表現。その都度心を震わされリスナーは文字通り"ヒヤリ"とさせられるに違いない。

アトム・ハート・マザー

春ねむり

アトム・ハート・マザー

活動開始から1年、めきめきと頭角を現してきたポエトリー・ラッパー、春ねむり。追い風を感じながら、よりはっきりしたものに変わってきた確信のもと、J-POPシーンの、ど真ん中で勝負できるものを意識しながら作り上げた2ndミニ・アルバム。緊張感、切迫感に満ちたトラックメイキングは、シンセの音色をメインにしながら、幅を広げることもテーマのひとつに掲げ、「いのちになって」、「TOKYO CALLING」では生っぽいバンド・サウンドを取り入れている。後者の2ビートには驚かされるが、消えてしまいたいという誘惑に打ち勝ち、生きたいという欲求を歌い上げる「いのちになって」のメッセージとギター・ロック然としたトラックは、今後、彼女の表現の核になっていきそうだ。さらなる飛躍の予感!

生活

ハローモンテスキュー

生活

昨年8月に全国デビューした4ピース・バンドの2ndミニ・アルバム。「がらんどう」では恋の終わりを蝉の一生に重ね、続く「白昼夢」も別離についての曲。「たぶん気のせいだ」の主人公も何かを諦めている。同郷のH△Gが提供したバラード「友達の詩」を境に曲調がより彩り豊かに。言葉遊びが楽しい「よくある話」、「フランソワ」、最後のフレーズでちらりと意志を覗かせる「やるきがでないのを」を経て、ライヴ感溢れる「スワロウ」で締める。少年性と少女性、あどけなさと切なさが同居するはたけ(Vo/Gt)の歌声を軸にしたバンド・サウンドは、軽やかだが、憂いを帯びた響き。いい歌、いい歌詞、いい演奏を突き詰めた非常にシンプルな、ゆえに聴く者に何か考える余地を残すような作品だ。

ワールドイズマイン

ハンブレッダーズ

ワールドイズマイン

ノイジーなギターと爽快に駆け上がっていくメロディで、止まっていた日常を大胆に色づけていくような1stシングル「COLORS」に続くシングル。今回は縦ノリの疾走感に加えてダンサブルなノリが軽やかなステップを呼び起こす。「COLORS」で開いた世界に臆せず飛び込ませてくれるエネルギーほとばしる曲になった。頭でっかちだったり、ひねくれた妄想や想像だったりでつい思考の寄り道をしてしまうこともあるけれど、勢いやリズムに乗って君を迎えにいくという一筋縄でいかないところはハンブレらしい。でも、完全無欠のヒーローじゃない、いつだってリスナーの隣にいて語り掛ける存在が彼らの音楽。そして、ド派手なギター・ソロをきっかけに、"僕らの世界"にまばゆいスポットライトを浴びせていくアンセム感が最高だ。

COLORS

ハンブレッダーズ

COLORS

昨年メジャー・デビューを果たしたハンブレッダーズが、満を持して1stシングルをリリース。TVアニメ主題歌として書き下ろした表題曲「COLORS」は、彼らのことを知らなかったアニメ視聴者の耳にも引っ掛かるであろう、疾走感溢れるエネルギッシュな1曲となっている。カップリングには、"好きな曲を誰にも知られたくないのに誰かにわかってほしい"と矛盾しつつも音楽好きならきっと共感する気持ちをリズミカルなメロディに乗せた「フェイバリットソング」と、恋人がいなくなった部屋で寂寥感に浸るバラード・ナンバー「パーカー」の2曲を収録し、聴きごたえのある色とりどりな1枚に。"ネバーエンディング思春期"を掲げ、甘酸っぱい曲を届けてきた彼らが少し大人びて見えるようになったのは私だけだろうか。

ユースレスマシン

ハンブレッダーズ

ユースレスマシン

"ネバーエンディング思春期"を掲げ、あの日、あのときの思いをヴィヴィッドに、センチメンタルに、不甲斐ない自分もダダ漏れに痛快なロックンロールに仕立てるハンブレッダーズが、本アルバムでメジャー・デビューを果たす。社会人としての道を選び、昨年サポート・ギターに降格した吉野エクスプロージョンも編曲にクレジットされており、変わらぬ関係性が続いていることは、長く応援してきたファンは安心するところだろう。そして、曲が進むうちに甘酸っぱい青春期へと舞い戻っていく感覚に陥って、切ないような恥ずかしいような痒さが身体に広がっていく、ハンブレッダーズ節が鳴り響く喜びも感じられる。記憶装置としての音楽で、これほど高性能なものはないと思う。何気ない節に、つい引っ張り出されてしまうのだ。

