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DISC REVIEW

囚人のジレンマ

眩暈SIREN

囚人のジレンマ

インスト曲「微睡」で幕を開ける、福岡の5人組ロック・バンド、眩暈SIRENの新作EP。絶望や悲しみに苛まれながらも"生きづらいこの時代にも光を求めたい"という彼らの叫びが込められたような、光と闇が交錯するメロディが冒頭から聴く者の心をかき乱す。流れるように続く「囚人のジレンマ」では、攻撃的なバンド・サウンドが鳴るなかに光るピアノの音色がその荒々しさを和らげ、美しい日本語で紡がれた厭世的な歌詞がよりまっすぐに届く。「零」の攻撃的なサウンドや、「その後」のささやくようなポエトリー・リーディングも彼らのメッセージをより鋭くさせ、心を刺してくる。それでいてその危うさがクセになり、もう一度聴きたいと思わせる中毒性を持つ1枚。

WAKEFiELD

メルヘンベリー

WAKEFiELD

都内を拠点に活動する4ピース・バンド、メルヘンベリー。活動休止、再開を経てバンド名の表記変更と、心機一転して再スタートを切った彼らの1st EPには、John Lennon「Mind Games」の歌詞をタイトルに掲げたポップなナンバー「LOVE IS FLOWERS」から、叶わぬ恋を切なく歌い上げるロック・チューン「妖艶少女」、変則的で癖になる「psychosis」、バンドだからこそ描ける音の幅広さを色に例えた「サウンドグラデーション」、ローファイでキラキラしたギター・サウンドが心地いい「ネバーランド」、理想と現実の差に悩む少女の姿を描いた「たどりついたらいつも雨降り」の全6曲を収録。フロントマン、菊地 拓郎(Vo/Ag)の独特の感性が詰め込まれた快作だ。

BLACK MELON

めろん畑a go go

BLACK MELON

クールな新メンバー 玖月琴美が参加したもうひとつの新体制"めろん畑a go go BLACK"としてリリースされるのが、こちらの『BLACK MELON』だ。『WHITE MELON』と比べて、"THEめろん畑a go go"と言える、ロカビリー、サイコビリー楽曲が中心となって本作には収録された。中でも、怪し気でアダルトな雰囲気を身に纏う「ゾンビーブルース」は、この曲を歌いこなせるアイドルは広いシーンの中でも彼女たちくらいしかいないだろうと思わせるほどのフィットぶりだ。上質なメロディを乗せたミドル・ナンバー「シルバージェットと僕たちの物語」は、2作品の中で唯一の完全オリジナル曲。聴いているだけで自然とギュッと拳を握り締め、目頭が熱くなってしまう名曲だ。

WHITE MELON

めろん畑a go go

WHITE MELON

既存メンバー4人に新メンバーの皆野うさこを加え、新体制"めろん畑a go go WHITE"としてリリースするミニ・アルバム『WHITE MELON』。同時リリースのミニ・アルバムに共通して収録される「めろん畑a go goの「嗚呼!IDOL真っ最中!」」に加えて、皆野うさこの明るさを反映したかのようにアッパーでロックンロールな楽曲が本作には揃った印象だ。「ダンスホール」、「MANIAC」といった、すでにライヴでは披露されてきたもののCDとして流通されていなかった曲たちも収められており、メンバーいわく"音源に入るということは、「みなさん盛り上げてください」ってことです!"とのこと。本作をじっくり聴き込んで、ライヴで元気に安全に(※ここ重要)暴れてほしい。

めろん畑a go go

めろん畑a go go

めろん畑a go go

めろん畑a go goのセルフ・タイトル作品が完成。本作は、戦隊ヒーローものの主題歌風で、謎の人物"レザードッグ"と掛け合いながら展開していく「GO GO MELON THE VICTORY」で幕を開ける。コロナ禍も影響してか、近作ではチームの葛藤が滲み出た曲が多い印象だったが、この楽曲ではそういった迷いは吹っ切れ、めろん畑a go go節全開に仕上がっているあたりが喜ばしい。注目すべきは、代表曲の「めろん畑a go go」が"2022ver."として再録されたこと。この曲に限らず、これまで再録をしてこなかったという彼女たちが、それぞれに成長を果たし満を持してレコーディングに臨んだ。5人の個性と、原曲よりもスラップ・ベースが際立ち、より強靭に生まれ変わったところに注目。

