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DISC REVIEW

GOHOBI QUATTRO -sweet-

ゴホウビ

GOHOBI QUATTRO -sweet-

ゴホウビのメジャー1st EPは、王道ポップス、ギター・ロック、グッド・メロディ、ファンキーなナンバーとバンドの魅力をたっぷり詰め込んだ名刺代わりの1枚に。スージー(Vo/Key)とcody(Vo/Gt)の歌の掛け合いはもちろんのこと、405(Ba)とむんちゃ(Dr/Cho)のリズム隊の掛け合いまでもがなんとも爽快な「MOKE MOKE」から、メジャー1stデジタル・シングルで、バンドにとって大切な曲でもある「好きな服」までの全6曲、様々な表情を見せながら、自由に、全力で遊ぶ姿勢は微笑ましく、それでいてバンドの強い覚悟が感じられたりもする。それはタイトルが示すよう、バンド史上最大キャパとなる渋谷CLUB QUATTROでのワンマンに向けての覚悟の表れでもあるのだろう。これから進む道とその意思が明確に表れた1枚。頼もしい。

NOW I SAY

GLASGOW

NOW I SAY

柔らかな春風を纏ったような爽やかさと切なさがこの始まりの季節にぴったりなメジャー1stフル・アルバムが到着した。初アニメ・タイアップとなったTrack.6や浦和レッズ応援番組のエンディング・テーマTrack.11など疾走感溢れるロック・チューンから、80s感漂うダンス・ナンバーTrack.5、叙情的な詩が際立つセンセーショナルなTrack.9まで表情様々な全13曲。それらが、インタールードとして収録されたTrack.1、Track.7、Track.13が形作る美しい世界観によって見事にまとめ上げられている。ワンコーラスのみのTrack.1で幕を開け、そのロング・バージョンとなるTrack.13で締めくくる、この物語をそっと閉じるような繊細なアコギの音色と歌声が紡ぐエンディングに、最後まで惹き込まれる。

P wave

SuperBack

P wave

関西を中心に活動する2人組ディスコ・パンク・バンド SuperBackの初のフル・アルバム。セルフタイトルの1曲目はまるで挨拶代わり。ソリッドなギター・リフとシンセ・ベースを軸に構成されたサウンドに、表題曲「P wave」へと繋がるまでの僅か50秒ほどで虜にさせられる。70年代のニュー・ウェーヴを彷彿とさせるエレクトロ・ポップからアップビートな四つ打ちを土台にしたパンキッシュな楽曲まで、非常に中毒性の高いダンサブルな全11曲が収録された本作。中でも奇妙な詞世界をラップに散りばめた「JADA」は、独特な世界観が広がるMVも公開され、唯一無二の存在感を強く放つ1曲となっている。踊ることの楽しさが目一杯に詰め込まれた『P wave』が漂流する先には、ディスコ・リヴァイヴァルに熱狂するフロアが鮮明に思い浮かぶ。

PEDRO TOUR 2023 FINAL 「洗心」

PEDRO

PEDRO TOUR 2023 FINAL 「洗心」

BiSHの解散、そしてPEDRO再始動後で初のツアーを回った時期は、アユニ・D本人いわく"人生大革命期"だったという。そんな旅の終着点として開催された"PEDRO TOUR 2023 FINAL「洗心」"日本武道館公演の模様が映像作品に収められた。自分探しを続け、答えを見つけたアユニ・Dないしバンドのムードは最高潮。公演タイトルの通り、音楽で観客の心を洗う映像にはグッとくるものがある。さらに初回生産限定盤には、翌日11月27日に同じく日本武道館にてチケット代100円(!?)で開催された公演"赴くままに、胃の向くままに"のライヴ映像も収録。こちらは公演後にサプライズ・リリースされた同名アルバムを全曲披露しているので、個人的にはぜひそちらをお薦めしたい。

カモレの夏 EP

cadode

カモレの夏 EP

ヴォーカル、音楽プロデューサー、ゼネラル・マネージャーの3人からなる異色のユニット cadodeが放つ、クリエイター・チーム"カモレの夏"とのコラボレーションEP。微睡んだ空気に包まれるタイトル・トラックに始まり、メランコリックな「波止場にて」や「ポストスクリプト」など、退廃的でありながらも圧倒的に美麗なアンビエント・サウンドは、"廃墟系ポップユニット"というコンセプトを掲げている彼ららしいところでもあり、コラボ作品として親和性もばっちり。また、夏の夜の匂いが漂ってくるダンサブルな「感嘆符」や、軽快なクラップに和太鼓、さらにはアンセム・パートも盛り込まれた「旅に立ってまで」といったライヴの光景が鮮明に浮かんでくる楽曲もあり、さらなる扉を開いた印象も。

