JapaneseOverseas
【Mrs. GREEN APPLE/ヒトリエ 表紙】Skream!7月号、順次配布開始。FOALS、ヨルシカ、MARiA特集、バクホン、EMPiRE、ラッキリ、阿部真央、Reiのライヴ・レポート、kalmiaのインタビューなど掲載
2022.07.01 12:00
Skream!マガジン7月号が順次配布スタート。
今月号は、7月8日にニュー・ミニ・アルバム『Unity』をリリースするMrs. GREEN APPLEと、6月22日にニュー・アルバム『PHARMACY』をリリースしたヒトリエが表紙を飾る。
その他にも、注目アーティストのインタビュー、ライヴ・レポートが盛りだくさん。また、アーティスト・コラムも好評連載中なので、ぜひゲットしてほしい。なお、This is LAST菊池陽報(Vo/Gt)のコラム"#This is LASTのいる生活"は7月号で最終回となっているので、お見逃しなく。
Skream!マガジン7月号掲載アーティストは以下の通り。
【インタビュー】
Mrs. GREEN APPLE
ヒトリエ
kalmia
【特集記事】
FOALS 特集
ヨルシカ 特集
MARiA 特集
PICK UP! ROOKIES(UNFAIR RULE / Ohm / Millennium Axis / Belleyes)
【ライヴ・レポート】
Rei
AMEFURASSHI
め組
ヒトリエ
挫・人間
阿部真央
EMPiRE
THE BACK HORN
YONA YONA WEEKENDERS
Suspended 4th
Lucky Kilimanjaro
【アーティスト・コラム】
長田カーティス(indigo la End)
稲村太佑(アルカラ)
髙橋悠真(ドラマストア)
菊池陽報(This is LAST) [最終回]
チヨ(SPARK!!SOUND!!SHOW!!)
キイチ(YONA YONA WEEKENDERS)
メイユイメイ(ぜんぶ君のせいだ。)
フクザワ
今月号も、読み応え抜群の盛りだくさんな内容となっていますので、ゲットはお早めに。
全国のCDショップやライヴハウス、スタジオなどに、順次発送いたします。
なお、店舗、地域によって店着日が異なる場合がありますので、ご了承ください。
店舗の営業時間および展開状況につきましては、各店舗にお問い合わせください。
配布店舗が近くにない方や、毎号確実に手に入れたい方のために定期購読も承っております。
詳しくはこちらから。
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ExWHYZ TOUR 2024 Futura Free+ 'Reinforce'
今年5月から7月にかけ、全国19都市20公演で行った"ExWHYZ TOUR 2024 'Futura Free'"の追加公演としてShin Sakiura(Gt/Ba/Pad)と堀 正輝(Dr/Beats)の2人をサポート・メンバーに迎えた特別編成ライヴ"ExWHYZ TOUR 2024 Futura Free+ 'Reinforce'"が映像作品化。ツアー半ばでメンバーのmayuが活動休止に入り、4人体制で成長を遂げてきたメンバーが、生演奏による有機的なダンス・ミュージックに後押しされて魅せる、120パーセントの歌唱、ダンス、表情が本作の見どころだ。特に、マイク・スタンドを使用して披露したアコースティック・バージョンの「4:00 a.m」は必見。演奏、演出、パフォーマンスが三位一体で織りなす美しいアートな世界観を堪能することができる。
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HOW HIGH?
ExWHYZとして初のEPには、メンバーの個性が弾ける自己紹介ラップ曲の「6WHYZ」、グループ史上最高速度のバンド・サウンドで駆け抜ける「NOT SORRY」、ハウスで踊らせる夏曲「フラチナサマー」ほか、ボーナス・トラック含め全7曲が収録された。本作は音楽ジャンルとして幅広いながらも、日本武道館ワンマンと夏ツアーを通して醸成してきた今のグループのイケイケな空気感やモードが一貫して反映されている。1stアルバムと2ndアルバムでできあがったグループのダンス・ミュージックのイメージをいい意味で壊し、彼女たちの可能性を広げたような印象だ。ボーナス・トラックとして、1stツアーから披露してきたキラーチューン「Shall We」が待望の音源化を果たしているのも嬉しいポイント。
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"EMPiREを解散したこと、そしてExWHYZを結成したことは正解だったのか?"――そんな問いに対する答えを証明する、グループにとっての記念碑的な日本武道館公演を記録した映像作品。バチバチの照明とVJ映像、そして極上のダンス・ミュージックを軸にした音楽で"クラブ武道館"を作り上げたライヴの模様は、映像作品として視聴しているだけでもオープニングからアドレナリン全開になるはず。ファンが歓喜したアンコールでのあのサプライズには今観ても胸が高まった。彼女たちの歌とダンスのクオリティと、顔面偏差値の高いヴィジュアルから繰り出される表情、それらを様々なアングルと距離で堪能できる珠玉の90分は、まさに眼福のひと言だ。ファン必携なのはもちろん、入門編としても推薦したい1枚。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
xANADU
昨年2022年11月に1stアルバム『xYZ』をリリースしたばかりのExWHYZが、早くも2ndアルバムを世に放った。本作は、ExWHYZ楽曲としては初めてシャウトを取り入れた都会的でスタイリッシュな「BLAZE」や、超重低音のドロップで全身をビリビリしびれさせる「ANSWER」ほか、前作に引き続き粒揃いなダンス・トラックを中心に構成されている。その一方で、洋楽ライクで爽やかなロック・ナンバー「FIRST STEP」のように、聴き手の意表を突く楽曲も収められ、自由度の高い作品に仕上がった印象だ。制作時期や、オーバーチュアから2曲目へシームレスに繋がる流れなど、1stアルバムと対をなす存在になっているので、2枚組のアルバムのように楽しむこともできる。太鼓判を押します!
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xYZ
元EMPiREメンバーにより結成されたExWHYZの1stアルバム。本作では、ライヴのSEに使用される「xYZ」から繋がる「D.Y.D」(いずれもyahyelのMiru ShinodaとKento Yamadaによるプロデュース)で、ExWHYZとはなんたるかをまずは見せつける。そこからEDMの「STAY WITH Me」でブチ上げたり、アシッド・ハウスの「Obsession」で攻めたり、バラードの「あいしてる」を挟んだりと、とにかく隙がない。全体的に大人びたメンバーの歌唱も聴きどころだ。ダンス・ミュージックをさらに特化していった本作からは、EMPiREからの進化も、ExWHYZとしての新生も同時に感じさせる。全A面アルバムと言っても過言ではない名盤だ。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
EMPiRE'S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW
昨年2021年11月23日に開催され、即日ソールド・アウトを達成した自身最大規模のワンマン・ライヴである幕張メッセイベントホール公演が映像作品化。360°の円形ステージで、彼女たちが主軸に置くダンス・チューンにロック・ナンバー、エモーショナルなバラードが次々に展開される本ライヴには、このときのEMPiREに出せるすべてが詰め込まれている。大舞台に物怖じせず、とにかく楽しんでいる6人の表情が終始印象的だ。客席からでは観ることができなかったアングルや、映像作品ならではのカメラワークは、当日会場に足を運んだ方にとっても新しい発見の連続になるはず。グループの歴史を語るうえでひとつの転機となりそうなライヴだけに、エージェント(※EMPiREファン)必携の作品だと言えるだろう。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
BRiGHT FUTURE
ヘイトを撒き散らす四つ打ち高速チューン「I don't care」、ちょっと抜けているけど明るさがある、そんな憎めない人間性が出た「Hey!Hey!」、パリピ精神が顔を覗かせる「FLY! SiNG! CRY! TRY! SMiLE!」など、作詞者の個性が表れるカラフルな本作。その一方で「To continue」では"続けること"への決意を滲ませ、本作のタイトルと初MV曲でもある大切な1曲「アカルイミライ」にもリンクする「RiNG to the BRiGHT FUTURE」では、出会いと別れ、そしてその先を歌うシリアスな面も。音楽的には、ストリングスの効いたエモいロック・ナンバー「Chase your back」や、軽快なギター・リフから幕を開ける爽やかなポップス「Haggling」といったアルバムならではのジャンルの幅も持たせている多彩な作品だ。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
HON-NO / IZA!!
EMPiRE初の両A面シングル。イントロから攻撃力の高い「HON-NO」は、ダンス・ミュージックを基盤にロックの力強さを内包する、タイトル通りに聴き手の"本能"を呼び起こすアグレッシヴなナンバーだ。コロナ禍においても攻めの姿勢を崩さない彼女たちを象徴するようなサウンドとリリックだが、時折迷いを見せるあたりも人間臭くていい。ダンス・サウンドに特化した「IZA!!」には、三浦大知、iriらを手掛けるSeihoが初の外部プロデューサーとして参加。こちらも前を向いて進む歌詞だが、「HON-NO」とは対照的に、優しい気持ちで歩むような印象を受ける。新たな風を吹かせている、かわいらしい歌唱も聴きどころだ。まったく音像の違う2曲なのに、どちらにもEMPiREらしさを感じられる良作。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
EMPiRE BREAKS THROUGH the LiMiT LiVE
今年2021年1月4日に自身最大規模の東京国際フォーラムホールAにて開催されたワンマン・ライヴの映像作品。本公演の最大のポイントは、なんと言っても、持ち曲である全39曲をノンストップで駆け抜けるセットリストだろう。タイトル通り、まさに"BREAKS THROUGH the LiMiT"="限界突破"をして、現在進行形で殻を破っていく姿には胸が熱くなるし、フラフラになりながらも久しぶりにエージェント(※ファン)に会えた喜びを爆発させて笑顔を絶やさないあたりには、リスペクトさえ感じさせる。気迫のパフォーマンス、ダンス・ミュージックとロックの融合、スタイリッシュなステージ演出、現在地点のEMPiREをすべて詰め込んだファン必携の作品であり、入門編としても強く推奨したい1枚。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
SUPER COOL EP
開幕の「This is EMPiRE SOUNDS」は、"これぞEMPiRE!"というスタイリッシュなダンス・チューンに乗せて、彼女たちがネクスト・ステージへと向かう強気な姿勢を歌った1曲。タイトルに"EMPiRE"を冠する曲はこれで3曲目だが、自身のスタイルに確信を持った歌詞になっているあたりが感慨深い。続くフューチャー・ベース調の「SUPER FEELiNG GOOD」は、ファンが自由に踊り出すEMPiREならではのライヴの光景が目に浮かんだ。そんな"SUPER COOL"="超カッコいい"本作のラストは、EMPiREにとっての新境地となるシューゲイザーのエッセンスを加えた「ORDiNARY」。優しさと轟音のコントラストで絶妙に作品を締める。SUPER COOL!!
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
the GREAT JOURNEY ALBUM
サビのラップで新たな扉を開いた「Have it my way」と、EDM調ながらも幻想的な情景の浮かぶ「WE ARE THE WORLD」、そして今のEMPiREのモードを反映させたように"さらなる高みを目指して/追う旅 行くさ!"とエモーショナルに歌い上げる「A journey」という、トリプル・リード・トラックを収めた2ndフル・アルバムが完成した。2019年のリリース作品では、エレクトロ、ダンス・ミュージック、ロックが融合した、ひとつの音楽の形を見いだした印象のある彼女たち。本作は、あえてその延長線には限定せず、"和"を感じさせる「きっと君と」や、キラキラしたサウンド感の「曲がりくねった道の」など、随所にチャレンジの姿勢が窺える意欲作だ。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
RiGHT NOW
TVアニメ"ブラッククローバー"第9クールのOPテーマ「RiGHT NOW」を表題に据えた、3rdシングルが到着。これまではロック寄りの曲、エレクトロ寄りの曲というように、ある程度色分けされていた曲が中心になっていたEMPiREの音楽(もちろんそれはそれでカッコいい)だが、前作シングルから本作への流れで、ロックとエレクトロ、ダンス・サウンドを絶妙に融合したEMPiREサウンドとでも言うべきものが確立されてきた印象を受ける。MiDORiKO EMPiREの手掛けた歌詞が初めて採用されたc/w「NEVER ENDiNG」では、"言えない気持ち"を吐き出して作品に昇華したという彼女のリアルな言葉に注目したい。12月リリースのアルバムへの期待が、否が応でも高まる1枚。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
SUCCESS STORY
新メンバー NOW EMPiREが加入し、勢いに乗っているEMPiREが新体制としての初作品をリリース。今の彼女たちを象徴するようなタイトルを冠した表題曲「SUCCESS STORY」は、EMPiREらしいスタイリッシュなカッコ良さと、ライヴでの盛り上がりが両立された、今までにないハイブリッドなキラーチューンに仕上がった。間奏ではダンスがフィーチャーされているため、ライヴに足を運んで耳だけでなく目でも楽しみたい。c/wの「maybe blue」はMAYU EMPiREが作詞を担当。YU-Ki EMPiREが"MAYUちゃん言葉"と称した独特なワード・センスによって紡ぎ出された言葉が、オシャレなエレクトロ・サウンドと融合し、暗めな歌詞ながらも心地よい、不思議な感覚を与えてくれる。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
ピアス
YUKA EMPiREのグループ脱退により現体制としては最初で最後となったシングル作品。聴き手に寄り添いつつも背中を押してくれる表題曲の「ピアス」は、TVアニメ"「FAIRY TAIL」ファイナルシリーズ"第2クールEDテーマに起用されている。心を揺さぶる感動的なサウンドとエモーショナルな歌声、別れをイメージさせる歌詞ゆえに、脱退に際して書かれた曲のようにも思えてしまうが、実はそれよりも前に制作された曲だという不思議な因果を感じさせる1曲だ。c/wの「ERASER HEAD」は、MAYU EMPiREによる作詞で、彼女自身やグループの内面が炙りだされたかのような詞世界と、EMPiREらしいエレクトロ要素の融合により、ダークでクールな彼女たちの新境地を見せている。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
EMPiRE originals
1stフル・アルバム『THE EMPiRE STRiKES START!!』リリースから約5ヶ月。この間にも、YUiNA EMPiREがBiSへと移籍し、新たにMAHO EMPiRE、MiKiNA EMPiREが加入し6人編成となったEMPiRE。今作は、前作でのEDM的なサウンドでコアな音楽ファンにも向けた多彩なポップ世界に加え、ライヴで映える躍動感がありメンバーそれぞれの個性をより生かした曲が揃った。「EMPiRE originals」は力強いバンド・サウンドで、新たな"EMPiRE=帝国"のオリジナルを作り出すという宣言を放つ。シリアスなだけでなく、サイケな歌詞世界と捻りある歌い方の「Dope」や、威勢のいい掛け声で走り続ける「SO i YA」など、リミッターを外しながら感情をあらわに表現する曲も加わった。短期間の間に変わりゆくEMPiREの瞬間を捉える1枚。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
THE EMPiRE STRiKES START!!
