Japanese
2024.05.12
井上竜馬(SHE'S)✕藤井怜央(Omoinotake)/ Jane Jade(藤原さくら✕優河)ほか
埼玉 東松山 COEDOクラフトビール醸造所
"麦ノ秋音楽祭2024 #Harvest"
5月12日(日)埼玉 東松山 COEDOクラフトビール醸造所
OPEN 10:00 / START 11:00
出演:Jane Jade(藤原さくら✕優河)/ 坂本美雨 × 関口シンゴ × U-zhaan / Hikaru / Name the Night / ROCKIN' QUARTET / 井上竜馬(SHE'S)✕藤井怜央(Omoinotake)
ROCKIN' QUARTET:大木伸夫(ACIDMAN)/ 山田将司(THE BACK HORN)/ ホリエアツシ(ストレイテナー)/ 村松 拓(Nothing's Carved In Stone)/ TOSHI-LOW(BRAHMAN)/ 内澤崇仁(androp)/ NAOTO QUARTET
公式サイト:https://muginotokiongakusai.jp/
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ACIDMAN
Stay in my hand
消えてしまうものに、あるいは触れられないものに手を伸ばそうとする人の姿は、いつだって美しいものだ。ACIDMAN、4月の『EVERLIGHT』に続く今年2作目のシングルである本作。タイトル・トラック「Stay in my head」は力強くアグレッシヴなロック・チューンで、疾走感溢れるバンド・サウンドの上で大木は振り絞るように歌い叫ぶ。"いつかは誰もが 消えるだろう/数えきれぬ星も 全て/もう少しもう少しだけで/触れられる様な気がして"――どれほどのキャリアを積もうと、消えてしまうであろう煌きに手を伸ばし続けるACIDMANの姿は、かくも美しい。おなじみ"second line"は、しっとりしたジャズ・アレンジの「スロウレイン」に、静謐なエレクトロ調の「HUM」。バンドの音楽的成熟を感じさせる。
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ACIDMAN
EVERLIGHT
暖かい季節になった。朝、起き抜けにベッドから飛び出し、窓を開け放ってみる。すると、陽の光が降り注ぐ。このちっぽけな地球の、ちっぽけな日本の、ちっぽけな街に住む、ちっぽけな僕にも、陽の光が降り注ぐ。この「EVERLIGHT」という曲には、どうしようもない孤独と痛みを抱える人間が、それでも太陽から降り注ぐ光を浴びて、自らのふてぶてしいほどの生命力を感じずにはいられなくなるような、そんな瑞々しい力強さが宿っている。壮大なサウンドスケープに乗せて、私たちがどれほどの哀しみと共にあろうと、心臓は鼓動し、光に向かって足は自ずと動き始めてしまうのだと、人間の"生"という性(サガ)を目一杯の確信で描いている。もはやキャリア15年。しかし、その眼差しは変わらずロマンティックな煌きに満ちている。
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ACIDMAN
新世界
結成15周年&デビュー10周年を迎えたACIDMAN。アニバーサリー・イヤーを締めくくるシングルはACIDMANらしい力強いロック・ナンバーだ。未来への希望をただ歌っているわけはない。熱く伝わってくるのは確固たる意志と信念だ。大木(Vo/Gt)が"世界は生まれ変わる"と叫ぶ。自然と生まれ変わるのではなく、世界が、そしてそこにいる"僕たち"が前を向き生きていこうとする自分たちの力で生まれ変わるのだ。Track.2とTrack.3は過去の作品をリアレンジするセルフ・カバー・シリーズ「second line」の新作。これは「second line」の楽曲でライヴも行われるほどの人気シリーズで、原曲が好きなファンは勿論のこと、知らないリスナーも十分堪能できる完成度の高いリアレンジとなっている。
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Omoinotake
Ammolite
名刺代わりのメジャー1stアルバム。「EVERBLUE」、「One Day」、「心音」など代表曲が網羅されているため、Omoinotake入門編として聴ける、リスナー・フレンドリーな作品だ。同時に、2000~2023年という濃い3年のワークスがまとめられているため、現行のトレンドを研究しては自らの表現に落とし込み、J-POPとして響かせようとトライを重ねてきた、彼らの戦いの歴史に触れられる作品でもある。3人の音楽家としての実績は、もっと多くの人に称賛されるべきだろう。新曲も素晴らしく、サウンドのみならず精神性からゴスペルに接近した「Blessing」が1曲目に配置されているのは自信の表れか。「渦幕」におけるドリルのビートの導入も非常に意義深い。
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Omoinotake
EVERBLUE
OmoinotakeがTVアニメ"ブルーピリオド"のOP曲「EVERBLUE」を表題に据えたEPでついにメジャー・デビュー。アニメの主人公による"好きなことをやるって いつでも楽しいって意味じゃないよ"という言葉に自身を重ねて書き上げた表題曲は、夢や自分と向き合い、葛藤しながらも前を見据える"青い願い"を持つすべての人の胸を打つ楽曲に仕上がった。アレンジ、プロデュースは蔦谷好位置が担当。ダンサブルで希望に満ちた、青春の匂いを纏う清涼感のあるサウンドであると同時に、9年間バンドを続けてきた彼らの熱い意志も刻まれているように感じる。またEPには銀杏BOYZ「漂流教室」のカバーも収録され、全4曲で十分に彼らの音楽センスの素晴らしさを堪能することができる1枚となっている。
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Omoinotake
Long for
新たなフェーズに突入した前作『モラトリアム』発表以降、配信で新曲を連続リリースしてきたOmoinotake。彼らの2020年2枚目となるミニ・アルバムが完成した。タイアップやYouTubeチャンネル"THE FIRST TAKE"への出演でますます注目度が増している彼らだが、今作のグルーヴィで洗練されたポップ・ミュージックは、これまで以上にポピュラリティを確立しているように思う。疲弊しきった心に沁みる、コロナ禍で生まれた「One Day」、ドラマ"30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい"OP曲「産声」、ノスタルジーを感じる情景描写が見事なバラード「東京」などに加え、JQ(Nulbarich)による「One Day」のリミックスも収録。良質なポップスを堪能できる1枚だ。
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Omoinotake
モラトリアム
"覚醒"としか言いようのない3rdミニ・アルバム。昨年の3曲連続配信リリースの時点で兆候はあったが、新たなフェーズに入った印象。具体的に言うと、歌と言葉とメロディが磨かれ、ポップ・ソングとしての強度が飛躍的に増した。「惑星」と「Blanco」は作詞を手掛ける福島智朗(Ba/Cho)が自身の恋愛体験を綴った曲で、「トニカ」はバンドのくすぶった気持ちを昇華させるために書いた曲とのこと。ソングライターの踏み込んだ表現がバンド内の連鎖を呼び、AOR/ジャズ/R&Bなどをルーツとした横ノリのアンサンブルや、ヴォーカルの表現力など、兼ねてからの美点がより輝くようになったのでは。バンドのターニングポイントであり、きっとこれからの基軸となる作品。
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Omoinotake
Street Light
