Japanese
2022.09.18
"WILD BUNCH FEST. 2022" ※開催中止
山口きらら博記念公園
台風14号の影響により開催が不可能と判断し中止。詳細はこちら
"WILD BUNCH FEST. 2022"
9月18日(日)山口きらら博記念公園
開場 9:45 / 開演 11:15
出演者:KANA-BOON / キタニタツヤ / Creepy Nuts / クリープハイプ / ザ・クロマニヨンズ / Ken Yokoyama / Saucy Dog / the shes gone / Tele / The Birthday / 羊文学 / 04 Limited Sazabys / My Hair is Bad / マカロニえんぴつ / Mr.ふぉるて / 優里
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MUSIC VIDEO
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Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)
かつて天才だった俺たちへ
今や音楽関係のみならず、多方面で目にする存在になった彼ら。その躍進の中で得たものを落とし込みながら、ヒップホップ然としたコア部分も研ぎ澄まされた見事な作品だ。菅田将暉を迎えたロック調の「サントラ」は、ビッグなコラボのインパクトに負けないふたりの気合が爆発し、菅田と亀田誠治、ピエール中野(凛として時雨/Dr)、加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ/Gt)、津野米咲(赤い公園/Gt)が参加の「日曜日よりの使者」は、原曲へのリスペクト満載のリリックが加わり気さくな魅力を生む。そんな客演を迎えた曲を挟む形で、自虐的な彼らならではのフローで未来を切り拓く表題曲、ライヴへの欲求を禁断症状的に妖しく炸裂させる「ヘルレイザー」などを収録。聴くほど気づきがあり、彼らの包容力に触れられる。
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Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)
INDIES COMPLETE
昨年末にメジャー・デビューし、今春には初フル・アルバムをリリースしたCreepy Nutsのインディーズ期曲コンプリート盤。フリースタイルMCバトル、ソロ活動を経たR-指定がDJ 松永と正式にタッグを組み最初に世に出した「刹那」は、"負けてたまるか"とルサンチマンを荒々しく見せる1曲。それを皮切りにほぼ発表順にトラックを並べた今作は、ふたりのドキュメンタリーでもある。お得意の攻撃性や自虐性、キャッチーさが目立つ曲だけでなく、自身の立ち位置を見つめ直す、ロー・テンポで叙景的な「朝焼け」も沁みる。さらには、今や代表曲となった「合法的トビ方ノススメ」、「助演男優賞」の、盟友 SPARK!!SOUND!!SHOW!!による幻のリミックス版も収録。狂騒も耽溺性も増し増しの見事なコラボは必聴だ。
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Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)
高校デビュー、大学デビュー、 全部失敗したけどメジャーデビュー。
権利関係がクリアできず、当初8月だったはずのメジャー・デビュー自体が延期になったという最強のオチまでついたデビュー・シングル。"メジャー・デビュー"そのものがテーマで、R-指定が地元の知人に様々なダメ出しを食らう「メジャーデビュー指南」、そしてTrack.2には構成作家に佐藤満春を迎え、6月に生配信されたWEBラジオ番組を完全収録。約1時間に及ぶリスナーからの悩み相談もまさに"デビューに失敗した人たち"をどこか優しく笑い飛ばす内容。それを受ける形で、楽曲としてこんな目立ち方をしたらハブられる、でもどんな失敗も無駄じゃないことを歌う「だがそれでいい」に着地。"負け"の定義なんて大人になれば変わる、今まさに戦うキミには力になってくれるCreepyからの知恵の結集だ。
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androp
SOS! feat. Creepy Nuts
話題のヒップホップ・ユニット、Creepy Nutsとandropがともに作り上げた(アンチ)サマー・アンセム。2016年10月にリリースした『blue』で人間のダーク・サイドに対峙したあのandropがと考えると、その振り幅に驚かされるが、レゲエに挑んだ「Sunrise Sunset」も含め、音楽的な収穫はかなり大きい。アンセミックなサビは彼ららしいと言えるものだが、R-指定によるラップ・パートはDJ松永にトラックメイキングを任せたことで、andropはこれまでにないファンキーな演奏にチャレンジ。映画"2001年宇宙の旅"で有名な「ツァラトゥストラはかく語りき」のフレーズをサンプリングするという初めての試みとともに、今回の収穫が今後の曲作りにどう反映されるかが楽しみだ。
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Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)
助演男優賞
逆境をバネにして夢に向かうタイプがバンドに多いとしたら、現状をそのまま綴りながら笑いを作り出し、リスナーにとっての間口を多く作るという作業を自然とやっているのが、モチベーションは似ていてもCreepy Nutsのやっていることなのかもしれない。キャッチーなサビとオールドスクールな渋いトラックメイクにセンスが光るタイトル・チューン「助演男優賞」、ドン・キホーテ側にもヴィレヴァン側にも居場所がなかった、けどどっちのカルチャーも知ってるし、的な「どっち」、シリアスでスモーキーなサウンドが不穏且つ鋭く、自分たちの今の立ち位置を綴る「未来予想図」もリアル。音楽好きなら聴けば聴くほど、堀り起こされる音楽的エレメント、リリックの多重構造も濃い。
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KANA-BOON
ソングオブザデッド
捲し立てるラップ調のパートで焚きつけ、パッと開けるキャッチーなサビで躍らせる。そんなアッパーチューン「ソングオブザデッド」は、ゾンビ・パンデミックによりブラック企業から解放された主人公の"ゾンビになるまでにしたい100のこと"を描くアニメを盛り上げる人生讃歌。"遊び疲れるまで生きてみようぜ"と歌うこの表題曲に対し、カップリングに収録されたのはその名も「ソングオブザデッド 2」、「ソングオブザデッド 3」と早速遊び心が。10周年を迎えたバンドのいい意味で肩の力が抜けた余裕が垣間見える。アニメのテーマにとことん寄り沿った一貫性を持つ本作は、ゾンビとコロナウイルス、状況は違えどパンデミックに陥り混沌とした日々を生き抜いてきた我々にも通ずる、シリアスな世の中もポジティヴに照らす1枚だ。
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KANA-BOON
恋愛至上主義
KANA-BOONは卓越したキャッチーなメロディや言葉遊びが注目されがちだが、バンドの名を一躍シーンに知らしめた「ないものねだり」や、疾走感で一気に駆け抜けるポップ・ナンバー「1.2. step to you」など、キャリア初期からBPMの速い四つ打ちを得意とする一方で、ストレートなラヴ・ソングを歌い続けたバンドだと思う。そんな彼らが、"恋愛"に焦点を当てたコンセプト・アルバム『恋愛至上主義』をリリースする。"10th Anniversary Edition"には、十八番とも言える失恋ソング17曲(上記2曲も収録)をコンパイルしたベスト盤CDも付属。今年9月にメジャー・デビュー10周年を迎えるバンドが重ねてきた年輪を、"ラヴ・ソング"という側面から堪能してみてはいかがだろうか。
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KANA-BOON
Honey & Darling
谷口 鮪(Vo/Gt)の復帰を祈り待っていたファンへのアンサー・ソングでもある「Re:Pray」から始まる本作は、タイトルに"あなたは誰かにとって特別な存在である"という思いが込められたように、彼らにとっての特別な存在に届けたい温かいメッセージに溢れている。深い悲しみの中で生まれた楽曲たちは、自分自身を勇気づけるように希望を歌い、聴く者の孤独を救うように語り掛ける、共に生きていくための歌だ。バンドを象徴するキャッチーさはそのままに、より深みを増した歌声と演奏。ファンと共に苦境を乗り越えた今の彼らにしか出せない音、伝えられない言葉が心を震わす。そして、生きづらさを歌いながらもポップに響くサウンドがグッとくる1曲「メリーゴーランド」が、心に暖かな光を灯しアルバムを締めくくる。
