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DISC REVIEW

S

夢中病 (feat. Lezel)

SUIREN

夢中病 (feat. Lezel)

歌い出しから"滅茶無茶苦茶に夢中して"という、LezelとSuiの歌声が響き渡る――それがまた、"めっちゃくちゃにチューして"と空耳で聴こえるものだから、さらにドキッとしてしまう。また、夢中というある種爽やかなワードと"病"というネガティヴなワードを掛け合わせ、夢遊病をもじって名付けた"夢中病"というタイトルも秀逸。そのあたりを鑑みるに、確信犯的なクレバーさも感じるけれど、楽曲そのものは人間臭いパッションに溢れている。サビは歌いながら踊れるぐらいキャッチーで、攻撃性を増すラップあり、じっくり聴かせるパートあり、多彩な振り幅を3分半に収める手腕も見事。お互いの可能性の扉を開いた、見事なコラボレーションだ。

SuiseiNoboAz

SuiseiNoboAz

SuiseiNoboAz

ライヴ・シーンでは、その圧倒的なライヴ・パフォーマンスと楽曲の完成度の高さでその名を轟かせていたSuiseiNoboAzが遂にアルバムをリリース。しかも、プロデューサーは向井秀徳である。オルタナティヴ・ロックにサイケデリックなファンクネスを注入したようなサウンドは、轟音とともに腰を直撃してくる。散文詩的な歌詞の文学性、楽曲の質、プレイヤビリティ、あらゆる要素がアルバム・デビューとなる新人のレベルではない。向井秀徳らしさもしっかり感じられるのだが、それも向井色に染め上げられたというよりも、互いの音楽性が当たり前のようにシンクロした結果の産物。向井は年末のライヴのMCでひたすらSuiseiNoboAzについて話していたらしいが、それも納得の完成度を誇る作品だ。

Sentimental Young Ones

SULLIVAN's FUN CLUB

Sentimental Young Ones

昨年は10代にして"サマソニ"出演("出れんの!?サマソニ!?"枠)、"未確認フェスティバル"グランプリ獲得、STARCRAWLERの来日公演ゲストへの抜擢と、注目を集める札幌のSULLIVAN's FUN CLUB。今作が初の全国流通盤だが、過去曲ではなく、"今の自分たちの音楽を聴いてほしい"という想いから、最新曲だけで構成したというのが清々しい。現メンバーになって初の曲であり、初期衝動が爆発した「PINK YELLOW BLUEZ」など直球ナンバーに心を震わせていると、「RE CORD NOISE」のメロウで繊細な響きにドキッとさせられたり、8分超えの「MI RA I」ではシューゲイザー的な音像×切ない詩世界に胸が締めつけられたりと、一聴で心を掴んで離さない。

SOUND VILLAGE

sumika

SOUND VILLAGE

sumikaが初の作曲合宿を経て完成させたシングル。彼らが今やりたいことを詰め込んだという今作だが、その音を聴いてみると今回の合宿がどれだけ充実したものだったのか窺える。TeddyLoidが編曲を手掛けた「Babel」は、なんとメンバーは楽器を演奏していないそうで、ダークなMVにも度肝を抜かれる、新機軸と言える楽曲だ。また、音の質感やアレンジで曲が持つ物語を精妙に描いたバラード「アンコール」、まっすぐな想いに鼓舞される「一閃」、"結婚する友人"をテーマに小川貴之(Key/Cho)が作曲した「Marry Dance」と、より自由且つ新しい発想で、今一度4人で突き詰めて作り上げた多彩な楽曲を収録。彼らの音楽に対する情熱とチームのいい空気感もパッケージされた1枚である。

Shake & Shake / ナイトウォーカー

sumika

Shake & Shake / ナイトウォーカー

リズミカルな言葉遊びを乗せて、ピアノやストリングスが賑やかなアンサンブルを奏でる「Shake & Shake」は、アニメ"美少年探偵団"主題歌。バンドの過去作で言うならば、「Lovers」や「Familia」あたりを彷彿とさせる、一瞬にして周囲を明るく染めるsumikaの真骨頂とも言える楽曲だ。ミュージック・ビデオには"シェケラララ"の響きに合わせて鮭を登場させる遊び心も光りつつ、"超常的縁"で結ばれた4人が作り上げる"超弩級のパレード"=ライヴへと誘う歌詞は、この時期だからこそ熱い。両A面のもう1曲には、小川貴之(Key/Cho)が作曲を手掛けた大人のスイートな恋物語「ナイトウォーカー」を収録。初回生産限定盤に付くライヴ音源も含めて、バンドの多面的な魅力が浮き彫りになる1枚。