島根発のギターレス、鍵盤トリオ・バンド Omoinotakeのミニ・アルバム。リード曲「Stand Alone」をはじめ、シンセとパーカッションの使い方に新鮮さを感じるTrack.2「Never Let You Go」、初めて打ち込みを取り入れたTrack.5「Bitter Sweet」などバンドの新たな表情を垣間見られるのが嬉しい。ラストは、路上ライヴを盛んに行う彼らのホーム・グラウンド=渋谷スクランブル交差点を舞台にしたTrack.6「Friction」に集約されていく。前作と比べてサウンドがグッと洗練されたほか、各楽器の旋律にリズムが出てきたし、コーラス・ワークも効果的に働いている。以前よりもずっと広い場所で、自分たちの音楽が鳴る光景をイメージできるようになったのではないだろうか。
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SHE'S
Shepherd
SHE'Sが1年7ヶ月ぶり、6枚目のフル・アルバム『Shepherd』をリリース。本アルバムには、バンドにとって初のアニメーション映画への書き下ろしとなった楽曲「Blue Thermal」をはじめ、TBS系"王様のブランチ"テーマ・ソング(2022年4~9月)「Grow Old With Me」、軽快なカントリー調に仕上げたリード曲「Boat on a Lake」、打ち込みと生音が絡み合うアグレッシヴなピアノ・ロック「Raided」など、全11曲が収録される。また本作に収められた新曲は、全楽曲のソングライティングを担う井上竜馬(Vo/Key)がパウロ・コエーリョによる小説"アルケミスト 夢を旅した少年"から着想を得て制作されたようで、コンセプト・アルバムの趣もある意欲作になっている。
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SHE'S
SHE'S in BUDOKAN
'22年2月の日本武道館公演の模様を収めた、SHE'S初のライヴ映像作品。SHE'S 10年の軌跡と言うべき音楽的に豊かな楽曲群を表現する心のこもったバンドの演奏、そしてメンバーに"声を出してないはずやのに一緒に歌っているような感覚です。聞こえてくる。そんな感じがする"と言わしめた観客がともに作り上げたあの日の温かな空気が、純度高くパッケージングされている。メンバーが終始いい表情をしているのがたまらない。弦楽カルテット+ホーン隊含む11名編成で届けた22曲をMC含めノーカットで収録。結成10周年の集大成と呼ぶに相応しいライヴの模様をしっかりと記録したファン必携のアイテムだ。完全数量限定盤にはドキュメンタリー映像や全31曲のMVも収録。
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SHE'S
Blue Thermal
"ブルーサーマル"とは上昇気流の意味。航空部をテーマにしたアニメ映画"ブルーサーマル"の主題歌&挿入歌を収録した、2022年第1弾シングルだ。主題歌「Blue Thermal」は、まさに青く澄み切る大空が似合うブラス・バンドに乗せて、痛みを抱えながらも夢に向かう熱い想いが綴られる。"パーフェクトブルー"、"雲"、"気流"などアニメの世界観に寄り添ったワードを散りばめながら、そこにはバンド自身の在り方もくっきりと重なる。一方、挿入歌「Beautiful Bird」はホーリーなハーモニーで紡ぐ静謐なバラード。"君"の存在が"僕"を未来へと導くという歌詞は、これまでSHE'Sが多くの楽曲で歌ってきたテーマにも通じる。初の武道館ワンマンを経たSHE'Sの11周年の幕開けとなる1枚。
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SHE'S
Amulet
4thアルバム『Tragicomedy』に引き続き、傑作アルバムの到着だ。バンドの10年が詰まった「追い風」を発端に彩り豊かに展開する構成は、未来への広がりを感じさせるもの。ジャンルレスでいたいという考えを持つバンドだけに幅広いアプローチには納得だが、加えて、どんな人も完璧じゃない、しかしそれこそが個性だと謳う「Imperfect」でゴスペルを取り入れるなど、音と言葉がさらに密接な関係を結ぶようになった。ひとりでいる人に語り掛けるようなピアノの独奏から始まり、誰しもが抱える欠落を肯定する今作のタイトルは、"Amulet"=お守り。海外インディー・ポップ・シーンと共鳴する軽やかな音像、真摯な目線から綴られた言葉は、日々の灯となってくれる。
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SHE'S
追い風
"生きていく者だけに吹く 追い風"。そんな力強いフレーズが、痛みを背負いながらも懸命に生きる私たちの背中を押すSHE'Sのニュー・シングル。寂寥感を孕んだエレクトロな音の粒が、やがて華やかに開放されていく美しいサウンド・アプローチは、今年結成10周年を迎えるバンドがこれまで積み重ねてきたものが凝縮された1曲になった。ドラマ"青のSP(スクールポリス)-学校内警察・嶋田隆平-"の主題歌の書き下ろしだが、"いかに生きるか"を主軸にしたテーマはバンドとの親和性も高い。カップリングの新機軸となった味わい深いバラード「Mirai」、ステイホーム期間にファンと共に完成させたカントリー・ソング「In Your Room」も含めて、先の見えない未来に優しく光を照らすような3曲。
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SHE'S
Tragicomedy
ソングライターの井上竜馬(Key/Gt/Vo)が"心"そのものと向き合うなかで生まれた楽曲を収録し、"悲喜劇"の意味を持つタイトルを冠した4thアルバム。井上が直感的に制作したという楽曲たちは、これまでバンドが続けてきたジャンルレスなサウンド・アプローチにおける挑戦がさらに磨き上げた精鋭揃いだ。バンドの生演奏にプログラミングとストリングスを巧みに取り入れた楽曲や、ブラック・ミュージックの匂いをブレンドさせた楽曲などの2020年代的ミクスチャー・サウンド、トラックメーカー的アプローチなど自由でユーモアに富んだ音楽たちは、4人の感情や人間性と深く密接な関係にある。キャリアを重ねたことで得た成熟と純粋さを兼ね揃えた作品。来年の10周年を目前に、バンドの未来を切り開く気概に溢れている。
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SHE'S
Tricolor EP
3ヶ月連続リリースのデジタル・シングル3曲を含む全4曲収録のシングル。ヴァイオリン、ギター、リズムで作り出すラテン感のあるサウンドが特徴的な挑戦性の高い「Masquerade」、SHE'Sの真骨頂とも言うべきピアノ・ロックの中でもぬくもりと優しさに満ちた「Letter」、力強さと気品を持ち合わせたスケール感のあるエモーショナル・ナンバー「Your Song」と、SHE'Sがこれまで追求してきた大きな3つの特色を明確に示した楽曲が揃っている。3曲共通して生き方や人との向き合い方にフォーカスしたメッセージ性の強い言葉が並んだことで、より歌の力も増した。バンドの核心を感じられる組曲的作品に仕上がっている。
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SHE'S
Now & Then
2枚のシングルを経て完成させた"Now(=今)"と"Then(=あの時)"がテーマの3rdフル・アルバム。本作では、これまで彼らがチャレンジしてきたバラエティ豊かなピアノ・ロックに加え、「歓びの陽」とは異なる解釈でプログラミングやエレクトロ・テイストを取り入れた楽曲、アコギのリフを効果的に生かしたソウル・ナンバー、アルバム・アレンジが施された「月は美しく」など、様々なジャンルが持つポップネスを十二分に生かしている。インディーズ時代からスケールの大きな音作りを続け、メジャー・デビュー以降は様々な音楽性を積極的に取り入れながら、自分たちの音楽の可能性を広げ続けてきたSHE'Sの、ひとつの金字塔的作品と言っていい。より高みを目指す4人の健やかな音色を体感できる。
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SHE'S
The Everglow
