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DISC REVIEW

A

Unchain×Unchain

Amber's

Unchain×Unchain

表題曲は、TVアニメ"黄昏アウトフォーカス"のエンディング・テーマ。"ルールなんてもういらない"と感情を爆発させていて、毒々しさやヒリついた空気が漂うギター・リフやビート感には、00年代のガレージ・ロック・リヴァイヴァルを彷彿とさせるところも。中盤にはエスニックなパートも飛び出し、怪しげで攻撃的な手触りもあるのだが、それでいて万人の心に滑り込ませるポップ・センスを見せつけてくるところはさすが。カップリングの「25時間」では、彼らのルーツにあるファンクをフィーチャーしていて、"当たり前のことが当たり前にあることが嬉しい"と、日常の何気ない景色がパッと鮮やかに色づく1曲。曲頭から響かせる豊島こうき(Vo/Gt)の伸びやかなハイトーンはもちろん、グルーヴを増幅させるブレスも聴きどころ。

VOSTOK

Amber's

VOSTOK

昨年9月に配信されたミニ・アルバムに、ハードで骨太なサウンドに燃え滾る力強い意志を刻みつけた「FORTE」と、清涼感のある電子音が心地よい「Searchlight」という新曲2曲を加えて音源化された、Amber'sの1stフル・アルバム。ロック、ポップス、ラップ、EDM、ニュー・ウェーヴ、ソウル・ポップなど様々な音楽をミックスさせたサウンドは、そのどれもが圧倒的にキャッチーで、ど真ん中ですべてを貫いていく豊島こうきの圧巻のハイトーン・ヴォイスが実に魅力的。欧米のトレンドを加味しつつ、仕上がりは日本という土壌に非常に馴染むものになっているところも大きなポイントだ。人類初の有人宇宙飛行に成功した宇宙船の名を掲げた本作から、どんな未来を描いていくのか。期待が高まる1枚。

Drop

AMEFURASSHI

Drop

ももいろクローバーZや私立恵比寿中学、B.O.L.Tらが所属する"スターダストプラネット"の4人組"アメフラっシ"が、表記を"AMEFURASSHI"に改めてアルバムを完成。近作で軸になりつつあるダンス・ミュージックやシティ・ポップを取り入れた楽曲たちは、彼女たちのガール・クラッシュな魅力で溢れている。そんな本作を一聴したら、きっとタイトル通りに彼女たちの魅力に"Drop"="落ちる"はず。「Blue」で新たにR&Bに挑戦したチャレンジ精神や、ここまで築き上げてきたスタイリッシュなイメージを破壊する「MOI」でアルバムを締める遊び心も好印象。どれをとってもハイクオリティで、徹頭徹尾隙がない秀作に仕上がった。2022年のアイドル・シーンにおける台風の目になる予感。

What Dreams Are Made Of

R. CITY

What Dreams Are Made Of

Miley Cyrus、Ariana Grande、Justin Bieberなどの大ヒット曲を手掛けるソングライター兄弟のメジャー・デビュー・アルバム。MAROON 5のヴォーカリストAdam Levineをフィーチャーして世界的大ヒットとなったTrack.2「Locked Away」を始めとするメロディアスな楽曲が並んでいる。王道レゲエ・ヒップホップのTrack.1「Like This」から洗練されたメロウなヒップホップのTrack.4「Take You Down」、Track.8「Again」まで、表情豊かなトラック作りには、さすが大物たちのヒット請負人という説得力を感じさせる。そんな中でなんと言っても聴きどころはLenny Kravitzのヒット曲「It Ain'tOver Till It's Over」をカバーしたTrack.6「Over」。フィリー・ソウルを意識した本家の良さを損なうことなくラップする手法は決して新しくはないものの、ブラック・ミュージックの系譜が感じられて興味深い。

すべて、憂鬱な夜のために

amenoto

すべて、憂鬱な夜のために

石井 翠のソロ・プロジェクトとして2013年夏より始動したamenoto。彼女が深沼元昭(PLAGUES、GHEEE、Mellowhead)がオーナーを務めるLAVAFLOW RECORDSとの出会いを機に同作で全国デビューを果たす。彼女のフェイヴァリット・アーティストでもあるRADIOHEAD、MY BLOODY VALENTINE、MUSEなどを彷彿させるスケール感のあるオルタナティヴ・ロックと、どこまでも後ろ向きで塞ぎ込んでしまうような歌詞が痛烈だ。彼女がこんな歌を歌う理由は"つらかったときに感じた想いを忘れたくないから"だそう。彼女のネガティヴは弱さではなく、強さなのかもしれない。深沼のサウンド・プロデュースも、彼の作り出す楽曲の世界をより広く深く、キャッチーに届ける。

