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DISC REVIEW

SINGALONG

緑黄色社会

SINGALONG

映画やドラマ、アニメを彩った「想い人」、「sabotage」、「Shout Baby」収録のメジャー1stアルバム。ミドル・バラードや、ドラマチックにボリュームを上げていく極上のポップスの印象も強いが、アルバムではそれが彼らの一面にしか過ぎないことがわかる。ファンキーに身体を揺らして高鳴るホーンと共に歌う、幸福感溢れる曲から、低温の波にたゆたい、さまようエレクトロ・チューン、疾走感のあるギター・ロック、美しいアンビエント曲や、レコーディングの遊びが冴える曲など、溢れんばかりの音楽愛を炸裂させている。そして、すべてに共通するのは長屋晴子のエモーショナルな歌であり、それを最大限輝かせる3人のエネルギーだ。その激しくも楽しいぶつかり合いが"SINGALONG"を生む。

Shout Baby

緑黄色社会

Shout Baby

大人気アニメ"僕のヒーローアカデミア"第4期第2クールのエンディング・テーマに抜擢されている、緑黄色社会のニュー・シングル。長屋晴子(Vo/Gt)がすうっと息を吸うところからはじまり、"変わりたい"という宣言でサッと終演――そんなオープニングとエンディングの印象深いアレンジに、まずは意志を感じずにはいられない。さらには全編にわたって、力強い歌声と確信的なポップスが響き渡っている。戸惑い願い問い掛ける想いを歌い上げているのに、そう聴こえるのは、彼らの漲る現状が演奏そのものに映し出されているからだろう。カップリングでは、amazarashiの名曲「空に歌えば」を、鋭利なヒリつきはリスペクトとして残すように、スケール感たっぷりにカバー。リョクシャカのコアが見える。

sabotage

緑黄色社会

sabotage

表題曲「sabotage」は、主演は波瑠、原作はいくえみ綾、しかもヴァイオリン教室が舞台という音楽が絡んだドラマ"G線上のあなたと私"の主題歌。どう考えてもプレッシャーになりそうな要素が満載だが......それを悠々と乗り越え、ドラマの立ち位置や物語も、自分たちの進化も、すべて詰め込んだ楽曲になっている。聴かれる機会が増えるというだけではなく、バンドの才能やキャラクターが色濃く見えるという意味でも、"緑黄色社会って何者!? すごいバンドなんじゃない!?"という声が、これから続々と聞こえてきそうだ。2曲目の「Alright!!」も、表題曲にしてもいいと思うくらい、オープンでブライトでパワフルな一撃を食らわせてくれる。なんとも贅沢な1枚。

幸せ -EP-

緑黄色社会

幸せ -EP-

3rdミニ・アルバム『溢れた水の行方』に続くEPは、共に同じ速度で人生を歩んでいく愛おしい時間を紡いだ温かなバラード曲「幸せ」に始まる。てらいなく王道を極めた「幸せ」に対して、長屋晴子(Vo/Gt)のパワフルでパーカッシヴな声をさらに盛り上げる、バンドの多彩なアレンジ力を聴かせる「逆転」や、穴見真吾(Ba/Cho)作詞曲による、心地いいスウィング感に身を任せて宙ぶらりな思いを嘆く「ひとりごと」、休日という刹那を存分に味わいたい(何もしたくない)という歌に共感度マックスの「にちようび」と、喜怒哀楽や日々の心の機微が軽やかな音楽となった曲たちを収録。共通するのは、気分を彩ってくれる華やかさがあることだろう。緑黄色社会が音楽に託す思いというのも伝わってくる1枚だ。

溢れた水の行方

緑黄色社会

溢れた水の行方

今年3月にリリースした、初のフル・アルバムにしてセルフ・タイトル『緑黄色社会』で、結成からの集大成となる色鮮やかな1枚を作り上げた緑黄色社会が、バンドの現在地を更新するミニ・アルバム『溢れた水の行方』を完成させた。キラキラとした音色に乗せて、エモーショナルな感情を綴ったリード曲「あのころ見た光」に始まり、カオティックな音像がスリリングに躍動する「Never Come Back」、生々しい切なさを繊細なピアノに乗せた「視線」など、それぞれに違う景色を描く全6曲。ロック・バンドという枠にとらわれない彼女たちだからこそリーチできる、伸びやかで自由なポップ・ミュージックに限界などない。バンド初期から大切に歌い続けてきた「Bitter」を再収録した自信作。

