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DISC REVIEW

Y

Night People

YOU ME AT SIX

Night People

UKを代表するライヴ・バンド YOU ME AT SIXの新作。ここ数年は、すっかりパンク色が薄れて成熟したロック・サウンドになった印象だが、実はまだ20代半ばという若さに驚きだ。もちろんパンク色が薄れたと言っても決してライトな音になったわけではなく、むしろ重厚感は増して、タフさと繊細であたたかいハートを兼ね備えた大人のロックという印象。ダンス・ミュージック仕立てにしたり、オーケストレーションで飾り立てたりせずに、一貫して"ロック"であることに軸を置いた、シンプルでありながらも胸を打つメロディや、UKらしいギター・サウンドを引き立てるアレンジも好感度が高い。UKロック好きだけでなく、"すっかりUKロック離れしちゃって邦ロックばかり聴いてる"っていう人にこそ聴いてほしい作品。

Wake Up

YOUNGBLOOD HAWKE

Wake Up

ダンサンブルかつエレポップなサウンドで現代のサンシャイン・ポップスを奏でるロサンゼルスの5人組、YOUNGBLOOD HAWKE。きらびやかなシンセの音色やディスコ・ビートもさることながら、男女ヴォーカルの掛け合い、爽やかなハーモニー、そしてキャンプ・ファイアーを思わせる合唱を聴いていると、サウンドこそ違えど、彼らもまたフォーク・ブームの延長上で盛り上がるネオ・ヒッピー・ムーヴメントにリンクする存在と思わずにいられない。そんな根アカ......いや、ライヴの熱狂が目に浮かぶアンセミックなサウンドが歓迎され、このデビュー・アルバムはアメリカでスマッシュ・ヒットを記録。これは究極のオプティミズムか、それとも現実逃避か?! ともあれ、このタイプのバンドはまだまだ増えそうな予感。

Between Places

YOUNG DREAMS

Between Places

KINGS OF CONVENIENCEのErlend Øyeとスタジオを建設したり、日本でもRAZIKAらのプロデュースを手掛けているノルウェーの天才、Matias Tellez率いるドリーム・ポップ・バンド、YOUNG DREAMSの傑作がついに日本でもリリース。ドリーム・ポップと言えど、USやUKのそれとはまた違った、美しいハーモニーとフレッシュで透明感のあるサウンドは北欧ミュージックならではと言えるだろう。シンフォニックかと思いきやダンサブルになったりと、その表情は幼い子どもの様にコロコロと変化し、まるで映画のサウンドトラックの様。ノルウェーの冷たく澄んだ空気が、あたかも自分の肌に触れている感覚さえ覚える。ボーナス・トラックとして収録される5曲も楽しみである。

We Are The Lost Lovers

YOUNG HERETICS

We Are The Lost Lovers

憂いを帯びた美しいピアノ、双子のようにお互いに寄り添うKittyとMattのツイン・ヴォーカル、歪んだギター、冷たく響く硬質なビート。デビュー作でありながら、ジャンルを語るのが馬鹿らしくなるほど卓越した表現力は脅威的だ。“破滅的ポップ”とはまさしく彼らの音楽を表現するど真ん中の言葉である。物心ついた頃から共作を行っている2人。共に大人になって見えてきたこと、大人になっても絶対に捨てたくないもの。彼らの音楽にはこの2つが葛藤している。9曲目のタイトルである「010100110100111101010011」は沈没船から送られるモールスコードで“SOS”の意。大切なものたちが無下に扱われる悲しい現実。無邪気で純粋な心は涙を流しながら、大切なもののために戦い続ける。

more than TV

younGSounds

more than TV

2007年にライヴ活動を開始。モリカワアツシ(Vo) 、やけのはら(sampler&rap)、竹久 圏(Gt)、柿沼 実(Dr)、中尾憲太郎(Ba)、miesha(Key&Cho)という豪華メンバーで構成されるyounGSoundsから、待望の1stアルバムがリリース。様々な音楽性を持つ個性的な6人が作り上げる音楽は、パンク・テイストもあればハードコアもあり、ラップあり、ファンクだったりガレージだったり民謡テイストだったり……ジャンルを絞るのは困難だ。だが、ジャンルなんてどうでもよくなるほどどの曲も超ゴキゲン! 1曲の中でのサウンド展開は驚きを隠せないが、それがちゃんと曲として成立しているところも驚き&お見事。どの曲も極めてシンプル、そんなところもキャッチーだ。