Oneiric

BIG JESUS

Oneiric

GOOD CHARLOTTEのBenji Madden(Gt/Vo)とJoel Madden(Vo)が主宰する"MDDN"がマネージメントを務める新人ではあるけれど、ポップ・パンク・バンドではない。満を持してリリースしたこのデビュー・アルバムから判断するなら、ジョージア州アトランタの4人組、BIG JESUSはグランジ・バンドとなるだろう。歪ませたギターをかき鳴らすリフやパワフルなドラムはNIRVANAを連想させるが、滑らかなSpencer Ussery(Ba/Vo)の、場合によっては女性の声にも聞こえるヴォーカルはその不思議な魅力とともにバンドの存在を際立たせている。CJ Ridings(Gt)は29歳。この音がやりたいという思いを貫き、デビューが遅れたそうだ。風向きが変わり始めた。BIG JESUSはすでに90'sオルタナを蘇らせる期待の新人として注目を集めている。

Goodbye Terrible Youth

AMERICAN WRESTLERS

Goodbye Terrible Youth

米ミズーリに住むスコットランド人アーティスト、Gary McClure(Gt/Vo)によるソロ・プロジェクトから4ピースのバンド編成になった、AMERICAN WRESTLERSの2ndアルバム。バンド編成にはなったものの、セルフ・タイトルの前作でのローファイ感や、甘美な小宇宙たるベッドルーム・ミュージック感も程良く残していて、ドリーミーなギター・サウンドに気持ちよく酔う。まるでBUILT TO SPILLの奏でる白昼夢のような柔らかな霞を持った音像と、エコーがかかったヴォーカルの響きは、懐かしい記憶のフィルムを見ている感覚。埋もれていた幸せなときの断片をすっと引き出してくれそうな、郷愁や切なさを誘う音とメロディだ。素朴なハンドメイドの手触りは、今やいびつにも聞こえるかもしれないが、それがバンドのフックにもなっており、ポップさにも繋がっている。

Discovery

amiinA

Discovery

ジャンルを超えた多彩な楽曲で存在感を放つふたり組ガールズ・ユニット、amiinAの2ndアルバム。池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ/鍵盤ハーモニカ/Track)が手掛けたインスト曲「zion」から始まる本作は、「sign」の編曲をSerphが務め、「allow」の作曲を木暮栄一(the band apart/Dr)が担当、演奏にもバンアパから木暮のほか荒井岳史(Vo/Gt)、原 昌和(Ba)が参加するなど、これまでとは異なる作曲家/アーティスト陣によって制作された。タイトルどおりに彼女たちの新たな音楽性と世界を発見できるとともに、amiinAの核の部分もしっかりと感じさせる1枚だ。なお、キャッチー且つエモーショナルなサビが印象的な「Rising」は、過去に一度だけライヴで披露されたことがあるというレア曲で、今回初の音源化となった。

Road Eyes

AMUSEMENT PARKS ON FIRE

Road Eyes

若手シューゲイザーの旗手AMUSEMENT PARKS ON FIREの約4年ぶりとなる3rdアルバム『Road Eyes』が完成した。しかし究極のサウンドを目指すあまりミックスに時間がかかり14人ものミキサーを試してみたが、最終的にはバンドのメンバーが担当し、やっとバンドが求める最高のサウンドに辿り着いた。完成に数年を費やした当アルバムはTrack.1の「Road Eyes」から始まる何層にも重ねられたポップで甘くて美しい旋律と深くて儚いギターサウンドに心を奪われてしまった。日本盤にはボーナス・トラック2 曲収録。それにしてもMichael Feerick が最初に影響受けたバンドがプログレだったとは驚きだ。

天国発電

ANABANTFULLS

天国発電

『自然発火』から2年ぶりのリリースとなるTOWER RECORDS限定のアルバム。ハード&ヘヴィなリフとともに新たなグルーヴを追求しつつ、持ち前のダンス・グルーヴをスケールアップしたことを思わせる「天国発電」、前作で自家薬籠中のものとした歌モノの魅力を磨き上げた「火種」、ハードコアやメタルの影響を意外なアレンジで聴かせる「スパッタ」他の全6曲が印象づけるのは、ギタリストの脱退やコロナ禍という危機を乗り越えたことで、さらに逞しくなったバンドの姿だ。一度列から外れ、"最後尾から 俺たちは唄う"(「火種」)と宣言するANABANTFULLSがここから始める反撃に思いを馳せれば、ワクワクせずにはいられないはず。それはコロナ禍の今を生きるすべての人の気持ちを代弁しているように聴こえる。

