DISC REVIEW
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戌亥とこ
Telescope
OSTER projectやmajikoなど、VTuberの世界に詳しくない人にも知られているような名だたるクリエイターが楽曲を提供。すでにVTuberとして多大な人気を博しているとは言え、1stミニ・アルバムとしてはプレッシャーでは......という心配を飄々と跳ね除けるように、多彩な全5曲を魅力的なロー・ヴォイスでのびのびと歌い上げている。特にシティ・ポップのエッセンスの乗りこなし方がしなやかで、VTuberの世界を飛び越えるだけではなく、海外の注目度も高めていきそうな予感がする。ゆったりと聴けるかと思いきや、"腹を空かせた赤鬼が言う「どちらまで?」"と、戌亥とこが見せるひとつの個性=地獄の風景が描かれている「六道伍感さんぽ」など、どの楽曲も聴き応えたっぷりだ。
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GANG PARADE
The Night Park E.P.
新たなクリエイター陣を起用した"夜"をテーマとするコンセプトEP。本作では様々な夜の表情を切り取ったエレクトロやダンス・ミュージックを主軸とした楽曲が、近年でロックを主とした作品を世に送り出してきたギャンパレのイメージをいい意味で壊している。それだけでも十分に意欲作だと言えるが、13人のメンバーそれぞれが作詞作曲に携わり自作のパートを歌唱した「Gangsta Vibes」や、前作に引き続きユニット曲も収録され、聴きどころ満載。作品を丸ごと楽しめることは当然として、今夜の気分に合った曲をセレクトして楽しむのもいいだろう。音楽的には最先端ながらも、ジャンル感としてはPOP(前身グループ)時代からのファンには懐かしさを感じるところもあり、そこがまた良き。
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FAKE TYPE.
FAKE SWING 2
和楽器を融合させた「Toon Bangers feat.DEMONDICE」。ケルト音楽を融合させた「ヨソモノ」。古からの民族音楽と、最先端のエレクトロ・スウィングを掛け合わせた2曲が象徴しているように、FAKE TYPE.だけの楽曲を生み出していくという果敢な挑戦が随所に見えるアルバムとなっている。nqrseや花譜などフィーチャリング・アーティストも豪華だが、エンターテイメント性を広げるだけではなく、トラックやリリックの意味を深めるために招いていることが、聴いているとよくわかる。高速ラップなどの実力も遺憾なく発揮しながら放たれる、リアルもファンタジーも昇華したメッセージがスウィングするダンス・ミュージックに乗って、踊るように日々を生きるエネルギーをくれる快作。
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GLIM SPANKY
The Goldmine
前作から1年3ヶ月というスパンで到着した7thアルバムで、GLIM SPANKYはさらなる扉を開いた。"金脈が見つかる鉱山"という意味を持つタイトルを冠した本作は、タイトル曲をはじめとしたライヴ会場を熱く沸かせるロック・チューンはもちろん、松尾レミ(Vo/Gt)の吠えるような歌声と重厚なグルーヴが絡み合う「Glitter Illusion」や、亀本寛貴(Gt)が奏でる軽やかなカッティングが心地よい海風を運んでくるAOR系統の「ラストシ-ン」、柔らかな光に包み込まれるようなサイケ感のある「真昼の幽霊(Interlude)」~「Summer Letter」など、全11曲、どれもがすべて主役級のクオリティを誇る楽曲ばかり。圧倒的な開放感が全身を突き抜けていく感覚を、音源とライヴでぜひとも感じてもらいたい。
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CANDY GO!GO!
