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LIVE REPORT

Japanese

GOOD BYE APRIL / リーガルリリー / Saku / kiila&yu-ya(vivid undress)

Skream! マガジン 2016年07月号掲載

2016.06.11 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 松井 恵梨菜

共通項を挙げるとするならば、それぞれの形の"愛の歌"を聴いた夜だった――下北沢LIVEHOLICのオープン1周年記念イベント3日目。この日は4組がアニバーサリーを祝いに駆けつけてくれた。

トップバッターを飾ったのは、vivid undressのkiila(Vo)とyu-ya(Gt)。3日後にもバンドでの出演が決まっていたが、この日はアコースティック編成での登場で、歌とアコギのみというミニマムなセットだからこそ堪能できる、kiilaの多彩な声の表情や、そこから汲み取れる感情が格別にリアルだった。中でも、"愛してる"すら言えなかった自分を責めるような「簡単な言葉」では、リフレインする"痛い"というフレーズや、髪を乱したり、胸元で手をギュッとしたりする仕草に、目に見えないはずの"痛み"を共有せずにはいられない。それなのに目を反らせないのは、彼女が魅惑的な可憐さを持ち合わせているから。対するyu-yaは、曲によってはバンド編成時に劣らないアグレッシヴなギターを披露。「パラレルワ」では、グルーヴィなリフを得意な顔で弾き倒すyu-yaを見てkiilaが思わず笑ってしまうシーンも。最後は、kiilaのバンド活動に対する決意を感じさせる「それでも」で締めくくる。アコースティック・ステージながら、確実に心に傷跡を残していくようなパフォーマンスを見せつけてくれた。

"こんばんは、Sakuでーす!"と元気よく登場したかと思えば、その勢いのまま「あたしを好きだなんて天才かも」をキュートなタイトル・コールで早速演奏し始めたSaku。 "恋する女の子像"を描いたポップ・ソングが得意な彼女だが、"渋谷系"などの要素をエッセンスとして加えたフレーズとほんのりハスキーな歌声が楽曲を程よい甘さにしてくれる。中高生の等身大の恋愛を詰め込んだ「春色ラブソング」では、"「用ってなんだよ」/「あ~えっとね...?」"と、告白寸前で曲が終わるというSakuのSSWの技が光る展開で、会場にとびきりのトキメキと余韻を残していった。後半に差し掛かったころ、コール&レスポンスで客席のボルテージを上げたところで「Girls & Boys」を披露。常に絶やさないまっすぐな笑顔は彼女の魅力のひとつで、その表情はフロアにも伝染していく。会場中をヒートアップさせたまま、曲終わりにSakuの掛け声に合わせて全員でジャンプ。Sakuは"ほんと楽しい!"と何度も無邪気に繰り返したあと、"変わらない自分もギュッと抱きしめながら、前に進んでいけたらいいなと思います"と告げ、映画"ビリギャル"の劇中歌にもなった「START ME UP」を届ける。真剣な目で大切に歌われたその歌は、高らかに空へ昇っていくようだった。

続いて平均年齢18歳の3ピース・ガールズ・バンド、リーガルリリーが登場。あどけなさの残る佇まいに油断し、度肝を抜かれた観客は確実に多いだろう。1曲目は、高橋ほのか(Vo/Gt)のソロで始まり、その素朴な歌、柔らかいギターの音色で郷愁を誘う「まわるよ」。しかし曲の終盤、白石悠のベースと雪山珠沙希のドラムが加わった途端、爆発したかのような轟音が目の前に迫る。そのあとも間髪容れずに曲を続け、「スターノイズ」では静と動、緩急を巧みに切り替えながら、儚い歌も、ハードなリフも、攻撃的なディストーション・ギターも共存させていく。一筋縄ではいかない展開でありながら、平然とした顔でやってのける姿にクールな印象を持ったが、それを良い意味で裏切ったのが「魔女」。"全部壊したいよ"と千切れそうな声で叫ぶ高橋のエモーショナルなパフォーマンスは、間違いなく10代の若さゆえの衝動だった。彼女たちのロック・バンドとしてのレンジの広さを裏付けする、パンキッシュな加速度を含んだ「リッケンバッカー」で容赦なく客席の高揚感を煽ったのち、ラストは一転、スロー・テンポで曲も歌詞もストレートに綴った「好きでよかった。」を披露。その振り幅によって、18歳の若きロッカーがこの曲を歌う理由が耳に焼きつく――"君の曲を作ろう/君のことを歌えば/明日好きな人を歌っても/ずっと君を忘れないよ。"と。

ファンファーレのような歓喜に満ち溢れた「パレードが呼んでる」に始まり、トリの舞台を華やかに彩ったのはGOOD BYE APRIL。弾むようなピアノの音、メロウな歌声、メルヘンな歌詞の協演が心を躍らせる。続く「太陽」では、小刻みなリズムに熱っぽいメンバーの合唱が重なり、タイトルのイメージそのままの堂々と照りつけるような演奏を披露。そんなふうにして作り上げた空間を、良い意味で砕く延本文音(Ba)、吉田卓史(Gt)ら大阪出身のメンバーを中心としたお馴染みの漫才張りなMCも炸裂していた。芳醇な演奏をひたすら淀みなく聴かせる彼らの楽曲の中でも、特に真骨頂を目の当たりにさせられたのは「愛はフロムロンリーハート」、「プロポーズ」。タイトルからもわかるとおり、紛れもない愛の歌だ。"僕らはポップスを作りたいと思っています。なんでもないような日常が、大切だって気づいてもらえたら"――2曲の間に倉品 翔(Vo/Gt/Key)が語った、彼らが音楽を生み、届ける動機に頷く。そうして生まれた楽曲は、そのメロディすらも愛おしくさせるのだから。エンディングに「ラストダンス」を届けると、"ブラボー!"という声とともに巻き起こった拍手を受け、アンコールへ。春色の照明に包まれながら披露した「夢みるモンシロ」は、心地よい疾走感が春の息吹のように感じた。

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