AMUSIC

sumika

AMUSIC

約2年ぶり、3枚目のフル・アルバムは超充実の1枚に。"森永製菓 受験に inゼリー2021 CMソング"の「祝祭」、ドラマ"おっさんずラブ-in the sky-"主題歌「願い」など、すでにお馴染みのタイアップ曲から、以前よりsumikaを聴いていた人たちがイントロを聴くなり思わず"えぇっ!?"と驚くであろう、これまでの彼らにはなかった新たな側面を見せる楽曲、さらには胸がじんと温かくなる彼らの醍醐味とも言えるようなナンバーまで全16曲。遊び心も、信念も、音楽を愛する変わらない純粋な想いも――今のsumikaをダイレクトに感じることができる作品となった。一曲一曲が際立っているのはもちろんだが、1枚通して聴くと、そのドラマチックな展開と作品のスケールの大きさに心を震わせられるはず。

本音 / Late Show

sumika

本音 / Late Show

「本音」は、"第99回全国高校サッカー選手権大会"の応援歌として書き下ろされた曲。"走れ"の繰り返しはたしかにスポーツを彷彿とさせるが、1段ずつ下るそのメロディは落ち着いているほか、Aメロも逡巡しているよう。孤独やプレッシャーに寄り添うバラードとなった。人と人が繫がるためには面倒でも曝し合うことが大事、そうして生まれた関係性は一生の宝になる、とは大人から見た部活の美点で、その哲学はこれまでもsumikaが歌ってきたもの。対して「Late Show」は、後悔し、ひとりジタバタする様を歌った曲。主に3字の動詞で人生を描ききる1番Aメロ、"応急かし"と二字熟語を動詞化して造語を生み出す手法、滲み出る皮肉など、作詞家としての片岡健太(Vo/Gt)の面白さが満載だ。

Harmonize e.p

sumika

Harmonize e.p

数々のタイアップを手掛けるsumikaが、次にハートを射止めたのは子供たち。ただ今テレビで続々とオンエアされている"進研ゼミ2020"CMソングとなった「センス・オブ・ワンダー」を手掛けたのだ。[1000行分もノートに書き込んだ/"やりたい"の先で"なりたい"自分]という、子供の日常的な言葉を文学に昇華した歌詞が、すぐに暗記できそうな軽快なメロディに乗る。彼ら自身も子供の頃の気持ちを忘れていないからこそ書けた楽曲なのだと思う。それでいて、この楽曲が収録されている4曲入りEPである今作には、レゲエ・テイストの「ライラ」や、大人の恋の匂いがする「No.5」など、今の等身大の彼ら自身の姿も惜しみなく投影。大人になっても成長を止めないことを体現している。

Chime

sumika

Chime

2018年に初の日本武道館公演を成功させ、映画やアニメのタイアップが話題を呼ぶなど、勢いの止まらない彼らの2ndフル・アルバム。タイアップ曲を多数含む今作には、幅広い層のリスナーから支持を集めるポップ・サウンドや、正統派ロックが詰め込まれているのも魅力だが、その他のバラエティ豊かな新曲たちにも終始驚かされる。優しい歌声の中に大人の色気をちらつかせるTrack.4や、間奏をたっぷり設けたジャジーなTrack.6、ディズニー音楽にありそうな軽快なインストのTrack.9など、これまでにない新たな側面を見せている。また、ゲストVoとして吉澤嘉代子を迎えたTrack.12では、前半/後半で同じメロディをまったく違うアレンジで聴かせ、男女対照の心情を表現。彼らの音楽性溢れる快作だ。

ファンファーレ / 春夏秋冬

sumika

ファンファーレ / 春夏秋冬

sumikaが、劇場アニメ"君の膵臓をたべたい"のOPテーマ、主題歌を収録した両A面シングルをリリースした。映画の楽曲を手掛けるのは彼らにとって初のことで、制作は映画の監督 牛嶋新一郎とイメージを共有しながら進めたという。OPテーマである「ファンファーレ」は、疾走感溢れる爽快なロック・チューン。自分自身を奮い立たせるような前向きなメッセージを歌詞に込め、片岡健太(Vo/Gt)が力強く歌い上げる。主題歌の「春夏秋冬」は、季節を巡りながら大切な人を想う切ないバラード。両曲ともに映画の世界をより鮮やかにする真心のこもった楽曲だ。常に"縁"を大切にしてきたsumikaは、作品に携われた喜びをSNSなどで何度も語っていた。本作は、そんな彼らだからこそ生み出すことができた傑作と言えるだろう。

Vital Apartment.

sumika

Vital Apartment.

