Japanese
CDTV NEXT Supported by Eggs 2日目
Skream! マガジン 2016年04月号掲載
2016.03.09 @shibuya eggman
Writer 蜂須賀 ちなみ
"歌"に軸を置いた計4組のバンドが出演した"CDTV NEXT supported by Eggs"2日目。トップバッターを務めたのは、大阪発の3ピース・バンド、フィッシュライフ。口早に挨拶をしたそのテンションのまま、熱量溢れるサウンドを観客にぶつける3人。その疾走感の中に一抹の切なさが潜んでいる。ライヴ当日に発売日を迎えたミニ・アルバムからの楽曲も披露。さらに"テレビで使われるシーンを作ろうぜ!"と無邪気に観客に訴えかけると、フロアからはたくさんの腕が掲げられた。続いて登場したのはPURPLE HUMPTY。こちらも大阪発のバンドだ。静も動も描きながら情緒を丁寧に掬い上げるアンサンブルと、カーステレオから流れてきそうなほどどこか懐かしいメロディ・ラインが特徴的な彼らは、肩の力を抜いて楽しめるアッパー・チューンから柔らかなミドル・バラードまで多彩な楽曲を披露。そのサウンドで会場をあたたかく包み込んだ。遊び心溢れるカラフルなアンサンブルを輝かせたのは、キーボーディストを携えた現役音大生5人組のマカロニえんぴつ。ときには伸びやかに、ときにはオモチャ箱をひっくり返すようにハチャメチャに、と様々な表情を見せるそのサウンドを、男気溢れるヴォーカルがグッとひとつに束ねていく様子が頼もしい。どこまでもオープンなそのサウンドを目の前にして、観客たちも顔をほころばせた。そしてラストを飾ったのは、昨年夏にメジャー・デビューを果たしたGoodbye holiday。どこまでも突き抜けるような開放感たっぷりのサウンドと、聴き手にそっと寄り添うフォーク・ソング直系のメロディ・ラインとの対比が鮮やかだ。皮肉まじりでバンドの自己紹介をするMCを挟んだり、会場一体となったシンガロングを巻き起こしたり......と、持ち前の親しみやすいキャラクターを活かしたステージだった。
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2ndフル・アルバム『A LA QUARTET』から6ヶ月というハイペースでリリースするミニ・アルバムは、アコースティック・ギターの弾き語りが"おぉっ"と思わせたあと、バンドが加わるブルージーなロック・ナンバー「No discount」でスタート。そこから、跳ねるリズムが印象的なオルタナ調のロック・ナンバー「共犯」に繋げると、中盤では彼らの王道とも言えるキラキラした印象のポップ・ロック・ナンバーを聴かせる。そして、畳み掛けるような疾走ロック・ナンバー「ゴンドラの夢」で再びテンポ・アップ。最後は力強い四つ打ちのキックがライヴハウスのフロアを跳ねさせるに違いない「Writing Life」でアンセミックに締めくくる。新境地と王道、どちらも楽しませる意欲作だ。(山口 智男)
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メジャー2作目となるアルバムは、セルフ・プロデュース作。"A LA QUARTET"のタイトルが表わす、4人が腕によりをかけて作り上げた14曲が収録され、新鮮なタッチの曲から親しみのあるGoodbye holidayならではの曲など、多面的に見せる内容だ。心地よいループ感とアンサンブルの妙味がある「ハザマステップ」(Track.3)、60'sポップの甘美な懐かしさと80年代のシティ・ポップの風が混じり合った「海辺のイエスタデイ」(Track.7)、いつもエモーショナルな歌声を聴かせている児玉一真(Vo/Gt)によるラップが、意外にもハマっている「room」(Track.8)など。毎日のどこかの時間にフィットする曲、プレイボタンを押したくなる曲が詰まっている。視界が広がって、どんなシーンを切り取っても物語を描くことができる4人を伝えている。(吉羽 さおり)
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メジャーでの1stアルバム『with YOU』から1年経たずして完成したミニ・アルバム。「十ヶ条」という曲で幕を開けるのだが、これがBPM速めのアグレッシヴなロック・チューンで、続く「パラダイムシフター」もまた然り。グッド・メロディを丁寧に、あるいは爽やかに歌い紡いできたバンドに、まさに"パラダイム・シフト=価値観の変革"が起こっているようだ。とはいえ、これまでの流れを汲んだ美しいミディアム・テンポの曲も、牧歌的なあたたかさのあるポップスも健在で、より引き立ってもいる。いずれにしても、Goodbye holidayサウンドの可能性が広がっているのは間違いなく、全6曲、清々しい風が吹いている。多幸感溢れるタイトル曲も、この今のモードだからこそ歌えるポジティヴなメッセージ・ソングで、とても新鮮だ。(吉羽 さおり)