哀$戦士

めろん畑a go go

哀$戦士

ひとりの少女が、別れの哀しみを背負いながら走りだす「哀しきIDOL」で始まり、その人は、2曲目の「RUN IDOLS RUN」で自らのアイドル道を爆走していく。彼女の孤独で過酷な旅路は続くが、時には休息も必要だ。エンジン音とカントリー調のサウンドに乗せたスペイン語の歌唱で幕を開ける「哀$戦士」では、ロード・ムービーのワンシーンのように、焚火を囲んで、傷つき疲れた身体を癒す情景が浮かぶ。そして、この長い旅路は、人生のトンネルを抜けるように、最後は明るく「ROCKIN' IDOL STOMP」で締めくくられる。そんな一連のストーリーが聴き手の心で展開される、映画のような作品に仕上がった。本作には"哀しみ"と"アイドル"が凝縮されている。

to IDOLS to US to YOU

めろん畑a go go

to IDOLS to US to YOU

大胆にも歌わない1曲として仕上げた表題曲は、メンバーが"私たちめろん畑a go goはいつでもここにいるよ!"と想いをぶつければ、レコーディングに参加したゴーゴーズ(※ファン)が"俺たちもめろん畑a go goといつまでもここにいる!"と返す、熱すぎるナンバー。半分以上が寸劇で構成(!?)された、昭和の特撮ヒーローもの風の「撃つな琉陀瓶!」は、馬鹿馬鹿しいことを真面目にやる彼女たちの姿がカッコいい。さらにピアノのバラード「いつかの狼」や、彼女たちの新たなテーマ曲とも言える「無敵のIDOL」、新体制ならではの明るさを見せた「海賊QUEEN AMAZONES」も収録。最後は彼女たちらしいロカビリー調の「STILL DEAD OR ALIVE」で締めくくるのもまた良し。

Storage time

ザ・モアイズユー

Storage time

青春の日々に追い求めた夢も、それに伴う葛藤も、終わってしまった恋の後悔も、大切なものを失った悲しみも。人生で出会う喜怒哀楽のすべては、心に保存され(=Storage)、それぞれの人間をかたちづくる大切なものである。そんなことに気づかせてくれる、ザ・モアイズユーの1stフル・アルバム。本多真央(Vo/Gt)の朴訥とした歌声で紡ぐセンチメンタルなメロディを軸にしつつ、華やかにホーンを取り入れた「MUSIC!!」、80sなサマー・ソング「ブルースカイブルー」、メロウなラップ曲「求め合うたび」など、丁寧なアプローチで振り幅を広げた全13曲が並ぶ。珠玉は、バラード「Afterglow」。悲しみの残光で未来を照らす、優しい祈りの歌が胸を打つ。

すれ違い / 環状線 / 悲しみが消える頃 / 19

ザ・モアイズユー

すれ違い / 環状線 / 悲しみが消える頃 / 19

初の全国流通盤『想い出にメロディーを』から約1年4ヶ月ぶりとなる、大阪発の3ピース、ザ・モアイズユーの新曲は、4ヶ月連続の配信リリース。恋に臆病な情けない男のダンス・ナンバー「すれ違い」を皮切りに、誰かと比べてしまう弱さと葛藤するギター・ロック「環状線」、初めてキーボードを取り入れた繊細なバラード「悲しみが消える頃」、若さゆえの無敵感がアグレッシヴなロックとマッチした「19」という幅広い楽曲が並ぶ。特筆すべきはソングライティング、アレンジ、演奏など、あらゆる点でバンド初のチャレンジを盛り込んだこと。決して同じ場所には留まらないというバンドの意地を滲ませつつ、"完璧にはなれない自分"を歌うという変わらないスタンスも貫かれているところがいい。

想い出にメロディーを

ザ・モアイズユー

想い出にメロディーを

大阪発の3ピース・バンド、初の全国流通盤。"想い出にメロディーを"というタイトルが表す通り、季節の移ろいの中でたしかに動いた感情や思い出を、センチメンタルなメロディに乗せて丹念に切り取っていく楽曲たちは、日本人の琴線に触れるエヴァーグリーンなものばかり。バンド初のスロー・バラード「桜の花びら」から、"君"に溺れる切ない気持ちを躍動感溢れるロックへと昇華させた「fake」など、様々な恋模様を描いた幅広い楽曲にこのバンドのポテンシャルを感じるが、決して順風満帆ではなかったバンドの軌跡を滲ませた「光の先には」や「何度でも」にはロック・バンドとしての矜持が窺える。何度も負け続けた悔しさを知るバンドだからこそ、その歌には言葉を超えた説得力がある。