Young Statues

YOUNG STATUES

Young Statues

ギター・ポップ/ロックは大好きだったけど、最近はあんまり聴かなくなったなあなんていう人は、これを聴いたら昔のことを思い出すかもしれない。バンドをやっていた人だったら、初めて楽器に触れたときのことを思い出すかもしれない。少年と呼ばれていた頃のことを思い出させる雰囲気がある。シンガー・ソングライターのCarmen Cirignanoを中心とした5人組バンドのデビュー・アルバムに詰め込まれているのはそんな音楽だ。ギター・ポップ/ロックのど真ん中を行くサウンドが展開されている。軽く歪ませていたり、フォーキーであったりするギターが軽快に走り、すっきりと甘いメロディが風のように流れていく。思わず青春という言葉を使いたくなってしまう清々しい風を吹かせる作品。

Mirror Master

YOUNG THE GIANT

Mirror Master

レーベルをElektra Recordsに移籍しての4thアルバム。テン年代初期には「Cough Syrup」がドラマ"Glee"で使用されたことが話題になった彼ら。だがそれ以上に、メンバーが様々なバックボーンを持ちつつ、オレンジカウンティ出身という、インディー・ロックの中でも多様性を孕む要因を内包していることが魅力だ。本作では、ヒップホップのビート感の、生音でのシャープな解釈が全編に敷かれ、「Superposition」ではその上をマンドリン風の弦が、「Brother's Keeper」ではメランコリックなコーラスがセンシュアルに響く。西海岸のドライなサイケデリアもUK的なメランコリーも味わえるオリジナリティを持ったバンドに成長した印象だ。

Home Of The Strange

YOUNG THE GIANT

Home Of The Strange

"American Idol"、"Glee"といった人気テレビ番組に曲が使われ、注目を集め始めたカリフォルニア州オレンジ・カウンティの5人組が全米7位を記録した『Mind Over Matter』から約2年半ぶりにリリースした3作目のアルバム。にわかにはアメリカのバンドとは信じられないニュー・ウェーヴ・サウンドが彼らの身上だが、DURAN DURANを連想させるファンキーなTrack.9「Art Exhibit」を始め、80sリバイバルを基調にしながら、それだけに収まらない奇矯なアレンジを絶妙に織り交ぜ、彼らならではのユニークさをアピールしている。ウッ、ハッという掛け声がクセになるTrack.2「Something To Believe In」などは、ある意味キャッチーと言ってもいい魅力が感じられる。

Young Wonder + Show Your Teeth

YOUNG WONDER

Young Wonder + Show Your Teeth

エレクトロ・デュオといっても特段、難しいところはなく、ポスト・ダブステップ、チルウェイヴ、ドリーム・ポップというような昨今流行の音楽ジャンルを通過しつつも、ロック・ミュージックの方法論をコード・ワークや、アレンジ等の曲作りの核に利用した、非常にポップな仕上がり。しかしながら、コンピューター・ミュージックにありがちな、音源とエフェクトを弄ってたら出来ちゃいました、というような安易さはなく、サンプリングやヴォイス・コラージュ、サウンド・エフェクトなど楽曲の細かい部分まで、ディテールをこだわりにこだわり抜いている。THE AVALANCHESやBjorkのような先鋭的なセンスと音楽マニアっぷりを兼ね備えた先達のように、自らのポップネスをしっかりとコントロールしていることがわかる

Delight

Youplus

Delight

元アンジュルムの中西香菜、元乃木坂46の川後陽菜、元モーニング娘。の尾形春水、元フェアリーズの林田真尋、アイドル・グループのOGのみで結成された新たなガールズ・グループ Youplusの新作。"出逢いの歓び"について歌う表題曲は、次々に展開されるエモーショナルなメロディが聴きどころの1曲。中西を起点とした出逢いや巡り合わせで結成されたこのグループだけに、その歌唱には重みがある。カップリングの林田真尋ソロ歌唱曲「ぼくたちの失敗」は、SEKAI NO OWARIのグローバル・プロジェクト"End of the World"の総合プロデューサー/クリエィティヴ・ディレクターでもある、Youplusプロデューサーの和田直希による作詞作曲。透明感のある彼女の歌声が心に染み渡る。