IDOROCK-legacy-
"IDOROCK(アイドロック)の王道、語り継がれゆくこれまでと、突き進むこれから"の意味を持つ"legacy"を冠した、約4年半ぶりのフル・アルバム。無念にもコロナ禍で活動10周年を迎えた2020年発売の10周年記念ソング「Infinity」や「Since 2010~」、力強く前向きな気持ちを歌った「Understeer」(2021年)、勢いと希望に溢れた彼女らの最新型が見える「IN THE GAME」(2022年)。そして本作収録の最新曲たちと、波乱万丈ながら着実に前へ前へと足を進めている彼女らの軌跡が見える。各メンバーが作詞を務め、歌詞を書いた人がリードを取るシステムにより、楽曲からそれぞれの個性や考えが見えてくるのも面白い。曲調だけでなく、現状に満足することなく"こんなもんじゃねぇ"と吠える彼女らの姿勢に"アイドロック"を感じる。
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クジラ夜の街
月で読む絵本
待望のメジャー1stフル・アルバムは既発の「踊ろう命ある限り」や「BOOGIE MAN RADIO」などがこのアルバムの物語を構成するピースだったことが理解できる、よくぞここまで構築したなと驚愕する完成度。小説や映画のネタバレを恐れるのと同じくらい、SEひとつ取ってみても全体のストーリーの重要なピースであると想像できるので、各々の正解を実際にアルバムを通して聴いてもらうのが最良なのだが、強いて言えばラヴ・ストーリーもバディものも、架空の冒険譚と現実社会や生活のリアリティがないまぜになっており、しかも宮崎一晴(Vo/Gt)が描く情景を立体的に押し出す体験的な演奏のアイディアとスキルはさらに向上。そしてトリッキーな曲が多い彼らのレパートリーに直球の名曲「Memory」が加わったことは明らかな新章だ。
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Mirror,Mirror
MIRAISM 03
自分らしく突き進む個性派ピアノコア・アイドルが7~9月に3作連続配信リリースした「Chewing Star」、「REM」、「ココロマリアージュ」を含む、全6曲を収めたミニ・アルバム。5月に開催した3rdワンマンをソールド・アウトできなかった悔しさをバネに、4thワンマンに向けて死ぬ気で頑張った彼女らを支えた楽曲が並んだ今夏の総集編であり、メンバーにとって思い入れの強い作品になった。ポップでキュートな曲からクールでカッコいい曲、ライヴ映え必至の疾走感ある曲と、ミラミラの魅力が様々な角度から見えるカラフルな1枚。また、壮大にドラマチックに軽快にと、曲ごとに表情の異なるピアノの響きが華やかに楽曲を彩る"ピアノコア・サウンド"も聴き応え抜群だ。今作をしっかり聴き込んで、ライヴに挑もう。
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anew
異日常
始動1周年を目前に、待望の1stフル・アルバムが完成。幻想的でサイケデリックな空気を纏ったタイトル曲「異日常」や、骨太なリフを擁したダンス・チューン「ぼくたちに明日はない」、叙情系ハードコアな「偶像依存SHOW」に、タイトルからしてインパクト抜群なエモ・ナンバー「どうせ馬鹿にしてるだろ?」など、英国のJ-POPチャートで首位を叩き出した1stミニ・アルバムからさらに振り幅を広げつつ、より強烈な個性を放つ全10曲が収録された。また、ポップ・パンク的な解釈を施した"伝説のミュージシャン"ノリアキのカバー曲「Debut」や、TOKYO PINK所属のシンガー・ソングライター はる陽。が手掛けた、感傷的でドリーミーな「しゃぼん」など、とにかく良曲目白押し! さらに支持を集めそうな大充実作だ。
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MyGO!!!!!
迷跡波
始動から1年半をかけて放つ初のアルバムは、いい意味で期待を裏切る音楽性の幅の広さと、音楽的な懐の深さを1枚に凝縮した作品に仕上がった。王道ロックを突き詰めた「迷星叫」から始まり、痛快なパンク調の「壱雫空」、疾走感溢れる「碧天伴走」、ダンサブルな「影色舞」、洋楽ポップ・パンクを彷彿とさせる「歌いましょう鳴らしましょう」など、1曲ごとにキャッチフレーズをつけられるぐらい音楽的テーマが明確に感じられ、初のアルバムとは思えないレベルで楽曲が個々に光を放っている。アニメ放映が終わり、その締めくくりとして本作が提示されたことは、終わりを意味するわけではなく、バンドの始まりの物語とこれから始まる快進撃の"狼煙"として受け止めるべき出来事となる。