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KANA-BOON
Re:Pray
前作「HOPE」が暗闇に一筋の光を見いだしたばかりの第一声だとしたら、今回は"新たなる祈り"と題されているだけあり、一歩踏み出した決意表明だ。バンド・サウンドの生々しさで勝負しつつ、風を顔に受けて前進するような感覚をマンドリンの響きで繊細に表現してもいる新鮮味も。本当に曲に必要な音を選び抜いたサウンドスケープはまた始まるバンドの日々(3年ぶりのツアーも含め)への希望だ。カップリングにハード・エッジなサウンドと忌憚のないメッセージを込めた「右脳左脳」を収録する感じは、『シルエット』時の「ワカラズヤ」などを想起させるシングル定番スタイル。カラッとしたR&Rで"生きてたらいいことあるかも"と歌う「LIFE」も最強に泣けるし笑顔になれる。早くライヴで会いたい曲ばかりだ。
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KANA-BOON
Torch of Liberty
KANA-BOONの約9ヶ月ぶりとなるニュー・シングルのキーワードは"解放"。思わず手拍子をしたくなるハイテンションなイントロで始まり、そのまま失速することなく展開される軽快なギター・リフは、まさに抑圧された空間からの解放を感じると同時に、ライヴハウスで披露した際の盛り上がりと興奮を想像させる。まだまだ日々の生活にも音楽活動にも制限がかかる世の中ではあるが、希望の火を灯し続け、あらゆる規制が解除されることと、現在休養中の谷口 鮪(Vo/Gt)が再び元気に歌声とギターの音を響かせてくれることを待ち続けたい。カップリングにはリフレインする歌詞が彼ららしい「センチネル」と、夕暮れ時の儚い一瞬をメロディアスに歌った「マジックアワー」の2曲を収録。
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KANA-BOON
KANA-BOON THE BEST
7年間の軌跡を全シングルと代表曲、そして、バンドとファンにとって思い入れの深い全30曲に収めた初のベスト・アルバム。DISC 1 は、10年代前半の邦楽ロック・シーンを彼らが象徴することがわかる楽曲が多いうえで、KANA-BOONならではの切なさやリアリティが溢れるレパートリーが満載だ。加えてインディーズ時代の「スノーエスカー」を再録しているのも聴きどころ。DISC 2は谷口 鮪(Vo/Gt)のDTMによるデモ制作が軸になって以降の、アレンジや新しいサウンド・プロダクションの進化が窺える楽曲揃い。バンドのスタートでありパーソナルな歌詞に突き動かされる「眠れぬ森の君のため」、そして、最新曲とも言える「マーブル」もバンドの現在地であり核心。新旧2曲の対比も味わいたい。
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KANA-BOON
スターマーカー
新体制後初シングルには金澤ダイスケ(フジファブリック/Key)をアレンジと演奏で迎え、ポップスのスケール感にチャレンジした楽しげで華やかな1曲が完成した。音像のアッパーさに伴って、これまでと地続きな内容の歌詞がグッと力強く聴こえるのも面白い。本質を変えないために表現の幅を広げるという、バンドのこれまでを踏襲した作品と言えるだろう。さらに、素でワイドなサウンド・プロダクションがモダン・アメリカン・ロック的な「シャッターゲート」、これまでのKANA-BOONの代表的なメロディやビートのスタイルをアップデートさせた印象の「ユーエスタス」と、各々まったく違うベクトルの3曲を収録しているのも久しぶり。ちなみに、全曲ベースは谷口 鮪(Vo/Gt)が演奏しているのも聴きもの。
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KANA-BOON
まっさら
スタートの合図のような4カウントから走り出す8ビート。目の前が開けるような大きなコード・ワークが印象的なAメロ。シンガロングしたくなるサビ。それを支える重量感のあるベース・ライン。そのサウンドメイク自体が今の彼らの逞しさを実感させてくれる、デビュー5周年企画を締めくくるに相応しい新たな始まりの1曲だ。"独り"を前向きに捉え、普通の日常のやるせなさも認める強さを持つ。そのうえで繋がる助けになる音楽、それをKANA-BOONは作り始めたのだ。c/wの「FLYERS」はロックンロール・リバイバル的なセンスのリズムやリフの上を、言葉でリズムを作る谷口 鮪のヴォーカルが乗る小気味いい1曲。こちらもグッと太く生感のあるサウンドで、バンドの頼もしさが十二分に伝わる仕上がりだ。
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KANA-BOON
ハグルマ
B面集『KBB vol.2』収録の「夜の窓辺から」やミニ・アルバム『ネリネ』と、バンドのいい状態を示す新曲を続々発表しているKANA-BOONから、さらに新たなフェーズに入った決定打が到着。TVアニメ"からくりサーカス"のOPテーマでもある「ハグルマ」。人間の尊厳や暴力性も描く原作の強度にマッチするハードでドラマチックなサウンドと展開、竜巻のようにバンド・アンサンブルとともに暴れるストリングス・アレンジにも息を飲む。谷口 鮪(Vo/Gt)が幼少期から影響を受けてきたという作品への最大のリスペクトを今のKANA-BOONの器で見事に表現したと言えるだろう。一転、何気ない日常を余裕のある演奏で描く「オレンジ」では、彼らの過去の"夕焼けソング"からの変化と不変を味わうのもいい。
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KANA-BOON
ネリネ
夏盤と称した『アスター』と対になった本作。"ネリネ"の花言葉は"再会を楽しみに"や"忍耐"という意味を含み、冬盤らしい心象を表現した内容になっている。が、それ以上に注目したいのはこの2作が企画盤という意味合い以上に、現在進行形のKANA-BOONの音楽的な楽しさに溢れている面だ。タイトル・チューンの「ネリネ」はホーン・アレンジも新鮮な跳ねるポップ・チューン。「春を待って」は童謡「雪」のフレーズが盛り込まれ、且つお囃子的なリズム感や歌詞のフロウが融合するという、なかなかにハイブリッドな仕上がり。それでもあざとさがまったくないのがこのバンドのキャラクターを証明している。日常的で幸せな情景と真逆な情景が1曲の前後半で展開する「湯気」など、新鮮な変化に驚かされる1枚。
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KANA-BOON
KBB vol.2
これまでリリースしてきた12枚のシングルに収録されたカップリング23曲から11曲を収録。ロッキン・ソウルなニュアンスの「Weekend」やスピーディなガレージ・ロック・テイストの「ミミック」など、谷口 鮪(Vo/Gt)のその時期その時期の怒りや憤りが凝縮された曲が序盤に並び、表題曲かと勘違いするほどKANA-BOONらしい情景描写と優しいメロディの「街色」、1stシングルのカップリングで初々しさが新鮮な「かけぬけて」など、バンドの音楽的な幅も自由度も楽しめる。加えて、これからの彼らを代表しそうな、淡々としていながら強い楽曲「夜の窓辺から」は、あらゆる人が前を向ける確かな根拠がある。締めの和楽器を加えアレンジされた「盛者必衰の理、お断り (和和和 version)」で大笑いできるのも彼ららしい。
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KANA-BOON
アスター
メジャー・デビュー5周年の今年、5シーズンに5リリース、5イベントを企画している彼ら。第1弾のB面集『KBB vol.1』が結果的に怒りに寄った内容であったこととは対照的に、今回は様々な角度での恋愛がテーマ。バンドが大きなメッセージを発信するべきタイミングでの覚悟と決意を見せる表情とは違う、脆くて情けなく、誠実な谷口 鮪(Vo/Gt)の素が、楽曲という姿だが滲み出ているような印象を受ける。インディーズ時代の名曲ラヴ・ソングとは違った今の年齢なりの苦みや現実も見え隠れするのも自然でいい。タイトルの"アスター"は花言葉に追憶、信じる恋、変化などがあるそうだが、まさにラヴ・ソングだからこそ描けるリアルな心情やこれまでにないワードが頻出。その描写の瑞々しさが心を震わせる。
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KANA-BOON
KBB vol.1