新メンバー加入後初のリリース。生命の集合体という意の『Vital Apartment.』と名づけられたミニ・アルバムで描かれるのは、日常の中に転がる冒険心。音楽家以外にも様々なクリエイターと創作活動を行い、人と人との繋がりを大切にする彼らだからこそ、オモチャ箱をひっくり返したような楽しさと、他愛もない日常に寄り添うあたたかさとを共存させることができるのだろう。そして1度聴いたら覚えられそうな歌メロと、ギター・ロック王道ど真ん中のサウンドも格段にブラッシュアップ。"キャッチーな音楽"の行き着く先が"ありきたり"で終わるか、J-ROCKの棚に閉じ込めておけないほどの可能性を光らせるか、の2択ならば、この作品は紛れもなく後者だと断言したい。

I co Y

sumika

I co Y

2013年結成の3ピース、sumikaの初の全国流通となるミニ・アルバム。タイトルの読みは"イコイ"。ライヴでは、音楽家だけでなくさまざまな芸術家やクリエイターとコラボレートするという。そんなふうに仲間が自由に集い、刺激的な空間や物事を生みだし、さらに新たな仲間が加わって......と、このバンドを基地に広がる楽しいことを音に封じ込めた作品だ。アップ・テンポの弾むビートに、グッド・メロディと陽性コーラスのハーモニーに心躍る「ソーダ」にはじまり、キャッチーな歌と掛け声にハンド・クラップしてしまうダンス・チューン「ふっかつのじゅもん」。また、アーバンなR&B的な要素も感じる曲から、牧歌的なサウンドで歌をじっくりと伝える曲まで。誰かと過ごしたり、誰かに会いたくなったりする、温かさを呼ぶ曲が揃った。

10th Anniversary Best Album「りんご盤」

SUMMER SOLSTICE

10th Anniversary Best Album「りんご盤」

10周年を彩るベスト・アルバムにして、SUMMER SOLSTICEにとって初の全国流通作品。透明感のある伸びやかな歌、第2のヴォーカルのように歌いまくるギター、バンドの感情を支えながらも焚きつけていくリズム隊。その演奏は、平熱ながらも誰にも消せない炎を内側で燃やすかのような、絶妙な温度感で聴き手の胸に迫る。そしてそれが、内に秘めた信念を大切にしながら歩み続けてきた4人自体にどこか似ていたりするから面白い。ラストを飾るのは1stシングルにも収録されていた「apple of the eye」。当時バンドの始まりを照らした"まだ見えぬ世界へ連れて行くよ"というフレーズは、今、11年目以降の未来を同じように照らしているはずだ。

私を動かしてるもの

SUNDAYS

私を動かしてるもの

前作『僕らを動かしてるものは何?』を制作した時点ですでに2枚リリースを考えていたという本作は、英語詞2曲を含んだパンキッシュで疾走感溢れる縦ノリ作品となっていた前作とは一転、メロディもサウンドも1曲ごとに輪郭のハッキリした、よりキャッチーな作品となっている。Track.1「ずるいよ!」、Track.5「GIRL'S SECRET」などで聴けるコーラス・ワークの多用もそうした印象に繋がっており、すべての曲が言葉も演奏もしっかりと耳に残る。Track.4「抱きしめれば宇宙」のダンサブルな演奏のループ感と憂いある旋律、冬実(Vo)が描く"宇宙"のマッチングが面白い。前作も併せて聴くことで今作との違いが明確にわかって楽しめると共に、現在のバンドの充実ぶりを知ることができるはず。

普通の人間

SUNDAYS

普通の人間

2013年1月にTOWER RECORDS限定のミニ・アルバム『終わらない旅』でデビューを果たしたSUNDAYSがとうとうメジャーにフィールドを移す。"普通の人間"という言葉は一見シニカルかもしれないが、彼らは自信を持って時代に左右されない自分たちのスタンダードを貫く。だがそれは容易なことではない。そのために悲しい想いをすることも少なくないだろう。それでも彼らはハートを殺すことなく、ひとつひとつの音に血を通わせるように音を鳴らす。ひたすらに人間くさい熱いロックンロールをぶっ放すその姿を"普通"と言う、その心意気に感服だ。精力的なライヴ活動で、更に各楽器のアプローチも情感たっぷりに広がり、紅一点ヴォーカルふーちゃんの歌声も聴き手を包み込むような優しさに溢れる。

