DISC REVIEW
R
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rega
DISCUSS
インスト・ロック・バンドregaが1年7ヶ月ぶりの音源をリリース。このアルバムのテーマは"1人1曲"。メンバーとスタッフの6人個々のイメージを、曲創りの過程で汲み取り、理解し合うという挑戦的な作曲スタイルとのことだ。より深みを増した巧妙なアンサンブルは鋭くなり、メンバー個々の顔がよく表れる感情的な音色も刺激的で、まさしく"DISCUSS=(議論)"というタイトルが相応しい。現時点ではどの曲がどの人物を表しているのか定かではないのだが、英語1ワードで統一された曲名はいろんな想像ができるし、Track.2「EQ」ではギターのアプローチがメタル風だったりと今までのregaでは見られなかった表情を見ることができる。全員が本音で語り合うような、人間の熱が凝縮された全6曲。
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rega
SOLT&PLUM
複雑に、巧妙に構築されてゆくバンド・アンサンブル。様々な方角から音が飛び出し、4つの音が描き出す情景の美しさには毎度惚れ惚れする。昨年は多数のフェスやイヴェントに出演し、精力的なライヴ活動を行う4人組インスト・ロック・バンドrega。彼らの3rdフル・アルバムがとうとう到着。今作は4人の音が会話をしているように展開され、曲と曲が呼応して世界が広がってゆく。それは前作リリースからの1年8ヶ月という長い歳月で、より深くなったバンドの人間関係が影響しているのだろう。ストイックで研ぎ澄まされたサウンドでありながら、隅々から優しさやぬくもりも滲む。緻密な音構成は注意深く聴けば聴くほど新たな発見があるので、耳を澄ましてじっくり聴き入るのもオススメ。
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rega
Lyrics
皆 さんは全曲インストゥルメンタルの楽曲は聴けますか?やっぱり歌がないと音楽って聴けませんか?“ 歌が無い”っていうところに拒否反応を示す人もいますが、逆に歌詞がないからこそ、メロディやリズムがダイレクトに伝わって、いろんな感情を自由にあたえてくれるのが、インストゥルメンタルの醍醐味だと思う。そんな中でもとりわけ今勢いのある、東京中心に活動している4人編成のプログレッシヴ・ジャム・バンドrega から2nd アルバム『Lyrics』がリリースされる。ライヴ会場 では中毒者続出というのも、アルバム冒頭の「IMPACT!」を聴けばきっと納得するはず。またアルバム発売後は、全国21 か所を回るツアーもスタートす るということで、各地のリスナー達を魅了するのは間違いないだろう。
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reGretGirl
生活e.p.
昨年1月にメジャー・デビューした大阪発のセンチメンタル・ギター・ロック・バンド reGretGirlの1st EP『生活e.p.』。全4曲すべてが失恋ソングでありながら、切なさだけでなく人の温もりをも残す傑作だ。心地よく弾むギター・サウンドに乗せて、叶うはずのない淡い期待や望みがリアルな情景描写とともに描かれた「ロードイン」で恋の始まりを懐かしみ、何気ない幸せの時間を切り取る「シャンプー」、キャッチーなメロディの上に綴られた"忘れることをやめた"というメッセージが刺さる「LDK」へと続いていく。ラストで唯一のバラード「オールディーズ」を届けてくれるのだが、2サビで畳み掛ける君との思い出の数々と"どうか君も傷ついてくれないか"の一節に、つい目頭が熱くなる。
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THE REGRETTES
How Do You Love?
顔がいい! センスいい! そしてめちゃくちゃ若い! 1st EPでメジャー・レーベルの目に留まったのも納得の次世代ガールズ・パンクの星 THE REGRETTESの2ndアルバムがこちら。「California Friends」や「I Dare You」のMVを観てもわかるけど、メンバーみんな仲が良さそうだし、本当に楽しそう。ローファイ・インディー・ロック、サーフ・ロック、70'sパンク、パワー・ポップ......ノスタルジックなのにとってもイマドキ。ファッション・アイコンとしても注目のフロントマン Lydia Nightのスモーキーで大人っぽい歌声とかわいらしい見た目とのギャップも最強! 日常にエネルギーを吸い取られてカラカラの大人たちも、瑞々しい彼女たちの夏の贈り物を受け取って、心を潤して。
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THE REGRETTES
Feel Your Feelings Fool!