イマジナリー・ノンフィクション

ハンブレッダーズ

イマジナリー・ノンフィクション

前作『純異性交遊』から約10ヶ月でリリースとなる2ndアルバム。"ネバーエンディング思春期"と掲げ、10代の衝動や感情、初めて音楽で身体に電撃が走ったときのあのただ叫び走り出したい感覚をリアルな言葉に変え、歌にしてきた4人。彼らは今回、その先にある、自分たちが日々何を感じ、考え、何を音楽にしていくのかを形にした。サウンド的には前作の延長線上で、自然と鼻歌になるキャッチーなメロディがあり、フレンドリーさは不変。教室の隅っこで静かに本を読んだり、気配を消して自分の世界に耽溺していたりした子が、すっくと立ち上がって自分の思いを発する強さ、冷静な観察からの熱い言葉が、そのキャッチーな歌となって炸裂する。友達が投げ掛ける、ハッとする言葉や眼差しが刻みつけられている。

純異性交遊

ハンブレッダーズ

純異性交遊

シンプルで疾走感のあるドラム&ベース、ジャカジャカとかき鳴らされるギターに突如炸裂する派手なギター・ソロ、そしてフレンドリーで、つい口ずさんでしまうメロディ。特別上手いとか、逆にどうしようもなく下手でもなく、新しい音やトリッキーなことをしているわけでもない。でもなんだか、これは特別な音楽だと感じさせるきらめきや、大人の筆者にとってはある思い出の琴線にとても繊細に触れる歌で、甘酸っぱい思いにさせてくれるのだ。きっと青春真っ只中のリスナーにとっては、自分の毎日を照らしてくれる力強いアンセムになり、メロウなBGMにもなるような、ロックンロール・アルバムなのだろう。ひとりぼっちでも聴けるし、ひとりぼっちの時間にもなれる。そういう音楽の良さを持っている。

future

バウンダリー

future

初の全国流通盤だった前作『now』で自分たちの今を表現した大阪の女子3人組が、今度は自分次第でどうにでも変えられる未来を歌い上げる。同世代の子たちを勇気づけたいと語っているとおり、20代前半の彼女たちが奏でるのは前作同様、青春の光と影が交差するストレートなギター・ロック。そんなバンド、他にもいっぱいいるじゃないかと言う人は、ギタリスト然としたロックンロールなギター・プレイと、リズム隊が持つファンキーなリズム・センスで差をつける演奏にもしっかりと耳を傾けていただきたい。中でもオススメはTrack.2「さよなら」、Track.3「明後日」、Track.7「神様」の3曲。彼女たちの曲は決して同世代の子たちだけのものではない。幅広いリスナーに刺さるはずだ。

now

バウンダリー

now

当時、高校1年生だったメンバーが2013年5月に結成。その後、地元大阪で精力的にライヴ活動を行ってきた3ピース・ロック・バンドによる初の全国流通盤となるミニ・アルバム。女性3人組のロック・バンドと言うと、多くの人が固定観念に近い、あるイメージを抱くかもしれない。しかし、ハネるリズムがモータウンっぽいTrack.2「バイバイ」を始め、1曲ごとに趣向を凝らしたアレンジが耳に残る全7曲が、そんな思い込みを気持ち良く裏切ってくれる。パワー・ポップのTrack.3「BABY」やダイナミックなリフで聴かせるガレージ・ロック風のTrack.5「restart」など、バンドの根っこにロックンロールが感じられるところが面白い。ギタリストとしてのゆき(Vo/Gt)のセンスにもぜひ注目を。

H1OPE

爆弾ジョニー

H1OPE

爆弾ジョニーが結成10周年に届ける新作は、所属レーベルや事務所から独立し、メンバー5人で作り上げた"自家製"アルバム。フロントマン りょーめー&ギタリストのキョウスケは、今年新プロジェクト SAMURAIMANZ GROOVEでも作品を発表したが、その別方向での活動があったからこそ、本作『H1OPE』は溌剌とした爆弾ジョニーらしさが味わえる仕上がりに。ライヴハウスを震わせるような生きた音で、時流など気にせず、自身が大好きなロックンロールやポップ・チューン、はたまたヒップホップまでを一丸となって鳴らし、彼らならではの言葉選びで笑顔に(時折目頭を熱くも)させてくれる曲の数々。10周年でこうして仲間との遊びと純粋な想いに溢れた作品を生み出した彼らこそが、希望だと思う。