Human Ceremony

SUNFLOWER BEAN

Human Ceremony

特異な音楽的美意識を持つ街ブルックリンから、新星3ピースによる1stアルバム。フロントに立つJulia Cumming(Vo/Ba)はファッション・ブランド"Saint Laurent"などでモデルも務め、トムボーイな容姿でファッション・アイコンとしても注目されている。ニューヨーク・パンクを基調としたソリッドでシンプルなビートだが、サイケなギター・フレーズと、Juliaのベース・ヴォーカルならではの手グセ感のあるメロディアスなベース・ライン、THE CARDIGANSのNina Perssonを思わせるアンニュイな声の奇妙なバランスによってポップたらしめている。昨年ブレイクしたロンドンのWOLF ALICEと双璧を成して、COCTEAU TWINSやTHE BREEDERS、ELASTICAといったフィメイル・オルタナ・ロックの系譜を引き継いでいる。

Light The Fire

Sunrise In My Attache Case

Light The Fire

初期の活動の集大成となった前作アルバム『Sunrise to Sunset』を経て、まっさらな気持ちで制作に向かったミニ・アルバム。4月に先行配信されたシングル「Tell Me Why」は、そのイントロから新鮮で、骨太なギター・フレーズで爽快に道を切り拓き、馬力のあるバンド感で進んでいく曲となった。この曲をはじめ、ライヴでシンガロングし、高揚感のあるメロディで聴き手の背中を押す曲を中心に収録。つい鼻歌でなぞってしまうメロディで、リズムをとってしまう心地よいビートやエアリーなバンド・アンサンブルでと、彼らならではの肩肘張らない空気を生かした伝え方をしており、最高にフレンドリーだ。海で、日常で、スタジアムで、また夜のクラブでも、それぞれに響くロック・ミュージックとなっている。

Sunrise to Sunset

Sunrise In My Attache Case

Sunrise to Sunset

Red Bull主催のバンド・コンテスト"Red Bull Live on the Road 2016"で優勝したのち、1stシングル『The Wall』をリリースし、サーフ・ロックやルーツ・ロックを飲み込んだ、スケールの大きな瑞々しいサウンドを奏でた4人。今作は、高揚感やアンセム感のあるメロディにさらに磨きがかかっている。このグルーヴに乗ってふと出かけたくなる曲、あるいは自分たちが聴きたい曲といったことが大事にされているのだろう。気張らずに、でもどんなときも寄り添い、想像的な場所へと逃避行させてくれるような曲が並ぶ。爽やかにかき鳴らされるアコースティック・ギターを基調にしつつも、シンガロングやグッとくるハーモニーが効いているのは、メロディックやメタル・バンドの経験もあるメンバーゆえか。

The Wall

Sunrise In My Attache Case

The Wall

"翼を授ける"のキャッチコピーでお馴染みのエナジー・ドリンク、Red Bullが主催するバンド・コンテスト"Red Bull Live on the Road 2016"でグランプリに輝いた4人組によるニュー・シングルは、アコースティック・サウンドの質感を大事にしながら、それぞれに異なる魅力を持った3曲を収録。全員でシンガロングするコーラスとダンダンダンという力強いリズムがMUMFORD & SONS以降のネオ・フォークを思わせるTrack.1「Higher」、アーバンなセンスも感じさせるTrack.2「Flight」、ピアノの音色をフィーチャーしたバラードのTrack.3「The Wall」という3曲からは、サーフ・ロックを掲げながら、彼らがそのひと言には収まりきらないポップ・ソングの作り手であることが窺える。他の曲も聴いてみたい。

Nobody's Coming To Save You

THE SUNSHINE UNDERGROUND

Nobody's Coming To Save You

デビュー当時はニュー・レイヴ・バンドの1つとして紹介されていたTHE SUNSHINE UNDERGROUND。実際はそのシーンに括られている他のバンドたちと比較するとより生々しいグルーヴを全面に押し出すバンドであった。そして今回のニュー・アルバム『Nobody' s Coming To Save You』では1stに収録されているヒット・ナンバー「Put In Your Place」でキラリと光っていたダンサブルなグルーヴはそのままにさらにへヴィでダークになった印象だ。本人達が語る様に政治的な歌詞を盛り込んだせいかも知れない。たった4週間という短い制作スパンで作られた今作は、その勢いをそのままパッケージに詰めこんだかのような新鮮さを感じさせる。