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Vaundy
replica
メガヒットした単曲の間にアルバム曲を入れることを良しとしなかった結果、コンセプチュアルなDisc 1とヒット曲満載のDisc 2という凄まじいボリュームに着地した本作。大歓声のSEのなか鳴らされる骨太なロック「ZERO」に始まり、R&Rリバイバルやネオ・ソウル、モダンなサイケなどが展開。肌感覚や体感に肉薄するヴォーカルや歌詞表現、「NEO JAPAN」に象徴される現実認識を通過してタイトル・チューンの巨大な音像に辿り着くVaundy流ロック・オペラと呼べそうなDisc 1こそが実質的な2ndアルバムなのだろう。それだけにメガヒットが並ぶDisc 2収録曲の1曲に込めるアイディア、キャッチーさの確度にも舌を巻いてしまう。話題の「トドメの一撃 feat. Cory Wong」のリッチなサウンドは驚きの新境地。
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神はサイコロを振らない
心海
心の海と書いて"心海"。凪、さざ波、荒波と表情を変えていく海のごとく、様々な心情が多彩なサウンド・アプローチで描かれた。自分の思いを音楽で伝えていく葛藤を清涼感あるポップ・サウンドに乗せた「What's a Pop?」や、"言葉一つ"ですべてを失いかねないこのSNS時代に警鐘を鳴らすロック・ナンバー「Division」、バンド全体でグルーヴィ且つ感情的に歌い上げるYaffle編曲の神サイ流ネオ・ソウル「スピリタス・レイク」、夏のきらめきが弾けるポップに振り切ったダンス・チューン「Popcorn 'n' Magic!」、そして最後は静かに孤独と愛を歌う「告白」で温かく包み込む。平和への願いやファンへの思いは切実ながら、大衆に届くようポップに昇華。Rin音やasmiとのコラボ曲も収録した充実の1枚だ。
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LUCY IN THE ROOM
Flowered
メンバーの5人中4人が作詞作曲ができるという強みが、多彩なレパートリーを可能にしているLUCY IN THE ROOM。2023年第2弾シングルの表題曲である「Flowered」はソウルやファンク、フュージョン・サウンドのイメージのある彼らには珍しく、且つ新鮮なアプローチである端正なビートと、どこか80年代のアイドル・ポップスをも想起させるテクノポップ・テイスト。終わってしまった恋愛を花の過去形をモチーフに表現した歌詞、R&Bやソウルの抑揚を抑えて、淡々と重ねていくヴォーカルもバンドにとって新たな側面と言えそう。2曲目の「夕立雨」はロック・テイストの中にジャズのスウィングが出てきたり、男女の視点が変わる歌詞といったさりげないテクニックも聴きどころ。ユニークな存在感を窺わせる1枚になった。
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くるり
感覚は道標
今回、オリジナル・メンバーで制作したのは90年代オルタナティヴ・ロックをひとつのモチーフとしていたからで、森 信行が戻った、というのはニュアンスが違うと本作を聴いて感じた。オルタナ、60年代英国のロックンロールやブギーからラテンまで、3人のセッションを起点に完成していった13曲には当時の焼き切れるような試行錯誤は感じない。でも当時よりカオスも一発鳴らせば吹き飛ぶようなエネルギーもある。特に「世界はこのまま変わらない」(のあとに"君が居なければ"と続くのだけれど)の多言は不要なパワー、「ばらの花」の構造とアレンジがモロに下敷きになっている「朝顔」など、単にいい曲以上の現在の迫力を自らの歴史を使って証明しているんじゃないか? 加えて先人への愛も随所に聴こえるのでぜひ耳を澄ませてみて。
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THE BACK HORN
最後に残るもの
結成25周年シングルの表題である「最後に残るもの」は菅波栄純(Gt)作詞作曲。バンドマンとしてもおそらくひとりの人間としても危ういときに"この手を掴んでくれたあなた"はファンやリスナーだったことを思わせる歌詞に、このバンドの真心が滲む。ごくシンプルな8ビートだが、Bメロのリズムの妙や楽器の抜き差しに実直なバンドが磨いてきた効果的なアレンジ力の高さが見て取れる。カップリングの「フェイクドラマ」は松田晋二(Dr)によるリアルが見えにくい時代だからこそ自分の体感や衝動を信じようという歌詞が山田将司(Vo)によるモダン・ヘヴィ・ロックにファンク要素も加わった曲構成で際立つ。2曲ともすべての楽器が見えそうな削ぎ落とされた生々しくも乾いた音像がこれまでの曲ともまた違うタフなエネルギーを発している。
