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INTERVIEW

Japanese

"GIANT LEAP THE RADIO" J-WAVE MC 藤田琢己

 

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-藤田さんの番組"SONAR MUSIC"と、この"GIANT LEAP"という新人発掘の企画が連動している今、藤田さんが"さらにこんな人たちが出てきてくれると嬉しいな"と思われるアーティスト像とは、どのようなものになるでしょうか?

どのような音楽性や、どのようなスタイルのバンドであっても、あまり頭でっかちじゃないアーティストが多く出てきてくれるといいなと思います。結局、ステレオタイプなところでずっと凝り固まっちゃっていると、どうしても音楽ってつまらなくなっちゃいますからね。"フォーク・シンガーであるからには、こういう音で、こういうメロディを歌えばいいんでしょ?"じゃなくって。"フォークなのにめちゃめちゃ打ち込みじゃん"とか(笑)。そういうのも全然アリなんじゃないでしょうか。シンガー・ソングライターという言葉に引っ張られ過ぎてしまうのも、なんだかもったいないし、逆にロック・バンドだからって必ずしも4人組でギター、ベース、ドラム、ヴォーカルという構成じゃなくったっていいでしょうし。既成概念にとらわれないフォルムで音楽をやってくれて構わないと個人的には感じますね。でも、難しいのかなぁ。まずは何かに憧れるところから始まるというケースが圧倒的に多いことを考えると。

-憧れを憧れのままで終わらせず、そこをどれだけ越えていけるかというところが大切なのでしょうね。

実際、今もう成功しているバンドたちの中にはそうやってきた人たちもいますからね。さっきまでギターを弾いていたと思ったら、ある瞬間それをぐるっと背中の方に回して、おもむろにシンセを弾き始めたりだとか。自分たちが欲しい音楽に、本当は何が必要なのかを優先して考えながら、これまでの定石にとらわれないやり方をしている人は、刺激的な音楽を生み出しているケースが多いように感じます。例えば、今僕の手元にあるSkream!(※2018年7月号)の表紙にはUVERworldがなってますけど、彼らも最初はいわゆるラウドロックなのかなと思っていたら、誠果(Sax/Manipurator)君が入って――というか正式メンバーとして戻って(2014年)からは、より個性がちゃんと生かされるようになったし、TAKUYA∞(Vo)君も新たなUVERworldというものをよりバチっと見せつけてくれるようになりましたからね。

-ラップやボイパのスキルがどんどん飛躍していったところや、歌詞に込められたメッセージがより純化していったことも、UVERworldの魅力をさらに濃厚なものとしていったように感じます。

もはや彼らは、ラウドロックというカテゴリの中に、ぴったりと収まっているようなバンドではなくなっていて、UVERworldはUVERworldでしかないという唯一無二な次元まで行っているところがすごいですよね。作品を出すたびに音が変わっていくことを、まずは彼ら自身が何より楽しんでいて、"こうだからこうじゃなきゃいけない"みたいな偏見も彼らの中にはないので、あの自由な感じは素晴らしいですよ。パフォーマンスの面でも、メンバー全員でパーカッション/ドラムを叩いているシーンがあったりして、あれも彼らのライヴの中で大きなハイライトになっているわけですし。彼らの変化を恐れずに好きなことを果敢にやっていくというあの姿勢からは、得るものがたくさんあるはずです。次に向かって突き抜けていくには、やっぱりそういう強さと柔軟性が両方とも必要ですよ。

-スポーツの世界でも、スキルや条件にだけにかかわらず"最後の最後は本当に勝ち残りたいと思っている人だけが勝てる"ということがよく言われますが、ともすれば音楽の世界にも近いことが言えそうです。

しかも、今は自由な発想をそのまま音にできるような楽器や機材もたくさん出てきていますからね。どんな音でも出せるじゃないですか。この前、とあるプロデューサーさんも言っていたんですよ。"今ってジミヘン(Jimi Hendrix)の音もパソコンで簡単に鳴らせちゃうんだよね!"って。それも、素人耳では、それが生なのか打ち込みなのかもわからないくらいの精度でできちゃうらしいんです。