ジャケット、アー写、ライヴ、どこをどう切っても画になる4人組だ。Lydia Night(Vo/Gt)を筆頭にみな2000年前後に生まれながら、モダンなファッションでBuddy Holly、THE TEMPTATIONSといった50~60年代の音楽に傾倒していく。その流れ自体は、正直あまり珍しいことではない。それでも、他との大きな違いは、短尺で勢いを詰め込むロックンロールの作法を倣いながら、旧石器なガレージ・パンクのサウンドを現代にアップデートしていることだ。それらを象徴する「Hey Now」などの楽曲が今の若いリスナーにとって新鮮に響いているのは、少し皮肉にも感じる。だが、そんな皮肉さすら絶対的な若さで呑み込む彼らのこのデビュー・アルバムには、2017年を前に進めるための抗う力が備わっている。
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Rei
QUILT
Reiが音楽仲間たちと織り成す、11色の魔法のカーペット=QUILTというキャッチフレーズ以上の驚きが詰まった、初のコラボ・アルバム。1曲目はRyohuのスピーディなラップはもちろん、トラップやファンクなど、めくるめくリズムの変化と強力なギター・ソロが幕開けにぴったりだ。藤原さくらや長岡亮介(ペトロールズ)とのコラボでは、オフビート気味のカントリー/グラス・ミュージック感が漂い、ミニマル・ファンクの雄であるギタリスト、Cory Wongとの2曲は最新のグルーヴ感、トリプル・ギターがチェイスするようなスリリングな展開も。また、こんなにかわいい(失礼!)細野晴臣の歌が聴けるのはこのコラボぐらいでは? と思わせる「ぎゅ」、ギタリスト同士の無言の対話が堪能できる渡辺香津美とのインストも豊穣の極み。
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Rei
HONEY
ひとりの女性の様々な側面を楽曲の個性で際立たせた新境地を示す2ndアルバム。泥臭くファットなスライド・ギターと四つ打ちの「B.U.」で始まり、アコギで有機的なループ感を生み出す「Categorizing Me」、SOIL&"PIMP"SESSIONSとの"DEATH JAZZ"「Lonely Dance Club」ではハードボイルドなギター・ソロで唸らせ、話す声色より繊細な「Stella」ではシンプルでパーソナルなムードを醸成。ギターの音の良さとナチュラルなハスキー・ヴォイスが印象的な「Today!」、音数を絞って軽やかな歌のフロウが楽しめる「matatakuma」など12曲。強気で前進できる日もあれば静かに過ごしたいときもある。ただ大切にしたい人や感情、ものは離さずにいたい。そんな確かな気持ちになれる作品集。
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Rei
SEVEN
ギターと歌があれば戦えるReiが音楽的なレンジを拡張したひとつの頂点が前作『REI』だとしたら、本作は基本的に彼女とリズム隊のみのミニマルな編成が逆にスリリングな瞬間をいくつも切り取っている。ブルージーでハードなギター・リフから始まる「Territory Blues」に改めて彼女のルーツを感じつつ、リード曲の「Connection」ではモダンな生音と打ち込みのビートやラップ・ヴァースが新鮮。また、思わず息を止めて聴き入ってしまうアコギのリフ~ソロの熱量とタップ・ダンサーのパーカッシヴな靴音のみで構成された「DANCE DANCE」、ギター・サウンドのニュアンスでイメージを際限なく広げるほぼインストの「Tourbillon」など、まさに七変化。プレイヤーとしてもプロデューサーとしても音楽の自由さを表現している。
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Rei
CRY
キュートな見た目のどこからその強烈無比なビートを生み出してるのか? と思うほど本格的な演奏力と表現力豊かな歌声を持つギタリスト/シンガー・ソングライター Reiの4作目は、"CD+MUSIC BOOK"としてリリース。Reiがすべてのデザイン/編集を行ったというMUSIC BOOKには歌詞、楽譜、使用機材の記録などのほか、新進気鋭のフォトグラファー 信岡麻美が撮り下ろした写真なども収録。新曲4曲が収録されるCDは渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)、後関好宏、類家心平らゲスト・ミュージシャンを迎えて制作。チップチューンっぽい音が入ったりと、今作ではギターを前面に出すことなく遊び心のあるカラフルなポップ・サウンドを創り上げている。穏やかなメロディながら心境が窺えるラストの「Don't Wanna Kill My Soul」にグッと心を掴まれた。
TOWERamazon
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Rei
UNO
