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INTERVIEW

Japanese

ASIAN KUNG-FU GENERATION

2010年06月号掲載

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Member:喜多 建介(Gt&Vo)、後藤 正文(Vo&Gt)、山田 貴洋(B&Vo)、伊地知 潔(Dr)

Interviewer:佐々木 健治

ASIAN KUNG-FU GENERATION最新作『マジックディスク』には後藤正文の明快な意志が漲っている。後藤自身、その意志がどこから来ているのか自分でもよく分からないと戸惑いながらも、新しい時代を始めよう、ポジティブに変えようという意志しかないと宣言する。ここでアジカンが鳴らすメッセージは「始まるかも」でも、「始まった」でもない。ここから、自分達で「始めよう」。『マジックディスク』は、その意志によって生み出された傑作だ。

-「新世紀のラブソング」が出来た時には、もうアルバム制作に入られていたんですか?

後藤正文(以下、後藤):そうですね。アルバム制作は始まっていたんですけど、「新世紀のラブソング」が出来たのは、大きなトピックではありましたね。新しい時代の新しいムードを探し当てようみたいな気持ちがあったんだけど、それが形になるんじゃないかという実感もあったし。新しい時代を迎えるという手応えもあったし・・・この10年は、ひたすら暗い感じがあったから。

-その暗いムードを変えようっていう思いに至るきっかけみたいなものはあったんですか?

後藤:きっかけみたいなものはほとんどなくて・・・一生活者の実感っていうのがあると思うんですけど。暗いと思わされている部分もあると思うし、それはちょっと違うよなと。音楽とか文化って、10年区切りで語られることが多かったりするじゃない?

-そうですね。

後藤:2000年代って言う10年間を振り返ってみて、もう一回同じ10年があったら嫌だなと。暗くて、鬱屈としていて、内向きな感じと言うかね。今を生きている人間としては、もっとハッピーな時代を生きたい(笑)。「いやあ、音楽最高!」とかさ、友達とゲラゲラ笑ったりしたいし。そういう気分って言うのが往々にしてあって「新世紀のラブソング」は、それへの入り口みたいな曲だからね。本当はポップなフィーリングで、ポップなものを鳴らしたいんだっていう。

-なるほど。「新世紀のラブソング」ってサウンド面でもアジカンにとって新機軸と言える楽曲だと思いますけれど、そこはその変えたいという部分とリンクしていると思いますか?

後藤:うーん。そこは違うところですね。サウンド面というよりは、まず歌詞においてポップなものを書きたいというのがここ数年間あって、そういうところから始まっている曲だから。ポエトリー・リーディングでもラップでもいいし、何なのか実際よく分からないけれど、文字数を増やしたいというのは最近ずっとある。そういうところを音にしていく為の「新世紀のラヴソング」の前半のトラックなんですよね。

-HIP HOPに対しての関心は強いですか?

後藤:そうだね。ここ数年は、本当に面白いと思っている。HIP HOPの言葉とビートの関わり方は凄いと思う。先鋭的でいいなと思うし、トラックももちろん皆素晴らしいんだけど、生演奏の人達じゃないとできないフィーリングもあるから。それでまた違う視点で見ているというのはあるかもしれないですね。じゃあ、そこでギター・ロックで何をどう鳴らすかって言う。ちょっと内向きな音が多いと思うから。自分達もそうだったと思うし。そういう中で、「新世紀のラブソング」は自分でリズム・トラック作って、ギターのシーケンスを組んで、フレーズを作ってできた曲で。正直、この曲についてはまだ自分でもよく分からないと言うか、とても不思議な曲。