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INTERVIEW

Japanese

Lucky Kilimanjaro

 

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Member:熊木 幸丸(Vo)

Interviewer:TAISHI IWAMI

"世界中の毎日をおどらせる"という大きなテーマを掲げ、6月から9月にかけて、4ヶ月連続でシングルをリリース中のLucky Kilimanjaro。その言葉の意味は、単に"踊れる音楽"ということではない。時代やジャンルも様々なダンス・ミュージックをリファレンスにした、それぞれが個性的なグルーヴを持つビートに、酸いも甘いも嗅ぎ分けたうえで厳選したであろう言葉を乗せ、本当の意味で豊かな日常を手に入れるためには勇気のいる世の中で、一歩踏み出す勇気を与えてくれる強さと優しさ。それをバンドの中心人物である熊木幸丸は"新しい価値観の提案"だと言う。そして、その自ら設けた高いハードルを、軽くはないが表立っては必死でもない、独特の温度感で越えてくるインタビューとなった。

-昨年の11月にリリースしたメジャー・デビューEP『HUG』の反響はいかがでしたか?

伝えたいことをはっきりと歌詞に書いたんです。結果ライヴに来てくださった方々が"救われました"とか、いろいろと声を掛けてくれることもありました。それらは明らかに今までとは違うタイプの反応で、やって良かったと思いました。

-解釈は聴いた人それぞれだと思いますが、言葉としては含みや幅を持たせるというより、想いをダイレクトに歌われた印象が強かったです。

ジャンルのコンテクストはお洒落に見られがちなんですけど、そこだけじゃない言葉の強さが届いた事実があったことは、本当に嬉しかったです。

-言いたいことをはっきりと言えば、ネガティヴな意見もついて回ると思うんですけど、それに対してはどうですか?

そこのストレスはほとんどありません。これまでは素直じゃなかったというか、当時の感覚的には素直なんですけど、振り返ると本当の自分じゃなかったような気もして。でも『HUG』と今回の4ヶ月連続リリースは、意識的に自分の言葉をしっかり乗せようと思って歌詞を書きました。もし、それに対して否定的な意見があったとしても、まず人に伝わって反応が返ってくること自体に意味を感じています。

-『HUG』は「ひとりの夜を抜け」を筆頭に、これまで以上に多くの人々に届きました。そこで重圧は生まれませんでしたか?

むしろ『HUG』でやったことは、まだまだアップデートできると感じていました。例えば、シンセに寄っていた音にストリングスや生音をどう入れたらどうなるかとか、もっと広い視野でいろんな音楽性を採り入れられるんじゃないかとか。足かせになるようなことはほとんどなかったですね。

-今回は第1弾の『風になる』(2019年6月リリース)と第2弾の『HOUSE』(2019年7月3日リリース)の前半、第3弾の『Do Do Do』(2019年8月7日リリース)と第4弾の『初恋』(2019年9月4日リリース)の後半でふたつに分けられたように感じたのですが、それは意図的なことですか?

メッセージも含めて2019年最初のタイミングでもっとも打ち出したいことが詰まった「風になる」を最初に出すことはすぐに決まりました。そして第2弾の「HOUSE」までは、僕らの得意な四つ打ち。「Do Do Do」と「初恋」は、これまでにまったくやってこなかったアプローチではないとはいえ、新しいLucky Kilimanjaroの方向性を示すような流れにする意図は多少ありました。あとはメッセージのバランスですね。「風になる」と「Do Do Do」は、"自分が好きなことや楽しいと思うことを選ぼう"という強めの歌詞なので、それが頭に来ると「HOUSE」と「初恋」の緩さとの対比になってしまうから、避けた部分もあります。

-今日は、主に今の段階で公開になっている『風になる』と『HOUSE』について話を聞いていきたいと思います。まず、「風になる」のメッセージがすごく響きました。先に"ジャンルのコンテクストはお洒落に見られがちなんですけど、そこだけじゃない言葉"とおっしゃいましたが、その温度感に熊木さんの個性を感じたんです。"気は優しくて力持ち"、みたいな。

煽らないようにはしようと思ってます。一方を否定してもう一方を肯定することは、わかりやすくはあるんですけど、僕はあまりやりたくなくて。哲学の歴史的にも、何かを否定して改めようとすると、否定のほうに引っ張られることは多いですし。特に「風になる」みたいな曲が響く人は、あまり強い言い方をするとちょっとつらいんじゃないかって、思うんです。だからあまり煽ることなく、優しさのうえに"提案すること"を大切にしています。

-なるほど。「風になる」の音楽的なベースはハウスですよね?

完全にそうですね。

-カップリングの「君が踊り出すのを待ってる」はクラシックなディスコ寄りで。

はい。ソウルに近い、70年代とかの昔の四つ打ちですね。

-それは大雑把に言うと、第2弾の「HOUSE」とカップリングの「車のかげでキスを」にもそのまま当てはまることですけど、そこにも意図はあったのでしょうか?

僕としてはどれがシングルになっても良かったんです。そこはメンバーの意見も反映させようと思って話し合ったらそうなりました。あとは、どの曲も時代性や流行といった戦略ベースではなく、あくまで自分たちの興味ベースで作ってるので、もともと何か強い意図があったわけではないんです。

-そもそもハウスと出会ったきっかけはなんだったのですか?

00年代の"Ed Banger"に所属しているアーティスト、JUSTICEやBREAKBOTを好きになって、BREAKBOTから70年代のディスコやソウルに出会って、そこから90年代あたりに流行ったハウスのリミックスに当たったんです。そのときに、いろんな音楽の繋がりを実感しました。"なるほど"って。もともとディスコが好きでそれっぽい曲も作ってた過程でのことだったので、ハウスも"普段聴いている音楽"という感じですね。