自然発火

ANABANTFULLS

自然発火

3年ぶりとなるニュー・アルバムは、2017年と2018年に会場限定でリリースした2枚のシングル『乾杯!』、『目を覚ませ!』からの4曲に新曲3曲を加えた全7曲を収録。前アルバムからの3年の間の心境の変化が、グルーヴィ・ロックを掲げる北浦和の4人組の表現を磨き上げた。持ち前のダンス・グルーヴを抑え、前作収録の「ターンブルー」に顕著だった歌心をとことん追求。結果、自らの人生と向き合いながら紡ぎ出したポジティヴなメッセージがリスナーの胸に響く、アンセミックな作品に。そんな歌を際立たせるため、バンドの演奏も無駄を削ぎ落した骨太なものになり、前アルバム以上に多くの人から歓迎されるに違いない。本来のワイルドな魅力は、唯一狂気が滲む1曲「踊る目」で堪能できる。

BAKAMANIA

ANABANTFULLS

BAKAMANIA

ライヴハウス・シーンで注目を集め始めている北浦和の4人組、"アナバン"ことANABANTFULLSが結成から3年、満を持してリリースする初の全国流通盤となるアルバム。"グルーヴィ・ロック・バンド"と自ら掲げるとおり、いわゆる踊れるロックが彼らの身上。しかし、そこに加えた汗と涙、センス・オブ・ユーモア、そしてこれは不世出のヴォーカリスト、安田コウヘイによるところが大きいと思うのだが、ロック・バンドに不可欠なワイルドな魅力が彼らの存在を際立たせている。「Girls On Fire」(Track.2)のどこか歌謡曲っぽいメロディや、「Samba hokki」(Track.7)のサンバのリズムといった変化球もお手の物。ダンス・ビートに頼らず、胸に迫る歌メロで勝負した「ターンブルー」(Track.3)も聴きどころだ。

ESSENTIAL SOUNDS ON THE WILD SIDE.-ANALOGFISH:THE BEST&HIBIYA YAON LIVE.-

Analogfish

ESSENTIAL SOUNDS ON THE WILD SIDE.-ANALOGFISH:THE BEST&HIBIYA YAON LIVE.-

2011年、世界の混沌と怠慢を丸裸にしたアルバム『荒野 / On the Wild Side』。新たな年を迎えようとも、都合よく全てがリセットされるわけではない。だが、未来へと一歩進むことは出来る。本作は、『荒野~』に辿り着くまでの、"今まで"と"今"、そして"これから"を詰め込んだベスト盤。そう、これは、歴史を振り返るものでなく、未来を切り開くためのエッセンスの集合体である。『荒野~』へと辿り着くまでに、彼らの音楽はいかなる時流を描いてきたのか。そして、その時流が指し示す未来、"これから"とは――?新曲「確立の夜、可能性の朝 feat. 前野健太」では、悲しみを受け入れ、越えていこうと説き、同時に自由と優しさを追い求めている。戦いは終わると信じ、次の段階へ歩み出そうとしているのだ。そうして、きっといつか、この"荒野"にも 花は咲く――。

荒野 / On the Wild Side

Analogfish

荒野 / On the Wild Side

世界は、この国は、僕たちは、果たして一体何に拘束されているというのだろうか。繊細かつ鋭い言葉でもって歌われる、現代社会への不信感や憤り。本作はシリアスなプロテスト・ソングでありながら、それと同時に、現況に対して目を見開くことこそが、解放と自由への近道なのだと、"諦めてはいけない"のだと、未来への希望を見い出すことも忘れていない。随所にエレクトリック処理が施されたことによる解放感と空間の広がりは、雄大で、果てしなく続く一本道を突き進み、荒野を行くようであり、それは"開拓者であれ"という音による希望の画を描く。前作『失う用意はある?それともほうっておく勇気はあるのかい』で聴こえてきた、アナログフィッシュの叫びはまだ終わらない。いや、終われないのだろう。