Oh my BABY

Dear Chambers

Oh my BABY

昨年レーベル移籍し、サウンド・プロデューサーにKubotyを迎えて3作目となるシングル。3ピースながらひとひねりを加えた展開やコーラスなどのアレンジにより3曲3様、持ち前のグッド・メロディが全リスナーを包み込む心強い1枚が到着した。表題曲「Oh my BABY」は、愛しい人に笑っていてほしいと願うどストレートな歌詞がまっすぐなバンド・サウンドに乗せて響く。まるでモリヤマリョウタ(Vo/Gt)から直接語り掛けられているような、自分を全肯定してくれているような気持ちになる1曲だ。そして「まだ見ぬ君へ」を聴けば、音楽を通してバンドと繋がっていること、彼らの音楽が自分の味方でいてくれることを確信するだろう。最後は疾走感溢れる「ユートピア」が、ポジティヴな方向へと力強く背中を押してくれるはずだ。

Varckii

Aqilla

Varckii

ソロ・シンガー Aqillaの2ndフル・アルバムは、1stフル・アルバム『shave off』で見せた独特の音世界をさらに追求したうえで、余分なものをすべて削ぎ落としたストイックな1枚に。1曲目「CELL」から炸裂するその独自の世界は、映画を観るかのようにめまぐるしくフィルムを変え、ラストの「夢幻泡影」までその場所から決して逃してはくれない。これでもかというほど凝りに凝った音作りではあるが、それが子供の無邪気な遊びのようにも感じられるのは、Aqillaとバンド・メンバーがとことん音楽を楽しんでいる証拠で、聴くたびに新たな発見があるのも、まるで宝探しをしているかのような気分。ただかっこいいもの、好きなもの、やりたいことを詰め込んだ1枚。Aqillaという表現者の深化と、これからの可能性が発揮された作品となった。

運命に賭けたい論理

トゲナシトゲアリ

運命に賭けたい論理

東映アニメーションによる完全新作オリジナル・アニメ"ガールズバンドクライ"。同作の劇中に登場する5人編成のガールズ・バンド、トゲナシトゲアリが5thシングル『運命に賭けたい論理』をリリースした。アニメと連動するリアル・バンドは今やそう珍しくないが、本プロジェクト最大の特徴は、バンドを先に走らせて知名度を上げた状態からアニメが始まるという点。本作の音楽プロデューサーを務める玉井健二(agehasprings)が"極めて稀有な逸材"と太鼓判を押す理名(Vo)の力強いヴォーカルは本シングルでも遺憾なく発揮されている。彼女たちの"最新型"を存分に堪能することができる1枚。

独白

kittone

独白

2020年に結成し、昨年HANA(Vo)、ヤマザキユウキ(Ba/Composer)の体制となった音楽ユニット、kittone。ヤマザキが曲を手掛けるようになって初の配信限定アルバムは"独白"と名付けられた。このタイトルは、誰かに向けてというよりも、形にしたい美しい音楽にだけ純粋に向き合って、音や言葉を紡いだ作品を象徴する言葉だったとヤマザキは語っている。人生で初めて作詞/作曲するにあたってまずはひとつの小説、物語を書き、その様々なシーンが曲となった。必然的に自己とも向き合う作業だったという『独白』をキャッチーにしているのが、軽やかでどこか懐かしさも覚える瀟洒なアレンジが効いたJ-POPサウンドと、ほのかにメランコリーを帯びた優しいHANAの歌声。読み聞かせるような音楽のタッチが、心に響くアルバムだ。

AVEANTIN

BREIMEN

AVEANTIN

ファンクやネオ・ソウルがベーシックにある現行のバンドの中でも、卓越したプレイにケレン味と遊び心をたっぷり充填しているのがBREIMENならではの個性だろう。現体制4作目且つメジャー1stアルバムとなる今作は、ビートや構成がよりキャッチーになった印象だ。怒濤の早口ヴォーカル、精緻に刻まれるビートやアレンジのクレイジーさに舌を巻く「乱痴気」、ここからバンドがどんな方向性で進んでいくのかが窺える自己紹介的なニュアンスのあるリード曲「ブレイクスルー」、AORフレーバーと日本の家庭に風景や記憶が交錯する「眼差し」、ODD Foot WorksのPecori(Rap)がラップ・パートに参加していることでむしろBREIMENのスタンスが明快になる「T・P・P feat.Pecori」など日常の勢いと彩度を上げてくれそうな全11曲。

