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DISC REVIEW

Let's Rock

THE BLACK KEYS

Let's Rock

ロックは流行らないと言われて久しいアメリカの音楽シーンにおいて、爆発的ヒットを飛ばし続ける稀有な存在、THE BLACK KEYS。アメリカの田舎によくいそうなくたびれたおじさんふたり組なのに、ぶっ飛んだロック魂とセンスの持ち主で、そのギャップもまたいい。今作は、ブルージー且つ軽やかなギター・サウンドで、古き良きロックに回帰した趣を前面に出しつつ、独特のウィットに富んだポップネスも混ぜてタイムレスな作品に仕上げている。簡潔で遊び心があり、飽きの来ないサウンドというのは、主義主張が強すぎてもなさすぎても作れない。そんな絶妙なバランス感覚でシーンを俯瞰する現代のロック・スターは、人々に忘れ去られた音楽の楽しみを"Let's Rock"と言って無造作に投げて寄こすのだ。

By Night

PLAGUE VENDOR

By Night

パンク・シーンの名門 Epitaph Recordsから、正統派パンクと名高いPLAGUEVENDORのニュー・アルバムがリリース。衝動的で攻撃的なスタイルで人気の彼らだが、今作はそんな彼ららしさがよく表現されている。ST. VINCENTの作品も手掛けたJohn Congletonをプロデューサーに迎え、外部を遮断したスタジオにこもってレコーディングした今作。ノイズの生々しい質感や轟音の荒々しさまで見事に生きた音作りが実現した。そして、なんと言ってもフロントマン、Brandon Blaineの存在感がすごい! アンダーグラウンドな香りのするサウンドはもちろん魅力的だが、こういう危うい雰囲気を纏ったパンク・ロック・スターは今、絶滅危惧種なので今後も要注目だ。

Don't Wait 'Til Tomorrow

YONAKA

Don't Wait 'Til Tomorrow

この"YONAKA"という日本語のバンド名が気になって聴いてみたって方も多いのではないか。たしかに"夜中"っぽいしっとりとした暗さや澄んだ空気感が、彼らのメロディにはある。ダークでポップな要素もあるオルタナティヴ・ロックということで、QUEENS OF THE STONE AGEの影響も感じるが、ズバ抜けた歌唱力のあるTheresa Jarvisの、ジャンルにとらわれない表現力のあるヴォーカルは、今よりロックだった頃のPARAMOREのHayley Williamsを少し彷彿させる。流行り廃りのなさそうなエモくて激しいサウンドも悪くない。モデルのようなルックスのTheresaをはじめ見た目もイケてるメンバーが揃っているので、日本でもこれから人気に火がつくかも!?

Chon

CHON

Chon

マス・ロックやメタルを土台にしつつ、ジャズやフュージョン、さらにはトリップ・ホップやエレクトロまで取り入れた、テクニカルながらクリーンなサウンドで人気を博す、アメリカは西海岸サンディエゴ出身のインスト・バンドによる3rdアルバム。前作『Homey』のヒットを受け、"Coachella"や"フジロック"など大型フェスへ出演を果たすようになった彼らは、大観衆の前でプレイすることを念頭に置いて今作を制作したとのことで、過去作に比べるとよりシンプルで明快なサウンドに変化している。とはいえ、バンドの持ち味でもある多彩な表現力や、フレーズから伝わってくるエモーションは健在。圧倒的なテクニックから生み出される爽やかなグルーヴの波に身を任せたくなる、この夏におすすめの1枚だ。

Syml

SYML

Syml

シアトルのインディー・ロック・バンド BARCELONAのフロントマン、Brian Fennellによるソロ・プロジェクト SYMLが、初のフル・アルバムをリリースした。バンドとしてのアプローチや個人名義でのアプローチとも違う、SYML名義ならではのシンプル且つエレクトロニカをふんだんに用いた表現で、センスの良さが光る。アップテンポでちょっとレトロなインディー・ロック臭のするTrack.1「Clean Eyes」はキャッチーな掴みで、全体的には、ゆったりとしたテンポ感でアンニュイなサウンドが漂う。囁くようなBrianのヴォーカルも心地いい。シンガー・ソングライターで、マルチ・プレイヤーで、プロデューサーというBrianの才能が凝縮された1枚。