失う用意はある?それともほうっておく勇気はあるのかい

Analogfish

失う用意はある?それともほうっておく勇気はあるのかい

2011年、アナログフィッシュのリリース第一弾は、10月10日に行われる、初の日比谷野外音楽堂ワンマン・ライヴへ向けた5曲入りEP。彼らが東京の空に響かせたいのはこういう歌なのか―。驚くほどに全てがシリアスで、現況に対して写実的でさえある。ほぼ全ての曲で"戦争"というワードが登場し、その心は整理しきれていない様子すら見受けられる。その戸惑いを、彼らはラスト・ソング「風の中さ」に託している。僕らの世界の現状を綴り、音楽に想いを託したところで、何も変わらないかもしれない。全ての答えは風の中だ。しかし、だからこそ"風の中に飛び込む"のだと。そう、現実から目を背けることなどもはや出来ないのだ。いつの時代も、答えは風の中。しかし目を背けない。だから彼らはこの歌を、東京の空の下、歌う。

Life Goes On

Analogfish

Life Goes On

2009年に10周年を迎えたアナログフィッシュから新たなアルバムが届けられた。昨年は病気療養のため一時脱退していたメンバー斉藤州一郎が復帰するなど、バンドとしても10周年という区切りで新たなスタートを切ったと言えるだろう。このアルバムもまた、まっさらな気持ちと彼ららしいポップな感性が詰まった作品になっている。前向きで等身大の歌詞も印象的だ。二人のソングライターがいる彼らのアルバムは、楽曲ごとに色が変わりとても飽きさせない。しかしアルバム全体としては一つの彼らの色になっているから不思議だ。長年ライヴでも定番となっている「Life Goes On」が今回納められている事からも彼らの意気込みが伝わってくる。新たな彼らのスタンダードの誕生と言えるだろう。

Single + Remix Collections

ANAMANAGUCHI

Single + Remix Collections

昨年10月に開催されたBlip Festival Tokyo 2011にて来日を果たし話題を集めたNYの8bitチップチューン・バンドANAMANAGUCHIの日本企画盤がリリース。8bitチップチューンというのは80年代に発売されたファミリー・コンピュータに搭載されていたチップで作られた音楽や総称。日本ではYMCKなどが有名だが、彼らはもっとパワフルでバンド然としていて、メロも泣きの要素が多い。ファミコンのサウンドを駆使しながらも、ロック、パンク、エモ、ブレイクビーツと様々な音楽要素を取り入れ独自のサウンドを展開。Track.5の「Mess」などは近年のエレクトロと共振する様な力強いナンバー。ファミコンと侮るなかれ、是非チェックを。

Fire Escape

ANDREW MCMAHON IN THE WILDERNESS

Fire Escape

JACK'S MANNEQUINの活動を解消して、ANDREW MCMAHON IN THE WILDERNESS名義でリリースした前作がメインストリームで歓迎されたことがAndrewの背中を押したようだ。2年7ヶ月ぶりにリリースする新作はTRAINやGOO GOO DOLLSのヒット曲を手掛けたプロデューサーたちを、カリフォルニアの青春の光と影を体現していたAndrewがニューヨークに訪ね、レコーディングを行った。それだけでもこれまでと違う作品を作ろうとしていることが窺えるが、そんな挑戦はR&B、ヒップホップ、ハウス・ミュージックなど、現在のメインストリームで鳴っている最新のポップ・サウンドを取り入れた曲の数々に結実。ダンス・フロアを意識したTrack.3「So Close」のように新境地をアピールする曲も少なくない。

Andrew McMahon In The Wilderness

ANDREW MCMAHON IN THE WILDERNESS

Andrew McMahon In The Wilderness

SOMETHING CORPORATEやJACK'S MANNEQUINの中心人物Andrew McMahon(Vo/pf)によるソロ・プロジェクトANDREW MCMAHON IN THE WILDERNESSの1stアルバムは彼の半生を振り返った自伝的作品だ。難病の克服、結婚、そして愛娘セシリアの誕生、これらのトピックが色濃く反映された本作は力強い生のエネルギーに満ち溢れ、"生きるということ"を高らかに歌い上げるAndrewの歌声は美しく胸を打つ。またアルバムの制作は実生活と切り離すためにカリフォルニア州にある山小屋で行われたため、内容はより深みのあるパーソナルなものとなった。立ち止まってしまった人に対してポンっと背中を押してくれる慎み深い優しさがこの作品には詰まっている。

God Is Partying

ANDREW W.K.