約3ヶ月ぶりにリリースされるシングルは、挑戦的な楽曲が多かった前作と打って変わり、バンドの原点をパワーアップさせた3曲が揃った。表題曲はバンドの特色のひとつであるピアノとストリングスが描く華やかさと、バンドの力強さを掛け合わせた、ピアノ・ロックの進化版。サビのメッセージや湧き上がる想いを丁寧にサウンドにも落とし込んでいる。c/wの「Come Back」はソングライター、井上竜馬(Key/Gt/Vo)の憧れの存在であるELLEGARDENへのリスペクトを込めた楽曲で、「月は美しく」はジャズ・テイストのアプローチが新しい。3曲に共通しているのは堂々としつつもどこか肩の力が抜けたような軽やかさがあること。聴いたあとに残る幸福感もまた、「The Everglow」が歌う"永遠の輝き"なのかもしれない。
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SHE'S
歓びの陽
昨年、フル・アルバム2枚とミニ・アルバム1枚という脅威のペースでリリースを続けてきたSHE'Sが、約2年ぶりとなるシングルを完成。agehaspringsの百田留衣がプロデュースしたTrack.1は、打ち込みのトラックを大胆に取り入れ、"哀しみも傷跡もそのままでいい、無駄じゃない"と過去を肯定したうえで寄り添ってくれる、大きな温もりが感じられる1曲だ。Track.2はTVアニメ"アンゴルモア元寇合戦記"のEDテーマ。闘志を奮い立たせるような力強いビートとドラマチックなストリングスから幕を開け、サビでパッと開けるような明るいコード感が気持ちいい。Track.3は井上竜馬の歌唱とピアノ、そしてコーラスのみというシンプルな構成。優しくしなやかでのびのびとした歌声が、心地いい余韻を残してくれる。
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SHE'S
Wandering
今年2作目となるメジャー2ndフル・アルバムは、初の外部プロデューサーとして片寄明人(GREAT3/Vo/Gt)を、ゲスト・ミュージシャンとしてストリングス隊とホーン隊を招くだけでなく、マスタリングはBob DylanやBon Iverなどを手掛け、グラミー賞ノミネート経験もあるエンジニア Greg Calbiが担当という、ロック且つスタイリッシュな音像を作るには完璧と言っていいほどの布陣で制作された。もともと大きなスケールを持つ楽曲を作ることに長けているバンドだが、今回は勢いで突き抜けると言うよりはどっしりと構えたうえでパワーを発揮するサウンドスケープが際立つ。歌詞世界も過去2作と比較しても格段に視野が広がった。特に最後を飾る「Home」は、追い風が吹く彼らに最適な華やかさだ。
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SHE'S
Awakening
1stフル・アルバム『プルーストと花束』から5ヶ月という驚異のスピードでリリースされる7曲入りミニ・アルバム。初夏を意識して作ったという楽曲はどれも軽快なニュアンスが強く、太陽の光が似合うものが多い。エモーショナルな音像に横ノリのリズムを入れた楽曲や、軽やかなミディアム・ナンバーなどからもバンドも新しい季節を迎えていることがわかる。歌詞もTrack.2を筆頭に強い決意に加え大いなる自信が刻まれ、もっと前に進んでいくという意志がこれまで以上に強く表れたものになった。今回は珍しくコンセプトありきでの制作ではなかったらしいが、だからこそワンマン・ツアーで確かな手応えを感じ、上京し環境が変化したというリアルタイムのSHE'Sが太い軸になったアルバムを作ることができたのだろう。
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SHE'S
プルーストと花束
バンド史上初のフル・アルバム。タイトルにある"プルースト"とは"プルースト効果"のことで、とあるきっかけで無意識下の記憶が蘇ることを言う。コンセプチュアルな制作を得意とするソングライター/フロントマンの井上竜馬(Key/Gt/Vo)だが、今作はメロディの断片や歌詞の中の一言に導かれながら、記憶の中に眠っていた光景を蘇らせてひとつの曲にする、という試みの制作だったそうだ。シンセ、ホーンなどを入れた楽曲も見られ、ポップ・パンク×ピアノ・ロックという音楽性はさらに拡張。もちろん元来の音楽性を追求した楽曲もあり、Track.8はポジティヴなメッセージを堂々とまっすぐ届け、Track.10は美しく雄大な音像が眩しい。すべての曲にもっと大きく羽ばたこうとする意志を感じさせる。
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SHE'S
Tonight / Stars
6月にメジャー・デビューした大阪の4人組ピアノ・ロック・バンドが早くも2ndシングルをリリース。Track.1は"どれだけつらい過去も悲しい現実も、生きていないとそれを癒す歓びは待っていない。小さくなってしまったロウソクの灯りをどうか今夜も灯したままでいてほしい"という願いが宿る、静かでありながら確かな強さやポジティヴィティを感じさせるミディアム・ナンバー。煌びやかなピアノも夜空を彷彿とさせる。Track.2は初の書き下ろしドラマ主題歌。メジャー・デビューをしてさらなる高みを果敢に目指すバンドの姿が重なる、まさしくピアノ・ロック・バンドを体現する楽曲だ。ハードな側面を見せるTrack.3もピアノだけでなくオルガンを用いるなど、音色豊かで力強い。
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SHE'S
Morning Glow
メンバー全員1992年生まれの次世代ピアノ・ロック・バンド、SHE'Sのメジャー・デビュー・シングル。コンセプトは"過去、現在、未来"で、実体験をもとに綴られている。彼らのピアノ・ロックはポップ・パンクの音像とキャッチーなメロディと、クラシック・ピアノの融合。Track.1はそこに優雅なストリングスが入り、雄大な日の出のイメージを豊かに描いている。詞世界に重きを置いた音作りゆえに、すべての曲に情景が浮かび、ドラマ性も高い。海外のボーイズ・グループを彷彿とさせるTrack.2は都会的なポップスで、未来へ向かって飛び込んでいくという気持ちを歌ったTrack.3はライヴ映えすること間違いなしのパンク・ナンバー。これまでのリスナーも新しいリスナーも虜にする新章のプロローグだ。
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SHE'S
She'll be fine
井上竜馬(Key/Vo)をセンターに据えた大阪出身のピアノ・ロック・バンド、SHE'Sの3rdミニ・アルバム。エッジの効いたロック・サウンドとピアノの繊細且つ煌びやかな音色、そしてそれぞれの高い演奏力と表現力が相まって、壮大なファンタジーの幕開けのようなワクワク感を与えてくれる今作。Track.1の重厚なストリングスとメロディのキャッチ―さや、Track.3の増幅していくバンドのグルーヴ感、Track.6の突き抜けるサビの痛快さなど、サウンド面だけでも伝えたいことは山ほどあるが、何といってもTrack.7に込められた強い想いを感じで欲しい。彼らがここまで辿り着いた理由、そして彼らがこれからも奏でる理由。ひと言ひと言を大切に歌う井上の真っ直ぐな思いは、届かないわけがない。間違いなく次世代のシーンを担う彼らの渾身の1枚は、一聴の価値あり。
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THE BACK HORN
最後に残るもの
結成25周年シングルの表題である「最後に残るもの」は菅波栄純(Gt)作詞作曲。バンドマンとしてもおそらくひとりの人間としても危ういときに"この手を掴んでくれたあなた"はファンやリスナーだったことを思わせる歌詞に、このバンドの真心が滲む。ごくシンプルな8ビートだが、Bメロのリズムの妙や楽器の抜き差しに実直なバンドが磨いてきた効果的なアレンジ力の高さが見て取れる。カップリングの「フェイクドラマ」は松田晋二(Dr)によるリアルが見えにくい時代だからこそ自分の体感や衝動を信じようという歌詞が山田将司(Vo)によるモダン・ヘヴィ・ロックにファンク要素も加わった曲構成で際立つ。2曲ともすべての楽器が見えそうな削ぎ落とされた生々しくも乾いた音像がこれまでの曲ともまた違うタフなエネルギーを発している。
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THE BACK HORN
REARRANGE THE BACK HORN