Living Mirage

THE HEAD AND THE HEART

Living Mirage

2016年リリースのメジャー・デビュー・アルバム『Signs Of Light』がUSビルボード・チャートでトップ5に入るという大ヒットを飛ばした、シアトルのフォーク・ロック・バンド、THE HEAD AND THE HEARTによる最新作。シンプルなピアノとギターで綴るメロディの美しさとキャッチーなコーラスが際立つ、フォーク・ロックらしい楽曲ももちろん素晴らしいが、重低音が響くグルーヴ感たっぷりの楽曲やシンセで装飾された楽曲には、ポップスとしても楽しめる大衆性がある。THE FRAYやTHE SCRIPTなどの美メロ系オルタナティヴ・ロック・バンドが好きな方、男女ツイン・ヴォーカル、ソフト・ロック好きな方など、幅広いリスナーに聴いてもらいたい。

Spinn

SPINN

Spinn

母国イギリスで高い評価を受け、ここ日本でも2018年10月に初ライヴを行い早耳リスナーから注目を集る、リヴァプール出身の4人組インディー・ロック・バンドが待望の1stフル・アルバムをリリース。あどけなさの残る歌声にドリーミーなシンセとコーラスを絡めた、甘酸っぱさを纏ったギター・ポップは、UKロック・ファンの琴線に触れるサウンドに仕上がっている。踊ってしまうようなビートにキャッチーなフレーズが心地よい「Bliss」や「Sunshine」、歌うようなベース・ラインの「Shallow」など、メロディ・センスの良さも垣間見えるし、アコギに乗せて"君は天からの贈り物だ"と切なく歌い上げる「Heaven Sent」も秀逸。これからの躍進に期待できそうな1枚だ。

Social Cues

CAGE THE ELEPHANT

Social Cues

USケンタッキー発の6人組、CAGE THE ELEPHANTによる約3年ぶり通算5作目のフル・アルバム。グラミー賞の最優秀ロック・アルバム賞に輝いた前作『Tell Me I'm Pretty』は60~70年代のヴィンテージ・ロックに接近していたが、今作ではそこに彼らの持ち味であるガレージ・ロック・サウンドも組み合わせ、さらに奥行きのある作品を作り上げた。BECKがゲスト参加しているTrack.4ではレゲエ調のトラックに挑戦した一方で、オーケストラを携えじっくりと聴かせるTrack.8や、アルバムを締めくくるバラードのTrack.13など、静と動の二面性がエモーショナルに表現されている。デビューから10年以上を経たバンドの円熟味を堪能できる作品だ。

Nothing Happens

WALLOWS

Nothing Happens

俳優としても活動するDylan Minnette(Vo/Gt)を中心とした、南カリフォルニア出身の3人組インディー・ロック・バンド、WALLOWS。2017年にリリースしたシングルがバイラル・チャートでヒットし、注目を集めていた彼らが、待望の1stアルバムを完成させた。ポスト・パンクの影響が垣間見えるビートに、気だるげな歌声とドリーミーなシンセ、そして青春の甘酸っぱさを具現化したような衝動と混沌がミックスされたサウンドは、独特の雰囲気がある。女性SSWのCLAIROをフィーチャーしたTrack.4、歌うようなベース・ラインが際立つTrack.9、壮大なサウンドスケープを描くTrack.11と引き出しの多さも感じられ、これからの活躍にも期待が持てそうだ。

Mystic Truth

BAD SUNS

Mystic Truth

カリフォルニアのインディー・ロック・バンド、BAD SUNSが3枚目となるフル・アルバムをリリースした。80年代のUKポスト・パンク/ニューウェーヴからの影響はありつつも、2000年代以降のアメリカのインディー・ロックらしいカラッとした響きもあり、懐かしさと今っぽさの共存するバンドだ。こういうセンスのいい音楽は、スタイルのいいイケメンがやっていると逆に興ざめしちゃうんだけど、BAD SUNSはいい感じにダサくてもさっとしているのになんだかオシャレで、そこがまたいい。こういうサウンドだと、高音質の機材で聴いてライヴ感を味わうのもいいが、あえてカセット・テープに落として、よく晴れた日に足元に置いたラジカセで聴きながら洗濯したりするのが最高な気がする。

