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DISC REVIEW

Strawberry Bug

Viewtrade

Strawberry Bug

2020年6月に結成された、平均年齢19歳のオルタナティヴ・ロック&ポップ・バンド Viewtradeから、バンド史上初のデモ音源『Strawberry Bug』が届いた。会場/タワレコ一部店舗限定リリースとなった本作は、ロック・バンド然とした攻撃的なサウンドとJ-POP的なキャッチーさが融合した1枚に。池田凜哉(Gt/Vo)による文学的/哲学的な歌詞が刺さるファスト・チューン「路地裏のモーツァルト」、スピーディ且つテクニカルな演奏で畳み掛ける「チェイサーの最終戦」、そして他2曲とは異なる爽やかなポップ・センスが光る「サマータイム・メランコリー」と粒揃いの3曲が並ぶ。何より"ポップをナナメから視るバンド"というキャッチコピーを掲げる彼らなりの美学が貫かれているのが心地よい。

B.R.T~ Chapter One ~

B.R.T(Blue Rock Thrush)

B.R.T~ Chapter One ~

2019年に韓国から来日し、メンバー全員が日本で暮らしながら日々バンド活動に打ち込んでいる5人組ロック・バンド、B.R.Tによる初のパッケージ作品。"Chapter One"とタイトルに付いている通り、2021年の本格始動以降に発表したバリエーション豊かな楽曲群はもちろんのこと、10年以上ミュージカル俳優として活躍しているキャリアを持つヴォーカル、G1の美しいファルセットを押し出したスロー・バラードの「この曲の終わりに」と、瑞々しさのある力強いバンド・サウンドを軽やかに弾ませながら疾走させていく「少年は泣かない」といった新曲2曲を収録している。それぞれまったく異なる方向性の楽曲ではあるものの、その根底には、ここからさらに前に進んでいきたいという意思に溢れた言葉たちが綴られている。

音一会

MyGO!!!!!

音一会

"BanG Dream!(バンドリ!)"プロジェクト発、昨年始動したばかりの新バンド"MyGO!!!!!"が早くも2ndシングルをリリース。表題曲の「音一会」は、疾走感のあるツービートに乗せたメロディアスなギター・フレーズが印象的なロック・チューンだ。"独りきりで泣いてたあの夜も/きっと今日の僕に続いてたんだ"と過去の自分と向き合いながら"君が いたから/「ありがとう」"と感謝の気持ちを込めた歌詞や、迷いもそのまま抱えて未来へと進もうとする姿には共感する人も多いのではないだろうか。続く「潜在表明」ではポエトリー・リーディングによって紡がれる言葉と、サビで一気に明るくなる音の開放感に心が揺さぶられ、3曲目の「影色舞」は四つ打ちが心地よいダンサブルなナンバーで、ライヴでのキラーチューンになること間違いなし。

So Much (For) Stardust

FALL OUT BOY

So Much (For) Stardust

ロック・シーンの最前線を走り続けてきたFOBが、ついに今年デビュー20周年を迎える。今作は、そんなアニバーサリーに相応しく原点である古巣 Fueled By Ramenに帰還し、さらには初期の3作品を手掛けたNeal Avronをプロデューサーに迎えて制作された。そんな経緯もあって、前作『M A N I A』(2018年)のようなEDMを強く意識したアプローチは少し抑えめに、どちらかと言えば『Infinity On High』(2007年)や『Folie À Deux』(2008年)あたりのような、バンド演奏に主軸を置いたグルーヴィでダンサブルなロックを貫いている。加えてシンセ・アレンジや壮大なオーケストレーションを盛り込むことで、アップデートされたFOBを印象づける作品となった。

How Many Dreams?

DMA’S

How Many Dreams?

幸福感溢れるシャイニーなギター&エレクトロの洪水の中で、"How many dreams"のリフレインが響くタイトル曲で始まる、豪州発バンド DMA'Sの4thアルバム。90年代UKロック、シューゲイザーなどをルーツにし、ブリットポップの再来と評されたそのサウンドが磨かれたのはもちろん、甘めのメロディ&歌や曲を印象づけるリフの存在感、キャッチーさが際立っている。その骨格が美しいからこそ、どんな装飾やアレンジも映える。Rich Costey(SIGUR RÓS/MUSE etc.)とKonstantin Kersting(TONES AND I etc.)がプロデュースしたシングル「I Don't Need To Hide」での、ミニマルで恍惚感のあるダンサブルなサウンドから、OASIS直系の「Forever」、ポップでサイケデリックな「De Carle」など、新しさとどこか懐かしさがある、いい香りがする作品。