今年結成25周年を迎えたTHE BACK HORNのアニバーサリー作品は太文字のロック・バンドである彼らの魂はそのままに、ジャズやカントリー、R&Bなどにアプローチし、オリジナルをリアレンジしたもの。「冬のミルク」や「罠」、「美しい名前」など、ライヴで生き残ってきたナンバーもありつつ、インディーズ楽曲やシングルB面曲などレア選曲なのも面白い。「ガーデン」のラテン・ビートとアトモスフェリックな音像の不気味さ、「幻日」のアラビックなフレーズ、「羽根~夜空を越えて~」の淡々とした進行があぶり出す曲の純度や、音数が減ったことで歌詞の鋭さが際立つなど、このバンドのひと筋縄でいかない側面が目立っている。本作のタイミングで書き下ろした新曲「Days」での恐ろしくシンプルな歌詞が表現するファンへの感謝も深く沁みる。
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THE BACK HORN
アントロギア
コロナ禍でライヴ活動が止まってしまった際、そのかけがえのなさを描いた「瑠璃色のキャンバス」からスタートした本作。次第にツアーも開催するなかで生まれた「希望を鳴らせ」や「ユートピア」といった新たなアンセムに加え、山田将司(Vo)がラテン音楽からインスピレーションを得て、松田晋二(Dr)がそこに妖しさや生々しさを言葉として書いた「深海魚」、4ビートのジャズのみならず、8にも16にもリズム・チェンジするスモーキーな「戯言」、素直なメロディと力強いボトムを持った岡峰光舟(Ba)の「夢路」、エレクトロ・サウンドやSEの使い方と黙示録的な歌詞が菅波栄純(Gt)らしい「ウロボロス」、神聖なムードや声のレイヤーに新鮮さを感じるラストの「JOY」まで、50分弱でこれほどまでに多様な世界観を体験させるこのバンドの柔軟性にも感動する。
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THE BACK HORN
ユートピア
13thアルバム『アントロギア』からの第2弾先行配信曲「ユートピア」は、THE BACK HORNの新たな代表曲になりそうな試行が投入された1曲。ヘヴィなベースのイントロから楽器の音が生々しく、そして輪郭が明快だ。ダンス・ミュージック的なグルーヴ感やエレクトロニックなSEが新鮮な聴感を残す。ブランニューなアレンジに乗る歌詞も突き抜けた前向きさを醸し、過去の彼らの作品名――"ヘッドフォンチルドレン"なども登場する包括的な視点が逞しい。不器用に誠実に生きてきたバンドとファンが、今こそその蓄積をこの不安な時代をサヴァイヴする糧とし、ディストピアから脱出し、自分たちなりの理想=ユートピアへ辿り着くための、嘘偽りのないユニークなアンセム誕生と言っていいだろう。
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THE BACK HORN
希望を鳴らせ
いい意味で身も蓋もないほどストレートな8ビートが、すでにこの曲を知っていたかのような錯覚を覚えるが、取り戻せない日々や人々、未だ存在する絶望をしっかり背景として描いているからこそ、希望を鳴らせという鼓舞が真実味を持って響く。近い将来のライヴで絶対シンガロングしたいサビそのものが希望だ。c/wは摩訶不思議な菅波栄純(Gt)流ミクスチャーが顕在した「疾風怒濤」。ラテン、ジャズ、ヒップホップ、トラップ、レゲエにメタル......と要素は多彩だが、リスナーにとってのTHE BACK HORNをサンタクロースになぞらえるほど、強さとユーモアを持ち得たことも証明する。CD版に付帯する映像には、今年3月のライヴ"「KYO-MEIワンマンツアー」カルペ・ディエム~今を掴め~"を完全収録。この時期の記録としても貴重だ。
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THE BACK HORN
KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL 2020
新型コロナの影響でライヴ活動を自粛せざるを得なかった2020年。配信公演の8月の"スタジオ編"と9月の"ライブハウス編"をまとめた映像作品は、皮肉なことに、コロナ禍2年目を迎えてしまった今、不安も焦燥の種類も変化してきたなか、根本的に自分はどう生きたいのかというシンプルな命題に向き合わせてくれる。ふたつのライヴで被りは新曲「瑠璃色のキャンバス」とお馴染み「コバルトブルー」、「シンフォニア」の3曲。8ヶ月ぶりのライヴとなった"スタジオ編"は音を鳴らした瞬間、バンドに血液が巡るような衝撃が画面越しでも伝わるし、ライヴハウスが無人でも、山田将司(Vo)は冒頭から汗だくだ。隣り合わせの生と死を実感し、成長しつつ無垢の魂を曝け出す、TBHにしか伝えられない希望が作品の中で生きている。
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THE BACK HORN
この気持ちもいつか忘れる
5曲入りEPという形態ではあるが、THE BACK HORNにとっての"この気持ちもいつか忘れる"という物語が5曲で紡がれている印象も。そのスタンスがいい意味でバランスを取りすぎることなく、各楽曲でひとつのテーマや、それが導くイメージを音像やアレンジに落とし込んでいるのが面白い。すでにライヴでも定番になった「ハナレバナレ」の中間部での宇宙的な展開、ラウドでヘヴィ且つタイトな聴感が新しい「突風」、木琴の音色やポップス的なメロディが愛らしい「君を隠してあげよう」、世武裕子が歌うことで主人公の他者との関係を示唆する「輪郭 ~interlude~」、そしてバンドの素を思わせるオルタナティヴな「輪郭」。この楽曲では作詞に住野よるが参加。コラボの濃度を高めているように思える。
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THE BACK HORN
カルペ・ディエム
フル・アルバムとしては『運命開花』以来、約4年ぶりとなる本作。結成20周年の期間にインディーズ作品の再録や、ミニ・アルバム『情景泥棒』の制作、ツアーをハードに巡ってきた経験が昇華された、完成度と濃さを持つ作品だ。「心臓が止まるまでは」のSF的なサウンドトラック感やEDMの消化、和のメロディと壮大さが彼ららしいリード曲「太陽の花」、20年経過したうえでのミクスチャー感が冴える「フューチャー・ワールド」、青春の瑞々しさと切なさが溢れる「ソーダ水の泡沫」、物語性と空気感においてTHE BACK HORNの唯一無二の側面を際立たせる「ペトリコール」、一歩踏み出す穏やかな勇気をくれる終盤の「果てなき冒険者」など、メンバー個別のデモから発展させただけあっていずれも純度の高い全11曲。
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THE BACK HORN
ALL INDIES THE BACK HORN
すでにベスト・アルバムのリリースを機に再録されている「冬のミルク」や「無限の荒野」などはその音源だが、今回ついにインディーズ時代の2枚のアルバム『何処へ行く』、『甦る陽』、そしてシングル『風船』収録の全21曲が今の演奏とサウンドで蘇った。善良な人間と見せ掛けた内なる闇や獣性にシニカルな目線で切り込んでいく表現は、若さゆえの激烈さを孕んでいる。様々な試練も音楽をやる楽しさも経験してきた今のTHE BACK HORNの出自を改めて知るうえでも、またライヴで演奏され続けている曲が多いことからも、再度向き合いたい曲ばかりだ。近年のストリングスとのライヴで物語性が際立った「カラス」や、洋楽と並走していた日本のオルタナティヴ・ロックの貪欲さを思い起こさせる「新世界」など、全曲が濃厚。
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THE BACK HORN
情景泥棒
前作『運命開花』もTHE BACK HORNならではの音楽言語で人間の深淵に手を突っ込み核心を引きずり出されるアルバムだったが、今回はミニ・アルバム、トータル7曲なだけに集中した濃厚な世界観に圧倒される。ヘヴィ/ラウドロック的な聴感でありつつ定石から逸脱した「Running Away」。ストレートなTHE BACK HORN節のようでアレンジの細部がこれまで以上に詰められた「儚き獣たち」や「閃光」。痛烈に今を皮肉る歌詞とラガマフィン調がユニークな「がんじがらめ」。記憶や情景という人間らしい感性が取引されているようなSF的なストーリーが「情景泥棒」と「情景泥棒~時空オデッセイ~」の2曲で展開するくだりは本作の核心。悪夢からの帰還とも取れるラストの「光の螺旋」まで一気に聴きたい。