Weezer (Black Album)

WEEZER

Weezer (Black Album)

思いついたら形にせずにいられない多産なバンド、WEEZERが13枚目となるアルバム(6枚目のセルフ・タイトル!)をリリースした。WEEZERと言えば、なぜか同じくセルフ・タイトルにしてしまったカバー・アルバムを発表したばかり。全体的にネタ元だけでなく、サウンドもノスタルジックな印象だったカバー作と比べると、こちらは冒頭の「Can't Knock The Hustle」、「Zombie Bastards」の流れで一瞬にして現代に引き戻される感じだ。R&Bも取り入れたダンサブルなポップ・ソングが目を引くが、ただところどころにはサウンドメイキングなどにノスタルジックな香りを残してある。Rivers Cuomo(Vo/Gt)の今の気分なんだろうな。

What's It Like Over There?

CIRCA WAVES

What's It Like Over There?

今年で4度目となる"SUMMER SONIC"への出演も発表されたCIRCA WAVESが、来日を前にニュー・アルバムをリリースする。前作『Different Creatures』で、それまでのやんちゃでポップなインディー・ロックの殻を脱ぎ捨て、よりゴリっとしたオルタナ・サウンドに変化し、ダークな一面も見せた彼ら。今作では、その内面の激しさは引継ぎつつも、効果的にシンセを取り入れ、ポップ感やダイナミクスが増した印象だ。ひとつひとつ大人の階段を上るように深みのあるサウンドに進化していく彼らの、無限のポテンシャルを感じる作品となった。ライヴハウスの似合う泥臭いインディー・サウンドもいいが、アリーナ級の伸び伸びとしたサウンドを奏でる彼らを生で観るのもいいだろう。

In the Dark

VÖK

In the Dark

アイスランドのスタイリッシュ美女美男グループ、VÖKが2枚目となるアルバムをリリース。ルックスがスタイリッシュなら、サウンドもめちゃくちゃオシャレである。気だるいビートもダンス・フロア向けのアッパーなビートも器用に乗りこなし、アンビエントでありながら、大衆的なポップさも持った不思議な雰囲気を纏った作品だ。紅一点 Margrét Ránのアンニュイなヴォーカルや、透明度の高い浮遊感のあるシンセ・ポップは、この手のジャンルが好きな人にはたまらないはず。また、ネオ・ソウルっぽいセクシーな響きもあり、"アイスランド的な"だけでない、無国籍な香りのするグルーヴも持ち合わせている。空気の澄んだ自然の中の野外フェスで、星空をバックに聴いたら気持ちいいだろうな。

Everything Not Saved Will Be Lost Part1

FOALS

Everything Not Saved Will Be Lost Part1

"SUMMER SONIC 2019"への出演が決定し自ずと期待値が上がる新作は、2019年秋にリリース予定の後編との2部作前編。スタジアム・バンドとしてのスケールに見合うプロダクションを獲得した前作以降、バンドはベース・ミュージックや今のエレクトロニックなサウンドと対峙したのだろう。近未来を想像させるメランコリックなオープニングや、持ち味である民族性とエレクトロニックなポスト・パンクは、本作を象徴する1曲「Exits」で1音の輪郭をより明確にし、新鮮な音像を獲得している。全体的にシンセを効果的に用いながらも、80's風にもドリーミーにもならない。「Cafe D'Athens」ではトラップを高速に再解釈したようなビートも。我流且つ古くならないバンド、FOALS面目躍如の1枚。