God Is Partying

パーティーが遠い世界の話となってしまったこのご時世に、我らが"兄貴"ANDREW W.K.が3年ぶり新作を携えて帰ってきた! Napalm Records/メタル・フロンティア移籍作でもある本作。まず再生ボタンを押して耳に入ってくるのは、いつものダミ声ではなく、まるでBruce SpringsteenかRonnie James Dioかと思うような唄心あふれるヴォーカル。モダンなオルタナ・ロックにキーボードがきらびやかな80年代ハード・ロックの雰囲気を足したアンサンブルが、この歌声と見事にマッチしていて、まさに新境地の壮大で重厚なロック・オペラを堪能することができる。重厚になった反面やや薄れたパーティー感を見事に補ってくれる、アッパーなボートラも要チェック。

You're Not Alone

ANDREW W.K.

You're Not Alone

ご存じ"永遠のパーティー・キング"ANDREW W.K.兄貴が、実に12年ぶりとなる待望のフル・アルバム『You're Not Alone』をリリース。"音楽こそが生きがい"と熱い想いを高らかに歌うアンセム「Music Is Worth Living For」や、"法もキリストもなんもわからねぇけど大丈夫!"と叫ぶ「I Don't Know Anything」など、キャッチーなメロディとどこか懐かしいロック・サウンドは健在。美麗なハーモニーの「Give Up On You」、タイトル・トラック「You're Not Alone」ではアーティスティックな側面も存分に発揮。作品の根幹を成す、パーティーを原動力に人生の苦難に立ち向かう"パーティー哲学"とでも言うべきポジティヴなメッセージからは、きっと得るものがあるはずだ。

effector

androp

effector

『cocoon』以来約3年9ヶ月ぶりのフル・アルバム。タイトル"effector"は、それぞれの曲がなんらかの効果をもたらし、聴く人の生活を変える役割として使われてほしいという想いから付けられた。「Moonlight」や「SuperCar」といった煌びやかでポジティヴな色の曲、ネガティヴな感情も露わにする「Know How」、チルで心地よい「Lonely」など全14曲。揺れ動く時代を生きるなかで誰かに言ってほしかった言葉、大切なことに気づかされる鋭い言葉もあり、希望に溢れた思いにも、誰にも言えずに抱えていた暗い気持ちにも寄り添い、心に響いてくる作品だ。革新的なサウンドで聴き手に衝撃を与え続けてきた近年のandropを総括する内容でもあり、2021年必聴の名盤と言っていいはず。

Koi

androp

Koi

前作『daily』から約2ヶ月ぶりのリリースとなる今作は、高橋一生と川口春奈のダブル主演映画"九月の恋と出会うまで"の主題歌を表題に据えたシングル。映画の登場人物たちのまっすぐな想いに背中を押されて完成させたという表題曲「Koi」は、一途な恋心をストレートに描き、大切な人への強い想いを歌い上げたドラマチックなラヴ・ソングだ。彼らがこれほど王道なラヴ・ソングを作るのは意外だったが、もし作るとしたらこんなふうに、どこまでも純粋で嘘偽りのない恋を映し出すのだろうと思っていた。カップリングの「For you」は、日本郵便"ゆうパック"のタイアップ・ソング。ダンサブルでエレクトロな横ノリの打ち込みサウンドは、常に挑戦を続ける彼らの最新型とも言えそうだ。

daily

androp

daily

デビュー10周年イヤーに突入したandropの新作。前シングル「Hikari」も含めた今作には、節目を迎えるに相応しい6曲が揃った。R&Bの雰囲気を感じられる「Blue Nude」とリラックスしたテンポのダンス・ナンバー「Saturday Night Apollo」は、これまでにない新機軸。ストレートな言葉を紡ぎ、切ない愛を揺れるブランコに重ねたバラード「Blanco」では、ノスタルジックなメロディに胸がきゅっと締めつけられる。アルバム最後に収録されたリード曲「Home」は、大切な人に向けて伝えたいことが詰まった温かい曲。タイトルのとおり、きっと聴く人の心の拠りどころになるだろう。全体的にBPMを抑え、よりメロディを強めた、心に染みる楽曲が並んだ傑作。

Hikari

androp

Hikari

表題曲は、フジテレビ系のメディカル・ヒューマン・ドラマ"グッド・ドクター"の主題歌。サウンドはピアノやストリングスが主体となって繊細さや彩りを表現し、ギター、ベース、ドラムは一歩下がったアレンジながらも、メリハリとダイナミクスをつけて楽曲に表情を与えている。透明度の高い内澤崇仁(Vo/Gt)の歌声は、ひとつひとつの歌詞を時に優しく時に力強く、そして大切に紡いでいく。暗いトンネルを進んだ先に見えるような希望を思わせる優しい"光"を描くこの曲は、感動的な人間ドラマを描き上げる"グッド・ドクター"との親和性もばっちりだ。c/wには、よりシンプルなアレンジで内澤の心地よい歌声をじっくりと味わえる表題曲の"piano TV ver."と、2018年6月に行われたライヴの音源を早くも収録。