BiSやBiSHが所属するWACKのニューカマー、EMPiREの初のフィジカル作品であるこのデビュー・アルバムは、なんとカセット・テープでのリリース。サウンド・プロデューサーの松隈ケンタが手掛ける、他グループのパンキッシュでロックな曲に対して、EMPiREはクールなエレクトロ・チューンを基調とし、抑えたビート感で聴かせる曲が多い。メンバーが作詞をした曲もあり、それぞれの今の心情やサウンドからインスパイアされたポエトリーな光景を綴っている。クールでシリアスな路線でいくのかと思いきや、お尻の着ぐるみと街を爆走するMVと共に発表された「Buttocks beat! beat!」では、クールにキメながら"お尻ペンペン~"と歌うシュールさもあって、リスナーを撹乱。今後も目が離せない。
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FOALS
Life Is Yours
前作『Everything Not Saved Will Be Lost』2部作は、Part 1が踊れるロック、Part 2が骨太なロックと、持てる技を全部見せつけるような、バンドとしての集大成的アルバムだった。そして、そんなすべてを出し切った前作を経て、さらに閉塞感のある世の中の空気とも重なり、今作では新機軸となるような、突き抜けて明るいポップ路線を打ち出している。直感的に踊りだしたくなるような、軽快なギター・カッティング、ファンキーなドラム、浮遊感のあるシンセ・サウンド。どこを切っても輝きに満ちた幸福感のあるサウンドで、音楽を聴いてこんなに"眩しい!"と感じることがあるなんて。日常の鬱屈した感情や面倒事がぶっ飛ぶ、FOALS流非日常ポップでひと足早い夏を楽しんで。
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FOALS
Everything Not Saved Will Be Lost Part 2
前/後編からなる2部作の後編は、ダンス色濃い前編に対して、ビッグなリフをガツンと鳴らしたロック色濃い作品に。デビューから10年、インディー・ダンス・ロックの新星からUKロックを代表するスタジアム・ロック・バンドに成長したFOALSの軌跡を、今一度、2枚のアルバムでダイナミックにアピールする格好となったわけだが、FOALSが持つロック・バンドとしての魅力がぎゅっと凝縮しながら、同時に新境地も印象づけているところがポイント。その意味では、オープニングを華々しく飾るソウルフルなロック・ナンバー「The Runner」、FOALS流のブルース・ロックと言える「Like Lightning」が一番の聴きどころ。ROYAL BLOODやTHE BLACK KEYSのファンにも薦めてみたい。
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FOALS
Everything Not Saved Will Be Lost Part1
"SUMMER SONIC 2019"への出演が決定し自ずと期待値が上がる新作は、2019年秋にリリース予定の後編との2部作前編。スタジアム・バンドとしてのスケールに見合うプロダクションを獲得した前作以降、バンドはベース・ミュージックや今のエレクトロニックなサウンドと対峙したのだろう。近未来を想像させるメランコリックなオープニングや、持ち味である民族性とエレクトロニックなポスト・パンクは、本作を象徴する1曲「Exits」で1音の輪郭をより明確にし、新鮮な音像を獲得している。全体的にシンセを効果的に用いながらも、80's風にもドリーミーにもならない。「Cafe D'Athens」ではトラップを高速に再解釈したようなビートも。我流且つ古くならないバンド、FOALS面目躍如の1枚。
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FOALS
Holy Fire (Deluxe Edition)
エレクトロ・ダンス・パンクの新鋭としてシーンに現れてから6年目にリリースした3作目のアルバム。アート・ロックからアリーナあるいはスタジアムで鳴ってこそ映えるビッグ・ロック・サウンドへの転身が賛否を呼んだ。メンバー自らライヴにおけるサウンドを反映させた結果と語っているように、それは自然な変化だったようだが、バンドのスケール・アップを受け入れたうえで新たな表現に挑んだところに彼ららしい気概が窺える。楽曲の振り幅が持つダイナミクスをよりはっきりと描き出すことで、本来の魅力がさらにわかりやすい形で伝わるようになった。結果、全英2位の大ヒットを記録。来日に合わせリリースされるツアー・エディションには2013年3月28日のロイヤル・アルバート・ホール公演の模様を収録したDVDがカップリングされる。
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FOALS
Holy Fire
この作品を作れるようになるために前2作を作ったようなものなんだ"とギターのJimmy Smithが語るように、この3rdアルバムは彼らの確実な進化を決定づける作品となっていると言っていいだろう。『Holy Fire』というタイトルの由来はわからないが、リード・シングルにもなっているTrack.2「Inhaler」はジリジリと熱を孕み、緻密で煌びやかな細工が施されたギター・サウンドはまさに"聖なる炎"を感じさせる崇高な光を放っている。アルバムを通してフィジカルさはグっと増し、彼らのアーティスティックなサウンドにハッキリとした輪郭を与えたことにより、ロック・バンドとしての強度はグっと増している。既に世界的な評価を得ている彼らの更なる飛躍を予感させる作品だ。
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FOALS
Total Life Forever
デビュー・アルバム『Antidotes』での強迫的なスピードと変拍子ビート、まくしたてるようなハイトーン・ヴォーカルも後ろへ下がり、グッとスマートに、シンプルになったFOALSの最新作。エモーショナルな美しさを湛える本作でのバンドのスケール・アップは特筆もの。新人バンドがセカンドやサードでスケール・アップなんて言うと大概がスタジアム・バンドという保守的なステレオ・タイプに陥り、一気に退屈になってしまうわけだけれど、FOALS はそうではない。彼らの特徴であるビート、鋭角なギター・リフへの強迫観念が消え去った結果、好事家だけに向けられたアートでも、退屈なステレオ・タイプでもない場所に彼らは辿り着いている。驚くほどにピュアなその音に打ち震える会心作。
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GARNiDELiA
Duality Code
メンバーそれぞれのソロ活動を経て、待望の5thアルバムがついに完成。儚くてセンチメンタルなダンス・ナンバーから、ほっこりとするクリスマス・ソングまで、実に多彩な全12曲を収録。どれも聴き手の心に滑り込んでいく親しみやすさはありつつも、ハードで重厚感のあるサウンドと、再始動の幕開けに相応しい情熱迸る言葉を畳み掛ける「Live On!」や、"距離"から生まれた様々な想いを閉じ込めた「Uncertainty」など、ふたりの心境が色濃く表れた楽曲も。ユニットが掲げ続けているライヴ・タイトルを冠したtoku歌唱の「stellacage」、MARiAが自身の歌う理由を刻みつけた「Reason」と、自分たちの"場所"に関して歌った2曲で締めくくるのが、とにかくエモーショナルで熱い!
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toku
bouquet
音楽ユニット、GARNiDELiAのサウンド・プロデューサーであり、とくPとしてボカロ曲も発表してきたtokuのソロ作。10人の女性アーティスト/声優をゲストに迎え、10人それぞれの世界観を引き立て、またそれぞれの曲で花をモチーフに1枚のアルバムとしてブーケのように束ねた。神田沙也加のエモーショナルなVoを生かした「ずるいよ、桜」の儚くポエティックなポップ・サウンドに、中島 愛参加の「Acacia」ではフューチャリスティックな物語性を引き立てるサウンド、やなぎなぎが歌う「Coreopsis」は実験的なサウンドが、ピュアな歌声とマッチ。また一青窈の「萌芽」は歌詞をスガシカオが手掛けており、3人の個性をぶつけ合う曲になった。架空の物語のサウンドトラックのように味わえる作品だ。
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Lucky Kilimanjaro
Soul Friendly
ラッキリのニューEPがとにかく優しい。フィジカルを熱く躍らせた7月発表の『Dancers Friendly』とは別のアプローチで、今度は私たちの"ソウル"を温かく躍らせるのだ。低音を抑え、隙間のあるサウンドでぬくもりのあるギターが際立つ新境地「LIGHTHOUSE」、「いつもの魔法」。遊び心やサプライズも楽しい「フロリアス」。今回はお酒ではなくホットコーヒーで、まさにほっとする本作を彩る「コーヒー・セイブス・ミー」。そしてリスナーへのシンプルなメッセージを、伝えたいことはそれだけと言うかの如く繰り返す「メロディライン」をラストに。抱擁するような音像で疲れた心を鎮め、また明日へと向かわせてくれる、1日の終わりに傍にいてほしい好盤。
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Lucky Kilimanjaro
Dancers Friendly
"君がシャイだって関係ない"の歌通り、灼熱の夏を問答無用で腰から踊らせるパワー・チューン「Dancers Friendly」で幕を開ける本作。ファンを公言するやす子出演MVも微笑ましい「かけおち」は、フルートとダンス・ビートの新鮮な掛け合わせに身体のみならず心も躍る。かと思えば感傷的な「Find you in the dark」で暗中模索のリスナーに寄り添う姿勢も明示。ラッキリの"何も考えずに踊ろう"というのは、纏わり付く思いが本当は0ではないのを知っているからこそのメッセージ。だから心を掴んで離さないのだ。フレーズのループや熊木幸丸(Vo)以外のメンバーの声も効果的に取り入れる等、持ち味も遺憾なく発揮し、幕張メッセへ向けギアを上げていく。
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Lucky Kilimanjaro
実感
今年結成10周年を迎えるLucky Kilimanjaroから、"次の10年"を踊るためのニュー・シングルが到着した。表題曲の「実感」は、熊木幸丸(Vo)がバンドが活動10年目を迎えたことを受けて、バンドを継続させる情熱をテーマに書いた曲。メロディは憂いを、BPMは焦燥感をたたえている一方、"100年の愛を咲かせて"と悠久の時に想いを馳せている。常に"今"の音楽を書いてはリリースしてきたこのバンドの生きる速度、"永遠なんてない"という前提に対する解、半永久的に遺るものを作る音楽家のロマンが1曲に凝縮されているようで、シンプルながら深みのある曲だ。2曲目の「次の朝」は、問いが尽きないこの世界で生きる術としてダンス・ミュージックを提案してきたバンドの哲学のど真ん中を突くナンバー。
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無限さ
"楽しい"ばかりがダンス・ミュージックではない。日々の生活から生まれる明るいだけではない感情と、どうにか手を取り合おうとすることが"踊る"ことだ。そう発信し続けてきたLucky Kilimanjaroらしい秋の配信シングル。表題曲「無限さ」は静かなところから始まり、じわじわと盛り上がってから、再び静かな場所に還るという山型の構成。孤独に寄り添い、イマジネーションの世界へ連れ出してくれる音楽は温かく、熊木幸丸(Vo)の"悲しみと並走する"という言葉も、まさにといった感じ。"狭い部屋だって宇宙になる"という歌詞に共感を覚えるリスナーも少なくないだろう。2曲目の「靄晴らす」は、モヤモヤした気持ちをひたすらに歌うことで踊るという、非常に人間的な楽曲。
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Lucky Kilimanjaro
後光
今年もLucky Kilimanjaroの夏がやってきた。そう思いながら、気づけばこの2曲をエンドレス・リピートしているリスナーも少なくないだろう。なんてったって今年のシングルも超踊れる。表題曲「後光」はどこか涼しげで、しかし聴けば聴くほど熱量が感じられるフィルター・ハウス。ファルセットがメインのヴォーカルは"歌う"というよりもサウンドと一体化していて、楽曲の雰囲気作りに貢献している。ダンス・ミュージックの主人公はこの音に揺れるあなた自身だと伝えるうえで、"後光"をモチーフとする歌詞もユニークだ。カップリングの「でんでん」は浮遊感のあるサウンドも、ニロ抜き音階のメロも、歌詞も、とにかく中毒性が高い。声だけで成立している箇所も意外と多く、実験的な楽曲だ。
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Lucky Kilimanjaro
Kimochy Season