Between Illness & Migration

YOUR FAVORITE ENEMIES

Between Illness & Migration

キャリア初のフル・レングス・アルバム。タイトなボトムのいかにもエモ/オルタナティヴ・ロックでありつつ、全編を悲しみ、慈しみが漂う物語性の高い仕上がり。日本人女性の語りを導入した「A view from within」、シューゲイザーやポストパンク寄りのサウンドが聴ける「I Just Want You To Know」、ピアノのフレーズが祈りのように響く「Little Sister」、カオティックなフィードバック・ギターとノイズの中を様々な言語が行きかう「Muet aux Temps des Amour」など、全曲マイナーキーでダークだが曲の求心力が、単に“ダークなエモ”で終わらない強さをかもし出す。洋楽好きはもちろん、the HIATUSやONE OK ROCKなど日本の高次元な雑食系バンドが好きなリスナーにもおすすめしたい世界観。

TEENAGE RIOT

your gold, my pink

TEENAGE RIOT

“思い出してごらん。真夜中の子供部屋にはピーターパンがやってくると夢見ていた頃、妖精の埃を一振りすれば空を飛べると信じていた頃を”――この作品はそう語っているようだ。子供部屋を卒業したくないウェンディ、大人になりたくない少女は、永遠の子供ピーターとネバーランドへ飛んで行ったんだ――。your gold,my pinkが作り上げた、甘酸っぱくもナイーヴなファースト・ストーリー『TEENAGE RIOT』。少年少女が大人へと成長してゆく中で、最も美しかった瞬間。それは少女の頃に終わりがあるのだと知り、絶望する時である。例えば、映画『ヴァージン・スーサイズ』で描かれた少女たちだけの秘めたる聖域も、やがて全て失われ消えていくように。少女はそれを拒むだろう。だが皮肉にも、覚醒を自覚してしまった瞬間こそが最も美しい。

pray

your gold, my pink

pray

結成2年足らずでSUMMER SONIC出演を果たすなど、注目を集める大型新人your gold, my pinkから早くも2枚目のミニ・アルバムが登場。デビュー・ミニ・アルバムから9ヶ月というスパンで届けられた今作は、前作にあったカラフルなポップネスを引き継ぎつつもとても軽やかな作品になった。トロピカルなリズムを取り入れた爽やかな名曲「Froth On The Daydream」を始め新たな展開も見せつつ進む今作はさまざまなジャンルを横断しながら、個性的なツイン・ヴォーカルで駆け抜けてゆく。疾走感ある楽曲が揃っている事も今作のポイントの一つだろう。とにかくこの短時間でこんな完成度の高い作品を作り上げて来たことが彼らの凄さを物語っていると思う。

parade

your gold, my pink

parade

今年の6月にVOLA&THE ORIENTAL MACHINEのオープニング・アクトを務め、今年の夏のSUMMER SONIC09にも大抜擢された事で一躍注目を集めた大阪出身の4ピース・バンドの1st ミニ・アルバム。ポップなサウンドと頼りなげで甘いツイン・ヴォーカルがとても印象的。本人達もルーツに上げる様にUSインディの遊び心とガチャガチャした疾走感がとても心地いい。結成1年半というスピードで駆け上がってきた彼らだが、それを感じさせないほど今作はクオリティが高くカラフルな彼らの魅力がたっぷりと詰まった一枚。そして年末のCOUNTDOWN JAPANにも出演が決定。この爆発力あるパーティー・サウンドは是非ともライヴで体験してみたい。

