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DISC REVIEW

A

spy

[Alexandros](ex-[Champagne])

spy

12月にリリースされるバラードは甘いラヴ・ソング、という常識を覆す。タイトル曲「spy」はサラリーマンを経験しながらバンド活動をしていた川上洋平(Vo&Gt)の心情と葛藤を歌ったロック・バラードだ。粉雪のように柔らかいストリングスと、鋭さを内包するバンド・サウンドが作り上げるスケール感は、鳥が羽ばたくように優雅で、胸を突き刺すように切々としている。ふとした瞬間に誰しもが頭を過る"もしあのときこうしていたらどんな人生だったんだろう"――。想像を膨らませた後に現在の自分を見たとき"こっちに来たことは間違ってなかったよ"と笑ってくれるような優しい曲だ。"我が人生に悔いはない"胸を張って真っ直ぐそう歌う彼の清々しさは、青空のように雄大で美しい。

I Wanna Go To Hawaii.

[Alexandros](ex-[Champagne])

I Wanna Go To Hawaii.

「このアルバムのタイトルってなんだろう?」って思った人もいるのではないだろうか?ボーカル川上本人曰く、アルバムのタイトルだけじゃなく、歌詞についても全く意味がないと強調しているそうだ。確かにそうかもしれない。何故なら全曲の歌詞全てがノンフィクションなのだ。特にtrack.3の「Rocknrolla!」なんて自己紹介飛び越えて己の人生暴露状態。そして前作からアルバムの雰囲気もガラリと変わって、骨太ロックを炸裂させながら、リズムを急変させて楽曲の印象を変化させている。ラスト曲の「サテライト」はしっとり切ないバラード。サビ部分の伸びやかなファルセットが美しい。柔軟性を感じさせながら、しっかりとした1 本の芯があるアルバムだ。

You're So Sweet & I Love You

[Alexandros](ex-[Champagne])

You're So Sweet & I Love You

前作のシングル『City』から約4カ月ぶりとなる2ndシングル『You're So Sweet & I Love You』は、メロディアスでありながら力強いギター音と、弾けるようなポップサウンドに懐かしさと新しさ覚えた。そして今回歌詞は、ほぼ英詞でサビの部分が日本語という構成だ。ちょっとだけ捻くれた部分と、素直な閃きが入り混じっていて面白い。実はタイトルだけみた時に、ラブソングなのかな?と思って聴いてみたら、いやいやそんな単純じゃなかったです。なんだかガツンと全身に衝撃が走りました。Track2は、壮快で心地よいロックナンバー。ライヴで盛り上がるのは間違いなし!バンドとして確かな成長が伺える1枚である。

City

[Alexandros](ex-[Champagne])

City

今年1月に1stアルバム『Where's My Potato?』をリリースして以来、怒涛の勢いで数々のフェスやイベントに参加したりと、今話題の新人4人組ロックバンド[Champagne] から待望のニューシングル『city』が到着!実は路上ライヴ時代からあった曲とのこと。今回歌詞もほぼ日本語で書かれていて、慎重に言葉を選び時間をかけて完成させたのが伝わってきた。切ないメロディと疾走感溢れるサウンドに、ボーカルの川上が音楽で生きていくことの事実やココロの叫びなど、自分自身に向けて歌っているのも印象的。またTrack.2 とTrack.3 はOASIS 好きな人は必聴!特にTrack.3 の「美術館」は聴いた後「兄貴~!」って言いたくなってしまうはず!

Submarine - OST

ALEX TURNER

Submarine - OST

自分の吸っている空気や重力が変わってしまうような出会いは確かに存在する。映画「Submarine」でも、ひとりの少女との出会いで15歳の少年の全てが変わる。同作のサントラであるAlex Turnerのソロアルバムを耳にし、まるで恋に落ちるような心の震えを体験した。それは燃え上がるような激しさではなく、自分の奥深い部分に身を沈めたような根源的なものだ。くすんだウェールズの情景の中、Alexの存在は自然にそこにあるものとして感じられる。目には見えないほどにささやかな雨のように、心地よく濡らし包み込む。時に、弾むように無邪気に跳ねて魅せる。わずか20分という時間の中、とても深い部分で傷を慰撫し、柔らかくほぐれた心を優しく連れ出してくれるのだ。繊細な暖かさに泣きたくなってしまう。