これまでリリースしてきた12枚のシングルから、古くは『盛者必衰の理、お断り』の、また『結晶星』のc/wだった「ハッピーエンド」や「桜の詩」など、KANA-BOONの名曲中の名曲、そして表題曲では表し切れない側面を描いたc/w曲を合計12曲セレクト。特に「バカ」、「LOSER」、「I don't care」、「スパイラル」といった、彼らならではのポップ且つエッジーなナンバーから見られる怒りや自己嫌悪は、登場当時から谷口 鮪(Vo/Gt)が書かずにいられない感情を吐露した個性だ。そしてその最新型が新曲の「Flame」に結実。また、メロディとラップの両方を行き来する谷口のリリックとフロウのうまさ、歌を含めたアンサンブルでリズムを生む小気味よさはもっと評価されていい。ライヴで聴きたい曲も多数。
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KANA-BOON
NAMiDA
「Wake up」、「Fighter」、「バトンロード」と、内燃する高揚感を立体化した力作が続いたので、アルバムもテーマはスケール感なのかな? と想像したが、そう簡単ではなかった。四つ打ち、言葉が言葉を連れてくるような谷口 鮪(Vo/Gt)らしい言葉の運びが特徴的なTrack.1「ディストラクションビートミュージック」は一時期揶揄された十八番要素を根本的にビルドアップ。個性は個性として深化させればいいじゃないかと言っているような1曲だ。もちろん中にはかなりベタにディスコ/ダンス的な曲もあったり、音像もぐっと厚みを増していたりするけれど、何より鮪がメロディについてチャレンジし続けていること、寒くて怖い夜明け前を乗り越えるようなリアリティをずっと抱えていることはKANA-BOONのかけがえのなさだ。
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KANA-BOON
バトンロード
"NARUTO"シリーズでは4回目のタッグとなる"BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS"のOPテーマとして、物語とシンクロする部分はもちろん、これまで以上にロック・バンドが伝えてきたマインドを自分も繋ぐんだという谷口 鮪(Vo/Gt)の意志に満ちた歌詞、ストリングスも含めた厚い音塊で押せる今の力量が鮮明だ。"無我"を意味するTrack.2は谷口お得意の韻を踏んだラップ調のヴォーカルと演奏のリズムが表裏をチェイスするようなリズムの組み立てがユニーク。シニシズムと和テイスト、そしてヒップホップを料理した独自のものを作るKANA-BOONらしい出来だ。打って変わって高速ウエスタン風のTrack.3は2分ちょいのショート・チューン。いい曲も面白いこともテーマにフォーカスが合っている。
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KANA-BOON
Fighter
最近の曲作りでは、DTMで構成を練り込んだデモを作ること、自分の中で納得感が強い曲を作ることを挙げていた谷口 鮪(Vo/Gt)。2017年第1弾は得意の四つ打ちも大幅にアップデートされ、スピーディな展開にダークでソリッドな世界観も積載された、キャリア上最強のエクストリームなナンバーだ。TVアニメ"機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ"OP曲として"戦場での一瞬の輝き"をテーマに書き下ろしたという着眼点自体が、1曲1曲の強度で"勝ちに行く"、今のKANA-BOONのスタンスも反映している。展開の多さと構成の複雑さで言えばTrack.2「スーパームーン」も、パンク、ファンク、大きなグルーヴのロックまで呑み込んだ大作。一転、Track.3「君を浮かべて」はシンプルなアレンジだが、かつてないまっすぐな言葉に心が震えた。
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KANA-BOON
Wake up
アルバム『Origin』のリリースから約8ヶ月。乾いたアメリカン・ロックとトライバル感が混ざり合ったような序盤から、メロディもすべての楽器も復活祭に参加するように集まってくる構成の新しさがある。そして大サビで歌われる"言葉を紡ごう/心を震わそう"というKANA-BOONの最も太い軸に辿り着く覚醒感。瞬間沸騰ではなく、前進しながら徐々に心が沸き立つ構造に谷口鮪のソングライターとしての成長とタフさを増したバンドの力量を感じる。「Wake up」が表だとしたら、もう一方の今のKANA-BOONからのソリッドな意思表示が「LOSER」。強靭になったグルーヴそのものが現状に安住することなく、一撃であらゆるリスナーを射抜こうとする。そしてR&Rマナーを血肉化した「Weekend」の軽快さもすこぶる新鮮だ。
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KANA-BOON
Origin
前作『TIME』のエンディング曲「パレード」で夢見た場所に足を踏み入れた歓喜を歌ったバンドの痛みを伴う成長の物語がここにある。アルバムの先鞭をつけた「ランアンドラン」はともかく、ポップな「なんでもねだり」から、ラウドでソリッドな新機軸「anger in the mind」や、ドラマティックな「インディファレンス」、当世流のネオ・シティ・ポップをKANA-BOON流に昇華した「グッドバイ」などサウンドの多彩さがまず1つ。加えて、この時代を生きる20代の真っ当なオピニオンとしてのリアルな歌詞が冴える「革命」、この1年の逡巡とバンドの決意がそのまま歌詞になった「スタンドバイミー」や「Origin」といったメッセージ性が窺える新機軸。登場時の勢いとはまた違う、"今"の強さが封じ込まれたアルバム。
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KANA-BOON
ランアンドラン
前作のスプリット・シングルを含めると、なんとデビューから2年4ヶ月で9枚目のシングルとなる今作。『ダイバー』以降顕著になってきた広がりのある古賀のギターのディレクションなど、アレンジ面での深化が冴える仕上がり。大きなグルーヴを持つ8ビートと、どこかメロディック・パンク的なニュアンスも持つTrack.1「ランアンドラン」は、これからの季節、新たな環境に身を投じるあらゆる人、特に若い世代のリスナーにとって勇気の源になってくれそうな1曲。カップリングの「I don't care」は、まさにタイトルが示唆する通り、口ばかり達者で動かない奴らを一刀両断。ラウド且つタイトな音像がこれまでのKANA-BOONになかったフィジカルなタフさも感じさせる新境地だ。
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KANA-BOONシナリオアート
talking / ナナヒツジ
CDの形態が複数あるのを承知で、できればこのスプリットに収録されているトータル6曲すべて聴いて欲しい。それぐらい両バンドとも楽曲クオリティと新たな挑戦を体感できる。KANA-BOONの「talking」はファンクネスすら感じる16のグルーヴやラップ部分にロック・バンドのケレン味を感じるし、アニメのエンディングにそのヒリヒリした世界観がハマる。シナリオアートの「ナナヒツジ」で聴けるソリッドで急展開する構成も新しい。また2曲目(KANA-BOON「ぬけがら」/シナリオアート「トワノマチ」)にどちらも各々の色合いでセンチメンタリズムを喚起する楽曲を配しているのも聴き比べてみると面白い。そして"すべてがFになる"裏メイン・テーマとも言えそうなKANA-BOONの「PUZZLE」での楽器隊の豊富なアイディアとテクニカルなプレイは嬉しい驚きの連続だ。
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KANA-BOON
KANA-BOON MOVIE 03 / KANA-BOONのとぅるとぅる かむとぅるーTOUR 2015 ~夢のアリーナ編~ at 日本武道館
当日のライヴも観たが、この映像作品でもまた心揺さぶられてしまった。KANA-BOON自身が夢の舞台に立つ、そのエモーショナルな部分をどんなアングル、スピード感、質感でドキュメントするか?という1番大事な部分が素晴らしく共有されているからこそ成せる作品だと思う。正真正銘、初めて足を踏み入れる武道館(4人がいっせーので入口を越えてみたり)のシーンだったり、歌う鮪の口元、ステージからのメンバー目線の客席、スタンド最上階のファンのシルエット、宙吊りになった古賀を下から見上げる鮪と飯田の笑顔だったり、頼もしいこいちゃんの背中だったり......。演奏や様々な試みやユルユルなMCはもちろん、一回性の撮影でまるで映画のごときダイナミズムに昇華したチームKB、そしてバンドの求心力に脱帽!