クレイジービートラリアット

爆弾ジョニー

クレイジービートラリアット

ヤンチャな爆弾ジョニーが帰ってきた! やかましいビートを手加減なくぶっ放してケタケタと笑うような今作。ジャケットのインパクトもさながら、1曲目がふざけたボーナス・トラックという愉快犯的作品だが、無論戯れるだけではない。ライヴですでに披露されている「アクセル」は、グオングオンと上下の音を往来するベース、馳せ回るドラム、切なさを帯びるキーボード、1音ごとに激化するギターに、体温を感じさせるヴォーカルで"いつかわかるさ/全部が今日のためだって"という詞が乗り、5人の強くなった魂が爆発していて目頭が熱くなる。郷愁を覚える美メロで包み込む「padiya」も沁みる。成長はしても大人にはならない爆弾ジョニー。彼らが結成時からの目標"世界平和"を作る瞬間を心から信じたくなる。

みんなの幸せ

爆弾ジョニー

みんなの幸せ

このアルバムの第一印象は"爆弾ジョニーは何をやっても大丈夫だ"という安心感だった。もともと様々な音楽性を吸収した太い体幹と高いバランス感覚を持つ彼らが、大人になればなるほど様々な想いや知的好奇心が湧き上がり、それを作品に反映させるのは当たり前のこと。"ロックで世界平和を目指す"という絶対的な信念がある限り、彼らは何をしてもどこに行っても間違いのない作品を届けてくれるのだ。この14曲を聴いている時間は、貸し切りの遊園地を5人に無理矢理引きずられて休む間もなくいちいち刺激的なアトラクションに乗り回されるような高揚があり、ラストに待ち受ける感動的に降り注ぐ大輪の花火には胸が焦がれる。彼らについていけば間違いなく素晴らしい景色が見られることを確信した。彼らの満面の笑みに浮かぶ涙の痕もまた、美しい。

終わりなき午後の冒険者

爆弾ジョニー

終わりなき午後の冒険者

こんなに爆弾ジョニーらしいのに、今までこんな曲爆弾ジョニーになかったな、というのが第一印象だった。今年4月にアルバム『はじめての爆弾ジョニー』でメジャー・デビューし、1stシングル『唯一人』でも強烈なインパクトを放った、札幌出身平均年齢20歳の5人組の2ndシングル。表題曲は映画"日々ロック"の書き下ろし主題歌で、すでにライヴでも披露され彼らにとっても新たな強力アンセムとなっている。ぶっきらぼうだが包容力のあるギターも、微かに憂いを漂わせるピアノも、リズム隊が刻む力強い8ビートも、疾走感はあるのにがむしゃら感は一切ない。彼らは冷静に自身の向かう先を見据え、そこをめがけて駆け出したのだ。"やるかやらないか/それだけの世界で僕らすべて変えたくなるのさ"――爆弾ジョニーの快進撃が始まる!

唯一人

爆弾ジョニー

唯一人

4月に『はじめての爆弾ジョニー』でメジャー・デビューした札幌出身の5人組の1stシングル。TVアニメ"ピンポン"のオープニング・テーマに起用されている表題曲は、勢い溢れるパンクなロックンロール・ナンバーで、現状に苦しみつつもそれをぶち壊そうとする気概に溢れている。Track.2は一転、ラップとファンクなアプローチが光る楽曲。シンセを始めとして彼らのテクニカルな面が出ており、「唯一人」とのギャップに驚く人も多いはず。彼らの楽曲の振り幅は大きな武器だ。そしてその武器を扱う5人全員が、ものすごいパワーを持ってそれを振り回すのだから、そりゃあ大きなアタックが生まれるというもの。いたずら坊主たちの悪だくみはまだまだこれから。全3曲がそんな期待をくすぐる。