レストラン

かりんちょ落書き

レストラン

"自由形ロックンポップス"を掲げるSSW かりんちょ落書きの今までを詰め込んだ1stフル・アルバム。爽やかなラヴ・ソング「溶けあうくらい」、八方塞がりな状況をポップに歌い放つ「Dari」、若者に向けた青春ロック「少年」、まどろむ昼下がりの空気感を閉じ込めた「昼中電車」など全11曲が収録された。ロックの熱量とポップスの軽やかさを併せ持ち、ノスタルジックな雰囲気を醸しながらもどこか新しい。そんなまさに"自由"な音楽に乗せられたのは、"伝えたい"という思いを軸に綴られた澄み切った言葉たち。そのフレーズは繰り返されるほどに味わいを増し、特にラストを飾る「又、風呂に入れない夜」では、絶望を希望に変えていく歌のエネルギーに圧倒される。「(SANPO Brake)」でチラ見せされた、小粋でポップな新境地にも期待。

君がいるから

門脇更紗

君がいるから

親友との信頼関係やその理由を描くことに関して、オリジナルな言葉選びをしてきた門脇更紗。そのスタンスはアニメへの書き下ろしでも変わることはない。今回、TVアニメ"『BIRDIE WING -Golf Girls' Story-』Season 2"エンディング主題歌として、境遇の異なる主人公ふたりとゴルフという難しいテーマを、ひとりが奏でるメロディも複数重なればハーモニーになる、という彼女らしい昇華の仕方を見せており、「きれいだ」や「ねぇバディ」で聴くことができた心強い存在への視線やシスターフッドをこの曲でも感じさせてくれる。春という別れと出会いの季節に、変わらずにいてほしい、でも互いに成長もしていきたい、そんな気持ちを乗せて共有したい1曲。アレンジはこれまでの作品でも馴染みの佐伯youthKが手掛けている。

位置情報なし / デキルカナ?

anew

位置情報なし / デキルカナ?

昨年12月、デビューと同時に発表した初音源『世界ヲ染めていく』が、英国チャートJ-POP部門で首位を獲得した、山形在住の4人組アイドルによる1st両A面シングル。本作には、孤独や焦燥を感じさせるバンド・サウンドの上で、語感のいい言葉たちを軽やかに弾ませながら駆け抜けていく「位置情報なし」と、パッと聴いた感じでは意味不明でユニークさはありながらも、グループとして走り始めた現在の状況を物語るようにも感じさせる歌詞や、パンチの効いたノイジーなギターに、後ろで鳴り響くパーカッションが躍動感を強く与えるアップテンポなロック・ナンバー「デキルカナ?」を収録。個性は大きく異なりながらも、どちらも強烈なまでの中毒性を持ちつつ、ライヴの興奮を激しく駆り立てるものになっている。

Line of sight

SCANDAL

Line of sight

カード・ゲーム"機動戦士ガンダム アーセナルベースLINXTAGE"の主題歌となる表題曲は久しぶりの直球ロック・チューン。歌詞はその世界に寄り添いつつもバンドの想いもしっかり重ね、強い意思を感じることができる。ストレートながらも凝りに凝ったアレンジも印象的。一方カップリングの「Vision」は、クールでタイトな踊れるナンバー。リズムがなんとも気持ちいい。作品ごとに様々な表情を見せ、なおかつここ最近は自身の人生と楽曲がより密接な関係となり、ただひたすらにリアルな想いをリアルな姿で届け続けるSCANDAL。今年結成17年というバンド・キャリアがありながらもいつも新鮮な音に聴こえるのは、何より自身が自分たちの音楽に心躍らせているからだろう。今が鮮やかに凝縮された2曲。まだまだ可能性だらけだ。

月夜のタクト

月蝕會議

月夜のタクト

声優やアイドル、はたまたアニメや舞台など、様々なジャンルへの楽曲提供が話題の月蝕會議が、TVアニメ"最強陰陽師の異世界転生記"第3話エンディング・テーマとして人気歌い手、Souへ提供した「月夜のタクト」をセルフ・カバー。Souバージョンで感じさせる緻密で洒脱でありつつアグレッシヴなサウンドは、より迫力を増した小箱のライヴハウスで鳴らすようなバンド感で聴かせ、原曲のクールな印象から一転、女性ヴォーカル キリンの突き抜けた熱く力強い歌唱(しかも一発録り!)で魅せるナンバーへと変化した。今回の楽曲を筆頭に連続配信企画を始動する彼ら。リアルタイムで続々とコラボなどが決まっているようで、変幻自在な音楽クリエイター・ギルドによる今後の発表も必見だ。

