Japanese
マカロニえんぴつ × mol-74 × 緑黄色社会
2018年02月号掲載
マカロニえんぴつ:はっとり(Vo/Gt)
mol-74:武市 和希(Vo/Gt/Key)
緑黄色社会:長屋 晴子(Vo/Gt)
インタビュアー:秦 理絵
-(笑)さっき武市さんとはっとりさんはお互いにポップだって認めてたように、ここにいる3バンドはそれぞれメロディと歌を大切にした音楽を目指してると思うんですよね。
はっとり:はい。
-そのうえでちゃんとそのバンドにしかないオリジナリティを持っている。リョクシャカはとてもキラキラとした洗練された音楽だし、モルカルは透明感のある音像が強みだし、マカロニはルーツ色の強い遊び心のある音楽だし。そういう"自分たちらしさ"に、どんなふうに辿り着いたのか、それぞれ聞かせてもらえますか?
はっとり:僕はいわゆるポップなものって飽きやすいものだと思ってるんですよ。でも、いま言ってくれたような自分たちらしい個性とか、クセみたいなものがポップなものに加わることで、飽きさせないものになると思うんですね。だから僕らバンド側はいかに自分たちのクセを出せるかをずっと探してるんだと思うんですけど......未だに、そこは探してますね。"これが自分たちの専売特許だ"みたいなものを見つけられた瞬間はまだなくて。
-そうなんですか?
はっとり:人に言われて、"あ、そうなんだ"と思うことが多いんです。
-これはもう昔のことだから言っちゃうけど、マカロニの初期曲はとてもキャッチーではあったけど、それが"マカロニにしか鳴らせない"っていうものではなかった気がしてて。
はっとり:「鳴らせ」(『アルデンテ』収録曲)のときとか?
-そう。だけど、新しいアルバム『CHOSYOKU』では、いま言ったようなクセだとか、はっとりさんの人間性、嗜好がすごく出てる。それは自覚的ではないんですか?
はっとり:その話をすると、デビュー当時はあえてストレートな曲にしてたかもしれないですね。"邦ロック・シーンに受け入れてもらいたい"っていう想いもあって。寄せていったっていうわけじゃないですけど。でも、最近はmurffin discsっていう事務所に移ったっていうこともあって、そこの先輩のバンドがすごく自由に音楽を楽しんでるのを目の当たりにしたんです。それで"なんで自分で(表現の幅を)狭めてしまってたんだろう?"みたいなところに立ち返ったというか。『CHOSYOKU』では、吹っ切れた感じで、いま一度違うバンドになるぐらいのテンションで作ったら、クセが強くなりましたね。
-リョクシャカはどうですか?
長屋:私たちは全員が初めて組んだバンドなんですよ。だから最初は右も左もわからない状態からバンドを始めて、曲の書き方も、歌詞の書き方もわからない状態だったし、とにかく自分の気持ちを出すのが恥ずかしくて、伝わりにくい歌詞を書いてたんです。でも、人間的に素直になれた瞬間があって。それからは歌詞の書き方も素直になったんです。
-自分に素直になれるかが、ひとつのターニング・ポイントだったと。
長屋:それは私だけじゃなくて、アレンジをするときに、前はスタジオに集まって一気に作ってたんですけど、私たちは全員聴いてきた音楽がそれぞれ違うから、それぞれの良さをちゃんと出すために、みんな1回家に持ち帰って考えるようにしようってなったんですよ。そうすることで、メンバーのありのままの感じが出てきて、素直な音楽になっていったんです。
-モルカルはどうですか?
武市:僕は音楽を始めたきっかけがASIAN KUNG-FU GENERATIONだったんですよ。だから、昔はアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)みたいな曲ばっかり作ってたんです。歌い方も似てたし。
はっとり:あぁ、わかる。そういう時期がありますよね(笑)。
武市:そこから北欧音楽を聴き始めるようになって、"あ、ファルセットとか使ったらいいんだ"とか、声とか楽器で冷たさとか温度感を表現したいなと思うようになって。それを目指し始めたことで、自分たちらしさを見つけた気がしましたね。
-なるほど。
武市:僕は、その曲を聴いて風景が思い浮かぶかを大切にしてるんです。弾き語りで曲を作って、スタジオに持っていくときって、僕の中ではその曲の世界があるんですよ。場所とか気温とか季節とか、ストーリーとか。それをメンバーには言わずに聴かせるんです。で、メンバーが感じ取る季節とか天気がちゃんと自分と合ってたら、その曲を作り始める。でも合ってなかったら、その曲はボツになるんです。
長屋:えぇ!?
-もったいない。言葉で説明はしないんですか?
武市:あ、します。それで擦り合わせられたら、ボツにはしないですね。
はっとり:それすらしないのかと思った(笑)。
武市:でも、完全に"イメージできないよ"ってなったらボツですね。
長屋:私の場合も風景が思い浮かぶかは大切にしてるんですけど、(メンバーと見てる景色が)違ってもいいかな。その人に合った捉え方で曲を聴いてもらえればいいし、リスナーにもそれぞれの感じ方で聴いてもらいたいので。でも、曲を作るときに風景をイメージするのはよくわかります。主人公の年齢とか職業を考えるんです。
武市:あぁ、わかります!
-この曲はこういう主人公っていうのを具体的に訊けたりしますか?
長屋:2ndミニ・アルバム(2017年8月TOWER RECORDS限定リリースの『ADORE』)に「恋って」っていう曲があるんですけど、この曲はキーボードのpeppeが作った曲で。作曲をしてもらったものに歌詞をつけたら、普段自分が書かないような、かわいらしい女の子の曲になったんです。主人公は大学を出たばっかりのOLさんですね。だけど、まだ恋愛をしたことがないピュアな女の子で。"恋ってどんな感じなの?"っていうのがテーマなんです。
はっとり:普段は歌詞が先なんですか?
長屋:先ですね。
はっとり:僕は歌詞が先のことがほとんどないんですよね。
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