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DISC REVIEW

写真はイメージです

渡會将士

写真はイメージです

誰もがちょっとした違和感を抱きつつも受け入れてしまっている"写真はイメージです"という注意書きをテーマに書き下ろした渡會将士のニュー・シングルが面白い。"イメージ"に支配されがちな人間の性や現代社会を皮肉を込めて描き、このタイトルの一節を様々に言い換えていくという1曲なのだが、実に独特のユーモアに溢れているのだ。軽やかに聴けるのに味わい深く、聴き手がクスッとしながらも想いを巡らせることもできるという絶妙なバランス、そして歌詞表記やMVにも渡會将士のクリエイティヴィティが発揮されているので併せて楽しんでみてほしい。20周年イヤーの幕開けにこのナンバーを堂々発表するというのも彼ならではで興味深く、渡會将士が長年シーンで愛されてきた理由が十分に伝わる1枚になっただろう。

Interplay

RIDE

Interplay

再結成から早約10年。80年代のシューゲイザー・シーンで産声を上げ、90年代のブリットポップの熱狂の真っ只中でもがいていた彼らは、解散後にミュージシャンとしても人間的にも成熟し、活動再開後は本当にフレッシュな姿勢で意欲的な活躍を見せていた。今作でも、そんな彼らのこだわり抜いたサウンドは古臭いところがまったくなく、バンドの新たなる進化を感じさせるものとなっている。滝のように打ちつける轟音ギターは、霧散してマイナス・イオンを放ち、浮遊感のあるメロディへと誘う。爆音で浴びる音のデトックス効果で、日々のモヤモヤやイライラが洗い流されていきそう。テクニカルな表現も押しつけがましくなく、スッと耳に入ってくる不思議な感覚は、幅広い世代から受け入れられるだろう。

All Born Screaming

ST. VINCENT

All Born Screaming

美しさとしなやかな強さを併せ持つ、女性シンガー・ソングライター ST. VINCENTことAnnie Clark。彼女の最新作は、これまでよりももっとダイレクトに自身の自然体な姿に肉薄する作品となった。セルフ・プロデュースで制作されたこともあってか、自由に湧き上がってくるサウンドをそのまま具現化したかのように、カラフルでダイナミックな表現に満ちている。さらに、Dave Grohl(FOO FIGHTERS/ex-NIRVANA)をはじめ、Cate Le BonやJustin Meldal-Johnsenなど、ジャンルを問わず才能豊かなアーティストたちがゲスト参加。激しいロックにもディスコ・ポップにもファンキーにもシアトリカルにもアンビエントにも、変幻自在にメタモルフォーゼするST. VINCENTのサウンドに花を添えている。

DEAD

中嶋イッキュウ

DEAD

女性の持つ執着心や独占欲などを時にホラー寸前、時にとても甘やかに描く、中嶋イッキュウの作家性が際立つソロ作。ドロドロした愛憎や欲望が軸にありつつ、どこか潔いまでに突き詰めた音楽性がテーマを陳腐化させないのは参加メンバーである山本幹宗(Gt/好芻)、佐藤征史(Ba/くるり)、あらきゆうこ(Dr)、新垣 隆(Pf/ジェニーハイ)の曲への深い理解とスキルのなせる技だろう。甘くレイジーなムードのオルタナ・ナンバー「DEAD」に始まり、in the blue shirtのリミックスがアンビエントなムードの「甘口 -DEAD remix-」、ナイヤビンギ風のトラックが新鮮な「哀願」、新垣の狂おしいピアノの旋律がドラマチックな「マンション」、シンプルで哀切なメロディと厚いアンサンブルの「MILK」と、いずれも中嶋の作家性と声の表現力を存分に満喫できる。

Townie

X AMBASSADORS

Townie

1stアルバム『VHS』がヒットし、近年ではKYGOとのコラボやハリウッド映画への楽曲提供など精力的に活動するX AMBASSADORSの4thアルバム。フロントマンSam Harrisの故郷であるニューヨーク州イサカでの日々を愛とともに振り返る作品で、通底するアコースティックを主体とした素朴なサウンドが郷愁を誘う。街外れのガソリンスタンドでの複雑な想いを描いた「Sunoco」、亡き恩師がくれた言葉を嚙みしめるように歌い上げる「Your Town」、兄と家族の絆をエモーショナルに綴る「Follow The Sound Of My Voice」などパーソナルな内容だが、Samの誠実な歌声はリスナーの故郷に想いを馳せたくなるような共感を生むことだろう。現在のバンド像への橋渡しとなる「No Strings」の爽快感も見事。

パショギラ / 躍動 / ROCKを止めるな!!