JUST SIZE

モウソウキリン

JUST SIZE

2022年結成、昨年春より現在の編成となり、都内のライヴハウスを中心にライヴ活動を行い、"マイナビ 閃光ライオット2023"3次ライヴ審査進出も果たしたレトロ・ポップ・バンド、モウソウキリンの1stアルバム。配信シングル「今日は絶対KISSしたい」、「生活」のほか、"Eggs"で2万3,000回再生を超える「ばんど。」などが収録された全8曲は、すでにライヴで披露された楽曲ばかりとのことで、この初音源化を喜ぶファンも多いだろう。まるで絵本から飛び出したかのような楽しげなポップ・ソングに加え、「身の程知らず」や「ブラックコーヒーは飲めない」といったディープな楽曲も豊富で、メンバーのバックボーンも気になるところ。様々な側面を見せながらも、背伸びすることなくそのままの自分たちを正直に表した様子が伝わり、気持ちいい。

番ちょうCOVERS

NUMBER VOGELもとつね番ちょう

番ちょうCOVERS

NUMBER VOGELの、もとつね番ちょう(Vo/Gt)によるソロ・カバー・アルバム。かなり好きで歌い込んでいるという秦 基博の曲を始め、彼自身が、ひとり路上ライヴで歌ってきた曲が並ぶ。小田和正、槇原敬之から、JUJU「やさしさで溢れるように」、一青窈「ハナミズキ」、荒井由実/松任谷由実の名曲まで、女性シンガーをも、そのスモーキーなのに、艶やかさも持った声で歌う。取材で"バンドマンとしてのプライドは捨てて歌っているところもある"と語っていたが、たしかに、各曲の持つソウルに忠実に、丁寧に歌を紡いでいく感覚は、バンドマンとしての看板やエゴのようなものはない。初めて聴く人にとっては、いいヴォーカリストを発掘した感覚にもなるだろう。そして、1枚聴き終えるころには、独特の歌のグルーヴに魅せられていると思う。

ノスタルジー

モノクロパンダ

ノスタルジー

絵本作家を夢見る神田美咲(Vo)による物語要素を含んだ歌詞は、美しさの中に毒を孕み、常に孤独と隣り合わせにある。自称"鬱POPバンド"の5人組が完成させた初の全国流通盤は、500円12曲入りという破格ながら、不安定さや曖昧さがやみつきになる1枚だ。配置された四季それぞれの歌も、安直にそれを表現するのではなく、季節ごとの切ない側面を描いたような情緒溢れる、まさに"ノスタルジー"な印象。とはいえ、シンとした空間で紡がれるピアノ・サウンドと歌声が儚い「金魚(水槽の中ver.)」もあれば、ホイッスルもサンバのリズムもジャジーな間奏も取り込んだ「ツキノクニ」もあり、アレンジ面での多彩さは驚くほど。クライマックスに歌ではなく感情的なセリフを置いた「4月のエンドロール」は、映画の感動シーンにも似た心の震えを体験させてくれる。

獣

モノノケノノモ

メンバー内に作詞作曲ができるバンドマン兼ボカロPがふたり在籍するという、特殊且つ強力な布陣で構成されたモノノケノノモの1stアルバム。YM(Vo/Gt)、梨本うい(Ba)の個性が存分に発揮された曲は、メロディのキャッチーさや3ピースのシンプルなバンド・サウンドも痛快で、バンドの魅力や面白さが一発で伝わる。こだわりのリフや歌詞からは、"ゆる~く楽しくやってます"というバンド・スタイルの奥にある、"本当に表現したいこと"も見え隠れし、言葉にできない君への想いを綴った「ラブソングが響いている」にグッときたし、このバンドの本質が見えた気がした。苛立ちや葛藤を歌詞に綴り、情けなく惨めで無様な自分を受け入れ、吐き出したときに見える仄かな光や希望まで表現しきれているところも素晴らしい。

AHA

MONO NO AWARE

AHA

2016年、2017年と"FUJI ROCK FESTIVAL"に連続出演するなど、話題の4人組のニュー・アルバム。MV曲「東京」は、次から次へとめくるめく展開で繋ぐ、物語のような約6分間。歌詞のメロディへのハマり具合も素晴らしく、言葉が脳に直接飛び込んでくる。怪しいマイナー調のフレーズを挟んで急にパッと開けるなど、変態的なメリハリが印象的な「機関銃を撃たせないで」、苛立ちの中に幸福感も含み"あなたのせいさ!"と叫ぶ、翻弄される恋心を描くバラード「DUGHNUTS」も好み。他にもディスコ・ナンバーや、疾走感溢れるロック・チューンと、その装いは曲ごとに全然違う。次はどんな表情を見せてくれるのだろう? と聴き進めるうちに、期待を超えてくる"アハ体験"とともに夢中になってしまう快作。