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KANA-BOON
ダイバー
もとよりKANA-BOONは曲がいい。それは高速BPMと四つ打ちを特徴としていたころからなのだ。そして新たな武器を手にした「シルエット」以降のKANA-BOONがより大きなグルーヴと、谷口鮪(Vo/Gt)が音楽に生きる根拠を明快に楽曲に昇華したのが今回の「ダイバー」だろう。単に大好きなアニメというだけでなく"NARUTO"とKANA-BOONの親和性の高さは大げさに言えば運命的。今夏の映画版のための書き下ろしだが、バンドがどれだけ大きな視点で活動しているのかがわかる代表曲足りえる新曲。加えてTrack.2「スパイラル」での古賀隼斗(Gt)のイマジネーションに富むフレージングや全体的に大人っぽいプロダクションにも注目。Track.3の「街色」は鮪のファルセットから地声へのスムーズさ、背景的な音作りが新しい。
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KANA-BOON
なんでもねだり
近年、バンド/アーティストがポピュラリティを獲得する大きなステップボードになっている印象があるCM且つ好企画でもある資生堂"アネッサ"のタイアップ曲として書き下ろした「なんでもねだり」。風の匂いや太陽の熱が明らかに変わっていく季節感をサウンドやビート、リフで表現。歌詞はCMの映像にも登場する"欲張りな女の子"と彼女に翻弄されつつ、眩しげに見つめる男の子が目に浮かぶ、楽しくも青春が輝く内容に。カップリングは「ウォーリーヒーロー」から続く同質のテーマを持った、ソリッドで強い「watch!!」、アルバム『TIME』ラストの「パレード」のさらに先を歩いて行く自分たちや友達を歌った「タイムトリッパー」。これから起こるどんなことも楽しんでいこうとする彼らの今の強さがわかる。
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KANA-BOON
TIME
怒涛のフィルが時間に追われながらも全力で走る決意をタフに表現するオープニングの「タイムアウト」から、時間をテーマにしたアルバムの大きな意志に巻き込まれる。90年代後半以降の"ザ・日本のギター・ロック"な「ターミナル」の孤独と自由。雨音のイメージを増幅するギター・フレーズが美しい「スコールスコール」や、谷口鮪がパーソナルな心象を都会のどこにでもありそうな情景に溶け込ませて歌う「愛にまみれて」のバンドにとっての新生面。特に「愛にまみれて」にうっすら漂うノスタルジーを表現するコーラスの美しさはレコーディング作品ならでは。攻めの前半からメロディや歌詞の新しさにはっとする後半への流れそのものが聴き手にとっても"生きている今"になるような強い作品。
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KANA-BOON
シルエット
4カウントとギター・リフのおなじみのイントロの次に展開する開放的な8ビートが作る、KANA-BOONの新しいスタンダード、「シルエット」。思期から青春期を走りぬけ、覚えてないこともたくさんあるけれど、ずっと変わらないものを教えてくれた人たちのことを思うヴァースはライヴでも大きなシングアロングが起こりそうだ。カップリングはインディーズ時代から存在していた「ワカラズヤ」と、最新曲の「バカ」。すれ違う気持ちが一層ジリジリする恋心を浮かび上がらせる「ワカラズヤ」の愛らしさも、エッジーな16ビートに乗せて谷口のラップも交え、フラストレーションの吐き出し先のない自分のめんどくささを歌う「バカ」にも、いい意味で肩の力が抜け、曲作りに対してタフになった今の4人が見えてくる。
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KANA-BOON
生きてゆく
清涼飲料水のタイアップがついてもおかしくないような、夏らしい眩しさの中で描かれるのは、バンドで生きていくことを決めた自分が、別の道を行くことになる"キミ"との距離を描きながら、最終的には自分の決意。事実から生まれながら、長くKANA-BOONが音楽や自分と向き合うときに思い出される大切な曲になりそうな予感もある名曲だ。毎回、表題ともアルバム収録曲とも違うチャレンジングな一面を見せるカップリング。今回もこれまでにない変則的なビートが印象的なダンス・ロック「日は落ち、また繰り返す」、ドライヴ感に加えてグラマラスな印象さえある「ロックンロールスター」の2曲は、無意識のうちにも彼らが洋楽のエッセンスを吸収していることを実感。ライヴの楽しみ方の幅も広がりそうなシングルだ。
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KANA-BOON
フルドライブ
ソリッドなギター・リフ、四つ打ちのなかに部分部分でヒネリの効いたスネアが入り、谷口鮪のリリックは意味より破裂音や韻の快感を重視しているような「フルドライブ」。リスナー側がスリリングなチェイスに身をおいているような感覚が新しい。Track.2「レピドシレン」は魚ながら肺呼吸をしなければならない魚を比喩に用いたことで、焦燥と疾走を同時に焚き付けられるような仕上がりに。特に古賀のギターは全編、カオティックな曲のバックグラウンドを形成するサウンドスケープを担う出色のアレンジ。Track.3「夜のマーチ」は、まさに夜の色と空気感が立ち上がるような映像喚起力抜群の聴感。マーチングのリズムを主体に変化していくリズムが、歌詞での心の動きとシンクロするアレンジもいい。
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KANA-BOON
結晶星
逞しささえ感じるリズムと澄んだ空気を感じさせるギターのフレーズが好対照を描くタイトル・チューン「結晶星」。やめたいことはやめればいいし、やりたいことをしっかり結晶させればその輝きで、これからを変えていけるというメッセージが、今の彼らの経験値やスキルで鳴らされていることに大きな意味がある。新しい季節を迎えるあらゆる人の心に穏やかだが確かな火をつけてくれる1曲。「ミミック」は前作『DOPPEL』収録の「ウォーリーヒーロー」にも似た、顔の見えないSNSのコミュニケーションに対する問題提起。「桜の詩」は「さくらのうた」から時間が経過し、女性目線で描かれたアプローチが新しい。まったく異なるニュアンスとテーマを持った、挑戦的な1枚。
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KANA-BOON
DOPPEL
人懐こいサビにも、思わずステップを踏みたくなるビートにも、もちろん、想いを遠くに投げかけようとする谷口鮪の声にも、"音楽があったから今、僕はここにいる"、そんな切実さが横溢している。ライヴでもなじみのインディーズ時代からの「ワールド」「MUSiC」「東京」「目と目と目と目」はアップデートされたアレンジ、演奏と音像で収録。現在のライヴ・シーン、ひいてはSNSでのコミュニケーションについて谷口の思うところが、鋭いギター・リフや性急なビートとともに表現された「ウォーリーヒーロー」をはじめ、デビュー・シングル「盛者必衰の理、お断り」などの今年の楽曲から成る、1stフル・アルバムにしてKANA-BOONの存在証明的な1枚。10代に圧倒的な人気を誇る彼らだが、現状に息苦しさを感じるあらゆる人に響くはずだ。
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KANA-BOON
盛者必衰の理、お断り