若干22歳、本格派ブルース・ギターを武器に次々と大型フェスに出演し、注目を集める女性シンガー・ソングライター、Rei。筆者も初めてライヴを観た際に、アコースティック・ギターから奏でられるその出音のすごさに、終演後すぐに物販でCDを買ってしまったほどのインパクトを感じた記憶がある。セルフ・プロデュースによる2ndミニ・アルバムは、本物のブルース・ロックに根ざした音楽性を感じさせながらも、ファンク、ポスト・ロック的ポップ・ソング、セカンド・ラインに乗せたキュートなヴォーカルなど、オリジナリティ溢れる多彩な曲を聴かせている。もはや国籍も人種も年齢も性別も関係ない、真のオルタナティヴ・ミュージックがここにある。ライヴでの再現はもっとすごいはず。
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THE REIGN OF KINDO
Play With Fire
前身バンドではピアノ・エモ、インディー・ロック・サウンドを奏でRUFIOやOVER ITと来日公演をしていたが、このバンドではメンバーそれぞれのルーツにあるジャズやポップス色を濃厚に、グルーヴィなアンサンブルを聴かせる。ピアノ、パーカッションを擁したメンバー5人のほか、トランペットやサックスなどの管楽器もフィーチャー。シックな雰囲気も匂わせてはいるけれど、ドレス・コードなしでフレンドリーに踊らせたり、シンガロングもできるようなキャッチーなメロディも肝としているあたりは、多くのロック・バンド、パンク・バンドとステージを分かち合ってきたがゆえか。MAROON 5を思わせる軽やかなソウルも忍ばせて、ハイ・エナジーなバンド・サウンドでぶっ飛ばしていく風が爽快なアルバム。
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ReN
LIFE SAVER
アコースティック・ギターとループ・ステーションによる表現スタイルで活動するシンガー・ソングライターの2ndフル・アルバム。前作から1年を経て完成させた今作には、自身が最も影響を受けたEd Sheeranとの邂逅によって作り上げた実験的な先行シングル曲「Life Saver」や「What I'm Feeling」を収録するなど新たな一面も見せながら、あくまで本質にあるフォーキーな歌世界を大切にして完成させた。シンセなどのウワモノを多用せず、丁寧に重ねたコーラス・ワークが曲ごとに豊かな表情を見せてくれる。なかでも音数の少ない音像に乗せて自身の葛藤を綴った「PASSION」は、単純に"頑張れ"というような応援歌ではないが、自分を見失いそうなとき、そっと背中に光を当てて奮い立たせてくれるような静かな熱さが、ライフ・セーバーと名乗るアルバムのラストに相応しかった。
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ReN
Life Saver
前作アルバム『Lights』を聴いた人ならば、今作の大きな変化に驚かされるだろう。ループ・ステーションとアコースティック・ギターを巧みに操り、新たな可能性を模索する新進気鋭のシンガー・ソングライターによる実験作。メロディアスな歌を軸にしたフォーキーな作風から大きくベクトルを変えた今作は、ギターのカッティングと打ち込みの軽快なビートに導かれて、その音が鳴った瞬間に身体を動かしたくなるようなダンス・ナンバーになった。日本語詞と英語詞を滑らかに行き来する歌詞には、"張り詰めた日々から ここに僕ら逃げて来たんだ"と、音楽の在り方を模索して葛藤する自分自身の心境とシンクロするような言葉が綴られている。表現は変えても、想いをリアルに伝える姿勢は変わっていない。
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ReN
Lights
元カー・レーサーという経歴を持つ、現在22歳のシンガー・ソングライター。Ed Sheeranに魅せられ、音楽活動を本格的にスタートさせたReNが、昨年100本ライヴを敢行する中で生み出した1stフル・アルバム。レース中の事故により選手生命を絶たれた当時の気持ちを吐露する「生きる」や、70年代の四畳半フォークを彷彿とさせる「Goodbye」など、聴いている方が恥ずかしくなるほどストレート且つ素直な言葉で綴られており、その強い意志に裏打ちされた音の響きにハッとする。"道に迷う誰かのために僕が光りになればいい"と歌う「Lights」では、自信満々のライヴを表現したいと願う彼の野望が言霊に。揺るがぬ想いを持ち続ければ、きっと百戦錬磨のシンガー・ソングライターになるはず。今後が楽しみで仕方ない。
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Re:name
postmodern indie
爽やかなギター・ポップ、疾走感のあるポップ・パンク、素朴でキュートなカントリー、クールでスタイリッシュなシティ・ポップ、艶やかでエッジィなロックンロールまで幅広い12曲(CD限定曲含む)が収められている。とはいえ様々なジャンルのおいしいとこどりのような薄っぺらい感じはない。何よりメロディ、リフ、リズムという芯がしっかりしているからだと思う。アンサンブルやサウンドメイクのセンスも高く、「seventeen」で雑踏の音を曲に落とし込んだ発想は、ステイホームで生活に音楽が落とし込まれ数々の宅録が生まれた2020年らしさも感じる。世界的に若者が"ロックってカッコいい!"という風潮に回帰していると感じられる昨今。日本にはRe:nameがいる――そう頼もしく謳われる日もきっと遠くないはず。