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THE BACK HORN
BEST THE BACK HORN Ⅱ
DISC-1は『覚醒』以降の13のシングル曲とアルバム・リード曲、そして新曲「グローリア」を収録。自分を見つめることで世界は対立項ではないことを音楽的にも実感させる名曲「世界中に花束を」、ファンクやラップへのTBHならではのアプローチがユニークな「コワレモノ」、今の力量で原点を見つめた「悪人」や「その先へ」に至るまでのいい緊張感。そして、そうしたバンドの生き方を踏まえたうえで聴こえてくる「WithYou」や「あなたが待ってる」の優しい説得力は破格。ある種素朴な新曲「グローリア」も新鮮だ。DISC-2は2008年以前の曲からファン投票で選ばれた上位14曲に加え、インディーズ時代からの定番曲「無限の荒野」、ストリングス・アレンジの「泣いている人」の新録も。「扉」、「枝」など隠れた名曲の多さにも驚く。
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THE BACK HORN
孤独を繋いで
思わず拳が上がる曲とはこういう曲をいうのではないだろうか。表題曲は、久々のTHE BACK HORN節100パーセントの骨太なアッパー8ビート・チューン。山田将司(Vo)自身が孤独の中で光を見いだしたロック・スターや、音楽に今のバンドとオーディエンスの姿を重ね合わせるように"今夜だけは俺たちのもの/行こう行こう 途切れぬように"と歌うヴァースは力強くも優しい。Track.2「導火線」は菅波栄純(Gt)らしいおどろおどろしいイントロからAメロでは一転、ファンキーなカッティングと四つ打ちに驚きを隠せない、ライヴでぜひ聴きたい弾けた1曲。松田晋二(Dr)作詞、山田作曲のTrack.3「夏の残像」は、岡峰光舟(Ba)のメロディアスなベースが導く、匂い立つような夏の別れの情景を描き出すマイナー・スロー・チューン。彼ららしい優しさが染みる。
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THE BACK HORN
あなたが待ってる
前作「With You」に続くミディアム・バラードでありつつ、音像はグッと柔らかな今回の「あなたが待ってる」。少しのタメが効いたピアノが物語の道筋を描くように流れながら曲を牽引し、各楽器も必要最低限のフレージングとクリーンなトーンが美しい。どこか初期のNorah Jonesを思わせるジャジーなムードもある。そこに力まず、素直に歌う山田将司(Vo)の"あなたが待ってると思うだけで/もうそれだけであったかい"というフレーズが、聴く人の数だけ様々なイメージを喚起する。共同プロデュースとして参加した宇多田ヒカルの控えめなコーラスも一瞬、個性を光らせるところが強く胸を打つ。カップリングの「始まりの歌」は一転、一筆書き的な勢いのあるバンド・アレンジ。バンドの表現方法として、さらなる可能性が確認できるシングルだ。
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THE BACK HORN
With You
THE BACK HORNの美しいスロー/ミディアム・ナンバーはこれまでもジャンルを超越したところで聴き手を闇から救ってくれた。だが今回はもはや対象をファンに特定することすら無意味なほどの普遍性を湛えている。ピアノやストリングスの音に一切の虚飾がないこと、そして何より山田将司の素朴で素直な声の特性が、大切な人への感謝や覚悟、そして不変の愛を伝える心情を高い純度で届ける。何度も聴くほどに内側からあたたかさが満ちてくると同時に何とも切ない。「言葉にできなくて」のティーンエイジャーの悩める恋心と軽快なスカのリズムも意外ではあるが、これもバンドの軸にあるものだろう。さらに「世界中に花束を」のストリングスを交えて2015年に渋谷公会堂にて行われたライヴの音源も収録。
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THE BACK HORN
運命開花
人間の矛盾や邪悪な部分にあえて手を突っ込んで引きずり出す初期のニュアンスを"投げっぱなし"じゃなく聴かせる。そのことにバンド自身が自覚的且つ客観性を持った強いアルバムが完成した。ジャジーなスウィング感を持ったTrack.1「暗闇でダンスを」の意表を突く幕開け、素のギター・ロック感が彼らには珍しいTrack.4「tonight」、メタリック且つサタニックなギター・ソロが禍々しいTrack.7「胡散」などから、1曲の中で大きく展開するTrack.9「悪人」への流れが非常に早い。山田将司のイノセントなヴォーカルが秘めた狂気を感じさせるTrack.11「君を守る」、そしてアルバムの冒頭とは打って変わって、愚直なまでにファストなビートが爆走する機関車のようなラストの「カナリア」。曲の持つ素性が1回聴いただけで刻まれるアレンジ力の高さにも圧倒される。
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THE BACK HORN
悪人/その先へ
THE BACK HORNが00年代半ばから彼らを追いかけ続けてきたリスナーに与えた影響とは、すなわち"世代感"だった。世代感とは、大義名分を掲げることではなく、むしろ、"何も言い切ることができない"という揺らぎと真摯に向き合うことでしか描けない。THE BACK HORNは、正義と悪――その両極の狭間にある不安定な人間の感情と常に真摯に向き合い続けてきた。「ジョーカー」や「ヘッドフォンチルドレン」といった大名曲を改めて聴けばわかるだろう。そこには揺らぎ続ける僕らの生があった。23枚目となる本シングルにおいて彼らは、そんな自らの表現の本質に再び目を向けている。収録された3曲が、その通底するメッセージにおいて緩やかに繋がっている。それは、人間誰もが内包する普遍的な魂の在り処としての"悪意"と、"愛"である。
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V.A.
Yes,We Love butchers〜Tribute to bloodthirsty butchers〜"The Last Match"
吉村秀樹が亡くなってから1年と1日目にリリースされるトリビュート盤第4弾。あがた森魚(ブッチャーズの射守矢や小松も参加)、the 原爆オナニーズらベテラン、ASIAN KUNG-FU GENERATIONやTHE BACK HORNといったシーンの中核を担う存在、+/−ら海外の盟友、それでも世界が続くならといった若手まで顔を揃えた今回は、シリーズの中でも最も吉村の影響の広範さを証明。ギター・サウンドとフィードバックだけで胸に熱いものがこみ上げるAKGやenvy、合成ボイスや読経のようなリズム感で再構築したASA-CHANG&巡礼や、ピアノをフィーチャーし、生死の狭間を行くようなサイケデリックな祈りの歌へ昇華したGREAT3など、バンド/アーティストがリスペクトの姿勢を究極まで研ぎ澄ましている。
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THE BACK HORN
アサイラム
前アルバム『パルス』から約2年振りにリリースされた待望の8thフル・アルバムの今作は彼らの集大成と言っても過言ではない。山田将司が歌う全ての言葉がどこまでも真っ直ぐ聴く者の意識を貫き、ひとつひとつが限界以上の熱量を放つ強靭な音は"鋭さ" と"柔らかさ"、両極端の色を同時に打ち出す。人間業とは思えないほどの圧倒的な神聖さを感じさせる要因は、確固たる信念を持った4人の心がこれまで以上に強く深くひとつになっているからに他ならないだろう。11 年の歴史でとうとうアサイラム="聖域" を開拓したTHE BACK HORN。アルバムの最後に収録されている「パレード」で高らかに掲げられた"ここから新しい旅を始めよう" という言葉の示す、この先の彼らが創造する世界は如何に――?