彗星の如く、という言葉が相応しい快進撃を続ける、大阪は堺から現れた4ピース・バンドKANA-BOON。初の全国流通盤『僕がCDを出したら』から約5ヶ月というインターバルでメジャー・デビューという異例のスピードも、現在の彼らの注目度と楽曲のクオリティやライヴ・パフォーマンスを考えれば当然のことだ。そしてデビュー曲である「盛者必衰の理、お断り」はKANA-BOONの持つ抜群のセンスが冴え渡る楽曲。抜けの良いヴォーカル、思わず口ずさみたくなる語感の良さと人懐こいメロディ、ヒーロー感のあるギター・リフ......非凡な展開でありながらもストレートさを感じさせるのは、彼らが素直に自分たちの気持ち良い音を鳴らしているからなのだろう。10月にリリースされるフル・アルバムにも期待が高まる。
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KANA-BOON
僕がCDを出したら
ライヴで大合唱が起こる人気曲「ないものねだり」でアッパーにスタートし、大きなステージに立っているアーティストと入れ替わる感覚をアレンジでも表現したユニークな「クローン」、ギター・リフのソリッドさと、聴き手ひとりひとりにダイレクトに放たれるストレートなメッセージが痛快な「ストラテジー」「見たくないもの」、アルバム・タイトルのフレーズも含まれる「眠れぬ森の君のため」。そして、ヴォーカルの谷口鮪にとっての歌や思い出の重みや、それゆえの切なさが胸に迫るラストの「さくらのうた」の全6曲。歌詞カードなしでも飛び込んで来る言葉の鮮明さと歌に沿った演奏の音楽的な破壊力。"僕がCDを出したら"その先は......野心と不安のバランスに大いに共感。
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Saucy Dog
サニーボトル
着実にステップ・アップし続け、前作『レイジーサンデー』収録の「シンデレラボーイ」がTikTok世代を中心にヒット。安定感のある成熟した演奏に乗せた柔らかな歌声が世間の心を掴み、今作には5曲ものタイアップ作が収録された。男女の別れ際を描いた「404.NOT FOR ME」、片思い中の姿に共感必至の「あぁ、もう。」、ふたりの素朴なやりとりを映す「魔法にかけられて」など、恋愛模様を細かく描写するリアルな歌詞の秀逸さはもはや語るまでもないが、いわゆる"ラヴ・ソング"ではなく、日常を描く楽曲にもふいに"君"が登場し生活の一部として描かれているところに、よりリアルさがある。仕事も恋愛も同時進行で進んでいく日々を懸命に生きるリスナーの日常に、サウシーが優しく寄り添う1枚。
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Saucy Dog
ブルーピリオド
2019年4月に行われた大阪城音楽堂、日比谷野外音楽堂でのワンマンは両日ソールドし、来春には初の単独ホール・ツアーの開催も決定するなど、ライヴ動員を着実に増やし続けているSaucy Dog。彼らの約1年半ぶりのミニ・アルバムは、そんなバンドの"成長"と"今"を描いた作品となった。楽曲に纏う切なくも優しい空気や、迷いを払拭しようともがく姿、その芯の強さを見せる言葉と声、3人それぞれの感情が乗ったサウンドなど、彼ららしさはそのままに、一曲一曲のクオリティがより高くなったと感じられる。大人になることへの葛藤を綴った「スタンド・バイ・ミー」をはじめ、自身の"青さ"にピリオドを打ち、バンドとしても人間としてもさらに大きくなりたいという意志が窺える1枚。
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Saucy Dog
サラダデイズ
2017年に初の全国流通盤をリリースした3ピースが1年ぶりに世に放つ2ndミニ・アルバム。彼らの持ち味でもあるセンチメンタルなバラードやラヴ・ソングはもちろん、バンドが2016年に"MASH A&R"グランプリを獲得し転機を迎える前後がリアルに刻まれた楽曲も多い。歌詞もひとりの青年として、バンドマンとして、現代を生きる人間としての視点など、様々な観点で綴られている。美しいうねりを丁寧に描くメロディ、ファルセットを巧みに用いた歌声、そこに寄り添う女声コーラス、優しくもどこか焦燥感を帯びた音色、すべてに余韻があり、それはまるで情景描写や心情描写に長けた映画のよう。だからこそ聴き手も彼らの音楽に心を重ねられるのだろう。葛藤と希望が溶け合う「メトロノウム」の音像は圧巻だ。
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Saucy Dog
カントリーロード
THE ORAL CIGARETTES、フレデリックらを輩出した"MASH A&R"の2016年度グランプリを獲得、MVのYouTube再生回数も急増中という注目の3ピースによる初の全国流通盤。他のバンドに例えるのは好きじゃないが、歌や曲の温度感など、どこかplentyの面影がある。しかし、このバンドは良い意味でそれよりもっと不安定だ。少年性のある歌声を素朴に聴かせたかと思えば、いきなり心の堰が切れたかのように感情的になったりする。しかも、歌詞に描かれているのは女々しい感情や鬱屈した日々。ライティング・センスの高さが窺える、印象を残す情景描写も相まって、センチメンタルな気持ちを強く掻き立てる。なかでも、逃げてばかりいた自分に別れを告げるラスト「グッバイ」は、そんな感傷を一蹴するパワーがあるし、多くの人に勇気を与える1曲になるだろう。
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クリープハイプ
死ぬまで一生愛されてると思ってたよ
一度聴いたら忘れられないハイトーン・ヴォイスと歌詞で衝撃的な人間ドラマを表現する尾崎世界観(Vo&Gt)率いるクリープハイプ。彼らが満を持してメジャー・デビューを果たす。その1作目となる今作、いい意味で彼らは変わっていなかった。現実と妄想の狭間を突っ切る歌詞世界も勿論健在。だがそこにはしっかり進化の形もある。ポップでありつつも鋭さを持つ、空間を操るように飛び回る4人のサウンド・メイクはより強力に。そこにはギター・ロックへの敬愛心がとめどなく溢れており、その純粋さと初期衝動に焦燥感が激しく煽られた。今のメンバーでは初収録となるインディーズ時代の既発曲4曲も新たな息吹を手に入れて蘇る。ここからクリープハイプの何かが変わる――そんな予感と確信を抱かせる快作。
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クリープハイプ
待ちくたびれて朝がくる
ひと度口に含めば体の芯まで温まり、心を解きほぐす。そして、甘い香りと共に上がる湯気のような安心感と温もり。まるで冬の日のココアのような声だ。メロディと演奏の中をたゆたう無垢なその声は、冒頭曲から、なんと53回も"キライ"と繰り返す。これには不意打ちを食らった。無防備な佇まいでありながら、胸にはナイフを忍ばせていたのだ。これが、クリープハイプ――。己を打ち砕くほどに、もがき、あがくような歌詞は、途方もなく強い自我の掃き溜めという孤独で溢れ返っている。その苛立ちを、怒りを、劣等を、そして悲しみを、画用紙がぐちゃぐちゃになるまで、クレヨンが潰れるまで、一心不乱に書き続ける......。そんな風に世界と対峙し、言葉を書き連ねるからこそ、その声は聴き手の中の深くまで突き刺さるのだろう。
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クリープハイプ
踊り場から愛を込めて