緑黄色社会

緑黄色社会

緑黄色社会

2017年、そのインパクト抜群のバンド名をライヴハウス・シーンに広く知らしめた緑黄色社会が、満を持して初のフル・アルバム『緑黄色社会』をリリース。堂々とセルフ・タイトルを掲げた今作には「恋って」や「またね」など、過去のミニ・アルバム収録曲のほか、これまでの流通盤では未収録になっていたライヴの人気曲「Alice」も収録。リョクシャカの持ち味であるカラフルで切ない極上のポップ・ミュージックがギュッと凝縮された1枚になった。同時に、アルバムのオープニングを静謐なサウンド・アプローチで告げる「Re」をはじめ、これまでバンドが見せてこなかった、"キラキラだけじゃない"リョクシャカにも触れられる今作。彼女たちが隠し持つ計り知れない可能性に、胸が踊る快作だ。

Nice To Meet You??

緑黄色社会

Nice To Meet You??

愛知県在住、平均年齢20歳の男女混成4人組バンド、緑黄色社会が初めてリリースする全国流通盤。サウンド・プロデューサーに江口 亮を迎えた今作は、より幅広い世代に届けることを意識して完成させた。ソングライティングの中心を担う長屋晴子(Vo/Gt)がパーソナルな部分を大切にしながら綴る歌詞は、強い個性を感じさせる。恋人への想いを断ち切るように綴るリード曲「またね」は、多彩に変化する疾走感のあるサウンドに乗せて、心の中で下すひとつの決断を丁寧に描いたナンバー。幼少期からピアノを学んできたpeppe(Key/Cho)が弾くシンセサイザーの多彩なフレーズ、打ち込みのビートに乗せた「regret」や、軽快なダンス・ナンバー「Bitter」など、ジャンルの垣根を越えたチャレンジ精神が新世代らしい。

サイドストーリー

リリィ、さよなら。

サイドストーリー

キャリア初のデジタル・バンドル・アルバム。これまでのオリジナル・アルバムの特典などで発表してきた音源に、中国の人気SSW 汪苏泷のカバー曲「in my youth」とバンドでリアレンジした「首すじごしのアイラブユー」の新録を収録している。「in my youth」はヒロキ自身が原曲の歌詞の和訳を再構築しているため、原曲の青春観とリリィ、さよなら。の青春観が溶け合った仕上がりに。繊細なヴォーカルにフィーチャーしたアレンジも優しく響く。飾らない等身大の楽曲が多いことに加え、アマチュア時代の代表曲「流星群の降る丘で」、「ナイト・トレイン」、「約束」も収録されているので、ソングライター/ヴォーカリストとしてはもちろん、いち青年としてのヒロキの成長を深く辿れる作品だ。

最終話までそばにいて

リリィ、さよなら。

最終話までそばにいて

"再生"を掲げた前作『愛する以外になかったからさ』を経て発売される5thオリジナル・アルバムのテーマは"花/花言葉"と"新境地"。7曲中6曲のアレンジを親交の深い同世代のkoma'nが手掛け、統一感を保ちながらも7色の虹のようにバリエーション豊かなラインナップとなった。リリィ節とも言えるピアノとストリングスが効いた切なく壮大なバラード、充実したを描く爽やかなギター・ロック、大人のムード漂うエレクトロ・ファンク、バロック調の崇高なSFナンバー、柔らかいアコースティック・アレンジなど、音色のひとつひとつがソングライター、ヒロキの描く詞世界をポップに鮮やかに描き出す。花開く様子や"目覚め"など、新しい始まりを想起させる晴れやかな作品が完成。