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SCANDAL
ハイライトの中で僕らずっと
8月21日に結成17周年を迎え、"同一メンバーによる女性最長活動ロックバンド"としてギネス世界記録に認定されたSCANDALの29枚目のシングル。MAMI(Gt/Vo)作詞作曲の表題曲は、バンドの成熟した姿がそのまま反映されたかのようなクールなサウンドで、シンプルながら凝ったアレンジが印象的。SCANDALならではの構成で楽しませる。バンド人生の数々のハイライトをリスナーと共に過ごしてきた誇り、この先もともにハイライトを迎えたいという想い。その想いが色濃く表れた"いつか いつか命果てるまで/何度 何度でも分かち合おう"というフレーズには17年のすべてと新たな覚悟が込められているかのようで感慨深い。TOMOMI(Ba/Vo)作詞作曲の「CANDY」で見せるまた違う表情も頼もしい。さらに軽やかに、さらにたくましく。4人の強い意思を感じる1枚。
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Academic BANANA
Love Letter
前作『SEASON』から1年、作詞/作曲を手掛ける齋藤知輝(Vo)とアレンジを担当する萩原健太(Ba)のふたり体制となったAcademic BANANAの2ndアルバム。1曲目のリード曲「五月雨」はバンドの真骨頂というべきジャジーで都会的なネオ歌謡曲となったが、アルバムでは様々なサウンドの曲が並ぶ。今作では通常盤A、通常盤Bと収録曲違いでリリースとなっており、A盤では男性目線の「青いラブレター」、B盤では女性目線の「夕暮れに染まった手紙」を収録。それぞれの立場からの曲を置くことで、それ以降の曲は、同じ曲が収録されながらもドラマの主人公が変わって見えてくるような仕掛けとなっている。齋藤の繊細な歌声やその歌が表現する心の機微がシンプルに引き立ったそれぞれの曲も魅力で、余白の効いたラヴ・レターとなった。
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SPECIAL OTHERS
Journey
今年2月から毎月25日を"ニコニコの日"として連続リリースを敢行してきたスペアザ。アルバムとして編まれると、シーズン・グリーティングのような各々の曲が集まって、まるで感謝祭のような豊穣を味わえる。春を目して出た「Fanfare」、「Early Morning」、「Apple」(珍しい3拍子!)は寝起きや午前中の気分にピッタリだし、小休止に聴きたくなる。季節が進み、あの恐ろしく暑かった夏もキューバっぽい「Falcon」のリズムと音に浸ると存外悪くなかった気分になるし、秋の気配のマイナー・チューン「Point Nemo」は心落ち着くニュアンスだ。季節を旅して今月辿り着いたのはアルバム・タイトル曲で聴けるカントリー・ミュージックのワクワク感。さらにラストの「Thank You」の祝祭感でお互いを労う、そんな温かい人生の1枚。
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KALMA(ex- -KARMA-)
ムソウ
欲望や妄想が爆発する「ABCDガール」、"ただただあなたが好き"と歌う「モーニングラブ」、"真っ直ぐな重い想い"を書き連ねた「デート!」と、ド直球な"好き"が詰まったラヴ・ソングを冒頭から畳み掛け、続く「アイス」では少し視野を広げ大事にしたい"愛"を歌い、明るい曲調ながら大切な人を失った喪失感が切なく響く「アローン」、「意味のないラブソング」、夢追うバンドの今のマインドが窺える「夢見るコトダマ」、「ムソウ」と、少し大人になった20代前半の哀歓がリアルに綴られた。初のドラマ・タイアップなど着実に前進している彼らだが、まだまだ夢は尽きない。ゆえに"死ぬまで 無双 夢想 無想"。"今が一番最高"だと思える満たされた心と、"終わりのない夢"を追い続ける満たされない心で、その"最高"を更新していくことだろう。
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the paddles
ベリーハートビート E.P.