Berkeley's On Fire

SWMRS

Berkeley's On Fire

Billie Joe Armstrong(GREEN DAY)の息子であるJoeyがドラマーを務める、カリフォルニア出身の4人組、SWMRS。名門"Fueled By Ramen"からもリリースされた前作『Drive North』で躍進を遂げ、"SUMMER SONIC 2017"にも出演を果たした彼らが、約3年ぶりとなる新作をリリースした。エネルギッシュなトラックに打ち込みも交え、現行シーンにも通じるラップ調のフロウを乗せたTrack.1やTrack.4が表すとおり、プリミティヴなパンクを土台としながらも、インディーからヒップホップまで様々なジャンルをセンス良く混ぜ合わせたサウンドは独自の存在感がある。"IKEA Date"などシュールなタイトルや歌詞にも注目だ。

Feral Roots

RIVAL SONS

Feral Roots

LAの4人組 RIVAL SONSの、"Atlantic Records"移籍第1弾となる6thアルバム。70年代を想起させるブルージーなサウンドは今作でも健在で、ダイナミックなビートにキャッチーな歌メロで魅了するTrack.1、ドラム・イントロが圧巻のTrack.3と、前半は攻撃的な曲がひしめく。後半はJay Buchananの艶のある歌声を引き立たせた楽曲群が並び、ゴスペル調のコーラスにヴォーカルが映えるラスト・トラックに至るまで、今までとは異なった新たな側面を見せている。自身の"野蛮な根源"を振り返りつつ、バンド独自のサウンドに昇華させた本作は、盛り上がりを見せるクラシック・ロック・リバイバルの中でも彼らが一歩抜きん出た存在であることを示している。

Why Hasn't Everything Already Disappeared?

DEERHUNTER

Why Hasn't Everything Already Disappeared?

設立40周年を迎えた英国のインディー・レーベル、4ADを代表するDEERHUNTERが提示するバンドの新たな可能性。タイトル"Why Hasn't Everything Already Disappeared?(なぜすべてが消えていないのか?)"とアートワークを目にしたあと、本作を聴いて、まずその一文が頭に浮かんだ。カオティックな歌詞とテーマでありながら、華麗で儚いサウンドを調和させ、独自の世界観を形成してきた彼ら。今作の軸に据えるのはクラウト・ロックだが、ハープシコードやストリングス、ピアノが加わり、その音の鳴りはナチュラル且つクラシカルだ。このポスト・モダン的な手法により洗練された世界観はさらに深度を増し、美しさで空間を支配する。創意に満ちた1枚。

Outer Peace

TORO Y MOI

Outer Peace

2010年のデビュー時には、チルウェーヴ、エレクトロ・シーンのパイオニアとして注目を集めたTORO Y MOI。これまでにサイケやアンビエント、R&Bやファンク、ソウルなどを取り入れながらその音楽性を深く、広いものへと更新してきた。今作は約1年半ぶり6枚目のアルバムとなるが、ダンス/ディスコ・ミュージックを基調とした別名義、LES SINSでの活動の影響が色濃く反映されており、また先述した多岐に渡るジャンルを回遊しながらも、ダンサブルなシンセ・ポップでまとめ上げられた作品となっている。その中でも異彩を放っているのは、ダーク・アンビエントでアジアン・テイストな「Miss Me (Feat. ABRA)」。アルバムのアクセントとして機能し緊張感を与える楽曲だ。いい意味でらしくない今作の白眉。

Head Above Water

Avril Lavigne

Head Above Water

言わずと知れたポップ・ロック・シーンの歌姫 Avril Lavigneが、約5年ぶりとなる新作をリリースする。音楽シーンの表舞台から遠ざかっていた間、難病と闘っていたことを告白した彼女だが、今作にはそんな彼女の生命力が満ち溢れており、復活シングルともなった「Head Above Water」をはじめ、生きるためにもがき闘う姿が力強く描き出されている。また、「Tell Me It's Over」のようなソウルフルな楽曲や、ポップに振り切った「Dumb Blonde」などでは、ロックやバラードにとどまらない表現力の豊かさや、幅広い歌唱アプローチといったテクニックも発揮。キュートなロック・プリンセスは、人生の荒波を乗り越え、貫禄たっぷりの女王へと進化を遂げたようだ。