King Con

Alex Winston

King Con

この音源を聴いてからというもの、僕はずっとこのアーティストに夢中だ。圧倒的なポップネス、高揚を促すユーフォリア、そして甘美なるノスタルジー…この、アメリカはミシガン州出身のシンガー・ソングライターAlexandra Winstonは数々の楽器を操り、Chuck BerryやTHE ROLLING STONES、MUMFORD&SONSといったアーティストのカヴァー曲を配信したことと2010年の「Choise Notes」のヒットで一躍話題になった。そんな彼女の待望のファースト・アルバムが本作である。時間を練られて制作されたのか、一曲一曲のクオリティが非常に高い。Joanna NewsomやLykke Liに比肩する憂いを帯びた歌声で、今後多くのリスナーを魅了することだろう。そう言えるだけの根拠がこのアルバムにはある。

Unknown Moments

Alfred Beach Sandal

Unknown Moments

北里彰久(Vo/Gt)のフリー・フォームなソロ・ユニットとしてスタートしたAlfred Beach Sandal(通称:ビーサン)から、ニュー・アルバム『Unknown Moments』が到着した。前作同様、岩見継吾(Wb)、光永渉(Dr)とのコラボ編成を軸として制作された今作は、ゲストにラッパーの5lackを迎えたTrack.7「Fugue State」など、その自由度はとどまることを知らない。七変化するサウンドと軽やかな北里の歌声、連想ゲームのような遊び心ある言葉選びはビーサンの音楽をさらに唯一無二なものにしてゆく。キラキラした夏は気づけば過ぎ去って少し寂しくなるけれど、そんなときこそ彼の音楽を聴いて共に"クール・ランニング!"と叫んでみよう。きっとハッピーな気分になれるはず。

Me

AliA

Me

もはやAliAの名刺と言える、YouTubeで1,500万回再生を突破した「かくれんぼ」を筆頭に、結成から3年間のバンドの歩みが全13曲から感じられる1stフル・アルバム。コロナ禍でたくましくなったバンドを象徴する「天気予報」、"じゃ逃げちゃえよ!"とワイルドにいざなう「まあいっか」、SEIYA(Ba)とEREN(Gt)とTKT(Key)の共作曲「ケセラセラ」など、序盤からバラエティに富んだ流れ。AYAME(Vo)のミュージカルのように突き抜けた表現力と、美しくデコレーションするRINA(Vn)の音色、エンジンを吹かすBOB(Dr)のビートなど、個性豊かなAliAらしさも光っている。ラスト・ナンバー、本音と決意を曝け出すような「Me」が秀逸。

eye

AliA

eye

初シングルは方向性の異なった3曲を収録。表題曲は力強く駆け抜けるビートの上で鬱々とした感情を爆発させるのだが、大胆すぎるアレンジを施した間奏からベクトルが切り替わり、光へ目掛けて走り出す構成は実にエモーショナルだ。「happy birthday?」は全員主役という彼らのコンセプトが炸裂したアッパー・チューン。各パートが前に飛び出すのはもちろん、EDM的なビルドアップにブレイクダウン、アンセム的なコーラスと、派手な展開で聴き手のテンションを突き上げる。そして、ストリングス・チームと初レコーディングをした壮大で美麗なバラード「ムツノハナ」と、どれもかなり強力。EREN(Gt)が"やりすぎたものを作ってみたかった"と話す通り、かなり挑戦的且つ意欲的な1枚に仕上がった。

realize

AliA

realize

前作から7ヶ月で早くも届けられた2ndミニ・アルバム。強烈なまでの激情を迸らせる「realize」で幕を開ける本作はシリアスでヒリヒリとした空気が立ち込める「Discord」や、瑞々しくて爽快感のあるサウンドをホーン・セクションがより華やかに彩る「ユートピア」、エレクトロ路線を押し出したパーティー・チューン「インストップデート」、柔らかなスロー・バラード「letter」などどれもキャッチーながら、見事なまでに全曲が異なる趣きを持った7曲を収録している。また、"6人全員が主役"と話す通り、各曲で必ず各パートが前に飛び出してくるメリハリを効かせたアレンジも白眉。エモくて骨太なバンド・サウンドを軸に枝葉をさらに広げ、伸ばしていく可能性を大いに感じさせる1枚に仕上がった。