愛する以外になかったからさ

リリィ、さよなら。

愛する以外になかったからさ

熊本出身のミュージシャン/ソングライター、ヒロキによるソロ・プロジェクトの2年ぶりとなるオリジナル・アルバム。アルバムのテーマは"再生"。等身大の私小説のような生々しい歌詞が彼の楽曲の特色のひとつだが、今作は彼の環境の変化と気づきが大きく影響し、過去作と比較して格段に成長した彼の姿が投影されている。音楽を続けていくという決意と、これまで支えてくれた人、今も支えてくれる人への感謝の念が込められた、包容力のある作品になった。アレンジャーには以前から彼のサウンドを支えていた池窪浩一に加え、以前から親交の深いkoma'nや山崎あおいなどが参加。特にkoma'nによるギミックとスパイスの効いたアレンジは、リリィ、さよなら。の歪な美しさとの親和性が高い。

last aurorally

凛として時雨

last aurorally

TK(Vo/Gt)には自身と345(Vo/Ba)、ピエール中野(Dr)だけで作れ、且つ自分のギター・サウンドに劇的な発明がない限り、凛として時雨の新作を作る理由がなかったのだろう。故に約5年ぶりのこのオリジナル・アルバムは、どこを切っても時雨のストイックな狂気と正気のせめぎ合いのアップデート"しか"ない。Track.1で明快に聴こえる歌詞にこれまでを超えてきた確信を得、畳み掛けるようにTrack.4まで、"このカオスから逃げ切れるのか?"という音が作る迷宮、壮絶な体感に投げ出される。"劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE"主題歌でもあるTrack.6は、"自分でありたい"VS"自分を超えたい"という感情の相克を、映画を1本見せるようなカロリーで展開。またも時雨は3ピースの限界を超えた。

Perfake Perfect

凛として時雨

Perfake Perfect

熱狂的なファンも多いSF作品"PSYCHO-PASS"シリーズのオリジナル舞台作"Virtue and Vice 2"の主題歌として、凛として時雨が書き下ろした新曲がこちら。2019年公演の前作に続いての楽曲提供となるが、テレビ・シリーズや劇場版の主題歌も担当してきたことから、"PSYCHO-PASSと言えば時雨"と思っているファンは多いはず。それだけPPの世界観と彼らの楽曲の親和性は高い。スリリングで知的で、残酷で美しい、そんなPP×時雨の魅力をこの新曲「Perfake Perfect」でも存分に味わうことができる。もちろん舞台関係なしに楽曲を聴いても、その濃密で中毒性のあるサウンドは素晴らしいが、音圧に押しつぶされそうな轟音を劇場で体感できた人はラッキーだ。

Neighbormind / laser beamer

凛として時雨

Neighbormind / laser beamer

映画"スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム"日本語吹替版、そして"舞台 PSYCHOPASS サイコパス Virtue and Vice"の主題歌という大型タイアップも話題の、凛として時雨ニュー・シングル。「Neighbormind」は、"アベンジャーズ/エンドゲーム"からの流れを汲むスパイダーマン最新作の主人公の苦悩や試練がモチーフとなっているようで、息の詰まるような激しいスクリームや、複雑に各パートが絡み合うサウンドでそれが表現されている。また「laser beamer」では、ディストピア的な世界観が、中毒性のあるリフと崩壊寸前まで緊迫したテンションによく表れている。改めて、凛として時雨とSFアクションとの相性の良さがよくわかる2曲が揃った。

