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INTERVIEW

Japanese

[Champagne]

2013年08月号掲載

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Member:川上 洋平 (Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香

すでにリリースされ、今年度のCDショップ大賞にもノミネートされている4thアルバム『Me No Do Karate.』。これまでもジャパニーズ・ロック・シーンの枠からはみ出しまくりのスケール感と海外のシーンとシンクロする楽曲を輩出してきた彼らだが、その貪欲さをアルバム曲の1曲1曲でも成立するほどの濃度と、曲が生まれた衝動をそのままリスナーに喚起させるような気づきが、このアルバムのこれまでとは違う最大の武器なんじゃないだろうか。満足することは恐らくなさそうなフロントマン川上洋平のリリース後の手応え、そして彼の目を開けて夢を見続けるハートの強さを改めて探る。

-アルバムもリリースされ、Zepp Tokyoでの2daysライヴも終了して、新曲の手応えはいかがですか?

反応は良かったですね。「Ho!」が意外というか、予想どおりというか、良かったですね。“これがいちばん好き”ってヤツはどうかと思うけど(笑)。

-“Ho,Ho”言いたい気持ちはすごくわかります(笑)。振り返って今回のアルバムでようやくできたなってことがあるとしたらなんでしょう。

単純に音を良くしたいっていうのはありましたね。今まで2層ぐらいフィルターがあってちょっとくぐもった音に聴こえてたのを取り除きたかったし、要はどういうオーディオ・プレーヤーで聴いても伝わるかどうか?っていうのを考えたんで。今まで詰め込みすぎてマットな雰囲気になってたのが今回クリアになった分、ワルい音というか不良っぽい音も作れるようになったんですけど、そこはこだわって実現できたアルバムではありますね。

-スタジアム・クラスの今の日本のロック・バンドの音じゃなくて、[Champagne]だったらこうやるっていう、更新されたロックが鳴ってるなと思ったんですよ。

なるほど。

-Track.1の「Rise」からして[Champagne]ならではの大仰さですからね(笑)。

ははは、そうですね。デカいところは昔から想像してましたけど、今回は一応、去年の夏フェスとかを体験してそっからできていった曲なんで、ちょっと重みだったり密度は違ったと思います。実際3枚目の曲とかを何万人の人を前にして演奏した時の気持ちよさと悔しさがあって。“あ〜、今までライヴハウスでやってたよね、ウチらは”って分かったし、もっと大きくなっていきたいっていうことを考えた時に、やっぱり曲作りもそうなんですけど、音もそうだし、レコーディングだけじゃなくて曲自体のこともいろいろ考えましたね。どうすれば届くんだ?っていう。

-しかも日本の先人と同じ轍を踏まずにそこに行こうとしてる音だと思う。

そうですね。日本とかあんまり考えないようにしてますね。要は向こうのアーティストを向こうのフェスとかで見ると案外、中音小さくて、それをPAさんが相当デカくしてるな、とかそういうの分かったりする。だから日本でできても向こうでできなかったら意味ないし。日本のフェス出た次の日にイギリスでやんなきゃっていうような時に、同じ感覚でできなかったりするとマズイので、そこはどうしたらいいのか……今、考えてもしょうがないんですけど(笑)、でもそこはでも広い目で見るようにはしてますね。

-次の日イギリスってほどではないにしろ、最近そういう状況になってはきてますよね、実際、イギリスでライヴしてるし。話は少し逸れますけど、川上さん自身が洋楽ファンのという背景を持ちつつ、MUSEのオープニング・アクトっていう、いわば“日本のバンドなんかそんなに見たくないんじゃない?”っていうアゲインストな状況の中、どんな気持ちでその場に出て行ったのか、改めて知りたいんですが。

や、全然楽しかったですよ。昔ならそういう洋楽ファンならではの文化があったと思うし、俺はそれこそ卵とか投げられる覚悟でいましたけど(笑)。アゲインスト好きとかじゃなくて、基本的にこういう商売やってると好かれるのも嫌われるのも半々だと思うんで、俺は全然ありがたいと思うんですね、それは批判でもディスられてもありがたいですよ。

-確かにディスられもしないロック・バンドなんてとは思います。ところで今回特にサウンド・プロダクションのスケール感が大きくて。ロックだけじゃなくポップな部分の音作りも聴くことができるし、そういうところも考えられたアルバムなんじゃないかと。

そうですね。僕、別にポップスが嫌いなロック・バンドじゃなくて、すごくポップス大好きなんですよね。あと、歌モノが好きっていうのは、自分がヴォーカルだからっていうのもあるんだけど、ウチの母ちゃんが口ずさめないとたぶんいい歌じゃないんだなっていうくらいの(笑)、指標みたいのはありますね。どんなカッコイイことしてても骨になるメロディが良くなかったら結局、アレンジもただの装飾でしかないというか。逆にメロディが良かったら何年経っても覚えてるし、どこでも勝負できるじゃないですか? アコギ1本でもなんでも。だから自分の曲は絶対最初はアコギで作ってるし、鼻歌から始まってるし。ただ、それは1stからやってることで、今に始まったことじゃないんだけど、最近そういうような曲が増えてきたと思われるのは、たぶんですけど、やっぱり最初に言ったように装飾品を剥ぎ取ったからだと思うんですね。それをやっと4枚目でできたっていうのは、できた後でわかったんですけど。