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ReoNa
Naked
"応援者"ではなく、背中を押さない、手も引かない"代弁者"として"絶望系アニソンシンガー"を掲げる新時代の女性アーティスト ReoNa。アニソン・シーンで独自の存在感を放つ彼女にとって、2022年最初の作品となるEP『Naked』は、何気ない日常の風景を切り取った人生讃歌「ライフ・イズ・ビューティフォー」で幕を開ける。内省的且つ繊細な世界観を持ち合わせる彼女のパブリック・イメージを一新する、歌詞/サウンド共にポジティヴな楽曲となっている。惨憺たる絶望が横たわる当世。それは通り雨のように突然誰にでも降り掛かる。こんな時代だからこそ彼女の歌はただの代弁に留まらない。そっと差し出された傘のような温かさで、少しでも今を前向きに生きるためのヒントを与えてくれる。
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ReoNa
ANIMA
表題曲は、"ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld"最終章のオープニング・テーマ。"魂の色は 何色ですか"と"SAO"にとって重い意味を持つフレーズを繰り返す、激しいアッパー・チューンだ。ReoNaと言えば柔らかな歌声のイメージが強いが、嵐のようなバンド・サウンドの中でも、そのハスキー・ヴォイスは十分存在感を放っている。特に中音域のふくよかな響きが聴きどころだ。伴奏がアコギのみのミディアム・バラード、初回生産限定盤/通常盤に収録の楽曲、期間限定生産盤に収録の「Scar/let」とc/w曲はすべて違う曲調でチャレンジング。全体を通じて魂、精神の在処がテーマになっている物語性の高いシングル。
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ReoNa
forget-me-not
絶望系アニソン・シンガー ReoNaが、TVアニメ"ソードアート・オンライン アリシゼーション"のエンディング・テーマを表題に据えたシングルをリリース。表題曲は、アニメ作品の中で重要なキーワードである"記憶"というテーマにリンクさせ、"記憶の擬人化"をコンセプトに描かれている。ノスタルジックで疾走感のあるサウンドに、ReoNaの切なく透き通った歌声が乗ることで、よりエモーショナルな空気感が感じられる楽曲となっている。c/wにはそれぞれ色の異なるバラードを2曲収録。ギターの音を前面に出したロッカ・バラード「トウシンダイ」、ピアノと歌声のみで構成された「虹の彼方に」と、どちらも"応援者"ではなく"代弁者"、"共感者"として聴く者の心の痛みに寄り添うような、彼女らしいナンバーだ。
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ReoNa
SWEET HURT
TVアニメ"ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン"の劇中アーティスト"神崎エルザ"の歌唱を担当した絶望系アニソン・シンガー、ReoNaのソロ・デビュー作。表題曲「SWEET HURT」はTVアニメ"ハッピーシュガーライフ"のEDテーマになっており、"あなた"への狂おしいほどの愛を、儚くもエモーショナルに歌い上げる1曲だ。彼女の歌声は聴き手に寄り添ったり、共感したりという感覚を抱かせ、その繊細で深みのある声質はアニソン・シンガーの新たな在り方を示している。バンド・サウンドの「おやすみの詩」では感情をぎゅっと振り絞るように、アコースティックな「カナリア」では寂しげに呟くようにと、彼女の歌唱力と表現力を堪能することができる。
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retolighter
明星のおとづれ
2006年に仙台でシラトリサキコ(Dr)を中心に結成し、ここまでメンバー・チェンジがありながらも、約10年のときを経て満を持して全国流通盤となるミニ・アルバム『明星のおとづれ』を完成させた3ピース、retolighter。ドラム、ベース、ギターにシンセを加えたエレクトロな装いのあるサウンドではあるけれど、個人的にはポップ・センスやソリッドさという点では少年ナイフを思い起こす。シニカルさと遊び心がふんだんで、愛らしく美しいものだと触れようとすると、毒もトゲも突きつけてくる感覚。そのチクチクとした毒っ気も心地いいもの。シンセなど聴こえてくる音の感触や鋭さに"今"のものはあるけれど、90年代オルタナや、ローファイ、ベッドルーム・ポップの創意工夫や試行錯誤の面白さ、というものが根底に流れている。最新鋭でありつつ手作り感のある作品だ。
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Rhycol.
