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DISC REVIEW

The Juice

G.LOVE

The Juice

ヒップホップとブルースを融合させた"ラグ・モップ"のオリジネーター G. LOVEの、ソロ名義としては約9年ぶり4作目となる新作。自身のバンド、G. LOVE & SPECIAL SAUCE名義でリリースされた近作は、ヘヴィなロックンロールの要素も持ち合わせたスタイルだったが、グラミー受賞のブルースマン KEB' MO'や、名だたるスティール・ギタリストなどのコラボレーターを迎えた今回は、代名詞と言うべきブルージーなサウンドに満ちた、キャリア25周年を総括する内容に。ゴスペル調のコーラスが美しいTrack.1や、アッパーなグルーヴに思わず頭を揺らしてしまうTrack.4、ブルース・ハープが染みわたるTrack.7など、肩肘張らずにまったりと楽しめる1枚だ。

Girl

GIRL RAY

Girl

HOT CHIPやTHE DRUMSらを輩出した"Moshi Moshi Records"の秘蔵っ子、ノース・ロンドンのガールズ・ポップ・バンド GIRL RAYが2ndアルバムをリリースした。今作は、デビュー作で見せたインディー感バリバリのローファイ・サウンドから、一歩も二歩も進化して、上質な大人のシンセ・ポップに。しかしながら、いい意味でのノスタルジックなインディー感はしっかりと残っているし、華美な装飾がまったくない余白のあるサウンドも彼女たちらしい。サブカル臭プンプンだった個性派オシャレさんが、都会派になって帰ってきたみたいな不思議な感じだが、インディー・ポップmeets R&Bの世界観に表現の幅が格段に広がったことで、より多くのリスナーにリーチするだろう。

Everything Not Saved Will Be Lost Part 2

FOALS

Everything Not Saved Will Be Lost Part 2

前/後編からなる2部作の後編は、ダンス色濃い前編に対して、ビッグなリフをガツンと鳴らしたロック色濃い作品に。デビューから10年、インディー・ダンス・ロックの新星からUKロックを代表するスタジアム・ロック・バンドに成長したFOALSの軌跡を、今一度、2枚のアルバムでダイナミックにアピールする格好となったわけだが、FOALSが持つロック・バンドとしての魅力がぎゅっと凝縮しながら、同時に新境地も印象づけているところがポイント。その意味では、オープニングを華々しく飾るソウルフルなロック・ナンバー「The Runner」、FOALS流のブルース・ロックと言える「Like Lightning」が一番の聴きどころ。ROYAL BLOODやTHE BLACK KEYSのファンにも薦めてみたい。

Love More

Maxim

Love More

THE PRODIGYのフロントマン、Maximが約14年半ぶり3作目となるソロ・アルバムを日本先行でリリースする。共にフロントマンとして活躍した盟友で、2019年3月に亡くなった"Keef"ことKeith Flintへと捧げられた今作は、反骨精神だけでなく、"今を懸命にハッピーに生きる"というポジティヴなメッセージも込められている。トラックはレゲエのヴァイブスが色濃く反映されており、女性VoをフィーチャーしたTrack.3、4や、過去作に通じる攻撃的ヒップホップのTrack.2、モダンなトラップ・チューンのTrack.8など、様々なジャンルのエッセンスを凝縮。THE PRODIGYのような派手さはないものの、Maximのパーソナリティが伝わってくるような作品だ。

Magdalene

FKA TWIGS

Magdalene

アルバム・デビュー作『LP1』(2014年)が注目を浴び、翌年には"フジロック"のWHITE STAGEでヘッドライナーを務めるなど、一気に世界的人気アーティストとなったFKA TWIGS。アーティスティックな楽曲そのものはもちろんのこと、ダンサー出身の彼女らしい身体表現や、抜群のスタイルを生かしたファッション・アイコンとしての存在感も含め、MVなど優れたヴィジュアル表現でも話題となった。そんな彼女が5年ぶりとなる新作アルバムをリリース。今作は個人的につらい時期を乗り越えたことが楽曲に投影されているらしく、光を失わないピュアな歌声、そして電子サウンドに交じった木管楽器の温かな響きなど、彼女が見いだした希望が投影されたような、力強さと優しい輝きに満ちた作品となった。