Joker

androp

Joker

2018年のリリース第1弾に相応しく、新たなサウンドを大胆にアピールするニュー・シングル。映画"伊藤くん A to E"の主題歌でもある表題曲は、演奏そのものは疾走感に満ちたものながら、シンセ・サウンドとダンス・ビートを加えたところにバンドの新たな方向性が感じられる。アンセミックに作り上げながらも、耳に刺激的な音色が、歌に込められた必死の想いをさらに強いものにしている。一方、c/wの「Ao」はホーンやグロッケンシュピールが賑やかに鳴るオーケストラルなポップ・ナンバー。初めの一歩を踏み出す勇気を華やかなサウンドが祝福。ここしばらく生音のバンド・サウンドを追求していたandropは、新たな挑戦に取り組み始めたようだ。この2曲がリスナーに期待させるものはかなり大きい。

SOS! feat. Creepy Nuts

androp

SOS! feat. Creepy Nuts

話題のヒップホップ・ユニット、Creepy Nutsとandropがともに作り上げた(アンチ)サマー・アンセム。2016年10月にリリースした『blue』で人間のダーク・サイドに対峙したあのandropがと考えると、その振り幅に驚かされるが、レゲエに挑んだ「Sunrise Sunset」も含め、音楽的な収穫はかなり大きい。アンセミックなサビは彼ららしいと言えるものだが、R-指定によるラップ・パートはDJ松永にトラックメイキングを任せたことで、andropはこれまでにないファンキーな演奏にチャレンジ。映画"2001年宇宙の旅"で有名な「ツァラトゥストラはかく語りき」のフレーズをサンプリングするという初めての試みとともに、今回の収穫が今後の曲作りにどう反映されるかが楽しみだ。

Prism

androp

Prism

前回のリリースから7ヶ月ぶりとなるニュー・シングル。その前作『blue』で人間のダーク・サイドと対峙することに振り切ったandropが、表題曲では再び煌めきに満ちた未来を歌い上げている。何かが大きく変わったわけではないが、それでもどこか新しいと感じられるのは、演奏から芯の強さが感じられるからだろうか。内澤崇仁(Vo/Gt)によるゆったりとした歌も聴きどころだ。その他、前へ前へと突き進む演奏が焦燥感を駆り立てる「Ryusei」(ギターがUKネオサイケっぽい!)、映画"君と100回目の恋"の挿入歌「BGM」(シングル・バージョン)も収録。弾き語りで始まるフォーキーなバラードと思わせ、バンド・サウンドが加わる「BGM」は、マーチ風の演奏が面白い。3曲共にギターがキラキラと鳴る。

blue

androp

blue

第1章の完結編だった『androp』から1年2ヶ月。第2章のスタートを印象づけるため、意識的に変化を求めながら作ったという6曲を収録したアルバム。ポスト・ロック、ダブステップ、シューゲイザーといった海外の先鋭的なサウンドを、日本語のギター・ロックに取り入れるという意味では彼ららしいと言えるものの、これまであえて描いてこなかった闇や人間の黒い部分を抉り出したような歌詞に挑んだうえで、これまで以上にライヴを意識したサウンドを求めたせいか、ナイーヴなバンドというイメージも含め、バンドの印象はここからかなり変わっていきそうだ。しかし、それもandrop。変化したというよりは、これまで時折、見せながら隠し持っていた牙をさらに研ぎ澄ましてきたといった方が正しいかもしれない。

androp

androp

androp

キラキラしたサウンドと爽やかなメロディの組み合わせが炭酸飲料のCMソングに相応しいTrack.1「Yeah! Yeah! Yeah!」でこれまで通りandropらしさを印象づけてからは意外性と驚きの連続の4thフル・アルバム。これまで避けてきたというリフを軸にしたアレンジやフュージョンの影響も取り入れながら、彼らがここでアピールしているのは、格段に幅が広がったandropらしさだ。音の作り方や音の録り方にこだわりながら、そこから浮かび上がる、ぐーんと骨太になったバンド・サウンドも聴きどころ。精力的にライヴを重ねてきた成果だろう。結果、打ち込みのサウンドの比重は減り、ラストの「You Make Me」もシンセをバキバキ鳴らしながらSKRILLEXも真っ青のダブステップ・サウンドに人力で挑む!

