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COLUMN

WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.6

2015年09月号掲載

WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.6

Vol:6 花火について考える

甲子園が終わると夏もそろそろ終わり、なんて予感はまるで無い、
僕らにとっては暑い熱い夏フェス真っ只中。
先日、サマーソニックに出演したのだが、出演アーティストは勿論の事、ビーチで見た花火の余韻が未だ消えないのである。

一瞬の輝き、消える芸術。
人生は花のようであると花火師たちは悟るが、そのパフォーマンスはステージ上の僕らと一緒だと、くたびれた砂浜を歩きながらふと思っていた。

例えばそれは、居酒屋の〆でお茶漬けを食べた後の何ともほっこりとした満足感に駆られたような感覚みたく安易なものではない。
飲み込んだ過去が逆流を始めるように静かに湧き上がってくる。
こぼれた笑顔と同時にその胸に秘められた儚さに触れた時、
あぁ何とも愛おしく思えるのだろう。

以前、すべての芸能のベースには、
リズムがあるという記事を読んだ事があったが、
まさしくそのひとつの完成形が花火であると自分は思う。
"ひゅー"という日本の花火独特の"間"によって生み出される期待感から、夜空に照らし出されるまでのテンポが何ともリズミカルで気持ちが良いのだ。

例えばこれを曲中に置き換えてみても、
サビに向かうまでに期待感を煽る一種の間を用意する事は多々あっても、
それが長過ぎたり、もしくは展開を裏切れば当然ピンと来なかったり、飽きてしまったりするのと同じで、重要なのは適度な尺と、テンポの良さである事がわかる。

そして、花火と花火師の関係性のようにリズムそのものの気持ち良さに演者側が快楽を見出す事もまた重要で、
リズムに対して情熱や快楽性が生まれれば、自然と発する歌の譜割りや歌い方そのものに強固な絡み合いが生まれ、曲全体の良いバランス、強いては結果的に与える気持ち良さの増幅につながると思うのだ。

なんて、そんな事を花火に教えて貰いながら、また沢山の人たちと気持ち良さをシェアしたいなと、残されたフェスに思いを馳せるある夏の夜の事なのでした。


それにしても、ビーチステージの面子ヤバかったなぁ......

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