No Holiday

THE MUFFS

No Holiday

ハスキーな歌声と力強いシャウト、かき鳴らすギター、そして、ワイルドな音楽性でも隠しきれないチャーミングなパーソナリティ。今年10月、ポップ・パンク/パワー・ポップ・シーンのレジェンド、THE MUFFSのフロント・ウーマン、Kim Shattuckが亡くなった。遺作となった今作には、結成からKimが病気の進行により手足の自由が効かなくなるまでの間、彼女が書き溜めてきた楽曲が収められている。GREEN DAYをはじめ多くのバンドに影響を与えたTHE MUFFSらしい、激しくもポップでもあり、新しくてノスタルジックなこのアルバムには、ALSという難病と闘いながらも、ラスト・アルバムのプロデュースを諦めなかった彼女の、生命力や音楽に対する愛がたくさん詰まっている。

New Hell

GREET DEATH

New Hell

ミシガン州出身の3ピースによる2ndアルバム。2017年の1stアルバム『Dixieland』では轟音のシューゲイズ・サウンドで高い評価を受けた彼らだが、今作ではそれに加えて、エモ/ポスト・ロックのダイナミズムと構築美が備わった作風に。ヘヴィ・ロック/スラッジにも肉薄する重々しさにサッドコアの繊細さが同居したアンサンブルと、それぞれ表情の異なるふたりのヴォーカルによる、憂いを帯びたメロディを紡ぐコーラス・ワークが織り成す音世界は圧倒的。途方もないカタルシスを生む長尺のTrack.4、9は息を呑むほどの美しさだ。CONVERGEのJacob Bannon(Vo)が主宰する"Deathwish"からのリリースというのも頷ける、闇と美を湛えた傑作。

Ode To Joy

WILCO

Ode To Joy

"俺が作る最高の曲を、お前ら、どれだけぶっ壊せるんだ!?"というフロントマン、Jeff Tweedyの挑戦に経験豊富な名うてのミュージシャンたちが応え、バチバチと火花を散らしていたWILCOも今は昔。Tweedyのソロ活動を挟んで、3年ぶりにリリースするこの11作目のアルバムは、作品を重ねるたびごとに強まっていった歌志向がついに頂点に達したことを思わせる。まるでTweedyのソロを、WILCOのメンバーと作ったみたいだ。最初に聴いたときは、ボソボソと歌うTweedyのヴォーカルの印象のせいか、あんまり地味でびっくりしたが、聴いているうちに味がしみるいわゆるスルメ盤。Tweedyが屈指のメロディメーカーであることを改めて実感。バンドの演奏はちょっとTELEVISIONを思わせるところも。

Hey, I'm Just Like You

TEGAN AND SARA

Hey, I'm Just Like You

10代でデビューしたカナダのオルタナ・フォーク・ロックの双子デュオもキャリア20年余。本作は自伝"High School"の執筆のために資料を探していた際、発見したキャリア初期のカセットが制作の発端にあったのだとか。自伝と対になっている印象のある本作。現在ではアップデートした大人のエレポップを聴かせるふたりが、THE SMASHING PUMPKINSやPAVEMENTを想起させる、オルタナティヴなギター・ロックとエレクトロニックなアレンジをミックスしているのが楽しい。ただ、そこで歌われているのはティーンエイジャーならではの悩みや手に負えないほどの夢。アルバム・タイトルが示唆しているように、誰もが通ってきた青春期の思いを作品化することで肯定するような印象だ。

Leaving Meaning.

SWANS

Leaving Meaning.