GANG PARADE

パショギラ / 躍動 / ROCKを止めるな!!

ギャンパレのメジャー5thシングル。そのリード曲「パショギラ」はKEYTALKとのコラボ曲だ。ロック・フェス常連のKEYTALKらしい陽のパワーが溢れたダンス・ロックと"みんなの遊び場"をコンセプトにするギャンパレは、ビールと唐揚げばりに相性抜群。キャッチーなメロディと四つ打ちサウンドで、一聴しただけで踊りたくなる1曲に仕上がった。カップリングはKOTONOHOUSE提供の和×EDMナンバーで新境地を見せる「躍動」、そしてTHE イナズマ戦隊プロデュースで、いい意味での泥臭い歌唱が胸を熱くする「ROCKを止めるな!!」の2曲。ジャンルの異なる3曲だが、いずれの曲もライヴで映えること間違いなし。今年のギャンパレは音楽フェスを大いに盛り上げてくれる存在になりそうだ。

Discovery Age

the knowlus

Discovery Age

ガレージ、ポスト・ロック、時にプログレなどを3ピースのストイックなアンサンブルで構築するスタイルにしか成し得ない引き締まった音像。混沌や危機感が迫る時代と個人の普遍的な内面を行き来する世界観。それらが高い地点で融合したthe knowlus、約7年ぶりのアルバム。ここから歩みを進めていく宣誓にも似たギター・フレーズから始まる1曲目の「僕らが深淵を見つめる時」、豪雨を思わせるざらついたギターと性急な8ビートがこのバンドのガレージの解釈を窺わせる「アルキメデスの螺旋」、今作の方向性を決定した「クロノス」のアルバム・バージョン、ピアノを取り入れることでドラマ性が押し上げられた「方舟の揺れかた」など、どれもこのバンドの誠実さを感じずにいられない完成度だ。

May you be happy

mihoro*

May you be happy

ミニ・アルバム『love is alive』から約3年ぶりのフル・アルバム。過去曲でもサポートしていた雲丹亀卓人(ex-Sawagi)との「愛していた、これは本当」、YUKIやいきものがかり他を手掛ける湯浅 篤との「アネモネ」など初のコライト曲や、バンド・サウンドが基調となったなか、アレンジ面ではESME MORIとのタッグでmihoro*としては初めてメロウなトラックで歌う曲もありと試みのある作品になった。20代半ばの現在地から見える、変わらないものと変わりゆくもの、大人になっていくことやそこで生じる心の機微を、どちらも大事に歌に落とし込んだ。とてもリアルな体温が宿った曲が並ぶ。10代の頃からあった繊細さ、ちょっとした頑固さも、時を経てチャーミングに描かれている。柔らかな声と飾らない等身大の歌がフレンドリーな1枚だ。

eyes

おいしくるメロンパン

eyes

3ピースのせめぎ合いに果てしない可能性を感じるおいしくるメロンパンが、『cubism』、『answer』で開かれた表現によってオーディエンスから受け取ったフィードバックは、今作で、ソリッド且つフィジカルに訴えるサウンドやアレンジとして結実した。ミニ・アルバムの軸を成す1曲目の「五つ目の季節」の怒濤のアンサンブルで迫るイントロが新しいタームを象徴すると同時に、過ぎ去ってしまった季節を思わせる歌詞は全編でどこか共通している。ひとつの季節の中で交わることのないふたりを思わせる「シンメトリー」、珍しく世間も自分も断罪しているような「空腹な動物のための」、淡々と情景が動いていく映画的な「ドクダミ」、そして1曲の中に異なるジャンル感が混在する「黄昏のレシピ」。新たなコマンドが並ぶ強い作品だ。

実感

Lucky Kilimanjaro

実感

今年結成10周年を迎えるLucky Kilimanjaroから、"次の10年"を踊るためのニュー・シングルが到着した。表題曲の「実感」は、熊木幸丸(Vo)がバンドが活動10年目を迎えたことを受けて、バンドを継続させる情熱をテーマに書いた曲。メロディは憂いを、BPMは焦燥感をたたえている一方、"100年の愛を咲かせて"と悠久の時に想いを馳せている。常に"今"の音楽を書いてはリリースしてきたこのバンドの生きる速度、"永遠なんてない"という前提に対する解、半永久的に遺るものを作る音楽家のロマンが1曲に凝縮されているようで、シンプルながら深みのある曲だ。2曲目の「次の朝」は、問いが尽きないこの世界で生きる術としてダンス・ミュージックを提案してきたバンドの哲学のど真ん中を突くナンバー。