BUSINESS

YOUR ROMANCE

BUSINESS

結成してわずか1年足らずという、ツイン・ヴォーカルのInui(Vo/Gt)とShinji(Vo/Syn) を中心に活動する5人組ロック・バンドの1stミニ・アルバム。バンド名の"YOUR ROMANCE"が示す通り、どこからどう聴いても懐かしさを感じるのは筆者の年齢もあるのだが、完全に狙い撃ちのオールドなニュー・ウェイヴ感(言葉がおかしいですが!)で統一されている。「Kids」「Ginza」といったクールでノリの良いポップスは決して欧米の音楽の焼き直しには聴こえないが、かといって純J-POPでもない。全般英詞ということもあるが、どことなく無国籍感が漂っているのだ。このミニ・アルバムを80'sレトロなサウンドとして聴くのか新たな若手シティ・ポップ・バンド登場として聴くかはやっぱり世代によるのではないでしょうか。

OUT

YOUR SONG IS GOOD

OUT

YOUR SONG IS GOODが活動15周年という節目にリリースする5thアルバムは、前作『B.A.N.D.』以来3年8ヶ月ぶりの新作。全曲インストゥルメンタルの8曲は、スカのようでスカじゃなかったり、レゲエのような顔もあれば、ソウルでありファンクのようなカリプソのようでもありクラブ・ミュージックで......とジャンルの隔たりは更に曖昧に。だが全曲に共通しているのは否が応でも体が動いてしまうダンス・ミュージックということ。どの楽器も軽やかで踊りやすいアプローチを仕掛け、オルガンや電子ピアノ、松井泉(ex.bonobos)のパーカッションも相まってどことなく民族音楽を彷彿させる自由奔放さだ。既成概念にとらわれないそのスタイルはより強く本能的な部分を刺激。肩の力を抜いて理屈抜きで楽しめる。

B.A.N.D

YOUR SONG IS GOOD

B.A.N.D

エネルギッシュなインストで人気を集めるYOUR SONG IS GOODの4枚目のアルバムが到着。アナログ・レコーディングを行ったという本作は、これまで以上に濃いものが出まくっている。雑多な要素をアグレッシヴな人力ダンス・ミュージックに変換するYSIGスタイルがさらに奔放に。冒頭を飾るタイトル・トラック「B.A.N.D」からして、強烈にアグレッシヴなドライヴ感満載のロックンロール。さらにトロピカルなグルーヴにファンキーなギターが絡む「DECK O TRACK 」、ラテンとスカが合わさったようなノリの「FIGHT BACK! FIGHT BACK! FIGHT BACK!」、和を強烈に感じさせる「ONIROKU」など、どこを切ってもYSIGが放つ濃厚なグルーヴが縦横無尽に溢れ出ている強力盤。

as you are

YOU SAID SOMETHING

as you are

新メンバー加入とパート・チェンジを経て、現体制初の全国流通作品。前作との大きな違いは、シンセサイザーやアコースティック・ギターなどを取り入れたカラフルなサウンド。自分たちの好奇心に向き合う素直な気持ちこそが彼らの魅力のひとつだろう。とはいえその変化も、音楽の文字通り、"音で楽しむ"というバンドの核と地続きの変といえよう。結成時に掲げた"へたくそでキラキラした音楽をやろう!"という合言葉は、本作でも真ん中に在り続けている。しかし、いや、だからこそ、これからもっと歳月と経験を重ねた先でどんな音を鳴らしていくのか気になるもの。歪だがキラキラした、儚くも甘酸っぱい、全15分間のポップ・ソング集。このバランスは"今"でしかありえないはず。

YOU SAID SOMETHING EP

YOU SAID SOMETHING

YOU SAID SOMETHING EP

2011年3月に始動した札幌発男女混合3ピース・バンドが、昨年9月に発表した自主制作プレス盤に2曲を加え全国リリース。音の隙間を活かしたアレンジとローファイなサウンドは、それだけ聴くとCLOUD NOTHINGSやDIRTY PROJECTORSなどを彷彿させるUSのインディー・ロックである。だが本家USと明らかに違うのは日本語がメインの詞であるということ。まさかこの音がここまで日本語に合うとは、新たな発見である。何度もリフレインするくすっと笑ってしまうようなちょっぴりずれたユニークな詞を、ユルめでファニーな3人のコーラス・ワークや掛け合いがポップに彩っている。キャッチーながらも時折鋭さを覗かせるギターの音色も良いアクセントだ。全曲通して肩の力を抜いて楽しめる。

