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LIVE REPORT

Japanese

ぜんぶ君のせいだ。

Skream! マガジン 2021年05月号掲載

2021.03.27 @LIQUIDROOM ebisu

Writer 吉羽 さおり Photo by Takaya Sekigami

ぜんぶ君のせいだ。の47都道府県ツアー"re:voke tour for 47"が、3月27日の恵比寿LIQUIDROOMでファイナルを迎えた。今回のツアーでの数ヶ月間は、コロナ禍で全都道府県を回るということも含めて、ぜんぶ君のせいだ。の6年の歴史の中でも、最も激動の時間だった。甘福氐 喑、もとちか襲、雫ふふが新メンバーで加入し、如月愛海と征之丞十五時との5人体制で昨年11月、スタートを切った"re:voke tour for 47"。そのツアー後半へ差し掛かる2021年1月には、元ゆくえしれずつれづれのメイユイメイと个喆の加入が発表され7人体制になった。ツアー真っ只中でひとつのグループが変化をしていくことは、あまりないことだろう。実際、ツアー初日のZepp DiverCity(TOKYO)公演と最終日(※沖縄振替公演を除く)の恵比寿LIQUIDROOM公演では、ステージでのフォーメーションや、振付、各曲での歌割りなどが大きく変わっており、別のグループを観るような感覚だった。それはネガティヴな意味合いでなく、5人でぜん君。(ぜんぶ君のせいだ。)を再構築すること、7人でさらに磨き上げることが、ごく短時間でなされたという驚きである。このスピード感のある進化はまた、身も心も生身でぶつかり合う"ライヴ"の場だったからこそであり、ぜんぶ君のせいだ。としてそんなライヴを行ってきたということだ。

今年2月にリリースした、7人体制での最初のシングル曲「堕堕」でスタートしたライヴ。ツイン・ギター、ベース、ドラムによるバンド・セットで、重厚感のあるアンサンブルに乗せて、7人が横並びでステージに立つ姿は迫力がある。また客席に肉薄するようなせり出しでかますシャウト・パートなども、フロアの熱気を上げた。パンキッシュなサウンドに、7人が代わる代わる歌を繋いで加速度的に勢いを増していく「堕堕」は、患い(※ぜん君。ファンの呼称)から、なぜコロナ禍というこの時期にリリースしたのかとちょっとした恨み節もあがるような、ライヴ・チューンだ。その強力な曲から「メスゲノムフェノメノン」、「痛カルマバ◯ス」とBPMの高い曲が連投され、メンバーと共にバンドも一体となってステージ前線に飛び出していくパフォーマンスに、観客の拳が上がる。ポップな「オルタナティブメランコリー」や「みすふぃっとらゔぁーず」では、あざとかわいさマシマシで、且つ「みすふぃっとらゔぁーず」の全員でのシャウト掛け合いは一転してアグレッシヴにと、7人でそれぞれの曲が持つ色合いを濃くしている印象だ。

「インソムニア」、「革鳴前夜」、「WORLD END CRISIS」と続く中盤はよりエモーショナルな表現だ。特に、これまでは節目となるライヴで披露されてきた、ぜん君。の意志を詰め込んだ「革鳴前夜」は、改めてここからも共に進んでいこうという思いを、真摯に伝えるものになった。他の曲にも言えることだが、新たな7人で歌う曲であるものの、そこには、これまでぜん君。に携わってきたメンバーたちの思いも、一緒に歌い紡いでいく気持ちがある。そうした真摯さが、歌に滲む。「やみかわぐんぐんか」から「僕喰賜君ノ全ヲ」と初期の曲で再びフロアを湧かせた後半は、ライヴ・キラーチューン「せきららららいおっと」で大きな手拍子を起こし、そしてポップな泣き笑いチューン「唯君論.」で、笑顔で締めくくる。最後に"他になんにも いらないよ/此処に居て 笑い合える!"と歌う「唯君論.」は、コロナ禍でライヴがなかなかできない経験をしたからこそ、今また深く刺さる曲にもなっている。そんな喜びを噛みしめるように、フロアから大きな拍手が起こった。

本編は自己紹介のみで、ほぼノンストップで走り抜けたが、今回は新体制でのツアー・ファイナルということで、アンコールではひとりひとりこのツアーに向かう思いや、ツアーを通して芽生えた思いが語られた。甘福氐 喑、もとちか襲、雫ふふは、初日のステージを終えたときは楽しさを味わった反面、もっとできるという悔しさも湧き上がったと語る。そのもっともっとという思いが、このツアー一本一本を作り上げてきたのだろう。また "re:voke tour for 47"は幕を閉じるが、5月5日からさらに47都道府県ツアー"Sicutie&Stupid Tour 2021"を開催することが発表された。興奮の余韻があるなか、2周目の全都道府県ツアーである。フロアから驚きの声が上がるなか、「When you 2 WANT」、「ぜんぶ僕のせいだ。」、「独唱無題」、そして「無題合唱」と新旧の曲に乗せて改めて結成時からの目標である日本武道館や、もっと大きなステージまで駆け抜ける思いを伝える。まだまだこれは始まりだと告げる、ここからの景色が楽しみになるツアー・ファイナルだった。


[Setlist]
1. 堕堕
2. メスゲノムフェノメノン
3. 痛カルマバ◯ス
4. オルタナティブメランコリー
5. みすふぃっとらゔぁーず
6. インソムニア
7. 革鳴前夜
8. WORLD END CRISIS
9. 君想ゐ花散りぬ
10. AntiIyours
11. Cult Scream
12. Sophomore Sick Sacrifice
13. わがまま新生Hominina
14. キミ君シンドロームX
15. やみかわぐんぐんか
16. 僕喰賜君ノ全ヲ
17. ロマンスセクト
18. せきららららいおっと
19. 唯君論.
En1. When you 2 WANT
En2. ぜんぶ僕のせいだ。
En3. 独唱無題
En4. 無題合唱

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