石油

モハメド

石油

2009年に結成し、東京を拠点に活動中の4人編成バンド、モハメドの1stアルバムがついにリリース。極太サウンドとテクニカルなパフォーマンスで常にフロアを沸かせてきた彼らだが、今作『石油』でもその勢いは健在で、息をつく間もなく全力でリスナーを踊らせようと迫る。オープニングを飾る「トイレ」では、その歌詞に思わず笑ってしまいながらも、刻まれるリズムに合わせて思わず体を揺らしてしまうようなダンサブルな1曲に仕上がっている。踊らせるだけではなく「今宵酔い良い夜」や「cushion」のようにじっくりと聴かせる曲もあり、決してリスナーを飽きさせることがない。確かな技術による演奏と、どこか歌謡曲を思わせるようなメロディは1度聴けば虜になること間違いなしだろう。

窓

百々和宏

MO'SOME TONEBENDERの百々和宏がソロ・アルバムをリリースする。バンドでのソリッドなサウンドとは一転、多彩な音楽性を見せてくれている。中島みゆき、Johnny Thundersのカヴァーに加え、小林麻美の「雨音はショパンの調べ」のカヴァーも収録し、クラムボンの原田郁子をゲストに迎えた楽曲「クラクラ」は2人の声が重なると豊かな響きが増してとても心地よい。フォーク・ソングのような哀愁感も古びた喫茶店を思わせ、特に静かにドシっと構えた歌詞世界は趣深く引き出しの多さに驚いた。聴けば聴くほど染み込んでいくように体の一部になっていくアルバム。ジャケットが表しているようにグッド・ミュージックは脳天に直接突き刺さる。

白猫浪漫

ももすももす

白猫浪漫

ももすももすが、ソニー・ミュージックレーベルズ移籍後初となるニュー・アルバム『白猫浪漫』をリリースした。アルバムには、TVアニメ"魔王学院の不適合者 Ⅱ ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~"EDテーマ「エソア」や同曲のバラードver.、TVアニメ"帰還者の魔法は特別です"EDテーマ"6を撫でる"、読売テレビ"川島・山内のマンガ沼"EDテーマなど多数のタイアップ曲を含む全13曲を収録。バラエティに富んだ作品に仕上がっている印象を受けるが、本作で窺えるサウンドの幅広さは、真部脩一(ex-相対性理論/Ba)や、ナカシマ(おいしくるメロンパン/Vo/Gt)といった参加ミュージシャンたちの存在によるところも大きいのだろう。シンガー・ソングライターとして新たなスタートを感じる意欲作。

彗星吟遊

ももすももす

彗星吟遊

純文学を思わせるような歌詞をロック・サウンドに乗せて歌い上げるシンガー・ソングライター、ももすももすの1stアルバム。"心の宇宙に浮かぶ彗星を、観測したアルバムです"と彼女自身が語る本作では、1曲目の「火星よ、こんにちは」から、ももすももすの作品世界にすっと引きまれていく。どことなく哀愁が漂い、また随所に遊び心も散りばめられている曲を聴いていると、聴覚だけでなく、視覚や嗅覚までもが刺激されていき、アルバムを通して彼女自身の心の宇宙を旅しているかのような感覚を覚えた。本作を締めくくるのは「ハネムーン」。3拍子のリズムが心地よいこの曲が、作品の余韻を残しつつオープニングの「火星よ、こんにちは」に繋がっていき、繰り返し何度も何度も聴き続けてしまう1枚に仕上がっている。

ひらがなで、もらすぱ。

The モラトリアムスパゲッチーズ

ひらがなで、もらすぱ。

昨年のRO69 JACKにて優勝を果たした4人組ロック・バンド。初全国流通盤となる今作には、ありがちな若いバンドの初期衝動とは一線を引く、非常に高いポテンシャルと珠玉のロック・アンセムが詰まっている。気づけば一緒に熱唱してしまうほどキャッチーなメロディは強烈かつ自然に体へ染み込んでくるはず。そのあたりプロデューサーのsimoryo (the chef cooks me)の手腕を感じるし、それは同時に素材が良いことの証明でもある。将太(Vo&Gt)の表現豊かなヴォーカルが印象的な「くせに」や、ロック好きのハートを射止めないわけがない「ひらがなで、まいわーるど。」など彼らの魅力を余すことなく収めた新世代ギター・ロックの到来を告げる良作。その旗手の名は、もらすぱ。