AliVe

AliA

AliVe

エモーショナルな女性ヴォーカルに、クラシックが土台にあることがわかるヴァイオリンとキーボード、そして華麗なギターとラウドなリズム隊......と言うと、シンフォニック・メタルを想像する人も多いかもしれないが、AliAの音楽性はそんなひと筋縄ではいかないものである。思いの丈をシャウトしたかと思えば、しっとりとバラードを歌い上げる、表現の幅広さを持つAYAME(Vo)を筆頭に、このバンドにはどんな楽曲も柔軟に楽しめる技巧の持ち主ばかりが揃っているのだ。各々の個性を生かした、コントラストが鮮やかなアレンジも聴き応えあり。また、玄人を唸らせる実力だけではなく、誰もが歌い踊り、自らの想いを託せるポップな魅力も感じることができる。

Rainier Fog

ALICE IN CHAINS

Rainier Fog

90'sオルタナティヴ・ロックを代表するバンドのひとつであるALICE IN CHAINSが、約5年ぶりのニュー・アルバムをリリース。バンドの誕生の地であるシアトルのスタジオでレコーディングされ、そのシアトルをシンボリックに表現したタイトル"レーニア(山)の霧"と名付けられた今作は、LAでレコーディングされた前2作と比べると、彼らのルーツやこれまでの活動を総括するような、どこか感傷的な作品となった。ヘヴィでダウナーで妖しげなJerry Cantrellの唯一無二の存在感を放つギター・リフと、哀愁たっぷりのコーラス・ワークがたまらない。そんな懐かしい空気感を纏うサウンドには、成功を手に入れつつも、困難を乗り越え前向きに進んできたバンドの堂々たる自己肯定も感じられる。

The Devil Put Dinosaurs Here

ALICE IN CHAINS

The Devil Put Dinosaurs Here

この力強いサウンドには説得力がある。ノイジーで重厚かつ粘着的なギター・リフは、唯一無二のALICE IN CHAINS節。約4年振りの通算5枚目のスタジオ作だ。絶対的なカリスマ性を持ったフロントマンLayne Staley亡き後、William DuVallを迎え再始動した前作『Black Gives Way To Blue』は世界中で大ヒットしたが、古参ファンからの批判もあったという。しかしどうだろう、本作はメンバーが過去に囚われず新たな扉を切り開いた勇気が漲っている。この強さに、誰だろうと納得せざるを得ない。「Hollow」、「Stone」、そしてラストの「Choke」まで、身もふたもない表現だが、気持ち良いほどALICE IN CHAINSだ。

Talking to my radio

Alloapm

Talking to my radio

NYのレーベルSerotonin RecordsやSunlinxx Records(L.A)、ロンドンのHeavyDisco Recordsなど、著名な海外レーベルより既に12インチ等のリリースや、世界各国のエレクトロ・チャートにランクインするなど、海外で高く評価されている日本人アーティスト、Alloapm(アローエピーエム)。初めて聴くかたは日本人だとは思わないだろう。規格外のセンスで打ち鳴らされるビートは、海を越えて多くの人に注目されるのも納得のサウンドだ。2ndミニ・アルバムとなる今作には、アメリカン・ディスコの雰囲気漂う「Talking to my radio」やシンセサイザーの効いた「You Were Meant For Me」などフロアを沸かすこと必至な楽曲たちがずらりと揃っている。

Eleventh Trip

ALPHA

Eleventh Trip

UKのトリップ・ホップ/エレクトロニカのユニットALPHAの新作。90年代のブリストル・サウンドの象徴的なアーティストとしてMASSIVE ATTACK、PORTISHEAD、TRICKYと並んで根強く支持されている。今作は3名の男女ヴォーカルを楽曲ごとにフィーチャリングしているのがとても効果的で、それぞれの楽曲にフィットした、しなやかな歌声が豊かな色彩を与えている。電子音にこれだけ温かみを感じられるのはその歌声と美しいメロディの相乗効果だろう。叙情的でメランコリックなサウンドがベースとなっており、全編を通してどこかにトリップしていってしまうようだ。人工的に作られた音で自然的な場所に連れて行かれるような感覚になるのがなんとも皮肉だが、細部に至るまで音が巧みに練られており、聴くたびに新たな発見がある。

