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INTERVIEW

Japanese

The Shiawase

2020年12月号掲載

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Member:仲井 陸(Vo/Gt) 木村 駿太(Ba/Cho) 神谷 幸宏(Dr/Cho)

Interviewer:稲垣 遥

"ワン!チャン!!~ビクターロック祭り2020への挑戦~"でグランプリを受賞。"RO JACK for ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2020"でも優勝し、年末には"COUNTDOWN JAPAN 20/21"への出演も決定している名古屋の3ピース、The Shiawase。大学生のヴォーカル 仲井 陸が現在進行形で体験している冴えない恋模様を中心に、あまりにもまっすぐな筆致で綴った青い歌。それがブルースやジャズなどのブラック・ミュージックや、土の香りのするロックンロール、はたまた日本のニュー・ロックのエッセンスを自由に採り入れたサウンドで届けられる。今回ミニ・アルバム『OHANAMI』をリリースする彼らに初インタビュー。"新しいものを生み出したい"。取材中メンバーから何度も飛び出たこの言葉が印象的だった。

-バンドの始まりについてですが、もともと仲井さんが大学で自分の音源を配っていたのがきっかけだそうですね。仲井さんはその音源を配っているとき、一緒に音楽をやるメンバーを探したいという気持ちもあったんですか?

仲井:いや、大学の入学式のときに、サービス精神というか、目立ってなんぼだと思ってたんで、とりあえず出会う人出会う人に、高校のときにやってたバンドの音源を無料で配り歩いてたんです。ほぼ入学式ぐらいのタイミングで。

-自己紹介みたいな感じですか。

仲井:なんて言うんでしょうね。あんま悪いこと言ったらダメだけど、"俺のことナメんなよ"っていう感じで。

-(笑)で、それを受け取ったのが木村さんだったと。

木村:はい。

仲井:何十人と渡したんですけど、唯一反応してくれたんですよね。

木村:僕だけだったんですか(笑)!?

-木村さんはその音源を聴いたうえで、仲井さんと一緒にバンドをしたいと思ったんですか?

木村:そうです。大学に入って新しくバンドを始めたいなと思っていたなか、(仲井から)"聴けよ"って半分強制ぐらいの感じで音源を貰って、聴いたらめっちゃ良くて、"バンドやらん?"というふうに話をしました。

-木村さんはバンドを組みたいというのがあったんだったら例えば、軽音楽部に入って、いろんな人の中からメンバーを探すとかいう方法もあったのかなと思うんですが。

木村:(仲井の音源を)聴いた瞬間に、声に惹かれて、すぐそこで決めちゃいましたね。

仲井:木村はもともと大学にギター専科で入ったんですよ。

木村:陸がギターを弾いて歌ってたんで、バンドをやるってなったときにギターふたりいたら話なかなか進まんなぁと思って、ベースに持ち替えて、そこからバンドが始まりました。

-それだけ一刻も早く仲井さんとバンドをしたかったと。

木村:ベースをやったことなかったんで、そこからいろいろ試行錯誤して練習してって感じでしたけどね。

-一方声を掛けられた仲井さんからしたら、思ってもみなかったことで。

仲井:そうですね~。バンドを組みたいとも思ってなかったですし。でも、こいつがLINEで、"どうしても陸とバンドがやりたい"と愛をめっちゃ伝えてくれたんですよ。それで"んじゃやるかぁ。でも、ベースな"って言って。

-そこは仲井さんからも指定があったんですね(笑)。

仲井:"ギター弾かなくていいんで。ベースならいいよ"って言ったらやってくれたんです。

-そして、神谷さんは去年新たに加入されたんですよね。

仲井:でも実は、前のドラムが女の子だったんですけど、神谷はその子が見つかる前にサポート・ドラムをずっとやってくれてたんですよね。

-じゃあ、ほぼ初期メンバーみたいな感じなんですね。じゃあさらに遡ると、そもそもソングライターである仲井さんが音楽を始めるきっかけはなんだったんでしょう?

仲井:小6から好きな女の子がいたんですけど、その子がヴィジュアル系バンドを大好きになって。俺も最初実はヴィジュアル系バンドを組もうと思ってたんですよね。それでヴィジュアル系バンドのギターのコピーとかをめっちゃして、その子に気に入られよう気に入られようとしてたんです。ヴィジュアル系バンドにめっちゃ詳しくもなって。それがギターを始めたきっかけですね。

-最近のバンドマンで、そういうモテたいみたいなのが音楽を始める衝動になったと言う人は、意外と少ない気がしますね。そうして、ヴィジュアル系から入ったあとは?