アルバム・リリースを重ねるたびに曲ごとのサウンドのテクスチャーが明確になってきた、その最新形がこのメジャー4thアルバム。ハウス/テクノ・ビートが多めだが、そこに乗る日本語の新たな用い方もユニークだ。"一筋差す"という感覚的なフレーズをリフのようにビルドしていく「一筋差す」に始まり、「Heat」も歌詞がビートになっている印象。"掃除の機運"というなんともユニークなタイトルを持つ曲では、ブラスのサンプリングがグルーヴを作り、「地獄の踊り場」はドラムンベースに現行の海外シーンも90年代UK感も漂う。そんなダンサブルなアルバムの中で、オーセンティックなリズム・アンド・ブルースのスウィートネスを現代にアップデートしたような「咲まう」や、シティ・ポップ寄りの「山粧う」が実に新鮮なフックに。
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Lucky Kilimanjaro
TOUGH PLAY
1曲目から隙間の多さとドゥーワップなのかハウスなのか? 不思議な気分にアゲてくれる「I'm NOT Dead」に驚かされる。曲の前半をあえてビートレスにする「ZUBUZUBULOVE」や「果てることないダンス」もユニーク且つ、現行の海外シーンと共振する音像だ。先行配信されていた「踊りの合図」ではグッと生感のあるボサノヴァ~サルサ・テイストが飛び出し、「無敵」のアフロ・リズムによって、さらに身体が反応する。ラッキリには珍しい一夜限りの経験を思わせる「足りない夜にまかせて」に漂う、深夜のフロア感もリアルだし、同時にまだ部屋でひとりモヤモヤを抱える今の心情に重ならなくもない。逡巡もありながら、リスナーを外へと解放する「人生踊れば丸儲け」などなど、アクションを促す痛快なアルバムだ。(石角 友香)
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Lucky Kilimanjaro
踊りの合図
Lucky Kilimanjaroの夏がまたやってきた。タイトル・トラック「踊りの合図」はサンバのリズムを取り入れ、私たちの本能に訴え掛けて、制約だらけの日々に凝り固まり萎縮した心と身体を開放する。南米の情熱的な部分だけでなく、涼しいギターとシンセの音色、そこに時代劇"七人の侍"の登場人物や、"苦しいでござんす"なんて歌詞が出てくる彼らならではのミックス感が趣深く楽しい。そして、"わずらいは踊りの合図"という言葉には、今日を共に生きる人へ寄り添う想いも感じずにいられない。c/wの「あついきもち」はメロウなサウンドの中で、"愛とは?"を描くナンバーだが、恋人や家族の範囲に収まらない、スケールの大きな繋がりを篤実に歌うラヴ・ソングに目頭が熱くなる。
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Lucky Kilimanjaro
DAILY BOP
「太陽」や「夜とシンセサイザー」などの直近シングルや、先行公開された「MOONLIGHT」の時点で、そのサウンドの幅広さに再生するたび驚かされていたが、本作『DAILY BOP』はその音への探究心や、チャレンジの賜物と言えるアメイジングなアルバムとなった。新曲では、シンセ以上にギターが効いたトラックや、チルなムードを湛えた曲も新鮮でいいし、サウンドの多彩さ以外の面では、言葉遊びとメッセージが絶妙に入り交じる「ペペロンチーノ」が個人的にはお気に入り。とあるヒップホップ・ナンバーのフロウの引用にもときめいた。この意気軒昂な1枚のリリースから4日後に、自身最大キャパの有観客ワンマンとなる野音公演を開催すると思うと、鼓動はますます高まるばかりだ。
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Lucky Kilimanjaro
夜とシンセサイザー
前作『太陽』と対照的な"夜"がテーマのナンバー。これまでも彼らが夜を描いた曲はあったが、この曲はいろいろ考え込んでしまう夜半、先が見えない漠然とした不安も孕んだ夜を鮮明に映し出す。そして、それを半ば強引に、願いにも近い形で励ますのがシンセサイザー=ラッキリ、ひいては音楽の存在。過去最高に強勢でビリビリくるサビのサウンドと、"あなたのかわりに泣けないけど"と甘すぎない正しい姿勢を貫きつつも、しっかり背中を押す熊木幸丸の歌に奮い立たされるパワーチューンだ。c/wはDISH//に熊木個人で提供した「SAUNA SONG」のセルフ・カバー。DISH//Ver.よりテンポを落とし、サウナのまったり感がありつつも、水風呂で締めるようなキリッとしたメリハリも感じられ、聴き比べるのも楽しい。
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Lucky Kilimanjaro
太陽
結成以来、一貫して"踊ろう"と打ち出してきた彼らだが、ダンスはダンスでもこう来たか! という「太陽」。南米の部族的なビートから始まりつつ、サビでは"さぁ踊らにゃ損!/踊れや!ほいやっさ!"と神輿の掛け声のような言葉を乗せる展開には驚きだ。注目を集め始めたバンドだが、都会的、洒脱なといった決まった枠には収まらないし、もっと根本的な部分で踊りたいという意志の表れなのかも。ヴォーカル 熊木幸丸以外のメンバーも参加した自由な掛け声も相まってなんとも愉快で、歌詞中の遊び心も粋だ。一方の「Deadline Dancer」は、実際に熊木がRECの締め切りに追われるなかで書いた曲ということで、夏休みの宿題を終わりのほうにバタバタとするタイプの人には、耳が痛いながらも楽しい曲のはず。
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Lucky Kilimanjaro
エモめの夏
"エモめの夏"。真っ向から掲げたこのタイトルでまず興味を惹かれたラッキリの2曲入りシングル。表題曲は、イントロからクラップ音と清涼感のあるシンセがプールの水面のようなきらめきを感じさせる、まさにサマー・チューンだが、ベースも効いていて、サビで縦ノリにもなれるというのが彼らとしてはちょっと新鮮だ。そして、歌詞の面では、恋をして今までの自分ではいられない心もとなさも孕みつつ、"誰がなんと言おうと うるせぇで片がつく"と、自分本位になってしまうくらい舞い上がる気持ちが描かれている。もう一方の曲「新しい夏を駆けて」もまた夏を歌うナンバーだが、こちらは浮遊感たっぷり。熊木幸丸の歌声も含めて涼しげなのに、怒濤のサビが畳み掛けるラストは至極のメロディに胸が高鳴ってしまう。やられた。
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Lucky Kilimanjaro
!magination
"!magination"と冠された今作は"想像力を持った人が、力を発揮できるような世の中になれば"という本誌インタビューでの熊木幸丸(Vo)の言葉が形になったような作品だ。彼らの真骨頂であるシンセ・サウンドを改めてより鋭くした「Drawing!」、Bメロがない淡々としたスピード感が心地いい「RUN」などだけでなく、ゆったりした曲が続く部分があり、彼らとしては新鮮。曲調が多彩なぶん、様々な気持ちに寄り添ってくれる仕上がりに。また、缶を開ける音やため息など日常の音が随所に織り交ぜられており、遊び心と共に親しみやすさも感じられていい。5月のLIQUIDROOMワンマンは即完で追加公演が決定したラッキリ。ターゲットを絞らない彼らのメッセージは、今作でより広く染み渡っていく。
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Lucky Kilimanjaro
FRESH
2019年6月から4ヶ月連続でリリースしたシングル表題曲4曲に新曲「FRESH」を加えた、メジャーからの2nd EP。これまでのイメージにあるハウス/ディスコに接近した「風になる」と「HOUSE」、UK発の2ステップと日本の風情を感じる歌が融合した「初恋」、トラップのプロダクションをルーツにしたポップの進化と共鳴する「Do Do Do」、その線上にありながら、コーラスの強いアタックが印象的な、"新しい物事との出会い"によって開かれる感性の大切さを歌った「FRESH」と、それぞれの色を持った4曲と共に、Lucky Kilimanjaroがこの1年で獲得したポップ・ミュージックとしての強度を、まとめて味わえる1枚だ。
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Lucky Kilimanjaro
初恋
4作連続リリースの最終章は、"初恋"というタイトルから甘いメロウ・チューンか、爽やかでキラキラしたナンバーを想像したが、そんな予想を超えてきた、90年代後半~2000年前後に流行した2ステップを前面に押し出した、少し揚力のある曲。しかし、そこに淡々としつつも存在感のある熊木幸丸の声色が乗ることで、懐かしいというより、むしろ新鮮な空気を醸成するのが面白い。また、"初恋のような傷"という言葉に象徴されるように、恋の最中のときめきではなく、恋が終わった瞬間を丁寧に描いた詞のひとつひとつも多くの人に沁みるだろう。一方c/wでは、すべての人に平等に訪れる朝に対し、"君はどう迎えたい?"とリスナーの生活の底上げを図る、静かなるメッセージ・ソングを響かせている。
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Lucky Kilimanjaro
Do Do Do
4ヶ月連続リリースの第3弾となるシングル『Do Do Do』。表題曲は、ゆるく肩の力が抜けた第2弾の「HOUSE」とはまた違い、自身を奮い立たせるような強いメッセージが込められたミドル・チューンとなっている。"今自分が何者かなんて自分自身で決めなよ"、"自分の意思を決めたら/それを信じるまでだ"など、そのひとつひとつのワードに背中を押されるリスナーも多いのではないだろうか。また、メロウで風通しのいいエレクトロ・サウンドも心地よく、場面ごとで変わるビートの音色も聴きどころだ。c/w「愛してる」は、タイトル通りストレートに愛を伝えるナンバーとなっているが、情熱的すぎるように思える"愛してる"という言葉も涼しく、穏やかでスッと胸に入ってくるところがいい。
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Lucky Kilimanjaro
HOUSE
表題曲「HOUSE」は、BPMが125前後のハウス・ミュージックであり、家で自由に踊ろうと歌っているという意味でも"ハウス"ミュージックだ。清涼感溢れる「風になる」に続く4ヶ月連続リリース企画第2弾は、そんなスピード感と脱力感を持ち合わせるユニークな1曲となった。他人の目なんて考えずに好きなことをしようというメッセージを、"やろうぜ!"と強く促すのではなく、"家の中だったら何も気にしなくて大丈夫でしょ?"と優しく提案する感じが、なんともラッキリらしい。加えて、カップリングの「車のかげでキスを」では、海の中を漂うようなサウンドにピュアなフルートの音色を重ねて青い夏のひと幕を描き、バンドの多彩さも印象づける。
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Lucky Kilimanjaro
風になる
4ヶ月連続シングル第1弾は、ストリングスのピチカートのワンフレーズが、冒頭からラストまで3分間同じリズムで鳴りっぱなし。その中を変化していくメロディとシンセサイザーや効果音が楽しい曲だ。繰り返すコードはフラットな感覚ながらも、とびっきりの清涼感があるのは、楽器隊の音作りとクラップなどのアクセントがあるからだろう。熊木幸丸(Vo)のメッセージもより伝わりやすいまっすぐなものとなっており、"どこへでもゆける勇気をあげる"と歌うように、1日の始まりや、気分を切り替えたいとき、何か新しいことをするときなどに心と身体を軽くしてくれる。カップリングの「君が踊り出すのを待ってる」ではローを出しつつ、横揺れできるムーディなグルーヴ感が味わえて、ひたすら心地いい。
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Lucky Kilimanjaro
HUG
リスナーの心を躍らせることを目的とした6人組エレポップ・バンドが、メジャー1st EPを完成させた。一聴してまず耳に飛び込んでくるのは、2台のシンセサイザーが飛びっきり鮮やかに彩る洒脱なダンス・ミュージック。だがそこに乗るのは、熊木幸丸(Vo/Sampler)による、時には怒りも孕むほど強い意志を持った日本語のメッセージだ。そして"色あせたユニットバス"、"謎に高いカマンベール"など、なんとも生活感のある等身大のフレーズも盛り込まれており、この絶妙な融合が実にユニークだ。ステップを踏んで踊りたくなるような彼らの代名詞的な曲も存分に楽しめるが、約6分あるメロウでロマンチックなナンバー「Purple Dancer」では泣きのギターも聴かせ、軽やかな面以外も見せてくれる。
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Mrs. GREEN APPLE
ANTENNA