Blue Earth

Alstroemeria

Blue Earth

愛知県豊橋市を拠点に活動するAlstroemeriaが、結成5年にして1stフル・アルバムを完成させた。初期の高校時代、いわゆる王道の邦楽ギター・ロックや2ビートのパンクを鳴らしていた3人が、音楽的にも歌詞表現的にも自然に変化、成長した今を聴くことができる。中でも重層的なギターのアレンジや凝ったコーラスが孤独な深夜の時間帯をイメージさせる「じゃあね、霞む灰色」や、学生のときとは違う友達の大切さに共感できる「7179」、ソングライターのりくお。(Vo/Gt)が初めて女性目線で歌詞を書いたという「つよがり」、2ビートから進化したスピード感をカウパンク調のビートで体現した「セルフィッシュガール」など、バンドの現在地を示唆する10曲。不安や曖昧な気持ちすら愛しく思える、言葉や音のリアリティが聴き手に寄り添う。

The Dream

ALT-J

The Dream

"BRIT Awards"など各賞を受賞してきたUKきってのインディー・バンドでありつつ、ストイックなまでに曲に込める要素をひとつひとつ庭を歩きながら集めるようなスタンスは不変。前作『Relaxer』から約4年半ぶりとなる本作では空間を大きくとりつつ親密さのあるTrack.3もあれば、ドローン・ライクでメランコリックなギターが印象的な導入から、マンチェ・ビートっぽい身体が揺れるセクションに展開するTrack.2もあるし、エレクトロニックな荒野を歩いているなかで上昇するシーケンスに翻弄されるTrack.5もあれば、ダブステップにゴスペル感が融合したTrack.4もある。インディー・ロックの芯の部分と『In Rainbows』期のRADIOHEADが同居したような世間に迎合しない試行が堪能できる。

An Awesome Wave

ALT-J

An Awesome Wave

ダブステップにフォークの要素を取り入れ自ら“フォーク・ステップ”と語るサウンドで話題の新人バンドが登場。全くのプロモーションなしで、デモ音源がSoundcloudで約半年間での再生回数が7万回を超えるなど異例の快挙を成し遂げている。フォークを基準としながらシンセ・ポップやヒップホップをも飲み込んだ彼らのサウンドは近年のRADIOHEAD等を彷彿とさせるが、同郷のWILD BEASTSの様なファルセット・ヴォイスやUSフォーク・シーンの影響を受けたであろう美しいコーラス・ワークやメロディなど、アルバムは実験的でありながらポップでどこか懐かしさがあり心地いい。FUJI ROCK FESTIVALでの来日も決定。このサウンドをどうライヴで表現するのかとても楽しみだ。

Somewhere Between

ALVAREZ KINGS

Somewhere Between

英国はサウス・ヨークシャー出身の4人組 ALVAREZ KINGS。過去には"Vans Warped Tour 2015"への参加やPVRISらとツアーを行うなど、バンド結成からの5年間はみっちりとライヴ経験を重ねてきた。そんな彼らの待ちに待った1stアルバムは、PARAMOREの新作にも参加するCarlos De La Garzaをプロデューサーに迎え、アメリカはカリフォルニア州にてレコーディングされた。サウンドはU2やKINGS OF LEONといったスケールの大きいスタジアム・ロックと、トロピカルなシンセが調和した最近のCOLDPLAYなどを想起させる。地道な努力と理解ある人を追い風に、アンセム・バンドとしてこれからが期待できる彼らの音楽、早くフェスなどで堪能してみたい。

Alvvays

ALVVAYS

Alvvays

カナダはトロント出身の美人女性ヴォーカル擁する5人組、ALVVAYSのデビュー作。THE VASALINESやBELLE AND SEBASTIANといったグラスゴー勢譲りの牧歌的なメロディに、BEST COASTやVIVIAN GIRLSといったUSサーフ・ロック勢譲りのローファイでノスタルジックな音の鳴り。移りゆく時代の中でロックンロールが、背負わされた物語や絡みつく資本の外側に追い求めた"純粋さ"がこのアルバムには凝縮されている。誰しもが子供のころに感じたであろう夕方の帰り道の身を切るような切なさや、想う相手と手が触れ合った瞬間の全身に電流が走ったような喜び――そういった、失われてしまうからこそ美しく、永遠に私たちを魅了し続けるすべての甘美な恋と夢と酩酊を、ドリーミーなリヴァーヴの奥に閉じ込めた玉手箱のような1枚。

A.M.T.P.to RESIST DRUGS AND VIOLENCE

A MAD TEA PARTY

A.M.T.P.to RESIST DRUGS AND VIOLENCE

昨年リリースされたサイケデリックとパンクを融合させた彼らの1stアルバムでは、新たなエレクトロ・パンクの形を見た。だが今作ではそのイメージを自ら粉砕。2本のシンセサイザーと軽やかなリズムが交錯する、非常に煌びやかでポップな仕上がりになっている。そして本人達いわく「今回の僕らのCD、“売れ線”でしょ??違うんですか?ww」。まったく、憎たらしいまでに確信犯である。気だるい笑顔を彷彿とさせるヴォーカルと、手拍子したくなるような軽やかなサウンドは“A MAD TEA PARTY”というバンド名ともよく合致している。1st、2ndと、自分達の持つ個性をこれだけの振り幅で表現されてしまうと、3枚目はどうなるの? と期待してしまうのは必然。目が離せません。

A.M.T.P.E.P.