運動と食卓

バスクのスポーツ

運動と食卓

前衛的で、方向性を間違ったピュアで熱い思いが迸る、バスク地方のスポーツの勢いをテーマにした楽曲で世に打って出る4人組インストゥルメンタル・バンド。彼らの初の全国流通盤『運動と食卓』は、YESを筆頭とする70年代~80年代のプログレッシヴ・ロックを2010年代の日本仕様にアップデートしたサウンドが基調となる。バキバキにキマったフューチャリスティックなサイケ感を漂わす「Txoko」はまさに挨拶代わりの1曲で、アヴァンギャルドなMVと共に彼らの精神性を垣間見ることができる。今作で最大の聴きどころは、複数の楽章に分かれた「Sagardotegiak」で、過去のプログレッシヴ・ロックの名曲群に勝るとも劣らない出色の出来だ。美術大学出身だからこそとも言えるが、アートに対するきちんとした視座を持ち合わせているという点は、今後このバンドにとって重要な核となるはずだ。

スクールカースト

バズマザーズ

スクールカースト

2011年に山田亮一(Gt/Vo)を中心に結成された3ピース・バンドの6曲入りEP。表題曲のTrack.1「スクールカースト」では、耳から離れなくなってしまうような神経を逆撫でする金属的なギター・サウンドで"スクールカースト"の中にいる"黒板消し扱うアレよりも、クラスで存在の無いそこのお前"の意識下に語り掛け、自分らしくあることにエールを贈る。Track.a2「文盲の女」ではラテン調のリズムで女性との関係を文学的に歌い、Track.3「おー新世界」では肩の力の抜けた小唄で楽しませるといった感じで、表題曲とは対照的にどんどんリラックスしていくのが人間の心象風景を短時間で感じられるようで興味深い。後半はライヴで人気の3曲を現メンバーにより再録している。

OPA!

バックドロップシンデレラ

OPA!

ポルトガル語で"驚き"を意味する表題をつけた7thアルバムは、1曲1曲がビックリ箱的な要素を盛り込んだ作品に仕上がった。奇抜で予測不可能なフレーズや展開を忍ばせた一筋縄ではいかない楽曲が多い。とはいえ、キャッチーな歌メロや人間臭いアプローチもあり、リスナーを突き放さない愛嬌が全編に敷かれている。いつの間にか曲を口ずさんでしまう人懐っこい音色で、ライヴで聴いたらさらに楽しめそうな曲調ばかりが揃っている。素っ頓狂なコーラスがインパクト大な「激情とウンザウンザを踊る」、コミカルなノリに身体が揺れ動いてしまう「よのっしーがやってくる」など、キャラ立ち抜群の曲が目白押し。ラストを飾る「うたい文句」は郷愁を刺激するバラードで、しっとりしたメロディも実に魅力的だ。

スゴい!君!

バックドロップシンデレラ

スゴい!君!

2006年に結成された4人組編成バンドの5枚目のフル・アルバム。いきなりミュージカルさながらの合唱と徐々にスピードを上げるスカ風アレンジで困惑させる「夕暮れにウンザウンザを踊る」に始まり、次々と情報過多ぎみの楽曲が飛び出してくる。"池袋は死んだ。だが俺は生きてる"と勝手に宣言する「池袋のマニア化を防がNIGHT」、"埼京線快速は、南与野駅にただちに停車せよ""俺は板橋生まれ千葉育ち与野市のやつらはみんな友達"と歌う「市長復活~さいたま市ヨリ与野市ヲ解放セヨ~」等、クスクス笑いつつスルスルと聴き入ってしまう歌たちは、バイオリンも飛び出すHR/HMマナーにアレンジされたテクニカルなバンド・サウンドがあるからこそ成立する。自分の好きな音楽がニッチ扱いされる切なさと怒りを歌った「CD屋からサイコビリーがなくなる日」に共感!

終わりの始まり

バンドごっこ

終わりの始まり

大阪在住の"半妖系"と人間ふたりから成る3ピース、バンドごっこが、活動10周年に向け放つ最新作。たっぷりの疾走感にネガティヴな言葉を乗せた「後ろの正面」で彼ららしく幕を開けつつも、最後のひと言でチラリと光を見せると、その後も考える隙を与えずそのままテンションを上昇させる「ポセイドン号」や、キャッチーなサビが頭の中でリピートする「テラスヒ」へ。さらにSFチックな詞世界や、エモーショナルなメロディで色とりどりに展開。高速ショート・チューンあり、バラードあり、彼ら流の卒業ソングありと、聴きどころがまさに目白押し。一瞬たりともぼんやりできないビッグ・ウェーヴの連続に、誰もが心揺さぶられること間違いなしの新曲全8曲は、ミニ・アルバムの枠を超える聴き応えだ。