耳に突き刺さるように飛び込んでくるハイトーン・ボイス。特異なまでに男女の視点が交錯し、息遣いが聴こえるほどにリアルな日常。ロックと呼ぶには余りに繊細で、フォークと呼ぶには余りに生々しい。尾崎世界観(Vo&Gt)の描く歌詞は、自分の身を守る術を知らない子供のように無防備だ。その無防備さゆえに、鋭利でやや暴力的に人間関係の核心にするりと迫っている。そして、平常のうちに一瞬ギラリと光る瞬間を切り取り、現在の時間軸とは別に独立させて捉える。だからこそ、特定の個人の時間軸・経験の延長上にあるのではなく切り離されたものとして、非常にリアルでありながらも一種の"物語" として、どの瞬間に対しても私たちは入り込むことが出来るのだろう。世の中を動かしたいだとか、世界を救いたいだとか、尾崎の言葉の中には大義名分はない。今そこにある人間関係を描いているからこそ、ヘッドフォンから流れる搾り出すようにギリギリの歌声は、確かに心を打ち震わせ、閉まっていた思いを直接的に揺さぶる。"人と人との繋がりを描きたい"という尾崎の言葉が、レコードを通して4人と私たちとを繋ぐのだ。
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ザ・クロマニヨンズ
イノチノマーチ
"ギョギョッとサカナ★スター"の主題歌として春に番組が放送開始されて以来、待望の音源化となった「イノチノマーチ」。さかなクン描き下ろしのジャケットには、"水の中"、"地図の外"へ駆け出す海の生き物に扮したメンバーが。輝く目からみなぎるワクワク感がまさにこの楽曲を物語っている。何年経っても変わらず無垢な瞳を輝かせ、"無限のファンファーレ"を鳴らし続けていくであろう彼らの止まらぬ勢いを表す軽快な1曲だ。そんなエネルギッシュな表題曲とは裏腹な「さぼりたい」が趣深い。哀愁漂う間奏のハーモニカとギター、"さぼりたい"と連呼するヴォーカルに"そうだね"と返すコーラス。とにかく人間味たっぷりだ。元気をくれるポジティヴさがありながらも、それを押しつけることなくありのままも肯定するバンドの包容力が詰まった1枚。
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ザ・クロマニヨンズ
ザ・クロマニヨンズ ツアー SIX KICKS ROCK&ROLL
6ヶ月連続でシングルをリリース、その全曲を収録したアルバムを引っ提げ2年ぶりの全国ツアーを行ったザ・クロマニヨンズ。そんなコロナ禍を駆け抜けた一大プロジェクト"SIX KICKS ROCK&ROLL"を締めくくるツアーの模様を収めた映像作品が到着した。音源同様多くは語らず魂をぶつけるロック・スターと、それに応えるように力強く拳を突き上げるオーディエンス。声は出せずとも心で対話しているのが伝わってくる臨場感たっぷりの映像は、こんな状況にも屈せず、バンドとファンによって貫かれた"ロックンロールのあるべき姿"を映す。垣間見えるメンバーのお茶目な姿にも注目。そしてDISC2にはシングル曲6作のミュージック・ビデオが収録された。コラージュ、アニメーション、CGと初の試みも多く、こちらも見応えは十分だ。
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ザ・クロマニヨンズ
ごくつぶし
ついに6ヶ月に及ぶ"SIX KICKS ROCK&ROLL"企画のラストを飾るシングルが到着、タイトルは"ごくつぶし"。ジャケットでは"59224"と語呂合わせでかわいく表記されているが、"穀潰し"とは無為徒食で役に立たない人を罵る言葉だ。そんな言葉を放つコーラスをよそに"ああ 生まれてよかった"と歌う姿が清々しい。短い単語の組み合わせでパワー・ワードを連発するワード・センスが光る1曲。そしてカップリング曲「イエー! ロックンロール」は、一緒に叫びたくなるようなド直球なタイトルが付けられた。先行きの見えない鬱屈した世の中で、6ヶ月にわたり痛快なロックンロールを届けてくれた彼ら。錆びついた転轍機を持ち上げ、切り替えた進路の先に待つ次なる展開が楽しみだ。
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ザ・クロマニヨンズ
縄文BABY
6ヶ月連続でリリースする"SIX KICKS ROCK&ROLL"プロジェクトの第5弾。表題曲「縄文BABY」は、聴けば誰もが温かい気持ちになるラヴ・ソングだ。"カモン"、"縄文"、"土器"、"ドキドキ"と韻を踏む言葉が、シンプルなサウンドの中でいっそう際立っている。さらに後半"シャララ"と歌うコーラスが、楽曲をよりロマンチックに盛り上げる。歌詞に登場する土器、炎、渦巻き、星の屑を表現したジャケットにも注目。そしてカップリングには「ナイフの時代」が収録された。「Anarchy In The U.K」(SEX PISTOLS)を思わせるイントロから、今も青春時代の憧れを追い続ける姿が見て取れる。言葉遊びに名曲のオマージュと、今作も茶目っ気たっぷりの1枚だ。
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ザ・クロマニヨンズ
もぐらとボンゴ
"SIX KICKS ROCK&ROLL"と銘打ち、6ヶ月連続でアルバムの収録曲を2曲ずつリリースするというバンド史上初のプロジェクトを進行中のザ・クロマニヨンズ。ここまでに発表してきた6曲の毛色が見事にバラバラなあたりに、バンドの器の大きさを感じるが、第4弾となる「もぐらとボンゴ」も変化球だ。大きく手足を振って行進するような豪快なリズム、"ボンゴボンゴボンゴ"と繰り返す野性的なシンガロング。ほのぼのとしたメロディに甲本ヒロト(Vo)が綴った、"道が無いから もぐらは掘った"という比喩からは、勝手に熱い想いを汲み取ってしまう。カップリングにはレゲエとクリスマスのエッセンスが交じり合った「冬のくわがた」を収録。もぐらとくわがた。生きもの縛りのかわいいシングル。
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ザ・クロマニヨンズ
大空がある
6ヶ月に及ぶ一大プロジェクト"SIX KICKS ROCK&ROLL"の第3弾。表題曲「大空がある」は、甲本ヒロトの説得力ある声で繰り返される"大丈夫だ"という言葉が、コロナ禍で不安を抱える人々の心を救い、ジャングル・ビートの軽快なリズムもまた気分を軽くしてくれる。"だいじょうぶだぁ"とも聞こえるその歌い方には、2020年3月に亡くなったあの大スターを思わせる温かさが。多くを語らないその歌詞が聴く人それぞれの物語に寄り添い、俯く人々に"見ろよでかい空だ"と語り掛け自然と上を向かせてくれる、そんな1曲だ。そして、切なさが滲む歌詞とメロディ、悲しみを振り払うように駆け抜けるギター・ソロが胸を打つ「爆音サイレンサー」も収録。今回はエモーショナルな2曲となった。
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ザ・クロマニヨンズ
光の魔人
6ヶ月連続リリース企画"SIX KICKS ROCK&ROLL"の第2弾となる本作。前作『ドライブ GO!』では疾走感や勢いが前面に押し出された図太いロックンロールが収録されたが、今作はメロディやコーラスの美しさが際立つ爽やかなロックンロールに仕上がった。そこに"これが恋か"や"好きなんだ"などピュアでストレートな歌詞が乗り、その混じり気のない言葉がまっすぐ耳に飛び込んでくる。表題曲「光の魔人」は、恋の喜びに胸を弾ませた"光の魔人"が煙突を蹴飛ばしながら星降る夜空を駆け巡る、そんな光景が目に浮かび、ジャケット写真ともリンクする。またカップリングは、繰り返すギター・リフがずっしりとした存在感を放つシンプルでド直球な1曲「ここにある」。陽気で痛快なクロマニヨンズ節に心躍る1枚だ。
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ザ・クロマニヨンズ
ドライブ GO!
