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INTERVIEW

Japanese

シナリオアート

2014年01月号掲載

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Member:ハヤシコウスケ (Gt/Vo) ハットリクミコ (Dr/Vo) ヤマシタタカヒサ (Ba/Cho)

Interviewer:天野 史彬

関西出身の男女混合3ピース・バンド、シナリオアートのメジャー・デビュー作となるミニ・アルバム『night walking』は、とても理想主義的な作品だ。ノイジーなギター、さらにシンセも導入した甘美で壮大なサウンドは、あなたを一気に現実から引き離し、夢の向こう側へと連れ去れるだろう。しかし、疾走するビートと男女ツイン・ヴォーカルの性急な掛け合いは、その根底に漂う痛みに満ちた現実感も露にする。まるで現代特有の消費速度の速い音楽カルチャーに楯突くように、夢想的で重層的、そして煌びやかなこのギター・ロックは、音楽が人に与える意味を再定義する。

-メジャー・デビュー作となる『night walking』を聴かせていただいて、凄くシビアに現実を見つめながら、その上で理想主義的に音楽を鳴らしていくバンドだなと思いました。今回収められた8曲には、今のシナリオアートの伝えたいことをかなりストレートに打ち出した曲が並んでいるんじゃないかと思ったんですけど、どうですか?

ハヤシ:そうですね。ちゃんと言いたいことは言えたっていう内容になってますね。

-Track.1の「ブレーメンドリームオーケストラ」に、"ここじゃない どこかへ すばらしい 世界へ ぼくと 抜け出そう"というラインがありますよね。これがシナリオアートの世界観を端的に表してると思うんですけど、こういう現実を超えた空想的な世界を描きたいっていう思いは、バンドにとって重要なものですか?

ハヤシ:重要ですね。今の状況が嫌だと思ってはる人を逃避させられる音や言葉は意識してます。

-それはバンド結成時から、シナリオアートのコンセプト的なものとして徹底してあるものなんでしょうか?

ハヤシ:意識的ではないですけど、物語っていう手法を使って表現していくやり方を始めたのは、この3人でシナリオアートを始めてからですね。起承転結を1曲の中でドラマチックに閉じ込めるというか。

ヤマシタ:そうなったのも、バンド名が大きいかなって思います。元々バンド名は響きがいいなと思ってシナリオアートにしたんですけど、段々とその意味を意識するようになって。そうするうちに、シナリオを描く、アートするっていうことを考え始めたんです。それで曲作りもお話、シナリオが強いものに変わっていきましたね。

-シナリオアートの音楽って、特に音源を聴くと、3ピースとは思えないぐらい音を重ねて詰め込んでますよね。こういう音作りからも、現実とは別世界を描いた物語性の強い音楽を作りたいっていう気持ちが強く滲んできますよね。

ハヤシ:そうですね。環境音ひとつにしても、空間の使い方にしても、ほんまにそこにいるように情景が見えて、景色が見えて、匂いを感じられる――それぐらい、風景を思い浮かべられるような音にしたいなって思っていて。そのために、いろんな音がいろんな場所から聴こえてきたらいいなって思うので、いろんな音を重ねてますね。色づけする意味で。

-この間ライヴを見させてもらって、今のシナリオアートって、ライヴだと音源と違って3ピースのプリミティヴでアグレッシヴな部分が前面に出ている形になっているじゃないですか。可能なら、もっと演出なんかも作り込んで見せていきたい気持ちもあるのかなって思ったんですが。

ハヤシ:それはありますね。ライヴハウスのステージとかだとなかなか音源のような感じは出せないじゃないですか。そうなるとアグレッシヴな部分を出さざるを得ないところはあると思うんですけど、場所に合った見せ方をしていきたいとは思ってます。できるものなら、今後は照明とか、演出ももっと考えてやっていきたいですね。