Ghost

androp

Ghost

フジテレビ系のドラマ"ゴーストライター"の主題歌「Ghost」に「Answer」と表題曲の"strings version"をカップリングした7ヶ月ぶりのニュー・シングル。「Ghost」はアンセミックだった前作「Shout」から一転、ピアノのループとストリングスも使って、メランコリックに仕上げながらドラムの音色を強調した音作りがダブステップを思わせるなど、ありがちなバラードで終わらせないところがサウンド・メイキングにも意欲的に取り組んできたandropならでは。一方、「Answer」はandropが同時に生粋のライヴ・バンドでもあることをアピールするラウドロック・ナンバー。メンバー4人が取っ組み合うような激しい演奏は文句なしにかっこいい。両極端な2曲がバンドの魅力をダイナミックに描き出す聴き応え満点のシングルだ。

Shout

androp

Shout

1万人の大観衆を熱狂させた国立代々木競技場公演から約5ヶ月。andropが完成させた5thシングル。自分たちの音楽を、もっともっと多くの人たちに叫んででも届けたいという想いを、ギミックを使わずに生身のバンド・サウンドで表現した「Shout」「Run」「Alternative Summer」の計3曲を収録。TVドラマ"家族狩り"の主題歌でもある表題曲はアコースティック・ギターの弾き語りバラードと思わせ、バンド・サウンドに転じるアレンジが、よけいな音を削ぎ落としたうえで4人だけの音をストイックに追求したバンドの姿をダイナミックに描き出す。サンバ調のリズムが新しい「Run」、変拍子で観客をノセることに挑んだ「Alternative Summer」はともに新たなライヴ・アンセムの誕生を予感させる。

period

androp

period

"これがandrop"とメンバーが胸を張る3rdフル・アルバム。ライヴ・アンセムの「Voice」、壮絶な想いを歌ったバラードの「Missing」といったシングルも収録。それらがエレクトロも使う現代のギター・ロック・バンドという従来のandrop像を印象づける一方で、ヘヴィ・ロック、シンセ・パンク、ジャンク・ロック、ジャズといった意外性の連続とも言える曲の数々がバンドの劇的な進化をアピールしている。そういう、ある意味過激な試みが決して内向きにならず、前作よりも前向きかつオープンマインドに感じられるのは、ライヴでファンのみんなと分かち合うことを意識した結果。ハイトーン・ヴォイスで歌うandrop節とも言える美しいメロディはもちろん健在。前作からわずか1年3ヶ月。彼らはものすごいスピードで進化を遂げている。

Missing

androp

Missing

シングルにバラードを選ぶなんてちょっと意表を突かれた。しかし、考えてみれば、バラードも確かにandropの持ち味の1つ。美しいメロディと胸を締めつけるような歌の世界観を生かすことを考えた正攻法のアレンジながら、弾き語りがダイナミックなバンド・サウンドに変化する展開はまさにドラマチック。サビで聴かせる今にも壊れそうな心を表現したような内澤崇仁(Vo/Gt)のファルセットも聴きどころだ。因みに北川景子と深田恭子がW主演するホラー映画『ルームメイト』の主題歌でもある(ちょっと意外?!)。カップリングの「Melody」はエレクトロニックな音色も使ったトリッキーなアレンジを閃かせるandrop流ダンス・ナンバー。新たなライヴ・アンセムになりそうな予感。ぜひライヴで聴いてみたい。

Voice

androp

Voice

androp史上最もアンセム度の高い名曲が誕生した。androp節を思わせながら、シンガロング必至の"オー、オー"というコーラスの効果なのか、どこまでもオープンな印象がある。高揚した気持ちが曲とともに大空へ舞い上がって行くような感覚が心地いい。ぜひ、これはライヴで聴いてみたい。だからって、単純にライヴのサウンドをスタジオで再現したわけではない。彼らがこれまで追求してきたダンサブルなサウンドとオーガニックなバンド・サウンドを巧みに掛け合わせ、アンセミックに昇華させた斬新なサウンド・プロダクションにも耳を傾けたい。カップリングの「UtaUtai no Karasu」はモダンなR&Bの影響も窺えるアコースティック・バラード。「Echo Boy」はアコギの弾き語りナンバー。「Voice」をはじめ、それぞれに違った魅力が楽しめる3曲が収録されている。