"SIX KICKS ROCK&ROLL"と銘打った6ヶ月連続リリース企画の第1弾。疾走感あふれる表題曲「ドライブ GO!」では、1音目から薫る古き良きロックンロール臭に心を奪われる。間奏やアウトロのライヴ感もたまらない。続く「千円ボウズ」は、繰り返される"どうでもいいぜ 千円くれ"という無骨なワードが強烈なインパクトを残す1曲だ。悩みごとが絶えない昨今。悩みなど"どうでもいい"と言い放ち、聴いているときだけは忘れさせてくれる、そんな痛快な音楽こそ、この息の詰まる日々には必要なのだろう。世界が大きく変わってしまっても、ザ・クロマニヨンズ節は不変だ。音楽を純粋に楽しみ続ける彼らが6ヶ月連続で放つロックンロールは、世の中に漂う閉塞感をぶっ飛ばしてくれるに違いない。
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ザ・クロマニヨンズ
BIMBOROLL
結成10年を迎えたザ・クロマニヨンズ10枚目のニュー・アルバムが到着。今作でも相変わらずBPMの速い12曲が出揃い、シングル曲「ペテン師ロック」を始めとしたストレートな8ビートを刻むザ・クロマニヨンズ節が詰まっている。"BIMBO=美人だけど頭の中はからっぽの女"と題された今作は、まったくからっぽではなく、純粋無垢な心を思い出させてくれる1枚となっている。特に、"大体そうだ それでいいのだ"と歌うラスト・ナンバー「大体そう」では、目の前のことだけをやっていると特に何もなく終わってしまうだけの毎日を肯定してくれる。そんな彼らの毎日はきっと、いい曲ができたらすごく嬉しくて、曲が完成しなかったら少し寂しくて。そうやってくたばるまで生きていくんだと思う。ザ・クロマニヨンズ独特の死生観みたいなものが見え隠れするのも印象的。
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ザ・クロマニヨンズ
YETI vs CROMAGNON
クロマニヨンズのアルバムももう7枚目。バンドも今年で7年目になる。とはいえこのアルバムに詰められた12曲は、不変のクロマニヨンズ節だ。インタビュー中、ヒロトとマーシーは何度も4人で音を鳴らしているのが“楽しい”と言っていたが、彼らの音楽はそこに尽きるのだろう。瑞々しいバンド・サウンド、一度聴けば忘れられず耳に残り続けるフック。音楽性に変化はないかもしれないが、何事も保つということは並大抵なことではない。でも本人たちは敢えてそうしようとしているわけではなく、それが“普通”。そういうところが異端なのだ。ツアーの本数も減るどころか増え続けている、まさしくロックンロール・ジャンキー。ストレートで混じりけのない力強いサウンドは、ぶれることのない彼らの生き様そのものだ。
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ザ・クロマニヨンズ
流線型/飛び乗れ!!ボニー!!
初となる両A面シングルが到着"ビューン ビューン ビューン"という擬音語が印象的な「流線型」は宇宙への思いをはせる歌詞だけれどなんだか意味深なフレーズも。ハイテンションな叫び声、笑い声も入っていたりと楽しい雰囲気でレコーディングされたことがうかがえる。「飛び乗れ!!ボニー!!」は西部劇を連想させるサウンドに"飛び乗れ!!ボニー!!"のコーラスが耳に残る。自分の今までのスタイル、世間の流行りなんて関係ない。いやもはやそんな次元ではなく、どこまでも最新で常に変化し続けるのがザ・クロマニヨンズの凄みだろう。彼らは止まったら死んでしまうんじゃないかと思うほどに走り続けているから。初回生産限定盤にはライヴ音源も収録。
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ザ・クロマニヨンズ
Oi! Um bobo
そもそも、“ザ・クロマニヨンズ” ですから。現代人(ホモ・サピエンス)と同族ではあるが、あくまで原始人なわけで、“人間の極み” とも言えてしまう単語を掲げるこのバンドは、ロックにおける普遍性の極みも知っている。最小限の機材による演奏。エイトビートに乗っかる、ごくシンプルな歌詞。こんなになんてことのない要素のみで構成されているのに、力強く刻まれるビートと共に、熱く直感に訴えかけてくるという不思議。これというのは、本人たちも分かっているのかいないのか、“ロックと普遍性” という永遠のテーマを、言葉による解明ではなく、生き方そのもの、存在そのもので解明しちゃっているからなのだろう。ロックを更新することばかりが当たり前になっていく中で、ロックを丸裸にしていくことができる貴重な存在だ。
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ザ・クロマニヨンズ
MONDO ROCCIA
ザ・クロマニヨンズの新作が到着した。今作では、マーシーと甲本ヒロトの楽曲が半々ずつ収録され、二人の充実ぶりが伺える。熱のこもったビートで冒頭を飾る「ジャングル ジャミン」「グリセリーン・クイーン」からラスト「エロこそすべて」まで、今回も瑞々しさを失わないストレートで痛快なロックンロール・アルバムだ。変わることのないスタンスを貫きながら、ザ・クロマニヨンズには全く留まっているところがない。この人達にとって、ロックンロールはもう生理現象のようなものなんだろう。そして、彼らのシンプルな遊び心が詰まった言語感覚の面白さは今回も随所に見られるが、「恋に落ちたら」は圧巻。John Lennon「Love」を越えるシンプルさでありながら、「恋に落ちた」瞬間が音の隙間から溢れ出してくる。
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マカロニえんぴつ
たましいの居場所
結成から10年、今やメジャー・シーンを賑わすバンドとなったマカロニえんぴつの最新作は、原点回帰とも言えるシンプルでストレートなロックを鳴らしている。前作の多彩且つ重厚なアレンジから一変、音数を絞り肩の力が抜けたサウンドに。インディーズ時代を彷彿とさせる懐かしさを感じる一方、歌詞には"今"の彼らが詰め込まれている。歌を届け続ける自身を鼓舞する「たましいの居場所」、花火用語を用いたタイトルが美しい「星が泳ぐ」に続き、曲名からして癖の強そうな「街中華☆超愛」で振り切った遊び心を見せると、最後はメンバーそれぞれが今の思いを素直に歌う「僕らは夢の中」でグッと心を掴み締めくくる。"夢を魅せる"側に立った今、彼らが伝えたいのは"ロックバンドは最高だ"というロマン溢れるまっすぐなひと言だった。
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マカロニえんぴつ