P wave

SuperBack

P wave

関西を中心に活動する2人組ディスコ・パンク・バンド SuperBackの初のフル・アルバム。セルフタイトルの1曲目はまるで挨拶代わり。ソリッドなギター・リフとシンセ・ベースを軸に構成されたサウンドに、表題曲「P wave」へと繋がるまでの僅か50秒ほどで虜にさせられる。70年代のニュー・ウェーヴを彷彿とさせるエレクトロ・ポップからアップビートな四つ打ちを土台にしたパンキッシュな楽曲まで、非常に中毒性の高いダンサブルな全11曲が収録された本作。中でも奇妙な詞世界をラップに散りばめた「JADA」は、独特な世界観が広がるMVも公開され、唯一無二の存在感を強く放つ1曲となっている。踊ることの楽しさが目一杯に詰め込まれた『P wave』が漂流する先には、ディスコ・リヴァイヴァルに熱狂するフロアが鮮明に思い浮かぶ。

ひたむき

SUPER BEAVER

ひたむき

自身最大規模のアリーナ公演も含むツアーを開催中のSUPER BEAVER。来年も全国を巡るホール・ツアーが決定しているなど、今年2022年2月に8thアルバム『東京』をリリースして以降ライヴ活動に力を注いでいる彼らが、待望の新曲を発表した。今回の表題曲「ひたむき」は、TVアニメ"僕のヒーローアカデミア"第6期オープニング・テーマにもなっており、物語ともリンクするような文字通り"ひたむき"な熱い歌詞が胸を打つロック・ナンバー。高揚感のあるメロディと曲展開がドラマチックな楽曲に仕上がっている。また、カップリングの「秘密 -Acoustic ver.-」は、原曲の繊細な部分が大切に切り出されたようなアコースティックver。収録2曲のバランスもいいシングルだ。

突破口 / 自慢になりたい

SUPER BEAVER

突破口 / 自慢になりたい

表題曲のひとつ「突破口」はTVアニメ"ハイキュー!! TO THE TOP"のOPテーマ。もうそれだけでアツいロックであることは間違いないのだが、そんな想像を軽々と超えるほどの熱量をもって迫ってくる音と歌に、思わず身体が動き出す。歌詞にある"正面突破"を物語るかのようなどストレートなサウンドと、大サビのシンガロングが唸ってしまうほど気持ちいい。一転、同じシンガロングでも、「自慢になりたい」のそれから感じられるのは真心を束ねた花束のような優しさだ。"僕は あなたの 自慢になりたい"というとんでもない殺し文句を、これほどまでに説得力のある響きで表現できるのは、まさに渋谷龍太の歌声の賜物。いずれにしてもSUPER BEAVERにしか成しえない温度を孕んだ両A面シングルだ。

ハイライト / ひとりで生きていたならば

SUPER BEAVER

ハイライト / ひとりで生きていたならば

結成15周年にしてメジャー再契約という大きな節目を迎えたSUPER BEAVERの最新シングルは、その活動の中で培われた、バンド自身の生命力の結晶のような輝きに満ちている。中でも「ハイライト」の、哀しみや苦しみを抱えてもなお湧き上がる生への渇望を描いた柳沢亮太(Gt)による歌詞は、生命の尊さを改めて意識せざるを得なくなってしまった今、奇跡的なほど胸に響く。素朴なギターとストリングスが渋谷龍太の歌声を朗々と浮き立たせる、映画"水上のフライト"主題歌となった「ひとりで生きていたならば」、そして旧メジャー時の楽曲のセルフ・カバーとなる「まわる、まわる」と併せて、彼らが奏で続けたひたむきな生への想いを存分に感じられる、最上級の生命讃歌だ。

愛する

SUPER BEAVER

愛する

あなたと僕はひとつになれないひとり同士なのだという、どうしようもない事実。当たり前を大切にできずに何度も後悔を繰り返す、人間のサガ。そういう情けない部分も救いようのない部分もひっくるめて"あなたと僕"、そして"今"を抱きしめるという意志。メッセージ・ソングを唄い続け、ヘッドホンの向こう側のかけがえのないひとりに音楽を手渡し続けてきたSUPER BEAVERが、ひとつの答えを手繰り寄せたのだということがよくわかるアルバムだ。よりシンプルになった歌詞はまっすぐ深く核心をつき、歌はますます強く、バンドのダイナミズムやアレンジもより確信的になった。紆余曲折を経て結成10周年、積み重ねた年月で得た確固たる説得力に胸が熱くなる。間違いなく過去最高傑作。おめでとう!