NYエクスペリメンタル・ロックの重鎮による15thアルバム。2010年の再結成以降の活動スタイルであった6人編成を、前作『The Glowing Man』をもって解散させたSWANSだが、今作ではフロントマンのMichael Giraを中心に、エレクトロ・ノイズの鬼才 Ben Frostや、豪州の即興演奏バンド THE NECKS、さらには元メンバーなど、Giraが性格面まで考慮して選んだという30名以上のアーティストが参加している。近作に比べるとポスト・ロック的な轟音ノイズはやや控えられ、ネオ・フォーク/ゴシックのオーガニックな質感が増しているが、Giraの呪文のような歌唱と、反復しながら展開していく暗黒のグルーヴは実にSWANSらしい。美と混沌を湛えた、奥深い1枚。

Lilac

THE EARLY NOVEMBER

Lilac

THE EARLY NOVEMBERと言えば、90~00年代に多くのポップ・パンク/エモ・バンドを輩出したDrive-Thru Records全盛期のバンド(そのシーンの衰退と共に活動を休止)というイメージが大きいが、実は2011年に復活を果たしている。Rise Recordsと契約し、復活3作目となる今作は、彼らの持ち味であるエモーショナルなメロディはそのままに、しっとりとした大人の魅力も加わり、バンドの成長と成熟が感じられる。厚みを増してスケール感のアップしたサウンドも、バンドの実力を表しているだけでなく、今っぽさがあっていい。また、女性受けのいいAce Endersの爽やかで甘い歌声も、表現力がアップし、リスナーの心をグッと掴む強力な武器となっている。

You Deserve Love

WHITE REAPER

You Deserve Love

アメリカ ケンタッキー州ルイビルを拠点に活動しているガレージ・パンク・バンド、WHITE REAPERの3枚目のフル・アルバム。もともとは3ピースだったが、『White Reaper Does It Again』(2015年)はキーボードを迎えた4人編成でリリースし、今作ではさらに5人になってパワーアップした姿でのリリースとなる。今作では、よりキーボードの存在感も増し、パワー・ポップ的な軽やかさが加わっている。ロックンロール・リヴァイヴァル系のバンドの裾野あたりから、さらに踏み込んだアプローチで広いリスナー層に受け入れられるサウンドに進化したが、決して日和見なわけではなく、シンプルな音作りと粗削りな部分を残した彼ららしいスタイルには好感が持てる。

Miracle Pill

GOO GOO DOLLS

Miracle Pill

"アメリカン・ロックの良心"ことGOO GOO DOLLSの12作目となるフル・アルバム。30年以上活躍しているバンドだというのに、オヤジ臭さがまったくないのが本当にすごい。暑苦しさ、説教臭さなど皆無のポジティヴ・ポップ・ロック。GOO GOO DOLLSと言えば、ちょっと切ないロック・バラードやエッジの効いたオルタナティヴ・ロックというイメージも強いが、今作は、30周年を記念した前作のシンセやコーラスを使った豪華な音作りを踏襲しつつ、さらにポップな圧倒的光属性へと進化。軽やかで優しいメロディは、気負わず耳を傾けることができ、爽やかな新緑の香りを運んでくれる初夏の風のよう。まさにタイトルの通り、聴く者の荒れた心や疲れを癒してくれる"奇跡の薬"だ。

Under Your Sky

THE SHERLOCKS

Under Your Sky

Crook、Davidsonの2組の兄弟で構成されたUKシェフィールド発の4人組バンドが、2ndアルバムをリリース。同郷ARCTIC MONKEYSの後継者とも目されたデビュー作から約2年、プロデューサーにJames Skelly(THE CORAL/Vo/Gt)を迎えた今作では、前作の衝動こそ薄れているものの、そのぶん一歩成熟したサウンドを展開している。歌メロに寄り添うようなフレーズのTrack.2、スリリングなリフが印象的なTrack.4など、直球のギター・ロックがベースだが、ソフトな空気感が心地いいTrack.5や、壮大なサウンドスケープを描くTrack.11など、持ち味であるグッド・メロディをさらに生かすアレンジが秀逸。着実なスケール・アップを感じさせる。

