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INTERVIEW

Japanese

Sentimental boys

2017年04月号掲載

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Member:上原 浩樹(Vo/Gt) 櫻井 善彦(Ba)

Interviewer:吉羽 さおり

-今回リリースとなる1stミニ・アルバム『青春が過ぎてゆく』は、会場限定発売の『グッドバイ e.p.』(2016年リリース)に新たな曲を加えた作品です。もともとの『グッドバイ e.p.』の作品像とはどんなものですか。

櫻井:EPは、フレーズをループさせて音を足したり引いたりして展開を作って、且つ無機質な感じで、という音楽性を目指して作った3曲だったんです。その前の1stフル・アルバム『Parade』(2015年リリース)は、ストレートで熱量のあるものを目指していたのもあって、真逆ではないですが、違うことをやってみたいということで、そういう3曲を作りました。

-新しいことへの手応えはありましたか。

櫻井:ありましたね。それがうまくいったというか。正直、前作と別れを告げるという意味でも、"グッドバイ e.p."というタイトルだったりしたのかなって思うんです。

上原:音数もだいぶ減りましたしね。

櫻井:ただ、これはこれでよかったんですけど、やってみたあとに、その雰囲気を引き継ぎつつも、有機的な、人間味のあるところをミックスして曲を作りたいと思って。それで作ったのが、今回後半に入ってる2曲、「はっぴいな日々」(Track.4)と「青春が過ぎてゆく」(Track.5)なんです。

上原:むちゃくちゃ人間味がありますね。


音楽でも映画でも、余白があるものが好き。その方が可能性が広がると思うんです


-歌詞の世界は、先ほど言っていたように語りすぎない部分がある。そのぶんサウンドで、コード感や音の余韻で、情感を描くことを大事にしてるんだろうなと思うんですが。この、音で景色を描写する感じは、デモの段階からあるんですか。

櫻井:デモを聴かせたときに、できるだけメンバーが情景を思い浮かべてくれるような努力をしますね。

-バンドでアレンジしていくときに、曲のイメージを具体的に伝えるんですか。

櫻井:ここはどういう景色がいいとか、抽象的には言いますけど、基本的には"この曲はこういう曲だからこうしてほしい"というのは言わないんです。

上原:それも歌詞と同様に、説明しすぎないことで、メンバーそれぞれ自分の世界を持ち込めるっていう。聴いている人もたぶん同じだと思うんです。

-イメージする景色としては、どんな感じが多いですか。

上原:原風景じゃないですかね、やっぱり。

櫻井:1stフル・アルバム『Parade』のころは、"田舎から出てきた僕ら対東京"みたいな方向性を目指していたので。どちらかというと都会に向けて歌った曲が多かったんですけど。最近は、僕らの地元の長野県上田市とか、そういう町で起こっている感じというか。

-曲が呼ぶ、どこか懐かしい感覚や、香りはそういうところから来るのかもしれないですね。歌詞を書くときには、あまり描きすぎないというのがあるけれど、もととなるものには自分の経験も反映しているんですか。

櫻井:そもそもなんで歌詞で直接的な表現を避けているのかというと、音楽でも映画でも、余白のあるものが好きなんです。聴かせた段階で、その曲は聴き手のものになると僕は思っていて。その方が可能性が広がると思うんです。こういう曲だから、こういうふうに聴いてほしいという人もいるかもしれないし、それもわかるんですけど。僕は、それはもったいないなと思う。自分の曲は、聴き手の自由な解釈で聴いてほしいなというのがまずあるんです。ただ、嘘は書きたくないので。ところどころで、自分の言葉は散りばめていますね。共感できないことは書きたくないんです。

-Sentimental boysの曲には、何かを失ってしまった、欠けてしまった切なさが描かれますが、そこに甘美な雰囲気があるんです。

上原:あぁ、めっちゃわかります。その甘さって、ひとつのワードだけでも十分なんですよね。1ワードでも甘さがあれば成立するというか。悲しいだけじゃない、その甘さがあることで、救われるみたいな感じで。僕らの曲はそういうものな気がしていますね。

櫻井:僕も、そういう曲に救われてきたので。ただ悲しいだけとか、そういう曲は書かないようにしてます。

上原:だから、ちゃんと最後まで聴いてほしいですね(笑)。

-たしかにそうですね(笑)。先ほど言っていた映画や音楽でもそういった作品が好きですか。

櫻井:過去について歌った曲や、古いものは大好きですけど、過去を美化しているわけではないんですよね。あくまで、過去があっての今というか。それは、歌詞でも曲でも、出ていると思います。

上原:暗黒時代があってのね、今という(笑)。

櫻井:そういうことです(笑)。

-今回のアルバム・タイトルでもある"青春が過ぎてゆく"なんて、まさにそのいい余韻がありますね。過ぎていくことに悲しみや切なさもあるけれど、それだけじゃないというか。

櫻井:そうです、終わってないですからね、過ぎていくっていう。

上原:過ぎていくこの先にもあることを説明しているような感じですね。