-ドラムも、最近は打ち込みで録ってしまうバンドが相当増えましたしね。

裏を返すと、それだけのいろいろなことがやろうと思えばできてしまうこの時代に、"自分にはこれしかできない"と思い込んでしまうのはもったいなさすぎます。あとはもうアイディアと熱量があればいくらでも勝機はあるんじゃないでしょうか。もちろん、"自分はこの道をとことん究めるんだ"という求道的な姿勢のなかからも、いい作品が生まれてくるケースだってあるとは思いますけど。でもね、実はこういうことを言っている人もこの間いましたよ。その方は日本のパンク・ヒーローにあたる方なんですけど、"もともと持ってきたこだわりとは違うところにこそ、パンクなものがある"っていうふうに。

-なんだかわかるような気がします。発祥としては体制に反発し、破壊と革新の信念から生まれたはずのパンクが、のちのち滑稽なほど定型にハマっていってしまい、伝統芸能と化してしまったてん末を考えると、サウンドの在り方がパンク的であるかどうは別として、本当の意味で"パンク・スピリッツを持った音楽とはなんなのか"ということを考えると、その方のおっしゃったことにはとても説得力がありますね。

気がついたら、パンクの方が体制側になってしまっていた! みたいなね(苦笑)。それをぶち壊すのが、本来のパンクなんじゃないの? と僕もそこは感じます。じゃあ、今の時代にどうすればいいのか? ということですけど、ヒップホップの世界は時代とともにかなり大きく変わってきていますからね。ロックの世界も、ここからもっともっと新しい展開を見せてくれていったら嬉しいなぁと僕は思います。まぁ、その片鱗は今も少しずつ見えてきていますし、新陳代謝が激しくなり出してきている様子も感じるので、それがさらにオーバーグラウンドにまで出てきてくれるのが楽しみですね。

-こうなってくると、音楽業界の在り方についても少し新しい考え方を導入していく必要がありそうです。

明らかに今はその潮目だと思います。この間も10代の子たち3人と話をしていたら、3人とも"CDを買ったことがない"と言っていたんですよ。僕からするとそれは"すげぇな!"っていう話で(笑)、別に嘆くことでも悲観することでもないんですよね。そういう事実は、きっとここから新しい可能性を生んでいくはずです。当然"GIANT LEAP"に参加している人たちについても、新しい価値観を持った人がここから生き残っていくことになるんじゃないでしょうか。

-なお"GIANT LEAP"については、現状ネット上での展開と、ラジオ番組とのコラボレーションが展開されておりますが、8月にはイベント"GIANT LEAP THE LIVE"が大阪と東京にて開催され、東京会場では藤田さんがオープニングMCを務められるそうですね。

実はイベント当日も、僕はまさにこの企画を紹介する"SONAR MUSIC"の生放送があるので(笑)、全部は観られないんですけど、"GIANT LEAP"の"PRIZE"に輝いたアーティストたちが、いったいどんなライヴを見せてくれるのか、時間が許す限り楽しませてもらおうと思ってます。そこはいちリスナーとしても、すごく期待したいところですね。これから何かが起きるぞ、というその瞬間、をこの記事を読んでいる方々や、できるだけ多くの人に一緒に感じてもらたいたいです。

-では、今後"GIANT LEAP"に自分も応募してみたいと考えていらっしゃる方たちがいるとしたら、藤田さんはどのようなエールを送られますか?

僕らはラジオというメディアで"GIANT LEAP"をバックアップしているわけなんですが、思い切り熱量を込めた音楽ってラジオでも思っている以上に伝わるし、意外とみんなに伝わるんですよ。ラジオって、勉強しながらだったり、タクシーの中だったり、お店の中だったり、何かしながら聴いている人が多いイメージだと思うんですけど、ほんと意外にみなさん聴いていてくれているんですよ。エモーションがこもっている音楽には、ちゃんと反応があるんです。そこは"SONAR MUSIC"が音楽番組であり、リスナーに音楽が好きな人たちが多い背景もあるでしょうね。音楽に対する感度が高い人たちのことを、我々の番組内では"SONAR"と呼んでいるんですが、すごーく偉そうに言うと、"SONAR MUSIC"の"GIANT LEAP"のコーナーで曲がかかったとき、それがうちのリスナーに認められるものなんだとしたら、それは結構いいことなんじゃないの? って思います。ぜひ、うちのリスナーを信用してください(笑)。