Surviving

JIMMY EAT WORLD

Surviving

エモの代名詞としてシーンを牽引してきたJIMMY EAT WORLDが、ついに今年デビュー25周年を迎えた。四半世紀という年月は、デビュー当時に生まれた赤ちゃんが、もう立派に社会人していて、なんなら子供がいてもおかしくないほどの長い年月だが、このJIMMY EAT WORLDというバンドの瑞々しさはどうだろう!? ほとんど奇跡に近いんじゃないか。10枚目となる今作は、様々なチャレンジを見せた前作と比べ、ストレートなロック・ソングが多く、ファンを驚喜させるJEW節のキャッチーでピュアなメロディが満載。さらに、人生経験を積んだ彼らにしか描けないメッセージや、音楽的ギミックも伴って、変わらぬスタンスで輝き続けるバンドの実力を再確認させられる作品となった。

Six60

SIX60

Six60

母国ニュージーランドでのシングル・セールスがこれまでに100万枚を超え、全世界での総ストリーミング数は2億を突破している、まさに同国を代表するロック・バンドによる3rdアルバム。R&Bやポップ、エレクトロ、レゲエなど多彩なジャンルを飲み込んだバンド・アンサンブルに乗せ、フロントマン Matiu Waltersが親しみやすいグッド・メロディをソウルフルに歌い上げる楽曲は、即効性抜群の普遍的な心地よさで、年代や国境を超えた幅広い層に支持されるのも納得。現行音楽シーンのトレンドをキャッチアップしつつ、マオリの民族楽器をモダナイズして用いた、洗練されたアレンジも印象的。アルバム全体でチルな雰囲気を湛えつつも、世界に自らのルーツを知らしめるような野心的な1枚だ。

The Blue EP

DEATH CAB FOR CUTIE

The Blue EP

7月に行われた"フジロック"では豪雨の中でのパフォーマンスで観客を魅了したデスキャブが、新体制初のアルバムとなった前作『Thank You For Today』から約1年ぶりの音源となるEPをリリースした。前作で見せた生バンドとエレクトロニクスの融合を保ちつつ、より深い憂いを湛えた5曲を収録。ダイナミックなビートとフィードバック・サウンドが印象的なTrack.1、1999年に地元ワシントン州ベリンガムで起きた爆発事故で亡くなった少年たちを偲ぶ、ポップだが陰のあるTrack.2と、冒頭から癖のある楽曲が並び、バンドのプロデュースによるバラードのTrack.3、ドリーミーなクローザーのTrack.5と、約20分の中に魅力を凝縮。現体制での充実した創作意欲が垣間見える1枚だ。

Bones UK

BONES UK

Bones UK

あの天才ギタリスト Jeff Beckが認めたシンデレラ・ガールズということで、大注目の女性オルタナティヴ・ロック・デュオ BONES UKがデビュー作となるフル・アルバムをリリースした。世の中のトレンドなどまったく眼中にないような、我が道を行くスタイルで、ヘヴィでダークなインダストリアル・ロックをかき鳴らす。ポップな要素もあるが、エッジの効いたブルージーなギターやRosie Bonesの気だるい歌声など、泥臭いロックンロールが色濃く出ているため、打ち込みのビートをふんだんに使っていても、彼女たちはエレクトロ・デュオではなく、ロック・バンドなんだなと納得できる。中性的でロック・スターっぽい、尖ったファッションや佇まいも、堂々としていてクールだ。

K-12

Melanie Martinez

K-12

タレント発掘番組"The Voice"への出演をきっかけに、前作『Cry Baby』(2015年)でデビューした、シンガー・ソングライターのMelanie Martinez。お人形のようなルックスと、おもちゃの楽器などを使用したアーティスティックなポップ・サウンドに加え、少し毒のある"本当は怖い童話"的なほの暗い世界観で、"グロかわ"などとも表現された彼女だが、2作目となる今作でもその方向性は貫いている。ヒップホップやR&B的表現も、ソウルフルというよりは夜空に浮遊する魂というようなフワフワした感触だ。ドリーミーなのにそれでいて描いているのは現実の暗闇なのだから、これはまた多くのティーンエイジャーを闇に突き落としそうな、甘い甘い毒入り綿菓子だ。

Wallop

!!!

