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LIVE REPORT

Japanese

ぜんぶ君のせいだ。

Skream! マガジン 2019年07月号掲載

2019.06.09 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 吉羽 さおり

4月28日の日比谷野外音楽堂での単独公演"声高EX少数派"で、約2年4ヶ月在籍した咎憐无が脱退したぜんぶ君のせいだ。に、新たにメンバーふたり、凪(なぎ)あけぼの、征之丞十五時(ゆきのじょうおやつ)が加入し5人体制での活動がスタートした。この新体制での初のワンマンが、下北沢LIVEHOLIC 4周年記念の第1弾、6月9日の"LIVEHOLIC 4th Anniversary series Vol.1"だ。あっという間にソールド・アウトしたこの日は、フロアが酸欠必至の状況なのはもちろん、ステージ上もぜん君。の5人とバンド・セットでのライヴということで少々......いや、かなり窮屈な感じで、1曲目「Sophomore Sick Sacrifice」から、如月愛海、ましろ、一十三四、そして新メンバーの凪あけぼの、征之丞十五時も、ステージから身体を乗り出してパフォーマンスする。続く曲は「みすふぃっとらゔぁーず」で、アグレッシヴな曲の連投でフロアはすでにもみくちゃ。ステージの5人も観客と取っ組み合うくらいの勢いだ。加入間もないふたりも、気後れしている暇など1ミリもなし。無防備なままいきなり最前線に送り込まれ、熱いファンの洗礼を浴びた、という感じだと思うが、この物理的にも精神的にも一歩も引けないステージが前のめりなパフォーマンスに出ていたのが良かった。この5人でぜんぶ君のせいだ。であるという姿勢が伝わってくる。

冒頭から汗だくで、"最後までよろしく!"と声を掛けるとポップでキュートなサウンドの「オルタナティブメランコリー」、そして"タオルある?"とタオルをグルグルと振り盛り上げる「メスゲノムフェノメノン」でフロアを一体化すると、再び"死ぬ気で来れるか!"とシャウトして「歩兵ディストピア」でフロアをカオスにした。

この日はアンコールなしということで、頭から終わりまで、常に感情を爆発させ泣きと笑顔の激しいアップダウンを繰り返す、実にぜん君。らしいセットリストとなった。初期のころからの大事な曲であり、特にこうしてメンバー交代やグループが形を変えるごとに新たな意味や想いが付加される「無題合唱」のエモーショナルな響きは、観客の気持ちをぎゅっとひとつにする。大きな掛け声やシンガロングに力が入る「キミ君シンドロームX」、「ルーザーごすぺる」、「痛カルマバ◯ス」、センチメンタルなダンス・ナンバー「FAIRY TALE FANTASY」とアイドル・チューンを聴かせたところで、後半はステージのぜん君。とフロアとの肉弾戦。ロックなギターのイントロに拳が上がり、ソリッドなバンド・アンサンブルを背負った5人が力強くシンガロングを煽る「Cult Scream」、そして汗だくのフロアにブラストビートとシャウトを見舞う「WORLD END CRISIS」と、5人の歌い分けが曲に新鮮な風を吹かせる「ロマンスセクト」で、会場の熱気が凄まじいことになる。その熱気や高い湿度のせいかどうか、マイクが不調になる場面も。もはやどちらが白旗を振るかのデスマッチ状態だ。トラブルもなんのそので、激しくフロアを沸騰させる「うぇゆうぇゆうぉっ〜ヒネクレノタリ〜」へと突入し、ラストは「MONOLOGUE」へ。つらく苦しいひとりぼっちの暗闇の世界の中でも、いつか分かち合える人と出会える希望をにじませるこの曲で、ステージ上の新メンバーが涙で顔をくしゃくしゃにし、つられるように一十三四も泣き顔で歌っていたのが印象的だった。活動を重ね、グループとして逞しく頼もしく進化を続けるぜん君。だが、そのサイド・ストーリーは波乱万丈で困難の連続だ。しかし最後は涙を飲んで笑顔で、"新体制での初のワンマンでした。この5人のぜんぶ君のせいだ。をこれからよろしくお願いします"と挨拶をした5人。7月からは全国ツアー"CULT CHAOS CUTIE TOUR 2019"がスタートし、2019年をノンストップで駆け抜けていく予定だ。

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