ハッピーエンドへの期待は
10作のタイアップ曲に提供曲のセルフ・カバーと、その豪華さがメジャー・シーンでの活躍を物語るメジャー1stフル・アルバム。アカペラの多重唱で幕を開ける表題曲、レゲエやジャズなどの要素を盛り込み急展開を見せる「トマソン」など、様々なジャンルをロックに落とし込みマカロニえんぴつ色に染め上げた楽曲が並ぶ。中でもインパクトを残すのは「TONTTU」。重いロック・サウンドにハード・ロック・バンドのヴォーカリストを彷彿させる歌声、オルガンをバックに繰り広げる寸劇......とやりたい放題だ。そんな癖のある遊び心満載な楽曲のほか、待望の音源化となった弾き語り曲「キスをしよう」や温かいラヴ・ソング「なんでもないよ、」などストレートな楽曲も。求められていることに応えつつ、やりたいことを詰め込んだ渾身の1枚。
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マカロニえんぴつ
「はしりがき」EP
マカロニえんぴつによる、全曲にタイアップがついた話題性抜群の作品。表題曲「はしりがき」は"青春"をテーマに描いた1曲だ。青春と聞くと過去だけを思い出しがちだが、今この瞬間も未来も青春になり得ることを気づかせてくれる。また、後半の大胆なアレンジも要チェックだ。さらに、「listen to the radio」ではキャッチーなメロディの中に描かれる"夜を縫い合わして"、"「クズね、でも居た方がいいクズ」"など、どこか切ないけど愛のある歌詞に惹かれるリスナーは多いはず。全曲を通じて、はっとり(Vo/Gt)の持ち味でもあるワード・センスを存分に発揮している。タイアップをこなすごとに新しい表情を見せてくれる彼らが、次はどんな一面を見せてくれるのか、期待が高まる。
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マカロニえんぴつ
愛を知らずに魔法は使えない
結成9年目のメジャー・デビュー作。メロディの普遍性、怯まず芯を食う歌詞の誠実さを前提としながらも、時には1曲の中で曲調、テンポや拍子まで変えながらバンドの変態性、遊び心を炸裂させている。スタジオに集まって音を鳴らすときの"これぞバンド!"な温度感のまま、広いフィールドへ飛び出す。彼らが挑もうとしているのはおそらくそれだが、このEPを聴けば"きっとやってのけるだろう"と自然に思わせられる。長いことネクスト・ブレイク候補と言われ、その状況も自虐的に歌詞にしてきたが、内的充実と外的契機が噛み合い、いよいよ時は満ちた。"もう迷わず探せるから 繋ぎ留めることも追い過ぎもしない"(「ルート16」)という言葉からも、バンドの今が透けて見える。
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マカロニえんぴつ
hope
マカロニえんぴつにとって約2年半ぶりとなる待望のフル・アルバム。「レモンパイ」や「ブルーベリー・ナイツ」といった人気曲や、私立恵比寿中学に書き下ろした「愛のレンタル」のセルフ・カバー、TVドラマやCMなどのタイアップ・ソングも多数含む全14曲が収録され、ここ数年での飛躍的な活動の集大成とも言えるような作品に仕上がっている。また、日常で感じる幸せとため息を混ぜるように描いた「hope」や、"少年だった僕たちは/カネを知ってヒトになった"と、大人になって忘れてしまいそうな感情をハッと思い出させてくれる「ボーイズ・ミーツ・ワールド」などの新曲でももちろん、バンドの多様な音楽性と、とにかく魅了されてしまうそのグッド・メロディを存分に発揮。毎日聴きたい"マカロック"が詰まった1枚。
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マカロニえんぴつ
season
各メンバーの作曲楽曲1曲ずつ+先行配信されていた「青春と一瞬」を収録。直球ミドル・バラード「ヤングアダルト」、軽快なリズムでザクザク進む「恋のマジカルミステリー」、ロマンチックなメロにおちゃめなリフを重ねる「二人ぼっちの夜」、3拍子と2拍子を行き来しながら紡ぐロック・オペラ「TREND」――と、曲元来の個性を増幅させるアレンジにはバンドの充実っぷりが表れている。全曲の歌詞を書くはっとり(Vo/Gt)のワード・センスも抜群で、膝を打たされまくりだ。アルバム・タイトルは"旬のうちに食べないと腐ってしまう音楽? どうなんだろう、それ"という疑問から。替えの効かない存在としてこのバンドを求める人は着実に増えているし、その結びつきはますます強くなることだろう。
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マカロニえんぴつ
エイチビー
はっとり(Vo/Gt)の儚くエモーショナルな歌声はそのままに、キーボードの多彩な音色が織り込まれた彼らならではのサウンドがさらに色濃く表現された今作。ちょっとしたことで一喜一憂してしまう片想いや、言い訳ばかりしていたら愛想を尽かされてしまったりとなかなかうまくいかない恋愛が描かれているが、軽快なリズムとその上に乗っかるキャッチーなメロディと、はっとり独特の言葉選びには思わず心が踊る。そんな恋愛がテーマである曲が多い中、特筆すべきはギリギリで戦う人に向けたという「ハートロッカー」。少し女々しい印象のある彼だが、"あなたの逃げ場になるなら歌うよ"と音楽への強い決意とともに差し伸べられた手はなんとも力強かった。キラキラした七色のサウンドを武器に次はどんな新たな一面を見せてくれるのかと、早くも次作が楽しみになる、そんな1枚。
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マカロニえんぴつ
アルデンテ
メンバー全員が現役音大生という5人組、マカロニえんぴつ。音大といえば"のだめカンタービレ"のように、さぞかし華やかな大学生活を謳歌していると思いがちだが、実はその逆で、資料によればコンプレックスにまみれ、負けっぱなしの人生を送ってきたという5人。そんな彼らが輝ける場所を見つけたのがこのバンドだったのだろう。負けっぱなしでも叫び続ける勇気をくれる「鳴らせ」や、独特の比喩表現で男女の関係を描いた「ワンドリンク別」、鬱々とした感情をダンサブルなビートで歌い上げる「零色」など、バラエティに富んだ楽曲で自分たちの存在意義を刻む。しっかりとしたバンド・サウンドに色を付けるように鳴るキーボードの音が印象的だ。
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