二人は歌う
2007年、大阪にて結成されたRhycol.の約2年ぶりとなる新作がTOWER RECORDSにて1,000枚限定でリリースされる。リード・トラック「二人は歌う」は、金城直敏(Vo/Gt)の繊細なヴォーカルがより一層際立つ荘厳な楽曲。輪郭をなぞるようなメロディがよりディープにその世界観に誘い込み、優しく紡がれるギターのアルペジオが綿密に作り上げられた楽曲を彩る。大きなスケールで奏でるその姿は全てを抱き締めるような寛大さで溢れている。疾走感のある「絶海の迷宮」、複雑でテクニカルなギター・リフが印象的な「それじゃあね」を含め、自らが掲げる"攻撃的かつドラマチック"という言葉通りただのギター・ロックで終わらせない。
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Rhycol.
situation
初の全国流通作品となった前作をリリースした5月に、自身が主催したロック・フェス“YANYA FESTA”を大成功におさめたRhycol.の新譜は、勢いを加速するバンドの持ち味を余すことなく凝縮した聴きごたえのある1枚に仕上がっている。リズム隊の骨太なビートに、金城直敏(Vo/Gt)と、NOHT FRICASSEE(Gt)の多彩なギター・アンサンブル、表情豊かな金城の歌声が絶妙に重なり、轟音アレンジでありつつもどの音色も引き立った魅惑のハーモニーを奏でている。メランコリックなギター・ロック・サウンドは、冬本番を迎えるこの時期にぴったり。ライヴ・バンドとして全国各地で精力的に活動する彼らが、公演を通じて楽曲をどう育てていくのかも気になるところだ。
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RHYE
Home
中性的な声質が特徴のヴォーカルで、"男性版SADE"などとも表現されてきたMichael Miloshのプロジェクト RHYEの最新作。今作では、特にステイホームでもゆったり踊れるようなナンバーが揃い、しっとりしたグルーヴ感に身を委ね、身体を揺らしたくなるような1枚だ。ジャズやフュージョンなどを今っぽい空気感で取り入れ、聴きやすい都会的なポップスに仕立てつつ、マニアックな質感を残しているところは、先天的な彼のセンスによるものだろう。また、どこか神秘的な響きのあるコーラスなどにも引き込まれるものがあり、シンプルながら重厚感がある。自身で手掛けているアートワークの写真やMVにも統一された世界観があり、あえてレトロな風合いを出したアーティスティックな世界観を丸ごと楽しみたい。
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RHYE
Woman
Milosh名義で活動してきたシンガー、プロデューサーMike Miloshと、様々なユニットで活躍後、2011年にEP『Bobby』でソロ・デビューを飾ったRobin Hannibalが新たに結成したソウル・ユニット、RHYEのデビュー・アルバム。タイトルの通り女性的で柔らかくしなやかなシルクのような手触りのアーバン・ポップを聴かせてくれる。Track.2「The Fall」のリフレインするピアノや流麗なストリングスや続くTrack.3「Last Dance」のとにかく耳障りの良いギター・カッティング、Track.9「Hunger」のミディアム・テンポのアダルトなディスコ・ファンクなど流石のキャリアを経ているユニットだけに全編において非凡なクオリティに仕上がっている。ジャンルを超越した極上のポップ・ミュージック。
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Rhythmic Toy World
輝きだす
"ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015""RUSH BALL 2015"など数々の大型夏フェスへの出演、渋谷CLUB QUATTROでのワンマン・ライヴがソールド・アウトと、勢いに乗る4人組ロック・バンドのシングル。森永製菓"DARS"のCM用に書き下ろした表題曲「輝きだす」はシンプルに、そしてストレートに共感を呼ぶ等身大のメッセージ・ソングだが、Track.2「ステレオタイパー」は自分たちがロック・バンドとして生きていくための決意を込めたハード・エッジな曲でシニカルさも発揮している。叩き上げのライヴ・バンドであることがわかるTrack.3「ライブハウス」も含め、それぞれ色の違うサウンドを聴かせながらどの曲からも彼らの自信が伝わってくる。