The Year Of Hibernation

YOUTH LAGOON

The Year Of Hibernation

驚くべき才能が現れた。米アイダホ出身、弱冠22歳のマルチ・インストゥルメンタリストTrevor Powersのソロ・プロジェクト、YOUTH LAGOON。高校時代に様々なバンドを渡り歩く中でこのプロジェクトをスタートさせ、以降ライヴ活動やネットでの評判が噂を呼び、複数レーベルの激しい争奪戦の末、名門FAT POSSUMと契約し本作が届けられた。Trevorのベッド・ルームで制作されたというドリーミーなトラックに、蜘蛛の糸の如くか細い歌声が鳴り響くその世界観は、自身にある“極度の不安”がベースになっているという。その詳細は不明だが、カウンセリングを受けるのも中断し音楽に込めたものは、胸が締め付けられるほど美しい生のドキュメント。Hibernation(冬眠)から覚めるように自室を飛び出したこの音楽が、あなたの特別な存在になることを祈っている。

you you you all the same

you you you all the same

you you you all the same

かつてはヴォーカリストがいるバンドに在籍していたメンバーからなる4人組のインストゥルメンタル・バンド。しかし、インストは歌が主役となる音楽の構造および作曲の方法論から解放される手段だったというから、厳密にはインスト・バンドとは言えないかもしれない。実際、初の全国流通CDとなるこのミニ・アルバムでは、CALENDARSの黒田教行をゲストに迎え、ヴォーカル入りの曲に初挑戦。何にも縛られずに自由な曲作りを追求していることをアピールしている。エモ/ポスト・ロックの影響が窺える演奏からは、洗練とともにYacht.、LOCAL SOUND STYLE、maegashiraというバンドでプレイしていたメンバーそれぞれが持ち込んだ熱、激情、疾走感も感じられ、全7曲を一気に聴かせきる。

Tiny Pause

YPPAH

Tiny Pause

MY BLOODY VALENTINEとヒップホップを同じようにバックグラウンドに持つシューゲイズ・ブレイクビーツなインストゥルメンタリスト、3年ぶりの新作。"NinjaTune"から"Counter Records"へ移籍したこと自体は彼の音楽性に影響はないと見てよさそう。むしろバンド・サウンドを根底に持ちつつ、リリカルなマインドを洗練されたエレクトロ・サウンドに昇華する手さばきはパーソナルになったほどだ。グロッケン風のシンセや清冽なシ--ケンスのTrack.2、生ドラム風ビートに子供の声が愛らしいTrack.4、バリの宗教音楽っぽい音階とベルのようなシンセがドリーミーなTrack.8など、インストだが歌モノ的なストーリーもあって聴きやすい。マイブラ、BOOM BOOM SATELLITES、Thom Yorkeのソロ好きにもおすすめしたい。

They Know What Ghost Know

YPPAH

They Know What Ghost Know

2006年、『You Are Beautiful At All Times』で鮮烈なデビューを飾ったYPPAH。ブレイクビーツとエレクトロニカとシューゲイザーを異種配合し、あの轟音のカタルシスに別のベクトルを与えてみせたYPPAHの登場は、かなりの衝撃だった。遥か彼方まで意識を飛ばしてくれた前作と較べ、本作は別世界へじっくりと連れて行ってくれる、穏やかなサウンドスケープ。生音がメインになり、本作は、よりロックに軸足を置いたものになっている。かといって、まんまシューゲイザーなんてことに陥るわけもなく、彼の音楽性の様々な表情を伺うことができる。前作のような高揚感も期待していた人間としては、少し肩透かしをくらった面もあるが、それでも、豊かなサウンドスケープの中をゆらゆらと漂うことができる好作品。今後、アメリカで盛り上がりをみせている、新たなシューゲイザーシーンとどうリンクしていくのかにも注目したい。

