Japanese
Ran
2020年08月号掲載
-「悲劇ごっこ」はストレートな想いが叫ばれている曲ですが、こちらについてはいかがですか?
これは言葉にするのはすごく難しいんですけど、友達関係でも恋愛関係でも、いろいろ依存しあって成り立っているなって感じたときがあって、そういうことを歌にしたいなと思って書いた曲で。自分の周りの人とかが全部敵に見えるというか、自分にいいことを言わないというか、そういう存在に思えてしまったんです。それでも、その人がいないとたぶん自分は生きていけないし、自分はその人に支えられているのにっていう心の中の矛盾というか、距離感みたいなものを表現した曲になってます。
-この曲は"お前"というワードに思わずドキっとしてしまいます。
あはは(笑)。「黒い息」もそうなんですけど、この曲もすごくスピーディにできた曲なんですよ。"お前"っていう単語とかは、衝動的に出てきているんじゃないかなって思います。
-心の闇みたいなのがダイレクトに表れたというか。
ほんとに嫌いだった......(笑)。
-(笑)サウンドとしては、芯のあるバンド・サウンドの中にある繊細なピアノの音に、想像力をかき立てられる感じがありました。こういうバンド・サウンドでいこうと最初から考えていたんですか?
そうですね。「悲劇ごっこ」に関してはバンド・サウンドがメインにあって、さっき言ったような、いないといけないけど心の中では嫌いだと思っている、そういう部分をどうやって表現するかっていうのを考えて作りました。
-また、「靡かない」は、"僕"と"君"が登場する曲が多い中で、今作の中では唯一"わたし"と"あなた"になっていて。Ranさんのパーソナルな想いがより表れているのではないかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
この曲は私が初めて書いた曲なんですよ。その当時の原曲とはちょっと違う講成なんですけど、どうにかこのミニ・アルバムには入れたいなと思って。思い出の曲ですね。
-そうだったんですか。
届きそうで届かないというのをメインにした曲ですね。
-その想いが届かない様を"ふらり 宙を舞って"、"靡かない"と表現するところにすごくグッときました。この曲は特にシーンが目に浮かぶ言葉が使われている気がして。
嬉しいです。"靡かない"って最初読めましたか(笑)?
-最初見たときは一瞬"なんて読むんだろう......"とはなりました(笑)。この言葉はどういうイメージで出てきたんですか?
これは、カーテンが風で靡いてひらひらしているのを見て生まれたんです。"靡いてんな~"みたいな(笑)。
-カーテンもカーテンでいろんな物語を生みますよね。この曲は誰かに向けて歌っていたりはしますか?
なんか、こういう恋愛って結構あるじゃないですか。特定の相手に向けたというよりかは、周りの友達の恋愛とかも織り交ぜながらできていった曲なので、より本物のを取り入れたものになったと自分の中では思ってますね。
-今作はいろいろな感情や視点に寄り添った6曲が収録されているなと思いました。
人の感情ってどこにどう転ぶかわかんないところがあって、今書いている曲とかもそうなんですけど、生まれる感情の一個一個にパズルのピースを合わせるように一曲一曲を書いていくというか、そういう作り方がやっぱり楽しいなって思いますね。
-Ranさんは曲を書くスピードは結構早いほうなんですか?
いやぁ~遅いですね。書こうって思うと書けないというか。いつも、ちょこちょこ作って終わっちゃいますね。だからダメなんですよ私(笑)。
-いやいや(笑)、曲の欠片がたくさんあるってことですから。ステイホーム期間とかは、結構音楽に向き合うことも多かったですか?
曲という曲は全然できなかったですね(笑)。自粛中って、時間があり余っていたじゃないですか。いろんな本とか、映画とか、いつもはテレビも観ないんですけどテレビを観るとかしてたんです。ひとりが好きと言いつつも普段は誰かと会って話をしてるから、ひとりでいていろんな情報量がバッと来ると、いっぺんに自分の身に起きたことかのように受け止めてしまって。だから全然でしたね。
-そうだったんですね。では、改めてミニ・アルバム『無垢』を振り返ってみてどんな作品になりましたか?
自分自身にたくさん向き合って書いた曲ばっかりで、誰かのためにとかじゃなくて、誰しもが絶対一度は感じたことがあるような感情に寄り添う曲をたくさん詰め込んだ作品になっています。聴いていただいて、一曲一曲のストーリーというか、こういうときにこの曲を聴こうかなとか、いつまでも付き合えるような曲になってくれたら嬉しいなと思います。いろんな人に聴いていただきたいですね。
-そして、8月9日にミニ・アルバム購入者特典として、"20th Birthday生配信Live"が決定しています。20歳になって初めてのライヴということもあり、こちらはどんなライヴにしたいと考えていますか?
対バンとかはよくあったんですけど、自分ひとりでやるライヴっていうのは初めてなので、それこそ今作みたいにひとつひとつの感情に寄り添うように、1から10まで、10以上のものを届けられたらいいなと思っています。
-今は配信ライヴも増えてきてますけど、3月とか4月はライヴやイベント自体が中止になったりすることもRanさん自身あったと思うんです。そういうときに何か思うことはありましたか?
ライヴできないの、悲しいですよね。唯一自分が心から楽しいとか、歌えているって思える場所だったので。人に自分の歌を届けられないっていうのももちろん悲しいんですけど、自分が救われる場所がなくなったというか、そういう気持ちになりましたね。
-本当にそうですよね。8月9日の配信ライヴは配信だからこそ、何か考えていることとかってありますか?
そうですね......配信ライヴはすでに2回やったんですけど、配信ライヴ独特の空気感というのをすごく感じて。正直、ライヴはお客さんがあってこそのものだと思っているんですけど、そのお客さんがいないっていうのを踏まえたうえでやらなければならないので、ライヴと遜色ないようにしたいと思っています。
-では最後に、今後の目標などがありましたら教えてください。
自分が歌えているものってまだまだ100のうち5くらいだと思っていて。今までの自分のこういうものじゃなきゃいけないとか、こういう人じゃなきゃいけないとか、そういう概念をいったん置いて、いろんなところから生み出せるようになりたいなと考えてます。魅力的な人に出会ったら、その人からインスピレーションを受けて曲を書いたりとか。周りにいる人で、こういう考えを持ってる人とはあんまり話せないなって思ったりするんですけど、最近すごくもったいないことをしてるなって思うようになったんです。今は自分中心の歌ばっかりなんですけど、また違った次元の歌を歌ってみたいなって考えていますね。
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