らしさ / わたくしごと

SUPER BEAVER

らしさ / わたくしごと

YouTubeにアップされているトレーラーを見て、4人とも表情が柔らかくなったなあと感じた。前作『361°』とそれに伴うツアーを経て"1周回って、始まりに戻ってきた"SUPER BEAVERによる両A面シングル。Track.1「らしさ」の冒頭、"自分らしさってなんだ"という渋谷龍太(Vo)の真っ直ぐな歌とその直後のブレイク。聴き手をグッと引き込むオープニングに、これは紛れもなくイヤフォンの向こう側の"あなた"への歌だと気づかされる。だから"僕"の葛藤を描いた「らしさ」も、鋭いサウンドとともに現代人・社会を皮肉る「わたくしごと」も、"あなた"への赦しの言葉となり、温かな応援歌となりえる。それが飾らない状態でできる優しくて真摯なバンドなのだ、彼らは。

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

BUMP OF CHICKENやTacicaを彷彿とさせる空気を含んだようなヴォーカルと、テンポよく馴染みやすいメロディ。そして、"僕"と"キミ"によって構成される日常の物語。青春群像とでも呼べるよな、焦燥感や繋がりを求めてるもどかしさを感じることが出来る。5分あまりの物語の中で、彼ら自身、悲しみや不安に声をあがながら、その悲しいという感情を原動力に進でいく。だからこそ、優しさやぬくもり、そして未来の自分たちの姿を見据えようともがく姿は、私たちに突き刺さるのだ。そして、暖かなぬくもりを見失い、身動きが取れず蹲ってしまった私たちに、手を差し伸べ背中を押してくれる。未来の自分自身に姿を捉えることができた今、SUPERBEAVER の進む道、そして歩んできた道は、確かな足取りに満ちている。

RE:SUPERCAR 1-redesigned by nakamura koji-

SUPERCAR

RE:SUPERCAR 1-redesigned by nakamura koji-

SUPERCARは、1995年に中村 弘二(Vo&Gt)、いしわたり 淳治(Gt)、フルカワ ミキ(Ba)、田沢 公大(Dr)の4人組ロック・バンド。97年にシングル「cream soda」でデビューし、初期にはノイジーでポップなシューゲイザー・サウンドを追及し、活動中期以降は打ち込みを導入。独自のスタイルを確立していった。今作は中心メンバーであるナカコー自ら監修し、SUPERCARの過去の音源を再構築。初期の頃の楽曲を集め、懐かしい名曲を新たに復活させた。特にデビュー・シングル「cream soda」の色褪せない純粋さは無敵である。初回生産限定盤は2枚組となっており、DISC2には未発表含むデモ音源が40曲収録。

Majesty Shredding

SUPERCHUNK

Majesty Shredding

昨年EPをリリースし来日公演も行ったSUPERCHUNKから実に9年振りのアルバムが登場。Jim O' Rurkeプロデュース元作られた前作から、メンバーの育児休暇や別ユニットの活動などで休業状態が続いた彼らだが、昨年復活を果たし今年も夏のフェスへの参加が発表されるなど本格的に再始動。そして届けられた本作は一曲目の「Digging For Something」から力強いパワーポップを聴かせてくれる。とにかく瑞々しくストレートな作品だ。初期のノイジーな感じというよりは抜群のメロディ・ラインを全面に押し出したシンプルなサウンドは彼らの復活を心待ちにしていたファンの期待にバッチリと答えるものだろう。胸躍る素晴らしいギター・ポップ・アルバム。

Don't Say That

SUPERFOOD

Don't Say That

絶妙にダンサブルなギター・ロック・サウンドとうっすらと漂うサイケデリック・ムード。彼らが紹介されるとき、使われるブリット・ポップよりもむしろHAPPY MONDAYSを始めとする80年代のマンチェスター・バンドを思い出した。PEACE、SWIM DEEPを輩出したバーミンガムから現れたUKロック期待の新人、待望のデビュー・アルバム。曲によってはぎくしゃくとしてしまう演奏は90年代オルタナ譲り。このバンドならではと言える個性はまだまだこれからだが、奇をてらわず、シンプルにいい曲を作っていきたいというタイプのバンドなのだろう。憂いを含んだメロディが印象的な曲作りの根底にはTHE BEATLESにまで遡れるブリティッシュ・ロックの伝統がしっかりと息づいている。長い目で成長を見守りたい。