A MAD TEA PARTY

A.M.T.P.E.P.

デジタル時代。インターネットによりあらゆる情報がフラットとなったゼロ年代に育まれた知性は、混沌としながらも、ジャンルを崩壊する奔放さがおもしろい。黒猫チェルシーや踊ってばかりの国と新世代の躍進に沸き立つ神戸から、またしてもユニークな新鋭が。若干ハタチの6人組、A MAD TEA PARTY。デビューEPとなる本作は、アップリフティングなデジタル・ビートを主軸としながらも、ノイジーな生音を駆使しとことん享楽的なダンス・チューンを披露。鬱屈さを晴らすように爆発するハイテンションは特筆すべきものだ。ニュー・レイブ・リヴァイヴァル?とPILLS EMPIREやMONICA URANGLASSなどロック×エレクトロのクロスオーヴァーが目立つが、持ち前の勢いでシーンに風穴を明けてもらいたいものだ。


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Catch me if you can?

Am Amp

Catch me if you can?

2.5次元俳優としても知られる須賀京介(Vo/Gt/Key)を中心に俳優、ヴィジュアル系バンド、サポート・ミュージシャンと異なる分野で活躍してきた4人が集ったジャンルレス・バンド。打ち込みを多用したボカロ・テイストのリード曲「チャイラッテ」ではイラストMV、ファンへの想いを歌うメロウなセミリード曲「夏的小故事」では実写MVと、2次元と3次元を往来し、音楽面でもヴィジュアル面でも枠にはまらない独自のスタイルを提示。そしてエモーショナルな歌唱とギターが冴え渡るバラード「Ao」、四つ打ちロックを軸に目まぐるしく展開するキラーチューン「HEAT」、3拍子が艶やかな世界観を演出するオルタナ・ロック「慕情」と多彩な全5曲を収めた、バンドの新たな可能性を切り拓く1枚だ。

七号線ロストボーイズ

amazarashi

七号線ロストボーイズ

コロナ禍におけるリアルを吐き出した前作『令和二年、雨天決行』に続く新作。今回は見えない未来に一歩踏み出すために、まずそもそも自分はどんな人間だったのか? を青森での少年時代と今を時空を超えるように描写。硬質なラップに近いニュアンスの「感情道路七号線」に始まり、ピアノとシンセ・ストリングスが映像喚起力抜群の「火種」や、TVアニメ"86―エイティシックス―"OPテーマ「境界線」を挟み、中盤では学生時代の居場所のなさや、せつないほど荒んでいく暮らし、生まれ育った街の過去の歴史にも触れていく。その中でも常に自分にとっての真実めいたものをほのかな希望として描いていることが、現在の混沌とした時代に響く。また人気漫画"チ。"との"往復書簡"企画の発端である「1.0」も収録されている。

令和二年、雨天決行

amazarashi

令和二年、雨天決行

混沌とした空気に包まれた令和2年。数多のミュージシャンの手によって今年という年を意識した音楽が生み出されたが、これほどまでに生々しい感情が詰め込まれた音楽には出会ったことがなかった。時に一見ポップなギター・ロックに紛れ、時に絞り出すように切実なポエトリー・リーディングでもって、秋田ひろむ(Vo/Gt)が紡ぐのは誰もが避けて通ってしまうような感情ばかりだ。それでもその歌声が暁光のように眩しく思えるのは、真の意味での"私たちの歌"がそこにあるからだろう。どんな"私たちの歌"ぶった応援歌よりも、その嘆きにも似た声が、音が、私たちの背中を押してくれる。amazarashiの音楽があれば、変わり果ててしまったこの日常をゆるやかに受け入れていける気がする。

