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INTERVIEW

Japanese

The Shiawase

2020年12月号掲載

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Member:仲井 陸(Vo/Gt) 木村 駿太(Ba/Cho) 神谷 幸宏(Dr/Cho)

Interviewer:稲垣 遥

-というのは、具体的にはどの部分が?

仲井:ブルースですかね。ブルース進行じゃないところとかは、細かく言うとブルースじゃないって言う人もいるかもしれないですけど、ブルースにそれこそJ-ROCKのサビっていう概念をつけ加えていて。今の若い子はブルースをたぶん知らないんで、これを聴いて"うわっブルースだ!"とは思わないんだろうけど、知らない間にブルースを初めて聴いているっていう現象が起きるかもしれない。僕はブルースが大好きなんで、大衆音楽にブルースを、もう1度あの時代を戻したいという。俺たちがやらなきゃ誰がやるんだってところですね。

-ブルースを今の若い世代に届ける橋渡しになりたいんですね。

仲井:そうですねぇ。なりたいなと思ってます。

-1950年代のアメリカのコーラス・グループのような甘~いバラードから、ゴージャスなミュージカルとか、ビッグ・バンド・ジャズのような展開になって、率直に欲張るなぁ~って。

一同:(笑)

仲井:いろいろ取り込んじゃうんですよねぇ~。

-デモ段階からここまでのイメージがあったんですか?

神谷:でも、徐々にだよね。足して足して。

仲井:最初本当にシンプルな感じだったんだけど、オルガンを入れたくなっちゃって、ギターを抜いて。"うわっこれアカペラ入れたいなぁ"ってなってそれも入れて。

-いろんなジャンルが入っているぶん演奏は難しかったんじゃないですか?

仲井:意外とすんなりって感じだったかなぁ。

神谷:僕はそもそもブルースの曲とかあんまりわかんなかったし、サビ終わりの2AのところでB.B. KINGを真似してやったんですけど、自分が通ってきてない道だったので、慣れるのに苦労しました。そこは練りましたね。

-そうしてリスナーとしても思いっきり振り回されたあとの、最後の「ひとつよしなに。」がめっちゃいい曲で。これが恋愛以外のことを歌った曲ということですね。バンドのことをすごくまっすぐに歌っています。

仲井:歌詞の方向性が定まらないまま曲を作り始めて、最初は恋愛の歌にしようと思ってたんですけど、僕はメンバーが好きなんで、LINEのトーク履歴をバンド組み始めのときまでぐーっと遡ってて。そしたら駿太が俺をバンドに誘ってくれたときのLINEが出てきて、"うわー! こんなんやったなー"って。"今日のスタジオ楽しかったよ"とかわざわざ送ってきてくれてて。

木村:(笑)

仲井:忘れてたなーって感じて。ドラムがやめちゃったときも、"どうしよう? でも、バンドは続けたいし"ってなったんです。そこで仲がいいバンドっていうのが僕は理想だったんで、神谷しかいねぇなとなって、俺たちがどうやって神谷を口説こうかと話してる相談のLINEも出てきて。"俺が直接神谷にバンドやろうって言うのこっぱずかしいから駿太言ってくれ"みたいな。

木村:あったね(笑)。

仲井:で、言ってもらって、俺が駿太に鬼のようにLINEして"どうだった!? 返事きた!?"、"迷ってるらしいよ"って。

一同:(笑)

仲井:初心じゃないけど、あの頃の気持ちを思い出したんで、ここで1曲作ってみようと。

-この仲井さんの想いが込められた曲をやろうと言われたときの、木村さんと神谷さんの気持ちもぜひお聞きしたいです。

木村:僕は、めっちゃ恥ずかしかったんですよね(笑)。まさかバンドの曲になると全然思ってなくて。素直に嬉しいけど、その気持ちが恥ずかしい。3人の仲を知ってくれてて、且つバンドも知ってくれてる、例えば親とかに聴かせたときは喜んでくれてるというか、感動してくれてて、嬉しいんですけど、今聴くとやっぱり恥ずかしいですね。

-まだライヴではやってないんですか?