LUMINOUS

SCANDAL

LUMINOUS

前作から約2年ぶり、11枚目のオリジナル・アルバムは、シングル曲「Line of sight」、「Vision」、「ハイライトの中で僕らずっと」に加え、TVアニメ"HIGHSPEED Étoile"のEDテーマ「ファンファーレ」、Rhythmic Toy WorldやEOWとの共作曲含む全11曲を収録、バンドの特徴のひとつでもある多彩な音楽性を描くことで、彼女たちのこれからを描く1枚となった。現実をしっかりと見つめ、弱さもちゃんと抱きしめたからこそ生まれた自信と、包み隠すことなく本音を歌い、自身の人生と重なる歌が増えたからこその誇りしかここにはない。共作という他者と交わることでしかわからない自分たちらしさが曲に落とし込まれているのも、曲ごとに軽やかに変化するHARUNAの歌声も素晴らしい。しなやかさとたくましさがより鮮やかになり、まばゆいほどの光を放っている。

pink

東京初期衝動

pink

2022年発売の1stミニ・アルバム『らぶ・あげいん』以来のCDリリースとなる、東京初期衝動の最新EP。岡崎京子のイラストに載せた"pink"のタイトルだけで、サブカル野郎をドキッとさせる今作。しーなちゃん(Vo/Gt)のリアルな息遣いで始まる失恋ソング「untitled」から、先行リリースされた「恋セヨ乙女」、「はないちもんめ」を含む5曲を収録した今作は、全曲が失恋ソング&さよならソング。乾いたバンド・サウンドに感傷的且つ感情的なヴォーカルで女子の本音を歌う楽曲たちに、コンセプチュアルな作品性とこれまでとの印象の違いを感じたが。ラストの「メンチカツ」がバカすぎて、なんだかホッとした。豊かな表現やサウンドのこだわり、作品の統合性からバンドの充実っぷりも感じる1枚。

HOME

This is LAST

HOME

約3年ぶりのアルバムとなった今作は、原点のバンド・サウンドに立ち返った前作『別に、どうでもいい、知らない』から一転、格段に華やかなブラス・アレンジの「カスミソウ」でスタート。リアルな恋愛模様を歌ってきたThis is LASTの真骨頂を見せたTVドラマや恋愛リアリティ・ショーのタイアップ曲をはじめ、レゲエ調のリズムが心地よい「Any」から爽やかな王道ポップ・ロック「ラブソングにも時代がある」、ストリングスを効かせたバラード「言葉にして」など、完成度の高い多彩な楽曲群がこの3年間の充実度を物語っている。リテイク曲も多数収録され、全16曲とボリューム満点。菊池竜静(Ba)の脱退を経ながらも、勢い衰えることなく進んでいく彼らの今を刻むと同時に、さらなる飛躍を期待させる1枚。

hello.wav

Mega Shinnosuke

hello.wav

楽曲制作やアートワーク、映像製作をすべて自身で行う新世代のアーティスト、Mega Shinnosukeが約2年ぶりとなるEP『hello.wav』を配信リリースした。ヒップホップやハイパーポップ、シューゲイザーなど様々なジャンルが混在し、"メガシンノスケ節全開"になったという今作には、トラックの強さや等身大の愛をメロディアスに歌うハイトーン・ヴォイスが印象的な「hello shoegaze...」や、キャッチー且つダンサブルなサウンドと、情報過多な現代を軽やかに駆け抜けていくような歌詞が小気味よい「iPhone feat. Skaai」など全4曲を収録。彼の提示する新たなジャンル"MEGA POP"の魅力をこれまで以上に感じ、時代にとらわれず自由に生きていくパワーを貰えるような1枚だ。