#5

凛として時雨

#5

前作『i'mperfect』から約5年ぶりのフル・アルバム。この間のシングルは直近の「DIE meets HARD」しか収録しない潔さ。思うにTK(Vo/Gt)は、細密画を常人には判断できないレベルで描き込んでいくような、あるいは刃物の切れ味を実現する薄さと物理的な強度をせめぎ合いながら研いでいるような、アートと職人的なメンタルを行き来している。つまり、時雨の核は不変なのだ。それでもソロのフィードバックもあるのか、歌声はクリアに。さらに変幻自在に空間を歪ませたり、膨張/収縮させたりし得るエフェクト類の緻密な組み合わせや、1曲1曲で描く世界観の解像度は未曾有の領域へ。特に、音像から得られる空間の狭さや広さの体感は、3D映画を陳腐に感じるほどリアル。崩壊や陶酔の感情に温度がある。

es or s

凛として時雨

es or s

時雨初の海外レコーディングは、TKがソロの弾き語りに挑戦する前に訪れたベルリンの、しかもスタジオはDavid BowieとBrian Enoのいわゆる"ベルリン三部作"などで著名なハンザ・スタジオである。これがもうTrack.1「SOSOS」のどアタマから音が太いし、空間のナマ感がこれまでと違う。不思議な話だが、密室性の高い世界観だとどこかで思い込んでいたTKが描く世界が、実はもともとそうじゃなかったのでは?と思わせるほど新鮮な聴感を得られる。他にも遅めのBPMでダンサブルな曲もあれば、ストレートにディストーショナブルな8ビートの曲もあるという意外性、そしてその解釈のオリジナリティにも驚く。超絶的な構成や変則リズムより音そのものの鳴りと言葉のチョイスに新境地を見るミニ・アルバム。

Best of Tornado

凛として時雨

Best of Tornado

凛として時雨というバンドの出現によって、カタルシスというものが内包するポピュラリティが更新されたことをこのバンド初のベスト・アルバムを通して聴くことで実感している。恐怖や不安、美しさへの憧憬。3ピース・バンドの定石を覆す音楽的というより映像や体感を音楽化するようなアレンジ。しかしそれは必ずピークに向かい快感原則に則って想像を突破する。もう何百回聴いたか知れない「Telecastic fake show」や「JPOP Xfile」の中毒性の高さが冒頭の印象の紛れもない回答だ。しかしまるでオリジナル・アルバムのよう。昨年世に出たばかりの「Enigmatic Feeling」もTKがバンドのために初めて書き下ろした「鮮やかな殺人」も(他にも3曲)"2015 mix"としてミックスし直した判断にTKの明晰さを見る。

Enigmatic Feeling

凛として時雨

Enigmatic Feeling

TK、345、ピエール中野それぞれが充実したバンド外活動でアーティストとしての自己に向き合いここにリブート。アルバム『i'mperfect』以来、約1年7ヶ月ぶりとなる新作はすでにタイトル・チューンは"PSYCHO-PASS サイコパス2"のオープニング・テーマとしてオンエア中だ。今回は前回のシングル「abnormalize」でタッグを組んだエンジニアの高山徹がミックスのみならず録音にも関わったことで、より3人の音の輪郭の強度が増した印象。特に中野のジャズともマス・ロックとも取れるスキルとイマジネーションに満ちたフレージングがアンサンブルの"エニグマティック=謎の"感を拡張。c/wの「Dynamite Nonsense」ともども極限まで研ぎすました"硬質な熱"という時雨ならではのアンビバレンツをアップデートしている。

Fantastic Magic

TK from 凛として時雨

Fantastic Magic

偏見や先入観の型に嵌められることは拒絶するが、自分でも測りかねない自分というものをわかってもらいたい、人間誰しも思うことではないだろうか。そういう意味でこれまでになく"人間・TK"が曝け出された作品。日向秀和、BOBOとヴァイオリン、ピアノとの五重奏は、タイトル・チューンや「kalei de scope」で破壊的までに高速回転しながらも、シンプルなアンサンブルの頂点に到達。一方、TKのピアノと歌のみの「tokio」やCharaがゲスト・ヴォーカルで参加した「Shinkiro」では、TKのジャンルや性別、年齢といった属性の希薄な声が、むしろそれこそ蜃気楼のような今、現在の不確実性を浮かび上がらせる。シンセ・ポップ的なサウンドでロックの衝動を示唆する「Spiral Parade」の発想も一歩踏み込んだ印象で痛快。

