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INTERVIEW

Japanese

Organic Call

2020年06月号掲載

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Member:平田 真也(Vo/Gt) カワカミトモキ(Gt) 植木 貴士(Ba) きっつー(Dr/Cho)

Interviewer:山口 智男

-今回新たな挑戦はありましたか?

きっつー:Organic Callの曲に、16分のハイハットを使った曲があってもいいなと思っていたタイミングで、真也が「眠れない夜には」を投げてきて、"これ、合うんじゃないか"と思って入れてみました。「空を飛べるように」もAメロで、これまでやったことがないタムの使い方をしています。もともとタムはかなり多用するタイプなんですけど、「空を飛べるように」のタムの使い方は新しいかもしれない。そんなふうにこれまでやったことがないドラムを各曲に散りばめてみました。

-「眠れない夜には」はベースも聴きどころですね。

植木:全曲でフレーズやプレイが被らないようにできるかぎりこだわりました。シンコペーションとか、細かい抜き感とか、音の動かし方とか、かなり気を使ってアレンジはしているんですけど、中でも「眠れない夜には」はドラムのビートが細かいっていうのもあって、ベースはどういうふうにバンドを支えたらいいんだろうとか、逆にベースが遊べる瞬間はどこだろうとか、どんなふうに遊ぼうかとか、全体のバランスを気にしながら網目を縫うようにフレーズを作りましたね。

-カワカミさんは?

カワカミ:フレーズで言えば、おいしいフレーズを曲のどこに持っていくのが一番いいかとか、変に使いすぎないとかを気にして、そのフレーズも一音一音これまで以上にこだわりながら考えました。

-「海が見える街」のMVの中で、カワカミさんはギブソンのセミアコを弾いているじゃないですか。これまでのMVではフェンダーのテレキャスターだったと思うんですけど、ソリッド・ボディーのギターを弾いていたから、おやっと印象に残ったんです。ギターを変えたんですか?

カワカミ:そうです。ライヴをしながら音の厚みというか、パワーがリード・ギターとして足りないと思うようになって、ギターを変えなきゃと思っていろいろ探しているときにギブソンのES-355に出会って、"これだ!"となったんですよ。これまでプレイが丁寧すぎると言われることもあったんですけど、(ES-355には)僕が求めていた荒々しさが音にあったんです。そういう音を求めて、まずピックアップをハムバッカーにしようと思っていたんですけど、レスポールは弾いている人が多いじゃないですか。でも、ES-355を弾いている人って対バンでもあんまりいないんですよね。それもあっていいなと思っていたら後輩が持っていて、"今使ってないから弾いてみます?"って言うので、借りたら音ががらっと変わって、その評判が良かったんです。今回のレコーディングもES-355でやりました。

-きっつーさんもおっしゃっていたように平田さんの歌声も大きな魅力ですが、歌いながらラ行が巻き舌になるところがユニークですよね。

平田:あぁ、そうですね。初めは意識していなかったんですけど、言われるようになってから、入れるように......っていうか、入れるべきところには入っちゃうんです(笑)。

きっつー:感情を込めるところでそうなるみたいですね。

平田:でも、自分の声ってめちゃめちゃ嫌いだったんですよ。みんなそうじゃないですか?さすがにレコーディングした自分の声を聴く回数が増えたから、もう慣れましたけど、初めは曲を作るときにボイスメモに録音した声を聴いても、"気持ち悪"ってなってたんですよ(笑)。

-今回ヴォーカリストとして新たに取り組んだことはありましたか?

平田:これまでと変わらないんですけど、「海が見える街」と「flowers」は初めて女性コーラスを入れました。明くる夜の羊ってバンドのカワノユイ(Vo/Gt)って子に歌ってもらったんです。前回の作品からアコギも入れていて、次はまた新たに何かしようかなと考えています。最初はレコーディングするだけで精一杯でしたけど、やっと要領が掴めてきていろいろ考える余裕が出てきたんです。そんなふうにやれることが増える感覚が楽しいんですよ。

-最後を締めくくる「春は巡る」は、"僕らは"と歌っていることと最後全員でコーラスをしていることを考えると、このバンドの決意の歌なのかなと想像できるのですが。

平田:バンドというよりは、自分自身ですね。6曲の中で一番気に入っているし、一番聴いてほしい曲なんです。今回自分と誰かというテーマがあるとお話ししましたけど、歌詞の最後に"孤独を抱えて行け"とあえて相反するような言葉を入れたんですよ。6曲通して自分と誰かということを意識しながら書いたんですけど、結局生きていくうえで何かを決断するとき、誰かがいたり、誰かの後押しがあったりしたとしても、最終的に決めるのは自分だと思うので、それを全6曲の最後に込めたっていうのが自分の中では大きいのかな。誰しもが孤独であって、何を決めるにしても、結局決断を下すのは自分でしかないという結構重みのある6曲目なのかなとは思います。

-ライヴをいつ再開できるかわからない状況ではあるのですが、最後に今後の展望を聞かせてください。

きっつー:今回のミニ・アルバムは全国とはいえ、置いてもらっているのはTOWER RECORDSさんの約30店舗だけなので、もっと多くの人に聴いてもらうために、全国津々浦々のお店にCDをちゃんと置きたいという気持ちはすごくあります。でも、それは展望というか、今後必ず実現させたいことのひとつなのかな。どんどん曲を出して、どんどん全国で聴いてもらえる人や、ライヴに来てもらえる人を増やしていきたいですね。

カワカミ:Organic Callはもともとライヴの本数が多いバンドなんです。ツアー以外でも遠征もするんですけど、今年それができないなら曲作りや制作に力を入れようという話をしています。ライヴが再開できたらもちろんライヴしながらですけど、より良いものを世に出したいと考えていますね。

植木:より良いものを作るという意味では、今回真也の世界観が広がってきたと思うので、次は我々3人から真也に何かしらアプローチしていけたらいいですね。バンドの世界観を広げつつ、もっと深く深くバンドの音楽性を追求していきながら、もっとたくさんの人に聴いてもらえるように活動していければいいなと思います。

-最後に、平田さん。

平田:昔から変わらないというか、スタジオでばっと音を鳴らして気持ちいいとか、ライヴでみんなの前で演奏して気持ちいいとか、マスタリングした音源をスタジオで初めて聴く時の高揚感とか、これからも常に持っていたいんです。それにはバンドを続けるってことが一番なのかなと思うので、バンドのステップアップは当たり前にやらなきゃいけないことなんじゃないかなと。それは当然クリアしてワンマン・ライヴ、全国流通、さらにはメジャー・デビューなのか、海外進出なのか、いろいろ限りはないと思うんですけど、何よりも音楽を始めた最初の気持ちをずっと持っているようにしたいです。それが一番ですね。経験を重ねれば重ねるほどそれを維持しながら活動を続けるのは難しいと思うんですけど、僕は絶対持ち続けたまま音楽には向き合うつもりです。

-曲を作るうえでスランプになることはないですか?

平田:レコーディング前はそういう気持ちになることはあるけど、曲が書けなくなることは今までもないし、これからもないような気がします。いずれは来るかもしれないですけどね。でも、曲ができたときの喜び、それを聴いてもらったときの喜びを知っているんで、たぶん無限に作れる気はします。ライヴの楽しさも知っちゃっていますしね。だから、もう戻れないと思っています。