Wallop

お馴染みニョーヨークが誇るディスコ・パンク・バンド、!!!が通算8枚目となるニュー・アルバムをドロップ。前作『Shake The Shudder』で推し進められたダンス・ミュージックへのアプローチは、今作ではさらに強化された印象だ。80年代ポップを思わせるキャッチーなTrack.5やファンクネスが光るTrack.9から、エレクトロ・ハウスのニュアンスが垣間見えるTrack.1、トラップを思わせるブラス使いが印象的なTrack.11まで、多様なスタイルを咀嚼した、これまで以上にバリエーションに富んだ作品に仕上がっている。エネルギッシュなフロアの熱量も、チルなムードも併せ持った本作がライヴでどう披露されるのか、10月から行われるジャパン・ツアーにも期待が持てそうだ。

This Is Not A Safe Place

RIDE

This Is Not A Safe Place

2014年に19年ぶりの再結成、進化を証明した復活作『Weather Diaries』、復活後日本で最初のステージとなった"フジロック"でも、"90年代シューゲイズ・バンドの代表格"をアップデートし、現役感を証明したRIDE。今作には、メランコリックなギター・アンサンブルと美しいハーモニーのRIDE節なTrack.2やTrack.5もあれば、中期YMOを解釈した感の生音によるテクノ・フレーバーなTrack.3(メンバーによるとバスキア展からのインスパイアだそう)や、ソリッドなポスト・パンクのTrack.4、サイケデリックなアシッド・フォークのTrack.9など尽きることのない表現欲に驚く。タイトルは"ここは安全じゃない"の意だが、この音像は筆舌に尽くしがたく心地よい。

How Do You Love?

THE REGRETTES

How Do You Love?

顔がいい! センスいい! そしてめちゃくちゃ若い! 1st EPでメジャー・レーベルの目に留まったのも納得の次世代ガールズ・パンクの星 THE REGRETTESの2ndアルバムがこちら。「California Friends」や「I Dare You」のMVを観てもわかるけど、メンバーみんな仲が良さそうだし、本当に楽しそう。ローファイ・インディー・ロック、サーフ・ロック、70'sパンク、パワー・ポップ......ノスタルジックなのにとってもイマドキ。ファッション・アイコンとしても注目のフロントマン Lydia Nightのスモーキーで大人っぽい歌声とかわいらしい見た目とのギャップも最強! 日常にエネルギーを吸い取られてカラカラの大人たちも、瑞々しい彼女たちの夏の贈り物を受け取って、心を潤して。

No.6 Collaborations Project

Ed Sheeran

No.6 Collaborations Project

Ed Sheeranは時代の空気を読むのがうまい。というか彼自身がもはや時代の空気そのものなのかも。2011年の『No.5 Collaborations Project』リリース時は、ADELEなど歌唱力の高いSSWが台頭すると同時に、ヒップホップやEDM系の尖ったアーティストたちがヒットを飛ばしていたが、彼はそんなトレンドに片足引っ掛けながらも大衆に媚びすぎない音楽で支持された。そして今作。Justin BieberやBrunoMarsをはじめとしたスーパー・スターを迎えてはいるが、売れ線コテコテのいやらしさはなく、自然体な姿勢が見て取れる。この10年で音楽の消費のされ方は劇的に変化したが、そんななか気軽に消費される完璧なシングル曲を集めて、語り継がれるアルバムを作るというのは奇跡だ。

∑(No,12k,Lg,17Mif)

NEW ORDER

∑(No,12k,Lg,17Mif)

前身バンドであるJOY DIVISIONの結成40周年を迎えようとしている17年7月、そのJOY DIVISIONがレコード・デビューするきっかけを掴んだとも言える地元マンチェスターのスタジオで、NEW ORDERが行ったライヴを収録した2枚組ライヴ・アルバム。ライヴでは30年以上演奏することがなかったJOY DIVISION時代の「Disorder」を始め、全キャリアから選曲した曲を新たなアレンジで披露している。多くのメディアから大歓迎されたメモリアル・ライヴを追体験しながら、ゴシックでインダストリアルでディスコ・ポップな、ポスト・パンク/ニュー・ウェーヴの先駆者の真骨頂を堪能できるという意味で、聴き応えは満点。危なげない演奏にバンドの円熟を改めて感じられる。