unravel

TK from 凛として時雨

unravel

TKソロ初のシングルはTVアニメ"東京喰種トーキョーグール"のオープニング・テーマとして書き下ろされた新曲。アニメとのコラボの必然、ソロのバンドでそのアンサンブルの精度を上げてきた、ピアノやヴァイオリンが存在する必然、弾き語りライヴの必然など、重層的な"必然"がこの1曲に結晶。歌が突出したオープニング、制御不能な情動をこれまでともまた違うギター・サウンドで、まさに自分の皮膚を突き破るような衝撃を与える間奏のソロ。それでいて聴感は繊細という無二の作品といえるだろう。カップリングの「Fu re te Fu re ru」の主旋律のキャッチーさにも軽く衝撃を受けるし、ピアノ主体の現代音楽風なインスト「Acoustic Installation」はソロ形式の習作的な楽曲。ソロの最も濃厚な面を堪能できる。

Chaotic Vibes Orchestra

ピエール中野

Chaotic Vibes Orchestra

凛として時雨のドラマー、ピエール中野のぶっ飛んだソロ・プロジェクトをまとめたミニ・アルバム。DJしながら曲に合わせてドラムを叩くという大技でフェスやイベントを賑わせてきたが、今作は20人のドラマーにシンガー、ORIGAによる壮大な曲から、インプロ・ユニット、カオティック・スピードキングの「SORA」(ゲストVo.KYONO)の初音源化、Perfumeの「チョコレイト・ディスコ」を大森靖子、ミト(クラムボン)、滝善充(9mm Parabellum Bullet)と人力カヴァー、音楽クリエイター牛尾憲輔(agraph)とのタッグによるエクスペリメンタルな曲に、下世話ネタ全開のDJユニット玉筋クールJ太郎という剛柔(?)取り揃った内容。自由だなこの人はと、関心したり嘆息したり、ピエール中野という人のカオスの一端を覗く感覚。

contrast

TK from 凛として時雨

contrast

ソロ名義初となるEPは、凛として時雨もソロも含めこれまでで最もTKの歌(声)と対峙する作品だ。元々、時雨の轟音と怒涛のアンサンブルに埋もれないメロディを突出させる手段として生まれたハイトーン・ヴォイスは、今や彼の歌の表現のスタンダードであることをこれほど表明した作品はなかった。日向秀和(Ba)、BOBO(Dr)とのセッション的なスリルに満ちたアンサンブルを基盤に、ピアノと弦楽カルテットがこれまでになく開放的なパースペクティヴを表現するタイトル・チューン「contrast」をはじめとする3曲もおのおの違う個性が屹立。しかしなんといっても今回の聴きどころは、時雨の「illusion is mine」のTKのエレピとシンセのみのミニマルなライヴテイクや初恋の嵐のアコギ弾き語りカヴァーに尽きる。

i'mperfect

凛として時雨

i'mperfect

改めて、凛として時雨というバンドの凄みを知るアルバムだろう。3ピース・バンドながら圧倒的な音圧と緻密な音の構築性があり、男女ツイン・ヴォーカルは高いテンションで、ヒリヒリと張りつめた緊張感を放ち、爆走する。最初から最後まで、リスナーはスリルを抱えて、彼らの音のジェット・コースターに乗り続けるほかない。今作ではその体感速度がグッと上がり、さらに生々しさを増した音に身体と心を振りまわされる。近年のTKによるミックスから、今回は外部エンジニアを迎えて共同作業した曲も多い。自身が自覚する武器と、第3者が焦点を当てブラッシュアップした武器。その両方を合わせた、最高のハイブリッド・サウンドで、エッジィなキャッチーさも、重厚サウンドの深化も果たした。まさに全方位のアルバムだ。