活動再開後、初となるフル・アルバムは初めてタイトルをあらかじめ決めず、感受性を信じ、自由に生み出した曲を緻密に制作で形にしていったアルバムだ。現在進行形のミセスのフル・コースであり、ドーム・ライヴへの期待が否応なく高まる完成度とスケールの大きさが実在している。ハード・ロック・ギターが響き渡る「ANTENNA」もケルト音楽を彷彿させる楽隊調の「Magic」もどちらもドーム・アンセムのスケールを持っているのが今のミセス。宇多田ヒカルにも通じるようなR&Bの先鋭的な構造を持つ「Blizzard」、藤澤涼架(Key)がストリングスとホーンのアレンジに参加している「ケセラセラ」のオーケストレーションの楽しさ、メンバー3人の演奏がメッセージでもある「BFF」など、ブラッシュアップのひと言に止まらない自由な現在地が鮮烈。
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Mrs. GREEN APPLE
Soranji
"我らは尊い。"という言葉は非常に危うい側面も持つと思うが、それが生死の境目にいる人を生の側に繋ぎ止める言葉だとしたら、と想像する。目の前の人にも遠くにいる人にも伝わるか確信がないとき、魂を振り絞って"そらんじる"ことを、壮大なようでいて勘違いをさせない控えめな品性も伴ったアレンジで仕上げたことが、「Soranji」最大の留意点だったのではないだろうか。映画"ラーゲリより愛を込めて"のどんな場面で響くのか期待が募る。2曲目は"フェーズ2"のキックオフに作られたという、Adoに提供した「私は最強」のセルフ・カバー。自身を鼓舞するニュアンスも含まれたまさにアンセムだ。3曲目はミセスがプロデュースするフレグランスが持つ"香階"にあたる音階から誕生。ポップ且つ幻想的な新たな仕上がりだ。
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Mrs. GREEN APPLE
Unity
『Variety』から7年。同作と対になる部分も散見されるフェーズ2の1作目。サビへの飛翔やビート感にらしさを窺わせながら間奏で若井滉斗(Gt)、藤澤涼架(Key)共にブラッシュアップしたリフの応酬を聴かせる「ニュー・マイ・ノーマル」、ホーン・アレンジやカウンター・コーラスやギター・カッティングが鮮やかな「ダンスホール」、高速BPMでasmiとスリリングな掛け合いをする「ブルーアンビエンス」、アトモスフェリックなSEがモダンな印象を添えながら、幹になるバンド・サウンドは骨太な「君を知らない」、「インフェルノ」を洗練させたようなソリッドなマイナー・チューン「延々」、90年代的なピアノ・バラードに大森元貴(Vo/Gt)の本音が刻まれた「Part of me」。再開に相応しい6つの表明と言えそうだ。
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Mrs. GREEN APPLE
5
日本のミレニアルズ~Z世代の不安と理想を映し出しつつ半歩先を走ってきたミセス、結成からの7年を集約。初期の高速BPM且つ情報量の多い「StaRt」や「Speaking」。人間としての成長がおおらかなサウンド・プロダクションに着地した「どこかで日は昇る」、音楽のエンターテイメント性を積載した「Love me, Love you」。ミセスがミセスたる所以とも言える、人の摂理や矛盾にフォーカスする「パブリック」と「アウフヘーベン」という一対の曲。さらに、生身の音を聴かせる新曲「アボイドノート」。初作品収録で今回再録した「スターダム」が冒頭を飾り、ラストにまったくの新曲「Theater」を配置したことにも注目。バンドという概念を更新し続けてきた、"フェーズ1"を凝縮した初ベストだ。
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Mrs. GREEN APPLE
Attitude
オーケストレーションやエレクトロ、R&Bなどウィングを前作で広げ、そもそもミセスがどんな態度=Attitudeで音楽を奏でているかを証明するかのようなアルバム。ギター・ロック成分に驚いた「インフェルノ」やエクストリームな「Ke-Mo Sah-Bee」、より素直なギター・ロック「嘘じゃないよ」、ロマ風の弦のアレンジと日本語に聴こえないAメロがユニークな「Viking」、ヴォードヴィル的な華やかさの中にQUEENを想起させる大仰な転調が盛り込まれた「lovin'」。展開の多さでは「ロマンチシズム」も共通するニュアンスが。また、大森元貴の歌と藤澤涼架のピアノのみで展開する「Circle」のシンプル故の個性。そして、ありのままを定着させた理由は楽曲「Attitude」で確かめてほしい。
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Mrs. GREEN APPLE
ロマンチシズム
2019年第2弾シングルは資生堂"SEA BREEZE"のCMへの書き下ろし。が、CMで流れるパンキッシュなブロックの次にキモになる"愛を愛し"という威風堂々としたサビが登場する。そのあともめくるめく展開を見せるあたりが『ENSEMBLE』以降の曲構成といった印象。加えてラヴ・ソングにも取れるが、根っこには倫理観がしっかり根を張っているのは大森元貴(Vo/Gt)らしい。「How-to」はアグレッシヴなエレクトロとエッジの効いたギター・リフ、トリガー的なドラム・フレーズが拮抗する仕上がりが痛快だ。そして「月とアネモネ」は2014年にすでにあった曲を今回完成させたもの。キメの複雑なポスト・ロック的なパートや大森と山中綾華(Dr)のAOR的なデュエットも聴きどころだ。
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Mrs. GREEN APPLE
僕のこと
2019年第1弾リリースは、大森元貴(Vo/Gt)が"勝負やスポーツに対して曲を書いたことがない"なかで、彼ならではのスタンスで"第97回全国高校サッカー選手権大会"のために書き下ろしたナンバー。そのタイトルが"僕のこと"なのは、自分がどう生きているかを歌うことでしか、エールを送ることができないという意味なのではないだろうか。静かな歌い出しから、ストリングスやホーンも加わったスケールの大きなサウンドが立ち上がるアレンジは、顔を上げると仲間やライバルのいるスタジアムを想起させ、ラストは静かに閉じる。見事な構成だ。アッパーななかに切なさが溢れるミセス節と言えそうな「灯火」、サンプリング的な感覚を生で演奏し、ピアノが存在感を示す「Folktale」も新章を示唆している。
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Mrs. GREEN APPLE
青と夏
ミセスが3rdアルバム『ENSEMBLE』からわずか3ヶ月半でニュー・シングルをリリース。本作では、久々にバンド・サウンドに回帰している。映画"青夏 きみに恋した30日"の主題歌として書き下ろした表題曲は、疾走感溢れるアッパー・チューンで、同映画の挿入歌「点描の唄(feat.井上苑子)」は、しっとりとしたデュエット・ソング。3曲続けて聴くと「ア・プリオリ」だけが異色に感じられなくもないが、前2曲が体現する夏および青春特有の儚い煌きは、大森元貴(Vo/Gt)に"ア・プリオリ"な視点があるからこそ描くことができるものだ。尖った曲だけでなく、多くの人に対して開かれた曲の中でここまで彼らが裸になれたのは、今回が初めてではないだろうか。
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Mrs. GREEN APPLE
ENSEMBLE
音楽そのもので夢や希望や理想を表現すること、それがMrs. GREEN APPLEの指標だったと、そもそもの彼らの志向が実現したことに快哉を叫びたくなる。ミュージカルを思わせる「Love me, Love you」に始まり、1曲の中で楽器編成が変わり、ストリングスも含めすべての楽器が歌うような「PARTY」、ヒップホップやビートに新世代ジャズ的な面白さまである「REVERSE」、MONGOL800のキヨサク(Vo/Ba)を迎えた「はじまり feat. キヨサク from MONGOL800」など、多彩を超えて1曲ごとの強度が凄まじい。そこにこれまでのミセス節が残るシングル群やEDMナンバーも加わり、さながら音楽のアミューズメント・パークが出現。なんとも体験的だ。
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Mrs. GREEN APPLE
Love me, Love you
前作『WanteD! WanteD!』、そしてデジタル・シングル「WHOO WHOO WHOO」でバンドが表現するEDMの究極まで振り切ったミセス。2018年第1弾はまた異なるベクトルに振り切ってきた。まず表題曲の「Love me, Love you」はホーンが煌びやかで、ダイナミックに展開するミュージカルのようなビッグ・バンド・サウンドに驚く。だが、大森元貴(Vo/Gt)の脳内に広がる希望の世界を表現するために、このサウンドスケープや世界観は必然なのだろう。早くライヴで自由にリアクションしたい曲だ。2曲目の「Log (feat.坂口有望)」はドラマ"僕たちがやりました"のサントラも作曲している注目のキーボーディスト/プロデューサー Kan Sanoとシンガー・ソングライター 坂口有望が参加。また「春愁」も初音源化して収録。
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Mrs. GREEN APPLE
WanteD! WanteD!
メジャー・デビュー2年で早くも5枚目のシングルとなる本作。タイトル・チューンの「WanteD! WanteD!」はコミック原作のドラマ・テーマならではの荒唐無稽さもありつつ、"このままでいいのか?"という10代の焦燥感はドラマ"僕たちがやりました"と自然とリンクする内容。大げさに言えばポスト・トゥルースの時代を君はどうやってサバイヴするのか? という命題をエレクトロ・ファンクやモダンなR&BなどUSのトレンドとも符合するタイトなアレンジに昇華したのが新しい。「On My MiND」は随所にデビュー当時からの代表曲「StaRt」をアップデートしたような仕上がりで、過去と今の対比が最もわかるナンバー。加えて大森元貴(Vo/Gt)が中3のときに書き、ついに音源として完成した「光のうた」の明らかな"祈り"のような優しさにも驚かされる。
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Mrs. GREEN APPLE
どこかで日は昇る
ツアー真っ只中のミセスから早くも4作目のシングルが到着。2ndフル・アルバムから「鯨の唄」が新たなスタンダードとして脚光を浴びる今、今回のリード曲「どこかで日は昇る」もスロー・テンポでストリングスが効果的に施されたアレンジなど、"聴かせる"ミセスの真骨頂だが、名曲的なムードに収まり切れないサビでの違和感のある転調や、大森元貴(Vo/Gt)の振り切れるエモーションに彼らの個性を見る。売れない女漫才師が主役の映画"笑う招き猫"主題歌としてもしっくりくる仕上がりだ。打って変わってアッパーで踊れる「スマイロブドリーマ」は、生音とエレクトロニックのいずれもがソリッド且つポップで突き抜けた仕上がり。ビートのアプローチがユニークな「SwitCh」も含め、バンドがどんどんタフになっていく過程を体感できるシングル。
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Mrs. GREEN APPLE
Mrs. GREEN APPLE
これまでの10代の壊れやすくて柔らかい心を誰よりも理解し、並走してきたミセスのエモーショナルな部分はもちろん残しながら、より日本のロック・シーンのトレンドに拘泥することなく、純粋にポップ・ミュージックとしての完成度を圧倒的に上げてきた2ndアルバム。プログレッシヴな展開を持つ「絶世生物」での楽器隊の成長、ストリングス・アレンジも決して大仰に聞こえない歌と演奏のダイナミズムが堪能できる「鯨の唄」や「umbrella」、エレクトロ・サウンドでヴォーカルも全編オートチューンのダンサブルな「うブ」、どこか海外ドラマのワンシーンを思わせる「Just a Friend」など、アルバムの中でピーク・ポイントが何度も訪れる。シングル曲「サママ・フェスティバル!」、「In the Morning」も絶妙な流れで配置されている。
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Mrs. GREEN APPLE
In the Morning
シンセ・ポップの手法を勢いのあるアレンジで消化したサマー・チューン「サママ・フェスティバル!」の明るさから、硬派なメッセージを歌うバンドとしてのMrs. GREEN APPLEの第2章、そんな胸騒ぎがするのが今回の表題曲「In the Morning」だ。よりピアノ・ロック感が増した印象は、他の楽器の音数も曲に必要なものかどうかを吟味したからだろう。楽しいばかりじゃない、むしろちょっとしんどい朝の始まりに、無理矢理笑顔になることなく心を強く前向きに持てる、そんな1曲だ。Track.2の「ツキマシテハ」での思いを言い放つような強い調子の言葉や、ラストの大森元貴(Vo/Gt)の絶唱は表題曲とは対照的だが、対にして聴いてみてほしい。Track.3の「Oz」は寓話的な展開を様々な楽器の打ち込みで膨らませた音像もまさにマジカル。
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Mrs. GREEN APPLE
サママ・フェスティバル!