one and zero

androp

one and zero

今年リリースした2枚のシングルの収録曲も含む全15曲を収録した2ndフル・アルバム。自分の音楽生命を賭けてもいいとメンバーが語る作品に対して、こんなふうに言うのはちょっと気が引けるのだが、2枚のシングルで印象づけた野心的なサウンド・アプローチをさらに推し進めたことを思わせる曲の数々を聴くことは、音楽ファンにとって至福以外の何物でもない。andropらしいナイーヴなギター・ロックとバラードに加わったニュー・ウェイヴやエレクトロニカの手法を使った曲は、コアな音楽ファンにもアピールするに違いない。その一方ではTHE BEATLESにまで遡ることができるパワー・ポップやアコースティック・ギターの弾き語りも披露。そういう多彩な曲をひとつのイメージにまとめる美しいメロディと歌声こそがandropの真骨頂。初回限定盤に付くLIVE DVDには今年3月31日に行われたワンマン・ライヴの映像が7曲収録されている。

Boohoo / AM0:40 / Waltz

androp

Boohoo / AM0:40 / Waltz

前回の両A面シングルに続いて、シングルというフォーマットを、巧みに自分たちの表現の手段、あるいは一貫した流れに取り入れたことを窺わせるtriple A-side single。光の三原色というテーマの下、ダンス・ミュージックにアプローチしつつ、バンドが新たにアグレッシヴなサウンドを手に入れたことをアピールする「Boohoo」、疾走感が痛快な「AM0:40」、ノスタルジックなアコースティック・ナンバーの「Waltz」というそれぞれに印象的な3曲を収録。バンドの最新モードを表現した3曲とのことだが、劇的に進化を遂げているandropの一瞬を切り取った3曲と受け止めるべきなのだろう。ナイーヴな歌を支える思いの外、強靭なバンド・サウンドも大きな聴きどころだ。

World.Words.Lights. / You

androp

World.Words.Lights. / You

昨年9月にリリースした1st full album『relight』が現在も売れつづけている4人組、andropによる2012年のリリース第1弾は、バンド初のシングルだ。浮遊感あふれるピアノをフィーチュアしたダンス・ナンバーの「World.Words.Lights.」とドラムが暴れまわるアグレッシヴなギター・ロック・ナンバーの「You」。印象があまりにも対照的な両A面扱いの2曲は、そもそもは1曲になるはずだったというところがおもしろい。そのせいか、くり返し聴いていると、全然違う2曲が1つに溶け合うような錯覚にとらわれる。同時リリースの1st DVD『LIVE DVD "angstrom 0.3 pm" @SHIBUYA-AX』は、昨年5月28日のSHIBUYA-AX公演を収録。映像と照明を駆使した彼らのライヴの魅力を堪能できる。演奏の熱気をストレートに伝える映像も見ごたえあり。

FROTHY

THE ANDS

FROTHY

90'sオルタナの申し子と言えるサウンドの延長上で、既成概念や固定観念から解き放たれ、さらなる広がりを見せ始めた2011年結成の3人組による3rdアルバム。かなりの深度まで水中に潜ろうとしている姿を捉えたアートワークを考えると、音楽性を広げたと言うよりは、むしろ深いところまで追求したと言った方がメンバーたちの本意なのかもしれないが、LED ZEPPELINを思わせるTrack.4「Womb」や跳ねるリズムがブギっぽいTrack.5「Mute」におけるハード・ロッキンなサウンドは、まさに新境地。"泡のような"を意味するアルバム・タイトルは、泡のように形を変えることを恐れないというバンドの意思表示なんだそうだ。本作における手応えを糧にTHE ANDSは美しい音楽を求め、これからも挑戦を続けるに違いない。

Fab Noise

THE ANDS

Fab Noise

まるでNIRVANAを彷彿とさせる力強いオープニング・ナンバーで始まる今作は90’Sのギター・サウンドを網羅した様なとても魅力的なアルバムだ。NANANINE、monokuro、hare-brained unityと蒼々たるバンドのメンバーが集結し、昨年春に結成されたTHE ANDSは昨年の7月のライヴ・デビュー以降、自主企画、コンピ『WHAT ABOUT US?』の参加など様々な活動の中、バンドとして力を蓄えてきた。そんな中、満を持して今作が初のアルバム・リリースとなる。ややノイジーでソリッドなギター・サウンドや英国的で普遍的なメロディを持っている曲、グルーヴィな曲から疾走感溢れる曲までアルバムはとてもバラエティ豊か。その直球なサウンドはグッと心に響くはず。