Yuck

YUCK

Yuck

誰もが予想しなかった成長/飛躍で帰ってきた。「恐るべき子供たち」と謳われ閃光ライオットとなった元CAJUN DANCE PARTYのDaniel Blumberg(Vo)とMax Bloom(Gt)から結成されたYUCK(オエッ!の意)。2010年に7インチ・シングルを数枚リリース後、FAT POSSUMと契約。今年2月にはデビュー・アルバムをリリースし話題となるが、来日公演直前のタイミングでついに日本デビューを果たす。まるでDINOSAUR Jr.とSONIC YOUTHのノイズを純粋培養したような、90年代初期USオルタナティヴの世界観を想起するものだが、さらにはTEENAGE FANCLUBのポップネスも感じさせるから、もう往年のファンはどストライクだろう。まさに新世代オルタナ・ロック・ヒーローの誕生だ。ちなみに日本盤は豪華ボーナス・トラック6曲収録され、ジャケットもオリジナル・アートワーク仕様である。このジャケのセンスが毎回微妙にグロくて面白い。

I my me mine where is she

YUEY

I my me mine where is she

千葉発、3ピース・バンドYUEYの最新作。前作『We live for the MUSIC』の切れ味鋭いギター・リフでの始まりや、シンプルで爽やかなギター・ロックでありながら感傷を誘うメロディなんかもかっこよかったが、今作はただもうヴォーカルに尽きる。クセのない草食男子風でありながら、色気を帯びたヴォーカルが特徴の比嘉が、終始叫びまくっている様が妙に赤裸々で、そのむき出し感がかっこいい。これって、彼らを形容するバンドとして挙げられることの多いくるりでいうところの『図鑑』的なエモさ。そしてどの曲も始まりと歌い出しがいちいちかっこいいのもポイント高し。また、前作同様彼らの公式サイトでは、THE MIRRAZの畠山による激熱推薦文が掲載されているのでそちらも一読の価値アリですよ。

magic hour

yulayulaz

magic hour

"ゆらゆらPOP"を奏でる男女混合4人組の1st EP。ピアノを中心に紡ぎ出される楽曲は、絵本の中のようなメルヘンで楽しい雰囲気がありつつも、"世田谷city"、"小田急線"といった言葉が出てくるなど現実風景が見える描写も同居。おかげで聴きながら料理をしたり外へ出かけたりの日常生活を始めれば、自分が物語の中に入ったような魔法の時間が味わえる仕上がりとなった。また、arisio(Vo/Key)の和やかでのびのびとした歌声から、女性Voのピアノ・トリオ、クラムボンを彷彿とさせるが、yulayulazは今作より加入した新メンバー、TKLのトロンボーンがさらにあたたかさやメリハリを演出している。忙しい毎日のなかで心に灯をともしてくれる楽曲の数々は、秋という季節のおともにもぴったりだ。

Symbol

yule

Symbol

じわじわと注目を集めている男女ヴォーカルを擁する6人組、yuleによる初の全国流通盤となるフル・アルバム。トラディショナルなフォークの影響を楽曲の芯に持ちながら、アコースティックな音作りにこだわらない、アイディアの閃きに満ちたサウンドメイキングで幻想的な世界観を作り上げている。グロッケンシュピール、マンドリン、大太鼓といった、いわゆるバンド・サウンドではあまりに使われることがない楽器の音色を巧みに取り入れたアンサンブルも聴きどころ。インディー・フォーク、アンビエント、ポスト・ロックといった言葉にピンと来る洋楽インディーのリスナーはもちろん、エレクトロニックなサウンドやダンサブルなビートの使い方を考えると、SEKAI NO OWARIやandropのファンにも薦めてみたい。

これからのこと

yumeochi

これからのこと

小西康陽がパーソナリティを務めるラジオでオンエアされたことから話題を呼んでいる6人組バンド、yumeochi。アルバムのスタートを飾る「若き日の思索のために」で軽快なポップ、英語詞が流れるように耳あたりのよい「miss holly golightly」、染み渡っていくバラード「暮らしの眼鏡」、コミカルなサウンドながらもなんだか泣けてしまう「悲しみよこんにちは」などピアノ、伸びやかな歌声が絡み合いこの1枚の中でいろんな側面を見せてくれる。春の陽気に心を躍らせるように心地よく響くグッド・ミュージックは、日向でうたた寝したくなる心地よさ。シンプルに直球で“いい歌”はストレートに心に届く。思い切りリラックスしたい休日のお供にどうぞ。