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シングル『革命アカツキ』で2015年にデビューし、同年の秋にはダブルA面のシングル『溢れるもの/リベレーター』をリリースし、ニューカマーながらも「溢れるもの」がTVドラマ"掟上今日子の備忘録"のオープニング・テーマに抜擢。やわらかで印象深いメロディとその歌がドラマにもマッチして、バンドにとって一歩踏み出せる曲になった。2作のシングルは共に、プロデューサーとタッグを組んだりアレンジャーを迎えたり、また自分たちで試行錯誤しながら作り上げたりと、起こることすべてスポンジのごとく吸収しながら同時にアウトプットもしていった。デビューからここまで、アグレッシヴな新陳代謝をあげた、その成果を詰め込んだのがこの1stアルバム。歌をド真ん中に置いた正統派のギター・ロックを響かせるアルバムだ。(吉羽 さおり)
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現在OA中のドラマ"掟上今日子の備忘録"のオープニング・テーマとして、あたたかで爽やかな風をドラマに送り込んでいる「溢れるもの」。この曲が主題歌へという背景は、一筋縄でなかったようだけれども、7月にデビューしたばかりの彼らのチャレンジへの前のめりな思いと、今だから伝えられる素直で初々しい思いが、屈託なく詰まっていると思う。いきものがかりやaikoなどを手掛ける島田昌典氏をアレンジャーに迎え、みずみずしいバンドのアンサンブルを、スケール感たっぷりで聴かせている。もう一方の「リベレーター」は、メロディアスなギター・フレーズとソリッドなドラミングが新たに道を切り開くように突き進み、児玉一真(Vo/Gt)のヴォーカルがじりじりとその温度を高めていく。短い曲にここからへのバンドの意志を込めた、宣誓のような曲だ。(吉羽 さおり)
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表題曲「革命アカツキ」は、寺岡呼人がプロデュース。若いバンドが持つ特有の勢いや、正統派の、ストレートなギター・ロックでありつつ彼らの爽やかなメロディを際立たせたシャープなサウンドで、メジャー・デビュー作に相応しい1曲になっている。疾走感のあるビートで、今いる場所と、ほんの少し先に見える景色も感じさせるような、ポジティヴィティが宿っている。タイトルはとても強いイメージがあるけれど、その歌には、ほんのりと切なさだったり、涙の跡が滲む。心に寄り添うような歌だ。カップリング曲、「サイダー」は、スピーディでアグレッシヴなビートと、小気味いいギターによるロックンロールで、「世界が終わる朝は」は、静かで優しいアコースティック曲。3曲3様でGoodbye holidayの魅力を伝えるデビュー・シングルとなった。(吉羽 さおり)
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キャッチーなメロディと澄んだヴォーカルで人気を博している広島発の4ピース・バンド、Goodbye holidayの3rdミニ・アルバム。今作には、aiko、いきものがかり、back number、秦基博などを手掛ける島田昌典を音楽プロデューサーに迎えた「スパイダー」や、疾走感のあるギター・ロック「さらば」、昭和の歌謡曲を思わせる「陽炎」、おもちゃ箱のようなキュートなナンバー「ポップコーン」など個性豊かな7曲を収録。特にタイトル・トラック「Flag」は、ハイセンス且つ安定感のあるバンド・サウンドに支えられた、児玉一真(Vo/Gt)の伸びやかで表情豊かなヴォーカルがなんとも耳心地いい。ロックに固執するでもなく、ポップに寄りすぎるわけでもない、均整のとれた1枚。(奥村 小雪)
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2008年に広島県で結成。今年1月に初の全国流通盤『ソラリス』をリリースし、その名を日本中に広めつつある4人組ギター・ロック・バンド、Goodbye holidayのニュー・ミニ・アルバム。本作は、少年のひと夏の思い出を歌ったリード・トラックの「少年シンドローム」をはじめ、爽やかに疾走するロック・チューン「モノクロ」、ピアノやマークツリーなどの幻想的な音色が印象的な「茶色いうさぎ」など、"はじまり"をテーマにしたポップでキャッチーな7曲が収録されている。"はじまり"は、同時に何かの"終わり"でもある。そんな切なさも孕んだ楽曲たちは、これからの季節によく合うセンチメンタルな雰囲気も漂う個性のある曲ばかり。じっくりと聴いてほしい1枚だ。(大島 あゆみ)