FREAKS

SUPER SHANGHAI BAND

FREAKS

90'sのUSオルタナやカレッジ・ロックを思い起こさせる、ドライでザクザクと刻まれるギター・サウンドに、甘美でいてふてぶてしく拗ねた雰囲気を持つ男女ヴォーカルがさらっと乗っかった、抜群にキャッチーな音が魅力の4人組。カッコつけず、かといってナードを装ったりもしない自然な佇まいも良く、気負いたっぷりでローファイ感を出しているわけではないのもポイント。4人の好きな"感じ"や心地よい"雰囲気"という、この空気を的確に捕まえてアウトプットしていることが、なんの雑念もなく耳や身体にストンと落ちる理由だろう。バンドは楽しくなくちゃ、と語る精神がしっかり貫き通されていて、きっと年月を経ても、青春期のビター&スウィートを彩るロックとして心ときめかせる曲たちだ。

Snowdonia

SURFER BLOOD

Snowdonia

数々の悲劇を乗り越え、新たなラインナップで辿り着いた新境地からひと言では語りきれないメンバーたちの想いを汲み取りながら耳を傾けたい。フロリダ州ウェストパームビーチ出身の4人組が約2年ぶりにリリースする4作目のアルバム。THE PIXIESフォロワーの面目躍如とも言える轟音ギターを炸裂させながら、ノスタルジックなメロディが単なるフォロワーではないこともアピール。そのノスタルジーはTHE BYRDSを連想させるサイケデリックなフォーク・ロックに結実。その一方で、ガレージ/サイケ調のTrack.5「Six Flags In F Or G」ではギター・オーケストラに挑戦。終盤、もう一度ギターの轟音をガツンと鳴らすTrack.9「Taking Care Of Eddy」もエキゾチックなメロディがバンドのユニークさを物語っている。

1000 Palms

SURFER BLOOD

1000 Palms

THE WHO、THE KINKS、THE BEACH BOYS、GUIDED BY VOICES、WEEZERといった偉大なアーティストたちを想起させながらも、確実に現代性をもった素晴らしいソング・ライティングで独自の世界を築き上げてきたUSバンド、SURFER BLOOD。夏が来るには少し早いが、彼らの新作が到着した。Track.1「Grand Inquisitor」から早速、力強いエヴァーグリーンなメロディが押し寄せ、抜群のポップ・センスに胸躍る。キラキラと眩しい太陽を彷彿とさせるような明るいハーモニー、多彩なギター・アレンジとコーラス・ワークはもちろん今作でも健在だ。みずみずしい若葉から差し込む木漏れ日のような、暖かく優しい初夏の趣を存分に味わえる1枚。

Travel The Galaxy

Suspended 4th

Travel The Galaxy

結成時からストリート・ライヴを積極的に行い、そこで培った確かな演奏力が各方面で絶賛されていた彼ら。当時Kazuki Washiyama(Gt/Vo)は"歌で伝えたいことはあまりない"と話していたが、2020年のコロナ禍を機に、世の中に対して自分が感じていることをメッセージにしようと"歌を立たせるアプローチ"を手に入れた。何より大きな進化と言えば、バンドのアンサンブルが格段に向上したこと。個々の演奏力、ソングライティング力、アンサンブル、それらが渾然一体となって生まれたのが『Travel The Galaxy』だ。リード曲「トラベル・ザ・ギャラクシー」を始め、新曲もリテイク曲も、どれもが演奏力も歌唱力も際立っている。飛躍的な成長を遂げた、まさに軌跡(奇跡)の1枚。

KARMA

Suspended 4th

KARMA

確かな演奏技術とDIYな活動スタイルで、多くのミュージシャンからも支持されているサスフォー。PIZZA OF DEATH RECORDSからデビュー・ミニ・アルバムをリリースし、波に乗り始めていたところでのコロナ禍と、決して恵まれた環境ではなかったが、そんななかでも強い意志で自分たちの音楽を突き詰めてきた彼らは、さらに強靭なロックを打ち鳴らす新作を発表した。これまで地道な活動で繋いできた、音楽への渇望をぶつけるかのような骨太のロック・ナンバー「KARMA」。独特の節回しが魅力的なヴォーカル・バージョンもいいが、グルーヴィで繊細なプレイ・スタイルは、インスト・バージョンも合っている。カップリングは現在入手困難な初期音源収録曲のリテイクということで、こちらも必聴だ。