大阪寝屋川発の3ピース・ロック・バンド、the paddlesがキャリア初のEP作品となる『ベリーハートビート E.P.』をリリース。粒立ちのいいクリアなサウンドを鳴らすラヴ・ソング「プロポーズ」を筆頭に、ストレートな四つ打ちのロック・チューン「WARNING!」、忘れられない終わった恋の記憶を揺り戻す先行シングル「ブルーベリーデイズ」、温かい音像とグッド・メロディで聴かせる「デイドリームビリーバー」、再レコーディングを行った「幸せ (2023 ver.)」という全5曲が並んだ。EPというコンパクトさゆえに、すべての作詞を手掛ける柄須賀皇司(Vo/Gt)が歌う飾らない言葉と、洗練されたバンドのアンサンブルが、高い純度ですっと身体に入り込んでくる。
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MYTH & ROID
MYTH & ROID Concept mini album 〈Episode 1〉『AZUL』
メジャー・デビュー以降、数々の大ヒット・アニメの主題歌を手掛け、海外からの人気も高いMYTH & ROIDの初のコンセプト・ミニ・アルバム。"彫刻をめぐる物語"をテーマにオリジナルのストーリーを展開、幕開けの朗読(<Episode of AZUL>)から一気にその世界へと誘う。アヴァンギャルドな「RAISON D'ETRE」、モダンな「MOBIUS∞CRISIS」と魅力を存分に発揮するサウンドで物語は続き、そのセンスとヴォーカルに圧倒される。そして祈りのようにも聴こえる歌声とピアノが印象的な「...And REMNANT」でいったん物語は幕を閉じる。実はこの物語、2枚のミニ・アルバムを通して完結ということで、2024年春に後編をリリース予定。"海"と"街"を舞台に描かれたこの物語がたどり着く場所とは――それがわかる日がくるまで、この世界をたっぷり味わい尽くしてほしい。
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PIGGS
RAWPIG
6人体制になったPIGGSが満を持してのメジャー1stアルバムをリリース。リード曲は"フリチン"と空耳するリリックを感情剝き出しにして歌う尖ったロック・ナンバーの「Fleeting」、松隈ケンタとRyan.Bがコラボレートしたエモーショナルなピアノ・ロック「Route 91665」の2曲。その他にも個性的で粒揃いな楽曲が揃っているのだが、流行りに流されず自分たちがカッコいいと思ったものを初期衝動全開で提示するような、音楽的にも気概的にもロックなアルバムに仕上がった。一方でインディーズ・バンドのような雰囲気を漂わせながら、ジャンルも歌詞のテーマも多彩で、自由に歌いこなすあたりはアイドルらしい作品であるとも言える。アイドル PIGGSの存在感を感じさせる快作だ。
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ビッケブランカ
Worldfly
新しい世界に探究心を持って飛び込んでいく高らかなファンファーレとなった3月配信リリースの「革命」を始め、春先から欧州や中東 サウジアラビアでライヴをし、その土地の文化や人々に触れた感覚を音楽でアウトプットした、新しい体感が詰まったEP。MVを仏パリで撮影した「Snake」は、妖艶でいてドライな相反するタッチが混じり合ったダンス・ミュージックで、歌と音が孕む毒っぽさがクセになる。また中東の音楽特有の旋律や音階も織り交ぜ、異国の風が呼ぶおセンチな感情や哀愁を映した「Sad In Saudi Arabia」、あるいは知り合った人と過ごした何気ない時を軽やかな会話のように紡いだ「Luca」など、ビッケブランカなればこそのユーモアと高い構築性で編み上げたポップス集。各曲"風"の心地よさを感じさせる、その軽快さがいい。
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Lucky Kilimanjaro
無限さ
"楽しい"ばかりがダンス・ミュージックではない。日々の生活から生まれる明るいだけではない感情と、どうにか手を取り合おうとすることが"踊る"ことだ。そう発信し続けてきたLucky Kilimanjaroらしい秋の配信シングル。表題曲「無限さ」は静かなところから始まり、じわじわと盛り上がってから、再び静かな場所に還るという山型の構成。孤独に寄り添い、イマジネーションの世界へ連れ出してくれる音楽は温かく、熊木幸丸(Vo)の"悲しみと並走する"という言葉も、まさにといった感じ。"狭い部屋だって宇宙になる"という歌詞に共感を覚えるリスナーも少なくないだろう。2曲目の「靄晴らす」は、モヤモヤした気持ちをひたすらに歌うことで踊るという、非常に人間的な楽曲。
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ExWHYZ(ex-EMPiRE)
HOW HIGH?
ExWHYZとして初のEPには、メンバーの個性が弾ける自己紹介ラップ曲の「6WHYZ」、グループ史上最高速度のバンド・サウンドで駆け抜ける「NOT SORRY」、ハウスで踊らせる夏曲「フラチナサマー」ほか、ボーナス・トラック含め全7曲が収録された。本作は音楽ジャンルとして幅広いながらも、日本武道館ワンマンと夏ツアーを通して醸成してきた今のグループのイケイケな空気感やモードが一貫して反映されている。1stアルバムと2ndアルバムでできあがったグループのダンス・ミュージックのイメージをいい意味で壊し、彼女たちの可能性を広げたような印象だ。ボーナス・トラックとして、1stツアーから披露してきたキラーチューン「Shall We」が待望の音源化を果たしているのも嬉しいポイント。
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