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INTERVIEW

Japanese

alcott

 

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Member:貴田 宰司(Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

多彩なポップ・センスが人気を集める神戸のロック・バンド、alcott。彼らが今年3月から続けてきたプロジェクト"LOVE LETTERS"が6月22日に配信した「小火」で完結。恋愛をテーマに作った楽曲と、それをもとに制作した小説、ドラマを、4ヶ月連続で同時配信するプロジェクトに取り組んだきっかけや、そこに込めた想い、さらには音楽的な挑戦について、全曲のソングライティングを手掛ける貴田宰司にインタビューした。プロジェクトを締めくくる「小火」は、バンドの新たな音像を印象づけるミドル・テンポのバラードとなっている。

-今回の「小火」は4ヶ月にわたる"LOVE LETTERS"というプロジェクトの第4弾となるわけですが、そのプロジェクトはどんな想いからスタートしたのでしょうか?

僕たちが作っている楽曲を、どういうふうにしたらお客さんのもとに届けられるかということをいろいろ考えていったとき、小説だったり、映像だったりを、僕らの楽曲から作ってもらって、曲と併せて3つ同時に配信していったら、いろいろなところから見てもらえるんじゃないかということで始めました。僕の書いている楽曲は歌詞というよりは、誰かに対する手紙のようなものだと自分では思っているんです。そこに愛情みたいなものは絶対あると思うので、プロジェクト名は"LOVE LETTERS"にしました。

-恋愛妄想ツイートが話題のカツセマサヒコさんに小説を書いてもらうというアイディアは、どんなところから思いついたんですか?

(カツセさんの)Twitterもフォローしていたんですよ。面白い文章を書く人だと思っていました。その文章も、恋愛を軸にしていることに加え、言葉にチャーミングさがあるんです。かわいいというか(笑)。男性なんですけど、それが決め手でした。僕も女性目線で書いたりする曲が多いので、ちょっと似ているかもしれないです(笑)。

-今回の「小火」で終わってしまうわけですが、4つの作品を作ってみて、いかがでしたか?

自分自身が(小説や映像の)ファンになってしまっているという感覚はあります(笑)。楽しかったから、正直終わってほしくないですね。カツセさんにいろいろな角度から自分の歌詞を広げていただいて、それに映像で命が吹き込まれる。感動しますよ。カツセさんには自由に書いてほしいという話は最初にさせていただいたんです。僕らの曲がもとにはあるんだけど、カツセさんが曲を聴いて、どういうふうに思うのか。そこはリスナーとも通じるところだと思うので、"これはこういう曲で"と自分が言うよりは、楽曲を聴いて広げてもらうことが一番だと考えています。そのカツセさんの小説を、自由に映像化するのがisai Inc.。監督が脚本を書くんですけど、そこでも化学反応が起きて面白かったですね。

-もとになる楽曲には楽曲それぞれのストーリーがあるわけじゃないですか。それが違うものになることに対して、作者としては――

あぁ、"ここはほんとはこうなんだけど"みたいな? それはもちろんあるんですけど、答えはひとつではないと思うんですよ。これはこういう曲でっていうのは、僕の中で、もちろんあるんですけど、世に出してしまった以上、その曲をどう思うかは受け取る人次第。曲を生み出したときには、こういう子になってほしいというのはあるんですけど、優等生になる子もいるかもしれないし、グレちゃう子もいるかもしれないし(笑)。だから、"あ、この曲、こういう感じになるんだ"ってむしろ楽しむつもりで。4話目の「小火」には泣かされましたね、自分が作った曲なんですけど(笑)。自分の経験がそのままってわけではないですけど、フラッシュバックするところがあって、かなり痛いところを突いてくる(笑)。カツセさんのオチもうまかった。1話、2話、3話と来て、4話目でそれまでの伏線を回収しているし、また1話目に戻りたくなるような仕掛けもある。4話は、3話目までラヴレターの受け渡しの代行とその執筆補助を行ってきたポストマンが主人公なんです。彼がどういう人なのか、ポストマンになるまでの話が描かれているんですけど、それが面白い。

-では、楽曲についても訊かせてください。今回の4曲はこのプロジェクトのために何曲か作った中から選んだんですか?

第1話の「告白記」(2018年3月公開)ができて、こういうふうにやっていこうとなりました。入り口になったんです。恋愛の曲を書くにあたって、一番ピュアな曲が書けたというか、書かせてもらったというか。そこから3曲――最初は全3曲でいこうと思っていたんですけど、4曲できてしまったんで、じゃあ4曲でいこうとなりました。

-そもそもの質問なんですけど、なぜ恋愛をテーマに選んだんですか?

避けられなかったんですよ、自分にとってあまりに距離が近すぎて。何より僕自身そういうモードだったっていうのもあるかもれしないですけど(笑)。そこに向き合わずにアーティストと言えるのか。愛というものにぶつからなきゃいけないんじゃないかって思いました。でも一方では、自分にはどんな恋愛の曲が書けるんだろうかという軽い気持ちもあって。

-実生活でも向き合わなきゃいけなかった(笑)?

そうですね(笑)。やっぱり、恋愛ってしてしまうものだと思うし、僕の周りでも恋愛している人が多くて。そういう話を聞くことも多かったんですよ。