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INTERVIEW

Japanese

晋平太

 

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-お話を聞いていると、文字どおりの格闘技的な気持ちもあるのかなって思います。

そうですね。ヒップホップって、スポーツ的側面、競争的側面ってものすごくあると思うんですね。誰かがヤバいバースを書いた、それよりヤバいバースを書こう、とか。100m走とかの記録がどんどん更新されるのと似た部分がすごくあって。スポーツ的観点で見るヒップホップと、もちろん音楽なんで芸術的観点で見るヒップホップの両方があって、その中でアスリート部門じゃないですけど、それの極みがMCバトルですよね。それとは別に、例えばPUNPEEとかの蓄積の仕方もあって。でも絶対そっちをやってるときでもこっちの瞬発力は必要になってきたり、アスリート部門で戦ってるときでも自分の造詣の深さとか、何を見てきているのかとか、アーティスト的側面も大事になってくると思いますし、そのバランスなのかなって。そのアスリート的な面が特に出るのがフリースタイル・バトルだと思います。

-そうしたフリースタイル・バトルのときの晋平太さんと、"何も心配ない"と歌う「主人公」(2017年7月配信リリース)のリリックを書く晋平太さんにギャップを感じるんですけど、それは頭の中で完全に切り替わってるんでしょうか。

おおもとは別に変わらないと思うんです。それを人に対して言ってるのか自分に対して言ってるのかっていう違いなのかなって。やっぱり人に言うときは言葉も選ぶし、どういうふうに伝えてあげたら届くかなっていうのはすごく大事にしますし、バトルをやってるときも根本のメッセージは"俺は俺、信じるから。ぜってぇ負けねぇ"って言ってるんですけど、「主人公」も一緒なんですよね。ただそれを"俺はそうしてるんだよね、君もそうすれば?"っていう言い方にしてるだけで。それがバトルになったときは直球で勝って勝敗で説明してるっていう感じなんですかね。もう、顔面が違いますからね。YouTubeとかで見せられたときにビックリしますからね。"これ、俺!?"って。

-ははははは! 自分でもビックリしますか。

ビックリしますよ(笑)。特に気持ちが入っちゃってるときはもう。よく、僕はでもバトルに出てるときにお客さんにバレるんですよ。"晋平太、今日やる気ねぇ"って。別にやる気がないわけじゃなくて、"勝ちたい"って思えてないときとか、"全力でいいバトルを見せよう"って思えてないときって、顔面が全然違うんですよ。スタッフにも"フリースタイル顔になってたね、今日は"とか言われるんです。そういうときはだいぶ(気合が)入ってるときで。それがお客さんにもバレてるっぽいんですよね。もちろん全力でやりたいんですけど、なかなかその瞬間にコミットするのって難しくて。そういう違いがあるかもしれないですね。

-今回"BIG UP!"で「ストレイト・アウタ・ダンジョン」を通常のもの以外に、トラックだけのもの、アカペラと、3つのバージョンで配信していますよね。これはどうしてこういう形になったんですか。

まずアカペラは、DJにリミックスしてもらいたかったんです。だから要はDJユース、アナログ・ユース、12インチ・ユースなんですよね。だから遊んでほしいっていう感じですね。昔はありましたもんね。そういうヒップホップ心というか。それで練習してもいいし、ラップにビートをハメてみてもいいし。身近にラッパーがいなかったら勉強になると思うので。

-トラックにはハード・ロック要素も感じさせますが、これはもともとどんなイメージで作られたんでしょうか。

この曲は、もともとDJ firstと仕込んでた"こういう曲を作ろう"っていう土台があったんですけど、それが1回ボツってて。そのときは別にロックじゃなくてギターも入ってなかったんです。それをカスタムしていってこういう形になったんです。そのときからタイトルは「ストレイト・アウタ・ダンジョン」がいいねって言ってて。ちょうど"ストレイト・アウタ・コンプトン"(※ヒップホップ・グループ N.W.A.の伝記的音楽映画)があった時期ということもあって、ノートに書いてたタイトルから取りました。

-晋平太さんの著作"フリースタイル・ラップの教科書 MCバトルはじめの一歩"に、"ビートに好き嫌いするな"という言葉が書いてあったんですけど、好き嫌いをなくすうえで知識や経験も必要だと思うんです。そのあたり晋平太さんはどうやってビートに好き嫌いなくラップを乗せられるようにスキルを上げてきたんですか。

ビートって、ことフリースタイル・バトルに関して言えば、天気みたいなもんじゃないですか? 俺が決められないわけなので。そういうときに雨が降ったからといって激落ちしている場合じゃないというか。"あ、これね"っていうマインドじゃないといけないので。ということはどんなビートが来てもいい準備をしておくべきだと僕は思っていて。だからそれこそ『DIGGIN' ICE』(DJ MUROによるDJミックス・シリーズ)とかかけてずっとフリースタイルしてたときもあったし、テクノ、EDMのときもあれば、ひたすらラップを乗せてみるときもあって。リズムに合わせて言葉を放つっていう意味では絶対不可能はないので、どんなビートでもラップできる状態を作っているというか。もちろん流行りはあるけど、でもそれはいくつかサンプルがあって自分で試す時間がちょっとあれば、今知らないことでもすぐ対応できるっていうくらいのラップ力が身についてるから、どれでも一緒でしょ? みたいな。できない技をやってくる奴もいますけど、研究してちょっと練習すればきっとできるようになると思うんですよね。パッション的なもの、リリカル・センスはどうしても天賦の才があるので真似できないけど、技術とか乗り方とか、例えばEMINEMのラップも死ぬほど研究すれば絶対できるんですよ。それをフリースタイルでどうできるかっていうことなので。たぶん、不可能じゃないじゃないですか? でもそれでも、ライヴでやりたいビートなのかとか個人的な好みは、リリースするうえですごく大事なことなので、なんでもいいわけじゃないですけど。バトルに関して言えば、ビートには逆らえないので、受け入れるってだけですね。