仲井:やったよな。

木村:ライヴでやるときはいいんですけど、改めて聴くとね。

神谷:最初歌詞がLINEで来たときに、陸が遡って見たトーク履歴と共に来たんですよ。

仲井:そう、全部スクショして送ったんですよ。

神谷:この気持ち忘れてたなぁって僕もなりながら......涙出そうになりました。

仲井&木村:(笑)

-そうですよね。神谷さんが知らないところで行われてた、仲井さんと木村さんが、神谷さんを誘うときのやりとりも見ちゃったわけですし。

神谷:そうですそうです。

仲井:たしかに、せやせや。"絶対神谷がいい!"とか言うのも。

神谷:本当にちょっとウルッてきましたね。

仲井:はははは! 歌入れのときもふたりがいたんで、恥ずかしかったですけどね(笑)。

-全員ちょっと照れ臭い気持ちでレコーディングしてたんですね(笑)。曲の中にも出てきますが、あの狭いお風呂に3人で入っている前のアーティスト写真、素敵ですもんね。

仲井:あれテレビで使えなかったんですよね。乳首が出てたらダメって。

一同:(笑)

仲井:でも、よく俺ら3人でお風呂入ってるからね。

木村:そうね。

-よく(笑)?

仲井:遠征行ったときとか、だいたい3人で一緒にお風呂入るんで。

木村:わざわざ(笑)。

仲井:楽しいんですよね~。

-たしかに、"気色悪い~!"って言いながら仲間と笑ってるとき、一番楽しいですもんね。ちなみに、昨日(※取材は11月18日)公開された新しいアーティスト写真はトリオ漫才師風ですが。

仲井:僕がお笑いをめちゃくちゃ大好きすぎて。M-1の予選とか応募しようかなと思ってるくらいお笑いが大好きなんです。コントとか漫才とか、めちゃくちゃ見てます。

-じゃあ、憧れの写真が撮れたんですね。これまた別のインパクトがあります。

仲井:あれはいいですね。

木村:やってやったね。

仲井:こんな自由な感じでいいのかな? って思うんですけどね。誰もやってないアー写になったからいいかなって。

-タイトルやジャケットの不思議なインパクトも強いですが、なぜ作品名は"OHANAMI"になったんでしょう?

仲井:簡単に言うと、お花の匂いとかって当たり前のように鼻から嗅ぐし、音で匂いは感じられないじゃないですか。でも、そういう概念を覆そうっていうか。僕らが歌う歌や音を耳から聴いて、音で伝える匂い感。難しいなぁ~!

-新しいものを作りたいっていうので、音だけじゃなく、その曲が描くものの匂いが感じられるような曲を作りたいと?

仲井:そうですね。"赤い感じの曲"とか、なんとなくわかるじゃないですか。音楽って色とか風景とか見えるんですけど、匂いってあんまりないというか。そういう新しい、いろんな音楽の聴き方を生み出したいんです。

-それで耳のようなものがジャケットに入ってたりもするのかもしれないですね。では、振り返ってみて、改めて本作はどんな作品になりましたか?

神谷:挑戦的な感じではあるかな。俺らがやんないと誰がやんだっていう。

仲井:僕らにしかできないと思うんですよね。今回もうジャンルっていう縛りがなくなっちゃったっていうか。

-そうですね。曲ごとのサウンドの印象が違いすぎて、どれがこのバンドのメインとするところなんだろうって。全部聴いたときに、"あぁ、全部なんだな"と思うんですけど。

仲井:メインがないんですよね。ジャンルを飛び超えちゃったっていう感じですね。

-懐かしいを越えた50年代の洋楽のエッセンスもあるし、はっぴいえんどみたいなニュー・ロックなテイストの曲もあるし、「ひとつよしなに。」はみんなに届くような、それこそミスチル(Mr.Children)みたいなロックからポップ・ソングになっていくメロディの強さもあるし。本当にオール・ジャンルだなと思いました。

仲井:はい。嬉しいですね。このバンドはこのジャンルみたいなの、なんとなくあるじゃないですか。例えば、"FOLK"とか"LOUDROCK"とかっていうタワレコのジャンルがあると思うんですけど、"どこに置けばいいんだ!?"とタワレコの人が困るのがいいなって。

-リリース後は、名古屋でリリース・パーティー("めっちゃしあわせやんvol.4")が予定されていますね。

仲井:前回の『こたつ』っていうCDのツアー・ファイナルの名古屋編が、コロナでできなくなっちゃったんですよ。対バンのLUCCIとpostmanはそのときと同じメンバーなんです。できなかったから、リベンジさせてくれということで誘わせていただいて。

木村:会場(名古屋Party'z)もおんなじなんですけど、思い出の場所で、The Shiawaseの初ライヴをやった場所なんで、そこでもう1回新しいCDのライヴがやれるってことで、気合入れて頑張れればなと思います。

-では最後に、バンドが目指しているものや、今後思い描いていることがあれば教えてください。

仲井:まぁ、伝説......歴史に名を刻むバンドになることは間違いないと思うんですけど、"世界一"です! 日本を飛び越えていきたいです。