仲井:でも、この見た目的に無理だと思ったんですよ。スタイルも、俺背が小っちゃいんです。なので、あの華やかなヴィジュアル系にはなれないなと思って、ヴィジュアル系を諦めたときに、ブルースが大好きになっちゃって。やっぱ俺こっちかなと思ったんです。そこからブラック・ミュージックばっかり聴くようになっちゃいましたね。

-ちなみに、バンドを始めたことはその女の子は知っているんですか?

仲井:(※小声で)どうですかねぇ~......。知ってほしいんですけど、連絡先も知らないですし。

-じゃあ、バンドを始めてその子以外にはモテるようになりました?

仲井:大学入ってからちょっとモテだしたんですけど、やっぱり忘れられないんですよねぇ~。

-その子がきっかけでここまできているわけですもんね。

仲井:その子に向けてしか曲を書いてなかったです。

-いつか届くといいなという想いもありつつ。

仲井:でも、幸せそうなんですよね。好きな子の彼氏のインスタをこっそりたまに見るんですよ。そしたらめちゃくちゃ幸せそうに沖縄旅行とか行ってるんです。あ~別れてくんねぇかなぁとか思うんですけど。

-切ないですね......。そんな気持ちが込められた曲を聴いていて、サウンドの幅広さや自由なところがひとつ印象に残ったんです。そこからも、流行りを意識したり何かを狙ったりというより、好きなことをやっているんだろうなと思うんですが、逆に言えばみなさん好きな音楽の幅も広いのかなって。どんな音楽やアーティストを好んで聴きますか?

仲井:この3人はみんな好きな音楽がバラバラなんですよね。彼(神谷)はなんでしたっけ?

神谷:最近の若者系のJ-ROCKを好んで聴きますね。活動を始めた初期で言うとBUMP OF CHICKENとか、RADWIMPSとか。そのへんを聴いてバンドを始めたんです。

木村:僕はOASISが好きで。あとはTHE BEACH BOYSとか。

仲井:俺は、最初はヴィジュアル系バンドで。あとMr.Childrenとか。まぁでも、ブラック・ミュージックが基本大好きで。アイドルも聴きます。

-今の音楽と直結する部分もありつつ、やっぱり幅広いですね。気になったらジャンル問わず聴くという感じですか。

仲井:聴きますね。アイドルからブルースからジャズから結構いろいろ。

-そのあたりから得た刺激は、曲を作るときに影響していると思います?

仲井:"これ真似したいな~"と思うところもあるんですけど、"これ真似しちゃったらな~二番煎じみたいな感じするな~"っていうところもあって。新しいものを生み出すっていうのは意識しています。誰もやっていないことをやりたいです。

-なるほど。曲作りはどんなふうに行っていくんですか?

仲井:僕がおうちで、アコギでiPhoneのボイスメモに録ったものをグループのLINEに張りつけて、"ちょっと聴いといてや~"って言って、スタジオで合わせて。

-The Shiawaseの曲を作るうえで意識していることってあります?

木村:俺は3人で作るときに、曲を作った陸の曲のイメージを尊重しつつ、暴走しすぎないようにする役割というか、そこは一番考えてますね。あとはベースを弾くうえで歌を大事にしてます。

-仲井さんの曲のイメージっていうのはスタジオで合わせるときに共有されるんですか?

木村:そうですねぇ。

仲井:でも、たぶん難しいよな。伝え方がへたくそなんで、"赤"とか、色で伝えたりするんですよ。

木村:うん(笑)。

-汲み取っていく作業になるってことですね。そうしてできたフレーズは、仲井さんにとって結構思っていた通りになっているんですか?

仲井:俺が思いつかないことを彼らが生み出せるんで、"あ、いいね!"ってなることが多いですね。

-神谷さんはいかがですか?

神谷:僕も陸が作ってきた音楽のイメージを察して、ドラムとして、どれだけフレーズで表現できるかは考えてますね。フィルとかは、今よく使われてるようなものを使いたくなくて、自分で生み出すようにしてます。