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Rhythmic Toy World
BUFFeT
ミニ・アルバム3部作とシングル1枚を経て、待望の1stフル・アルバムをリリース。バンドを続けてきたことへの喜びと未知の未来への昂揚感を託した「ファーストコール」でスタートする本作品は、再収録曲含む14曲によってカラフルに彩られている。まっすぐに駆け抜ける王道のギター・ロックは、まるでその手で勝利を掴みに行く少年マンガの主人公のよう。喜怒哀楽のどれもが目一杯表現する中、とりわけ目立ったのは目の前の"君"、聴き手への感謝であり、"その気持ちを省略して次へ進むことなんてできない"というバンドの強い想いを感じる。それならば、彼らが新たな冒険に出るのは、本当の新章に突入するのはきっと次のアルバムだ。そこで如何にして"君"と呼べる存在を増やすのかが鍵になるはず。
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Rhythmic Toy World
XNADIZM
ブレイクが期待されている2009年結成の4人組、Rhythmic Toy Worldによる3部作の完結編となる3rdミニ・アルバム。ナイーヴさと真実を求める真っ直ぐな気持ちが爽やかな曲調に溶け込んだ7曲が印象づけるのは2000年以降の日本のギター・ロックの流れ。しかし、曲ごとに趣向が凝らされ、単純に誰それのフォロワーとは言えない魅力が感じられるところがいい。その点では、メンバーそれぞれのバックグラウンドやスキルが存分に活かされているようだ。最後を飾る「アンチスキルレシピ」では彼ら流のラップ・ロックに挑戦。ライヴのアンコールでたびたび披露してきた即興ラップを発展させた結果だそうだが、そんなところからもバンドのポテンシャルがうかがえる。さあ、あとは彼らならではと言える強烈な個性だ。
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Ribet towns
ショーケース
大学の軽音サークルで出会った渋谷と北ヨーロッパに憧れる男女12人組、Ribet townsの全国デビュー作。"欲しい音"を追い求めた結果、今の形に落ち着いたという彼らが奏でる音楽は、日常を切り取った親近感溢れる歌詞を、グロッケンやピアニカなどのかわいらしい音が彩る。トイ・ポップや渋谷系、北欧トラッドなどのルーツ・ミュージックと12人の音楽性が混ざり合い、彼らならではの独自の世界観を作り上げているようだ。1曲の中でいくつもの表情を見せ、楽曲のストーリーをくっきりと浮かばせるAsayo Miyachi(Vo)の声色の変化、クセになる変拍子のリズムや音の重ね方で、1曲ごとに印象ががらりと変わるのが面白い。この音はなんの楽器なんだろう? とイメージしながら聴くのも楽しいかも。
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Richard Ashcroft
Acoustic Hymns Vol.1
90年代を代表するロック・バンド、THE VERVEのフロントマンで、ソロでも活躍するRichard Ashcroftが自身のキャリアから12曲を選曲し、アコースティック・バージョンで収録した今作。コロナ禍でのロックダウン規制が緩和されたタイミングでミュージシャンの結束を取り戻すために始めたこのプロジェクト。曲ごとに最適なアレンジを目指したと思われ、名曲「Bittersweet Symphony」は原曲のストリングスの良さを残しつつ、グッと肩の力の抜けたプロダクション。ソロ・キャリアの最初のヒット「A Song For The Lovers」はオーケストレーションとのコラボが優雅だ。盟友、Liam Gallagherとの念願のデュエットが話題のTrack.4には温かさと熱さがこみ上げる。
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Richard Ashcroft
Natural Rebel
昨年はTHE VERVEの名作『Urban Hymns』の20周年記念デラックス・エディションがリリースされ、名曲「Bitter Sweet Symphony」を再び若い世代が知る機会になった。最近ではLiam Gallagherとライヴで共演するなど、90年代ブリットポップの盟友は今も仲のいいところを見せる。前作から約2年ぶりに届けられたソロの5作目は聴き疲れしない大人のロックだ。Richardの声との相性で言うとこれぐらい引いたアクのないブルース&カントリー感はアリかもしれないが、リズムの単調さは否めない。ただ、哀愁と粘りが同居した声が生きるドラマチックな「We All Bleed」などはファンを納得させるだろう。ストリングス・リフが似合う世界観は健在。