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THE BACK HORN
戦う君よ
2月に歌詞集とPV集を発表したばかりのTHE BACK HORNから新曲が届けられた。歌詞集にも限定CDとして収録されていた「コウロギのバイオリン」という新曲が届けられたばかりだが、集大成的な長尺ナンバーだった「コウロギのバイオリン」とは違い今作は即効性の高い攻撃的なロック・ナンバーだ。今年2月から行われている豪華な対バン・ツアー"KYO-MEI大会" では早くも定番になりつつあるという。バンド自体700日振りのニュー・シングルとなる今作からは新たなスタートを切る気合いと決意が感じられる。メンバー4人それぞれが歌詞を担当するという試みも各々の世界観が伝わってきて興味深い。初回限定盤にはライヴ音源も収録されている。
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THE BACK HORN
生と死と詞
THE BACK HORNの歌詞はとても素朴ながらも、体の芯を掴まれる様な感触がある。誰もが感じているけど言えなかった事をストレートに投げかけられる様な誠実さがそこにはある様な気がするのだ。キャリア初となる歌詞集をリリースするTHE BACK HORN。インディーズの頃から今日までの楽曲125曲をメンバー監修のもとに作られたこの歌詞集には新曲「コウロギのバイオリン」が収録されている。バンド史上最長の8分を超えるこの楽曲は、絶望的な気持ちを表現する序盤から徐々に光が射す後半へと1つのストーリーになっていて、まさに彼らの今の集大成と言えるような内容になっている。喉を震わせて「はぐれた心を取り戻しに行く」と歌われる後半はとても感動的で、今後の彼らの決意が見えるようだ。
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androp
effector
『cocoon』以来約3年9ヶ月ぶりのフル・アルバム。タイトル"effector"は、それぞれの曲がなんらかの効果をもたらし、聴く人の生活を変える役割として使われてほしいという想いから付けられた。「Moonlight」や「SuperCar」といった煌びやかでポジティヴな色の曲、ネガティヴな感情も露わにする「Know How」、チルで心地よい「Lonely」など全14曲。揺れ動く時代を生きるなかで誰かに言ってほしかった言葉、大切なことに気づかされる鋭い言葉もあり、希望に溢れた思いにも、誰にも言えずに抱えていた暗い気持ちにも寄り添い、心に響いてくる作品だ。革新的なサウンドで聴き手に衝撃を与え続けてきた近年のandropを総括する内容でもあり、2021年必聴の名盤と言っていいはず。
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androp
Koi
前作『daily』から約2ヶ月ぶりのリリースとなる今作は、高橋一生と川口春奈のダブル主演映画"九月の恋と出会うまで"の主題歌を表題に据えたシングル。映画の登場人物たちのまっすぐな想いに背中を押されて完成させたという表題曲「Koi」は、一途な恋心をストレートに描き、大切な人への強い想いを歌い上げたドラマチックなラヴ・ソングだ。彼らがこれほど王道なラヴ・ソングを作るのは意外だったが、もし作るとしたらこんなふうに、どこまでも純粋で嘘偽りのない恋を映し出すのだろうと思っていた。カップリングの「For you」は、日本郵便"ゆうパック"のタイアップ・ソング。ダンサブルでエレクトロな横ノリの打ち込みサウンドは、常に挑戦を続ける彼らの最新型とも言えそうだ。
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androp
daily
デビュー10周年イヤーに突入したandropの新作。前シングル「Hikari」も含めた今作には、節目を迎えるに相応しい6曲が揃った。R&Bの雰囲気を感じられる「Blue Nude」とリラックスしたテンポのダンス・ナンバー「Saturday Night Apollo」は、これまでにない新機軸。ストレートな言葉を紡ぎ、切ない愛を揺れるブランコに重ねたバラード「Blanco」では、ノスタルジックなメロディに胸がきゅっと締めつけられる。アルバム最後に収録されたリード曲「Home」は、大切な人に向けて伝えたいことが詰まった温かい曲。タイトルのとおり、きっと聴く人の心の拠りどころになるだろう。全体的にBPMを抑え、よりメロディを強めた、心に染みる楽曲が並んだ傑作。
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androp
Hikari
表題曲は、フジテレビ系のメディカル・ヒューマン・ドラマ"グッド・ドクター"の主題歌。サウンドはピアノやストリングスが主体となって繊細さや彩りを表現し、ギター、ベース、ドラムは一歩下がったアレンジながらも、メリハリとダイナミクスをつけて楽曲に表情を与えている。透明度の高い内澤崇仁(Vo/Gt)の歌声は、ひとつひとつの歌詞を時に優しく時に力強く、そして大切に紡いでいく。暗いトンネルを進んだ先に見えるような希望を思わせる優しい"光"を描くこの曲は、感動的な人間ドラマを描き上げる"グッド・ドクター"との親和性もばっちりだ。c/wには、よりシンプルなアレンジで内澤の心地よい歌声をじっくりと味わえる表題曲の"piano TV ver."と、2018年6月に行われたライヴの音源を早くも収録。
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androp
Joker
2018年のリリース第1弾に相応しく、新たなサウンドを大胆にアピールするニュー・シングル。映画"伊藤くん A to E"の主題歌でもある表題曲は、演奏そのものは疾走感に満ちたものながら、シンセ・サウンドとダンス・ビートを加えたところにバンドの新たな方向性が感じられる。アンセミックに作り上げながらも、耳に刺激的な音色が、歌に込められた必死の想いをさらに強いものにしている。一方、c/wの「Ao」はホーンやグロッケンシュピールが賑やかに鳴るオーケストラルなポップ・ナンバー。初めの一歩を踏み出す勇気を華やかなサウンドが祝福。ここしばらく生音のバンド・サウンドを追求していたandropは、新たな挑戦に取り組み始めたようだ。この2曲がリスナーに期待させるものはかなり大きい。
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androp
SOS! feat. Creepy Nuts
話題のヒップホップ・ユニット、Creepy Nutsとandropがともに作り上げた(アンチ)サマー・アンセム。2016年10月にリリースした『blue』で人間のダーク・サイドに対峙したあのandropがと考えると、その振り幅に驚かされるが、レゲエに挑んだ「Sunrise Sunset」も含め、音楽的な収穫はかなり大きい。アンセミックなサビは彼ららしいと言えるものだが、R-指定によるラップ・パートはDJ松永にトラックメイキングを任せたことで、andropはこれまでにないファンキーな演奏にチャレンジ。映画"2001年宇宙の旅"で有名な「ツァラトゥストラはかく語りき」のフレーズをサンプリングするという初めての試みとともに、今回の収穫が今後の曲作りにどう反映されるかが楽しみだ。
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androp
Prism
前回のリリースから7ヶ月ぶりとなるニュー・シングル。その前作『blue』で人間のダーク・サイドと対峙することに振り切ったandropが、表題曲では再び煌めきに満ちた未来を歌い上げている。何かが大きく変わったわけではないが、それでもどこか新しいと感じられるのは、演奏から芯の強さが感じられるからだろうか。内澤崇仁(Vo/Gt)によるゆったりとした歌も聴きどころだ。その他、前へ前へと突き進む演奏が焦燥感を駆り立てる「Ryusei」(ギターがUKネオサイケっぽい!)、映画"君と100回目の恋"の挿入歌「BGM」(シングル・バージョン)も収録。弾き語りで始まるフォーキーなバラードと思わせ、バンド・サウンドが加わる「BGM」は、マーチ風の演奏が面白い。3曲共にギターがキラキラと鳴る。
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androp
blue
第1章の完結編だった『androp』から1年2ヶ月。第2章のスタートを印象づけるため、意識的に変化を求めながら作ったという6曲を収録したアルバム。ポスト・ロック、ダブステップ、シューゲイザーといった海外の先鋭的なサウンドを、日本語のギター・ロックに取り入れるという意味では彼ららしいと言えるものの、これまであえて描いてこなかった闇や人間の黒い部分を抉り出したような歌詞に挑んだうえで、これまで以上にライヴを意識したサウンドを求めたせいか、ナイーヴなバンドというイメージも含め、バンドの印象はここからかなり変わっていきそうだ。しかし、それもandrop。変化したというよりは、これまで時折、見せながら隠し持っていた牙をさらに研ぎ澄ましてきたといった方が正しいかもしれない。
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androp
androp
キラキラしたサウンドと爽やかなメロディの組み合わせが炭酸飲料のCMソングに相応しいTrack.1「Yeah! Yeah! Yeah!」でこれまで通りandropらしさを印象づけてからは意外性と驚きの連続の4thフル・アルバム。これまで避けてきたというリフを軸にしたアレンジやフュージョンの影響も取り入れながら、彼らがここでアピールしているのは、格段に幅が広がったandropらしさだ。音の作り方や音の録り方にこだわりながら、そこから浮かび上がる、ぐーんと骨太になったバンド・サウンドも聴きどころ。精力的にライヴを重ねてきた成果だろう。結果、打ち込みのサウンドの比重は減り、ラストの「You Make Me」もシンセをバキバキ鳴らしながらSKRILLEXも真っ青のダブステップ・サウンドに人力で挑む!
