Japanese
アマリリス
Skream! マガジン 2015年12月号掲載
2015.11.23 @下北沢GARDEN
Writer 蜂須賀 ちなみ
"下北沢にて"Eggs枠の2日目には、アマリリスが下北沢GARDENのステージに現れた。横浜発、平均年齢19歳のギター・ロック・バンドである。メンバー4人はステージに登場すると、ドラム・セットの周りに集まって互いの拳を突き合わせる。身体を振り回しながら町田千尋(Gt)が掻き鳴らすギターの音を合図にライヴはスタートした。しなやかに静と動を行き来する4ピース・サウンドには、どこか不敵な色気と食ってかかるような渇望感とが共存している。絶妙に歪なコード進行など、曲の随所に遊び心が散りばめられているのも聴いていて楽しい。正直、音源を聴いた時点では"10代なのにこんなに上手いなんて"という印象で止まっていたが、実際ライヴを観てみると、しっかりと確立されているバンドの色にすっかり魅せられてしまった。"みんなの目を見て歌いたいんだ!"と叫ぶ二本柳亮(Vo/Gt)は、フロアを見渡しながら瞳をキラキラとさせて歌を歌う。音符の隙間を泳ぐような東雲梓司(Ba)のフレーズにも耳を惹きつけられるし、佐々木徹(Dr)のビートはスマートながらもバンドの大黒柱とも言うべき頼もしさも兼ねている。フロアからも徐々に手拍子が発生し、掲げられる腕の数も増えてきた。去年は観客として"下北沢にて"に遊びに来ていた彼ら。そのとき"来年は絶対このイベントに出たいな"と話していたらしく、この日はまさに有言実行のステージだ。"たくさん叶えたい夢ややりたいことがあるけど、これからも叶えていくつもりです。だから、これから先の躓きも全部乗り越えていけると思っています"とバンドとして闘い続ける決意を言葉に託したあと、「心のこと」へ。"ちゃんと乗り越えられたからここに立っているんだって、それを証明することができました!"という言葉も確かな輝きを帯びていた。そしてラストを飾ったのは、恋愛模様を行き場のないトンネルに喩える「無重力トンネル」。"俺たちを、今日1日楽しむための起爆剤にできましたか?"という問いかけに、オーディエンスはあたたかな拍手で応えた。
[セットリスト]
1. 花として
2. パレット
3. 心のこと
4. プルトップ
5. 無重力トンネル
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MUSIC VIDEO
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横浜発4ピース・シティ・ロック・バンドの両A面配信シングル。「K点を越えて」は、サビで歌い上げる二本柳 亮のヴォーカルを筆頭に、個々の楽器の音が光る仕上がり。アンサンブルの組み立て方がジェンガのように絶妙で、これからもこの4人が様々な発見をさせてくれる楽曲を生み出していくであろう可能性が表れている。「イニシエーション・ブルー」は、彼らの武器である"隙間"が生かされた楽曲。流れるようなメロディの奥で、きらきらと遊び心が光っている。ラストに向けて駆け出していくような展開は、彼らの根っこにあるロック魂が露わになっているように聴こえてきて、ニヤりとせずにはいられない。ポップ好き、ロック好き、と聴く人の様々な趣向によって、また違った魅力が感じられそうなシングルだ。(高橋 美穂)
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ギター・サウンドが疾走感を掻き立てる「ダ・カーポ」、どこかエキゾチックな曲調が新鮮な「ヒュールレイ」、金管楽器やサックスの音色とともに軽やかにスウィングしてみせる「Life is Beautiful」、内に秘めた情熱が徐々に解放されていくかのようなミディアム・バラード「スパイス」......と、四種四様の曲で構成されるEP盤。前作からは約1年。まるでスポンジのように様々な音楽を吸収してきた成果がよく表れているし、メンバーが楽しそうに演奏する姿が目に浮かぶような曲しかない。こうして自分の中に湧き上がるワクワクする気持ちを追求していく野心こそが、アマリリスというバンドの本質なのだろう。全4曲、一見バラバラなようでいて、筋が通っているのがすごい。(蜂須賀 ちなみ)