石のような自由

家主

石のような自由

2023年12月に配信リリースした3rdアルバムにCDだけのボーナス・トラック3曲を加えたフィジカル版。メンバーのうち3人が作詞作曲し、担当した曲のヴォーカルをとるスタイルならではの、ひとつのバンドの世界観と曲の多彩さ。登場当時からそうだが、例えば、今THE BEATLESを初めて聴いてもおそらくカッコいいとかメロディが素晴らしいとか感じるのに近い感動をもたらすこの奇跡のバンド。しかも本作で録り音やミックスの解像度が上がり、聴くことのカタルシスも増したのは嬉しい限り。名前の付かない感情にフォーカスする歌詞の的を射た表現も、絡まった気持ちを解してくれたり、少し前を向けたりするのもいい。普遍的だが、それはしっかり現代の悩みや喜びを描いているからにほかならない。呼吸が深くなる。

離婚伝説

離婚伝説

離婚伝説

その中毒性とクオリティの高さが話題を呼び1stシングルにして代表曲となった「愛が一層メロウ」が、"関ジャム 完全燃SHOW"の"プロが選ぶ年間マイベスト10曲"に選出されるなど今注目を集める離婚伝説。セルフタイトルとなる1stアルバムには、同曲を筆頭に心躍るライヴ定番曲「あらわれないで」、シティ・ポップ系サマー・チューン「眩しい、眩しすぎる」、メロディアスな極上バラード「萌」、ほのぼのとしたピースフル・ナンバー「さらまっぽ」など珠玉の10曲が収められた。全体的に軽やかで小気味良く洗練されていながら、昭和歌謡的な泣きのギター・ソロがレトロなムードを引き立て、甘く儚い歌声と哀愁漂うメロディの美しさが胸を打つ。この殺伐とした時代に"愛"をテーマに掲げ活動する、センス溢れるニューカマーに期待。

Melt

BIN

Melt

山上(Vo)、トマト(illustration)、T(music)からなる音楽ユニットによる、約3年ぶりのアルバムであり、2ndアルバム。ジャジーな大人っぽいムード、シティ・ポップな懐かしさ、オリエンタルな情緒など、様々な舞台を行き来するトラックの上で、凛と澄んだ山上の歌声が響き渡る。全員が"ここでしかできない"、"今しかできない"ことに挑戦していると伝わってくる、実験的な表現の数々。イラストのトーンが象徴的だけれど、ほとんどの楽曲に共通しているのは、ひんやりと鋭利な質感だ。様々なジャンルや音色を包括する"なんでもあり"なカオスの中に、刹那や孤独が"当たり前にある"と感じられる世界観は、現代の写し鏡のよう。ラストの「Sybil」のアコースティックな温かさが、救いのような余韻を残す。

Shifter

梓川

Shifter

2020年4月に音楽活動を開始し、SNSに"歌ってみた"を投稿。2022年からはオリジナル曲を発表してきた梓川が、待望の1stアルバムをリリースした。牛肉、雄之助、tokiwa、SHOW、wotaku、higma、水槽、是、ポリスピカデリーといった、錚々たるクリエイターが参加。楽曲もバラエティに富んでいるが、ラップも歌謡曲もダンス・ミュージックも梓川は艶やかに歌い上げている。注目は、梓川自身が作詞/作曲に携わった「ナーヴ」と「パラノイア」(「ナーヴ」編曲はbnbnと共作。「パラノイア」編曲は雄之助)。様々な楽曲に向き合う器用さの一方で、"逃げんな/もう理想なんて要らない"と叫ぶように歌う「ナーヴ」と、"明日も塗り替えて/考えないで 振り返らないで!"と軽やかに言い切る「パラノイア」からは、一本気な性格が見えてくる。

Overnight Rainbow

ukka

Overnight Rainbow

昨年末をもってリーダーの川瀬あやめがグループを卒業、今年1月には宮沢 友と若菜こはるの新メンバー2名を迎えた新体制でのパフォーマンスをお披露目したばかりのukka。ジャンルレスな楽曲を詰め込んだメジャー1stフル・アルバム『青春小節~音楽紀行~』の充実ぶりも記憶に新しいが、そんな彼女たちからメジャー2枚目となるシングルが届いた。本作には、爽やかなシティ・ポップの表題曲「Overnight Rainbow」、プロデュース・デュオ tee tea楽曲提供の「透明」ほか、各曲のインストゥルメンタルを含む全6曲を収録。"まだ見えてない景色 何度だって見に行こうよ"と高らかに歌い上げるTrack.1、"透明な明日が色付くように"と希求するTrack.2と、彼女たちの新たな旅立ちを印象づける1枚に仕上がっている。