ボイコット

amazarashi

ボイコット

武道館公演"朗読演奏実験空間 新言語秩序"が象徴的だが、自らのメッセージをより具体的に、スケールの大きい形で見せるようになってきた近年のamazarashi。それを、フル・アルバムという形にパッケージしたものが今作だ。特に初回盤に関しては、オリジナルの映像コンテンツやMV、ライヴ映像、さらに秋田ひろむ(Vo/Gt)の過去を綴った小説が特殊ブックレットに封入される。すべてを繋いで読み解いていくと、秋田ひろむは自分自身を、そして自分自身がやるべきことを、腹を括って理解しているからこそ、こういった振り切った表現をしているのではないか? ということが見えてくる。異端なようで大衆的で、厳しいようで優しくて、アーティスティックでありながら人間臭くて、不思議と涙が出てくる全14曲。

リビングデッド

amazarashi

リビングデッド

11月16日、初の武道館公演[朗読演奏実験空間"新言語秩序"]を開催するamazarashiが、同公演に向けて書き下ろした3曲をリリースする。"「新言語秩序」プロジェクト"のテーマ="言葉"は、amazarashiが元来大切にしてきたもの。今作がコンセプチュアルでありながらもバンドの核心に迫るシングルになったのはおそらくそのためだ。絶えず刻まれる8分のビートと、秋田ひろむ(Vo/Gt)の歌う理由を投影した歌詞が迫り来るような表題曲「リビングデッド」。夏目漱石の名訳をタイトルに据え、"言葉"の持つ果てないロマンを託した「月が綺麗」。アプリと連動させることにより初めて全貌が明らかになるという、実験的な内容の「独白(検閲済み)」。以上、3曲を収録している。

amazarashi LIVE「理論武装解除」

amazarashi

amazarashi LIVE「理論武装解除」

2017年12月に千葉県舞浜アンフィシアターにて2デイズ開催された、秋田ひろむ(Vo/Gt)初の弾き語りワンマン・ライヴの2日目を完全映像化。amazarashiのライヴと同様に紗幕にタイポグラフィや映像を投影するのはもちろん、半円形のステージとすり鉢状の客席が持つ特殊な形状の会場ならではのアングルや、静かに燃える松明、背景一面に広がる星空照明など、様々なシチュエーションや視覚的アプローチを展開している。パフォーマンスはギター1本と歌のみ(※一部の楽曲でキーボード&コーラスとして豊川真奈美が参加)、普段よりMCも多め。リラックス感と緊迫感の狭間をゆらゆらと往来しながら歌、言葉、音に集中できる純度の高いライヴ空間が堪能できる。初披露した新曲「夕立旅立ち」も収録。

地方都市のメメント・モリ

amazarashi

地方都市のメメント・モリ

初期の楽曲が秋田ひろむ(Vo/Gt)個人の心情が反映されたものだとしたら、この4thフル・アルバムは、amazarashiの活動を精力的に続けている秋田の生活のすべてが反映されているのではなかろうか。どの曲も無理がなくナチュラルで、肩肘を張らないからこそのしなやかさや躍動感がある。彼の作る言葉やメロディを支えるアレンジメントも同様で、壮大というよりは"バンド"という集団、何よりも本メンバーである秋田と豊川真奈美(Key)の結束を感じるものが多い。メール・インタビューでも秋田は"世界の隅っこでこっそり音楽やってたいです。それで生きていけたら最高なのに"と語っていたが、彼が身の回りの出来事ひとつひとつを大事にしていることを言葉からも音からも感じられる。切なさや悲しみもあたたかく響く。

空に歌えば

amazarashi

空に歌えば

ソングライターの秋田ひろむ(Vo/Gt)はメール・インタビューで"タイアップ曲の書き下ろしでの制約を楽しめるほど器用じゃない"という旨の回答をしてくれたが、「空に歌えば」で彼が元来胸に持っていた純粋な情熱や力強さを恐れることなく突きつけることができたのは、TVアニメ"僕のヒーローアカデミア"のOP曲の書き下ろしだったからでは。がむしゃらに駆け抜けるギター・ロック×繊細なピアノとストリングスが作るスリリングなサウンドスケープは彼らの歴史を走馬灯のように見せる。熱量の高い秋田のヴォーカルが勢いよく飛び込んでくる曲の冒頭や、歌詞中の"蒼天"、"雨は上がっていた"という言葉にも表れているとおり、ここから新しい物語が始まることを予感させる。同時に今後新しい物語を切り拓く力を生む曲にもなりそうだ。