黎明

鯨木

黎明

甘く透き通るクリア・ヴォイスで魅了する歌い手、鯨木の初オリジナル・アルバム。作家陣には伊根、煮ル果実、水槽、堀江晶太ら豪華な顔ぶれが名を連ね、楽曲のクオリティは折り紙付き。"夜"と"時間"をテーマに、こだわりが詰まったコンセプチュアルな作品が完成した。仕事終わり、夜の始まりに心躍る"19時"をポップに表現した「パノラマ」から、20時、21時、22時......と曲ごとに時間が進んでいき、怪しく華やぐ夜、愛に振り回される夜、孤独を浮き彫りにする夜と、夜が更けるにつれ表情を変えていく。そして夜明けの"朝六時"を描く「序章」は、本作のクライマックスを壮大に飾りながらも、希望に満ちた"始まり"を予感させる。初のドラマ・タイアップも決定するなど勢いづく鯨木がこれから歩んでいく"ものがたり"に期待したい。

Komorebi

DURDN

Komorebi

夜明けから深夜までの1日の心の動きや情景をテーマにした、DURDN初のコンセプトEP。アトモスフェリックなピアノ・ループに密かな野望を抱く青年のマインドがうっすら滲む「PRIDE」、起きるまでのほんの何分かの体感を描く「Alarm」、インディー・ポップと少し懐かしい90sテイストが昼下がりの空想時間とリンクする「Spaceship」、台湾出身のアーティスト Howard Leeをフィーチャーした「Pretense」では夕暮れが近づく街で虚勢を張ってしまったことを思い出し少し後悔している様子がリアル。また、シュールな印象のトラックの「Palm」は主人公の青年の孤独と野心が、ラストの「FAKE MOON」では穏やかなトーンに主人公の静かな決心が窺える。全編通して短編映画のような深さが響く作品だ。

GOHOBI QUATTRO -sweet-

ゴホウビ

GOHOBI QUATTRO -sweet-

ゴホウビのメジャー1st EPは、王道ポップス、ギター・ロック、グッド・メロディ、ファンキーなナンバーとバンドの魅力をたっぷり詰め込んだ名刺代わりの1枚に。スージー(Vo/Key)とcody(Vo/Gt)の歌の掛け合いはもちろんのこと、405(Ba)とむんちゃ(Dr/Cho)のリズム隊の掛け合いまでもがなんとも爽快な「MOKE MOKE」から、メジャー1stデジタル・シングルで、バンドにとって大切な曲でもある「好きな服」までの全6曲、様々な表情を見せながら、自由に、全力で遊ぶ姿勢は微笑ましく、それでいてバンドの強い覚悟が感じられたりもする。それはタイトルが示すよう、バンド史上最大キャパとなる渋谷CLUB QUATTROでのワンマンに向けての覚悟の表れでもあるのだろう。これから進む道とその意思が明確に表れた1枚。頼もしい。

NOW I SAY

GLASGOW

NOW I SAY

柔らかな春風を纏ったような爽やかさと切なさがこの始まりの季節にぴったりなメジャー1stフル・アルバムが到着した。初アニメ・タイアップとなったTrack.6や浦和レッズ応援番組のエンディング・テーマTrack.11など疾走感溢れるロック・チューンから、80s感漂うダンス・ナンバーTrack.5、叙情的な詩が際立つセンセーショナルなTrack.9まで表情様々な全13曲。それらが、インタールードとして収録されたTrack.1、Track.7、Track.13が形作る美しい世界観によって見事にまとめ上げられている。ワンコーラスのみのTrack.1で幕を開け、そのロング・バージョンとなるTrack.13で締めくくる、この物語をそっと閉じるような繊細なアコギの音色と歌声が紡ぐエンディングに、最後まで惹き込まれる。

P wave

SuperBack

P wave

関西を中心に活動する2人組ディスコ・パンク・バンド SuperBackの初のフル・アルバム。セルフタイトルの1曲目はまるで挨拶代わり。ソリッドなギター・リフとシンセ・ベースを軸に構成されたサウンドに、表題曲「P wave」へと繋がるまでの僅か50秒ほどで虜にさせられる。70年代のニュー・ウェーヴを彷彿とさせるエレクトロ・ポップからアップビートな四つ打ちを土台にしたパンキッシュな楽曲まで、非常に中毒性の高いダンサブルな全11曲が収録された本作。中でも奇妙な詞世界をラップに散りばめた「JADA」は、独特な世界観が広がるMVも公開され、唯一無二の存在感を強く放つ1曲となっている。踊ることの楽しさが目一杯に詰め込まれた『P wave』が漂流する先には、ディスコ・リヴァイヴァルに熱狂するフロアが鮮明に思い浮かぶ。

