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COLUMN

ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第2回】

2020年03月号掲載

ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第2回】

ぜんぶ君のせいだ。「異常こそ正常だ。」の御時間です。僕の名前はましろ。白色に白髪。

小さい背丈で背伸びを続け、生まれてこの方いつ何時も人生を「歌うこと」を軸に選択を続けていたら、此処に行きつき、グループや患いちゃん(応援してくれる方)との「未来を魅せる約束」に意固地になり、気がつけばグループと共に五年目を生きる。そんな、しがないメンバーです。

あとは......そうですね、「無題合唱」という楽曲の落ちサビを歌っているメンバーです。これ、あまり僕らを知らない方にもたまに伝わります。


グループ結成時、僕は敬愛する社長に「音楽に対する意」で愛されたように思います。そしてメンバーから「歌やパフォーマンス」で愛し認めてもらい、患いさんに「全身で歌う音楽好きなましろ」として愛されていると、僭越ですが自負しています。

然しながら、Skream!コラムとなれば、音楽を様々な形で愛する皆様がお読みです。女性グループというのは、いや、現代では歌い踊るグループ......もはやそうで無くとも、男性であれど楽器を持てど、アーティストというのは「偶像」と表されることが多い時代かと思います。
そこに表立って立たされるのは、時代が変わってきた今でなお「女性グループ」「歌い踊るグループ」が目立ちますね。

回りくどい物言いをやめると、僕らのようなグループは知らぬ人に「アイドル」と言われ、そして自称音楽を愛す方は今でも言うのです「所詮アイドル」「音楽の真似事」「どうせ音楽など知らない」「アーティストになどなれない」と。......んんん、言い過ぎました。


でも。そうですよね、分かるんです。僕はもともとバンドをやっていました。アイドルを嫌いだと口にしたこともあります。その上で僕が今回話したい言葉はこれです。
「音楽なんて嫌いだ」。

異常でしょうか?本当に、そうでしょうか。



音楽に「救われた」という表現が蔓延を続けるなか、僕は幼い頃にロックバンドという音楽に出会いこう思いました。「生きていく方法を見つけた」と。当時の僕は、家族の言うことを聞き、学校でも人気者になり、その反動で登校拒否を始め、家族と全く言葉を交わさない引きこもり生活をしていました。そういった人生の僕は「こう言えば喜んでもらえる」という言葉しか使うことができなくて、「自分の意思を言葉にする」という方法を持っていませんでした。

結果、中身だけが荒み、到底言葉にできないような性悪な部分だけが根に溜まり、我儘を言えど愛される人間たちを恨み辛み......。そんな時に出会ったロックバンド。「話す」以外の自己表現を知った子供の僕は、これが「音楽」だと認識するのです。


ところがどっこい。音楽というのは言葉一つでありながら、その認識の意は一辺倒ではありませんでした。「自分のための音楽」「大切な人のための音楽」そして「世に向けた音楽」。はたまた「音という技術」という術もありますね、これ以上はキリがありません。
技術もなく音楽の端の端くれにいる僕ながらに音楽と向き合い、これに関しては答えなど割と意味がない、必要ない、と僕は思いました。なんだっていいよ、どれも辿れば全て音楽だ。

でも。でも、それでも僕はひとつだけ、音楽が音楽であることを判断したい基準を、ひとつだけ持つようになりました。

「そこに、自分の強いつよい意思はあるか?」

音楽を無意識に続けることはあまりないと思いますよね。選ばないとできないものです。だけどそれって実はどの勉学も仕事も同じなんです。だからこそ実は、できてもしまうのです。強い意思がなくとも音を奏でることは。
それでも音であり音楽です。その音を奏でる方も好きな方も否定する気はさらさらありません。それでも僕は執着していたい。「強い意思」があるからできる音楽に。


だから「音楽」というものを浅はかな上部で判断できてしまうものだとすれば、僕は音楽なんて嫌いです。糞食らえです。やめてしまえ。心地いい音楽を機械が作りAIだけが偶像として音を鳴らしていろ。

だから僕は忘れたくないのです。たとえ規模が大きくなり音を使わぬ仕事をしても、届ける相手が増えても、歌えなくなる夜を超えても、「歌うことでしか自己を知れなかった自分」が今も音楽に執着する強い意思を。そうで無い音楽を許さない自分を。これが音楽であるという希望を。


異常ですよね。それって、どっちが?

ぜんぶ君のせいだ。

如月愛海(きさらぎめぐみ)、ましろ、一十三四(ひとみよつ)、凪あけぼの(なぎあけぼの)、征之丞十五時(ゆきのじょうおやつ)からなる、病みかわいいをコンセプトとしたユニット。2015年結成。2019年4月に日比谷野外大音楽堂にて自身最大規模となるワンマン・ライヴを開催。5月に現体制になり、12月には新体制初のフル・アルバム『或夢命』をリリース。現在、ツアー"未夢命TOUR 2020"を敢行中。

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