Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

vivid undress

2021年06月号掲載

いいね!

Member:kiila(Vo/Gt) rio(Key) yu-ya(Gt) syunn(Ba) tomoki(Dr)

Interviewer:山口 智男

今年3月、3週連続で新曲を配信リリースしたvivid undressが、その3曲も含むミニ・アルバム『愛のゲイン』をリリースする。"愛と色彩"をテーマに新たなバンドの姿を打ち出した全6曲は、どのように作り出されたのか? メンバー5人に話を訊いてみたところ、作品ごとのアンサンブルの変化に加え、常に挑戦しつづけるvivid undressならではのスピリットを改めて感じることができた。

-『愛のゲイン』のリリースに先駆け、今年3月に『愛のゲイン』にも収録されている「夢見る2人」、「R-15」、「そばにいて」の3曲を3週連続で配信リリースしましたが、その時点で『愛のゲイン』はもう完成していたんですか?

kiila:まだ完成してなかったです。先にできた3曲を録って、そのあと、他の3曲を録ったんですよ。愛を歌うとか、前向きに歌っていくとかっていう今回のミニ・アルバムのテーマそのものは、決まっていたんですけど、曲そのものはまだできあがってませんでした。

rio:最初の3曲を録って、また制作期間を挟んでという作り方だったんですよ。

-配信リリースした3曲はいつ頃作ったんですか?

syunn:去年の11月とか12月とかぐらい?

rio:いっぱい候補があった中から選んだんです。

-つまり昨年の12月ぐらいには新曲のストックは結構あったわけですね?

kiila:ありましたね。

-昨年は1年通して、ライヴを含め、なかなか思うように活動できない時期だったと思うのですが、どんなふうに曲作りのモチベーションをキープしていたんでしょうか? 

syunn:ライヴができない代わりに何ができるんだろうって考えたとき、やっぱり曲作りだろうって。新曲も含め、わくわくできることを届けたら、ファンの方たちにも喜んでいただけるのかなって前向きに取り組んできました。

kiila:私自身は今まではわりと切羽詰まった状態で作っていたというか、リリースが決まっているから、早く作らなきゃと作っていたんですけど、今回はあまりにも時間があったので、逆に本来自分が作りたかった曲が作れたところはあります。今回、自分が作曲した曲に関しては、アルバムのためにこんな曲が足りないから、そういう曲を作らなきゃみたいな固定観念みたいなものもなく、一個人として作りたいものが作れたと思いますね。

-「オリジナルカラー」、「後悔」を提供しているyu-yaさんはいかがでしたか?

yu-ya:僕はですね、作る曲がいつも暗いんですよ(笑)。だから、明るい前向きな雰囲気を曲に落とし込みたいという気持ちがちょっと前からあって。そういう面での自分との戦いをしていたんですけど、それは成功したと思います。とても前向きで、それでいてソリッドな面もある曲が作れたなって。

-コロナ禍だからこそ、明るい曲が書きたい、と?

yu-ya:そうですね。結構早起きになったんですけど、朝日を浴びながら生きると、そういう曲が作れるようになるんですね(笑)。

rio:何を言うかと思ったら(笑)。

syunn:生き様だよね(笑)。

yu-ya:今までは夜中に作業することが多かったんです。だから暗い曲になりがちなのかなと思って、それを変えてみようと思ったんですよ。

kiila:健康に気をつけるようになりましたね。不健康な生活から健康を求めて、朝起きて夜寝るという普通の生活に切り替えたんです。結成した当初は、平気で深夜練習もしてましたから。睡眠時間が2、3時間って生活をしていたんですけど、今は7時間ぐらい寝てますね(笑)。 

-kiilaさんもそういう生活の変化が曲作りに影響を与えたところがあるんですか?

kiila:あると思います。今までは時間に追われるような人生だったんですけど、今はやりたいことがあって、そのために時間を使うという生き方をしているので、曲作りも切羽詰まった感覚がないから、歌詞にもゆとりが出ていると自分では感じますね。だから、今ガチャガチャした曲を聴くのはちょっとストレスになるというか、ゆとりがあるほうがサウンド面も好きで、音の好みの変化もあります。

tomoki:僕はずっとマイペースな感じで生活していました。モチベーションをキープするために何かやったということもなく、曲が出揃って、みんなでアレンジを詰めていこうかってときも、いつもと変わらずマイペースにやってましたね。

-『愛のゲイン』収録の6曲はそれぞれに印象的ですが、最初に配信リリースするにあたって、「夢見る2人」、「R-15」、「そばにいて」の3曲を選んだのはどんな理由からだったんですか?

rio:話し合っていたのが、ちょうど外出の自粛が求められていた時期だったので、CDショップに行くのも難しいだろうということから、まずは配信で届けようということになったんですけど、ただ配信してもつまらない。せっかくだから、ドカンと一気に3曲いっちゃおうって。メンバー自身もそれぞれにマイペースなところがあるので、何か目標を決めて制作したほうがいいと思ったところもあります。スタジオに入れなくなったとしても、リモートでも制作できるので、情勢を鑑みながら作っていったんですけど、形が見えやすかった曲が最初の3曲に選ばれたのかな。

kiila:会えない期間だからこそ、ラヴ・ソングを歌うということで、私は「そばにいて」を1発目に出したかったんですよ。でも、レコード会社のスタッフの間では、元気が出る曲ということで「夢見る2人」の評判が良くて、じゃあ、それを1発目に出そうとなりました。「R-15」はイントロの吐息混じりの歌い方が斬新だから、新しいvivid undressを見せようってことで、"2番目に持ってくるってのはどう?"と提案されて、こういう順番になりました。