amazarashi LIVE 360°「虚無病」

amazarashi

amazarashi LIVE 360°「虚無病」

昨年10月15日に幕張メッセにて一夜限りのライヴとして開催された"amazarashi 360°LIVE「虚無病」"の映像化作品。ステージの360度を透過性LEDで囲み、タイポグラフィやアニメーションが映し出されたライヴは、秋田ひろむ(Vo/Gt)の書き下ろしによる小説の朗読と演奏とが交互に繰り返されるストーリー仕立てで進んでいく。これまでのamazarashiの楽曲を挟みながら、"虚無病"という架空の病に翻弄される人間たちの物語を描くライヴは、"人間らしい生き方とは何なのか?"という問いを受け手に強く投げかけてくる。小説、ライヴ、映像が三位一体となって作り上げた完璧なステージはamazarashi以外には作り上げることができないエンターテイメントだ。なお、今作には新たに小説の第6章が追加され、物語の本当のエンディングを読むことができる。

メッセージボトル

amazarashi

メッセージボトル

秋田ひろむを中心としたamazarashiによる初めてのベスト・アルバム。CD2枚組/全26曲には、アップデートしながらも、言葉の力とメロディの美しさは断固として崩さずに活動してきた彼らの軌跡が表れている。そして、完全生産限定盤と初回生産限定盤は、秋田の地元・青森で"あまざらし"名義で活動していた時代にリリースされたミニ・アルバム『光、再考』を完全収録したCDと、"「メッセージボトル」Special Movies"と題されたDVDがセットになっている。さらに完全生産限定盤は、amazarashi詩全集やamazarashiの過去が綴られた小説"メッセージボトル"なども収められた、布張りの特殊パッケージ。総合芸術家と言えるamazarashiのベストに相応しい作品となっている。

虚無病

amazarashi

虚無病

ストリングスを編成に加え、すべての楽曲がアンプラグド・アレンジで秋田ひろむが書き下ろしたストーリーの朗読と共に行われた2014年のライヴ"千分の一夜物語 スターライト"以降、彼らの表現の幅は制作面でもライヴ面でも拡大し続けている。今作は同名の小説をもとに制作した楽曲と中島美嘉に提供した楽曲のセルフ・カバーを収録。全曲が小説ありき or 他者に提供した曲という普段のamazarashiとは異なる視点で制作されたこともあり、パズル的に言葉を組み合わせた歌詞が聴き手のイメージを刺激するTrack.4やヒップホップの手法を取り入れたTrack.5などもソングライティングが新鮮だ。すべての曲の向こう側に音楽を楽しむ秋田の姿を確かに感じられる。

世界収束二一一六

amazarashi

世界収束二一一六

秋田ひろむが世界へ抱く"失望"と"期待"を音楽に投じた1年4ヶ月ぶり、通算3枚目のフル・アルバム。メール・インタビューで彼は"僕は好き勝手に言いたいこと言ってるのがいいと思ってます"と回答しているが、今作は過去最高にメッセージ性が強い。リード・トラック「多数決」は広い世界へ警鐘を鳴らす意味合いも含み、柔らかなミディアム・ナンバー「ライフイズビューティフル」はいち個人の生活の喜びや尊さを歌う。今作はそれに加えて非常にドラマ性も高い。ファンタジーとリアリティが融合した物語性の高い歌詞や、ポエトリー・リーディングを用いるなど、曲ごとに情景を変えるサウンドスケープは聴き手のイメージに働きかける。聴き終えたときに彼と腹を割って対話をしたような感覚になるのは、筆者だけだろうか。

スピードと摩擦

amazarashi

スピードと摩擦

まさしく"スピードと摩擦"。緊迫感と感傷が交錯する巧みなアレンジは、秋田ひろむの綴る言葉をそのまま音像化したようだ。歌詞も序盤は普段我々が目にする情景を淡々と描くも、彼は徐々にとある"街"へとリスナーを誘う。この街とは秋田ひろむの見る現実世界だろうか。"夕景""焼ける""火花""焦がす"など、熱や火を彷彿とさせる言葉に"摩擦"という言葉が作用。そこに赤い"血"という言葉を重ねることで、痛烈なまでに"生"を描いている。生きにくい世の中で命をじりじりと焦がしながら、ときに逃避し、ときに戦う人の歌。生を求めていたamazarashiが、生と対峙した歌だ。流麗なメロディをフィーチャーした「風邪」、切々と"君"に語り掛ける「名前」、気魄溢れる表題の弾き語りver、すべて必聴である。