白飛びするような夏の光と解像度の高い情景が、"サママママ・フェスティバル!"という若干突拍子もない歌い出しとともに、すごいスピードで描き出されるミセス流の夏曲が登場。シンセ・ポップ寄りのアレンジだが、スピード感は加速した印象。加えて、シングルでは各々独立した濃い意味合いを持つ楽曲を収録するというスタンスから、ピアノや弦楽四重奏が効果的に配置された「umbrella」は、大森がいつかのライヴで話していた"音楽を作らずにはいられないが、作ることによって苦しみもする"という心情がうかがえる。もう1曲はライヴでも場面転換的な曲として人気の「ノニサクウタ」が音源化。ミセスの特徴のひとつである"音楽隊"としての魅力を表現した、オーガニックなアンサンブルが楽しめる。
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Mrs. GREEN APPLE
TWELVE
テクニカル且つ踊れるビートのTrack.1「愛情と矛先」や先行シングルのTrack.2「Speaking」で鮮やかに聴き手を受容。そしてライヴのラストなど重要な位置で演奏してきたTrack.3「パブリック」もついに音源化したことから、今のミセスの覚悟が窺える。また、スローなピアノ・バラードに明確に舵を切ったTrack.6「私」の新鮮さ、ミセス流のグランジとも言えるTrack.8「ミスカサズ」のヘヴィネスとソリッドさなど、美しさも黒い感情も振り切ったサウンド・プロダクションで表現。明るくスタートし、徐々に内面に潜り、終盤では未来を見据えるような前向きなニュアンスが訪れるという"体験型"のアルバム構成だ。テン年代ロックの未来を19歳の大森元貴という才能が描いたという意味でも記念碑的。
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Mrs. GREEN APPLE
Speaking
空気を読めるようになるとか、SNS上で尖った言葉にも傷つかないように殻を作ることは本当の強さだろうか。シンセや同期が鮮やかに弾けると同時にこれまで以上に重心の低い太いベース・ラインが心臓が脈打つような印象を残し、サビの"僕には話してよ"から繋がるラテン・テイストなコーラスも相まって、大森元貴(Vo/Gt)の"届け、気づけ"という祈りは音楽的にとてつもない情報量をまとったキャッチーさへ昇華されている。メジャー1stシングルとしてもミセスの声明としても最強だ。Track.2「恋と吟(うた)」は曲作りを始めたころの楽曲で、思いの吐き出し先が音楽にしかない苦しさと表現者の宿命すら感じさせる切実さも。Track.3「えほん」は絵本を通じて無償の愛に包まれたころの記憶と自分もそれを持ち得る微かな光が見える。
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Mrs. GREEN APPLE
Variety
遊園地もしくは高速チェンバー・ポップなTrack.1「StaRt」は些細なことでも幸せと気づけないんならスタートに戻ろうという、ミセスの所信表明。続く「リスキーゲーム」は最も古い曲ながら3度目のRECで最新型に。深い海の底に沈むようなイントロが孤独という本質と"Love Person"の存在を示唆する「L.P」。"鈍感vs繊細"という単純な図式に回収できない自分の命の濃さに翻弄されるような「VIP」、ボロボロになった気持ちにそっと毛布をかけてくれるような「ゼンマイ」、そして"こんな世界を未だ憎めないのは何故か"という歌詞の一節をリスナー自身で見つけるようにラストに用意されている「道徳と皿」の平熱のポジティヴィティ。避けては通れないリアルな心情を変幻自在なポップ・ソングに結晶させた新たな世代の1枚。
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Mrs. GREEN APPLE
Progressive
家族、恋人、友人、同僚、クラスメイト、その他数え切れないほどの人、人、人。不特定多数の人との繋がりの中で傷つき、転がり、そして救われていくことで自分がやっと見えてくる。感情を共有するから喜怒哀楽が生まれる。Mrs. GREEN APPLEは、初の全国流通盤となる今作でそういった大切なことを歌った。作詞/作曲/編曲すべてを手がける18歳のフロントマン大森元貴の鋭いアンテナでキャッチされた混沌とした不安や孤独、敏感な心で感じる大切な人への願いは、5人の眩しい衝動によってすべて音に刷り込まれている。「WaLL FloWeR」で歌われる"素晴らしいと思えるように醜いと思ってみよう"という言葉の通り、肯定する強さを持った彼らの音は燦々と眩しく光っている。
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Rei
QUILT
Reiが音楽仲間たちと織り成す、11色の魔法のカーペット=QUILTというキャッチフレーズ以上の驚きが詰まった、初のコラボ・アルバム。1曲目はRyohuのスピーディなラップはもちろん、トラップやファンクなど、めくるめくリズムの変化と強力なギター・ソロが幕開けにぴったりだ。藤原さくらや長岡亮介(ペトロールズ)とのコラボでは、オフビート気味のカントリー/グラス・ミュージック感が漂い、ミニマル・ファンクの雄であるギタリスト、Cory Wongとの2曲は最新のグルーヴ感、トリプル・ギターがチェイスするようなスリリングな展開も。また、こんなにかわいい(失礼!)細野晴臣の歌が聴けるのはこのコラボぐらいでは? と思わせる「ぎゅ」、ギタリスト同士の無言の対話が堪能できる渡辺香津美とのインストも豊穣の極み。
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Rei
HONEY
ひとりの女性の様々な側面を楽曲の個性で際立たせた新境地を示す2ndアルバム。泥臭くファットなスライド・ギターと四つ打ちの「B.U.」で始まり、アコギで有機的なループ感を生み出す「Categorizing Me」、SOIL&"PIMP"SESSIONSとの"DEATH JAZZ"「Lonely Dance Club」ではハードボイルドなギター・ソロで唸らせ、話す声色より繊細な「Stella」ではシンプルでパーソナルなムードを醸成。ギターの音の良さとナチュラルなハスキー・ヴォイスが印象的な「Today!」、音数を絞って軽やかな歌のフロウが楽しめる「matatakuma」など12曲。強気で前進できる日もあれば静かに過ごしたいときもある。ただ大切にしたい人や感情、ものは離さずにいたい。そんな確かな気持ちになれる作品集。
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Rei
SEVEN
ギターと歌があれば戦えるReiが音楽的なレンジを拡張したひとつの頂点が前作『REI』だとしたら、本作は基本的に彼女とリズム隊のみのミニマルな編成が逆にスリリングな瞬間をいくつも切り取っている。ブルージーでハードなギター・リフから始まる「Territory Blues」に改めて彼女のルーツを感じつつ、リード曲の「Connection」ではモダンな生音と打ち込みのビートやラップ・ヴァースが新鮮。また、思わず息を止めて聴き入ってしまうアコギのリフ~ソロの熱量とタップ・ダンサーのパーカッシヴな靴音のみで構成された「DANCE DANCE」、ギター・サウンドのニュアンスでイメージを際限なく広げるほぼインストの「Tourbillon」など、まさに七変化。プレイヤーとしてもプロデューサーとしても音楽の自由さを表現している。
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Rei
CRY
キュートな見た目のどこからその強烈無比なビートを生み出してるのか? と思うほど本格的な演奏力と表現力豊かな歌声を持つギタリスト/シンガー・ソングライター Reiの4作目は、"CD+MUSIC BOOK"としてリリース。Reiがすべてのデザイン/編集を行ったというMUSIC BOOKには歌詞、楽譜、使用機材の記録などのほか、新進気鋭のフォトグラファー 信岡麻美が撮り下ろした写真なども収録。新曲4曲が収録されるCDは渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)、後関好宏、類家心平らゲスト・ミュージシャンを迎えて制作。チップチューンっぽい音が入ったりと、今作ではギターを前面に出すことなく遊び心のあるカラフルなポップ・サウンドを創り上げている。穏やかなメロディながら心境が窺えるラストの「Don't Wanna Kill My Soul」にグッと心を掴まれた。
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Rei
UNO
若干22歳、本格派ブルース・ギターを武器に次々と大型フェスに出演し、注目を集める女性シンガー・ソングライター、Rei。筆者も初めてライヴを観た際に、アコースティック・ギターから奏でられるその出音のすごさに、終演後すぐに物販でCDを買ってしまったほどのインパクトを感じた記憶がある。セルフ・プロデュースによる2ndミニ・アルバムは、本物のブルース・ロックに根ざした音楽性を感じさせながらも、ファンク、ポスト・ロック的ポップ・ソング、セカンド・ラインに乗せたキュートなヴォーカルなど、オリジナリティ溢れる多彩な曲を聴かせている。もはや国籍も人種も年齢も性別も関係ない、真のオルタナティヴ・ミュージックがここにある。ライヴでの再現はもっとすごいはず。
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THE BACK HORN
最後に残るもの
結成25周年シングルの表題である「最後に残るもの」は菅波栄純(Gt)作詞作曲。バンドマンとしてもおそらくひとりの人間としても危ういときに"この手を掴んでくれたあなた"はファンやリスナーだったことを思わせる歌詞に、このバンドの真心が滲む。ごくシンプルな8ビートだが、Bメロのリズムの妙や楽器の抜き差しに実直なバンドが磨いてきた効果的なアレンジ力の高さが見て取れる。カップリングの「フェイクドラマ」は松田晋二(Dr)によるリアルが見えにくい時代だからこそ自分の体感や衝動を信じようという歌詞が山田将司(Vo)によるモダン・ヘヴィ・ロックにファンク要素も加わった曲構成で際立つ。2曲ともすべての楽器が見えそうな削ぎ落とされた生々しくも乾いた音像がこれまでの曲ともまた違うタフなエネルギーを発している。
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THE BACK HORN
REARRANGE THE BACK HORN
今年結成25周年を迎えたTHE BACK HORNのアニバーサリー作品は太文字のロック・バンドである彼らの魂はそのままに、ジャズやカントリー、R&Bなどにアプローチし、オリジナルをリアレンジしたもの。「冬のミルク」や「罠」、「美しい名前」など、ライヴで生き残ってきたナンバーもありつつ、インディーズ楽曲やシングルB面曲などレア選曲なのも面白い。「ガーデン」のラテン・ビートとアトモスフェリックな音像の不気味さ、「幻日」のアラビックなフレーズ、「羽根~夜空を越えて~」の淡々とした進行があぶり出す曲の純度や、音数が減ったことで歌詞の鋭さが際立つなど、このバンドのひと筋縄でいかない側面が目立っている。本作のタイミングで書き下ろした新曲「Days」での恐ろしくシンプルな歌詞が表現するファンへの感謝も深く沁みる。
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THE BACK HORN
アントロギア
コロナ禍でライヴ活動が止まってしまった際、そのかけがえのなさを描いた「瑠璃色のキャンバス」からスタートした本作。次第にツアーも開催するなかで生まれた「希望を鳴らせ」や「ユートピア」といった新たなアンセムに加え、山田将司(Vo)がラテン音楽からインスピレーションを得て、松田晋二(Dr)がそこに妖しさや生々しさを言葉として書いた「深海魚」、4ビートのジャズのみならず、8にも16にもリズム・チェンジするスモーキーな「戯言」、素直なメロディと力強いボトムを持った岡峰光舟(Ba)の「夢路」、エレクトロ・サウンドやSEの使い方と黙示録的な歌詞が菅波栄純(Gt)らしい「ウロボロス」、神聖なムードや声のレイヤーに新鮮さを感じるラストの「JOY」まで、50分弱でこれほどまでに多様な世界観を体験させるこのバンドの柔軟性にも感動する。
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THE BACK HORN
ユートピア
13thアルバム『アントロギア』からの第2弾先行配信曲「ユートピア」は、THE BACK HORNの新たな代表曲になりそうな試行が投入された1曲。ヘヴィなベースのイントロから楽器の音が生々しく、そして輪郭が明快だ。ダンス・ミュージック的なグルーヴ感やエレクトロニックなSEが新鮮な聴感を残す。ブランニューなアレンジに乗る歌詞も突き抜けた前向きさを醸し、過去の彼らの作品名――"ヘッドフォンチルドレン"なども登場する包括的な視点が逞しい。不器用に誠実に生きてきたバンドとファンが、今こそその蓄積をこの不安な時代をサヴァイヴする糧とし、ディストピアから脱出し、自分たちなりの理想=ユートピアへ辿り着くための、嘘偽りのないユニークなアンセム誕生と言っていいだろう。
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THE BACK HORN
希望を鳴らせ
いい意味で身も蓋もないほどストレートな8ビートが、すでにこの曲を知っていたかのような錯覚を覚えるが、取り戻せない日々や人々、未だ存在する絶望をしっかり背景として描いているからこそ、希望を鳴らせという鼓舞が真実味を持って響く。近い将来のライヴで絶対シンガロングしたいサビそのものが希望だ。c/wは摩訶不思議な菅波栄純(Gt)流ミクスチャーが顕在した「疾風怒濤」。ラテン、ジャズ、ヒップホップ、トラップ、レゲエにメタル......と要素は多彩だが、リスナーにとってのTHE BACK HORNをサンタクロースになぞらえるほど、強さとユーモアを持ち得たことも証明する。CD版に付帯する映像には、今年3月のライヴ"「KYO-MEIワンマンツアー」カルペ・ディエム~今を掴め~"を完全収録。この時期の記録としても貴重だ。
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THE BACK HORN
KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL 2020
新型コロナの影響でライヴ活動を自粛せざるを得なかった2020年。配信公演の8月の"スタジオ編"と9月の"ライブハウス編"をまとめた映像作品は、皮肉なことに、コロナ禍2年目を迎えてしまった今、不安も焦燥の種類も変化してきたなか、根本的に自分はどう生きたいのかというシンプルな命題に向き合わせてくれる。ふたつのライヴで被りは新曲「瑠璃色のキャンバス」とお馴染み「コバルトブルー」、「シンフォニア」の3曲。8ヶ月ぶりのライヴとなった"スタジオ編"は音を鳴らした瞬間、バンドに血液が巡るような衝撃が画面越しでも伝わるし、ライヴハウスが無人でも、山田将司(Vo)は冒頭から汗だくだ。隣り合わせの生と死を実感し、成長しつつ無垢の魂を曝け出す、TBHにしか伝えられない希望が作品の中で生きている。
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THE BACK HORN
この気持ちもいつか忘れる