-「夢見る2人」は、rioさんが作曲に参加していますね。

rio:曲そのものは去年の5月頃には、もうできてたんです。最初の緊急事態宣言のときだったんですけど、ライヴが恋しいからライヴ・アンセムみたいな曲がいいなということと、声を出せないならクラップなら大丈夫だろうということを考えながら作っていきました。クラップの部分は最初に見えてたんですけど、曲全体としては自分史上稀にみる難産だったんですよ。変な話、考える時間があったので、めっちゃいろいろな展開を考えて、最終的にはみんなで意見を出し合いながら構築していったんです。いつもは結構完璧な状態に作り上げてワンコーラスをメンバーに聞かせるんですけど、この曲はそのワンコーラスの部分からみんなでああだこうだ言いながら作ったので、できたときは、"景色が小気味よく変わるこの面白い曲に仕上がったな"っていう印象が自分の中ではありましたね。

-vivid undressはこれまでも、ファンクやディスコ・サウンド由来のダンサブルなサウンドにアプローチしてきましたが、同じダンサブルでも「夢見る2人」と「R-15」は、ハウスやEDMの要素が感じられるものになっているところが新しいと思いました。

kiila:「R-15」はもともと、私が5年ぐらい前に作った曲だったんです。そのときは岡村靖幸さんみたいな曲というか、シティ・ポップっぽい感じだったんですけど、もっとノリを大事にしたいと思って、四つ打ちのリズムを――四つ打ちって簡単にノれるというか、自分が聴きながら一番気持ちいいのが四つ打ちなんですよ。それで四つ打ちで作っていったら、こういう曲になりました。四つ打ちって歌も歌詞も乗せやすいんですよ。 

-今回、四つ打ちの曲が多いですよね?

kiila:多いですね。

-バラードの「そばにいて」以外、四つ打ちが入っています。「後悔」は基本8ビートなんですけど......。

yu-ya:間奏に(四つ打ちが)入ってますね。

-そこは意識したんですか?

kiila:いえ、意識していないと思います。曲はそれぞれに持ち寄るんですけど、"今回は四つ打ちで"という話は特にしてないです。

tomoki:1曲目の「オリジナルカラー」は最初、ドラムのアレンジを俺に丸投げしてもらったんですけど、そのときは8ビートのみで作りました。そこから"四つ打ちにしてみたら?"というアイディアが出て、やってみようって進めていったんです。そんなふうにいろいろやっていったら、結果、四つ打ちになることが多かったんですよ。

syunn:歌が乗る乗らないを考えると、kiilaも言ってましたけど、四つ打ちが今回は合っていたんだと思います。

-『愛のゲイン』を作るにあたっては、愛を歌うというテーマがあったそうですが、それはどこから出てきたものなのでしょうか?

kiila:もともとvivid undressの曲を作るとき、前に進むときの葛藤とか生きていくための手段とかそういうものを曲にしてきたんですけど、メジャーに入って、"1発目にラヴ・ソングを作ってみないか?"と提案されたことがきっかけで、ラヴ・ソングも作るようになって。私たち、今までわりと挑戦するような作品の作り方をしてきたんです。自分たちの中から生み出すのではなく、自分たちにはないものを作っていくという感覚で作ってきたんですけど、その中で愛をテーマにしたアルバムって1枚もなかったなと思ったんですよ。もちろん、こういう時代の中で元気になってほしいという気持ちもあるんですけど、一番は挑戦したかった。自分自身が愛を歌える人間になりたかった。そういう意識のほうが大きかったですね。

-おっしゃるとおり全6曲、どれもラヴ・ソングですね。

kiila:何かに対する愛という意味では。愛の形って、"大好きです"や"愛してます"だけじゃないじゃないですか。憎悪も愛の裏返しという意味では愛だと思います(笑)。「オリジナルカラー」は"君"という言葉が出てきますけど、実はこの曲、自分自身や、自分が生まれてきたことに対する愛の歌なんです。聴く人に自由に解釈してもらってかまわないんですけど、私自身は、自分が生まれたことや、これまで生きてきた過去の自分に対して歌っているので、自己愛というか、そういう歌もあったりします。

-歌詞がよりストレートになった印象がありました。聴く人に向けて、kiilaさん自身なのか、歌の主人公なのかというところはあると思うのですが、強い思いを聴き手に思いっきりぶつけてくるような歌詞ですよね。

kiila:「夢見る2人」と「Yeah! Yeah! Yeah!」はわりと語呂重視なんですけど、自分が伝えたいことが、普通に会話していても、相手の解釈によって思ったように伝わらないことがよくあって。音楽になると、さらにそういうところがあるんですけど、やっぱり音楽を発信しているからには受け取ってほしい。キャッチボールができる音楽をやりたいと思っているので、難しい表現は使わずに、歌詞にはストレートに落とし込めたらいいなとは考えてました。