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LIVE REPORT

Japanese

ザ・クロマニヨンズ

Skream! マガジン 2023年04月号掲載

2023.03.30 @中野サンプラザ

Writer : 藤坂 綾 Photographer:柴田恵理

1月18日にリリースした16枚目のオリジナル・アルバム『MOUNTAIN BANANA』を引っ提げて、現在全国ツアー"ザ・クロマニヨンズ ツアー MOUNTAIN BANANA 2023"を開催中のザ・クロマニヨンズ。ここでは3月30日、東京 中野サンプラザで行われたライヴの様子をお届けする。

恒例の前説が終わり、軽快な出囃子が流れると、その出囃子に合わせなんとも息の合った手拍子が沸き起こる会場。メンバーが登場するとその手拍子はひと際大きくなり、併せて歓声が飛び交う。次第に歓声が大きくなり熱気が増していくなか、中央にセットされた、まるでライヴハウスのようなシンプルなステージの定位置に4人がスタンバイ。いざライヴはスタートを切る。"どんどんやるぞ!"と言うヒロト(甲本ヒロト/Vo)の言葉通り、迷いなく、惜しみなく、間髪入れずに曲を畳み掛けていく。

腹の底まで響く桐田勝治のツーバスと小林 勝(Ba/nil/THE BLACK COMET CLUB BAND)の唸るビート、マーシー(真島昌利)のストイック且つキレのいいギター、そしてヒロトの身体全体で歌うヴォーカルと艶やかなブルース・ハープ――4つの塊がひとつになったときの威力を痛感するとともに、意味もなく泣けてくる瞬間がライヴ中幾度となくあった。それは鳴らされるひとつひとつの音に命が宿り、とてもとても優しかったから。世の中のあれこれや流行り廃りに一切左右されることなく、自分たちのロックンロールを貫いてきたクロマニヨンズ(ザ・クロマニヨンズ)だからこその強さと優しさ、言葉なんていらない、そこにロックロールがあればいいという潔さに圧倒されながら、一瞬にしてロックに初めて出会った日へと戻されてしまっていたのだ。

「イノチノマーチ」をはじめ『MOUNTAIN BANANA』の収録曲を余すことなく演奏し、ライヴは中盤戦へと突入。ここへきて、改めて会場の一体感が増していることに気づく。バンドや音とのコミュニケーションはもちろんのこと、思い思いに身体を揺らし、歌ったり拳を上げたり飛び跳ねたりと自由に楽しむオーディエンスのかっこ良さに、またグッときたりして。シンプルでストレートでパワフルなのはクロマニヨンズのサウンドだけではなく、こっち側も同じだということ。"みんなはロックンロールの楽しみ方をよくわかっとる。そっち側はみんなに任せたよ。こっからこっちは俺らに任せてくれ"というヒロトの言葉がその証拠で、"盛り上がりそうな曲を見つくろってきた。最後までぶっ飛ばしていくぜ!"を合図にロックンロール合戦のスタート。どちら側もがこれでもか! と言わんばかりのエネルギーを放ち、思いっきり楽しむ。全員がただのロック・キッズとなり、ひたすらに輝きながらロックンロールに巻き込まれていく。どちらも新鮮で純度が高く、ワクワクが止まらない。そして、"ロックンロールしかやりたくない"と最後までその魂を貫き、"またやりたい! また絶対やるぞ! ロックンロール!"とすべてを演奏し終え、名残惜しそうに手を振りながら4人はステージをあとにした。

ロックンロールの明快さ、潔さ、楽しさをただただ身体で感じたこの日。ヒロトが"何もなくてもロックンロールはできるよ"と言ったように、ロックンロールってそういうものだし、ロックンロール以外はもしかしたらそんなに大したことないのかもしれない。それはきっと生きることも同じで、意味なんてなくていいし、わざわざ見つける必要もないのだ。ただ在ればいいだけ。それだけでこんなにも輝くことができて、なんなら夢だって見られるんだ。ロックンロールの本質と生きることの本質を、どんな時代であれ変わらぬ姿と熱量で見せてくれるザ・クロマニヨンズ。これからも彼らのロックンロールが続いていくということは、もう希望でしかない。そんな未来への想いがとりとめもなく溢れ出てきた夜だった。

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