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Richard Ashcroft
These People
Richard Ashcroftと言っても、若いリスナーは彼がヴォーカリストを務めていたTHE VERVEのストリングスが美しい「Bitter Sweet Symphony」をギリギリ知っているかどうかだと思う。OASISほどの大成功は収めなかったものの、彼が歌えば"これぞ英国"な力強さとメランコリーが同時に味わえるのは間違いない。さて、6年ぶりとなるソロ4作目。トレードマークと言えるストリングスの美しさにエレクトロニックを持ち込んだオケには少々の無理を感じるが、オーケストレーションやピアノといったドラマチックな音像に、やはり彼の声と歌は最高にハマる。目新しさはないものの、Track.3のサビでの声の重ね方のエモさ、今日的なマットなファンクネスを感じさせるTrack.10など新旧の良さがある。
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RIDE
Interplay
再結成から早約10年。80年代のシューゲイザー・シーンで産声を上げ、90年代のブリットポップの熱狂の真っ只中でもがいていた彼らは、解散後にミュージシャンとしても人間的にも成熟し、活動再開後は本当にフレッシュな姿勢で意欲的な活躍を見せていた。今作でも、そんな彼らのこだわり抜いたサウンドは古臭いところがまったくなく、バンドの新たなる進化を感じさせるものとなっている。滝のように打ちつける轟音ギターは、霧散してマイナス・イオンを放ち、浮遊感のあるメロディへと誘う。爆音で浴びる音のデトックス効果で、日々のモヤモヤやイライラが洗い流されていきそう。テクニカルな表現も押しつけがましくなく、スッと耳に入ってくる不思議な感覚は、幅広い世代から受け入れられるだろう。
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RIDE
This Is Not A Safe Place
2014年に19年ぶりの再結成、進化を証明した復活作『Weather Diaries』、復活後日本で最初のステージとなった"フジロック"でも、"90年代シューゲイズ・バンドの代表格"をアップデートし、現役感を証明したRIDE。今作には、メランコリックなギター・アンサンブルと美しいハーモニーのRIDE節なTrack.2やTrack.5もあれば、中期YMOを解釈した感の生音によるテクノ・フレーバーなTrack.3(メンバーによるとバスキア展からのインスパイアだそう)や、ソリッドなポスト・パンクのTrack.4、サイケデリックなアシッド・フォークのTrack.9など尽きることのない表現欲に驚く。タイトルは"ここは安全じゃない"の意だが、この音像は筆舌に尽くしがたく心地よい。
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RIDE
Weather Diaries
90年代シューゲイザー・シーンの代表格であるRIDEの21年ぶりとなる新作は、その歳月分に見合った興奮を私たちに与えてくれるものであった。先に公開されたTrack.2とTrack.4では往年の風通しのいいクリア・トーンとウォール・オブ・サウンドを堪能できたが、アルバムでは時代の流れと向き合ったトラックも多数収録されている。そんな今作を現代のフォーマットに着地させている大きな要因は、自身もDJとして活躍するErol Alkanをプロデューサーに起用していることだ。ヴォーカルのカットアップが印象的なTrack.3などからは、その手腕を存分に感じられるはず。サウンド、メンバーの関係性、すべてが次なるタームに向かおうとしているバンドの、新たな円熟期を素直に喜びたい。
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THE RIGHT ONS
Volcán