Where we are

セカイイチ

Where we are

歌モノのロック・バンドがブラック・ミュージックのグルーヴを獲得していった到達点は、もはや国内外とかジャンルを飛び越えたオリジナルだ。ソウル/ファンクだけでなくアメリカン・ロックのドライでスモーキーな質感もある「Go」で歌われることは、まさに今のバンドのスタンスを表す、ノー・ボーダーな内容。そのファットなムードを「I'll Be There」に繋げて、先の見えない現実をもタフに生きていけそうな手応えを残し、洒脱なギター・リフやジャズテイストのコード・ワークで、まさに"新しい自分"を体感させる「You make me feel brand new」、AORもリズム・アンド・ブルースも昇華した「Blur」、トランペットの温かな空気感とコーラスに心身ともに解放されるタイトル・チューンと続く。シンプルにFeelin' goodな快作。

いいかんじっ!/ 破天荒シンデレラ

Appare!

いいかんじっ!/ 破天荒シンデレラ

昨年11月発売のアルバム『Appare!Future』で首藤義勝(KEYTALK/Vo/Ba)が曲提供したり、玉屋2060%(Wienners/Vo/Gt)が提供した「ぱ ぴ ぷ ぺ POP!」がTikTokで大バズりしたりと、バンド提供曲との抜群の相性の良さを見せるAppare!。最新シングルは、THE イナズマ戦隊とオメでたい頭でなによりの提供曲による両A面シングル。イナ戦のタイトで軽快なバンド・サウンドと、Appare!の底抜けな明るさと元気さが見事なケミストリーを生んだ「いいかんじっ!」。和風のイントロと威勢のいい掛け声で始まり、仕掛け満載の楽しいオメでたサウンドがAppare!メンバーの新たな魅力を引き出した「破天荒シンデレラ」。どちらもAppare!の可能性や振り幅を広げ、ここからの進化や成長を期待させてくれる曲となった。

Step&Step!

LEEVELLES

Step&Step!

2022年12月に渋谷Spotify O-WESTワンマン公演を成功させ、2024年に決まっているメジャー・デビューを目指して、着実に歩みを進めている4人組ロック・バンド、LEEVELLESが新曲「Step&Step!」を配信リリース。様々な音楽の要素を洗練されたバンド・サウンドに落とし込んできた彼らは今回、フューチャー・ベースをインスピレーション元に、ファンキーでダンサブルなポップ・ロック・サウンドにアプローチした。ライヴで盛り上がることは必至ながら、左右で掛け合うギターのカッティングをはじめ、緻密なスタジオ・ワークにも耳を傾けたい。輝かしい明日に繋がる挑戦をテーマに聴く者の背中を押す歌詞も、新しい生活が始まるこの季節にぴったりだ。

anew

anewhite

anew

1st MVになり、瑞々しいギター・サウンドと心の機微を詩的に映像的に描写する歌で、anewhiteの存在を印象づけた「カヤ」。3rd EPはその「カヤ」での衝撃を追体験する「どうでもよくなれ」で幕開ける。EPのリードとなるこの曲は、鮮やかな音楽世界で聴き手の心を動かす。ギターや鍵盤が切なさの琴線に触れ、一方リズムはラテン的なタッチもあり躍動感が高く、そこに佐藤佑樹の詩情的な歌声が乗る。歪でいてひとつに収まっているアンサンブルは、主人公の複雑な情緒を表すかのようだ。アルバム『2000's』発売後の昨年は挑戦的な制作を続けた。エレクトロを導入した攻撃的な「キンセンカ」や、佐藤が中学時代に書いた「ライムライト」は経験値を増したからこその表現が冴える。丁寧に磨いてきた先で出会う新しさがあるEPだ。

Sketch

幾田りら

Sketch

YOASOBIのヴォーカル ikuraとしても活動する幾田りらが、待望の1stアルバム『Sketch』をリリース。本作にはドラマやCMなど多数のタイアップ・ソングを含む全11曲(CDにはプラス2曲)が収録され、そのすべての作詞作曲を彼女自身が手掛けている。TikTokで話題となったピアノ・バラード「Answer」をはじめ、ソロ名義で初めてストリーミング累計1億回再生を突破した「スパークル」、シンガロング・パートが印象的なスポーツ番組テーマ・ソング「JUMP」と、耳馴染みの良いメロディと等身大の歌詞、そしてシンガー・ソングライターとしての豊かな表現力が凝縮された1枚に。昨年末は"NHK紅白歌合戦"に出場し、今年7月には1stワンマン・ツアーを控える彼女の充実ぶりがアルバム全体に満ちている。