5曲入りEPという形態ではあるが、THE BACK HORNにとっての"この気持ちもいつか忘れる"という物語が5曲で紡がれている印象も。そのスタンスがいい意味でバランスを取りすぎることなく、各楽曲でひとつのテーマや、それが導くイメージを音像やアレンジに落とし込んでいるのが面白い。すでにライヴでも定番になった「ハナレバナレ」の中間部での宇宙的な展開、ラウドでヘヴィ且つタイトな聴感が新しい「突風」、木琴の音色やポップス的なメロディが愛らしい「君を隠してあげよう」、世武裕子が歌うことで主人公の他者との関係を示唆する「輪郭 ~interlude~」、そしてバンドの素を思わせるオルタナティヴな「輪郭」。この楽曲では作詞に住野よるが参加。コラボの濃度を高めているように思える。
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THE BACK HORN
カルペ・ディエム
フル・アルバムとしては『運命開花』以来、約4年ぶりとなる本作。結成20周年の期間にインディーズ作品の再録や、ミニ・アルバム『情景泥棒』の制作、ツアーをハードに巡ってきた経験が昇華された、完成度と濃さを持つ作品だ。「心臓が止まるまでは」のSF的なサウンドトラック感やEDMの消化、和のメロディと壮大さが彼ららしいリード曲「太陽の花」、20年経過したうえでのミクスチャー感が冴える「フューチャー・ワールド」、青春の瑞々しさと切なさが溢れる「ソーダ水の泡沫」、物語性と空気感においてTHE BACK HORNの唯一無二の側面を際立たせる「ペトリコール」、一歩踏み出す穏やかな勇気をくれる終盤の「果てなき冒険者」など、メンバー個別のデモから発展させただけあっていずれも純度の高い全11曲。
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THE BACK HORN
ALL INDIES THE BACK HORN
すでにベスト・アルバムのリリースを機に再録されている「冬のミルク」や「無限の荒野」などはその音源だが、今回ついにインディーズ時代の2枚のアルバム『何処へ行く』、『甦る陽』、そしてシングル『風船』収録の全21曲が今の演奏とサウンドで蘇った。善良な人間と見せ掛けた内なる闇や獣性にシニカルな目線で切り込んでいく表現は、若さゆえの激烈さを孕んでいる。様々な試練も音楽をやる楽しさも経験してきた今のTHE BACK HORNの出自を改めて知るうえでも、またライヴで演奏され続けている曲が多いことからも、再度向き合いたい曲ばかりだ。近年のストリングスとのライヴで物語性が際立った「カラス」や、洋楽と並走していた日本のオルタナティヴ・ロックの貪欲さを思い起こさせる「新世界」など、全曲が濃厚。
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THE BACK HORN
情景泥棒
前作『運命開花』もTHE BACK HORNならではの音楽言語で人間の深淵に手を突っ込み核心を引きずり出されるアルバムだったが、今回はミニ・アルバム、トータル7曲なだけに集中した濃厚な世界観に圧倒される。ヘヴィ/ラウドロック的な聴感でありつつ定石から逸脱した「Running Away」。ストレートなTHE BACK HORN節のようでアレンジの細部がこれまで以上に詰められた「儚き獣たち」や「閃光」。痛烈に今を皮肉る歌詞とラガマフィン調がユニークな「がんじがらめ」。記憶や情景という人間らしい感性が取引されているようなSF的なストーリーが「情景泥棒」と「情景泥棒~時空オデッセイ~」の2曲で展開するくだりは本作の核心。悪夢からの帰還とも取れるラストの「光の螺旋」まで一気に聴きたい。
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THE BACK HORN
BEST THE BACK HORN Ⅱ
DISC-1は『覚醒』以降の13のシングル曲とアルバム・リード曲、そして新曲「グローリア」を収録。自分を見つめることで世界は対立項ではないことを音楽的にも実感させる名曲「世界中に花束を」、ファンクやラップへのTBHならではのアプローチがユニークな「コワレモノ」、今の力量で原点を見つめた「悪人」や「その先へ」に至るまでのいい緊張感。そして、そうしたバンドの生き方を踏まえたうえで聴こえてくる「WithYou」や「あなたが待ってる」の優しい説得力は破格。ある種素朴な新曲「グローリア」も新鮮だ。DISC-2は2008年以前の曲からファン投票で選ばれた上位14曲に加え、インディーズ時代からの定番曲「無限の荒野」、ストリングス・アレンジの「泣いている人」の新録も。「扉」、「枝」など隠れた名曲の多さにも驚く。
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THE BACK HORN
孤独を繋いで
思わず拳が上がる曲とはこういう曲をいうのではないだろうか。表題曲は、久々のTHE BACK HORN節100パーセントの骨太なアッパー8ビート・チューン。山田将司(Vo)自身が孤独の中で光を見いだしたロック・スターや、音楽に今のバンドとオーディエンスの姿を重ね合わせるように"今夜だけは俺たちのもの/行こう行こう 途切れぬように"と歌うヴァースは力強くも優しい。Track.2「導火線」は菅波栄純(Gt)らしいおどろおどろしいイントロからAメロでは一転、ファンキーなカッティングと四つ打ちに驚きを隠せない、ライヴでぜひ聴きたい弾けた1曲。松田晋二(Dr)作詞、山田作曲のTrack.3「夏の残像」は、岡峰光舟(Ba)のメロディアスなベースが導く、匂い立つような夏の別れの情景を描き出すマイナー・スロー・チューン。彼ららしい優しさが染みる。
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THE BACK HORN
あなたが待ってる
前作「With You」に続くミディアム・バラードでありつつ、音像はグッと柔らかな今回の「あなたが待ってる」。少しのタメが効いたピアノが物語の道筋を描くように流れながら曲を牽引し、各楽器も必要最低限のフレージングとクリーンなトーンが美しい。どこか初期のNorah Jonesを思わせるジャジーなムードもある。そこに力まず、素直に歌う山田将司(Vo)の"あなたが待ってると思うだけで/もうそれだけであったかい"というフレーズが、聴く人の数だけ様々なイメージを喚起する。共同プロデュースとして参加した宇多田ヒカルの控えめなコーラスも一瞬、個性を光らせるところが強く胸を打つ。カップリングの「始まりの歌」は一転、一筆書き的な勢いのあるバンド・アレンジ。バンドの表現方法として、さらなる可能性が確認できるシングルだ。
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THE BACK HORN
With You
THE BACK HORNの美しいスロー/ミディアム・ナンバーはこれまでもジャンルを超越したところで聴き手を闇から救ってくれた。だが今回はもはや対象をファンに特定することすら無意味なほどの普遍性を湛えている。ピアノやストリングスの音に一切の虚飾がないこと、そして何より山田将司の素朴で素直な声の特性が、大切な人への感謝や覚悟、そして不変の愛を伝える心情を高い純度で届ける。何度も聴くほどに内側からあたたかさが満ちてくると同時に何とも切ない。「言葉にできなくて」のティーンエイジャーの悩める恋心と軽快なスカのリズムも意外ではあるが、これもバンドの軸にあるものだろう。さらに「世界中に花束を」のストリングスを交えて2015年に渋谷公会堂にて行われたライヴの音源も収録。
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THE BACK HORN
運命開花
人間の矛盾や邪悪な部分にあえて手を突っ込んで引きずり出す初期のニュアンスを"投げっぱなし"じゃなく聴かせる。そのことにバンド自身が自覚的且つ客観性を持った強いアルバムが完成した。ジャジーなスウィング感を持ったTrack.1「暗闇でダンスを」の意表を突く幕開け、素のギター・ロック感が彼らには珍しいTrack.4「tonight」、メタリック且つサタニックなギター・ソロが禍々しいTrack.7「胡散」などから、1曲の中で大きく展開するTrack.9「悪人」への流れが非常に早い。山田将司のイノセントなヴォーカルが秘めた狂気を感じさせるTrack.11「君を守る」、そしてアルバムの冒頭とは打って変わって、愚直なまでにファストなビートが爆走する機関車のようなラストの「カナリア」。曲の持つ素性が1回聴いただけで刻まれるアレンジ力の高さにも圧倒される。
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THE BACK HORN
悪人/その先へ
THE BACK HORNが00年代半ばから彼らを追いかけ続けてきたリスナーに与えた影響とは、すなわち"世代感"だった。世代感とは、大義名分を掲げることではなく、むしろ、"何も言い切ることができない"という揺らぎと真摯に向き合うことでしか描けない。THE BACK HORNは、正義と悪――その両極の狭間にある不安定な人間の感情と常に真摯に向き合い続けてきた。「ジョーカー」や「ヘッドフォンチルドレン」といった大名曲を改めて聴けばわかるだろう。そこには揺らぎ続ける僕らの生があった。23枚目となる本シングルにおいて彼らは、そんな自らの表現の本質に再び目を向けている。収録された3曲が、その通底するメッセージにおいて緩やかに繋がっている。それは、人間誰もが内包する普遍的な魂の在り処としての"悪意"と、"愛"である。
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V.A.
Yes,We Love butchers〜Tribute to bloodthirsty butchers〜"The Last Match"
吉村秀樹が亡くなってから1年と1日目にリリースされるトリビュート盤第4弾。あがた森魚(ブッチャーズの射守矢や小松も参加)、the 原爆オナニーズらベテラン、ASIAN KUNG-FU GENERATIONやTHE BACK HORNといったシーンの中核を担う存在、+/−ら海外の盟友、それでも世界が続くならといった若手まで顔を揃えた今回は、シリーズの中でも最も吉村の影響の広範さを証明。ギター・サウンドとフィードバックだけで胸に熱いものがこみ上げるAKGやenvy、合成ボイスや読経のようなリズム感で再構築したASA-CHANG&巡礼や、ピアノをフィーチャーし、生死の狭間を行くようなサイケデリックな祈りの歌へ昇華したGREAT3など、バンド/アーティストがリスペクトの姿勢を究極まで研ぎ澄ましている。
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THE BACK HORN
アサイラム
前アルバム『パルス』から約2年振りにリリースされた待望の8thフル・アルバムの今作は彼らの集大成と言っても過言ではない。山田将司が歌う全ての言葉がどこまでも真っ直ぐ聴く者の意識を貫き、ひとつひとつが限界以上の熱量を放つ強靭な音は"鋭さ" と"柔らかさ"、両極端の色を同時に打ち出す。人間業とは思えないほどの圧倒的な神聖さを感じさせる要因は、確固たる信念を持った4人の心がこれまで以上に強く深くひとつになっているからに他ならないだろう。11 年の歴史でとうとうアサイラム="聖域" を開拓したTHE BACK HORN。アルバムの最後に収録されている「パレード」で高らかに掲げられた"ここから新しい旅を始めよう" という言葉の示す、この先の彼らが創造する世界は如何に――?
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THE BACK HORN
戦う君よ
2月に歌詞集とPV集を発表したばかりのTHE BACK HORNから新曲が届けられた。歌詞集にも限定CDとして収録されていた「コウロギのバイオリン」という新曲が届けられたばかりだが、集大成的な長尺ナンバーだった「コウロギのバイオリン」とは違い今作は即効性の高い攻撃的なロック・ナンバーだ。今年2月から行われている豪華な対バン・ツアー"KYO-MEI大会" では早くも定番になりつつあるという。バンド自体700日振りのニュー・シングルとなる今作からは新たなスタートを切る気合いと決意が感じられる。メンバー4人それぞれが歌詞を担当するという試みも各々の世界観が伝わってきて興味深い。初回限定盤にはライヴ音源も収録されている。
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THE BACK HORN
生と死と詞
THE BACK HORNの歌詞はとても素朴ながらも、体の芯を掴まれる様な感触がある。誰もが感じているけど言えなかった事をストレートに投げかけられる様な誠実さがそこにはある様な気がするのだ。キャリア初となる歌詞集をリリースするTHE BACK HORN。インディーズの頃から今日までの楽曲125曲をメンバー監修のもとに作られたこの歌詞集には新曲「コウロギのバイオリン」が収録されている。バンド史上最長の8分を超えるこの楽曲は、絶望的な気持ちを表現する序盤から徐々に光が射す後半へと1つのストーリーになっていて、まさに彼らの今の集大成と言えるような内容になっている。喉を震わせて「はぐれた心を取り戻しに行く」と歌われる後半はとても感動的で、今後の彼らの決意が見えるようだ。
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kalmia
twilight
ライヴをコンスタントに行いつつ、リリースのペースも加速中のkalmia。今年2作目のミニ・アルバムには、自らの王道をアップデートした曲や再録曲を収録しつつ、夏が舞台の青春恋愛ソングや、ウエディング・ソングにも挑戦。千葉一稀(Vo/Gt)のソングライティングの幅は格段に広がった。サウンド面では前作に引き続きシーケンスを導入。総じてポップな方向に舵を切ったように思えるが、バンドのサウンドはむしろよりロックになっている。泣きのギター、力強いベース、キレの良いドラムによるアンサンブルからは、ライヴ・バンドならではの熱量と"4人で鳴らせばkalmiaになる"という自信が感じられた。バンドの音に宿る物語とあなたの人生の物語を重ねながら聴いてほしい。
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kalmia
エンドロール
東京を中心に活動する4ピース・ギター・ロック・バンド kalmiaの、初となる全国流通盤EP。センチメンタルなギター・サウンドと千葉一稀のどこか気だるげで透明感のあるハイトーン・ヴォイスが冒頭から深い印象を残す「Ending」をはじめ、彼らの音楽への真摯な姿勢と見聞の深さを存分に感じられる多彩な4曲が収録。聴きどころは多々あれど、全曲に共通しているのは今まさに思春期を生きる若者たちと、かつて若者だった人たちそれぞれの心に寄り添う歌詞だ。焦燥感や諦念など、大人になったらなかったことにしたくなってしまう青い感情を、優しく洗練されたサウンドで浮き上がらせ、そして抱きしめるkalmiaの懐の深さと伸びしろを同時に感じられる、まさに"名刺代わり"の1枚。
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ヒトリエ
Friend Chord
並大抵ではないキャリアを歩んできたバンドのメジャー・デビュー10周年記念アルバムだが、そもそもの発端であるwowaka(Vo/Gt)という稀代の表現者の痕跡は、2024年リリースの「NOTOK」をシノダVoバージョンで収録するという方法である種決着。3人体制になった後のライヴ経験や、シノダのオルタナティヴ・ロック志向が明快になった先行シングル「ジャガーノート」を起点に、すでにライヴで披露されている「耽美歌」、イガラシ(Ba)作曲の「Quadrilat e r a l Va s e」、ハチロクの大きなグルーヴとオルタナの手触りを持つ「おやすみなさい」等に新たな傾向は顕著だ。そんななか、ゆーまお(Dr)作の打ち込みによるハウス調の「Shadowpray」がいいフックになっている。