スペイン、マドリード発の5人組ソウル・カレージ・ロック・バンド、THE RIGHT ONS。本国でも順調に人気拡大し、今作で満を持してのメジャー進出を果たす。今まで英詞で歌ってきた歌詞をスペイン語にチェンジして放たれる『Volcán』は、本国スペインの照り付ける暑さ、否"熱さ"を凝縮したような4thアルバムとなった。ソウルもファンクも一口で飲み込んでビンテージ・ロックとして吐き出されるサウンドからは、どっしりとした重厚感や男気を感じる。その堂々たるサウンドから彼らの貫禄と風格が透けて見えるようだ。THE BAWDIESのROY(Vo/Ba)も"彼らは本物だ!"とコメントしているように、彼らの魂が映し出されたかのようなこの音を聴けば、天性たるソウル魂を知ることができる。
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RiL
TARO
ギター&ドラムの2ピースが奏でるサウンドから立ち上るのは90年代のヒリッヒリとした空気感と渇望感、そこから生まれたインディペントで創意工夫に溢れたカルチャーだ。90年代のSub Pop RecordsやAmphetamine Reptile Recordsにいたバンドたちや、"BEAVIS AND BUTT-HEAD"的な乾いた笑いを感じる世界観、リチャード・リンクレイターの映画など、芳しい香りがあり、またそこを追体験させるだけではない今のテクスチャーや遊びがその音を鋭く磨く。NIRVANA、THE BEATLESやBob Dylan、ガレージやブルースも掘り下げつつ、プリミティヴな音とひとひねりのアイディアでルーツを新解釈したその音楽は面白い。ナードで不良な感性が最高だ。
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RINGO DEATHSTARR
Pure Mood
今回の新作のリリースが、"スター・ウォーズ"の新作の公開にもし合わせているとしたら、この3人なかなかに食えない奴らだ。約3年ぶり、3作目となる新作を完成させたRINGO DEATHSTARR。その名がTHE BEATLESのドラマーと"スター・ウォーズ"シリーズに登場する要塞の名を掛け合わせたものだということは説明するまでもあるまい。今作は、これまで以上にイノセント且つドリーミーな響きを印象づける質感で、楽曲のクオリティが格段に底上げされていることが一聴してわかる。グランジ×シューゲイザー的な漂白されたストーナー・ロックを聴かせるTrack.2、マッドチェスターのサイケ感を匂わすTrack.3、白昼夢のような陶酔感のあるTrack.7やパンク然とした疾走系シューゲイズのTrack.9などマイブラ直系の甘いメロディが横溢。捨て曲なしの渾身の1枚だ。
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RINGO TONE
Sick!!!!!
ちゃんと聴き終える前にスキップ・ボタンを押してしまったら、このバンドの本質には一生触れられない。次々と展開していくがゆえに、あるいは"え、ここでこう来る?"的なデザインが施されているがゆえに、"この曲はこういう曲"とひと言で言えない曲が8曲集まったアルバム。サビのメロディはどの曲もキャッチーで、ベース、ドラムの演奏からは歌に対する信頼が感じられる。一方、アレンジや構成は一筋縄ではいかない。手垢まみれの表現を避け続けるのは、聴き手の意表をつくため......というよりは、自分たちが面白いと思うことに愚直であるという印象だ。1stアルバムのようにフレッシュだが、アイディアを実現するための腕は8年のキャリアの賜物。そんな4年ぶり4枚目のアルバム。
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RINGO TONE
Good day Good bye
2013年に西野真史(Ba/Cho)と西野剛史(Gt/Vo)という双子の兄弟を中心に結成された3ピース・バンド。前作アルバム『にじいろのまくら』の明るい雰囲気からは一転、ゆっくりと刻むテンポの上にエモーショナルな歌を乗せた「Today」で幕を開ける今作は、THE BEATLESやTHE CARDIGANS、くるりやthe pillowsなど、これまでにバンドが影響を受けてきたというルーツを大切にしながら完成させた作品だ。それは抜けるような青空というよりは、人間の弱さや葛藤を投影した曇り空のような音楽。何かをズバリと言い切るというよりも、遠回りしながら、丁寧に心の在り処を歌う。あえてわかりやすさを求めない、捻くれた感性で綴られた言葉たちは、聴き手の想像力を心地よく刺激してくれる。
LIVE INFO
- 2025.07.04
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