自分にずっと恋して生きたい

輪廻

自分にずっと恋して生きたい

3ピース・ガールズ・バンド 輪廻が届ける1stミニ・アルバム『自分にずっと恋して生きたい』は、タイトル通り"自己肯定"をコンセプトに据えた作品となった。本作にはナルシシズムに浸るバンドマンを皮肉ったロック・ナンバー「バンドマンきらいかも」をはじめ、かわいらしくキャッチーなメロディに乗せた自分讃歌「あいらぶみー」、歪んだベースがダウナーな雰囲気を漂わせる「actor」、3人でヴォーカルを取ったファスト・チューン「走れ!リンネ」など全6曲を収録。全編を通して自己愛を歌っているが、その筆致は大胆でありつつ繊細でポジティヴ一辺倒ではない。自己肯定の大切さを説く一方で、周囲への劣等感や苛立ちもストレートに描写。メンバー全員が20歳という現在の輪廻にしか鳴らせないリアリティに圧倒される。

The Way The Light

Jeff Wootton

The Way The Light

ノイジーなギター・サウンドとサイケデリアにまみれたディレイ&ループする言葉の数々、それらすべてを切り裂くかのようなドラムの鋭利さが高揚感を掻き立ててくるJeff Woottonの1stアルバムが到着。今作のイントロにあたる夜明けのようなインスト・ナンバーのTrack.1「Sea Of Sound」と、OASISのようなビック・メロディを奏でるTrack.2「Venus」を聴くだけですでにノックアウト。かわいい新人だと思ってなめていると食われてしまうので要注意。それもそのはず、BLURのDamon Albarnや元OASISのGallagher兄弟にもその才能を認められているUKロック血統書付の実力派。アシッドでトリッピー、アンビエントでダークなトリップ・ホップへと誘ってくれる1枚だ。

Your Song

レミオロメン

Your Song

昨年行なわれた結成10周年記念のロング・ツアーも記憶に新しいレミオロメン。2011年初のリリースは、新曲「Your song」と「粉雪」「3月9日(10th Anniversary Ver.)」の3曲を含む音源と、「Your Song」の歌詞と世界観をもとにドラマ『1リットルの涙』の脚本家・大島里美が書き下ろした小説がコンパイルされたCD BOX。「Your Song」は自分の心と向き合うこと、近くにいる大切な人と向き合うこと、共に生きていくことがテーマになっている。切なさと力強さを感じさせるピアノ、そしてストリングス。雄大なスケールで奏でるサウンドの中で、弱さを抱えながらも必死に生きていく人間模様を美しく描く藤巻亮太のソング・ライティングに感服。レミオロメンの紡ぐ物語を、音楽と小説の2視点で堪能できる。

花鳥風月

レミオロメン

花鳥風月

結成10周年の節目を迎えたレミオロメンがリリースする、待望の新作『花鳥風月』。通算5枚目で初のセルフ・プロデュースで制作された意欲作だ。これまでの日常感や美しい季語の響きとレミオロメン節を堪能できる1枚ながら、果敢な挑戦が導いた、ポジティヴな力強さに満ちた新世界が広がっている。まるで再出発を高らかに宣言するような「Starting Over」、恋宿る瞬間の刹那な美しさを掬った「恋の予感から」、季節の移ろいに寄り添った小さな幸福が胸をつく「花鳥風月」と、人間の内面や日常のささやかな変化を極彩色のポップで奏でるのは圧巻の一言。そして5月からはバンド史上最大規模の全国ツアーがスタートする。アルバムに詰まった世界観がどのようなパフォーマンスとなるか?否応にも期待が膨らむ新世界だ。

STARTING OVER

レミオロメン

STARTING OVER

バンド初となる、さいたまスーパーアリーナ2DAYSも大盛況のうちに終了し、今年で結成9周年を迎えるレミオロメン。日本に実在する3ピース・ロック・バンドで彼らほどの成功を収め、肩を並べられるバンドは今どこにもいないだろう。3月9日に発売されたベスト・アルバム『レミオベスト』をリリースし、初の音楽配信シングル『Sakura』を経て15枚目のシングルとなる今作。リード・トラックとなる「Starting Over」は爽快なメロディとストリングスを多用したサウンドと前向きな歌詞が印象的なナンバー。「明け星」は四つのリズムで、レミオロメン節が炸裂するこれから季節にはピッタリの楽曲。そしてヴォーカル、藤巻の魅力が詰まったピアノ・バラードの「夢で会えたら」。リ・スタートを切ったレミオロメンを象徴する様な充実のシングル。