インキャのキャキャキャ / オタ恋

NANIMONO

インキャのキャキャキャ / オタ恋

NANIMONOは、インキャの子たちが集まったグループ。明るくポップに弾けた「インキャのキャキャキャ」は、ネット民として生きてきた自分たちの人生を否定するのではなく、"最後は必ずインキャが勝つ!"とポジティヴな力に変え、同じインキャでオタクな人たちに生きる希望を与えてゆく楽曲。「オタ恋」は、アイドルに恋の妄想を抱くオタクの純粋でまっすぐな恋心を描いたミドル&メロウなバラード。片や本人側からの、もう片方では、ファン側からの視点でオタク心を描写。2曲共に、主人公のオタク心を少しシニカルに表現。オタク特有の自己否定しがちな感情を認めたうえで、そんな自分に自信を持とうと勇気や生きる希望を与えてゆく、まさにオタクのための、オタクに向けた、オタク賛歌作。

Inner Voice

S.O.H.B

Inner Voice

名古屋市在住のNatsumi Nishiiを中心としたクリエイティヴ・ユニット S.O.H.Bが、『2021』以来となるアルバムをリリース。今作は、前回のEP『美しいあなた -EP』(2022年)でも描き、また多くの人にとって普遍的テーマと言える孤独と、自立がテーマとなったという。S.O.H.Bが紡ぐ孤独は、寂しさや悲しみから生じる感覚でなく、日々のなかで、人との関わりのなかで芽生える喜怒哀楽をひとり味わうような時間だ。自身の内に芽生えた小さな引っかかりや声、気持ちに点を打ちながら、心の景色や人生の地図を描いていく曲たちは、混沌を手探りで進む人の琴線にも触れるのではと思う。ゴスペルの多声感やソウルフルなエレクトロ、またピアノに乗せ語り掛ける平熱の歌声も心地よい。

throw

Hakubi

throw

片桐(Vo/Gt)が紡ぐ真正直な言葉と、美しくリアルで切実な歌声。歌に乗せた想いや感情を丁寧になぞる、ヤスカワアル(Ba)、マツイユウキ(Dr)の構築する独創的な楽曲世界。バンドの振り幅を大きく広げた2ndフル・アルバム『Eye』を経ての今作は、"自分にしかできない表現"に立ち返った原点回帰的な気持ちと、ここまで培ったキャリアやスキルを存分に発揮した高い表現力から生まれた、Hakubiならではの世界観を堪能させてくれる。自分の言葉かのように深く胸に突き刺さる、片桐のパーソナル且つネガティヴなワード。誰にも言えない想いが音楽と共に昇華されて、少しだけ気持ちが楽になる。眠れない夜、今作にひとりどっぷり浸るのもいいが、「Decadance」、「Heart Beat」といったライヴ仕様の楽曲を生で体感するのもオススメです!(フジジュン)

救いを求める情景が鮮明な2ndフル・アルバム『Eye』と地続きにある印象のミニ・アルバム『throw』。しかし今作では自身を内省した先にある"空虚"への解像度がこれまで以上に高く、形容し難い感情を真正面からパワフルに歌い上げた全7曲が収録される。エモーショナルな片桐(Vo/Gt)のヴォーカルと感情を吐露する歌詞に加え、アップビートな疾走感溢れる「Heart Beat」やピアノ・アレンジが染みるバラード「拝啓」など、幅広いアプローチで構成された叙情的なサウンドは、孤独や焦燥を抱えた"心"そのものを映す。一人称ベースの詞世界が聴き手の心にも向き合うのは、心情を描いたテーマのみならず、バンドとして前進してきた過去があるからだろう。ふたつとない未来への舵を切っていくHakubiの原点回帰的アルバムとなりそうだ。

VERDE

MYTH & ROID

VERDE

"彫刻をめぐる物語"を展開する連作コンセプト・ミニ・アルバムの後編。ひとつの島が海に沈んだ前編から、後編では画家の少女を中心にストーリーが進んでいく。絵を描きたいというピュアな衝動を、ダークながらもダンサブルなサウンドに乗せて炸裂させる「Palette of Passion」や、理不尽な規則に湧き上がる葛藤や怒りを叫ぶ「DiLeMMa」、柔らかな手触りの中にも悲しみや儚さが漂う「Dizzy, Giddy」に、透明感のある美しいコーラスを湛えたホーリーな「Whiter-than-white」など、現実世界の出来事を自ずと想起させながらも、MYTH & ROIDらしいスタイリッシュなサウンドで繰り広げられる音物語は、とにかく凄まじい没入感。聴き終えたあと、温かな光が胸に宿るような感覚を覚える。