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ヒトリエ
NOTOK
9月の日比谷公園大音楽堂でサプライズ披露された、wowaka(Vo/Gt)作の曲で世に出ていなかった「NOTOK」。生前に遺されていたヴォーカルと演奏のデータをもとに3人が構築し、wowakaヴォーカルの新曲として完成した。"正解不正解なんて/あたしの中にしかないわ"と歌うこの曲を限られたパーツから、自身も、リスナーも、そしてwowakaも納得のいくものに仕上げる難しさは計り知れない。だが、その意義をリスナーの存在を通して実感しているからこそ、もはや使命感のようなものを持って届けてくれたのだろうし、間違いなく心を揺さぶる曲になったと思う。全曲wowakaが手掛けたナンバーでメジャー・デビュー10周年に刻む、バンドの初心と今の実力が交錯する作品。
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ヒトリエ
オン・ザ・フロントライン / センスレス・ワンダー[ReREC]
デビュー10周年記念の両A面シングル。「オン・ザ・フロントライン」は、ストレートなロックやポップなキラーチューンを生んできたゆーまお(Dr)作のナンバーでは珍しくクールな始まりだが、聴き進めて納得。切なさと美しさを包括するこの"破壊力"は彼ならではのものだ。アニメ"無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~"のOPテーマだが、"喪失"を経験した者の気持ちを描いた詞はあまりにもバンドと重なり、シノダ(Vo/Gt)の手腕が光る。もう一方のタイトル・トラックは、メジャー・デビュー曲「センスレス・ワンダー」の3人編成での再録版。さらにイガラシ(Ba)作の「Selfy charm」とシノダが書いた「さくらのいつか」と、4人が生み出した楽曲が1枚に収められたところにも、ヒトリエがランドマーク的作品に込めた想いを感じてしまう。
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ヒトリエ
PHARMACY
3ピースになって以降も勢いはとどまることなく、ライヴを重ね「3分29秒」("86―エイティシックス―"OP)や「風、花」("ダンス・ダンス・ダンスール"ED)とタイアップも次々に獲得してきたヒトリエ。現体制2枚目のオリジナル・アルバムは、そんな彼らが過ごしてきた時間の濃厚ぶりを示す作品に。世の中の不満や摂理を怪奇的且つ癖になる音に乗せたシノダ(Vo/Gt)作の「ゲノゲノゲ」、ゆーまお(Dr)作でライヴ・アンセムとなりつつある「ステレオジュブナイル」、イガラシ(Ba)作の幻想的で儚くも美しい「Quit.」など、今回も各メンバーが作曲し臆すことなくその個性を表した楽曲群は前作以上にカラフル。その多彩な表情に合わせるシノダの声色の表現もさらに豊かになり、曲の魅力を最大限引き出している。
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ヒトリエ
Amplified Tour 2021 at OSAKA
wowakaの意志を継ぎ、シノダがヴォーカルをとり、イガラシ(Ba)、ゆーまお(Dr)の3人体制となったヒトリエ。2021年に新体制初のアルバム『REAMP』を発表し、全国ツアー"Amplified Tour 2021"を敢行した。今作は大阪BIGCATの2デイズ公演から2日目をフル収録+1日目のみ披露した曲を加えたヒトリエ初のライヴ・アルバム。2020年はベスト盤のリリース・ツアーを予定しながらもコロナ禍で中止になった経緯があるが、そのぶんを制作にあてヒトリエ・サウンドをリビルドした。ヒトリエの歴史と地続きであり、未知の領域にも踏み込んでいった『REAMP』の、ヒリヒリとした爆音、グルーヴとこれまでの曲が怒濤の勢いで混じり、加速するライヴ。その熱がパッケージされた。
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ヒトリエ
3分29秒
3人体制で初となったアルバム『REAMP』から、わずか4ヶ月というスパンでリリースされるニュー・シングル。TVアニメ"86―エイティシックス―"のオープニング・テーマとして書き下ろされた表題曲「3分29秒」は、サビに圧倒的な強度を誇るエッジの効いた1曲。スピード、キャッチーさ、ひと筋縄ではいかない情報量。いずれも過去のヒトリエの文脈を正しく継承する緊張感のあるロック・ナンバーだ。一方、「Milk Tablet」は、ヴェイパーウェイヴ的なアプローチのなかでバンドの肉体感を重視した実験的なダンス・ナンバー。いずれも作詞作曲は新体制以降メイン・コンポーザーを務めるシノダ(Vo/Gt)が手掛けた。これまでバンドが築いてきたものと新たに開拓するもの。その両方を妥協なく突き詰めた1枚。
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ヒトリエ
REAMP
2019年4月にwowaka(Vo/Gt)が急逝し、シノダ(Vo/Gt)が新たにヴォーカルを務める3人体制で始動したヒトリエ、約2年ぶりの新アルバム。メンバーを失った悲しみが色濃い「うつつ」や「bouquet」、再び歩みを進める葛藤を吐露した「curved edge」、新たな決意を感じさせる「イメージ」など、大きな喪失を経験したバンドの心情が生々しく投影されている。シノダを中心にイガラシ(Ba)、ゆーまお(Dr)もそれぞれ作曲を手掛けたことで、ソングライターごとの個性がバンドの新たな魅力として開花した。中でも、ゆーまおが作曲を手掛けた陽性のポップ・ソング「YUBIKIRI」に刻まれた、ストレートな言葉は胸を打つ。もう何も失うわけにはいかない。そうリスナーと約束を交わす指切りげんまんだ。
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ヒトリエ
4
ヒトリエが"4人だから"とシノダ(Gt/Cho)が名付けたバンド初のベスト・アルバム『4』。メンバー自身が選曲した26曲に、wowaka(Vo/Gt)のボカロ代表曲「ローリンガール」のライヴ音源を加えた、全27曲がリマスタリングされ、2CDで収録される。まず、今彼らがこのベスト・アルバムを出すこと自体に、並々ならぬ思いを感じ取ることができる。wowakaが作り上げた音楽、ヒトリエの"4人"が築き上げたものをいつまでも守り続けていこうという意志、もっと多くの人に届いてほしいという望み、それらがタイトル、収録曲含め随所に表れているように思えた。改めて聴いてもヒトリエのバンド・アンサンブルは絶対的だし、唯一無二だ。7年間のバンドの軌跡を、どうかこのベスト盤で辿ってみてほしい。
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ヒトリエ
HOWLS
デビュー5周年のヒトリエが確実に新たなフェーズに進んでいることを告げる、通算4枚目のフル・アルバム。孤独の中でわずかな光を探り当てる「ポラリス」から高らかに幕開けを告げる全10曲には、かつてないほど自由で幅広い楽曲が並んだ。中でも駆け抜ける8ビートに暴走ギターが炸裂した「コヨーテエンゴースト」の開放感は圧巻。海外の音楽シーンのトレンドを取り入れて、wowaka(Vo/Gt)がひとりで完成させたポップ・ソング「SLEEPWALK」、ヒトリエ流グランジ・ナンバー「LACK」、シノダ作曲の「Idol Junkfeed」やバンド初となる失恋のバラード「青」まで、あらゆる方向に大胆に舵を切りながら、今4人が演奏する音はすべてヒトリエになるという絶対的な自信に満ちている。
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ヒトリエ
ポラリス
初の海外ライヴを経て、ヒトリエが『ai/SOlate』から1年ぶりにリリースするニュー・シングル。TVアニメ"BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS"EDテーマとして書き下ろされた表題曲「ポラリス」は、シンプルに研ぎ澄まされたビートに乗せて、"誰も居ない道を行け"と力強く歌い上げるバンドの新境地となるナンバー。さらにカップリングには、打ち込みから生楽器へと移りゆく音像が内省的な世界観を描き出す「RIVER FOG, CHOCOLATE BUTTERFLY」、wowaka名義でリリースされていたVOCALOID曲を初めてバンドでアレンジした「日常と地球の額縁」を収録。新たなチャレンジを詰め込んだ今作は、2019年以降のヒトリエを占う意味で重要な意味を持ちそうだ。
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ヒトリエ
ai/SOlate
珠玉はwowakaが初音ミクの10周年コンピレーションのために書き下ろしたボカロ曲「アンノウン・マザーグース」のセルフ・カバー。これまでのヒトリエのセオリーの真逆を突く斬新なリズム・アプローチや削ぎ落したサウンドが、圧倒的な昂揚感を生み出していく。クラブ・ミュージック的なアプローチを人力で再構築することでダンサブルに踊らせる「Loveless」など、いままでに出会ったことのないヒトリエでありながら、ヒトリエ以外の何者でもないという楽曲たちが完成したのは、これまで積み重ねてきた5年間があるからこそと言えるだろう。エンジニアにはUKメトロポリスの世界的エンジニア Stuart Hawkesを迎え、音質にまでこだわり抜いた今作に宿る"闘い"の意志にも注目したい。
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ヒトリエ
IKI
はたしてヒトリエがメジャー・デビュー作『センスレス・ワンダー』をリリースしたときに、わずか5年で今回のニュー・アルバム『IKI』の領域まで達することが想像できただろうか。リード曲「リトルクライベイビー」に象徴されるように、収録された楽曲の隅々から感じられる人間の息吹。その解放的なムードは、これまでのヒトリエらしい緻密なサウンドメイクで駆け抜ける「心呼吸」にも、新境地となるエモーショナルなミディアム・ナンバー「さいはて」にも一貫して感じる今作のテーマだ。人間がオギャーと産まれた瞬間から一度もやめることのなかった"息、呼吸"というものと音楽とが、とても近い距離で共鳴する今作は、間違いなくヒトリエがバンドとして新たなフェーズに突入したことを表している。
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ヒトリエ
DEEPER
初作品『ルームシック・ガールズエスケープ』に迸っていた初期衝動、そしてwowakaが動画サイトにアップしていた楽曲が放つ発明性。2ndフル・アルバムとなる今作は、そのふたつの要素を孕みながら、プレイヤーひとりひとりの表現力とwowakaの詞世界を最新形にアップデートした、過去と現在を繋ぐ進化の作品だ。歌詞にはwowakaの心情がそのまま言葉へトレースされており、様々な人物が曲中に登場するTrack.1はヒトリエの音楽に我々リスナーの居場所があることを印象づける。前作『モノクロノ・エントランス』はギターの成長が目覚ましかったが今作の鍵となるのはリズム隊。肉感のあるナチュラルな音とリズムが心地よい。ヒトリエは真の意味で"踊る"を体現できるバンドになったのでは。"DEEPER"の名に偽りなし。
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ヒトリエ
シャッタードール
ヒトリエの音楽は発明だ。その理知的で感情的な音像の動向は予測不可能。新作のたびに未知のものを手にするような、びっくり箱を開けるような高揚がある。そんなひねくれていて気まぐれで人懐っこい音楽に、今回遊び心が宿った。2曲のインストを含む全3曲がノンストップで収録。表題曲にはアイデンティティにおける葛藤が描かれ、マイナーのメロディとファルセットは感傷的に響く。だがその奥に潜むのは冷静さや余白――ネガもポジも受け入れる余裕があるのだ。その奔放な躍動感は糸から解放されたマリオネットのダンスのよう。4人のこの勢い、しばらく止まらなさそうだ。同作にはwowaka(Vo/Gt)撮影の写真を収めた全252ページのフォトブックが付属。摩訶不思議な異次元世界を視覚でも楽しめる。
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ヒトリエ
モノクロノ・エントランス
ヒトリエというバンドはずっと蠢いていた。それは一種の混乱や様々な事象に対しての抵抗だったのかもしれない。それゆえに4人それぞれが常にものすごいエネルギーを縦横無尽に乱発していて、その姿形が勇敢で美しくもあった。だがここに来てバンドに転機が訪れている。疾風を巻き起こすが如く、恐れることなく4人の色がしっかりと存在した1本の長く太い光を作り出しているのだ。Track.1の力強い8ビートの中で"夢、見れば何処まででも行けるよ"と歌うwowakaの声の透明感に、心に宿る不安などが浄化される感覚になる。彼らはこれまで積み上げてきた過去すべてを抱え、未来を胸に、我々リスナーの手を取った。自信と誇りに満ちた音像。ヒトリエは今、間違いなく新しい世界への入口に足を掛けている。
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ヒトリエ
WONDER and WONDER
着地しているのにもかかわらず未完成、という不思議な作品だ。でもヒトリエはいつもそういうバンドではないか。今までのような巧妙で鋭利、荒々しい音像や少女を打ち出した歌詞世界とは少々趣の違う、やわらかさやポップさ、哀愁のあるアプローチだが、このバンドにこういう側面があることは過去作やライヴからもわかっていた。だから聴いて妙に腑に落ちた感覚と新鮮さの両方がある......というなんとも"WONDER and WONDER"を体現する作品である。その背景にはwowakaのこれまでの制作における方法論が通用しなくなったという危機的状況が影響しており、それをなんとか乗り越えようとこの作品を完成させたことでバンドはさらに結束を増した。この素直な喜怒哀楽が、彼らの音楽の核だ。
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ヒトリエ
イマジナリー・モノフィクション
感情とは本来、非常に生々しいものだ。その存在そのものが現実的という見方もできるだろう。だが、そんな感情と理想が融合したときに生まれる"非日常"が、どれだけの威力を持つものになるか――ヒトリエは真っ向からそこと戦っている。wowakaの描く"女の子"にまつわる"想像上の物語"と、それぞれ一筋縄ではいかない扇情的な音色の交錯。どちらもが互いを肯定することで生まれる、まさしくヒトリエというものが生む空気そのもののような作品だ。アグレッシヴな攻撃性やひりついたグルーヴと、艶のある繊細なメロディと憂いを帯びた日本語詞。それは一見相反するようなものだが、全てに美徳と甚深が存在する。バンドという場所で生まれる音楽の可能性を、貪欲に求める4人の奏でる物語は、あなたをまだ見ぬ非日常へと誘うだろう。
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ヒトリエ
センスレス・ワンダー