Eureka

レルエ

Eureka

広く世界を見渡す視野とドメスティックな音楽の良さを突き詰め生まれた眩い輝きが、日本のみならず、世界でも高い評価を得た3人組、レルエの1st EP。EDMや00年代のニュー・レイヴのアッパーでゴージャスな音色、ロックのダイナミズム、モダンなポップのトレンドなどを絶妙なバランス感覚でブレンドした、エクストリーム且つビューティフルな個性溢れるサウンドに、メロディと言葉が普遍的なエネルギーを吹き込むスタイルはさらに磨きが掛かり、景色や物語の描写力が大きくアップ。5曲という尺以上に豊かな体験ができる作品となった。2019年の旋風は序章に過ぎない。お茶の間も深夜のパーティーもジャックできるそのポテンシャルの行く先が楽しみだ。

Alice

レルエ

Alice

群雄割拠のバンド・シーンの中で、次なるビッグ・ウェーヴとして注目を集めるレルエの1stフル・アルバム。夢見心地なシンセ・ポップ・サウンドと日本語の語感や風情に溢れるメロディのマッチングが海外からも注目を集める「火花」、ヴァイオリニスト sayaをメンバーに擁することによるアレンジの個性と性急なロック、エレクトロニックだからこそ描ける音の色彩感の融合が印象的な「青とゲート」といった既発曲に加え、EDMとロックのダイナミズムを1分台に詰め込んだショート・チューン「Stockholm」や、スムースでファンキーな現代ポップ「ホリデーバード」など、さらに新しいチャンネルを提示する新曲群が、それぞれの良さを際立て合い、新たなファンタジーが世界に向けて広がるような作品だ。

UNITE

レルエ

UNITE

女性ヴァイオリニストを擁する3ピース・バンドの全国デビュー作。シンセサイザーの音色を主体としたエレクトロ・サウンドにヴァイオリン&ギターが絡んでいく様子は、光を重ね塗りしているようなイメージ。リズム隊が絶えず刻むビートは躍動感を生み出している。おそらく"次世代のダンス・ミュージック"を作ることに意識的な人たちなのだと思うが、そう考えると、櫻井健太郎(Vo/Gt)による歌詞も興味深い。人と人との繋がりを描く彼の歌詞は、時に傷を癒し、時に傷跡を思い出させる行為として"踊る"という事象を捉えている。そのすべてが美しいことだと認めるため、レルエのサウンドは煌びやか且つ軽やかである必要があったのだろう。バンドの本質がまっすぐに伝わってくる意欲作。

飛べないニケ

ロザリーナ

飛べないニケ

ロザリーナの約1年ぶり、2枚目のフル・アルバム。ドラマ"ナイルパーチの女子会"主題歌「涙の銀河」や、TeddyLoidプロデュースの「moon & sun」、昨年行われた無観客ワンマンに合わせて発表された「NEVERLAND」に加え、全編英語で歌われた「Full of lies」や彼女の訴えるような歌が胸に刺さる「Dream on」などの新曲7曲、全10曲が収録された。全体を通してドリーミーでリラックスしたムードが漂っている印象だが、ユーモラスな打ち込みのアレンジや、壮大なストリングスのアレンジなど、サウンドの幅は広い。その洗練されたトラックをより豊かにするのが中性的でスモーキーな、"忘れられない声"と呼ばれる彼女の歌声。目を閉じて聴きながら浮かび上がる物語に浸りたい。

ロザリーナⅡ

ロザリーナ

ロザリーナⅡ

唯一無二の"忘れられない声"を持つシンガー・ソングライター、ロザリーナのミニ・アルバム。今作は、キングコングの西野亮廣による絵本が原作の"映画 えんとつ町のプペル"エンディング主題歌を含む全5曲が収録されている。「えんとつ町のプペル」は、西野が作詞作曲を手掛けており、2016年の絵本発売当初から歌われていた楽曲。映画化にあたり、オーケストラ編成でのアレンジが施され、幻想的でより物語の世界観を深く味わうことができる、没入感のある仕上がりに。ほかにも、ぴかぴかと煌めくサウンドがどこかキュートな「星の王子さま」、戦うことが使命の巨人族として生まれた"君"と人間の"僕"のストーリーを描いた「ネフィル」など、全編通して絵本のようなファンタジーで非日常感のある世界が広がる1枚。

