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LIVE REPORT

Japanese

アルカラ

Skream! マガジン 2019年03月号掲載

2019.02.16 @マイナビBLITZ赤坂

Writer 蜂須賀 ちなみ

アルカラの全国ツアー"ドコドコまでもどこまでもツアー2019"。今回レポートするのは、神戸ART HOUSEでのワンマンを控えたタイミングで開催された、ACIDMANとのツーマンだ。ACIDMANの大木伸夫(Vo/Gt)いわく、2組は6年前にイベントで共演したことがあるとのこと。以来、ACIDMANはアルカラのことをカッコいいライヴをするバンドだと認識しており、アルカラも何度かACIDMANを対バンに誘っていたが、スケジュールが合わず、今回ようやく念願が叶ったのだ。

エレキ・ギターのカッティングが鋭く鳴り、ACIDMANは「±0」からスタートし、佐藤雅俊(Ba)によるイントロからそのまま「造花が笑う」へ。MC後、大木がじっくりとギターを響かせてから「波、白く」で疾走すると、浦山一悟(Dr)の咆哮が突き抜けていった。よく斬れる刀のように潔いサウンドを構成するのはギター、ベース、ドラムという3種の楽器だけなのに、広大な宇宙のような途方もないロマンをも感じさせる。特に、真っ白な照明の中で演奏した「世界が終わる夜」での、どこまでも膨らんでいってしまいそうな激情のサウンドは観る者に深い爪跡を残していった。一方、ツアー名になぞらえ"ナニナニよりも何よりもお客さんのおかげですから!"と挨拶する(※後にアルカラの稲村太佑から下ネタに聞こえたと言われていたが......)などお茶目な一面も見せ、場を和ませていた。

そして後攻、アルカラのSEは「黄金バットの歌」。そのラスト・フレーズをツイン・ギターで弾いたあとにバンドがイン――という登場シーンが印象的だった。声量抜群で、メロをアレンジするなど好調そうな稲村太佑(Vo/Gt)。本ツアーからツーバスを導入し、ドゴドゴとそれを鳴らしまくる様子が凄まじかった疋田武史(Dr)。ツーバスに迫力負けしないほど強固で、且つ聴き手を迷宮へ誘うような温度感もある下上貴弘(Ba)。そこにサポート・メンバーの為川裕也(Gt/folca)が加わり、アンコールではもうひとりのサポート・ギタリスト、竹内亮太郎も参加だ。「チクショー」ではテクニカルなソロ回しを披露。そして新曲「ギラリちゃん」の中盤には稲村、下上、為川も打楽器を構え、リズム・セッションに突入。さらに、もうひとつの新曲「ボイジャー」が描く"すべての物事はいつか終わる"という儚い事実は、ライヴハウスとしての営業をいったん終了することを発表したこの会場、マイナビBLITZ赤坂の姿と重なるようで、いっそう切なく響いた。多数のバンドが出演するフェスやイベントと比べてセットリストはコア。それだけにこのバンドの只者ならぬ感じを存分に堪能できたが、そうなると、隙あらばふざけてしまうキャラクターが気になってくる。クールなソロ中にメンバーを都内の鉄道路線に喩えたり、「踊れやフリーダ」のラストにみんな揃ってキメポーズをしたり......。そんな様子を見ながら、これは楽器が上手すぎるがゆえの気恥ずかしさからくる照れ隠しなのか、はたまた"観客を笑わせたい"というエンターテイメント精神によるものなのか......そんなことを考えてしまった。

去り際に"12月31日、俺らと一緒に年越そうな!"と稲村。大晦日は例年Livemasters Inc.主催の"GT"シリーズに出演していたアルカラだが、"GT2019"のステージ上で、アルカラは次を担うことを託されていたのだ。ACIDMANも、自分たちは"結局みんな死んでしまう"ということを歌っているのだという話をしていたし、何かと"終わり"へ想いを馳せてしまいがちな1日だったが、だからこそ今の幸福が尊く、新たな始まりが眩しいわけで。清々しい余韻を胸に私たちは会場を去っていった。

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