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クラウドファンディングでの企画を経て今年8月に現バンド名に改名した4ピース・バンド、FouFouによる1stミニ・アルバム(いしわたり淳治プロデュース)。新名義での初音源ということもあってか、昂揚感、幸福感、期待、少しの不安など様々な感情が透明感のあるサウンドの中に落とし込まれている。飛び道具を用いることなく、ただただ丁寧に音を鳴らすのみ、という誠実さが感じられるのも良い。ブラスやストリングスなど、曲によってはメンバー以外のサウンドも鳴っているが、それらをナチュラルにバンドにとっての追い風に変えられるのも彼らの長所だろう。ゆえに、これから先はもっと幅広い表現に打って出る可能性もありそうだが、さて、そのあたりはどうなるだろうか。(蜂須賀 ちなみ)
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フォーキーで温もりのあるポップなサウンドと井田 健(Vo/Gt)の優しい歌声が心地よい大阪出身の4人組、PURPLE HUMPTY。『BABY BABY/Lotus』はTOWER RECORDSの一部の店舗とライヴ会場などで限定リリースされた、彼らにとって3枚目のシングルだ。そこにはかつて日本のポピュラー音楽が持ち合わせていた歌心が確かにある。'60sガールズ・ポップとドメスティックなポップスの融合という王道感のあるポップ・チューン「BABY BABY」。そして「Lotus」は、個人的に学校から帰ってきてランドセルを置くときのような安心感を思い起こさせるノスタルジックな楽曲だ。この楽曲の完成度と音の感触は、お茶の間でも静かに、そして暖かく迎え入れられるのではないだろうか。 (山元 翔一)
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数々のバンドを輩出した10代限定の夏フェス"閃光ライオット"で2013年にグランプリを獲得以降、若くして"自分たちらしさとは?"という問いと向き合い続けてきたが、ついにひとつの答えを見つけたようだ。多彩且つストレートなサウンドをもたらしたのは、高野勲によるサウンド・プロデュースの力だけではない。むしろ"自分たちができること"ではなく"自分たちがやりたいこと"を軸に音を鳴らすようになったメンバー自身の変化によるところが大きいのだ。プリミティヴな欲求を実現するために3人こぞって新たな引き出しを引っ張り出しているから、"原点にして新機軸"という温度感が実現したのだろう。だからこそここが本当のスタートラインだ。このまま突き進んでくれ。(蜂須賀 ちなみ)
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結成から10年、今やメジャー・シーンを賑わすバンドとなったマカロニえんぴつの最新作は、原点回帰とも言えるシンプルでストレートなロックを鳴らしている。前作の多彩且つ重厚なアレンジから一変、音数を絞り肩の力が抜けたサウンドに。インディーズ時代を彷彿とさせる懐かしさを感じる一方、歌詞には"今"の彼らが詰め込まれている。歌を届け続ける自身を鼓舞する「たましいの居場所」、花火用語を用いたタイトルが美しい「星が泳ぐ」に続き、曲名からして癖の強そうな「街中華☆超愛」で振り切った遊び心を見せると、最後はメンバーそれぞれが今の思いを素直に歌う「僕らは夢の中」でグッと心を掴み締めくくる。"夢を魅せる"側に立った今、彼らが伝えたいのは"ロックバンドは最高だ"というロマン溢れるまっすぐなひと言だった。(中尾 佳奈)
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10作のタイアップ曲に提供曲のセルフ・カバーと、その豪華さがメジャー・シーンでの活躍を物語るメジャー1stフル・アルバム。アカペラの多重唱で幕を開ける表題曲、レゲエやジャズなどの要素を盛り込み急展開を見せる「トマソン」など、様々なジャンルをロックに落とし込みマカロニえんぴつ色に染め上げた楽曲が並ぶ。中でもインパクトを残すのは「TONTTU」。重いロック・サウンドにハード・ロック・バンドのヴォーカリストを彷彿させる歌声、オルガンをバックに繰り広げる寸劇......とやりたい放題だ。そんな癖のある遊び心満載な楽曲のほか、待望の音源化となった弾き語り曲「キスをしよう」や温かいラヴ・ソング「なんでもないよ、」などストレートな楽曲も。求められていることに応えつつ、やりたいことを詰め込んだ渾身の1枚。(中尾 佳奈)
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マカロニえんぴつによる、全曲にタイアップがついた話題性抜群の作品。表題曲「はしりがき」は"青春"をテーマに描いた1曲だ。青春と聞くと過去だけを思い出しがちだが、今この瞬間も未来も青春になり得ることを気づかせてくれる。また、後半の大胆なアレンジも要チェックだ。さらに、「listen to the radio」ではキャッチーなメロディの中に描かれる"夜を縫い合わして"、"「クズね、でも居た方がいいクズ」"など、どこか切ないけど愛のある歌詞に惹かれるリスナーは多いはず。全曲を通じて、はっとり(Vo/Gt)の持ち味でもあるワード・センスを存分に発揮している。タイアップをこなすごとに新しい表情を見せてくれる彼らが、次はどんな一面を見せてくれるのか、期待が高まる。(伊藤 美咲)