マリオネット

ロザリーナ

マリオネット

2018年春、ソニー・ミュージックレコーズよりメジャー・デビューしたシンガー・ソングライター、ロザリーナ。彼女が、TVアニメ"からくりサーカス"のエンディング・テーマとして書き下ろした「マリオネット」を表題に据えた2ndシングルをリリースした。表題曲は、アニメの主人公のひとり"しろがね"の歌として作品に寄り添った歌詞が紡がれており、アレンジ&ミックスはサウンド・プロデューサーのTeddyLoidが担当。"守りたいものがある"という力強い想いが、一度聴いたら耳から離れないハスキーで特徴的な彼女の歌声とエモーショナルなサウンドに乗り、作品ファンのみならず心奪われる楽曲であろう。平穏な恋がこんなにも幸せだと感じさせる「Stereo」など、カップリングの2曲も必聴。

ROMANTICA

浪漫革命

ROMANTICA

ルーツの幅広さはもちろんのこと、そこから繰り広げる楽曲もロック、ファンク、ソウル、シティ・ポップとバリエーション豊かな浪漫革命の約2年ぶり、3枚目のアルバム。尽きることのない音楽への愛、そこに懸ける貪欲な探究心、それをただひたすらに楽しむ姿勢はそのままに、"ポップ"というところに焦点を合わせ、どこか振り切ったかのような印象を受ける今作。その中で一貫しているのはやはり"ロマン"で、どの曲にも彼らなりのロマンが溢れている。グルーヴィなリズムも、爽快なギターも、ドラマチックな歌詞も、「月9」での軽やかなラップも最高だ。ポッドキャスター、岡田康太とのコラボで話題を呼んだ「優しいウソで」も収録。変わらぬ無邪気さも逃さずに、とことん味わいつくしてほしい。

ROMANTIC LOVE

浪漫革命

ROMANTIC LOVE

コロナ禍を受けてリリースが決まったのかは定かでないが、各曲の甘酸っぱさが街の匂いを思い出させてくれるようで泣ける。例えば、「ふれたくて」は失恋ソングというより、もっと広い意味での"会いたい"気持ちを歌っているかのようだ。一方、切ないだけでもない。サビが癖になる「あんなつぁ」は民謡テイストながら「カノン」(パッヘルベル)を引用する遊び心も。「ラブソング」はL-Rからのギターが気持ちいいし、そこから「深夜バス」のUKロック的ダイナミズムに繋ぐ流れも熱い。「アバンチュール」はどんどん過剰さが増すのが最高だ(吹き荒れるサックス、3連符のキメ、ハチロク、ラストに銅鑼!)。夕涼みしてから打ち上げに出かけるラストまで、聴き終えたあとの一番の感想は"楽しかった!"でした。

NEW ISLAND ROMANCE

浪漫革命

NEW ISLAND ROMANCE

大学の軽音サークルでJAMIROQUAIや山下達郎をコピーしていた仲間同士が、社会に出ることを期に同じメンバーで音楽ができなくなることを寂しく思い、それならばとオリジナル曲を作って音楽で生活していくことを目標に掲げた。本作は、そんな青い結成エピソードそのもののような無邪気さと覚悟が同居する作品だ。トラディショナルなソウルやファンク、ロックンロールからの影響や、そういったレトロなサウンドのオリジナルな折衷感覚が未来を指し、風情をもって戦う姿勢を感じさせてくれる、まさに浪漫革命。2017年の春に初ライヴを行い、夏には"SUMMER SONIC"と"RISING SUN ROCK FESTIVAL"に出演し注目を集めた、そのポテンシャルは伊達じゃない。