GIANTSTAMP

Suspended 4th

GIANTSTAMP

名古屋 栄のストリートを拠点に活動する気鋭バンドが、PIZZA OF DEATH RECORDSとのタッグで全国進出。非凡で卓越した演奏テクニックとジャンルに縛られない幅広い音楽性は、まさにミクスチャー・ロックと呼ぶに相応しいものだ。若年層には今どきのバンドとは一線を画する"初めての衝撃"を与え、オッサン世代なら70~80年代の音楽との共通点にニヤリとするはず。つまり、全方位に向けたジャンルレス/ボーダレスな、最強のロック・アルバムなのだ。しかも、彼らにとってはこの音源が完成形ではなく、ここからライヴを通じて曲がどんどん進化していくのだから、甘く見てはいけない。このCDで彼らに興味を持ったリスナーは、ぜひライヴで曲が"化けて"いく過程を目撃してもらいたい。

涙隠して尻隠さず

Su凸ko D凹koi

涙隠して尻隠さず

2010年に結成された3ピース・ガールズ・バンドSu凸ko D凹koi(読み:すっとこどっこい)の2ndミニ・アルバム。いきなりLED ZEPPELINのリフが聴こえてきたかと思いきや、一気に加速するオープニングから、Track.1「くず息子」、Track.2「店長、私バイト辞めます。」、Track.3「童貞応援歌」と続く楽曲は、女性ながら悪ガキ感満載のあるパンキッシュさ。Track.5「紅に染まる女子達」では身の周りのどころか生理について苛立ちと悲しみを歌っている。SNSからはみ出たようなリアルな日常を歌う言葉の数々を、共感して痛快と感じられるかどうかは聴く人を選ぶはず。音楽的表現力に長けた女性バンドが増えているだけに、音楽面で光る何かをしっかりと残して欲しい。

Golden Week For The Poco Poco Beat

THE SUZAN

Golden Week For The Poco Poco Beat

"オフィスに届いた一本のデモテープ。「THE SUZAN」と書いてあり、プロフィールらしき紙には、英語で「世界中に自分たちの音楽をばらまきたい」と..."これは彼女たちの古巣、ROSE RECORDのHPに掲載されている曽我部恵一によるTHE SUZANの紹介文の一部。そして、本作が念願の世界デビュー作、コケティッシュな魅力がいっぱいの4人の女の子が、世界にばらまく最初の音だ。一歩先ゆくインディ・サウンドを鳴らすバンドがこの国にいたという奇跡が、下北沢の小さなハコにいたなんて嘘のように、今や彼女たちは世界の人気者になろうとしている。それ見たことか。もたもたしてるから、THE SUZANが海の向こうに持っていかれてしまったじゃないか。おいそれと日本発なんて言ってはいけませんよ。彼女たちは、初めから世界水準なのだから。

The Suzukis

THE SUZUKIS

The Suzukis

2000年前半のロックンロール・リバイバル期にデビューしたTHE MOONEY SUZUKIというバンドがいたが、「SUZUKI」という名前は向こうにとってどれほどインパクトがあるのか聞いてみたい所だがそれはさておき。マンチェスター出身THE SUZUKISのデビュー・アルバムは伝統的なUKパンクの流れを受け継ぎながら、切なくもメロディアスで力強い楽曲が並ぶ渾身の一枚。ヴォーカルChris Veaseyの鬼気迫るパワフルな歌声ももちろん聴き所なのだが、アルバム全体を流れるイギリスのバンドらしい男臭さや、シンプルでストレートなビートにやられる。疾走感も合わせ持ちながらしっかりと聴かせる部分があるのが、彼らの魅力の一つでもあるだろう。

真面目な人

suzumoku

真面目な人

アコースティックなイメージを一新し、エレキ・ギターをかき鳴らしたロック・アルバム『Ni』でも驚かされたが、その勢いのまま発射されるニュー・シングルはピリッとスパイスの効いた応援歌。現実を見据えた自分自身への心の叫びでもありながら、他者にも向けられた救いなのかもしれない。イマイチ煮え切らない真面目な性分と衝動がいつだって自分の中に同居しているのだ。切迫感のあるカップリング曲「鴉が鳴くから」は挑発的で、今まで気づかなかった自分の本心を突いてくる歌詞に心打たれる。suzumokuというアーティストは地に根付くように力強い低音と、開いていく歌声がなんといってもクセになる。ギター1本でメッセージを投げ続ける姿はシンプルで何よりも力強い。