PEDRO TOUR 2023 FINAL 「洗心」

PEDRO

PEDRO TOUR 2023 FINAL 「洗心」

BiSHの解散、そしてPEDRO再始動後で初のツアーを回った時期は、アユニ・D本人いわく"人生大革命期"だったという。そんな旅の終着点として開催された"PEDRO TOUR 2023 FINAL「洗心」"日本武道館公演の模様が映像作品に収められた。自分探しを続け、答えを見つけたアユニ・Dないしバンドのムードは最高潮。公演タイトルの通り、音楽で観客の心を洗う映像にはグッとくるものがある。さらに初回生産限定盤には、翌日11月27日に同じく日本武道館にてチケット代100円(!?)で開催された公演"赴くままに、胃の向くままに"のライヴ映像も収録。こちらは公演後にサプライズ・リリースされた同名アルバムを全曲披露しているので、個人的にはぜひそちらをお薦めしたい。

Hyperdrama

JUSTICE

Hyperdrama

フレンチ・ハウスの革命児、JUSTICEが前作『Woman』(2016年)から約8年の歳月を経て本格的にシーンにカムバック。今作は、TAME IMPALAやTHUNDERCAT、MIGUELなど、幅広いアーティストをフィーチャーし、多彩な音楽表現に挑戦した意欲作。クラシカルなディスコ風のプリミティヴな楽曲が目立った前作とは一変して、今作はよりモダンで重厚感のあるサウンド、曲調はエモーショナル、それでいてファンキーという、より自由度の高い作品となった。3年前にGaspard Augéがソロ作をリリースしていることもあり、この数年の間、JUSTICEが停滞していたのではなく、本作に向けて様々な挑戦と成熟の期間が持たれていたということだろう。改めて彼らの創造性に驚かされるアルバムだ。

Liam Gallagher & John Squire

Liam Gallagher & John Squire

Liam Gallagher & John Squire

元OASISのヴォーカリストと元THE STONE ROSESのギタリストというUKロック好きならずともロック・レジェンドふたりのコラボにときめきを禁じ得ない音楽ファンは多いだろう。が、それ以上にやはりティーンエイジャーの頃、THE STONE ROSESの音楽に刺激を受けたLiamがJohnのソングライトを自分なりに解釈して歌っている原点回帰のムードがいい。仕上がりもラフなセッション・レコーディングっぽいし、且つ音数を絞ったモダンな聴感で、どこか時代を超越している。サイケデリックで中期のTHE BEATLESを彷彿させる「Just Another Rainbow」、コードやリフはどブルースでありつつ、削ぎ落とした音像の「I'm A Wheel」、ブギーなギター・リフや音色にJohnの色気が自ずと漏れる「Mars To Liverpool」など、聴くほどに味わいを増す1枚。


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Kaiser Chiefs' Easy Eighth Album

KAISER CHIEFS

Kaiser Chiefs' Easy Eighth Album

20年を超えるキャリアを持ちつつ軽快に新しいサウンドにチャレンジするあたりにアフター・ブリットポップのバンドの中でもユニークな色を見てしまうこのバンド。約5年ぶりのアルバムはNile Rodgersと共作したオープナー「Feeling Alright」や「How 2 Dance」にバンドのオリジンと、Nileのファンキーなカッティングが同居して違和感なし。また、本作はSam Smith、Ed Sheeran、CHARLI XCXらを手掛けるAmir Amorがプロデューサーを務めており、「The Job Centre Shuffle」は初期のニュアンスとシンセ・サウンドの出会いが楽しいし、ディスコ・ファンクとディスコ・パンクの中間点っぽい「Sentimental Love Songs」、哀愁メロもキャッチーな「Noel Groove」もいい。いい意味で重鎮化しないUKロックのひとつのモデル。

カモレの夏 EP

cadode

カモレの夏 EP

ヴォーカル、音楽プロデューサー、ゼネラル・マネージャーの3人からなる異色のユニット cadodeが放つ、クリエイター・チーム"カモレの夏"とのコラボレーションEP。微睡んだ空気に包まれるタイトル・トラックに始まり、メランコリックな「波止場にて」や「ポストスクリプト」など、退廃的でありながらも圧倒的に美麗なアンビエント・サウンドは、"廃墟系ポップユニット"というコンセプトを掲げている彼ららしいところでもあり、コラボ作品として親和性もばっちり。また、夏の夜の匂いが漂ってくるダンサブルな「感嘆符」や、軽快なクラップに和太鼓、さらにはアンセム・パートも盛り込まれた「旅に立ってまで」といったライヴの光景が鮮明に浮かんでくる楽曲もあり、さらなる扉を開いた印象も。