Overseas
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2006年、『You Are Beautiful At All Times』で鮮烈なデビューを飾ったYPPAH。ブレイクビーツとエレクトロニカとシューゲイザーを異種配合し、あの轟音のカタルシスに別のベクトルを与えてみせたYPPAHの登場は、かなりの衝撃だった。遥か彼方まで意識を飛ばしてくれた前作と較べ、本作は別世界へじっくりと連れて行ってくれる、穏やかなサウンドスケープ。生音がメインになり、本作は、よりロックに軸足を置いたものになっている。かといって、まんまシューゲイザーなんてことに陥るわけもなく、彼の音楽性の様々な表情を伺うことができる。前作のような高揚感も期待していた人間としては、少し肩透かしをくらった面もあるが、それでも、豊かなサウンドスケープの中をゆらゆらと漂うことができる好作品。今後、アメリカで盛り上がりをみせている、新たなシューゲイザーシーンとどうリンクしていくのかにも注目したい。(佐々木健治)
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