naive

森 翼

naive

シンガー・ソングライター、森 翼の約13年ぶりのフル・アルバム。これまでにライヴハウスで歌い続けてきた未音源化の楽曲を中心に、弾き語りやバンド・アレンジなどで新たにレコーディングした12曲を収録した。ふたりの危うい関係を描いた「アンフェア」、ダーティなバンド・アレンジに透明感のあるファルセット・ヴォーカルを聴かせる「Blue」、風を切って推進していく8ビート「ぼくにできること」。無駄を削ぎ落したシンプルなアレンジでありながら、一曲一曲に"見せたい景色"が明確にあるのは、長年ライヴハウスで大切に育んできた曲だからこそだろう。"グラスを持つ手を見てふと気づく/親指だけ離せない"と歌う「窓」のように、日常のさりげないひとコマに人生の真理を悟る、気どらない歌がいい。

グッド・ナイト

森は生きている

グッド・ナイト

冒頭のカントリー調のギターの音に誘われて彼らの森に迷い込んでみれば、そこには何もかも包容した豊かな音楽が広がっていた。型にはまらず、枠を飛び出して音楽を奏でる5人組 純音楽楽団"森は生きている"の2ndアルバムによって、深く長く息を吸うように体中の細胞がゆっくりと覚醒していく。サイケデリックなギター・リフで切り込む一面を魅せたかと思えば、美しい旋律を柔らかく歌い上げたりと様々な音楽を提示してくれる。まるで短編集でも読んでいるかのような歌詞で紡ぎだされる物語に、情景まで見えてくるようだ。アルバムのラストを飾る「グッド・ナイト」のジャズを基盤にしたようなメロウで気だるいリズムに身を任せて目を閉じれば、夢うつつな世界へ簡単にトリップしていく。あなたも自由にグッド・ナイト。

IMPERIAL BLUE

モーモールルギャバン

IMPERIAL BLUE

初のセルフ・プロデュース作品は、バンドの旨味を凝縮した非常に完成度の高い5曲入りミニ・アルバム。近年目立っていたおちゃらけ要素は控えめで、初期の名曲「悲しみは地下鉄で」に代表される繊細でセンチメンタルなメロディとコード感や、代表曲「ユキちゃん」などにある3人が作り出すリズムを生かした躍動的なアンサンブルなど、全曲に異なるカラーのポップ・センスが炸裂している。モーモールルギャバンの音楽が元来から持っていたときめきが現在の彼らによって発掘されたような、懐かしさと新しさを併せ持つ、まさに彼らのこれまでの歩みが作り出した楽曲たちと言っていいだろう。特に表題曲の文学的で切なくも凛とした言葉と美しいメロディ、シリアスながらにユーモラスなサウンドスケープの結実は素晴らしい。

ヤンキーとKISS

モーモールルギャバン

ヤンキーとKISS

前作『PIRATES of Dr.PANTY』に続き、ゲイリー・ビッチェ(Dr/Vo)のデモを生かしたアレンジが組まれた、約2年ぶりのフル・アルバム。前作以上にシンプルな音作りで、各プレイヤーの1音1音に対する入魂具合が感じられ、音源にも彼らのライヴのモードが反映されていると言っていい。"ザ・モーモーソング"とも言えるロック・ナンバーはもちろん、コメディ要素の強い楽曲からシリアスなもの、エモーショナルなものまで揃い、働き盛りで充実しているが未来への不安がないと言えば嘘になる――そんな30代の迷いをリアルに綴った言葉は、毎日を懸命に生きている人々の共感度も高めでは。ロマンチックでセンチメンタルなメロディには、我慢していた溜息を思わず零してしまうようなガス抜き効果もある。

PIRATES of Dr.PANTY

モーモールルギャバン

PIRATES of Dr.PANTY

アニメーター"すしお"がアートワークを手掛ける、約1年ぶりの新作。ゲイリー・ビッチェ(Dr/Vo)の作ったデモに忠実に、且つこれまでのモーモールルギャバンらしさを損なわないサウンドをテーマに制作された。ゆえにロマンチックでセンチメンタルでありながらエモーショナルという、ゲイリーのキャラクターが前面に出た楽曲が揃っている。バラードもポップ・ソングもアグレッシヴな曲もシンプルな音像がメロディの良さを際立たせ、歌詞も過去最高にアート性が高い。それでいてモーモーらしいユーモラスなギミックも効いている、という、バンドの長所や個性を洗練させた楽曲群だ。結成10周年を迎えたバンドだからこそなせる業と説得力。モーモールルギャバンは唯一無二のロック/J-POPの域に達し始めている。