Best Hits: Major Lazer

MAJOR LAZER

Best Hits: Major Lazer

M.I.A.、Beyoncéらのプロデュースを手掛けたマルチ・クリエイター DIPLO率いるユニット、MAJOR LAZER。2019年にデビュー10周年となった彼らが、全キャリアから22曲を集めたベスト盤をリリース。Justin BieberやCamila Cabello、Ariana Grandeら人気アーティストたちとのコラボを重ね、レゲエ、ラテン、アフロビートなどの要素をエレクトロと掛け合わせた革新的なサウンドを誕生させた功績は計り知れず、00年代ダンス・ミュージック、EDMブームを語るうえで欠かすことはできない。そんな彼らの『Best Hits: Major Lazer』は、ここ10年の世界の音楽シーンにおける総括と言っても過言ではないだろう。

Love In Tokyo

COLDPLAY

Love In Tokyo

2015年発表の『A Head Full Of Dreams』を引っ提げ、世界各国で計122公演を行ったツアーから、2017年の東京ドーム公演を含む全14曲を収録したライヴ・アルバム。タイトルは日本のファンのためにリリースされた作品だからだが、ここには世界中のファンとバンドが育んできた愛が詰まっている。それを物語るのが全曲で聴こえるファンのシンガロングだ。バンドが煽っているわけでも、あからさまなシンガロング・パートがあるわけでもない。でも全曲で歌うんだから、それを愛と言わずしてなんと言う? バンドのアンサンブルはEDMやモダンなR&Bを昇華したものに変化したが、誰もが歌わずにいられない曲の良さという意味では、彼らの魅力はまさに不変。それが不動の人気の理由だ。

Olympus Sleeping

RAZORLIGHT

Olympus Sleeping

フロントマン Johnny Borrellが"ロックンロールへのラヴ・レター"だと語る10年ぶりのニュー・アルバムは、FAT WHITE FAMILYやSHAME、DREAM WIFEら新鋭の登場で盛り上がりを見せるロンドンのインディー・ロック・シーンにとっても、愛のメッセージであるに違いない。THE LIBERTINESに続くアイコンとして人気を博したRAZORLIGHTのデビュー当時も同じく、ガレージ・ロック・リバイバル・ムーヴメントによるUKロック再興の最中であった。そんな彼らの復活作は、原点回帰とも言える色彩豊かな疾走感溢れるガレージ・ロック、ロックンロールを展開。青春時代を切り取ったような瑞々しい1枚に、先述の若手バンドたちも心揺さぶられるだろう。

Simulation Theory

MUSE

Simulation Theory

MUSEの通算8作目となるアルバムは、ロック路線の前作『Drones』とはガラリと変わって、某SF映画を思わせるアートワークが示すとおり、80年代風のシンセを大胆に取り入れた異色作となった。TIMBALANDがプロデュースを手掛け、マッシヴなベースとR&B調の歌メロを融合させたTrack.4や、トラップとロックを掛け合わせたTrack.7など、全体的にはこれまでになくポップに。一方で3rd、4thアルバムのヘヴィなギター・サウンドに回帰したようなTrack.8、9も配されており、ロックもポップもエレクトロもすべて呑み込み、ダイナミックで劇的なMUSEらしいサウンドに昇華しようとする新たな試みが感じられる。彼らの真骨頂であるライヴでどう披露されるか楽しみだ。

Greatest Hits

SUGAR RAY

Greatest Hits

00年代前半にロック・シーン最前線で活躍したSUGAR RAYの数々の楽曲の中から14曲を厳選。レイドバックしたサーフ・ロックというイメージが強い彼らだが、音楽性はハードコアからパワー・ポップ、そしてJoe Jacksonのカバーまで、ミクスチャー・バンドの呼び名に恥じない多彩さを誇る。そんな振り幅の広さをポップに打ち出したところが彼らの真骨頂。レア・トラックは収録されていないものの、彼らの代表曲を知るには便利な1枚だ。フロントマンのMark McGrath(Vo/Gt)がテレビの司会業も楽しみながらマイペースな活動を続けている彼らだが、10-FEETのTAKUMA(Vo/Gt)との共演を含む『Music For Cougars ~復活の常夏番長~』(2010年)以来となる新作をそろそろ聴きたい。