VOCALOIDクリエイターとしてインターネットを中心に厚い支持を集めるwowakaが中心となり結成されたロック・バンド、ヒトリエが自主レーベル"非日常レコーズ"を立ち上げメジャー・デビュー。2月にリリースされるミニ・アルバム『イマジナリー・モノフィクション』と同時進行で制作されたシングルは、wowakaの深層心理にある考え方である"自問自答"がテーマとなった。プレイヤーそれぞれの人間性が如実に表れた荒々しいサウンドが生み出す緊迫感、wowakaが歌詞で描く少女観、繊細なメロディ、全てが強靭な気迫で飛び込んでくる。ヒトリエらしさをキャッチーに落とし込んだ表題曲、切なさとふくよかさを帯びたTrack.2、言葉遣いのギミックも痛快なTrack.3、メジャー・シーンへの第一投に相応しいオープンな3曲を味わえる。
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ヨルシカ
創作
『エルマ』以降、日記帳や小説付きの大作が続いたヨルシカだが、2021年第1弾リリースとなる『創作』は初となる5曲入りEP。全体を通してアコースティックな手触りを大切にした温かなアプローチが印象的だ。季節の移ろいを風流に描いた「春泥棒」、鳥がさえずるインスト曲「創作」からつなぎ、打ち込みと牧歌的なサウンドが溶け合うミディアム・テンポ「風を食む」、カントリー調のアプローチも取り入れ、幻想的な夜を描いた「嘘月」など、新境地と言える楽曲が並ぶ。ヨルシカと言えば、夏の曲が多いイメージも強いが、今作は春の曲ばかり。それも春の終わり際の儚さに主眼を置いた。これはいいことも悪いことにも、必ず終わりが訪れるという、ひとつの暗喩だろうか。彼らの音楽はいつも深読みをしてしまう。
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ヨルシカ
だから僕は音楽を辞めた
これまで緻密に作り込んだ2枚のミニ・アルバムで、リスナーを"ここではないどこかの物語"へと誘ってきたヨルシカが、"音楽を辞めた青年"を主人公にした初のフル・アルバム『だから僕は音楽を辞めた』を完成させた。できれば、今作は初回生産限定盤を手に取ってほしい。音楽を辞めることを決意した青年が"エルマ"に宛てた全14曲の楽曲に加えて、オスカー・ワイルド、ヘンリー・ダーガー、松尾芭蕉ら、偉大な芸術家たちの言葉を引き合いに出して綴られる"手紙"が今作への理解を深めてくれる。"音楽を辞めた"というセンセーショナルなモチーフをテーマにすることで、コンポーザー n-bunaが抱く思想や哲学を徹底的に炙り出し、ひいては"音楽をやる理由"が浮き彫りになる構造が秀逸。
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ヨルシカ
負け犬にアンコールはいらない
ヨルシカの新しいミニ・アルバムのタイトルが"負け犬にアンコールはいらない"だと知って驚いた。めちゃくちゃエモいじゃないか。前作ミニ・アルバム『夏草が邪魔をする』では、ソングライティングを手掛けるn-buna(ナブナ)が自身の死生観を色濃く反映させた切ない夏物語を描いたが、あれから約1年を経てリリースされる今作は、同じ夏の匂いを継承しながらも、"どこかの誰かの物語"とは一蹴できないリアルが滲む。"もう一生、後悔したくない僕らは吠えたい"と歌う表題曲「負け犬にアンコールはいらない」を始め、荒々しい曲調も多い。輪廻転生をテーマに、ピアノによる美しいインスト曲を挟みながら現実と非現実の間を彷徨うようなアルバムは、最後に不思議な余韻を残してくれた。
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ヨルシカ
夏草が邪魔をする
ニコニコ動画で200万回再生を記録する人気曲を生み出してきたボカロPのn-buna(ナブナ)が女性ヴォーカル suis(スイ)を迎えて結成したバンド"ヨルシカ"の1stミニ・アルバム。ピアノの繊細なフレーズが紡ぐインスト曲「夏陰、ピアノを弾く」から幕を開けると、ギターを中心にした表情豊かなバンド・サウンドのなかで描かれるのは、夏の気配を漂わせた切ない恋の物語だった。それはハッピーなラヴ・ソングではなく、すべてが死別を思わせる悲恋の楽曲。カトレアの花、青い空、夕立ち、花火、入道雲という夏を連想させるワードが散りばめられた曲たちは全7曲がそれぞれに独立しながらも一篇の小説としてリンクしているようにも聴こえた。テーマは悲しいが、作品をカラリと爽やかに仕上げたのはsuisの透明感のある歌声の存在が大きい。
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阿部真央
Acoustic -Self Cover Album-
阿部真央が新たに設立したプライベート・レーベル"KAGAYAKI RECORDS"の第1弾作品はセルフカバー・アルバム。全曲アコースティックとなる本作だが、音数は減っても聴き応えは十分。むしろ歌の持つパワーが原曲以上にダイレクトに響き心を揺さぶる。質のいい食材は素材本来の旨味だけで十分などとよく言うが、磨き上げられた歌声も同様、余計な調味料(アレンジ)は不要ということだろう。最小限のアレンジで引き立てられた圧巻の歌唱は鳥肌ものだ。世代を超え愛される名曲たちに加え、新曲「I've Got the Power」のアコースティック・バージョンも収録。デビューから約15年、その経験の中で得た強さをもって歌い上げる決意表明だ。これまで築いてきた自信とこれからへの覚悟を胸に、本作で新たな1歩を踏み出す。
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阿部真央
Not Unusual
ピアノでの曲作りなど、これまでの阿部真央らしさから自分を解放した今の彼女が詰まった10作目のアルバム。先行配信曲でもあるESME MORI編曲の「Never Fear」などファンク/ネオ・ソウル調、抑えめで優しい歌唱が愛情の深さを際立たせるタイトル・チューンや、初めて両親を軸とした家族について歌った「とおせんぼ」などが新鮮だ。そして昨年のライヴでも披露し、改めてグローバルに通用するレベルのヴォーカル表現と歌の力を認識させた「Who Am I」は、音源でもピアノのみの演奏で、ほぼ一発録りに近い手法で収録しているのもニュー・フェーズ。多彩な音楽性に驚くアルバムだからこそ、従来の爆発力を誇るロック・チューン「READY GO」や、「Be My Love」のカタルシスも増す。キャリア最高峰のアルバムと言って異論はないはず。
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阿部真央
MY INNER CHILD MUSEUM
歌手になりたかった彼女が、期せずしてシンガー・ソングライターとして自分の言葉と曲を掘り下げた11年間が、逆照射されるような初のカバー・アルバム。上手さのはるか上をいく選んだ曲たちへの愛情やアーティストへのリスペクト、メロディの咀嚼力で一気に聴ける。ピアノ1本のSIA「Alive」での胸を引き裂かれる冷静さと爆発、ボカロ名曲「千本桜」の正確さ、「もののけ姫」やCELTIC WOMAN曲での徹底した透明感や柔らかさなど、声の魅力ももちろんだが、エレクトロニックなラガ・アレンジの宇多田ヒカル「SAKURAドロップス」や、カントリー・テイストの広瀬香美「ロマンスの神様」など音像も楽しい。自身で弾いたピアノ・バージョンの「いつの日も」セルフ・カバーで、"今の素顔"に辿り着く構成もいい。
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阿部真央
まだいけます
10周年を終えてその次に進んだ作品のタイトルとして、前向きさと俯瞰の目線を感じるが、多彩な11曲を通して聴くと、このタイトルが示唆する今の彼女のスタンスがニュートラルなことがわかる。冒頭から激しくアコギをかき鳴らし、勝手なイメージで縛ろうとする対象を断罪。攻めのモードが続き、少しセクシーな隠喩も含むタイトル・チューンを挟んで、お茶の間に浸透した「どうしますか、あなたなら」で軽やかに転じる。恋愛系でも異なる2曲「どうにもなっちゃいけない貴方とどうにかなりたい夜」、名匠 笹路正徳のアレンジによる「今夜は眠るまで」を経て、ラウドな「答」でフックを作り、シングル曲「君の唄(キミノウタ)」も浮くことがない。痛快で繊細な阿部真央の個性はそのままに、音もスタンスもアップデート。
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阿部真央
どうしますか、あなたなら
多部未華子がちょっと堅物で公平主義の経理担当を演じ、領収証から様々な人間関係を知っていくNHKドラマ10"これは経費で落ちません!"。その主題歌とくれば、阿部真央流の正義感のあり方か、今どきの人間関係に言及した内容か? と想像したら、少し違っていた。"いい人と思われたい、仕事では完璧でありたいと思い奮闘するけれど、それは強さと言えるのか。じゃあどう生きますか?"そんな問い掛けを、少しだけアッパー、でも基本的にはフラットなビートや音像でさらっと描出しているあたり、より"どうしますか、あなたなら"という問いを反芻してしまいそうなのだ。カップリングの「この愛は救われない」は恒例の弾き語り。未来のない恋への後悔を率直な独白のように歌う震える声のピュアネスが刺さる。
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阿部真央
君の唄(キミノウタ) / 答
昨年リリースの『変わりたい唄』から続いているモードが今回のダブル・タイアップ・シングルにも如実に現れている。映画"チア男子!!"の主題歌として書き下ろした「君の唄(キミノウタ)」は"自分で選んだ道があるから"という歌詞で始まり、躊躇いがちな気持ちを自分で後押しするような気持ちになれる痛快な8ビート・ナンバー。一方の「答」はゲーム"消滅都市"が原作の同名TVアニメの主題歌として書き下ろした曲で、ラウド/エモ寄りのハードなサウンド・プロダクションとロック・ヴォーカリストとしての阿部真央が堪能できる1曲となっている。さらに、恒例のアコギ弾き語りであるカップリングには、赤裸々な思いを吐き出すタイプでも、辛辣でユーモアのあるタイプとも違う新境地とも言える「Flyaway」を収録。
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阿部真央
阿部真央ベスト
デビュー10周年を迎えた阿部真央初のベストは2枚組36曲のボリューミーな内容。『ふりぃ』、『ポっぷ』、『素。』の初期のアルバム3枚からたっぷり選んだDISC 1には今も新鮮なパンチ力を感じる「ふりぃ」、若くして孤独をきちんと味わった人の真実が伝わる「17歳の唄」、弾き語りの真骨頂で隠れた名曲「morning」、DISC 2はセルフ・プロデュースに移行してからの楽曲が並び、バンド・サウンドもより厚く本格的になった「Believe in yourself」や、アレンジに岡崎体育を迎えたエレクトロニックな「immorality」、最新シングル『変わりたい唄』から3曲すべてを収録。おぎやはぎのラジオから生まれた「クソメンクソガールの唄」、ラストはユーモアも含む初収録の新曲「28歳の唄」でさらっと。そのさりげなさもいい。
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阿部真央
変わりたい唄
一瞬、デビュー当時のようなポップ・パンクな曲調に"あの阿部真央が帰ってきた"と早とちりしそうになるのだが、帰ってきたのではなく、常に彼女は前を向いて"変わっていきたい"人なのだ。遥か彼方でもあり自分の心でもある場所へ叫ぶ"変わりたい もっと自分を生きたい"という大声とメロディが、瞬時で自分の動力になる。表題曲はそんな曲だ。同じ想いで統一されているこのシングル、アコギがザクザクと鳴り、命の鼓動を感じさせるような「まだ僕は生きてる」も、素直なメロディを空に放つような「なんにもない今から」も、生きているということそのものの可能性と、行動に移すことができる自分の内なる火種に気づかせてくれた。Track.4はファンから募ったワードで構成した歌だが、お互いへの感謝の言葉は限りなく近い。
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阿部真央
Babe.
アルバムの冒頭で深い悲しみや諦念を達観した歌唱で聴かせる「愛みたいなもの」が本人いわくのフィクションだとしても、その濃度に引きずり込まれる。そして吐き捨てるような言葉とハードなサウンドの「逝きそうなヒーローと糠に釘男」と強靭な楽曲が続き、かと思えば新機軸と言える大文字の洋楽ロック的な「You Said Goodbye」で、阿部真央の新たなヴォーカル表現に感嘆。そして母として、我が子への偽らざる思いを冷静とすら思える言葉で綴った「母である為に」に含まれた何重もの意味には、似た状況にある人も、誰かの子供であるすべての人も強く心を揺さぶられるだろう。また、愛と妥協について深く頷く女性も多そうな「POSE」なども。表現の幅は広がったが人間を軸で捉える阿部真央の魂は不動だ。
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阿部真央
おっぱじめ!
1年6ヶ月ぶりとなる、オリジナル6作目。痛快に鼓舞するアッパーなTrack.1「這い上がれMY WAY」も、"大人になるほど怖くなり、でも震える足で前へ進もう"と歌う、いかにも阿部真央らしい「優しい言葉」も刺さるだけじゃない包容力がある。すでにシングル・リリースされている「それぞれ歩き出そう」や「Believe in yourself」もアルバムの流れの中で聴くと、さらに楽しさや力強さの置所に感心してしまう。Aimerに提供した「words」のセルフ・カバーもいわゆる王道のピアノ・バラードというジャンルよりやはり切なさというエモーションに直接響く仕上がりに。12曲各々、異なる主人公が歌っているようなヴォーカリゼーションの千変万化ぶりも味わえる、アルバムらしいアルバム。
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阿部真央
シングルコレクション 19-24
進学、就職など、多くの人々にとっても人生の大きな分岐点であり、たくさんの変化を得る時期となる19歳から24歳。19歳でシンガー・ソングライターとしてデビューし、今年でデビュー5周年を迎えた阿部真央が、その5年間で制作した全シングル曲を、時系列でコンパイルしたのが今作だ。代表曲の応酬からは彼女のヴォーカリゼーションの変化などを感じ取る楽しみもあるが、この5年間、彼女はいつも人間誰しもが抱く/抱いた感情を自身のフィルターを通して発信していることを再発見できたことは大きい。様々な人の想いを吸収できる彼女の歌は、曲の中に聴き手の居場所を作っていた。これは彼女が多くの人々に表現を発信していることに自覚的な証だ。この若さでそれをぶらさず続けてきたことに尊敬の念を抱く。
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阿部真央
Believe in yourself
記念すべきデビュー5周年の第1弾リリースは、TVアニメ"ベイビーステップ"のために書き下ろされた表題曲を含むシングル。「Believe in yourself」はベイビーステップの描く世界とシンクロした、夢に向かい努力を続ける人々への応援歌。力強いギターが牽引するバンド・サウンドのなかに滲む、彼女の弾くアコースティック・ギターと煌びやかなピアノの音色が、楽曲の持つ優しさをより引き立てている。パワフルかつ可憐に"最後に報われるのは逃げずに居た君自身だから"と歌う彼女。リスナーに話しかけるように一言一言を大切に発する歌声に、アーティストとしての強い意志を改めて痛感させられた。悶々とした感情を素直に綴った弾き語り曲「疲れたな」とのコントラストも効果的だ。
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