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androp
Ghost
フジテレビ系のドラマ"ゴーストライター"の主題歌「Ghost」に「Answer」と表題曲の"strings version"をカップリングした7ヶ月ぶりのニュー・シングル。「Ghost」はアンセミックだった前作「Shout」から一転、ピアノのループとストリングスも使って、メランコリックに仕上げながらドラムの音色を強調した音作りがダブステップを思わせるなど、ありがちなバラードで終わらせないところがサウンド・メイキングにも意欲的に取り組んできたandropならでは。一方、「Answer」はandropが同時に生粋のライヴ・バンドでもあることをアピールするラウドロック・ナンバー。メンバー4人が取っ組み合うような激しい演奏は文句なしにかっこいい。両極端な2曲がバンドの魅力をダイナミックに描き出す聴き応え満点のシングルだ。
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androp
Shout
1万人の大観衆を熱狂させた国立代々木競技場公演から約5ヶ月。andropが完成させた5thシングル。自分たちの音楽を、もっともっと多くの人たちに叫んででも届けたいという想いを、ギミックを使わずに生身のバンド・サウンドで表現した「Shout」「Run」「Alternative Summer」の計3曲を収録。TVドラマ"家族狩り"の主題歌でもある表題曲はアコースティック・ギターの弾き語りバラードと思わせ、バンド・サウンドに転じるアレンジが、よけいな音を削ぎ落としたうえで4人だけの音をストイックに追求したバンドの姿をダイナミックに描き出す。サンバ調のリズムが新しい「Run」、変拍子で観客をノセることに挑んだ「Alternative Summer」はともに新たなライヴ・アンセムの誕生を予感させる。
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androp
period
"これがandrop"とメンバーが胸を張る3rdフル・アルバム。ライヴ・アンセムの「Voice」、壮絶な想いを歌ったバラードの「Missing」といったシングルも収録。それらがエレクトロも使う現代のギター・ロック・バンドという従来のandrop像を印象づける一方で、ヘヴィ・ロック、シンセ・パンク、ジャンク・ロック、ジャズといった意外性の連続とも言える曲の数々がバンドの劇的な進化をアピールしている。そういう、ある意味過激な試みが決して内向きにならず、前作よりも前向きかつオープンマインドに感じられるのは、ライヴでファンのみんなと分かち合うことを意識した結果。ハイトーン・ヴォイスで歌うandrop節とも言える美しいメロディはもちろん健在。前作からわずか1年3ヶ月。彼らはものすごいスピードで進化を遂げている。
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androp
Missing
シングルにバラードを選ぶなんてちょっと意表を突かれた。しかし、考えてみれば、バラードも確かにandropの持ち味の1つ。美しいメロディと胸を締めつけるような歌の世界観を生かすことを考えた正攻法のアレンジながら、弾き語りがダイナミックなバンド・サウンドに変化する展開はまさにドラマチック。サビで聴かせる今にも壊れそうな心を表現したような内澤崇仁(Vo/Gt)のファルセットも聴きどころだ。因みに北川景子と深田恭子がW主演するホラー映画『ルームメイト』の主題歌でもある(ちょっと意外?!)。カップリングの「Melody」はエレクトロニックな音色も使ったトリッキーなアレンジを閃かせるandrop流ダンス・ナンバー。新たなライヴ・アンセムになりそうな予感。ぜひライヴで聴いてみたい。
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androp
Voice
androp史上最もアンセム度の高い名曲が誕生した。androp節を思わせながら、シンガロング必至の"オー、オー"というコーラスの効果なのか、どこまでもオープンな印象がある。高揚した気持ちが曲とともに大空へ舞い上がって行くような感覚が心地いい。ぜひ、これはライヴで聴いてみたい。だからって、単純にライヴのサウンドをスタジオで再現したわけではない。彼らがこれまで追求してきたダンサブルなサウンドとオーガニックなバンド・サウンドを巧みに掛け合わせ、アンセミックに昇華させた斬新なサウンド・プロダクションにも耳を傾けたい。カップリングの「UtaUtai no Karasu」はモダンなR&Bの影響も窺えるアコースティック・バラード。「Echo Boy」はアコギの弾き語りナンバー。「Voice」をはじめ、それぞれに違った魅力が楽しめる3曲が収録されている。
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androp
one and zero
今年リリースした2枚のシングルの収録曲も含む全15曲を収録した2ndフル・アルバム。自分の音楽生命を賭けてもいいとメンバーが語る作品に対して、こんなふうに言うのはちょっと気が引けるのだが、2枚のシングルで印象づけた野心的なサウンド・アプローチをさらに推し進めたことを思わせる曲の数々を聴くことは、音楽ファンにとって至福以外の何物でもない。andropらしいナイーヴなギター・ロックとバラードに加わったニュー・ウェイヴやエレクトロニカの手法を使った曲は、コアな音楽ファンにもアピールするに違いない。その一方ではTHE BEATLESにまで遡ることができるパワー・ポップやアコースティック・ギターの弾き語りも披露。そういう多彩な曲をひとつのイメージにまとめる美しいメロディと歌声こそがandropの真骨頂。初回限定盤に付くLIVE DVDには今年3月31日に行われたワンマン・ライヴの映像が7曲収録されている。
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androp
Boohoo / AM0:40 / Waltz
前回の両A面シングルに続いて、シングルというフォーマットを、巧みに自分たちの表現の手段、あるいは一貫した流れに取り入れたことを窺わせるtriple A-side single。光の三原色というテーマの下、ダンス・ミュージックにアプローチしつつ、バンドが新たにアグレッシヴなサウンドを手に入れたことをアピールする「Boohoo」、疾走感が痛快な「AM0:40」、ノスタルジックなアコースティック・ナンバーの「Waltz」というそれぞれに印象的な3曲を収録。バンドの最新モードを表現した3曲とのことだが、劇的に進化を遂げているandropの一瞬を切り取った3曲と受け止めるべきなのだろう。ナイーヴな歌を支える思いの外、強靭なバンド・サウンドも大きな聴きどころだ。
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androp
World.Words.Lights. / You
昨年9月にリリースした1st full album『relight』が現在も売れつづけている4人組、andropによる2012年のリリース第1弾は、バンド初のシングルだ。浮遊感あふれるピアノをフィーチュアしたダンス・ナンバーの「World.Words.Lights.」とドラムが暴れまわるアグレッシヴなギター・ロック・ナンバーの「You」。印象があまりにも対照的な両A面扱いの2曲は、そもそもは1曲になるはずだったというところがおもしろい。そのせいか、くり返し聴いていると、全然違う2曲が1つに溶け合うような錯覚にとらわれる。同時リリースの1st DVD『LIVE DVD "angstrom 0.3 pm" @SHIBUYA-AX』は、昨年5月28日のSHIBUYA-AX公演を収録。映像と照明を駆使した彼らのライヴの魅力を堪能できる。演奏の熱気をストレートに伝える映像も見ごたえあり。
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ストレイテナー
Braver
昨年10月より、バンド結成20周年/メジャー・デビュー15周年のアニバーサリー・イヤーとして、リリースやツアーなど様々な形で精力的に発信してきたストレイテナー。そんな彼らが、7月より放送開始したTVアニメ"アンゴルモア元寇合戦記"のOPテーマを書き下ろした。その名も"Braver"。大陸の覇者であるモンゴル帝国の襲来に立ち向かう、対馬の兵士を描いた物語に相応しく、前向きで力強いナンバーだ。エモーショナルなピアノの旋律からは、根底にある悲哀や乗り越えてきた涙が見えるし、ズシリとくるリズム・パートは歩みを止めない勇気、あるいは命の音か。ホリエアツシ(Vo/Gt/Pf)が長崎出身ということもあり、同作と自身のバンドとしての闘いを重ね合わせた、その絶妙な化学反応が深い世界観を示している。
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ストレイテナー
Future Soundtrack
結成20周年、メジャー・デビュー15周年、現在の4人になって10年。閉塞感や同調圧力に押しつぶされそうな現在に、ニヒリズムの欠片もなく、人間の心根にある愛を呼び覚ますような作品を完成させたことに感謝したい。序盤、スローなBPMと選び抜かれた少ない音数の「Future Dance」、歌詞の符割りやビートにダブステップからのリファレンスを感じる「タイムリープ」などで新鮮なリズムへのアプローチを実感。暖かくて身近な恋愛や、他者への感情が瑞々しい「Boy Friend」、秦 基博との共作「灯り」や「もうすぐきみの名前を呼ぶ」の心洗われる響きも、今の彼らだからリラックスして表現できる内容なのかもしれない。キャリアを重ねるほど音楽的な自由を獲得し柔軟になる。日本のバンドが切り拓く新境地。
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V.A.