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結成9年目のメジャー・デビュー作。メロディの普遍性、怯まず芯を食う歌詞の誠実さを前提としながらも、時には1曲の中で曲調、テンポや拍子まで変えながらバンドの変態性、遊び心を炸裂させている。スタジオに集まって音を鳴らすときの"これぞバンド!"な温度感のまま、広いフィールドへ飛び出す。彼らが挑もうとしているのはおそらくそれだが、このEPを聴けば"きっとやってのけるだろう"と自然に思わせられる。長いことネクスト・ブレイク候補と言われ、その状況も自虐的に歌詞にしてきたが、内的充実と外的契機が噛み合い、いよいよ時は満ちた。"もう迷わず探せるから 繋ぎ留めることも追い過ぎもしない"(「ルート16」)という言葉からも、バンドの今が透けて見える。(蜂須賀 ちなみ)
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マカロニえんぴつにとって約2年半ぶりとなる待望のフル・アルバム。「レモンパイ」や「ブルーベリー・ナイツ」といった人気曲や、私立恵比寿中学に書き下ろした「愛のレンタル」のセルフ・カバー、TVドラマやCMなどのタイアップ・ソングも多数含む全14曲が収録され、ここ数年での飛躍的な活動の集大成とも言えるような作品に仕上がっている。また、日常で感じる幸せとため息を混ぜるように描いた「hope」や、"少年だった僕たちは/カネを知ってヒトになった"と、大人になって忘れてしまいそうな感情をハッと思い出させてくれる「ボーイズ・ミーツ・ワールド」などの新曲でももちろん、バンドの多様な音楽性と、とにかく魅了されてしまうそのグッド・メロディを存分に発揮。毎日聴きたい"マカロック"が詰まった1枚。(三木 あゆみ)
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各メンバーの作曲楽曲1曲ずつ+先行配信されていた「青春と一瞬」を収録。直球ミドル・バラード「ヤングアダルト」、軽快なリズムでザクザク進む「恋のマジカルミステリー」、ロマンチックなメロにおちゃめなリフを重ねる「二人ぼっちの夜」、3拍子と2拍子を行き来しながら紡ぐロック・オペラ「TREND」――と、曲元来の個性を増幅させるアレンジにはバンドの充実っぷりが表れている。全曲の歌詞を書くはっとり(Vo/Gt)のワード・センスも抜群で、膝を打たされまくりだ。アルバム・タイトルは"旬のうちに食べないと腐ってしまう音楽? どうなんだろう、それ"という疑問から。替えの効かない存在としてこのバンドを求める人は着実に増えているし、その結びつきはますます強くなることだろう。(蜂須賀 ちなみ)
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はっとり(Vo/Gt)の儚くエモーショナルな歌声はそのままに、キーボードの多彩な音色が織り込まれた彼らならではのサウンドがさらに色濃く表現された今作。ちょっとしたことで一喜一憂してしまう片想いや、言い訳ばかりしていたら愛想を尽かされてしまったりとなかなかうまくいかない恋愛が描かれているが、軽快なリズムとその上に乗っかるキャッチーなメロディと、はっとり独特の言葉選びには思わず心が踊る。そんな恋愛がテーマである曲が多い中、特筆すべきはギリギリで戦う人に向けたという「ハートロッカー」。少し女々しい印象のある彼だが、"あなたの逃げ場になるなら歌うよ"と音楽への強い決意とともに差し伸べられた手はなんとも力強かった。キラキラした七色のサウンドを武器に次はどんな新たな一面を見せてくれるのかと、早くも次作が楽しみになる、そんな1枚。(増田 思織)
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メンバー全員が現役音大生という5人組、マカロニえんぴつ。音大といえば"のだめカンタービレ"のように、さぞかし華やかな大学生活を謳歌していると思いがちだが、実はその逆で、資料によればコンプレックスにまみれ、負けっぱなしの人生を送ってきたという5人。そんな彼らが輝ける場所を見つけたのがこのバンドだったのだろう。負けっぱなしでも叫び続ける勇気をくれる「鳴らせ」や、独特の比喩表現で男女の関係を描いた「ワンドリンク別」、鬱々とした感情をダンサブルなビートで歌い上げる「零色」など、バラエティに富んだ楽曲で自分たちの存在意義を刻む。しっかりとしたバンド・サウンドに色を付けるように鳴るキーボードの音が印象的だ。(齋藤 日穂)