LOSE LOOSE Day

美波

LOSE LOOSE Day

TVアニメ"うる星やつら"第1クールOPテーマへの参加などで注目を浴びるシンガー・ソングライター 美波が、1年8ヶ月ぶりとなるEP『LOSE LOOSE Day』をリリースする。本作には、Netflixにて配信中のアニメ"終末のワルキューレⅡ"の主題歌OPテーマ「ルードルーズダンス」や先行配信曲「グッドラッカー」などを含む全5曲をコンパイル。彼女の持ち味である力強い歌声とスリリングな楽曲の展開は本EPでも健在で、活動が活発化している今の彼女の勢いをも感じさせる。そして、なんといっても歌詞の随所に散りばめられた言葉遊びが面白く、ぜひ歌詞を見ながら楽しんでほしいところだ。また、初回限定盤 GREEN CHECK付属のラジオCDに収録される、声優の佐倉綾音との対談コーナーも必聴。

Tank-top Flower for Friends

ヤバイTシャツ屋さん

Tank-top Flower for Friends

その類まれなセンスに磨きがかかったヤバT渾身の1枚が到着。モチーフにしたであろうバンドが浮かぶ"バンドあるある"的なコード、曲構成、展開が散りばめられ、思わずクスっと笑ってしまうが、クオリティの高さやメロディの良さ、そして時代を反映した深い歌詞に、ただのおふざけで終わらない絶妙なバランス感覚が光る。中でも特筆したいのは、正体を隠し別名義で配信していた「dabscription」。流行りのメロウ・チューンに乗せてこっそり毒を吐きながらも、後半にはロック・バンドの悲痛な叫びと覚悟が。BGMとして消費されがちなチル系プレイリストに紛れ込みリスナーの度肝を抜いてほしい名曲だ。パンクからシティ・ポップ、教育番組風のピアノ曲、初挑戦の合唱曲、さらには岡崎体育とのコラボ曲まで、とにかくバラエティ豊かな力作揃い。

歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた

ヤングスキニー

歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた

TikTok発バイラル・ヒット曲「本当はね、」も収録された、"嘘だらけで、矛盾だらけな日常を歌う"ヤングスキニーの名刺代わりとも言えるアルバムが完成。"ヒモ"なりの愛を歌う「ヒモと愛」や"騙されたあなたが悪いんだよ"と歌う「ゴミ人間、俺」など、いわゆる"クズっぽさ"を前面に出す歌詞や歌声は、かやゆー(Vo/Gt)が憧れているというクリープハイプの影響が大きいだろう。その中でも、"嘘だらけ"な日常を"ありのまま"に綴るまっすぐさは、バンドのひとつの個性になっていきそうだ。さらにメジャー・デビュー・シングルとなった「らしく」では、"いつか僕は誰もが/羨むバンドになってやる"というストレートな決意の言葉も。濁りのないメッセージが詰まった純度の高さ、若さが眩しい、新時代のギター・ロック・バンドに注目。

HUG

kobore

HUG

切なさ混じる柔らかな春風のような、桜舞う季節にぴったりの爽やかなナンバーが並ぶ本作。ツー・ビートが爽快な「TONIGHT」で勢い良く駆け出すと、ストリングスがラストをドラマチックに彩る「もういちど生まれる」、ちとせみな(カネヨリマサル)とのツイン・ヴォーカルで魅せるkobore流シティ・ポップ「雨恋」では、アレンジャーを迎え新たな一面を見せる。そして「ひとりにしないでよね」で前作から続くキラキラとした瑞々しいサウンドを煌めかせると、最後は弾き語りとシンガロングが印象的な、ライヴハウスで聴きたい泥臭い青春ロック「この夜を抱きしめて」で締めくくった。暖かな季節の訪れに弾む心と、この曲たちをライヴで一緒に歌えることへのワクワク感がリンク。春のセンチメンタルな心も抱きしめたくなる温かさが心地いい。

Eye

Hakubi

Eye

昨年以降コンスタントにシングルを発表してきたHakubiが、それらを含むアルバムをリリース。内澤崇仁(androp/Vo/Gt)とタッグを組んだ経験も功を奏し、バンドの世界観が着実に構築されてきた印象だが、同時に聴き手へメッセージを届ける意志も滲むようになった。はやるテンポと鍵盤、言葉を捲し立てるヴォーカルが印象的な表題曲をはじめ、これまでにないHakubiを切り拓く新曲も存在感がある。そしてつぶやくような片桐の歌がグッと距離感を縮めると同時に、消え入りそうな"さよなら"が危うくてドキッとさせる「サイレンと東京」からラスト3曲で畳み掛けていく。無情な世界で傷ついていないふりをする自分に嫌気が差しながらも、"いつか"と微かな光を探す、リスナーと共に生きるバンドの姿勢を示す作品。