ロングラン

SODA KIT

ロングラン

"群像劇"というテーマによって、メンバー全員の個性が炸裂し、さらに新たなる挑戦もちりばめられた2ndミニ・アルバム。メンバーひとりひとりが喜怒哀楽、ひとつひとつの感情を表現した楽曲の主人公となっており、「ナッチャッタ!」はYupsilonが主人公として喜を表現したキャッチーなナンバー。「徒然論怒」はMugeiが主人公として怒を表現した、攻撃的なラップ・ソング。「カゲボウシ」はFigaroが主人公として哀を表現した、切なすぎるラヴ・バラード。「一刀両断」はRasetsuが主人公として楽を表現した、ライヴ映え必至のパーティー・チューン。そして、喜怒哀楽すべての感情を集約させた表題曲「ロングラン」は、FAKE TYPE.が楽曲提供! SODA KITの声の力、グループの可能性が発揮されている。

not end

有馬元気

not end

メジャー・デビューから約1年、3枚目のシングル。ピアノのイントロと出だしのフレーズからその世界へと一気に惹き込む表題曲は、残酷なほどの絶望のなか、最後に伸ばした手だけが唯一の救いとなる、彼にしか書けない希望の物語。1番と2番とで話す人物が変わる仕掛けのせいか、いろんな場面のいろんな感情に自分を重ねてしまう。バンド・サウンド全開の楽曲に乗せ、叶わぬ恋をユーモアたっぷりに描いた「裸」、限られた命を、細やかで壮大なアレンジで優しく、美しく表現した「あと少し」。三種三様の物語にひとつだけ共通点があるとしたら、それは有馬元気の寄り添いたい、伝えたいという強い想いだけ。それぞれの主人公に自分を重ねながら、誰かを重ねながら、泣いたり笑ったりして、その想いを受け取ってほしい。


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liverally.ep

SAKANAMON

liverally.ep

ストリングス入り編成に初挑戦した7thフル・アルバム『HAKKOH』、フィーチャリング・ゲストを迎えた配信シングル"PLUS ONE"シリーズを経て、今改めて放つ剥き身の3ピース・サウンド。歌や各楽器がかち合っては全力疾走しているほか、"どうしてそうなる?"的な捻りを効かせたワールド全開の展開も満載。リード曲の「おつかれさま」からは結成17年目を迎えた今だからこその温かい眼差しが感じられる曲で、総じて、現在進行形のバンドの魅力を真空パックしたような作品だ。お題があるからこそ自由になれる大喜利と同じ原理で、ライヴをテーマにした藤森元生(Vo/Gt)のソングライティングは抜群の仕上がり。15周年ツアー・ファイナルのライヴ音源も収録されている。

FLAVOR.

綾野ましろ

FLAVOR.

アニソン・シンガーとして多数の作品に携わり、2021年より活動休止していた綾野ましろが本EPで活動を再開する。今作では、和楽器バンドのベーシストでボカロPの亜沙がプロデュースを手掛け、また綾野自身で作詞やジャケット・アートワーク、ヴィジュアル面も担当。ロックで伸びやかなヴォーカルによる表現に加え、リード曲「FLAVOR.(GUM)」ではキュートさや毒っぽい雰囲気も交え、アップダウンするメロディやラップ的なノリを軽々と乗りこなして自由に歌う。休止中は様々な歌唱のスタイルに挑戦して、その引き出しを増やすこともしていたという。正統派としてのこれまでのまっすぐさ、真面目さも垣間見せつつ、より楽しみながらヴォーカルの可能性を広げているようで、その声は開放的。そんな始まりの晴れやかさがある。

カフェオレ

Laughing Hick

カフェオレ

昨年ベースのあかりを正式メンバーに迎え、それ以降デジタル・シングルのリリース、各地ライヴ・サーキットへの出演、リリース・ライヴなど、精力的に活動を続けてきたLaughing Hickの今年初となる作品。様々な恋愛模様をテーマに、それぞれの主人公が奔放に、それでいてまっすぐに自分を生き切る様を描いた全4曲は、このバンドならではという物語の仕上がりに。ストリングスを取り入れた表題曲「カフェオレ」から、すべてを全力で振り切ったダンサブルな「休憩と宿泊」まで、そこには楽曲に対する自信と信頼がひたすらみなぎり、そのうえで丁寧に重ねた新たな挑戦には、たくましさと頼もしさが感じられる。自らの強みを知り、その強みを迷いなく出し切ることで辿りついたバンド史上最高地点。間違いなくバンド史上最高の1枚。