PAUSE~STRAIGHTENER Tribute Album~
すでにiTunesチャート1位を獲得するなど、各所で高い評価を得ている本作。ASIANKUNG-FU GENERATION、ACIDMAN、THE BACK HORN、MONOEYESら、同世代で約20年をともに戦い抜いてきたバンドはオリジナルに近いアレンジで消化。また後輩であるgo!go!vanillasは定番曲「KILLER TUNE」をカントリー&ロカなニュアンスでガラッと変貌させ、原曲の持つ色気をヴォーカルの牧 達弥が表現しているのが頼もしいし、My Hair is Badもこれまた定番曲「REMINDER」のBPMを高速化し、Aメロの歌詞に椎木知仁(Gt/Vo)お得意の吐き出すような言葉の弾丸を歌詞として追加し、成立させているのも見事。テナーのファンであるほど、参加者の愛情を感じられる素晴らしい解釈の集合体だ。
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ストレイテナー
COLD DISC
結成18年目を迎えるストレイテナー、シングル4曲を含めた9枚目。アコースティック・アルバム、ベスト盤を経た前作『Behind The Scene』を踏まえ、辿り着いた今作は、"どんなアプローチでも自分の音楽になる"という自負を携えた、闇や悩みのない快活な曲が揃った。「原色」、「シーグラス」の冒頭2曲に代表される"ホリエ印"とも言える地底から突き上げるようなメロディには、現体制になって初のアルバムである『NEXUS』(2009年リリース)を思わせる全方位に向けた強度がある。一方で現代ディスコ・サウンドのフォーマットに則った「Alternative Dancer」や、ラストの「覚星」ではチルウェイヴ/ドリーム・ポップへの視座を見せるなど、新たな一面も十分だが、すべて日本のロック・バンドとして耐久性のあるサウンドへ帰着させている点が頼もしい。
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ストレイテナー
Behind The Scene
幕開きから新たなフェイズに思いっきり覚醒させられる。"悲しくも美しい世界"から"クソったれ新世界"(「Asshole New World」)の中をタフに生きる今のストレイテナーの狼煙が上がる。そして高いスキルとアンサンブルを高め、研ぎ澄ませながらも難解さを纏わないのはこのバンドの意志とも受け取れる。パッと聴き90年代から続くオルタナティヴ・バンドのベーシックなコード感やアレンジでありながら、そこここに未来を感じさせる高等戦術こそがストレイテナーの本懐なのだろう。「The World Record」など序盤で疾走し、架空の都市にワープするような曲群を経て、ホリエアツシのメロディのイマジネーションが際立つ「翌る日のピエロ」など聴き手の深いところへ降りてゆく楽曲まで。豊富になった語彙が紡ぐSF的な世界観にも注目。
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V.A.
NANO-MUGEN COMPILATION 2014
このコンピの充実度は毎年計り知れないが、今回はASIANKUNG-FU GENERATIONの新曲「スタンダード」を聴くだけでも相当、価値ある1枚。ゴッチ自身が"これは先の都知事選についての歌"と明言しているが、何も変わらないと諦めたら非難の対象と同化してしまう。愚直なまでに続けること、そしてバンドのイメージを引き受けるとはどういうことか?まで応えた1曲だ。文字数の半分をAKG新曲に費やしてしまったが、今年はユニコーンやスカパラなどベテランから、KANA-BOON、グッドモーニングアメリカら新鋭、くるりやストレイテナーらAKG同世代まで縦横無尽な出演者が揃うわけで、このコンピも自ずとその厚みや充実感を体感できる。お得感で言えばくるりの未音源化楽曲や、ストレイテナーの新曲収録も嬉しい。
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ストレイテナー
ETERNAL ROCK BAND -21st CENTURY ROCK BAND TOUR 2013-
2013年にメジャー・デビュー10周年を記念して開催された47都道府県ツアー"21st CENTURY ROCK BAND TOUR"のライヴ&ドキュメンタリーDVD。メンバーが撮影した映像も多く含まれ、約7ヶ月に渡る全52公演の様子が2枚のディスクで堪能できる。ライヴ映像だけでなく楽屋やその土地土地での観光の様子、ツアーの合間に行われたMV撮影の様子なども収録しており、見ている側もバンドのクルーになり共に旅をしているような感覚だ。セミ・ファイナル新木場STUDIO COASTでの選りすぐりのライヴ映像は、熟練した硬派なパフォーマンスに魅了される。日本全国どの箇所でも4人を迎えたのは、満面の笑みのファンたち。バンドが強く愛され続けていることを再確認した。
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ストレイテナー
Resplendent
デビュー10周年の全都道府県ツアーを折り返したストレイテナーから届いた新しい作品には、タイトルが意味する"輝き、まばゆさ"を、2013年の今、解釈した音像やテーマが溢れている。ギター・リフとベース・ラインがチェイスするイントロが、旅の最中にいるような「シンデレラソング」。未だ真夏の季節にあって厳冬の風に向かうような音像が彼ららしい。他にもテナー節炸裂なアンサンブルに、間接的な表現だが、まだ何も解決していない3.11以降の現実をなきものにしようとする風潮への怒りが滲む「SCARLET STARLET」、ホリエのトーキング・スタイルのヴォーカルや日向のスラップも新しい骨組みで構築され、架空の民族のトライヴァル・ミュージックを想起させる「BLACK DYED」など全5曲。タフに目を開けて空想するテナーの新境地。
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ストレイテナー
SOFT
ストレイテナー初となるアコースティック・アルバム。2012年3月に行ったライヴ・レコーディング楽曲に加え、スタジオ録音の楽曲を収録している。テナーをずっと聴き続けてきたコアなファンはもちろん、そうではないライトなリスナーにも聴きやすいシンプルなアレンジに仕上がっている。アコースティックになって更に際立つのはやはり透き通って伸びやかなホリエアツシの歌声だ。わざわざ素晴らしい彼の声については特記しなくてもとも思うのだが、やっぱり聴いてしまったら書かずにはいられない。リリース順に並べられた楽曲。最前線で活動し続けてきたバンドだからこそのライヴ・レコーディングとは思えないほどのクオリティ。デビュー10周年を目前にして築き上げられた、もう1つのテナーの歴史を楽しんでほしい。
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Omoinotake
- 0:47
- 2017.08.01
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