シャンゼリゼ

モーモールルギャバン

シャンゼリゼ

この3人が集まって音を作って鳴らせば、すべてモーモールルギャバンになってしまうのだと思い知らされた。ライヴ活動休止を経て制作された3年3ヶ月ぶりのフル・アルバム、今までで最も自然体の音像だ。痛烈にセンチメンタルで圧倒的で、どの曲にも無意識のうちに拳を握りたくなる、感極まってしまう箇所がある。ライヴ活動を休止してまっすぐ制作に向き合ったことも影響してか、パワー・プレイというよりはひとつひとつのフレーズの彫が深く刻まれており、それが赤裸々なバンドの芯をそのまま表しているようだ。ゆえに懐かしくもあり新しくもあり、その混乱がとても刺激的である。ラスト・トラック「バイララ」のアウトロは過去最大級の爽快感。モーモールルギャバン、確固たる唯一無二の音像を掲げ再始動である。

僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ

モーモールルギャバン

僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ

J-POP界の異端児がロックに真っ向勝負! 型破りなパフォーマンスやポップネスで多くの人々を魅了し続けるモーモールルギャバンの1年振りの新作は、ロック・アティテュードとポップネスがぶつかり合う快作だ。バラードの中で“パンティー!”と叫んだりなど、どこか捉えどころがなかったこれまでの作品に比べ、今作はストレートな表現とサウンドにまず度肝を抜かれた。真剣に音と向き合い、これまでとは違う角度からリスナーと向き合った、ストイックに紡がれた真っ直ぐなハートが詰まっている。こう言うと綺麗にまとまったアルバムなのかと思われるかもしれないが、そこはこの3人組、いい意味での変態度やぶっ飛び具合も尖りを増しているのでご安心を(笑)。奇を衒ったギャップなどなくても彼らは人々を笑顔にさせる無敵のパワーを持っているのだ。

PINK and BLACK

モーモールルギャバン

PINK and BLACK

メジャー1stフル・アルバム『BeVeci Calopueno』から約9ヶ月。モーモーから届けられたのはシングル+DVDの豪華盤だ。DVDは“出会いから現在に至るまでのモーモールルギャバンの軌跡の記録”をテーマにしたドキュメントリー作品。ロング・インタヴュー、全キャリアの代表曲を収録したライヴ映像など108分の大ヴォリュームで展開される。シングルには新曲「Good Bye Thank You」と絶盤音源の新録「俺、風呂入るTonight」の2曲を収録。両曲ともユコ・カティの鍵盤が切なく響き、ひとつひとつ言葉を呟くように歌うゲイリー・ビッチェのメロディが胸を締め付ける。ぽつんとひとりぼっちになってしまうような感覚。だが3人の奏でる音は朝日のように静かに強く輝いている。

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2011

V.A.

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2011

アジカン企画&主催の夏フェス"NANO-MUGEN FES."も今回で9回目(ツアー形式だった「NANO-MUGEN CIRCUIT2010」を含めると10回目)。WEEZERやMANIC STREET PREACHERSをヘッドライナーに、BOOM BOOM SATELLITES、the HIATUS、若手注目バンドねごと、モーモールルギャバンなど、洋邦共に相変わらずの豪華ラインナップ。出演バンドの楽曲が1曲ずつ収録されているコンピレーション・アルバムは、今作で5作目。そして、今回収録されているアジカンの新曲は2曲。チャットモンチーの橋本絵莉子(Vo&Gt)を迎えた「All right part2」は、後藤と橋本の気だるい歌い方と熱が迸る歌詞のコントラストが鮮やかで、高揚感に溢れたギター・リフとメロディも力強く鳴り響く。ユーモラスなあいうえお作文、男性の言葉で歌う橋本の艶とレア感も思わずニヤついてしまう。東日本大震災時の東京を描いた「ひかり」は、人間の醜い部分や絶望感にも目を逸らさず、物語が淡々と綴られている。言葉をなぞる後藤の歌に込められた優しさと強さは、当時の東京を克明に呼び起こしてゆく。生きることが困難な時もあるだろう。だが"オーライ"と口ずさめば、ほんの少し救われる気がする。音楽の持つ力を信じたい――改めて強くそう思った。