Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

LIVE REPORT

Japanese

NiPPoN RockS

2013.10.24 @Zepp DiverCity

Writer 山口 智男

10月24日、NHK主催による公開ライヴ番組『NiPPoN RockS(ニッポンロック)』の収録が行われ、Zepp DiverCityに今現在、ライヴ・シーンを沸かせているロック・バンド4組が集結。25分と短い持ち時間ながら、それぞれに完全燃焼を思わせる熱演を繰り広げ、日本のロック・シーンの最前線の盛り上がりを印象づけた。


nipponrocks_thumb1.jpgトップバッターは来年3月、日本武道館公演を実現させる4人組、[Champagne]。
"おまえらおとなしいじゃねえか。テレビの収録だからって。(ライヴハウスの)屋根を吹き飛ばそうぜ!"と川上洋平(Vo/Gt)が煽りながら、「Waitress, Waitress!」「city」といったライヴではお馴染みのロック・ナンバーをたたみかける。現在、彼らは全国ツアーの真っ最中。その熱気と勢いをそのまま持ち込んだことを思わせる演奏がいきなり観客の気持ちに火をつける。中盤のメタル・パートがモッシュを誘う新たなキラー・チューン「Kick & Spin」ではサビを観客と一緒に歌い、さらに大きな盛り上がりを作り出した。
"おまえらサイコーだね。(ステージと客席の間にある)壁が一瞬でなくなったよ"と川上もうれしそうだ。
ラストは大観衆と1つになることを想定して作ったという必殺のライヴ・アンセム「Starrrrrrr」。4つ打ちのビートに身を委ねながら"Year year yeah!"と観客とシンガロングしながら、ライヴのハイライトをギュッと凝縮したことを思わせるステージを締めくくった。


nipponrocks_thumb2.jpgその[Champagne]からバトンを受け取ったゲスの極み乙女。は、2012年5月結成の男女4人組。現在、人気がじわじわと上昇しているという自称ヒップホップ・プログレ・バンドは、ブレイクが期待されているという意味で、この日1番の目玉だったと言えるかもしれない。
因みに筆者は、この日がライヴ初体験。ポスト・パンク? ジャズ・ロック? プログレ? ラップ? ハードコア? 何とも形容しがたいユニークなサウンドに面食らってしまった。自ら名乗るヒップホップ・プログレという言葉はライヴを見るかぎり、彼らの一面しか表していない。
ドスドスと重たいドラム。うねうねとうねるベース。背景にクラシックがあることを想像させながらキテレツなフレーズをぶちまけるキーボード。そしてラップとも語りともつかない歌い方で毒とセンス・オブ・ユーモアが入り混じる言葉を紡ぎだすヴォーカル。そのバンド名も含め、人を食ったイメージを打ち出しながら、メンバー全員がバカテクの持ち主であることは明らかだ。
公共放送の画面に自分たちのバンド名がテロップで流れることを喜びながら、新曲「キラーボール」も披露。ラストの「ドレスを脱げ」では、ライヴの定番なのだろう、"ドレスは!""脱げ!"という思わず脱力してしまうようなコール&レスポンスを観客と楽しむと、"全力でかかってこれるか?!"とラスト・スパートをかけた。現在のライヴ・シーンのおもしろさを、何にもとらわれない自由とともに伝える彼らのようなバンドをブッキングしたNHKの英断(?)に拍手だ。


nipponrocks_thumb3.jpg懐かしいTHE CUREやTHE SMITHのヒット曲が流れる中、ステージ上にセッティングされたミラー・ボールがthe telephonesの登場を告げる。
"(今日は)あっという間に終わるからしょっぱなから全力で踊ろうぜ!"
石毛輝(Vo/Gt/Key)がお馴染みのハイトーン・ヴォイスで客席に呼びかけ、演奏はサイケデリックなダンス・ナンバーの「It's Alright To Dance (Yes!!! Happy Monday!!!)」でスタート。これまでライヴハウスのみならず、さいたまスーパーアリーナといった巨大アリーナもディスコに変えてきた彼らはこの夜も煌びやかなシンセの音色とともにパワフルなダンス・ビートを打ち鳴らしながら、新曲「Don't Stop The Move, Keep On Dancing!!」、スカのビートを刻む「I Hate DISCOOOOOOO!!」といったパンクなディスコ・ナンバーの数々を披露。"みんな踊ろうぜ! 歌おうぜ! 死ぬまでディスコしようぜ!"と終始、魂の解放を訴えかけながら大きな盛り上がりを作っていった。それは熱狂と言うよりもまさに狂騒という言葉がふさわしいものだった。


nipponrocks_thumb4.jpgそして、トリを務めるACIDMANを観客が手拍子で迎える。前出3バンドよりも一世代上の自分たちの役目を意識しているのかしていないのか、彼らはギミックなどこれっぽっちも感じさせない、極めてシンプルかつストレートなロック・ナンバーを観客にぶつけ、3バンドが作った興奮を感動に変えた。
ただひたすら爆音を奏でることに専念しているステージの3人をじっと見守る観客の姿が印象的だった。
ラストは生命の奇跡を歌ったスロー・ナンバーの「ALMA」。自信と確信に満ちた歌と演奏は、大団円を飾るにふさわしいものだった。
この日のライヴは各バンドのインタビューも交え、11月17日、NHK・BSプレミアムで放送される予定だ。
 

  • 1