あまざらし 千分の一夜物語 スターライト

amazarashi

あまざらし 千分の一夜物語 スターライト

昨年12月の渋谷公会堂単独公演で"現在のamazarashiは過去の楽曲に新たな意味と輝きを持たせることができるようになった"と思ったのだが、そのきっかけになったのはこの作品の原案となった同年9月のアンプラグド・ライヴ"千分の一夜物語 スターライト"だったのだろうな、と今になって思う。初期曲をストリングスやグランド・ピアノを加えてリアレンジして、新たな輝きを放ったことがきっと、秋田ひろむにとってもamazarashiにとっても代え難い喜びだったのだろう。現にそれ以降のamazarashiはバンドとしてもエンタテインメントとしても非常にダイナミックで面白く、この先を考えると胸が躍る。音楽を楽しむ素直な気持ちや充実を如実に物語る、amazarashiの過去と今と未来を繋ぐ作品だ。

夕日信仰ヒガシズム

amazarashi

夕日信仰ヒガシズム

amazarashiは秋田ひろむの心情吐露とも言える、非常に私的な世界だった。だがステージの前の紗幕と映像でできた壁の先にいる観客たちに歌を歌い続けることで、ひとりぼっちだった彼のもとに他者が齎した優しさという光が浮かぶようになることは必然だった。その象徴がTrack.2「スターライト」。amazarashi始動前からある、銀河鉄道の夜がモチーフになっている楽曲である。このアルバムに収録された12曲は、彼のこれまでの人生で育まれた喜怒哀楽から生まれる物語であり、夢であり、願いだ。彼はずっと音楽でそれを表現したかったのかもしれない。そういう意味でもこの『夕日信仰ヒガシズム』は原点回帰であり、ひとつの大きな到達点。子供のころ寝る前に読んだ絵本のような胸の高鳴りと切なさ、ぬくもりに包まれる。

anthology 1386

amazarashi

anthology 1386

amazarashi初のビデオ・クリップ集。YKBXによるアニメーションならではの壮大なスペクタクルや、Perfumeやサカナクションの映像作品を手掛ける関和 亮や映画監督である寒竹ゆりによる肉体的な実写映像など、どのMVもamazarashiの音楽の世界を画という観点で美しく描き出す。MVはアルバムやシングルの初回盤に付属するDVDで出されるというパターンが主流となる今日に、ひとつの作品でリリースすることに大きな意味を感じさせる重厚感のある内容だ。特典映像として収録されるZepp DiverCityで開催された『あんたへ』のリリース・ツアー追加公演のライヴ映像も、紗幕の向こうにいるメンバーの手元などが撮影されており、音と同期する映像と照明の演出も含めて必見である。

あんたへ

amazarashi

あんたへ

前作『ねえママ あなたの言うとおり』から約7ヶ月というスパンでリリースされるミニ・アルバム。昨年リリースされたライヴDVD『0.7』にのみアコースティックで収録された「終わりと始まり」、初の長編ポエトリー・リーディング「冷凍睡眠」、彼の現在を歌ったというひりついたグルーヴの「匿名希望」、過去曲である「あんたへ」「ドブネズミ」など8曲を収録している。過去曲と現在の楽曲の親和性の高さからも、秋田ひろむが歌っている内容や根本は変わっていない。だが当時は自らに向けて歌っていたものが、"これからのあんたへ捧ぐ"というフレーズに象徴されるように、このアルバムでは明らかにリスナーに宛てて歌われている。RSRやイベント出演、楽曲提供などを経た、彼らの変化の第一歩を体感できる作品だ。

ねえママ あなたの言うとおり

amazarashi

ねえママ あなたの言うとおり

雪が解けて、冬から春になる瞬間をそのまま音にしたらきっとこうなんだろう――そんなことを思った。花びらが舞うように繊細に響くギターとキーボードが互いを支え、音が陽だまりのようにあたたかく、優しく広がる。時間の流れを鮮やかに取り込んだ音は、より言葉を映えさせる。秋田ひろむが綴るように、耳を塞ぎたくなるようなつらい現実はたくさんあり、内に塞ぎ込み、攻撃的になってしまうこともあるだろう。だが彼は同時に、喜びや幸せはすぐ足元に転がっていることも教えてくれる。amazarashiが発する両極端な感情の狭間で揺れる不安定さは生々しく、その人間臭さにどうしようもなく心を寄せてしまうのだ。ラストを飾る「パーフェクト・ライフ」は現時点でのその本質と言っても過言ではない。